ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「魂を盗むもの」攻略感想(4)

ダンジョン攻略続き

 

リモートNOVA『前回で、魔剣ストールブリンガー(勝手に命名)を見つけた大胆勇者ストール君。〈鉄の地下廟〉探索はまだまだ続く』

 

アスト「ところで、ここまで入手したアイテムを確認したいんだが?」

 

NOVA『回復アイテム以外をリスト化すると、こんなところか』

 

●【銀のメダリオン】(エリマキトカゲがくれた。時々、幻影を追い払ってくれる)

●【黒檀の鍵】(アルカンディが売ってくれた。後で使う)

●【ネコの像】(アルカンディが売ってくれた。後で使う)

●【ロープ】(アルカンディが売ってくれた。後で使う)

●【白油の小瓶】(アルカンディが売ってくれた。後で使う)

●【骨のサイコロ】(ゴブリンから入手)

●【しろめ製エールジョッキ】(オーガーから入手)

●【トロールの合鍵】(トロールから入手)

 

NOVA『これらのうち、サイコロとエールジョッキは前回のオークに対して使う機会があった。ストールはさっさとバトルで倒したんだが、サイコロがあれば、ちょっとしたギャンブルで遊べて、バトルを省略したりもできる。ただ、エールジョッキは「オーガーのサンダーガッツの物」で、それを奪ってきた敵認定されて結局バトルになる。総じて、あまり有用なアイテムではなかったな』

 

アスト「サイコロは、ゲーマーとして持ってるだけで嬉しい。エールジョッキは……酒飲みなら嬉しいかもな」

 

NOVA『冒険では使わなくても、持っているだけで嬉しくなるアイテムもあるんだろうなあ。そして、以下はここまでで入手し損なったアイテムだ』

 

※【銀色の羽飾り】(アルカンディが売ってくれる。後で使う)

※【宝石】(アルカンディが売ってくれる。ミノタウロス像の通過時に使える)

※【引っ掛け鉤】(ネズミ男を倒して入手。ロープと組み合わせて使う)

※【青い絹の手袋】(ネズミ男を倒して入手。蛇を操るのに使える)

 

NOVA『後で必要なときに、アイテムを入手し損ねていると、下手したらゲームオーバーだからな。まあ、本作はそこまでシビアなゲームではないんだが、アイテム集めが楽しいゲームでは、入手したアイテムが何に使えるかなあ、と想像するだけでワクワクできる。ただ、リビングストンの作品はゴミアイテム率が高く、キース・マーティンは割とアイテム活用のバランスが良いなあ、と感じた』

 

アスト「ダンジョン探索とアイテム収集が楽しめる、手堅い作品ってことだな」

 

NOVA『では、攻略を続けよう。前回、トロール部屋から脱出した後、魔剣をゲットしたら階段から上がって、そこから梯子で落とし戸をくぐることになる。落とし戸を抜けた先の部屋では、ザコオークと戦って、ロープをゲットできる。つまり、アルカンディから買う必要はなかったんだな』

 

ダイアンナ「2本めのロープをゲットした、と」

 

NOVA『その後は食料庫で食料を1個ゲットしたり、甲虫の幻を【銀のメダリオン】で打ち消したりしながら北へ行くと、ようやくにして、別ルートとの合流を果たすことができたわけだ』

 

ダイアンナ「メダリオンがなかったら?」

 

NOVA『技術点5、体力点6の甲虫と戦うんだけど、毎ラウンド1Dで3以下を出すと、吐き出す酸(の幻)で1点ずつダメージを受けることになる。つまり、ザコなんだけど、細かいダメージを与えてくる幻を、メダリオンは打ち消してくれるんだな』

 

アスト「幻術使いの雰囲気作りが面白い作品ってことか」

 

NOVA『まあな。ただ、その分、ゲームブックの文章を読んでいて、現実と幻影の区別で混乱することも多い。ダンジョンのマップを描きながら、文章のつながりで迷い始めたりもしてな』

     

          別ルートへの合流

               ↑       ↑

              l 甲虫の幻

              l        l

              lー食料庫

          オークとロープ

              ↑

トロール部屋→魔剣入手→階段と梯子

 

南回りルートとの合流

 

NOVA『さて、オーガー部屋からの北回りルートは、北から西に向かった後で、大きく南下し、ダンジョンマップの南から合流する形になる。3次元の上下移動もあるので、平面マップで全貌を表現しにくくもある。結局は、区画ごとの分割表記になったわけだが、プレイ中も北回りと南回りでマップを分割して、後からつなげる形でマップの地形を把握した次第』

 

アスト「シンプルなのは、南ルートの方みたいだな」

 

NOVA『ああ。前回のIF攻略で進んだパラグラフ287番、ミノタウロス像を越えた地点から続けるとしよう。階段を登ったらT字路があって、東西に道が分かれる。西に向かうと通路はすぐに南に折れるが、そちらは後回しにして先に東へ向かう。すぐに北への分岐点があって、そちらに向かうと天井が開いている天然の岩棚になっていて、技術点8のカミソリ嘴鳥(レイザービークバード)の襲撃を受ける』

 

アスト「何かと鳥の襲撃を受ける冒険だな」

 

NOVA『鳥を倒すのはいいんだが、鳥の巣のある岩棚に登るには、【ロープ】と【引っ掛け鉤】が必要になる。ストールはロープを2本も持っていたのに、引っ掛け鉤を取り損ねていたので、岩棚には登れなかった。岩棚には【蜘蛛のヘッドバンド】というアイテムが入手できるんだが、残念ながらストールはそれを入手せずに先へ進むことになったんだ』

 

ダイアンナ「というか、ストールはまだこのルートに入っていないだろう?」

 

NOVA『おっと、そうだったな。別ルートとの合流話を先取りしてしまったや。ええと、先ほどの分岐点から東へ向かった地点に南に通じるT字路があるんだが、そこが長い北回りルートからつながる場所になっている。牛人像からのルートでは、このT字路から南に行けない。と言うのも、「酸の煙に侵食」されているから危険だという理由だ』

 

アスト「トロール部屋から、さらに酸の煙が追いかけてきたわけだな」

 

NOVA『南からの合流点から東へ向かうと、鳥人バードマンと遭遇する。バードマンに【銀色の羽飾り】をプレゼントすると、詳しい情報を教えてくれる。羽飾りがなくても最低限の会話はできて、「〈鉄の地下廟〉から邪悪な生き物が出てきて、この山に住むバードマンの一族を追い払った」「連中は誰かを捕まえているが詳しいことは知らん」「この西には危険なカミソリ嘴鳥がいるので注意」というアドバイスをくれる。攻撃しようとしても、空を飛んで逃げるだけだな』

 

ダイアンナ「羽飾りをあげたら、もっといろいろ教えてくれるのか」

 

NOVA『プレイ中は入手できなかったが、先ほどの情報に加えて、「邪悪な連中が捕まえた捕虜を管理しているのは、ハーフオーガーの拷問係である」「カミソリ嘴鳥は最近、邪悪な魔法使いからあるアイテムを盗み出したらしい。鳥を殺して、アイテムを手に入れれば役立つのでは?」という話をしてくれる』

 

アスト「どっちにしろ、カミソリ嘴鳥と戦えってことだな」

 

NOVA『それと、どっちにしろ、ロープと引っ掛け鉤が両方ないと、【蜘蛛のヘッドバンド】が入手できないんだ。あと、バードマンの区画から直接西へ向かってもいいが、途中に生えているキノコは食べないように。毒で体力4点が減るから』

 

アスト「普通、こんなところに生えているキノコをむやみやたらに食べないだろう?」

 

NOVA『他に食料がなければ別だがな。まあ、ストールは大胆不敵な男だが、別に腹ペコキャラではないので、道に生えてるキノコをいちいち食べたりはしないってことで』

 

ダイアンナ「とにかく、南北2つのルートが合流し、カミソリ嘴鳥から【蜘蛛のヘッドバンド】を入手したりしなかったりして、それから南西へ向かうわけだね」

 

NOVA『次は218番パラグラフだ。これで〈鉄の地下廟〉は半分ぐらいクリアしたかな』

 

  牛人像 

   ↓               

  階段  カミソリ嘴鳥←ー毒の菌類←l

   ↓            l                                      バードマン

     ー287ーー分岐点ーー南からの合流点ーl

 ↓                                             ↑

218へ         別ルートから

 

ダンジョンの奥へ奥へ

 

NOVA『ここまでのマップがややこしくて、以降は軽い分岐はあっても、大体は1本道の平面マップだから分かりやすいな。とにかく218番に来ると、東西に扉があって、通路はさらに南下している。西の扉は槍の罠が仕掛けられているので、入るなら東の扉だな』

 

アスト「では、入る」

 

NOVA『鍵が錆びついていて開かない。【黒檀の鍵】でも【トロールの鍵束】でも開かなくて、正解は油を塗るための【白油の小瓶】だ。それを使うと、〈香の塊〉が3つ手に入る』

 

ダイアンナ「何に使うんだい?」

 

NOVA『後で分かる。次に南に向かう(283)と、東に扉がある。そこは監房で、扉を開けるには【トロールの鍵束】が必要だ。囚人は2人いるが、1人はすでに死んでいる。もう1人に食料をあげると、南のオークを不意討ちするための情報をくれるほか、体力4点回復できる【癒しのポーション】をゲットできる。まあ、オークはしょせん技術点5のザコだから、不意討ちしようがしまいが、そう手間取る相手じゃないけどな。金貨1枚ゲットした後、東の扉に入るとオークの寝室だ。6分の1の確率で、何かの予知夢みたいな幻影を見たりもするが、大して気にするほどじゃない』

 

アスト「そう言われると、余計に気になるじゃないか」

 

NOVA『まあ、すぐに分かるんだけどな。ともあれ、南へ進むと扉が東西にある。先に西を開けようとするが、ここで【黒檀の鍵】が必要になる。持っていれば【銀の指輪】が手に入る。なければ、どうやっても開かないので、東に進むしかない。これが先ほどの幻影で見た「黒色と琥珀色の十字扉」だ。中に入ると、オークがいるが、そいつを倒すと、主人である闇司祭が登場して呪文を放った……ところまで予知夢で見た』

 

アスト「なるほど。それで?」

 

NOVA『闇司祭が呪文で不意を撃ってくることを予知しているか、2D+1で技術点以下を出せば、呪文を回避して接近戦に持ち込める。そうでなければ、呪文で1D+1点のダメージを受けて接近戦だ。技術点9、体力点12の闇司祭を倒した後は、司祭の持ち物も、南の部屋もいろいろ邪悪で呪われているので、調べない方がいい。そして、ここからいよいよ〈鉄の地下廟〉の中心部に侵入することになるわけだ』

 

  前のマップから

     ↓

槍の罠ー218ー香の塊

                 ↓

    283ー監房

     ↓

             オークー寝室

      ↓

銀の指輪ー333→闇司祭→123へ

         l

                        司祭の部屋

 

アルサンダー救出

 

NOVA『敵幹部の闇司祭を倒したことで、〈鉄の地下廟〉攻略もゴールが見えてきた。南の部屋は邪悪な宗教家の呪われた(趣味の悪い)私室で気分が悪くなるので、東の123番に向かうといい。そこは小綺麗な個人用の食事場で、ワインやチーズ、フルーツパイで空腹をしのいで体力2点を回復できるほか、チーズを保存食として持って行くこともできる(食料+1)』

 

ダイアンナ「まめに食料が手に入るゲームだね」

 

NOVA『そういう点も親切な感じだな。少なくとも、本作で食料不足に陥ることはないと思う。まあ、技術点が低くてダメージを受けやすい場合は別だろうが。それなりに戦闘回数が多い感じだし』

 

アスト「ザコオークを除けば、中ボスクラスの体力点が高い感じだな。技術点は8〜10だが、体力点が10越えの敵がよく出るようだ」

 

NOVA『戦闘で失う体力が多い分、回復アイテムをたくさん用意してくれているのが、キース・マーティンのバランス感覚かもしれないな。ともあれ、食事場の南は物置きで〈携帯用の香炉〉が見つかる。これがあれば、さっき入手した〈香の塊〉1個で体力3点回復できる』

 

ダイアンナ「なるほど。〈香の塊〉は〈香炉〉と組み合わせて使う、と」

 

NOVA『ロープと引っ掛け鉤の関係だな。それ単独では役に立たない道具、と。さて、物置きの東は衛兵が眠っていて、目を覚ますと戦闘になる。技術点6のザコだから簡単に倒せるな。衛兵部屋では〈バール〉が手に入るほか、運だめしに成功すれば衛兵の着ている鎖帷子をゲットできる。この鎖帷子は技術点が10以下の場合、原技術点を1点引き上げてくれる上質な品物だが、ストールにとっては無用の長物だな』

 

アスト「弱いキャラ救済用のアイテムは嬉しくなるな」

 

NOVA『そういうところも、キース・マーティンのバランス感覚って感じで好印象だ。そして、物置きの南に今度は大食堂がある』

 

ダイアンナ「つまり、この辺は敵の生活空間ってことか」

 

NOVA『大食堂で食事をして体力3点回復してもいいし、東の部屋へ行ってもいい。どちらにしても若くて機敏な衛兵(技術9、体力7)と遭遇する。戦って倒してもいいけど、「上の階から派遣された拷問係だ」と嘘をつくことで、情報を得ることもできる』

 

アスト「また、そのパターンか? リーサン・パンザも、ブラックサンドで拷問係のフリをしていたが」

 

NOVA『この記事の話だな。俺も敵地への潜入作戦で、拷問係になり済ますネタが続いて笑った。しかも、敵につかまった魔法使いの救出作戦というシチュエーションまで同じなんだな。とりあえず、若い衛兵との話で、闇司祭の名前がウルザック、そして拷問長のハーフオーガーがメーラビアンだと分かった。そこまで向かうルートもな。待ってろ、アルサンダー。今から助けに行ってやる、と内心つぶやくストールだった』

NOVA『食堂を抜けて、西の扉を開けると、通路は西から南に曲がり、東西へのT字路に至る。東は2体のオークがケンカをしているが、大して得るものはないので、西へ向かうと南に曲がり、97番に至る。教えてもらった道筋は、まっすぐ行けってことだったので、それに従ったんだが、東にある扉を開けるべきだった、と後から思った』

 

ダイアンナ「どんな扉だい?」

 

NOVA『「危険! 立ち入り禁止!」という看板が取り付けられた扉だ』

 

アスト「そんなところに無理して入るなよ」

 

NOVA『ストールは入ってねえよ! でも、攻略記事のためには入るのも一興。【黒檀の鍵】を使うか、体当たりで2点ダメージを受けながら扉を開けると、ダイアドローンという怪生物(技術8、体力12)がいた』

 

ダイアンナ「ダイア……ってどんなデザインなんだ? バルサス・ダイアといい、最近、ダイア何ちゃらって名前のモンスターやキャラに親近感を感じるようになってね」

 

NOVA『変な趣味だな。ダイアドローンは、ふわふわ浮いた灰緑色の球体に、赤く鋭い両目と、牙だらけの小さな口、先端にハサミの付いた緑色の触手を備えた怪物体だ。ただ、デザインの奇妙さの割に、さほど強くないと思ったな。倒して、アイテムをゲットしておけば良かった、と後から感じたり』

 

アスト「アイテムの番人か。何を持っていたんだ?」

 

NOVA『【黒檀の鍵】か【バール】で開く宝箱に、【銅の指輪】と【プラチナのお守り】が入っていてな。どちらも後々、結構役立つ』

 

アスト「でも、取り損ねたんだな」

 

NOVA『アイテムが取れなくてゲーム攻略が不可能になれば、最初からやり直したんだけどな。ないならないで何とかなるのが、この作品の特徴だ。もちろん、あったらお得感を多少感じたりもするけど。とにかく、ストールの実プレイでは、ダイアドローンの部屋をスルーして西から南に向かった。そこには酸の噴水があったりする』

 

ダイアンナ「酸の煙が発生したり、なかなか危険なところなんだね」

 

NOVA『それが闇の魔術の影響なのか、この地の元々の性質なのかは不明だな。地肌が剥き出しのところでは鍾乳石が生えていたことから分かるように、石灰岩が多い地質らしい。石灰岩二酸化炭素を含むため、地面が溶け出すと大量の二酸化炭素が発生する。二酸化炭素は弱酸性だが、もしかすると闇の魔術が二酸化炭素の酸成分を強化しているのかもしれない。D&D的にはアシッドスプラッシュ(酸噴出)の呪文もあったりして、この〈鉄の地下廟〉はそういう科学的考察の上からも、魔術的考察の上からも、理路整然と説明したりできる感じだな』

 

アスト「キース・マーティンはただのオカルト気質じゃないってことか」

 

NOVA『まあ、割と理屈っぽい文章ではある。描写が細かいのはいいが、固くてクドいので、物語の面白さやワクワク感に直結していないのが残念だけど、俺的にはゲームマスターしやすい丁寧なシナリオに思えるな』

 

ダイアンナ「悪い評価ではないんだね」

 

NOVA『最初の大風呂敷を除けば、収束型の丁寧な物語なんだと思う。ただ、収束型の物語ってファンタジーではワクワクしないんだな。未知の世界への憧れとか開放感とか、広がり方を感じられればいいんだけど、そういうのは長編シリーズの醍醐味であって、ゲームブック一冊の短編では手堅くまとめれば十分佳作といえる。ゲームブック処女作と考えれば、今後に期待していい作家じゃないか? 30年前ならば』

 

アスト「初期のドラクエと同じ時期の作品か。今の視点では古臭いとも言える作風かもな」

 

NOVA『古いのはレトロ価値という意見もあるけど、それは懐かしさに愛着を覚える受け手感情があってこそだな。キース・マーティンの場合は、今回がゲームブック初紹介な作家だから、懐かしさではなくて新鮮さがポイントなんだけど、80年代から90年代の時点では新鮮でも、現在では退屈な物語になった感じがある。まあ、じっくり読んでみると、ソーサリーへのオマージュとか(バードマンとかハーフオーガーの拷問係とかはソーサリー的だと思う)、断片的ながら露骨にパロディー要素は見られるんだけど、思い切り不足で、そこをもっと掘り下げたら面白くなるのにって小ネタを活かしきれていないかな、と感じる』

 

ダイアンナ「その点は評価が厳しいんだね」

 

NOVA『FFコレクションという形で、ジャクソンやリビングストンの傑作ゲームブックに混ぜられてしまったからね。どうしても、同レベルの内容を期待されたり、新鋭作家の個性は何かという目で見られたりもするさ。そして、本作はキース・マーティンの第一作でもあって、今後の作品が紹介されるのであれば、作家としての成長を測る土台でもある。過剰な持ち上げも、辛辣な批判もふさわしくない。すると丁寧な佳作と大胆な意気込みは感じられる、今後に期待したい、というのが妥当な評価だと思う』

 

 

NOVA『さて、作家評はともかく、噴水の続きだ。噴水の西には扉があるんだが、どうしても開かないので、東へ向かうしかない。おそらく、そこにはアルサンダーが捕まっている牢獄があるんだろう、と推察されるが、アルサンダー救出のためには拷問係のメーラビアンに会わないといけない』

 

アスト「〈鉄の地下廟〉のラスボスか」

 

NOVA『技術点8の平均的な相手だが、体力点14だからタフな奴ではある。あっさり戦いに持ち込んでもいいが、拷問の専門家を装って会話することもできる。拷問の目的は、「モルドラネスの支配する場所では彼の許しがない限り魔法が使えないはずなのに、アルサンダーは魔法を使った。どうやったのか、その秘密が知りたい」というものだ』

 

ダイアンナ「自分の気付かない、自分の技の弱点を知る相手か。あたしだったら、そういう危険人物はさっさと始末したいところだけどね」

 

NOVA『それだと救出物語が成立しないからな。大体、頭のいい悪者の論理は、「殺すことはいつでもできる。しかし、殺す前に重要な秘密は知っておきたい」と自身の好奇心を満たすことを優先するんだ。マッドサイエンティストや邪悪な魔術師という人種は、自己の探究心、情報に対する好奇心が肥大化した連中だからな。「さっさと殺さないと、自分の作戦が脅かされて損する」って考えるよりも先に、「重要な秘密を持ってる相手を、うかつに殺してしまう方が損する」って考える。

『自分の完璧な技や作戦の弱点を突き止めた相手には、一定の敬意を示しながら、その弱点を後学のために拝聴したいと思うものだし、その綻びを克服することで自己の完璧さを追求したくなるもの。少なくとも、向上心に満ちた悪のボスはそういう風に考えるものなので、「さっさと殺してしまえばいいのに。悪のボスって言ってもバカだな」という批判に対しては、向上心とか研究者気質というものを解しない故の言辞と考える。要するに、悪ボスの立場に立って、物を考えられないってことだからな』

 

アスト「『自分を脅かすかもしれないから、さっさと始末する方が賢明』というような小市民的な意識では、悪のボスはやってられないってことだな」

 

NOVA『「偉大な自分の野望に抵抗できる存在など、あろうはずがない」と考えるのが悪ボスだからな。それなのに立ち向かう主人公や協力者が現れた際に、「おのれ、小僧の分際で、わしに逆らおうと言うのか!」と上から目線で怒りを示したり、「ほう。抵抗すると言うのか。その心意気だけは誉めてやる」と上から目線で称賛したり、いろいろなケースがあるけど、総じて言えるのは、自分に自信満々でなければ悪のボスは務まらない、と。だから、自分に抵抗する相手がいれば、「奴の力の秘密を知れば、自分の世界征服の野望が一歩も二歩も前進する」と考えて、ゲーム感覚で攻略を楽しむ一面がある。あっさり殺してしまう前に「力の秘密を知ることが得」という発想だ』

 

ダイアンナ「モルドラネスもそういうタイプなのか」

 

NOVA『思いきり、そういうタイプだな。ものすごく巧妙に、慎重に策謀を企てて、もう完璧だと思い込んでいるところに、アルサンダーが対抗手段を見出した。だから捕まえて、その対抗手段の秘密を聞き出そうとしている。主人公がアルサンダー救出作戦に挑まなければ、モルドラネスの目論み通りになるというストーリー背景で、「主人公に救出される前に、アルサンダーを殺しておけば良かったのに。悪のボスはバカだな」と言ってしまうのは、ただの物語を興醒めにする結果論でしかない。軽いお笑いネタならともかく、それが正論だと思っちゃう輩は、ストーリーテラーやクリエイターとしては三流というか、悪のボスの心理を考えられず、面白いストーリーをつまらなくしてしまうタイプと言えるな』

 

アスト「お約束展開を、お約束というだけで無意味に批判するなってことか?」

 

NOVA『批判した結果、お約束展開を凌駕するほどのアイデアが生み出せたらクリエイティブと言えるけどな。ただ、お約束の成立背景やキャラ心理を分析もせずに、雑な批判をしちゃうのでは、クリエイターとしてはつまらんってことだ。ろくな分析もしないうちに批判行為に走るのは、文化人とは到底言えないだろう。ともあれ、アルサンダー救出作戦のクライマックスだ』

 

ダイアンナ「結局は拷問係のメーラビアンを倒せばいいんだろう?」

 

NOVA『まあ、技術点12、ストールブリンガーのボーナスで13になってるストールにとっては、技術点8などザコでしかないんだがな。雑に戦っても余裕で勝てる。ただ、もう少し弱い能力の場合も救済策があって、拷問係にアルサンダーを連れて来てもらって、拘束を【トロールの鍵束】で解いてやると、アルサンダーが火の玉で拷問係に6点ダメージを与えてくれる。残り8点を削るだけの簡単な仕事だ。こうして、アルサンダー救出任務は成功した』

 

ダイアンナ「当初の使命はこれで達成したわけだね」

 

NOVA『拷問で弱っている彼に、食料をあげて、何とか会話できるまでにしてやる。パラグラフ140番に進んで、ここからモルドラネス退治の新展開だ……ってところで、つづく。ダンジョン探索はこれにて終了』

 

闇司祭→食事場

     l

              物置きー衛兵

     l

            lー食堂ー衛兵2

    l

 ーT字路ーオークのケンカ

  l

 97ーダイアドローン

  l

 噴水ーメーラビアンの部屋

 

(当記事 完)