ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

思いがけないクトゥルフ対決(本編)

14日が終わるころ

 

蓮火「おい、14日にクトゥルフ対決って話はどうなったんだ? いつまで待たせるんだよ?」

 

アスト「とは言え、キーパー役を務める予定のケイP1号が目覚めないことには、始めようがないわけで」

 

蓮火「だったら、お前が代わりにGMとかキーパーをやればいいだろうが」

 

アスト「いや、オレはこう見えて、クトゥルフのキーパーをやったことがないんですよ」

 

蓮火「やったこともないのに、前回はあれだけ偉そうにルールの解説をしていたってのか?」

 

アスト「そりゃあ、ルールを読みさえすれば、基本の解説ぐらいできますが……仕方ない。それでは、とりあえず、キャラ作りから始めますか?」

 

ダイアンナ「今からキャラを作ってたんじゃ、時間が掛かり過ぎると思うけどね」

 

カニコング「とりあえず、職業を選ぶでごわす。クトゥルフ7版で挙げられているサンプル職は28種類もあるでごわす。吾輩としては、『地獄の館』を攻略するのに使ったカニ座の聖闘士になりたいが、用意されていないでごわすな」

 

アスト「当たり前だ。クトゥルフの世界に聖闘士なんてものはいない」

 

カニコング「ならば、同じ聖の字が付く『聖職者』を選ぶでごわす」

 

蓮火「聖職者だと? それは神父じゃないか。チッ、先に取られるとはな。ならば、こちらは魔王で勝負だ」

 

アスト「いや、魔王なんて職業もないのですが」

 

蓮火「ならば、炎の海賊団でどうだ!?」

 

アスト「海賊ってのもないですね。違うゲームをしますか? D&D5版なら、職業背景に海賊がありますよ。あるいは、クトゥルフだと、犯罪者という方向性も」

 

蓮火「貴様! よりによって、このオレサマを犯罪者呼ばわりするって言うのか!?」

 

アスト「いや、だって、海賊と言えば、犯罪者でしょう?」

 

蓮火「海賊って言葉にはロマンがある。しかし、犯罪者という言葉にはロマンがない。この違いが貴様には分からんのか!?」

 

アスト「分かります。しかし、紅兄貴だったら、むしろ武闘家の方向性で、アスリートってのもありか、と」

 

蓮火「アスリート……スポーツ競技者、すなわちガンダムファイターだな。よし、真っ赤に燃える神の指先で勝利をつかんでみせる!」

 

謎の声『その必要はねえ!』

 

蓮火「むっ、何だ、この懐かしくも、威厳に満ちた、大先輩っぽい声は? いや、あのお方がこのようなところにおられるはずがない」

 

ケイP『おっす、オラKP。今はバトルモード31859を発動中だッピ。久々に目覚めてみたら、何だかて〜へんなことになってるみてえで、オラ、ワクワクしてきたぞ』

 

復活のケイP

 

蓮火「何だ〜。てっきり、あの方かと思ったら、声だけサンプリングして似せたパチモンかよ」

 

ケイP『パチモンとは聞き捨てなんねえ。オラの通称はドゴランボール。だったら、声があの人を採用するのも当然だ』

 

蓮火「いや、本物はドゴランじゃなくて、ドラゴンだろ? とにかく、相手が亀仙流の宇宙最強クラスの武闘家じゃなくて良かったぜ。いくら流派・東方不敗キング・オブ・ハートでも、サイヤ人に勝つのは難しいからな。何せ年季が違う」

 

アスト「でも、確か去年はゼロさんの声と、ジャンボットさんの声でスーパーヒーローを名乗る人造人間になって、サイヤ人(息子)とやり合ったそうですよ」

蓮火「ゼロちゃんも、焼き鳥の奴も、ドラゴンボールやうる星に呼ばれるなんてな。オレサマも、呼ばれないだろうか」

 

アスト「まあ、それはともかく、KPが来たので、クトゥルフ対決ができますよ。で、どういうセッティングをするのかな?」

 

ケイP『マスターNOVAから授かったKPメモリの力で、キーパーの真似事ぐらいはできると思うが、今は時間が掛かり過ぎるッピ。よって、クトゥルフのルールのエッセンスだけを抽出した略式ゲームで、グレンファイヤーVSカニコングの決着をつけたいッピ』

 

アスト「略式ゲーム? それは一体?」

 

ケイP『TRPGとしてのクトゥルフを象徴するルール。それはSANチェックという俗称もある正気度ロールだッピ』

 

アスト「SANとはSanity Point(正気度)の略だな。クトゥルフのようなホラーRPGでは、怖いものを見たり体験したときに、SAN値が削られないか判定して、失敗すると正気をどんどん失って、そのうち発狂するのが定番だ」

 

カニコング「『地獄の館』では恐怖点がどんどん加算されていったが、クトゥルフでは正気度がどんどん減少していくのでごわすな」

 

ケイP『今から、2人は次々と怖いものを見て、正気度ロールを繰り返してもらうッピ。そして、先に発狂したものが敗退し、正気を保ったものがガイア・グランプリの「サイボーグを倒せ」最終攻略への挑戦権を獲得する。名付けて「恐怖のSAN対決! 先に発狂するのは誰か? ガクガクブルブル大勝負」だッピ』

 

蓮火「面白い。このオレサマを怖がらせることができるか、試してみるがいい」

 

カニコング「ちょっとした肝試しみたいな物でごわすな」

 

恐怖のSAN対決!

 

ケイP『では、初期状態の正気度は、2人とも平等で50ポイントからスタートするッピよ』

 

アスト「POW(精神力)は3D6で決めるから、期待値は10〜11。正気度はその5倍だから、50ポイントぐらいで期待値ってところか」

 

蓮火「オレサマは武闘家だから精神的に鍛えられている。したがって、正気度80ぐらいはあるぞ」

 

ケイP『あなたはそうかも知れませんが、ゲームのレギュレーションは守ってもらうッピ。ガンダムファイトに参加しているのに、頭部を破壊されても、「まだだ。たかがメインカメラを破壊されただけだ」と言い張って、ファイトを続行しようとするのは禁じ手です』

 

蓮火「む。大会ルールがそうなっているなら仕方ない。正気度50か」

 

カニコング「50もあれば十分でごわす。『地獄の館』の際は、限界恐怖点が最大12でごわした」

 

アスト「判定が2D6のゲームと、%ロールのゲームを一緒にされてもな」

 

ケイP『では、正気度50が削れていき、どちらが先に発狂に追い込まれるか、ワクワク、いや、ハラハラドキドキしながら見守るッピ。恐怖を克服した者が、恐怖結社と戦う権利を勝ち取るッピよ』

 

蓮火「それでは、クトゥルフ対決!」

 

カニコング「レディーGO!」

 

 

ケイP『これよりルールブックの正気度喪失の例に従って、恐怖のフルコースを体験してもらうッピ。最初のイベントは、滅多切りにされた動物の死骸が部屋に転がっていました。何かの邪悪な儀式に使われたようだッピ』

 

蓮火「悪趣味な。%ロールで50以下を出せばいいんだな。(コロコロ)32。フッ、明鏡止水で鍛えられた武闘家の心に恐れなどないわ!」

 

カニコング「(コロコロ)05。問題なく成功でごわす」

 

ケイP『失敗していれば、D2の正気度を失うところだッピ。では、続けてのイベントは、人間の死体が転がっているッピね』

 

蓮火「(コロコロ)65。失敗だ」

 

ケイP『D3ポイントを失って下さいッピ』

 

蓮火「2点減って、残り48点か」

 

カニコング「こっちも93を出して、判定失敗。3点失ったでごわす」

 

ケイP『どんどん行くッピ。辺り一面、血が飛び散って、川のようにドクドク流れ続けています』

 

蓮火「37。セーフ」

 

カニコング「こっちも46でギリギリ成功でごわす」

 

ケイP『血には動じないッピか。では、滅多切りにされた人の死体が転がっていました』

 

蓮火「どれだけ恐ろしい場所なんだ、ここは。(コロコロ)40。まだまだ平静さは失わない。わずかに顔をしかめはするがな」

 

カニコング「06。人の死体など、見慣れているでごわす。『地獄の館』に比べれば、これぐらい」

 

ケイP『では、ロールに成功しても、凄惨な光景であることには変わりないので、正気度が1点削られるッピ』

 

蓮火「何だと? 残り47だ」

 

カニコング「46でごわす」

 

ケイP『ここまではまだ序の口。気がつくと、あなたたちは棺の中に閉じ込められていました』

 

蓮火「何だ、その唐突なシチュエーションは? 訳の分からん状況に、91を出してしまったではないか」

 

ケイP『D6点の正気度を失うッピ』

 

蓮火「3点か。残り44」

 

カニコング「58で失敗。5点も正気が削られたでごわす。残り41点。じわじわと追いつめられて行く気分でごわすな」

 

ケイP『おお。一度に5ポイントの正気度を喪失すると、一時的狂気に陥る可能性があるッピね。ルール通りだと、知識によるアイデアロールに成功したら、恐怖の原因が想像推測できてしまい、一時的狂気が発生します』

 

蓮火「成功したらダメなのか?」

 

ケイP『頭が良い方が神経過敏だッピ。バカは怖いものに直面しても、よく分からないので、恐怖に鈍感だッピよ』

 

カニコング「人が死んでいても怖いが、頭がいいと、『死因が未知のウィルスであり、もしかしたら自分も感染しているのかも、と感じとって、ますます恐怖をつのらせる』ってことでごわすな」

 

ケイP『怖いウィルスの話を聞かされても、「ただの風邪だから平気と言い張るケース」かも知れないッピね』

 

カニコング「で、アイデアロールをすればいいでごわすな」

 

ケイP『そこは割愛するッピ。問答無用で一時的狂気になってもらうッピ。狂気の発作の内容を決めるために、D10を振ってくれッピ』

 

カニコング「9」

 

ケイP『何かの恐怖症が発生するッピね。ルールブックには恐怖症の例が100種類あるので、D100でランダムに決めるッピよ』

 

カニコング「100種類も恐怖症が載っているでごわすか。84番だと?」

 

ケイP『鉄道恐怖症だッピね。鉄の棺桶に乗せられて、ガタゴト揺れ動くのに恐怖を覚えるッピ』

 

アスト「ウルトラQの最終話『あけてくれ!』みたいなものか」

 

ケイP『異次元列車ッピね。恐怖症のネタがじっさいのイベントにそぐわないような場合は、もっと相応しいものを選んでもいいッピが、「棺桶に閉じ込められた者が、列車を見て棺桶みたいだと感じて怯える」というのはイケる気がするッピ』

 

カニコング「他には、うる星で有名な閉所恐怖症とか、暗闇恐怖症とか、キャラ立てにも使える恐怖症がいっぱいでごわすな」

 

蓮火「もしかして、クトゥルフのゲームって、恐怖症を溜め込んで、どんどん変なキャラクターになって行くのが醍醐味なのか?」

 

ケイP『探索中に体験した事件で、キャラクターに後天的な心的トラウマが発生して、それをロールプレイするのが楽しいって意見もあるッピね。ただし、この辺のルールはデリケートな物で、現実の精神障害を揶揄して遊ぶようなものではない、とルールブックに記載されているッピ。あくまでホラー映画や小説に登場するような状況を再現したり、演劇やドラマのような極端な行動をとる個性的なキャラを描写したりするルール。また、異常行動にはマニアというのがあって、これも100種類が用意されているッピ』

 

蓮火「試しに振ってみよう。86」

 

ケイP『放火マニア。やたらと、火をつけたくて仕方ないッピ』

 

アスト「どうして、そんなドンピシャな出目を出すんですか、紅兄貴は」

 

蓮火「たまたま偶然だ。だったら、お前が振ってみろよ」

 

アスト「60」

 

ケイP『絶叫マニア。とにかく叫びたくて仕方ないッピ』

 

アスト「これも紅兄貴じゃないですかね。やたらと、叫んでいるし」

蓮火「必殺技を放つときに叫ぶ。当然じゃないか」

 

アスト「兄貴はバルカンを撃つときでさえ叫んでる。これは数多いガンダム乗りでも例外だと思いますよ」

 

蓮火「叫べば、威力が上がるんだよ」

 

アスト「まあ、ゲームでダイスを振る際も、黙々と振る人間と、気合いを込めて叫びながら振る人間とに分かれますからね。とにかく、絶叫マニアは面白い。リアルでいると、うるさくて仕方ないけど」

 

狂気は続く

 

 クトゥルフ対決、現在の状況

 紅蓮火:正気度44

 カニコング:正気度41(一時的狂気による列車恐怖症)

 

ケイP『それでは、なぜか閉じ込められていた棺桶から脱出した2人は、次に友人の非業の死を目撃するッピ』

 

蓮火「どうしてだよ!?」

 

ケイP『そこに必然性はないッピ。用意されているのは、単にシチュエーションのみ』

 

蓮火「友人か。だったら、焼き鳥〜、と叫ぶぞ。(コロコロ)56。失敗か。ダチの死を見たら、そりゃあ恐れもするな。これで平気な奴は、冷酷無情としか言いようがない」

 

ケイP『友人の死で失う正気はD6ポイントだッピね』

 

蓮火「6が出た。この数字こそ、友情の証、恥じることはない。残り正気度38で、一時的狂気が発症だな」

 

ケイP『いいえ、1日に現在正気度の5分の1以上を失うと、一時的よりも深刻な不定の狂気に陥るッピ』

 

蓮火「不定の狂気だと?」

 

ケイP『今回は、累積10ポイントの喪失で、不定の狂気だッピね。一時的狂気は、短時間で収まって探索中に自然回復ができるし、長引いても寝て起きたら回復する程度のもの。だけど、不定の狂気は回復までに自宅療養や施設での治療を要するッピ。ゲーム的には、そのシナリオが終わるまでは、キャラがまともに使えなくなるッピ』

 

蓮火「たった10点でそうなるのか」

 

ケイP『とにかく、D10を振って、どんな発作が生じるか確かめるッピ』

 

蓮火「5だ」

 

ケイP『「重要な人々」だッピね』

 

蓮火「どういう意味だ?」

 

ケイP『探索者は自分の目の前の人物をかけがえのない大切な者だと認識し、その人物に依存したり、近づきたいと思い、そのための行動を行う』

 

アスト「ええと、目の前で友だちが死ぬと、嘆き悲しむ余り、側にいたヒロインに抱きついたり、『お前だけは絶対に守ってみせる。これ以上、失いたくない』と激情を訴えるようなものかな?」

 

ケイP『ショックを受けたときに優しくされると、簡単に恋に落ちたり、心の友よ、と過剰な友情を抱くってことかもッピ。あるいは、教祖さまに心酔する強信者、狂信者になってしまうとか』

 

アスト「仲間の死を共有することで、チームの結束が高まることもあるんだろうな。まあ、それで崩壊するようなチームもあるんだが」

 

カニコング「では、吾輩も目の前で仲間が死んだってことで。アスト〜!」

 

アスト「勝手に殺すな」

 

カニコング「正気度ロールは95。危うくファンブル(96以上)を出すところだったでごわす。喪失する正気度は5」

 

アスト「結構、大きいじゃないか。オレが死んでも何とも思わない、冷たい奴じゃないことは分かった」

 

カニコング「残り正気度は36。ええと、また狂気の発作が起こるでごわすな。D10はやはり5。『重要な人物』でごわすか。ならば、『触手の女神リバTさま』に深い祈りを捧げるでごわす」

 

ケイP『リバTは「触手の女神」ではなくて、「自由の女神」だから、おめえにはやらねえ』

 

カニコング「そう言わずに、お兄さま」

 

ケイP『カニを弟に持った覚えはない』

 

カニコング「そんなあ。かつてはドゴランアーマーとして、一心同体となった仲ではごわさんか」

 

ケイP『それは、ケイPマーク3だ。今はNOVA2009となっている。それと、おめえと戦ったのはケイPマーク2。オラは、今回がおめえと初対面だ』

 

カニコング「そうでごわしたか。20周年イベントで、ヤプールに取り憑かれて共に暴れたケイPは、貴殿ではなかったのか?」

 

ケイP『あの時のオラは、妖精郷に閉じ込められて、ボディだけの存在だったッピ。心は分離されていたから、おめえのことは記憶にない。単なる事実としてのデータはあるが、実感がないから、おめえとの関係性は紡がれていない』

 

カニコング「ならば、これから関係性を紡げばいいでごわす」

 

ケイP『望ましくはないッピ。今は単に、オラがクトゥルフのキーパー役で、おめえが対決のプレイヤー。審判と選手が馴れ合っていては、裁定ができないッピ。私情は捨てて、プレイに専念するッピよ』

 

カニコング「役割演技も、TRPGのプレイの一環でごわす。考えてみれば、吾輩は昔からドゴランアーマーに執着していたので、ケイP一族を『重要な人物』として追っかけるのが王道でごわすよ」

 

ケイP『そこまで執着されると気持ち悪いので、さっさと対決に負けて、ゲームから脱落するといいッピよ』

 

カニコング「ゲームマスターやキーパーが私情でプレイヤーを追い落とすのは、ルール違反でごわす」

 

 

蓮火「おいッ。お前たちの過去の関係性はさておき、今は目前のゲームに専念しろ。友の死を乗り越えて、次にどんなイベントがあるんだ!」

 

ケイP『そうだッピね。では、君たちの前にモンスターの食屍鬼(グール)が現れた』

 

蓮火「DG細胞に侵されたゾンビ兵みたいなものだな。そんなザコなど、軽く一捻りだ」

 

ケイP『一応、クトゥルフでは神話生物に遭遇した場合に、正気度ロールを行うッピ。失敗したら、D6を喪失するッピよ』

 

蓮火「やむを得ん。48。くっ、失敗か。3点失って、残り正気度は35」

 

カニコング「こっちはまた95で失敗して、5点失ったでごわす。残り正気度31で、またも一時的狂気でごわすな。D10は1が出た」

 

ケイP『健妄症が発生して、最後に安全な場所にいた時からの記憶を失っているッピ』

 

カニコング「すると……」

 

ケイP『死体を見たことも、棺桶に閉じ込められたことも、友だちが死んだことも、きれいさっぱり忘れたッピ』

 

カニコング「はっ、吾輩はどうしてここに?」

 

蓮火「そんなことはどうでもいい。とにかく、目の前の食屍鬼を倒すのに、手を貸せ。協力して、この場を切り抜けるぞ」

 

カニコング「分かったでごわす……ということで、何が何だか分からないが、とにかく怪物を倒したってことでいいでごわすな」

 

ケイP『了解だッピ。カニコングさんは、いろいろと忘れてしまったけど、「なぜか電車が怖くて、神さまに執着している」ってことだけ覚えているッピよ。アストさんが死んだ記憶は残っていない』

 

アスト「と言うか、オレは死んでないからな」

 

カニコング「ゲームの中では死んだでごわす。しかし、その記憶は残っていない。アスト? 誰それ状態で、そんな知り合いがいたことすら覚えていないでごわすよ。イヤな記憶は失うに限る」

 

アスト「そこまで忘れられると悲しいものがあるが、それがゲームの結果なら仕方ない。デザイアグランプリだって、そんな感じだもんな」

 

 

ケイP『そして、次のイベントは……「死んだはずの者に出会う」だッピ』

 

カニコング「まさか。お前は……アスト!」

 

アスト「覚えてるじゃねえか」

 

カニコング「今、思い出したでごわす。しかし、お前は確か、死んだはず……」

 

アスト「死んでねえよ。現実と、ゲームをごっちゃにするな。紛らわしいだろ」

 

ケイP『これこそ狂気っぽいッピね。とにかく、正気度ロールをするッピよ』

 

カニコング「死んだアストの幻を見て……85。ますます頭がおかしくなるでごわす」

 

アスト「人の顔を見て、頭がおかしくなってんじゃねえよ!」

 

ケイP『失うポイントはD6+1だッピね』

 

カニコング「4点だ。残り27点。発作には至らず」

 

蓮火「オレサマは、焼き鳥を見るのか。93。正気度は5点失って、残り30。発作が発生して、5か。また重要人物だな。では、他にも失った人を思い出す。そう、師匠だ。こういう怪現象が次々と発生して、頭がおかしくなりかけた時こそ、流派・東方不敗の精神に立ち返り、苦しかった修行の日々を思い返し、瞑想によって明鏡止水の境地を体現するのだ」

 

 

ケイP『次のイベントは、ひどい拷問を受けてるッピ』

 

蓮火「ストーリーの必然性を考えろよ」

 

ケイP『単に、正気度喪失チャートを上から順番に読み上げているだけッピよ』

 

蓮火「肉体的苦痛なら耐えられる……はず。よし、26だから成功だ」

 

カニコング「こっちも30で成功」

 

ケイP『いや、失敗だッピ』

 

カニコング「ああ、正気度が消耗して27になっていたでごわすか。その前の31なら成功していたのに」

 

ケイP『拷問で失う正気度はD10だッピね』

 

カニコング「3点で済んだ。残り24点でごわす」

 

ケイP『次に、死体が墓場から立ち上がるのを見るッピ』

 

蓮火「03。そんな物を見ても、今さら恐怖など感じん!」

 

ケイP『それでも、明らかな怪現象に接して、正気度を1点失うッピよ。失敗したらD10だッピね』

 

蓮火「残り29点か。カニの方は?」

 

カニコング「36で失敗。4点失って、残り20点でごわす」

 

 

ケイP『そろそろ大詰めが近いッピね。では、次のイベント。切り取られた巨大な頭が空から落ちて来るッピ』

 

カニコング「何だそりゃ!?」

 

蓮火「フッ、これはデビルガンダムガンダムヘッド。よくある現象だ。しかし、判定は63で失敗」

 

ケイP『喪失するのは、2D10+1ポイントだッピ』

 

蓮火「それは、さすがにキツいだろう。一気に10点を失ったぞ(残り19点)。こいつは、発作が起こるな。9」

 

ケイP『恐怖症だッピね。D100をどうぞ』

 

蓮火「03だ」

 

ケイP『飛行恐怖症だッピ。飛ぶのが怖い』

 

蓮火「うかつに飛べば、デビルガンダムの対空攻撃にさらされるからな。ならば、地に足をついて、一気に間合いを詰めるゴッドフィールドダッシュで挑むのみ」

 

カニコング「こっちは84で失敗し、12点の正気度を喪失。残り8点でごわす。狂気の発作は……6」

 

ケイP『あまりの恐怖に、カニコングさんは失神、気絶したッピ』

 

蓮火「もう、これはオレサマの勝ちでいいんじゃないか?」

 

ケイP『そうだッピね。では、最後に大きな花火を打ち上げるッピ。『大いなるクトゥルフを目撃した』。さあ、正気度ロールに成功するとD10、失敗するとD100の正気度を失うッピよ』

 

蓮火「これに耐えれば、完全勝利だな。しかし、86で失敗。失う正気度は……よし、08で残り11点。何とか正気を維持したぞ」

 

カニコング「こっちは07で判定には成功したでごわす。失う正気度は3点で、残り5点」

 

ケイP『おお、2人とも、クトゥルフを目撃したのに、永久的狂気(正気度ゼロの回復不能状態。いわゆるロスト)にならなかったのは凄いッピ』

 

アスト「下手したら、1発アウトになりかねんからな」

 

蓮火「とにかく、残り正気度はオレサマが11点で、カニちゃんが5点だから、オレサマの勝ちってことでいいな」

 

カニコング「無念でごわす。では、ガイア・グランプリの出場権を貴殿に譲って、吾輩はひとまずガイア様の御許に戻って、精神療養に努めるでごわす」

 

蓮火「いいファイトだった。また、手合わせ願いたいものだ」

 

カニコング「それは望むところでごわすが、こういう恐怖で精神を削られるようなファイトは勘弁願いたいでごわす」

 

蓮火「確かにな。武闘家なら武闘家らしく、拳を交えて魂を伝え合うファイトが本望だ。魂を削るような戦いは、もうこりごりだぜ」

 

 こうして、『サイボーグを倒せ』の超体力ヒーローは、カニコングからエントリー権を勝ちとった紅蓮火がプレイすることとなった。

 次回より、『超体力・紅蓮火編』を開始する予定。

(当記事 完)