ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

神前TRPG・アルシャード編2(開幕編)

オープニングフェイズ

 

GM(NOVA)「では、ここからオープニングフェイズです」

 

ユイ(翔花)「オープニングフェイズって?」

 

GMアルシャードなどのFEAR製のTRPGでは、シーン制と言って、プレイの段取りが割ときちんとルール構築されている。オープニングでは、各人のキャラクターが今回の事件に関わるきっかけが描かれている。キャラの日常から事件に突入する入り口だな。次にミドルフェイズで、事件の調査やトラブル解決が描かれ、クライマックスフェイズでボスキャラとの対決などだ。そして、エンディングフェイズでキャラが日常に帰還する流れだな。もちろん、場合によっては命を落とすとか、闇堕ちなどで日常に帰還できないケースも考えられるが」

 

アキラ(晶華)「闇堕ちなんてあるの?」

 

GMダブルクロスとか、一部の作品にはな。アルシャードの場合は、ルール上の闇堕ちはないが、シナリオ展開によってはPCの奈落堕ちとかも絶対ないとは言いきれない。まあ、その場合は、NPC化するんだろうけどな」

 

ディオーネ(ダイアンナ)「闇堕ちかあ。ゾクゾクするねえ」

 

GM「念のため、アルシャードは闇堕ちを推奨するゲームじゃないからな。PCはあくまでクエスター、神の加護に選ばれた正義のヒーローだから、無闇に邪悪プレイに走らないように」

 

ニック(ヒノキ)「そのために、シナリオハンドアウトが用意されておるのじゃろう?」

 

GM「まあ、アルシャードのプレイにおいては、GMが用意したシナリオハンドアウトに基づいて、キャラを作成したり、調整したりするんですけどね。今回はシナリオクラフトを使うので、ハンドアウトは用意していません。その辺は、GMのアドリブもしくはプレイヤーの意見を採用する形で臨機応変に進めます」

 

ニック「友人や顔見知り同士のカジュアルプレイなら、気心も知れておるじゃろうし、アドリブでも何とかなるじゃろうな。ハンドアウトは特になし、と」

 

GM「それでも、オープニングで状況解説ぐらいはするんですけどね。まずは、翔花の飛彩ユイからだ。君はアイギスに所属するルーンナイトとして、奈落に狙われやすいと想定されている神名アキラの護衛のために、普段は高校1年生をやっているわけだが……」

 

ユイ「勉強難しい。アキラちゃん、教えて〜」

 

アキラ「ユイちゃんはバカなの?」

 

ユイ「理知が9しかないし」

 

アキラ「私は15だから、確かにユイちゃんよりは賢いみたいね」

 

ディオーネ「あたしも15だ。魔法使いにとっては、理知が重要だからな」

 

ニック「わらわ……いや、ワタシは11です。確かに、マスター・ユイには勉強が必要なようですね」

 

ユイ「大丈夫、体育は得意だから。体力14、反射15だから、頭は多少良くなくても生きていける」

 

GMアルシャードで一番バカを作りたければ、ファイターレベル3のシングルクラスでキャラ作成すると、理知6になるな。まあ、能力値の基準はD&Dと同じで10が平均並みだけど、9〜11はボーナスが同じなので大差ない。8以下だとバカを名乗れるが、9は平均よりやや低いけど、バカってほどじゃない。平均60点ぐらいのテストなら、半分の50点前後といったところかな。落第点ではないけど、それ以上、点数を下げないように頑張れと普段から言われるタイプ。もう少しで平均なのに〜と、教師からは微妙に心配される学力だな」

 

ユイ「とにかく、奈落と戦うよりも、テストで点をとる方が難しいと思ってたりします。アキラちゃんに教えてもらわないと生きていけない〜」

 

アキラ「そこまで? じゃあ、私はユイちゃんの命の恩人ってことで」

 

ユイ「うう、シャードによる交信で、テスト中にアキラちゃんから答えを教えてもらうってわけにはいかないの?」

 

GM「そんなことにクエスターの力を使うなよ」

 

ユイ「こうなったら、レジェンドの特技《運命の予感》を使います。GMに3回まで質問できる。このテストの答えを教えて〜」

 

GM「まあ、そんなテストに苦戦しながら、何とか赤点はとらずに補習も免れたことにしておこう。テストに苦戦する脳筋学生ってのは、学園ものの日常風景の基本だな。では、ユイの日常描写はそれぐらいにして、アイギスの志緒理お嬢さまからの指令が届くんだけど、場所はどこがいい? 学校か、それとも自宅か」

 

ユイ「ええと、秘密の指令だったら、学校じゃない方がいいのよね。台所付きの隠れ家で、夕食を食べてからアイギス本部に定期通信を送ってるときに、指令を受け取るって感じかな。帰って来たテストの結果を見て、とりあえず落第は免れましたって報告も兼ねて」

 

GM「では、志緒理お嬢さまがそれを聞いて、安心する。なお、お嬢さまは黒髪ロングの16歳美少女だ。ガイアでも16歳だけど、セイヴァーでも16歳。年をとらないのか、ルールが変わって世界が更新されたからなのか詳細はともかく、本リプレイでも初期設定の16歳として扱う」

 

ユイ「同年齢ってことね」

 

GM「向こうの方が威厳に満ちているけどな。志緒理お嬢さま曰く、『もしもテストで不合格で落第したら、アキラさんと学年が違ってくるので、護衛任務から外れてもらうところでした。どうやら、護衛任務は継続できそうですね』とニッコリ柔和な笑みを浮かべる」

 

ユイ「え? もしかして、テストで不合格だと、任務失敗ってこと? そこはアイギスの権力で、不合格を取り消しとかはできないのですか?」

 

志緒理『アイギスが誇る優秀なルーンナイトのあなたが、よもや高校1年生程度の問題で落第するとは思えないんですけど?』

 

ユイ「そう言うお嬢さまも、私と同じ年だったはず」

 

志緒理『ええ。世間一般で言うところの高1レベルの学習内容は、3年前に履修済みです。財団のトップとして帝王学を修める身では当然のことですわ』

 

ユイ「うわ、そういう人なのね」

 

志緒理『そういうことですから、高1レベルのテストで不合格になるようでしたら、あなたはこの護衛任務に相応しい人材ではなかったということで、もっと優秀なエージェントを派遣しようと思っています。もっとも、神の恩恵である超絶美形を誇り、生ける伝説とまで称された才女の飛彩ユイさんともあろう人が、これぐらいの試練を乗り越えられないはずがないと信じていますがね。でしょ?』

 

ユイ「は、はい。大丈夫です(汗)。どんなに手強い試練でも、友情と努力で勝利を収める。それこそがヒーローの道です!」

 

志緒理『そう言うと思いました。ところで、日常の仕事はともかく、非日常の事件が舞い込みましたので、その解決も要請したいと思います』

 

ユイ「一難去って、また一難ですか」

 

志緒理『ええ。あなたたちの暮らす街に、コードネーム:ビーストと呼ばれる化け物が潜伏しているという情報が、フューネラルコンダクター社から知らされまして、詳しい話は直接そちらのエージェントから確認して下さい』

 

ユイ「お嬢さまは詳しく知らないってこと?」

 

GM「彼女は、FC社から飛彩ユイの協力を要請されただけみたいですね。ただ、ビーストを放置すると、街が厄介なことになるそうです。……と言うことで、ユイさんにはシナリオクエスト『ビースト事件を解決する』を差し上げます」

 

ユイ「この学園と街の平和は私が守る。ヒーローの出番です!」

 

JKたちのネットワーク

 

GM「さて、次のオープニングは神名アキラさん。君には別サイドからビーストの情報が入って来るってことで」

 

アキラ「どこから?」

 

GM「女子高生の噂話だ。テストが終わって、羽伸ばしのために遊びに行こうって話になっていたんだけど、猟奇的な殺人事件が発生したってことで、街がざわついているらしい」

 

アキラ「それって、新聞やテレビとかで報道されていないの?」

 

GM「まだみたいだね。事件の元凶が人なのか獣なのかもよく分かっていないから、公的なニュースにするには情報不足な段階ってことで、今はまだ地元の噂レベルのネタでしかない。君は奈落の事件に敏感だから、鋭く嗅ぎつけたってことだな。新聞部の友人なんかは、学校新聞のネタとして『人か獣か! 連続猟奇事件の怪! 平和な街に突如降りかかった凄惨な殺戮劇の真相は!?』などと見出しを考えている」

 

アキラ「そんな知り合いがいるの?」

 

GM「いたら便利だから、今からランダム名前決定チャートで決めよう。(コロコロ)二ツ木恭子(ふたつぎ・きょうこ)って出たけど、アレンジして如月今日子(きさらぎ・きょうこ)だ。あだ名はキサキョン。学園一の情報通で、アキラのお喋りな親友ってことで」

 

アキラ「キサキョンかあ。ねえねえ、その話って本当なの?」

 

キサキョン『それを探るのが、学園新聞部の仕事なんだよ。アキラも暇なら付き合って』

 

アキラ「いや、学園新聞部が街の事件まで調べるの?」

 

キサキョン『その猟奇事件の元凶が学園の関係者だったら、大スクープだ。あるいは、学園の生徒が犠牲になってからでは遅い。そうなる前に事件の真相を突き止め、警察と協力してさらなる犯行を未然に防ぐ。それこそがルポライター志望の如月今日子の使命なんだよ』

 

アキラ「ええと、キサキョンを放っておいたら、事件に巻き込まれて死んでしまいます?」

 

GMGMとして断言しよう。まちがいなく事件に深入りして、命を落としそうになる危なっかしいタイプだ。クエスターが守ってあげないと、間違いなく死ぬ。GMからすれば、今、生まれたばかりのモブキャラに毛が生えた存在に過ぎないからな。彼女が死のうが痛くも痒くもない。代わりはいくらでも作れる」

 

アキラ「GMにとってはそうかもしれないけど。アキラにとっては仲良しの親友NPCなの。死なれたら困るので、彼女を守ります。これ以上、大切な人を失いたくないし」

 

GM「だったら、アキラのクエストは『友だちのキサキョンを助ける』だ。この助けるには、彼女の事件の調査を手伝うことも含まれる」

 

アキラ「つまり、危ないからって彼女を止めることはできないってことね」

 

GM「放っておくと、彼女は喜んで死地に飛び込んで、命を落とすか、妄執に取り憑かれてスペクターと化してしまう臭いを濃厚に漂わせている」

 

アキラ「NOVAちゃんだったら、喜んで闇堕ちNPCをプレイしそうね。キサキョンをそんな過酷な運命に巻き込むわけにはいかない。キサキョンが闇堕ちするなら、代わりに私が闇堕ちしたいぐらいよ」

 

ユイ「ちょっとアキちゃん。闇堕ちはダメよ」

 

アキラ「分かってるって。あくまで親友を守りたいって覚悟を表現したまでってことで」

 

未来のメモリー

 

GM「さて、問題はヒノキ姐さんのニックだな。未来から来たバイクロボの日常オープニングなんて思いつかん」

 

ニック「新兄さんもまだまだじゃな。勇者ロボを見て研究したはずじゃろう? あるいはロボコンとか不思議コメディー系とか」

GM「勇者ロボや不思議コメディーには、仲間のロボットや仲良しの少年少女がいて、コミュニケーションが普通にとれる世界観だけど、他に同種のキャラのいないサポートロボの日常って何をモデルにすればいいんだ? 俺にはオートバジンの日常とか、電人ザボーガーの私生活とか、パイロットが乗っていないエアリアルがいまいち想像できないんですけど」

 

ニック「ネットに接続して、情報収集したり、発信したりしておる」

 

GM「え? 発信もしてるんですか?」

 

ニック「もちろんじゃ。ハンドルネーム・刃人馬(ヤイバ・ジンメ)と名乗り、AIネット小説を書いたり、Twitterで議論したりしている。もちろん、マスター・ユイには内緒でな。ネット人格では『わらわは〜〜なのじゃ』とキャラ作りしていて、リアルでは『ワタシは〜〜です』と使い分けている設定が今、生えた」

 

アキラ「どんな小説?」

 

ニック「人間心理を理解するための一助として、女学生のホラー風味の学園百合SF小説……と言ったところか。まあ、そんなことはどうでもいい。とにかく、つれづれなるままの手遊びという名目でネット小説を書いていたら、何の因果か固定ファンが付いてまんざらでもない。その傍ら、現在の文化風習の学習をしたり、雑多な事件の情報を追っていると、たまにフラグが立ったのか封印されている未来のメモリーボックスが開くことがある。そこで、ビースト事件のことを初めて知ったのじゃな」

 

GM「ほう。未来のメモリーに、ビーストのことが記録されている、と?」

 

ニック「うむ。それによると、『ビーストとの戦いで飛彩ユイが死んだ』とある」

 

ユイ「ちょ、ちょっと。勝手に殺さないでよ」

 

ニック「あくまで可能性の未来であって、確定情報ではない。しかし、『ニックが助けなければ、飛彩ユイの死が確定する』というブラックボックス情報が突然開示されたので、今回のわらわのシークレットミッションは『ビーストの魔の手から、マスター・ユイを助ける』ということで、どうじゃろうか?」

 

GM「う〜ん。特に問題はなさそうなので、それをシナリオクエストにしましょう。サポートロボのニックが助けなければ、飛彩ユイが死ぬことが未来の予言メモリーに記されているというのは、面白い設定だ」

 

ユイ「面白くないから。そう簡単には死なないから」

 

ニック「と言うことで、ビースト事件は未来に黒歴史として記録されている。この事件によって、未来の時間軸が大きく切り替わる分岐点と言うことじゃな」

 

ビースト事件の始まり

 

GM「では、最後にダイアンナのディオーネのオープニングだが、ノーマルスタートとホットスタートのどっちがいい?」

 

ディオーネ「どう違うんだ?」

 

GMノーマルスタートは、日常生活の中でビースト事件の話を聞く。ホットスタートは、自分でビースト事件に直接、遭遇する」

 

ディオーネ「殺人事件に出くわすと言うのか!?」

 

GM「夜中にフラフラと散歩に出ていたら、血の臭いを嗅ぎとって現場に赴いたってところだな。半吸血鬼ならではのスタートを思いついた。気に入らなければ、普通に日常オープニングにするが」

 

ディオーネ「いや、ホットスタートの方が面白そうだ。夜中にフラフラと散歩する。今夜はいい月だ」

 

GMナイトウィザードであれば、赤い月が上ってそうな雰囲気だな。時間は遡るが、その夜は数日前、ビースト事件が初めて発生するタイミングだ」

 

ディオーネ「パトロールと称した深夜の散歩だな。この街に奈落の気配がないか、日常的に探っているってことで」

 

GM「すると、寂しい裏通りで血の臭いが漂って来る。悲鳴は聞こえなかったけど、魔法知識のあるディオーネさんは結界が張られているのでは? と察するわけで」

 

ディオーネ「結界か。ただの一般人の犯行とは違うようだな。しかし、このディオーネ・ブランシュタードの庭を荒らしたのが運の尽き。悪行の報いを受けるがいい、とつぶやいて、現場へ駆けつけます」

 

GM「裏路地には血の跡……と、転がった人の下半身が見える」

 

ディオーネ「下半身だけ? 上半身は?」

 

GM「食いちぎられた跡から察するに、怪物の餌になったと思われる。これがクトゥルフなどのホラーゲームなら、正気度判定を要求するところだけど、アルシャードなのでルール上のペナルティーはない。しかし、凄惨な殺害現場はディオーネの中の闇をゾワゾワと活性化させる」

 

ディオーネ「これは、あまり嬉しくないゾワゾワだな。殺害した化け物は?」

 

GM「すでにいなくなっている。結界もいつの間にか解除されているようだ。あるのは美味しそうな血溜まりと肉塊だけ」

 

ディオーネ「美味しそうじゃない。このような美しくない食事は、あたしの美学に反する。マナーのなっていない下賎な獣は、見つけ出して必ず狩ってやる。ええと、獣の気配はたどれるか?」

 

GM「すると、ひたひたと近づいて来る足音が聞こえて来る。そして、聞き覚えのある女性の穏やかな声が耳に届いた。『あら、闇の気配をたどってみれば、あなたでしたか、ディオーネ様。とうとう堕ちてしまわれたのですね』」

 

ディオーネ「え? いや、これは違うんだ。犯人は別にいる。ところで誰だ?」

 

GM「君のコネであるシスター、豊城瑠璃伽だ。彼女は改めて結界を張り、優雅な仕草であいさつをしつつ、親しみを込めた笑顔で話しかけて来るよ」

 

ディオーネ「こういう状況で、笑顔になれるところが狂気のシスターってところだな。こちらは冷ややかな視線で応じよう」

 

瑠璃伽(意に介さない笑顔で)『コードネーム・ビーストと呼ばれる魔物がこの街に逃げ込んだという情報を聞いて、魔法の研究に使えないかと様子を見に来ましたが、まさかあなたがビーストに関わっていたとは。縁とはまことに面白いものです』

 

ディオーネ「いや、ビーストなんて初耳だし。たまたま現場に居合わせただけだから、あたしは無実。誤解しないでくれ」

 

瑠璃伽『でも、これから関わるんでしょ?』

 

ディオーネ「ああ。クエスターとしては、こんな酷い所業をしでかす化け物は見過ごしにできないからな。情報を持っているのか?」

 

瑠璃伽『少しぐらいは。ビーストは元人間で、奈落に憑かれて獣人めいたスペクターとなった。FC社の埋葬人(アンダーテイカー)に倒されたけれど、旺盛な生命力で死の淵から甦ったそうです。甦った後の動向や自我の有無については不明ですが、とりあえず飢えを満たすために、凄惨な殺戮を辞さない道義心の欠如は明らかのようですね』

 

ディオーネ「結界を張る程度の知恵はあるようだな。しかし、食い残しを始末しないのは無作法と見える。後の掃除をする者の身になって欲しいものだが」

 

瑠璃伽『あなたが掃除をしますの?』

 

ディオーネ「このままにしてはおけないだろう? 自分の住んでいる街が凄惨な殺戮劇の舞台になっては、オチオチ日常生活も送れないからな」

 

瑠璃伽『刺激的で楽しいと思いますが』

 

ディオーネ「シスターとは思えないセリフだな」

 

瑠璃伽『そういうあなたも闇の血を引くとは思えない潔癖な様子』

 

ディオーネ「潔癖なんじゃない。優雅な美と、麗しい命の輝きを愛でるだけだ。しかし、この殺戮には美学がない。このような惨劇は、あたしの世界には必要ない。速やかに消し去るだけだ」

 

瑠璃伽『では、この場の掃除は、わたくしにお任せ下さい。それと何か分かれば、お互いに情報交換と参りませんか? わたくしは研究材料について調べたい。あなたは街から厄介な獣を排除したい。利害は一致すると思いますが』

 

ディオーネ「一つ確認したい」

 

瑠璃伽『何でしょうか?』

 

ディオーネ「そのビーストを操っている黒幕は、あんたじゃないな?」

 

瑠璃伽『さあ、それはどうでしょうか? どうして、わたくしをお疑いに?』

 

ディオーネ「ビーストが姿を消した。その直後にあんたが現れた。疑う理由としては十分じゃないか」

 

瑠璃伽『だったら、殺戮の現場に居合わせたあなたの方がよほど疑わしいと思いますが。第一発見者が容疑者その1というのは推理劇の基本でしょうに』

 

ディオーネ「フフフ、違いない。ならば、あたしはこの場で撤退するとしよう。後の掃除はあんたに任せた。これは借りにしておく。目ぼしい情報が分かれば、連絡を入れるようにする。それでいいな」

 

瑠璃伽『ええ。借りに値する情報を期待しておきますよ。ディオーネ・ジョセフィン・ブランシュタード様』

 

GM「こうして、ディオーネはシスター瑠璃伽と、ビースト事件に関する緩やかな協力関係を結んだのだった。シナリオクエストは『瑠璃伽に借りを返しつつ、ビーストを街から排除すること』でいいかな?」

 

ディオーネ「ビースト事件の解決は他のPCと一緒だけど、微妙に細部が違っているんだな」

 

アキラ「私はキサキョンを守らないといけないし……」

 

ニック「ワタシはマスターの命を大切に考える」

 

ユイ「わたしは一番ストレートに、事件解決だけを考えればいいんだね」

 

GM「なお、シナリオクラフトには時間(シーン数)制限があって、11シーン以内に情報収集のプライズポイントを14点入手しないと、事件解決に失敗する可能性があります。ユイの場合は、『事件を解決する』がクエスト目的なので、自力で解決できなければ失敗です。だけど、アキラの場合は『キサキョンを助ける』のが目的なので、自分で事件を解決できなくても、神のようなNPCが突然現れて、強引にビーストを退治して去って行ってもクエストは達成可能なんですね」

 

ニック「わらわはユイさえ生き残れば、事件は解決できなくてもいいわけじゃな」

 

ユイ「でも、わたしは事件を解決するのが目的だから、積極的に動き回るつもりだし」

 

ディオーネ「あたしはテキトーに調査して、シスターに情報を渡して、ビーストが排除できればそれでいい、と」

 

GM「以上がオープニングフェイズです。次回からミドルフェイズに移って、ビーストへの調査を進めて参りましょう」

(当記事 完)