ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「危難の港」攻略感想(3)

チャリスの街から広野へ

 

NOVA「さて、山の日らしく山へ向かう旅の開始だ」

 

アスト「結局、チャリスの街で何をゲットしたんだ?」

 

NOVA「入手アイテムは以下の通りだな」

 

・ヘビの油

・スカンクオイル

・悪魔の短剣

・鉄の鍵

・真鍮の鍵束20本セット

・金貨3枚

・銅貨16枚

 

NOVA「初期アイテムを除けば、物々交換や各種イベントで以上のアイテムを入手した。他にも宝の地図や、ガーナード・ジャグルが宝箱に仕掛けたトラップの情報などを手掛かりに、いざ宝探しの旅に出発するわけだ」

 

ダイアンナ「目的地は東の月岩山地のスカルクラッグ山の洞窟だったね」

 

NOVA「北を見ると、有名な〈ダークウッドの森〉が彼方に見えて、そこには有名な老魔術師ヤズトロモさんの塔があるそうだが、主人公のリーサンはヤズトロモさんに会う理由がなく、目的地は北ではなくて東だと進路を決める。すると、馬の乗り手が道を疾駆して、危うく跳ね飛ばされそうになるイベントに遭遇する」

 

アスト「ああ、ポート・ブラックサンドで経験がある。アズール卿の馬車だな」

 

NOVA「まあ、似たようなシチュエーションだが、ここは盗賊都市じゃないし、乗り手は黒ローブの謎人物。わざわざ様子を見るために危険を冒すと、運だめし失敗で衝突を避けようとして所持金を失うことになる。運とお金を大切にしたいなら、さっさと道から外れたトウモロコシ畑に引っ込むことだ。馬イベントを終えて、しばらく歩くと、石作りの小屋を見つける。わざわざ調べるか、スルーして旅を急ぐかの2択だが」

 

アスト「とりあえず、調べるのが冒険者ライフというものだろう? 危険はあるかもしれないが、重要なアイテムが入手できるかもしれない」

 

NOVA「無駄足と分かれば、2周め以降は避けて通ることを学ぶわけだし、初見だとあれこれ調べるのが冒険者というものだな。そして、小屋の中には技術点5の人オーク2体がいたので、サクッと倒して、いろいろなガラクタが手に入る。しかし、銅貨1枚を除けば、役立つものが何もないので、結局、メモる意味が全くなかった。

「まあ、並べ挙げると、7本の歯、銀のボタン、ガラス製の義眼、矢じり、磨かれた石3つ、ネズミの尾、小さな骨、虫、蝿と羊の眼球入りの瓶だ。後々、イベントに使えるのは羊の眼球だが、結局、外れ選択肢になるだけだから、総じて意味がなかったと後から分かる。また、小屋の地下にはゾンビがいて、運が悪いと噛まれて自分もゾンビの仲間入りだ。さらに、ゾンビを倒しても、選択をミスると、地下に閉じ込められてゲームオーバーだし、この小屋だけで2ヶ所もバッドエンドの可能性がある危険な場所だな」

 

ダイアンナ「だったら最初からスルーするのが正解ということか」

 

NOVA「たった一つだけ当たりなのは、イベントを最後まで果たして徹底的に調査した際に、〈力の腕輪〉が入手できて、技術点+1、体力点+2のボーナスだ。もしも、原技術点の制限を無視するプレイスタイルなら、危険を冒した元は取れる。原技術点縛りで臨むなら、メリットは薄いな。とにかく、人オーク2体と、ゾンビ1体と、後から来た人オークもう1体をやっつけて、ガラクタいろいろゲットして喜べるなら、この小屋を探索するのも一興」

 

アスト「手に入るガラクタが有用かどうかは、ゲームをクリアしてみないと分からないわけだな」

 

NOVA「その通り。だからプレイ中は、『チョークに、乾燥したイラクサに、豚の装身具かあ。何の役に立つかは分からないけど、とりあえずメモメモ』とアイテム増えて単純に喜ぶわけだ。だけど、結局は役に立たなかったやんけ、とプレイ後に発見した俺がいる」

 

アスト「お前だったら、『ゾンビに噛まれてアンデッドになるなんて、ご褒美です』とか言うんじゃないか?」

 

ゾンビの話から寄り道

 

NOVA「10歩譲って、相手のゾンビが元美少女なら、ちょっとぐらい噛まれても……と一瞬、躊躇してから、ゾンビになった自分を想像して、やっぱり美しくないので気が変わるまでがセットだ。さすがに吸血鬼と違って、ゾンビには美学がない。ゾンビ感染する女の子のエロゲーはそれなりに好みと言えなくもないが、自分がゾンビになっちゃうと、読書もできないし、ゲームもできないし、特撮ヒーロー番組を見ることもできない。ゾンビになっても、生前と変わらず、そういう娯楽を楽しめるなら試してみるのも一興だと思うが、普通のゾンビは本を読んだり、ゲームをしたり、TVを見たりしないだろう?

「まあ、作品によっては生前と同じ知能を持って、ゾンビライフを満喫したりもする世界観もあって、ゾンビになってゾンビ仲間と楽しくダンスするミュージックビデオも80年代には売れたりしたんだが。80年代はSFホラー系のメイキング技術が発展して、スプラッター系のホラーが大人気で、家庭用ビデオの普及で映像ソフトが商品として広がり、需要の向上でB級ホラーが大量に作られ、次世代の映画監督が育っていく時代ともなったわけで」

アスト「何をゾンビムービー論を熱く語ってんだよ?」

 

NOVA「まあ、ゾンビとか吸血鬼とかの魅力は、犠牲者が感染して同族化してしまうところだろう? 感染して化け物になって、さらに仲間を増やすって連鎖が、人間社会の崩壊につながるドキドキ感は、単に化け物に殺されて終わりってホラーよりも、自分が好きな人が化け物になったら? とか、自分が化け物になって仲間を増やす側になったら? とか、妄想力を掻き立ててくれるんだよ。

「人間じゃなくなってモンスター化した場合、価値観が人間のままでいられるか、それとも悪堕ちして既存の価値観から逸脱したダークサイドライフを楽しめる自分になってしまうか、背徳感とか変身願望とか、人によっては孤独な人間ライフよりも魔物化した同族のアウトサイダー仲間を作る方が何だか楽しそう……って感じたり、社会からドロップアウトしても強力なモンスターに転生するなら、とか昨今の異世界転移にも似た現実逃避の世界を異種族転生の方に求めてしまう感覚。それがスライムか、アンデッドか、ライカンスローピー(獣人化)か、悪の組織の改造人間か、宇宙人かは好みに個人差があるとして」

 

ダイアンナ「つまり、ダディーは自分が怪物化したい願望があることを認めるわけだな」

 

NOVA「まあ、物語の受け手としてはな。ただ、その後、TRPGと出会ったりもして、ゲームマスターをやったりすると、敵役の怪物を操作したり、怪物をロールプレイするような経験も実際にするんだよな。つまり、怪物になるというだけの話はお腹いっぱいとなる。なった後にどういう展開に流れるかをあれこれ空想妄想したり、怪物化する自分へのジレンマみたいな話を書いてみたくなったり、様々なシチュエーションをイメージして、そのシーンだけを試しに習作したり、逆にヒーローの視点で怪物を退治する物語を再評価したり、様々なストーリーパターンやアイデア、シーン演出などをストックしたりする。その中で王道や、自分が快に感じる要素や、不快に思う要素などを分析できるようにもなる。もちろん、自分が不快に感じる要素を好む者もいることも分かるし、双方の趣味を配慮しながら、ストーリー的な折り合いを付ける方法とか、どうしても折り合いの付けられない要素を見極めたり、不快さを軽減するようオブラートに包むことを意識したりなどなど」

 

アスト「ゾンビや吸血鬼になって、可愛い女の子の首筋に貪りつきたいとか、そういう妄想に対して、同意共感できる層と、気持ち悪いと感じる層がいるよな」

 

NOVA「俺個人は、自分が噛みつきたいというよりも、噛みつかれている女の子が喘ぐ姿にリビドーを感じるようになってるな。自分から女の子にキャーッて悲鳴を上げさせたいわけではないが、悲鳴を上げてる女の子の姿には感じ入るタイプ。つまり、自分から何かをするよりも、距離を置いて見る方を好むというか、演じ手とか当事者よりも、カメラの向こうから観察するとか、舞台の外から鑑賞するシチュエーションに興味があるとか、後は事件の語り部スタンスが安心できるとか」

 

ダイアンナ「つまり、ダディーがなりたいのは、吸血鬼ではなく、吸血鬼の想像者、創造者の立ち位置ということか」

 

NOVA「吸血鬼の物語が好きだからと言って、自分が吸血鬼になりたいわけではない。ヒーローの物語が好きだからと言って、自分がヒーローってわけでもないけど、ヒーローの創作者の立ち位置には自分を置いてみたくはある。もちろん、作品鑑賞中は、どのキャラに感情移入できるかなとか、あれこれ考えながらも、離見の見なんかを意識しながら鑑賞しているつもりだけどな。役ごとの視点とか、作り手の視点とか、いろいろな見方で複合的に作品鑑賞するのが楽しいし。ゾンビの視点で小説を書いたこともあるけど、あまり複雑なことを考えられないから、案外つまらないものだった」

 

アスト「つまり、役柄が固定されて、単純にしか物を考えられないキャラだとつまらないってことだな」

 

NOVA「ゾンビの第一義は肉を食うこと。吸血鬼の第一義は血を吸うこと。まあ、そのお約束をひっくり返して、肉よりもアイドル活動に熱を注ぐゾンビとか、血は吸わずに人の昂った感情をエネルギー源に変えるマインド・ヴァンパイアとか、ただの人間を襲う化け物とは違う設定を付与して、独自性を目指すのが作家の芸だが、その設定の中で上手くキャラ立てして、物語を走らせるのが作家のセンスで、設定もありきたりなら、描くストーリーも単純で進化がないなあ、とか、幅がない、膨らみがないなどなどは、芸やセンスに欠けるという評価になるわけで」

 

アスト「作家論はどうでもいいが、ゲームブックに話を戻さないか?」

 

NOVA「ああ、そうだな。今は〈悪魔の短剣〉と契約して、お宝探しに情熱燃やすリーサン・パンザの話だ。人オークとゾンビの巣食う小屋は、いろいろと拾い物をしたけれど、つまらないゴミクズばかりだ、と悪魔の囁きが聞こえて来たってことで、ゾンビにこだわっている場合じゃない、と」

 

東の山を目指して

 

NOVA「ゾンビ小屋をクリアすると、パラグラフは164番に来る。今度はブルーベリーの茂みと、かかしが見えて来て、よくよく観察すると、かかしに見えたのは縛られた人間の老人で、ゴブリン似のブルー・インプという魔物に捕まったらしい。3匹のブルー・インプがフォークとナイフを持って襲いかかって来るが、技術点6のザコなので、〈悪魔の短剣〉の餌食にしてやった。

「ついでに老人も処刑しようかなあ、と思ったら、感謝の言葉をもらったので気が削がれてしまった。まあ、この悪魔も十分な血を吸ったから、今はおとなしくしてくれているらしい。老人を処刑するという選択肢もないので、おしゃべりの老人の話を聞いてやると、感謝の印に辺りのブルーベリーを一緒に食べようと誘ってくれたので、腹ペコったーと叫んで、ささやかなデリシャス・パーティーが始まった。おかげで体力2点が回復したり、旅の助言(夜は獣避けのために火起こしした方がいいよ)をくれたり、グロンクという魔物の毒に効く〈スティックル蝋〉をもらったりした。

「さらに、ブルーインプの小屋を調べると、〈ディーリアの花びら〉〈ザンホークの種〉〈ヌープの粉〉〈レッドソーンの葉〉〈シフ・サフのペースト〉〈ロータスの花〉〈火の根の液〉の7つから3つを選んで持って行くことになった。リーサンは〈ヌープの粉〉〈ロータスの花〉〈火の根の液〉を選んだが、運よく最後の液が当たりアイテムだったらしい」

 

ダイアンナ「ずいぶんと入手アイテムが多くないか?」

 

NOVA「多いな。今、攻略ノートをチェックすると、『火吹山ふたたび』で約30個、『危難の港』では50個近いアイテム名が書いてあった。アイテム管理だけでも大変だなあ、とプレイ中は感じていたな」

 

ダイアンナ「『火吹山』では20個ぐらい、『バルサス』では10個少ししかアイテムが書いていないようだ」

 

アスト「『盗賊都市』でも20個ぐらいだな。50個のアイテムを管理するのってキツくないか?」

 

NOVA「攻略ノートにメモしたものの、半分以上は使う機会のなかったクズアイテムだったな。リーサンの背負い袋の中は役に立たないガラクタだらけなんだが、多分、貧乏人らしい勿体ない感覚で、物を捨てられずに生きているんだろう。ともあれ、ブルー・インプのイベントが終了すると、次はパラグラフ134へ進む。いよいよ月岩山地のふもとに到着するんだが、暗くなって来たので野営の準備に取り掛からないと」

 

アスト「火を起こせって言われていたな」

 

NOVA「起こさないと、技術点9のヒッパホッグという魔物に襲撃される。運が悪いと、奴の放屁攻撃をくらって技術点を3点下げられた状態でのバトルになるので、かなりキツい。火を起こして寝ると安心して野営できる」

 

アスト「技術点9は、ここまでの最強モンスターだな。しかも、おならで技術点マイナス3ってことは、実質12ってことか。魔物の下品な攻撃で死にそうになるってのは、騎士称号をもらった御仁の描くようなネタとは思えんのだが」

 

NOVA「別に作者が放屁を推奨しているわけじゃないから。むしろ、放屁を仕出かす獣は火で追い払いましょうって教えてくれるんだ。ともあれ、野営イベントが終わると、パラグラフは368番に至る。山道を歩きながら、ついに目的地のスカルクラッグが見えてくるわけだ」

 

スカルクラッグへの危険な山道

 

NOVA「スカルクラッグ周辺の探索は、とにかくバッドエンドが多い。368番では、洞窟に入る。そこは目的地ではないんだが、技術点5点の魔女がいる。あっさり倒せるザコだが、一度でも傷つけられると、魔女の感染していたワーム病に自分も感染して失明してしまうそうだ。この魔女を倒すと、金貨5枚と、老魔女の髪を使った〈白髪のロケット〉が手に入る。あまり役に立った覚えがないんだが、おそらくザンバー・ボーンを倒す3アイテムのオマージュじゃないだろうか。

「つまり、ブルーインプの小屋で手に入った〈ロータスの花〉は蓮だし、老魔女の髪と、黒真珠を合わせれば、『盗賊都市』のザンバー・ボーンを思い出す趣向。事実、後で〈黒真珠〉もゲットできるしな」

 

アスト「ということは、『盗賊都市』の経験者はこの魔女を倒して入手した〈白髪のロケット〉を必須アイテムと考えるわけか」

 

NOVA「いかにも重要そうな記述なんだが、ただのフェイクだったと攻略後に分かる。敵の弱点が変わってるからな。『盗賊都市』の知識は、物語を味わうのには必要だが、攻略の役に立つわけではあまりない」

 

ダイアンナ「それでも、伏線っぽい仕掛けだな。そもそも、ザンバー・ボーンの復活というのはストーリーではまだ語られていなくて、思いきりネタバレじゃないか」

 

NOVA「まあ、前情報なしに本作をプレイしていたら、まずニカ何ちゃらって魔術師の名前で、もしや? と思い、チャリスの街の探索で『盗賊都市』っぽさを感じ、街を出たところで馬にはねられかけてアズール卿を思い出し、入手アイテムのリストでザンバー・ボーン? と懐かしがる仕込みかな、と」

 

アスト「ここでは先に、『ザンバー・ボーンの復活キター』ってノリでプレイを始めたんだがな」

 

NOVA「一方、主人公のリーサンはザンバー・ボーンの名前など何も知らないので、今は宝探しに夢中になっている〈悪魔の短剣〉使いでしかないわけで」

 

ダイアンナ「そんなに〈悪魔の短剣〉が好きになったのか、ダディ」

 

NOVA「血に飢えた〈悪魔の短剣〉と、腹ペコった残飯漁りの主人公って、相性がいいなあ、と。そして、スカルクラッグに向かって山道を歩いていると、喉が渇いたので谷を流れる小川に気づく。水を汲みに行ったら、大岩がゴロゴロ転がってきて、技術点判定に失敗すると、グチュッとゲームオーバーだ」

 

アスト「トレジャーハンターあるあるなトラップだな」

 

NOVA「80年代のインディー・ジョーンズなノリだな」

NOVA「インディー・ジョーンズはシリーズ第1作の『レイダース 失われたアーク』が81年で、来年夏に5作目が公開予定だ。80年代のTRPGやゲームに与えた影響も多く、間違ってトラップを発動させてしまって、それを切り抜けるためのアクション活劇は、90年代のトゥームレイダーにも受け継がれ、ゲーム→映画への逆輸入にもつながるわけで。

「ともあれ、技術点判定で成功したら、大岩で襲撃してきた山男2人組と遭遇して、運だめし次第でバトルになったりならなかったりしながら、細々としたアイテムをゲットできる。そのうち役に立つのは〈塩の入った袋〉だな。釣り針と弓矢は使えそうで使えん」

 

アスト「野外での旅では有用そうだけどな」

 

NOVA「しかし、ガラクタアイテムがいっぱいの野外探検もひとまず、ここで終わって、ついにリーサンはスカルクラッグに到達するのだった。ここからはダンジョン探検が始まる」

 

スカルクラッグの危険なダンジョン

 

NOVA「パラグラフ番号は345番。スカルクラッグは、巨大なドクロの形をした山で、口のように開いた洞窟がある。そこに入ると、通路は左右に分かれているが、右に行っても、左に行っても漏れなくトロールの罠にハマって閉じ込められて、ゲームオーバーとなる」

 

アスト「何だよ、それ? 普通はどちらかが正解だろう?」

 

NOVA「どっちに進んでもゲームオーバー。つまり、入り口から中に入らないのが正解。その仕掛けは、宝の地図の裏にメモ書きされているんだな。『入り口から入らず、20メートル上の岩棚まで登れ。秘密の入り口を見つけて、左、右、右と進めば、水晶の洞窟で鉄の箱が見つかるだろう』とのこと。初プレイの際は、オープニング背景の文章に書かれたヒントを読み流していて、あまり重要視しておらず、実際のプレイでの進路選択で『うわあ、酷い運ゲーだな〜』と思っていた。

「自分のうっかりを棚に上げて、作品を下手に批判すると、見る目のなさをバカにされるので要注意だ。バカにする奴は、それこそ鬼の首を取ったかのように調子に乗って、批判文章が雑になるからなあ。つまらない物でも個人の好みで感心したり、感動を味わうことができるし、楽しんで感動できる感性こそがオタクの目指すべき道だと思うんだが、勘違いする人間は他人の感動にケチを付けてマウントを取ることこそがオタク道というスタンスで嫌われ者となる。そして、『自分がつまらないと思う物が淘汰されることこそ、作品ジャンルの発展につながる』と歪んだエリート意識を発露して、妙に攻撃的になるんだな」

 

ダイアンナ「ダディーはそれを否定する、と?」

 

NOVA「いや、俺にもその傾向はあると自覚するから、あまり作品の悪口は言いたくないんだ。批評と悪口の違いは、それを口に出して聞く者が楽しめるか、不快に感じるかだろう。『ああ、そういう欠点もあるか。確かに。それでも楽しめますよね。楽しんでいる人間をバカにするのは野暮ですよ』と欠点を理解しながらも、味わえるのがマニアの嗜みだと俺は考えるんだな。粗探しに夢中になって、作品の良さを味わえない『舌の肥えすぎた人間』は、よほど面白い作品を作ったり紹介できるんだろうと、ご教示を願うこともあるが、感性が自分と合わずに過剰に攻撃的な場合は、敬して遠ざけることになる。趣味話って、知識に敬意を示せるか、感性が上手く噛み合う間柄でないと、つまらないからな」

 

アスト「まあ、自称エリートが素人の浅はかさをバカにすることで、ジャンルの低俗化を嘆く姿勢には一理もあるがな」

 

NOVA「ただの若い感性について行けない年寄りの戯言というケースもあって、それを自覚しながら、若者の流行を許容できる態度が良い年の取り方かな、と自分は考えるな。まあ、自分流にこだわる頑固な年の取り方もあるだろうし、知識の裏付けがあって自分の知らない世界を教示してくれる先輩や後輩には、相応の敬意を示すつもりだけど」

 

ダイアンナ「後輩にも?」

 

NOVA「そう。台頭してきた若手にも敬意や共感を抱けなければ、先達はどんどん故人になって行くのだから、自分が楽しめなくなってしまう。自分のスタンスは大事にしながらも、時代の変化に応じた作品の楽しみ方を模索しないと、趣味人としては哀しいな。まあ、懐古趣味だけでも一定の需要はあるけど、できれば自分の懐古と今の流行の間に断絶ではなくて、橋を架けたいのが俺のスタンス。まあ、それでも個人の趣味や感性の差はあるんだけど、とりあえずファンにできるのは、自分を楽しませる作品は褒め称え、それを邪魔するだけの野暮な輩は切り捨てる。楽しんでいる人の邪魔はしないのが、粋なんだと思う。

「そもそも、今このタイミングでは良い作品と思ってなくても、ちょっとした視点の変化、きっかけを与えられることで、新たな評価基準では傑作と見なせるようになったケースもあって、『そうか。そういう見方があったのか』と感じ入れる経験は今でも時々ある。自分が気付かなかった物の良さをタイミングよく教えてくれる人間は貴重だし、そういう柔軟な物の見え方のできる御仁は尊敬に値するし、自分もそこを目指したいわけだ。逆に、杓子定規で『こうでなければならない』と頑なな態度は、尊敬に値しない。自分の確固とした土台を持つことも結構だし、信念に殉じる姿勢も立派だが、融通無碍こそ、俺の好きな言葉ってことだな」

 

ダイアンナ「ダディーの好きな言葉は、温故知新だろう?」

 

NOVA「そうだな。まあ、温故も好きだし、知新も好きだが、年を取ると放っておいても温故になるので、ワクワクできる知新を意識しないと、考え方が凝り固まるわけで」

 

アスト「だから、寄り道脱線して、今の話を見失うわけだな。とりあえず、『うっかり物を見落として、これはダメだと批判する浅はかさへの自戒』から、話が広がったようだが?」

 

NOVA「ここから先は、二択の選択肢が死ぬか生きるかの単調なトーンで、正直言って、つまらないと感じたんだな。何かと言えば、『157(バッドエンド)へ進め』ばかりで、そういう運ゲーをプレイしたいわけじゃないんだが、と思っていたら、『宝の地図の裏に手掛かりがあったよ』とヒントをくれていたことに気付くだけで、なるほど、そうだったのか、と再評価できるようになった。とりあえず、左→右→右に進めばいいんだな、と左の301番へ進むと、そこには鎖帷子がある」

 

アスト「鎖帷子か。『盗賊都市』の鍛冶屋を思い出したな。あの鎖帷子は良い物だった」

 

NOVA「こちらの鎖帷子も良い物で技術点+1されるぞ。原技術点縛りがなければ、ここまでで〈悪魔の短剣〉〈力の腕輪〉〈精巧な鎖帷子〉で技術点+3できる。快適なプレイを望むなら、そうするのもありかと思うが、一応、自分は伝統的に原技術点縛りを続けていた。まあ、ここまでは技術点的に不利な敵に出会わなかったこともあるしな。

「そして、次に噂のグロンクに襲撃される。牙と節足の生えた鱗付きボールというデザインの新顔モンスターで、技術点は5。3匹いてもザコはザコなんだが、運悪く一度でも傷つけられると毒で死にそうになる。解毒剤として選択肢は〈ヘビの油〉〈スティックル蝋〉〈乾燥したイラクサ〉の3つが出て、〈スティックル蝋〉以外ではゲームオーバーになる。万が一を避けるためにも、〈スティックル蝋〉はゲットしておきたい、と思った」

 

ダイアンナ「つまり、ブルー・インプを倒して、おしゃべり老人を助けろってことだな」

 

NOVA「次に右に進むと、ノルグルという大柄なヒューマノイドが大釜で目玉料理を召し上がっている現場に遭遇する。こいつは技術点10、体力点9で、スカルクラッグのボスみたいな敵だ。初めて自分より強い敵に遭遇したと思ったリーサンは、手持ちの〈羊の眼球の瓶〉が交渉材料になるかと期待したんだが、結局、ノルグルには交渉が成立しないと悟って、覚悟を決めて戦いに臨んだわけだ」

 

アスト「こちらの技術点は9。相手の方が1多いと、勝ち目が低いんじゃないか?」

 

NOVA「今作で一番、ギリギリの戦いだったな。残り体力4で死ぬかと思ったが、何とか競り勝つことができた。腹ペコったので食料1食を貪り食って4点回復し、その後も少しずつ食べ進めたり、運点もだいぶ消耗していたので、ここらで幸運ポーションも飲んでおく。とにかく、『危難の港』で一番スリルを味わったのは、このノルグル戦だったと主張する。まあ、このスリルは最初の技術点が10以上だと、共感できないのだろうが」

 

アスト「格上相手で何とか競り勝つことができたってシチュエーションだからこその緊迫感か」

 

NOVA「ゲームを解くだけなら、最初から最強キャラを用意して無双を楽しむさ。ただ、こちらは生のプレイ体験を楽しみたいからな。それで攻略不能と悟れば、次はキャラの能力を上げて再挑戦するのも一興だが、技術点9は絶妙なバランスでドキドキハラハラを楽しめた感だ。同じデータで次にノルグルとやり合ったら負けるかもしれない。次にやるなら、やはり強キャラでやりたいだろうな」

 

ダイアンナ「無双を楽しむのではなく、スリルを楽しみたい、と」

 

NOVA「まあ、技術点7とか8だと、スリルどころか、ろくに話を進めることもできずに、詰んでしまいそうだけどな。とにかく、強敵ノルグルを倒して、個人のささやかなデリシャスパーティーを開いたり、金貨5枚をゲットして、次に左へ進めばゲームオーバーだ。しっかり右に進むように」

 

アスト「すると、目的地の水晶の洞窟に到着か」

 

NOVA「鉄の箱があるんだが、天井からゼラチン状の溶岩ワームが落ちてくるので注意な。ノルグル戦で消耗して、体力を十分に回復していないのに〜と思いながら、技術点9、体力点9の強敵に挑む。こいつの厄介なのは、剣で攻撃しても、普段の2点ではなく、1点しかダメージを与えられないところ。つまり、体力点が倍の18あるようなもので、普通なら勝てないところだったが、幸い、弱点の〈塩の袋〉を持っていた。大岩と山男イベントをスルーしなくて良かったぜ、と思いつつ、火星怪獣ナメゴンに対峙した一ノ谷博士の冷静さをもって、塩で軟体生物を溶かすことに成功。なお、溶岩ワームの粘液跡で見つけた首飾りは身に付けないように。運点と技術点が2点下がるから」

 

ダイアンナ「普通は、そういうべとついたアイテムを首に掛けたいと思わないよね」

 

NOVA「文章だけの想像力で感じ取ることができたらそうだけど、何となくの惰性で読んでいると『見つけた首飾りをかけたいなら57へ』と書いてあったら、そちらに進みたくもなる。そして、それが失敗だったという結果を読んで、『まあ、そうなるだろうな。くわばらくわばら』と、そちらの選択肢は選ばなかったかのようにテキトーな言い訳をしつつ、プレイを進めるわけだな、これが」

 

アスト「もちろん、まじめにペナルティーを受けるプレイをしている者もいるだろうし、それはそれで敬意を示し得るけどな」

 

NOVA「ズルはしない、というポリシーでゲームブックを解く勇者は尊敬に値する。まあ、それを誇っても、誰も褒めてくれない自己満足なんだろうけど、この俺はそういう人間の心意気に痺れる、憧れると言っておこう。まあ、危険な選択をする前にセーブしておいて、両方のイベントを見るようなプレイを邪道というか、探究心豊かというかの違いだな。俺は多少邪道であっても、探究心豊かな道を選ぶね」

 

アスト「ともあれ、目的の宝箱は発見したんだな」

 

NOVA「大きな鉄の箱の中に、トラップ付きの小箱が入っていて、情報どおり開けたら死ぬので、開けずに背負い袋に入れて、来た道を引き返すことになる。帰り道は左→左→右じゃないとゲームオーバーなので注意」

 

ダイアンナ「来た道と逆の選択をすればいいってことだね」

 

NOVA「まっすぐ進むという選択肢を選ばなければいい。さて、無事に出口まで行き着くと、ミステリアスな女性が待ち構えている。好戦的に振る舞うと罠にはまって死ぬので、腹ペコったから食べ物をおくれ、と穏やかに要求すると、フワフワのパンをくれたので、彼女が2人めのプリキュアだと悟ったゆいちゃんはデリシャスマイルを見せるのだった」

 

アスト「いや、お前はキュアプレシャスじゃなくて、残飯漁りにして〈悪魔の短剣〉使いのリーサン・パンザだったはず」

 

NOVA「ああ、そうだった。俺は妖精じゃなくて、悪魔と契約したんだ。だったら、パンじゃなくて、激辛カレーを要求する」

 

ダイアンナ「仮面ライダーの話も置いておいて、今はミステリアスな女性の話に専念しないか?」

 

NOVA「ああ、パラグラフ番号132番。もらったパンを数秒で平らげて、体力点1点を回復したリーサンは、彼女の姿をじっくり確認する。イラストでは外界の光を背に、洞窟の入り口に立つ彼女のシルエットが描かれ、顔ははっきり判明しない……がミステリアスな美女としておこう。文章での表現は、黒いローブ、黒い綿ズボン、黒い革サンダル、黒髪ポニーテールで、鋭い茶色の目の持ち主。背中に両手用の曲刀を背負ったアジアンビューティーって感じだな。『私の名はハカサン・ツァ。ゼンギスから来た忍びの者で追跡者』と名乗る」

 

ダイアンナ「ゼンギスってどこだ?」

 

NOVA「アランシア地図(大陸北西部)の中で、東方異文明に通じた北東部にある都市国家だな。こちらの地図を参照してもいい」

NOVA「ゼンギスを舞台にした作品は、すぐには思い当たらんが、FFシリーズでアジア風キャラを設定したければ、とりあえず『ゼンギスから来た』と言っておけば良さそうな気がする。まあ、クール大陸の八幡国から来たサムライでもいいんだが、アジア風味と日本とではニュアンスが違ったりもするだろうし」

 

アスト「とにかく、ハカサンと邂逅したことで、物語も新たな段階に突入するってことだな」

 

NOVA「そう。前半の宝探しが終わって、ここから第2部に突入するってことで、次回に続く」

(当記事 完)