ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「さまよえる宇宙船」攻略感想(1)

SFゲームブックにチャレンジ

 

アスト「オレは宇宙船トラベラー号の船長。その日、トラベラー号はセルツィア空間というブラックホールに引きずり込まれて、あわやペチャンコになるところだった。しかし、副長の科学官のアイデアと、オレの超絶操縦テクニックのおかげで、うまく弧を描いて飛ぶことで、重力圏スレスレを通り過ぎて、無事に危険を乗り越えた……はずだった。

「しかし、思いがけない時空の乱れのせいで、トラベラー号は未知の宇宙空間に飛ばされてしまった。幸い、船員は全員無事で、船体も大きなダメージは受けていない。オレたちはこの見知らぬ宇宙をさ迷いながら、故郷の星に帰る方法を求めて旅を続けるのだった」

アスト「……というゲームなんだな、これが」

 

ダイアンナ「なるほど。見事にSFなんだな。スペース・ファンタジーだと」

 

アスト「正確にはサイエンス・フィクションなんだけどな。1983年にイギリス本国で出版され、邦訳は85年。Zガンダムレイズナーダンクーガなんかが放送されていた時期だ」

 

リバT『映画的には、スターウォーズの3作め「ジェダイの帰還」(当時の邦題は「ジェダイの復讐」)が83年、スタートレックの劇場映画3作め「ミスター・スポックを探せ」が84年に公開された時期です。そして、TRPG的にはSFのRPGとして名高い「トラベラー」(77年)が初邦訳されたのが84年で、ファンタジーよりもむしろSF作品が人気を集めていました』

 

ダイアンナ「日本のSFブームは70年代後半と聞いていたが、80年代半ばも続いていたんだね」

 

アスト「70年代後半は、SFアニメブームだな。70年代前半が第2次怪獣ブームに乗っかるようにロボットアニメブームが続いて、それを受け継ぐ流れで宇宙SFアニメが盛り上がったのが70年代後半。松本零士作品やガンダムマクロスなどを経て、80年代はSFロボの模型ブームなんかもありながら、海外の進化した特撮をSFX(特殊効果=スペシャルエフェクツから生まれた略語)と呼ぶ風潮も高まり、SFという言葉が定着していった印象がある。もちろん、SF小説の歴史などを考えると、もっと早い時代から語るべきなんだが、今、大事なのは83〜85年の時代背景だからな」

 

リバT『その時期は、70年代後半以降のSFとゲームの融合もポイントになりますね。スペースインベーダーを始めとするSFゲームのヒットがもたらした影響もいろいろ語れそうですが、「さまよえる宇宙船」とはコンセプトが異なりますね』

 

アスト「ゲームブックの本作は、侵略者を迎え撃つバトル物ではなくて、故郷へ帰るための情報を求めて星から星への探索行が中心。それまでのモンスター退治の冒険者じゃなくて、護身以外の武力行使は是としない調査活動が主眼。何なら一度も戦闘することなく攻略可能な物語で、ファイティングファンタジーなのに、ファイトとは一番無縁の異色作と言える」

 

ダイアンナ「表紙絵では、ロボットと戦っているみたいだが?」

 

アスト「とある小惑星で、陰謀にハメられて娯楽闘技場に参加させられたんだ。こっちが望まなくても、戦いに巻き込まれることだってあるわけで。SFRPGのトラベラーも、それに大きな影響を与えたスタートレックも、決して戦いがメインの物語じゃない。当時の日本ではバトルメインのスターウォーズの方が派手でウケが良かったわけだが」

 

ダイアンナ「ファイティングでも、ファンタジーでもないのが『さまよえる宇宙船』ってことだな。その異色ぶりを、もう少し詳しく聞こうじゃないか」

 

FFゲームブックで最も異色なルール

 

アスト「さて、今回のゲームブックはルールもいろいろ変わっていて、最初に宇宙船の能力から決める。1Dに6を足して原武器力点が、1Dに12を足して原防衛力点が決まる。オレの宇宙船のデータはこうなった」

 

●トラベラー号:武器力9、防衛力18

 

アスト「次に船長の自分と、仲間の船員6人(科学官、医務官、技官、保安官、警備員2名)の能力を決める。いつものように1D+6で技術点が、2D+12で体力点が、そして船長のみ1D+6で運点が決まってくる。仲間の能力はこんな感じだ」

 

●船長アスト:技術9、体力20、運8

●科学官ダイアンナ:技術9、体力19

●医務官ハイラス:技術8、体力23

●技官リバT:技術8、体力20

●保安官カニコング:技術10、体力18

●警備員A、ケイPマーク1:技術8、体力17

●警備員B、ケイPマーク2:技術10、体力18

 

ダイアンナ「勝手に人の名前を使うな」

 

アスト「いや、ドラクエとかウィザードリィでも、パーティーキャラの名前に好きなキャラの名前を入れたりしないか? 知人の名前を入れたりするプレイスタイルも普通にあると思うぞ。何よりも感情移入の度合いが違う」

 

リバT『問題は、医務官がハイラス様だということですね。確か、医務官は「彼女」となっていたはずですが』

 

アスト「後から気づいた。とにかく、医務官は回復魔法の使える神官系の誰かにしようと思って、ここではリバTかハイラスのどちらかだろう? だけど、ドルイ道のハイラスに技官は務まらない。だったら、医務官がハイラスで、技官がリバTというのがいいと判断したんだ」

 

リバT『それにしても、全体的にダイス運が悪いですね。技術点は期待値が9.5なのに、9以下のメンバーが多くて、しかも運まで8。こんな宇宙船に命を預けたいとは思いません』

 

アスト「悪かったな。オレの冒険は失敗に終わったよ。ゴールはパラグラフ340番だが(いつもの400番ではない。これも異色)、最終ワープに失敗した339番送りだ。まあ、1発でクリアできるゲームじゃないってことだな。本作は特に」

 

ダイアンナ「難易度が高いってことか?」

 

アスト「ああ。後で確認しよう。今はルールの話だ。とにかく、今作はこれまでのファンタジー作品と比べて、いろいろとルールが違っている。宇宙船だったり、自分以外の船員の能力を決めるパーティー制だったり、体力回復ルールが『医務官の治療(各星を離れるたびに船員の体力をそれぞれ2点回復)』だったり、船員が死んだ際の処理(技術点が2低い助手が後任に就く)だったり、新しいルールがいっぱいだ」

 

ダイアンナ「戦闘ルールも複雑そうだな」

 

アスト「戦闘はメインではないので、最初に説明されていないんだな。戦闘が必要になった際に、パラグラフ341番(宇宙船戦闘)、342番(格闘戦)、343番(フェーザーによる射撃戦)を参照するように指示される」

 

ダイアンナ「3種類もあるのか」

 

アスト「このうち、格闘戦は今までの戦闘ルールと同じで、敵味方双方の技術点に2Dを加えて攻撃力を決める。攻撃力の大きい方が相手に2点ダメージを与えるんだな。気を付けるのは、複数のメンバーが戦闘に巻き込まれたとき。船長の自分と保安官、そして警備員は戦闘訓練を積んでいるので普通に戦えるが、科学官、医務官、技官の3人は戦闘に不慣れなので技術点を3減らさないといけない」

 

ダイアンナ「すると、戦闘時の技術点が5とか6になるのか。雑魚のゴブリンとかオーク並みってことだな」

 

リバT『だけど、技術点12のスーパー科学者とかだったら、3減っても技術点9なので、それなりに戦えますよ』

 

アスト「戦う科学者……キャプテン・フューチャー(カーティス・ニュートン)だな」

 

ダイアンナ「何だそれは? 宇宙海賊か?」

 

アスト「違う。宇宙海賊で有名なのはキャプテン・ハーロックで、キャプテン・フューチャースペースオペラの主人公だ。どちらも78年にアニメ化されたわけだが」

ダイアンナ「とにかく、あたしはそんなスーパー科学者じゃないので、戦闘では非力ってことだな。だったら、アストに守ってもらわないといけないわけだ。もちろん、守ってくれるよな?」

 

アスト「当然だ。船の乗組員全員の無事を守るのは船長たる者の務めだからな。各員が己の本分を全うしなければ、無事に帰還することは難しいわけで」

 

リバT『射撃戦と宇宙船戦闘が新しいルールですね』

 

アスト「ああ。どちらも2Dで技術点(武器力点)より下の目を出せば攻撃命中だ」

 

ダイアンナ「こっちはダイスで高い目じゃなくて、低い目を出さないといけないんだね」

 

アスト「そうだな。感覚的には、高い目を出さないといけない時は、ダイス目に気合いを入れるような振り方をする。低い目を出さないといけない時は、細心の注意を払って慎重に振るような気分だな。気合いを込めた接近戦と、精密にテクニカルな心で撃つ飛び道具って感じだ」

 

リバT『ダイス目に念を込めて、出目にどれほど影響を与え得るかは、意見が分かれますが、当たれえッと念じながら、あるいは実際に声を出して叫びながらダイスを振るのが楽しい、というゲーマーは多いですね』

 

アスト「FFみたいなゲームブックでは、敵のダイスも自分で振らないといけないので、戦闘でのダイスの振り方のテンションの上げ下げが激しくなりがちだな。おまけに複数の仲間を操作すると、結構疲れる。今作では戦闘が少なくて幸いだ」

 

ダイアンナ「ダイスの振り方はともかく、ダメージ処理の仕方はどうなんだ?」

 

アスト「ダメージ計算は宇宙船の方が複雑だな。命中した後は、もう一度2Dを振って、相手の防衛力と比べる。防衛力は船の装甲および防護バリアを総合した点で、2Dの目が防衛力以下ならダメージを2点だけに抑えてくれる」

 

ダイアンナ「装甲が少し削られる程度か」

 

アスト「ただし、2Dの目が12なら、装甲の弱い弱点に命中したことになって一気に6点削られる」

 

ダイアンナ「エンジン部に直撃。至急、消化活動を始めぃって感じか」

 

アスト「そして、2Dの目が防衛力を上回ったら4点ダメージとなる」

 

ダイアンナ「防衛力が12より上なら、ダメージは小さいけど、防衛力が12を切った後は、ダメージをくらい易くなる、ということだな。『バリアの出力が落ちています。これ以上は、装甲が保ちません』って感じか」

 

アスト「とにかく、宇宙船戦闘は装甲の削り合いだが、ある程度まで削ると、一気に勝負が決まる感じだ。一方で射撃戦はもっとデッドリーだ。フェーザーの攻撃が当たったら、相手は即座に気絶するか死ぬ。どちらになるかは、フェーザーのモードをショックか致死のどちらに設定しているかだが、とにかく一撃必殺で、体力点は関係ない。攻撃を当てたら、即座に戦闘不能というのが銃撃戦って奴だ」

 

ダイアンナ「先に当てた方が勝ち。あまりにも簡単すぎて、リスキーだな。まるで西部劇だ」

 

アスト「フェーザーを無効化するバトルアーマーや防護バリアを装備していたら別だが、そもそもトラベラー号は軍用宇宙戦艦ではなくて、星間探索用の船っぽいからな。一応、護身用の武装は施されているが、銃は最後の武器ってところだ」

 

ダイアンナ「とにかく、シンプルだったFFシリーズなのに、一気にルールが加わって、ややこしくなった印象だね」

 

アスト「TRPGと比べれば、はるかに簡単なんだけどな。それをプレイヤーが一人で処理しないといけないのが厳しい。だから戦闘ルールは、戦闘が発生するたびに該当パラグラフを参照しながら処理する形式が採られている。とにかく、バルサスで魔法ルールを採用し、同時期にソーサリーで違う魔法システムを構築した才人スティーブ・ジャクソンが、アイデアたっぷりに盛り込んだSF傑作ゲームブック、それが『さまよえる宇宙船』だ」

 

リバT『安田社長の評論によれば、「盛り込みすぎて、バランスに欠けた作品。ジャクソンには珍しい失敗作。総花的にルールを増やしたものの、複雑なストーリーパズル構造と相まって、あまり機能しないままに終わった。ただ、この時の失敗が、後に新人FFゲーム作家がSFゲームブックに取り組む際の指針になって、実験作としては面白い結果を生んだ」ということですね』

 

アスト「ここが評論家として、尊敬すべきところなんだな。作家として成功と失敗、傑作と佳作と凡作の評価は付きまとうもの。ただ、失敗作だと断じていても、その光るアイデアが後の作家に影響を与えて、思いがけない副産物を生むことだってある。実験や創作では、もちろん失敗することだってある。成功を目指しはするものの、成功する実験や作品だけしか評価に値しないという世界では、失敗から学ぶという精神が切り捨てられて、新規開発できずに社会が停滞してしまう。失敗は成功の元、というのは失敗を客観的に検証して反省することができてこそであり、FFシリーズの中でもアイデア性に満ちた『さまよえる宇宙船』は、傑作ではないにしても面白い作品だったとは思うぜ」

 

リバT『そもそも、銃撃戦では死にやすいというのは「トラベラー」を忠実に再現していますしね』

 

アスト「海外の当時のSFゲーム観としては間違っていないよな。日本の当時のSFがややヒーロー寄りのスペースオペラや侵略者との兵器を駆使した戦いに偏っていただけで、よりリアルでハードなサイエンスアドベンチャーや文明風刺の要素も混じった『さまよえる宇宙船』は、どこか高尚なストーリーでもある」

 

バッドエンド・パラグラフと難易度について

 

アスト「さて、ゲームの難易度を左右するバッドエンドの検証だ。本作は340番で終了し、400パラグラフが定番のFFシリーズでもボリュームが少なめで、その分、ストーリーが濃密だ。最終ワープで元の宇宙に帰還することが目的で、失敗すると339番送りにされてトラベラー号が次元の狭間に消失してしまう。それ以外のエンディングも含めて確認しよう」

 

・6:最終ワープ失敗。339へ。

・38:最終ワープ失敗。339へ。

・59:最終ワープ失敗。339へ。

・62:最終ワープ失敗。339へ。

・63:ダー・ヴィル人に拘束されて、毒ガス室に送り込まれる。

・82:最終ワープ失敗。339へ。

・87:植物怪物のツタに巻きつかれて、窒息死する。

・114:最終ワープ失敗。339へ。

・138:最終ワープ成功。340へ(GOOD END)

・174:エネルギー残量が不足して、宇宙船が航行不能になる。

・181:ダー・ヴィル人との精神入れ替え実験に失敗して、消滅する。

・211:最終ワープ失敗。339へ。

・243:未開惑星の巨大な獣に踏みつぶされる。

・246:次元転送実験に失敗して、虚空の中に消える。

・247:マコモン人の策略で、宇宙船を乗っ取られる。

・267:最終ワープ失敗。339へ。

・286:マコモン人の策略で、宇宙船を奪われる。

・288:水の惑星に誤って着陸しようとして、溺れ死ぬ。

・309:キュールマターの人口抑制抹殺室に送られて、殺される。

・313:空気のない小惑星で、母船と連絡がとれないまま宇宙服の酸素が尽きる。

・328:未開惑星の巨大な獣に踏みつぶされる。

・339:最終ワープに失敗して、亜空間に消えたままとなる。

 

ダイアンナ「ずいぶんとバッドエンドが多くないか?」

 

アスト「最終ワープ失敗が8個。これは火吹山で、最後の鍵の番号が間違えていたような形だな。パラグラフ216番で、『入手したブラックホールの場所座標の数字から時間座標の数字を引いたパラグラフに進むこと』で最終ワープを決行するんだが、正しい座標を入手して、うまく選ばないとバッドエンドになるので大変だ」

 

ダイアンナ「最終ワープ関係を除外しても、バッドエンドの数が12個。約3.5%だ。最終ワープを含めると、20個超えとなって6%近くになる。つまり、バルサスの5%を越えて、最高難度ということになるな」

 

アスト「では、『魂を盗むもの』攻略の際にNOVAが提案したFF難易度の評定基準に則って、ここまでプレイしてきた初期作の難易度を確認してみるか」

 

バルサスの要塞(難易度6)

・ラスボスが強い(◯、能力的には強いが、攻略方法も用意されている)

・全体的に罠が多くて死にやすい(◎、ガンジーを始め、倒せない敵が多く、切り抜けるのが大変)

・パズル構造が複雑(◯、ガンジー対策の軟膏と図書館での情報入手が難点か。ルートが複雑というよりは、仕掛けがイヤらしい。その分、正解ルートは手短かで、見つけた後は解きやすい)

・ゲームシステムが難しい(◯、初めての魔法ルールが攻略の中心に位置づけられる)

・フラグ管理がややこしい(◯、攻略必須アイテムはそこそこあるが、アイテム総数は少ない)

 

★運命の森(難易度2)

・ラスボスが強い(X、ラスボスが存在せず、道中も戦闘難易度は低め)

・全体的に罠が多くて死にやすい(X、致命的な罠はなく、バッドエンドも少なめ)

・パズル構造が複雑(◯、ハンマーの柄と頭を一回で見つけ出すルートが複雑。2周めを想定するなら、一気に楽になる)

・ゲームシステムが難しい(X、基本ルールそのまま)

・フラグ管理がややこしい(◯、アイテム総数は多くて、この時点での本作の特徴とも言える。ただし、攻略必須アイテム自体は少なめで、管理はしやすい)

 

★盗賊都市(難易度2)

・ラスボスが強い(◯、ラスボスのザンバー・ボーンとは直接戦わない。が、手下のムーンドッグが手強くて、低い能力では終盤が攻略困難)

・全体的に罠が多くて死にやすい(X、ザンバー・ボーンの暗黒の塔に致命的なトラップが集中しているが、多いわけではない)

・パズル構造が複雑(X、パズル構造で解きにくいということはない。アイテム入手も容易)

・ゲームシステムが難しい(X、基本ルールそのまま)

・フラグ管理がややこしい(◯、攻略必須アイテムは明確で、ニカデマスとの対面後は入手アイテムの有無で攻略の成否が決まる。都市冒険らしく、いろいろなアイテムが購入できて、管理にそこそこの手が掛かる)

 

ダイアンナ「ここまでは、ジャクソンのゲームブックが手強くて、リビングストンはそれほどでもない、という印象だが?」

 

アスト「ジャクソンのゲームブックはいろいろと凝った仕掛けが多くて、どんどんパズル度合いが増してくる感じだ。一方で、リビングストンは良く言えば手堅くて、基本に忠実。悪く言えば、地味で単調ながら、コツコツ世界観を広げる一方で、『死の罠の地下迷宮』で一気に化けたというか、難易度の高いゲームの方が人気が出ることに気付いたんだな」

 

リバT『あっさりクリアできるゲームは、プレイ時間も短くて印象も薄くなる。難しいゲームの方が何度も再挑戦して、その分、愛着も深まるといったところでしょうか。現在は、サクサク遊べて、イベントの多いゲームに人気が偏っていますが、80年代は「再挑戦し甲斐のあるゲーム」というのが主流でしたからね』

 

アスト「ゲームを重視すれば再挑戦が面白くて、ストーリーを重視すれば繰り返しの惰性が刺激を失いやすく、その辺のバランスをどう取っていくかが課題だな」

 

ダイアンナ「手軽で単調な繰り返し制と、刺激的なストーリー体験か。ハック&スラッシュの繰り返しゲームと、ドラマチックな物語を味わうことの両面がRPGやFFゲームブックなどのストーリーゲームにはある、と」

 

アスト「単調な繰り返しゲームを楽しみたい層には、ストーリーは最低限あれば十分で、そのゲームに何を求めるかはプレイヤー次第というが、『強いキャラを鍛えて、強敵と戦うバトルゲームを求める層』には闘技場的なバトルフィールドを与えて、勝てば称賛と報酬を提供するならプレイヤーは満足する。そして、バトルを彩る、ちょっとしたストーリーと愛着を持てるキャラクターを用意するのが、現在のスマホゲームの定番だが、FFの方法論とは異なるな」

 

リバT『80年代のゲームは、解くことが重視されましたからね。作り手が用意する凝ったストーリードラマを味わったり、背景世界の広がりを想像するような楽しみは、日本では80年代の後半以降の流れじゃないでしょうか。まあ、それはさておき、初期のFFは解くべき作品を次々と提供して、ファンタジーの世界観を広げると共に、当時のRPG界の流行を追うように別ジャンルまで手を広げて行ったわけですね』

 

アスト「その中でジャクソンはFFの可能性を外に広げ、リビングストンはタイタン世界の足場固めをして行ったわけだな。ともあれ、『さまよえる宇宙船』の難易度はこうなる」

 

★さまよえる宇宙船(難易度5)

・ラスボスが強い(X、ラスボスは存在せず、必須戦闘もない)

・全体的に罠が多くて死にやすい(◯、命の関わる危険なイベントが多い。船長は死ななくても、船員たちが犠牲になることが目立ち、SF世界の危険さを味わえる)

・パズル構造が複雑(◎、攻略必須の二つの座標を入手するルートは発見しにくく、しかもダミー情報が結構ある)

・ゲームシステムが難しい(◎、FFシリーズで最も複雑なルールが増やされた)

・フラグ管理がややこしい(X、アイテム数は少なく、攻略必須情報も2つだけで、それを入手するコースが分かれば、ストーリー展開の自由度は非常に高い)

 

ダイアンナ「難易度5か。つまり、難しい部類と考えていいんだな」

 

アスト「やはり、ゲームルールの飛躍的な増加が特徴だな。それと、これまでは定番だった攻略マップが描けず、どの星からどの星へ向かうかのブロック構造でイベントを解決する変則さ、そして戦闘メインではなくて情報収集中心のストーリー形式が、いろいろと斬新な反面、他にマネできない独特のゲームブックスタイルだと思う。それだけに攻略記事をどう書いていいかも試行錯誤が必要だ」

 

ダイアンナ「まあ、頑張れ」

 

アスト「ストーリー攻略は、次回から本格的にスタートってことで」

(当記事 完)