ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

2024秋からの展望

今回は雑談会

 

アスト「『奈落の帝王』が終わって、半月ほどが過ぎて秋になったが、そろそろ次のスケジュールを考えたいと思う」

 

ダイアンナ「この記事によれば、攻略19作めは『死神の首飾り』が妥当なのではないか?」

アスト「いや、考えてみれば、ここしばらくオレがFFゲームブックを解いていないんだよな」

 

リバT『確かに、今年のFF攻略は、クイーンが「死の罠の地下迷宮」と「雪の魔女の洞窟」、カニコングさんが「トカゲ王の島」、グランドマスターが「サラモニスの秘密」と「奈落の帝王」で、アストさんは何もしていませんね』

 

アスト「何もしていないってことはないだろうが。マンゴだったり、アス・ラルだったり、ファインだったり、エスガンだったり、主人公の相棒として大活躍だったじゃないか」

 

ダイアンナ「見事な脇役っぷり」

 

アスト「主役といえば、FFじゃないが、こっちで担当していたんだよ」

リバT『ああ、FT書房の「盗賊剣士」と外伝の「エクストラ」がアストさんの担当でしたか。その前はFFの「盗賊都市」、「さまよえる宇宙船」の前半、「サイボーグを倒せ」の技術ヒーロー担当でした』

 

アスト「しかし、オレがここしばらくFFゲームブックの主役をやっていないのも事実。そこで、ようやくNOVAが発掘した『真夜中の盗賊』を19作目の攻略記事にしようと思うんだ」

 

ダイアンナ「ああ、『真夜中の盗賊』はこの時以来の悲願みたいなものだったからな」

アスト「去年の秋に行方不明だったものが、今年の夏にようやく発見された。ならば、今年の秋は発見されたものを堪能したい、というのが人情ではないか」

 

リバT『では、アストさんの要望というか、以前からの担当予定の消化ということで、「真夜中の盗賊」に確定、と。「死神の首飾り」は次回以降に先送り、になりますね』

 

『サソリ沼の迷路』をどうするか?

 

リバT『さて、次に攻略20作めを予定していたFF8巻の「サソリ沼」ですが、FFコレクション5に収録される可能性が濃厚なので、それを待つと、早くても年末になってしまうわけですね』

 

ダイアンナ「サソリ沼はまだFFC5集の有力候補ってだけで、確定情報はいつ出るんだ?」

 

リバT『噂では、アマゾンから今月に予約開始ということで、その際に発表となっています。遅くても、来月末に発売予定のGMウォーロック誌15号には載るでしょう』

 

アスト「サソリ沼の新訳待ちだと、こちらの攻略記事が書きにくくなる。だったら、攻略20作めをサソリ沼にこだわる必要はないってことだな」

 

リバT『そこで、19作めを「真夜中の盗賊」にするとして、記念の20作めを何にしようかと考えた結果、FF40周年記念作の「巨人の影」がいいかな、というのがグランドマスターの判断です』

 

アスト「なるほど、それで?」

 

リバT『サソリ沼の善中悪の3属性攻略イベントは、25作め記念にして、それまでの間に、FFC5収録の新作「ザゴールの伝説」「狼男の遠吠え」「嵐のクリスタル」を解いていくのも一興かと。まあ、予定は未定ですけど』

 

アスト「『ザゴールの伝説』も、主人公が4通り用意されているんだよな。4人分、攻略していくって話にならないか?」

 

リバT『選んだ主人公によってストーリーや攻略手順が変わるなら、そうするのも一興ですが、単に能力違いでしかないなら、そこまで手間をかけるのもどうか、と。「サイボーグを倒せ」や「サソリ沼の迷路」は、選んだ主人公のタイプによって進め方が変わるから、主人公別の記事を書くのも意味があると思いますが、能力の違いはあってもストーリーの大筋が同じなら、そこまでこだわる必要もないか、と。いずれにせよ、来年は新作が3本もあって、グランドマスターが購入時に嬉しい悲鳴を上げることは間違いないでしょう』

 

ダイアンナ「新作といえば、今月はこの本も予定されているんだね」

リバT『原書の発売は、来週の9月12日だそうですが、おそらくはFFC6の目玉作品の一つになるんじゃないでしょうか。同時収録に、「迷宮探検競技」が来るのも確実でしょうし、そうなるとリビングストンBOX第2弾の方向になるか、他の作家のもの(「仮面の破壊者」や「死の門」など)も加えるか、続きの展開が気になるところです』

 

アスト「その辺の話題が表面化するのは、FFC5が出た後、来年の春から夏過ぎだと思うがな」

 

ダイアンナ「40周年と言えば、2年前がFFゲームブック誕生40周年で、今年は『死の罠の地下迷宮』誕生40周年を本国では大々的に祝っているそうじゃないか」

 

リバT『日本でも、FF初邦訳40周年を祝えばいいのに』

 

アスト「まあ、ファンとして、こっちで勝手に祝えばいいさ」

 

FFとサイバーパンク

 

リバT『ところで、グランドマスターは現在、別ブログの記事で90年代のサイバーパンクTRPGのネタにハマっているそうです』

アスト「今さらかよ」

 

リバT『それを言ったら、FFゲームブックだって80年代のブームで、今さらながらの懐古感覚が大きいのですが』

 

アスト「異世界ファンタジーは古びないんだが、近未来SFってのは現実の時代が追いついて来ると、時間軸の異なるIF未来になったり、レトロフューチャーになる感じがなあ」

 

リバT『で、日本では90年代からゼロ年代サイバーパンクが流行した事情があるのですが、FFゲームブックにはそういうジャンルがないな、とグランドマスターは考えたわけですね』

 

アスト「あるじゃないか」

 

リバT『え?』

 

アスト「NOVAの奴、暑さでボケてるのか? FFでサイバーパンクだと、これだろう?」

リバT『ゲーム界におけるサイバーパンクと言えば、1988年以降という常識がありますが、その作品は1985年のもので、サイバーパンクRPGが登場する以前ですね』

 

アスト「ジャンルはスーパーヒーロー物だが、ネット回線でつながった情報社会と企業戦争という要素が加わる前のプレ・サイバーパンクと言ってもいい世界観だぜ、これは」

 

リバT『そう、サイバーパンクの一般イメージは、電脳空間へのダイビングで、そこから発展したのがVRとか、ゲーム世界に閉じ込められて出られないとか、それがさらに発展したのが異世界転生系の物語だと分析できます』

 

ダイアンナ「ええと、現在の異世界転生ファンタジーの源流にサイバーパンクがある?」

 

リバT『コンピューターの向こうに架空世界を構築して云々というのが、80年代のSF未来感覚ってもので、そこからゲーム世界と思われていたものが現実を侵食するなり、リアルとヴァーチャルの境界線とかインタラクティブな関係性とかが一つの文学テーマにもなって来ます。そして、80年代や90年代にはSFの世界と考えられていた近未来像が、世紀が新しくなって、主に映像表現や人工知能などで次第に実現しているのが、今の令和時代ですね』

 

アスト「だから、昭和末期から平成初期に考えられていた未来像で、現在に何が実現して、何がまだ未実現なのか考察することに意味はある、と?」

 

リバT『そして、FFシリーズも、ファンタジーだけでなく、SFジャンルも継続していれば、90年代にサイバーパンクの本格的な作品が発表される可能性もありましたが、アーロック以降はSF作品が作られなくなりましたからね』

 

ダイアンナ「なるほど。ジャンル的に、アーロックがつぶした未来というのもあるわけだ」

 

リバT『それでも、アーロック以前に書かれたSFゲームブックの中に、プレ・サイバーパンクの要素を感じさせる作品があるわけですよ』

 

ダイアンナ「例えば?」

 

リバT『まずは、宇宙SFものだけど、敵が大型コンピューターという18巻「電脳破壊作戦」が挙げられます』

アスト「コンピューターに対する物理的破壊工作かあ。サイバーパンクだと、ネット回線を使ったハッキングとかになりそうだけど、サイバーパンク以前だから力任せで機械を壊すしかない、と」

 

リバT『ネット回線とか、コンピューターウィルスというものが物語の材料にはなっていませんね』

 

アスト「時期的には『サイボーグを倒せ』と同じ1985年か。主人公は、破壊工作や潜入捜査のプロフェッショナルだが、コンピューター操作の技能は持ってない」

 

リバT『でも、実はこの作者のウォーターフィールドさんは、後の作品で擬似的にサイバーパンクっぽい描写をファンタジーで示すんですよ』

 

ダイアンナ「ファンタジーサイバーパンク? どういうことだい?」

 

リバT『原書が87年の「恐怖の幻影」ですね。この物語の主人公はエルフで、現実世界と夢の世界を行き来する能力を持っています』

ダイアンナ「ああ。現実と重なるように、幻想的な夢世界があるってことだね。言ってみれば、アストラル世界に侵入できるという特殊能力だ」

 

リバT『アストラル世界は、いわゆる魔法による概念なんですが、サイバーパンクにおけるネットランナーが探索するVR(仮想現実)やAR(拡張現実)に通じるものがあるんですよ。この辺の魔法とネット空間の関係性は、シャドウランみたいな作品だと、しっかり設定されているわけですが、総じて魔法使いは自然重視派で、機械重視派のネットランナーとは相性が悪い。魔法は機械を嫌うという原則があって、アストラル体は機械のセンサーに映らないとか、それでもアストラル体を観測できる魔法にも詳しい技術者が出て来たり、常識の壁を突破する天才科学者はサイバーパンクの類型なんですが、さておき』

 

アスト「常識の壁を突破するって設定は、先にその世界の常識がどのようなものか、作者がしっかり設定して、読者に伝えないと、絵に描いた空論だからな」

 

ダイアンナ「何が常識かという描写をすっ飛ばして、常識外れというものを描いても、その衝撃が読者には伝わらない、と」

 

リバT『だから、物語を描くには、受け手に感情移入しやすい常識解説役にして驚き役が必要なんですね。「すごい。普通だったら、こうなるはずなのに、今、ぼくたちの前で起こっているのは、それを凌駕した異常事態だ。こんなことは初めてだ!」と、そこそこ詳しい知識を持った者が驚いて、読者も含む素人に伝えてくれるからこそ、一緒に驚くことができる』

 

アスト「まあ、映像作品だと、言葉で伝えなくても、見ているだけで凄いってのはありだけど、それでも見えるものの意味をしっかり言葉で解説してくれると、物語のポイントが分かりやすい」

 

リバT『ともあれ、「恐怖の幻影」の幻想的な夢世界への侵入は、サイバーパンクネットランナー系の描写に通じるものがあると、今なら断言できるわけですね。まあ、科学技術が進化して魔法みたいなイメージを持つようになったとも言えるわけですが』

 

ダイアンナ「『恐怖の幻影』はファンタジーだけど、見方を変えれば、サイバーパンク的なVR感覚を味わえる、と」

 

リバT『むしろ、宇宙SFよりも内面的な擬似世界の探索という意味では、個人のアイデンティティを模索する傾向の強いサイバーパンクの文脈に則しているのかもしれません』

 

アスト「そういうことだったら、『モンスター誕生』もバイオテクノロジーで改造された実験生物の自分探しという意味で、世界観はファンタジーでも、内面はサイバーパンクなのかもな」

 

リバT『サイバーパンクを文字どおり受け止めるなら、「最新鋭の超技術に翻弄されながらも何とか扱いこなして、社会の権力者に対して反抗ないし自己主張で己の存在意義を確かめるクールな生き方や、抑圧からの解放」ですからね。機械的な改造とか、ネットワークへの接続みたいな技術面は、そういうガジェットというだけで、内面の本質じゃない』

 

ダイアンナ「未知の超パワーと、それを生み出しはしたが扱いきれない造物主や社会への反抗がサイバーパンクの内的なテーマってこと?」

 

リバT『反抗がなければ、パンクじゃない。ただ、反抗の先に自分らしいスタイルの構築ができなければ、物語としては帰結しない。ただの自分を持たない反抗者なだけでは、物語の主人公たり得ない。「世界はあんな感じだが、俺の生き方はこうなんだ」と力強く宣言、あるいは内面の矜持として示し得てこそ、そこに感情移入できる、と』

 

アスト「お前は何がしたいんだ? という問いかけに、自分らしく応じられないキャラじゃあ、主人公としてもつまらないからな」

 

リバT『ゲームブックの場合は、アイデンティティの模索といっても、主人公がきみ=読者なので、そこまで掘り下げることは、なかなかできないんですけどね。さておき、近未来という要素なら、FF13巻「フリーウェイの戦士」が荒廃した未来社会という点で、サイバーパンク物の一要素を踏まえているように見えます』

アスト「この作品では、2022年8月21日に原因不明の疫病が世界中に蔓延して、人口の85%が死に絶えた未来を描いているんだな」

 

ダイアンナ「一昨年じゃないか」

 

リバT『世界崩壊の原因として、当時は核戦争や巨大隕石というネタが多かったわけですが、謎の疫病という背景も珍しいですね。バイオハザードは、90年代だと定番になるわけですが、バイオテクノロジーで作られた未知のウィルス、要塞化された隔離都市、食料や資源の確保のために武装化した人々、そして残された幹線道路の周囲に巣食う荒くれ者たち、いかにもマッドでマックスな世界観というものです』

 

アスト「これで、主人公の乗ってるマシンのダッジ・インターセプターに会話可能なAIが搭載されていれば、サイバーっぽいんだけどな」

 

リバT『当時のアメリカでは、「ナイトライダー」(1982〜86)まで放送されて、人気を博していましたね。90年以降に作られた続編などでは、サイバーパンク風の描写(脳にチップを埋め込むなど)もあって、コンピューター制御された武装マシンという未来イメージを強化しております』

アスト「まあ、『フリーウェイの戦士』は荒廃した未来だから、こっちのイメージなんだろうけどな」

 

ダイアンナ「とにかく、FFシリーズの背景の土台は基本的に80年代のものだったから、90年代のゲーム界で花開いたサイバーパンク風味とはつながらないけれど、それでもプレ・サイバーパンク的なSF観という形で通じるものもあるって結論かな」

 

アスト「一口にサイバーパンクと言っても、そこに通じる様々な源流や支流があるってことだな。とにかく、FFコレクション5からSFゲームブックも取り上げられるので、今後はそういう話にも展開していいんじゃないかな、と思う」

 

リバT『その前に、まず「真夜中の盗賊」のプレイをお願いしますね』

 

NOVA「ああ。次回から〈バジリスクの瞳〉探しのシティアドベンチャーと、その後のダンジョン探検を頑張るぜ」

(当記事 完)