ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

思いがけないクトゥルフ対決(準備編)

キーパー(KP)の話

 

アスト「さて、前回はガイア・グランプリに紅蓮火(くれない・れっか)兄貴が乱入して、クトゥルフ対決だ、というところで続いたんだが……」

 

ダイアンナ「果たして、どういう対決になることやら。リバT、何か考えていないか?」

 

リバT『グランドマスターNOVAにこっそり相談したところ、これを使えとメモリが送られて来ました』

 

アスト「何のメモリだよ?」

 

リバT『クトゥルフGMは通称、キーパー・オブ・アーケイン・ロア(隠された知識を守る者)と呼ばれ、キーパー(KP)と省略されます。ですから、この度のクトゥルフ対決のキーパー役を務めるのはKPお兄さまを置いて他にない、ということで、このKPメモリ(2022バージョン)を送られたのですが……』

 

アスト「なるほど。去年の夏に自爆して修復中のケイP1号のリハビリを兼ねてのことだな。だったら、早く使おうぜ」

 

リバT『メモリを差し込んでみたのですが、イチローお兄さまはまだ目覚めてくれないのです』

 

アスト「どうしてだ?」

 

リバT『理由をグランドマスターに相談すると、「星辰がまだ満ちていないから」とのこと』

 

ダイアンナ「いつになったら満ちるんだ?」

 

リバT『今週の土曜日ですね』

 

アスト「今週の土曜日と言えば……14日の土曜日だな。それって……」

 

リバT『13日の金曜日がジェイソンの日ならば、翌14日の土曜日はケイソンの日というのが、当ブログ時空の習わし。そして、ケイソンの日には我がKP一族の秘められし魔力も活性化するのですね』

 

アスト「なるほどな。魔法のことはよく分からんが、KPが目覚めないことには、クトゥルフ対決は行えないってことだな。明後日を待て、と」

 

エースの呼び声

 

蓮火「う〜ん、やはりギャラクシーファイトはいいなあ」

 

カニコング「この作品に出演するのが貴殿の夢でごわすか」

 

蓮火「そうなんだよ、カニちゃん。いやあ、声だけなら出演は叶ってるんだわ。前作では、ウルトラマングレートとエンペラ星人だし、今作ではあのウルトラマンエースの声に採用されたんだ」

 

カニコング「何と! ウルトラマンエースの声でごわすと? 超獣キングクラブのエッセンスを引き継ぎ、ヤプールに憑依されたこともある吾輩としては、因縁の仇敵ではごわさんか!?(ガクガクブルブル)」

 

蓮火「何? カニちゃんは超獣の眷属だったって? そりゃあ、超獣退治の専門家としては、見過ごしにはできんなあ」

 

カニコング「む、昔の話でごわす。今はヤプールとも縁を切ったし、というか、浄化されて、ただのカニコングだし。そもそも、キングクラブはカニと言いつつも、カブトガニが超獣化したもの。カブトガニは名前にカニが付いているものの、カニの属する甲殻類とは異なる鋏角類、すなわちクモやサソリの仲間でごわす。言わば、他人の空似」

 

蓮火「そこまで全力で否定しなくても、オレサマはこう見えてもキングクラブとは縁ある身なのよ。合体したこともあるし」

 

カニコング「キングクラブと合体? どういうことでごわすか?」

 

蓮火「オレサマの声は特撮界で大人気で、似た声のキャラを集めれば、ヒーローも悪役もいっぱいあるわけよ。エースについては、ショッカー首領の声を引き継いだ縁からとも思うし、その一方でウルトラマンギンガのイカルス星人の声もオレサマなんだわ」

 

カニコング「イカルス星人とキングクラブということは……」

 

蓮火「そう。合体暴君怪獣タイラントのパーツなんだな。オレサマは耳で、お前は尻尾。まあ、耳の方が目立っちゃいるが、シーゴラスさんやベムスターさん、バラバさん、レッドキングさん、ハンザギランさんとはユニット組んで、派手に暴れたこともあるって仲さ」

カニコング「なるほど。吾らはタイラント同盟ってことでごわすな」

 

蓮火「あくまでオレサマが耳で、お前は尻尾だけどな。格上はオレサマの方だ。したがって、ガイア・グランプリの出場権は格上に譲るのが舎弟の流儀ってものだろう」

 

カニコング「それとこれとは話が別でごわす」

 

蓮火「フッ、愚かな。2月のウルトラマンデッカー映画では再びイカルス星人の声で登場し、ギャラファイ3の続編になるウルトラマングロスでは『闇の存在』としてキャスティングされているオレサマに本気で勝てると思うのか!」

 

カニコング「それだけ、いろいろ出ているなら、もうギャラファイに出るという望みは叶っているでごわさんか」

 

蓮火「だから、それらは同じ声のキャラであって、UFZのグレンファイヤーではないんだよ。今年はグレンダイザー復活の機運も高まっているらしいし、だったら名前が似てるグレンファイヤーにも愛があっていいのではないか。そのためにもGファイト、いやGグランプリに出場しなければならないのだ」

カニコング「というか、ずいぶんと話が脱線しているでごわすな」

 

蓮火「グレンファイヤー→グレンダイザーからフランスのアニメ事情など、どうでもいい話が続いたかもしれんが、それもこれも愛のためだ」

 

カニコング「愛でごわすか」

 

蓮火「そして、海外でのウルトラ愛は以下の動画からも分かるだろう」

 

ダイアンナ「おや、2人とも仲良くウルトラ談義かい?」

 

蓮火「おお、やっと来たか。それでクトゥルフ対決のセッティングはどうなったんだ?」

 

リバT『キーパーの都合で、2日後、14日の土曜日に決まりました。その前に、クトゥルフについて予習をしておこうと思います』

 

カニコング「おお、触手の女神自ら、クトゥルフ講義でごわすか」

 

リバT『触手の女神呼ばわりはやめて下さい。別に、触手を売りにしているわけではありませんので』

 

アスト「とにかく、対戦前にルールを確認するのは競技の基本だから、ここから日本で遊べるクトゥルフRPGの話だ」

 

クトゥルフのルール話と浸透の歴史

 

アスト「まず、日本で今、最もプレイ人口の多いクトゥルフルールはこれだろうな」

アスト「2004年に出たコールofクトゥルフ(CoC)の6版だ。CoCの初版は81年に出て、86年に2版が初邦訳された。以降は『マニアックなホラーRPGとして、カルト的人気を誇る作品』であったが、知名度の割に初心者向きではないという評価が一般的だった」

 

カニコング「どうしてでごわすか?」

 

アスト「ホラーという題材が問題だろう。80年代から90年代にかけて日本で盛り上がったRPGは、まずD&Dに代表されるファンタジー系、続いてトラベラーに代表されるSF系が主流となって、ホラーという題材はメインから外れた傍流と言えよう」

 

リバT『ただし、クトゥルフのシステムは、ベーシックRPGという汎用システムを土台にしていて、ファンタジーRPGルーンクエストストームブリンガーといった人気作と同種の定番作品でした』

 

蓮火「ベーシックRPG、すなわち基本か。何が基本なんだ?」

 

アスト「元祖RPGのD&Dは、戦士、魔法使い、僧侶、盗賊に代表される職業クラスを基盤にキャラ構築するクラスシステムのゲームだった」

 

蓮火「それは今のRPGでも割と定番だな」

 

アスト「だけど、ベーシックRPGは単純な職業クラスシステムをより汎用的に、リアルにするために%制で表現されるスキル(技能)システムを根幹に持ち、70年代当時のD&Dよりも優れた物語の再現性、緻密なキャラクターの表現力を実装して見せたんだな」

 

蓮火「初心者向きの単純なD&Dと、より上級者向きで緻密なベーシックRPGの方向性か」

 

アスト「クラスシステム対スキルシステムという構図は、80年代のTRPGシステム論ではよく話題に上がったんだが、やがてD&Dも80年代後半になると追加ルールで技能システムを導入するようになったり、90年代には職業と技能を折衷させたソード・ワールドが国産RPGの主流になったり、コンピューターRPGファイナルファンタジーでは『クラスに相当するジョブと、各ジョブが持つ固有のアビリティ(スキルに相当)を兼ね備えたゲームシステム』が定番になって、職業制と技能制の二項対立が意味を為さなくなったんだな」

 

リバT『クラスシステムの長所は、職業を決めたら、ほぼキャラ完成というシンプルな点。一方、スキルシステムは細かく技能の数値を計算したり、ポイントを割り振ったりする手間暇が掛かり、初心者向きとは言いにくい点がありました。ただ、それをキャラクター・テンプレートを用意することで、入門しやすくしたのが90年代ですね』

 

蓮火「テンプレート?」

 

アスト「いわゆる雛型という意味だが、最初から半ば完成されたキャラクターを用意して、初心者はそれを使えというシステム。昔はプレロールド・キャラとも言ったが、今はサンプル・キャラと言うのが一般的だと思う。TRPGは『自分独自のキャラクターを(ルールの範囲で)自由に作れる』というのが売りの一つだが、自由度が高いほど考えるのが手間、という状況で、『データ部分はほぼ完成していて、プレイヤーが決めるのは名前と社会的背景、冒険の動機ぐらい』という形が現在の主流かな」

 

リバT『プラモデルで言うところの、フルスクラッチ(完全自作)とハーフスクラッチ(パッケージベースをカスタマイズする=雛型を元に独自調整・改造する)の違いですかね。とにかくキャラ構築ルールに関しては、90年代のテンプレート制(サンプルキャラ選択からのカスタマイズ)でほぼシステムが完成していて、21世紀のTRPGの進化は「ストーリーの構築」「ゲーム展開のスムーズ化」を図るハンドアウト制、シーン制などをFEAR社が採用し、ストーリー・テンプレートに基づく半自動シナリオ構築とか、役割演義の補強ルールとかに進化していったわけですね』

 

蓮火「……詳しいことは分からんが、それとクトゥルフにどんな関係があるんだ?」

 

アスト「ゲームの進化の歴史はいろいろあるけど、クトゥルフはその中でも比較的オールドスタイルにあるってことだ。D&Dが21世紀に入って大きく変化したのに対し(3版、4版、5版のシステムは大体が別物)、ベーシックRPGに基づくクトゥルフは版上げしてもマイナーチェンジでしかない。これが最新システムの新クトゥルフだが……」

リバT『新クトゥルフは、2014年に発表された7版に当たり、2019年に邦訳されました。6版との最大の違いは、一部の煩雑なルールのシンプル化や技能の統合、そして判定に失敗した際に補うための「プッシュ・ルール」の採用だと考えます』

 

カニコング「プッシュ・ルールとは何でごわすか?」

 

リバT『例えば、〈隠密〉に失敗した場合、従来ならすぐに敵対者に見つかってしまいますが、プッシュを宣言すると、再び行動判定して失敗を取り繕うことができます。ただし、プレイヤーが「どういうアクションでプッシュするか、2度めの失敗でどんなペナルティーを受けるか」を明言することが必要になります(プレイヤーが思いつかない場合、キーパーや他のプレイヤーが助言してもいい)』

 

 

プレイヤー『隠密に失敗したか』

KP『このままだとマフィアに見つかってしまうね』

プレイヤー『ネコの鳴き声をマネして、相手の警戒を解こうかな』

KP『プッシュを試してもいいけど、失敗したらどうなるかな?』

プレイヤー『ううっ、余計に怪しんだ敵が仲間を呼んで、有無を言わさずに捕まってしまうかな』

KP『分かった。プッシュなしだと、慌てて走って逃げるという選択肢もあるけど、もしもプッシュに成功したら、そのまま隠れ潜んで敵の動向を探り続けることもできる。失敗したら捕まるってことで話を進めよう。では、再ロールして』

プレイヤー『ニャー。(コロコロ)よし、成功』

KP『何だ、ただのネコか。こんなところに人間が隠れ潜むなんて、あり得んもんな。緊張して損した……と言いながら、見張りは大きくあくびをする。いかにも気が抜けた感じだね』

 

 

アスト「従来なら、キーパーとプレイヤーの口プロレスになりかねないところを、ルールとして明文化することで『リスクを踏まえた上での再挑戦』ができるようにした、と」

 

リバT『アイデアマンのプレイヤーの場合、従来なら「失敗しないように前もって成功率を高める手法を考えてから、慎重にダイスを振る」というプレイスタイルに対し、「とりあえず、ダイスを振る。失敗したら、その時に対処法を考えても遅くない」というプレイスタイルを推奨している、とも考えられますね』

 

アスト「各技能ごとに、プッシュの例と、失敗したときのペナルティーの例がいろいろとルールに明記されていて、アドリブでアイデアを考えてもいいし、例示されたものを状況に合わせる形で採用してもいい。そして、いかに判定に失敗しないように行動するか、ではなく、失敗したときの対処法の構築にスポットを与えたルールか」

 

ダイアンナ「確かに、失敗しない物語じゃ面白くないからね。失敗してから右往左往して、窮地を乗り越える方がアクションヒーローしていていい」

 

アスト「そう考えると、7版は6版よりも、神経質でないアクティブな探索者を目指してるってことだな」

 

リバT『他には従来の〈隠れる〉〈忍び歩き〉が〈隠密〉に統合したり、〈討論〉〈値切り〉〈雄弁〉が〈説得〉にまとめられたり、21世紀初頭(ゼロ年代)は詳細に複雑になっていた基本システムを、10年代になってよりシンプルに……とシェイプアップされて、今に至るのが海外RPGの風潮でしょうか』

 

アスト「いわゆる、ナラティブ系と呼ばれるTRPGスタイルの流行もその流れだな」

 

蓮火「ナラティブ系? 何だ、それは? ガンダムの名前か?」

 

アスト「簡単に言えば、『細かい数値データよりも、言葉で記述されたキャラ設定や、プレイヤーの話術によるストーリー構築を主体にしたRPG』と言えるかな。極端に言えば、『ぼくのキャラは〈1対1で負けない〉という設定があるから、その相手を倒したってことでいいですよね、GM』と言い張って、それが受け入れられるシステムか、と」

 

蓮火「それはいいな。〈1対1で負けない〉か。で、〈1対1で負けない〉キャラが2人いた場合は、どっちが勝つんだ?」

 

アスト「〈負けない〉だから、勝てるとは限らないんじゃないですかね。つまり、長々と戦い続けて、いつまでも決着がつかない千日戦争状態に陥る、と」

 

蓮火「あるいは、『この男を倒すには、我が命を燃やさねばならんか。己を滅することで、相手を倒す。相討つ覚悟なら、負けにはならん。キエーーッ!』って形だな」

 

アスト「で、GMが『いや、このNPCには死んで欲しくないな』と考えたら、『敵将を守るために、大勢の部下が戦場に突入して来たね。これで1対1じゃなくなったから、君の特殊能力は効果を失った』とアドリブ処理したりもするわけで」

 

蓮火「おのれ、卑怯者め。正々堂々のタイマン勝負から逃げる気か」

 

アスト「今は命を散らす時じゃない。我が大願を果たすためには、今は一時の恥を耐えて忍ぶのみ。決着の日はまたいずれ来よう。それまでは死ぬなよ、我が好敵手よ」

 

蓮火「……と言うのが、ナラティブ系か。確かに口相撲だな」

 

ダイアンナ「ノリが良くて、ストーリーイメージを共有できているプレイヤーとGMなら、アドリブでストーリー構築することもできるだろうな」

 

リバT『ダイスを振らなくても、インターネットのチャットのやり取りで、即興会話劇が行えますからね。この場合、細かい数値データよりも、文字設定によるキャラ構築です。まあ、キャラを構成する個性的な文章を初期状態で3つ用意して、他に職業背景を設定して、プレイ中に追加できる個性が最大5〜10個というルールを組み合わせると、キャラが完成します』

 

蓮火「例えば?」

 

リバT『職業背景は小学生。個性は〈子どものケンカなら無敵のガキ大将〉〈歌が好きだけど、殺人的な音痴〉〈お前の物は俺の物というぐらい強欲〉という3つだけで、ある程度のキャラが定まります』

 

蓮火「それは確かに納得だ」

 

リバT『あとは、その物語に合わせて、〈マンガ家志望の妹思い〉〈義理人情には篤く、身勝手ながら友情を大切にする〉〈母ちゃんに弱い〉〈父ちゃんにも弱い〉〈野球好きで、バットを振り回すのが好き〉などの設定を付与するといいです』

 

蓮火「なるほど。それが今のクトゥルフか」

 

リバT『違います。違うんですが……そういうナラティブな方法論で、クトゥルフと称したオンライン会話劇を求める客層がこの数年の間に増えたそうで、「エモいクトゥルフをプレイするのに、いちいちダイスを振ったり、恐怖を振りまいたり、キャラが死ぬようなプレイスタイルは推奨できない。そんなのは私が知ってるクトゥルフじゃない!」という発言が若手プレイヤーのTwitterで出て来て、オールドファンがカルチャーショックを受けている、という』

 

アスト「ツッコミどころ満載だな」

 

・エモいクトゥルフクトゥルフにエモを感じるのは新世代。

・ダイスを振るの反対:いや、ゲームですし。ダイスを振らないTRPGもあるけど、クトゥルフはそうじゃない。

・恐怖を振りまくの反対:いや、ホラー作品ですし。

・キャラが死ぬの反対:まあ、分からなくはないが、死んだり発狂するような恐怖を乗り越えたり、逃げ出したりすることもプレイの一環。少なくとも、原作小説はそう。

・私が知ってるクトゥルフ:正にニュージェネレーションだな。でも、クトゥルフの意味、分かってる?

 

アスト「まあ、この10年近くの間に、クトゥルフ関連の萌えキャラ化が進行していて、原典によらないイメージが若者の間で、ネットの怪電波に乗って広まっているという感じもあるな」

 

ダイアンナ「ところで、『水星の魔女』が初ガンダムだという新規ファンが、上述のクトゥルフガンダムに置き換えたような発言をしそうな風潮なんだが?」

 

アスト「『エモいガンダム』とか、『戦争をしない学園ガンダム』とか、『死んだり発狂しないガンダム』か。そんな作品もあるが、主流じゃないな」

アスト「とにかく、80年代から90年代に、マニアックな邪神崇拝者とそれに怯える一般人のオカルト怪奇な物語として、クトゥルフ神話群は上陸して浸透していった。クトゥルフがフィクションネタとして、邪悪な怪奇の象徴として扱われたのは、『イクサー1』と『ウルトラマンティガ』が挙げられるな」

 

リバT『イクサー1では、敵異星人の名前がクトゥルフで、触手でエロいことをしながら侵攻するエログロ萌え百合SF活劇でした』

 

アスト「まあ、エモいクトゥルフの走りかもしれんが、あくまでクトゥルフ自体は恐怖の対象だな」

 

蓮火「ティガのラスボスのガタノゾーアが、クトゥルフの息子の化け物で、古代都市ルルイエを滅ぼした邪神って設定もあるな」

リバT『で、そんなガタノゾーアが萌えキャラ化したりもするのが、この10年ほどの風潮なんですね』

カニコング「いわゆる怪獣娘でごわすな」

 

ダイアンナ「たとえ恐怖の象徴でも、萌えキャラ化して祭ろうという風潮が今なら、萌えクトゥルフという路線も否定できない、と」

アスト「マニアックな素材を萌えキャラ化したり、ゆるキャラ化したりしながら、一般層に浸透させていく流れが、この10年の風潮なんだな」

 

広がるクトゥルフTRPGルール

 

アスト「で、他ジャンルでもクトゥルフ物が広がっていく中で、TRPGでも本家CoC以外でもクトゥルフの名を冠する作品や、その世界観などを取り入れた作品が複数乱発しているのが現状だ」

リバT『D&D3版のルールをアレンジしたD20クトゥルフは、2001年に登場し、2003年に邦訳された新世紀初クトゥルフと称せるもの。そして、5版のルールに基づくのが2019年登場で、2022年邦訳された最新作ですね』

 

アスト「前者は、原典同様、1920年代もしくは現代をメイン舞台にした作品だが、後者は原典のドリームランドみたいなファンタジー異世界を舞台にした作品。ゲームシステム的には継承者だが、世界観は大きく異なるわけだ」

 

リバT『そして、ソード・ワールドやAFFの翻訳などで名高いグループSNEクトゥルフに乗っかった作品がこれですね』

リバT『2020年末にルールブックが発売されて、この2年の間にサプリメントが3つと順調に展開されているようで何より。世界観としては、クトゥルフ神話を背景にした怪奇探偵もの。シナリオ次第ですが、本家クトゥルフに比べてプロフェッショナルな調査活動を楽しめる探偵RPGの雰囲気です。同社ではかつてゴーストハンターRPGがホラーゲームとして人気作でしたが、そのエッセンスを受け継ぐ要素も導入していて、ただの翻訳展開だけでないのは賛否両論ありますね』

アスト「一方、老舗のFEARは2つの既存システムに、クトゥルフサプリメントを付け足す形をとっているな」

リバT『ダブルクロスビーストバインド。どちらの作品も人間性喪失による悪堕ちのリスクを持った異能力者の日常を守る戦いをテーマにした作品ですが、プレイヤーキャラの選択できる異能力に、クトゥルフの邪神に関するデータと背景世界を導入した追加ルールが用意されているんですね』

 

ダイアンナ「つまり、邪神の力を振るって悪を倒すゲームだけど、力を使いすぎると自分も邪悪な存在に堕するってわけだな」

 

リバT『ダブルクロスは、超能力因子が活性化した超能力者が日常を守る方向性で、XーMEN的なミュータント風味な世界観(あるいは、仮面ライダーアギトファイズなど)。ビーストバインドは人と魔物の合いの子的な半魔を主人公にしていて、幽遊白書とか仮面ライダーキバ風味な世界観になりますね』

 

蓮火「円谷に例えると、ダブルクロスウルトラマンジードで、ビーストバインドミラーマンになるかな」

 

アスト「人が異能力に目覚めるか、最初から人じゃないけど人にも親和性がある異能の魔物が、人の社会を守るために戦う方向性、と」

 

カニコング「これなら触手を前面に押し出したキャラや世界観も作り放題でごわすな」

 

リバT『クトゥルフの基本が、恐怖に怯える人々が勇気を奮い起こして邪神の復活を阻止したり、事件の解決に力を注ぐ物語ですが、FEAR製のゲームはよりヒロイックな活劇、異能バトルを基軸に、怖いのは敵ではなくて己の中の暴走する闇という作品が少なくないですね』

 

蓮火「つまり、一口にクトゥルフのゲームと言っても、切り口はいろいろあるってことだな」

 

リバT『ええ、異色作だとこういう作品もあります』

蓮火「何だ、こりゃ?」

 

リバT『正義の不良少年グッドヤンキーが、異世界ガイヤンキーでクトゥルフ系邪神の手下のバッドヤンキーと戦うRPGです。サプリメントを導入すれば暴走族になったり、巨大化して巨大邪神の邪怪獣と戦ったりもできます』

 

蓮火「何で、不良少年が巨大化して、怪獣と戦うんだよ!?」

 

アスト「でも、最近のウルトラ界隈でも、ヤンキーっぽい人たちが多くありません? ゼロさんとか、ベリアルとか……」

 

蓮火「ベリアルなんかと一緒にしちゃ、ゼロちゃんが激怒するんじゃねえのか?」

 

アスト「でも、今のベリアルの声の人は、小野友樹さん。すなわち、このキャラです」

蓮火「ああ、そりゃヤンキーだわ」

 

リバT『とにかく、不良少年のケンカにもクトゥルフの物語が絡んでくるのが、昨今のTRPGなんです。さらに、もう一作、スウェーデンから来たクトゥルフ作品がこれ』

 

蓮火「とりあえず、クトゥルフに関係するゲームがいっぱいあることは分かった。それで、オレサマたちの対決には何を使うつもりなんだ?」

 

アスト「それは……14日の土曜日に目覚めるKP次第です」

(当記事 完。クトゥルフ対決・本編につづく)