ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「真夜中の盗賊」攻略感想(3)

大商人の自宅へ

 

アスト「前回で〈忍べない盗賊〉ということが確定した見習いピート。それでも何とかL字マークのカギを入手して、商人ギルドでの探索は終了したわけだ」

 

リバT『最初の技能選択で、〈目利き〉よりも〈忍び足〉を習得する方が攻略しやすいという意見もあるみたいですね』

 

アスト「それでもオレはパーフェクト盗賊を目指したかったんだよ。追いはぎを倒して、ボロ布を入手すれば全技能が使えるようになる、と思っていたんだが、追いはぎから強制的に逃げさせられるとは思っていなかったんだな」

 

ダイアンナ「パラグラフ解析はしたんじゃなかったのか?」

 

アスト「したけど、詰めが甘かったようだ。技術判定に失敗したら、追いはぎ3人から逃げられないので仕方なくバトル。判定に失敗することがパーフェクト盗賊になるのに必要とは、今回、じっさいにダイスを振るまで実感しなかったわけで」

 

リバT『パラグラフ解析ですと、どこでモンスターと遭遇して、どれぐらい強いかとか、どこでどんなアイテムが入手できて、それをどこで使うか、また攻略必須なイベントは何かを調べることはできますが(ノートに記録済み)、ダイスを振った実プレイでない以上は、やはりどこかの認識に盲点や見落としがあるものなのですね』

 

ダイアンナ「ストーリーの大筋は分かるし、最適解も見つけやすくなるけど、いろいろな情報が錯綜したのを実プレイによって、すっきりさせることも必要なわけだ」

 

アスト「まあいい。これからはパーフェクトじゃなくても、忍べない盗賊であっても、試練は果たせることを示すだけだ。さあ、いよいよ街の探索の大詰め、大商人ブラスの家に向かうぞ」

 

リバT『ブラスの家があるのは、アズール卿の宮殿近くの高級住宅街で、警備兵も他の場所の倍近く配備されています。〈姿隠し〉の技能を持っていますか?』

 

アスト「忍びたくとも忍べない。それが今のピートだ」

 

リバT『すると、夜間のパトロール中の警備兵2人に怪しまれてしまいますね。選択肢は、戦う、走って逃げる、賄賂を渡す、近くのドアに飛び込むの4択です』

 

アスト「走って逃げる」

 

リバT『技術判定です』

 

アスト「フッ、4を出して成功。昔から逃げ足だけは誰にも負けないんだ。スピード・ピートとはオレのこと」

 

ダイアンナ「あまり、自慢にはならないけどね」

 

リバT『しかし、盗賊稼業では重要な資質でしょうね。正々堂々の騎士や、戦いが本分の戦士と違って、盗賊は危険をいかに回避できるかが優秀さの証明ですから。なお、他の選択肢だと、こんな感じの処理になります』

 

  • 戦う:警備兵1(技8、体6)、警備兵2(技7、体5)と同時戦闘。倒しても得られる物は何もない。
  • 賄賂:金貨6枚で確実に見逃してもらえる。5枚以下なら1Dでその目以下を出せばいい。
  • 近くのドア:運だめしでドアに鍵がかかっていないかを決める。成功すれば、民家に飛び込んで、中から施錠して警備兵を足止めできる。その後、眠っていた家の住人が異変に気づいて動き始める前に、部屋の奥の窓から外に脱出成功。

 

ダイアンナ「衛兵の目をごまかすのに、いろいろな選択肢があるのが本作の特徴だね」

 

リバT『戦う以外の選択肢がいつもより充実している感じですね』

 

アスト「とにかく、戦いは最後の手段だ。もっと器用に立ち回るのが盗賊らしさってものよ」

 

ダイアンナ「上手く立ち回れば、街中では一切バトルしなくても物語を進めることができる、と」

 

富豪館への侵入

 

リバT『では、パトロールの警備兵から何とか逃げ出したピートさん。その後は、妨害されることなく、目当ての屋敷の前に到着します。ドアにコインの印の付いてる二階建ての石造りの館と、船のオールの印が描かれた木造家がありますが、どちらに入りますか?』

 

アスト「情報ではコイン印がブラスの家だと分かっているが、オレの〈感知〉と〈目利き〉と〈盗賊の勘〉の3つの技能が訴えるところによれば、もう一軒に素晴らしいお宝の匂いがプンプンした」

 

ダイアンナ「〈盗賊の勘〉なんて技能はあるのかい?」

 

リバT『本作ではありません。アストさんが勝手に言ってるだけです』

 

ダイアンナ「攻略記事としては紛らわしい。読者が信じたらどうするんだ?」

 

アスト「盗賊の言葉を信じるのが悪い。しかし、もう一軒にお宝アイテムがあるのは本当だ。〈錠破り〉技能もしくは合い鍵を使って侵入すると、黒いフード付きマントが入手できる。これさえあれば、〈姿隠し〉の技能が手に入るうえ、身に付ける衣服扱いだから持ち物制限には引っかからないお得アイテムだ。これで忍べないけど隠れることはできる盗賊として面目躍如ってことだな」

 

リバT『さらに調べると、この家の住人はサイラス・ホワイトベイトという交易商人に雇われたマーリン船長(船の名前はファートレーダー号=遠洋交易者の意)ということが分かりますが、ぶっちゃけ本作の攻略には関係ありません』

 

アスト「タイタン人物事典とか、オリジナルシナリオを作る際には使える情報かもな。サイラス・ホワイトベイトとか、マーリン船長ってキャラは」

 

ダイアンナ「そんな情報を知って喜ぶのは、マニアだけだろう。とにかく関係ない家なら、さっさとずらかって本命のブラス宅に行くべきだ」

 

リバT『コイン印のブラス宅に侵入する際も〈錠破り〉技能が必要になりますね。なければ、排水管を登って2階の窓から侵入という手になりますが』

 

アスト「合い鍵があるから普通に表玄関を開けるぜ。排水管ルートも後から確かめるけどな」

 

リバT『1階から侵入すると、玄関口の左手に階段がありますが、その側に鎧が飾ってあります。また、階段の踊り場の下にドアがあって、使用人の部屋だろうと推測できますね。選択肢は3つ。素直に階段を上るか、鎧を調べるか、使用人の部屋に入るかです』

 

アスト「余計なことに手を出している時間はねえ。まっすぐ階段を上るぜ」

 

ダイアンナ「だがしかし、あたしも読者も鎧とか使用人の部屋に何があるか気になるだろう。ここは危険を冒して解説するべきではないか」

 

アスト「では、〈感知〉と〈目利き〉と〈盗賊の勘〉を駆使した脳内シミュレートを行うぜ。鎧を下手に調べると、ガラガラガシャンと倒してしまい、探索に支障をきたす危険がある。良くて金貨1枚入手できるだけで、メリットがほぼない」

 

ダイアンナ「鎧が侵入者除けの仕掛けで、階段を上ろうとする者に奇襲攻撃を仕掛けてくる可能性は?」

 

アスト「そんなセキュリティがあったら、中の住人の日常生活の方に支障が出るだろうな。引きこもりの研究者の実験施設とか魔法使いのアジトならともかく、商人の自宅にリビングアーマーが飾ってある可能性はまずない」

 

リバT『あったとしたら、それはシナリオの作り手のセンスに問題がありそうですね。一方、使用人の部屋にこっそり侵入するには、〈忍び足〉の技能が必要になります』

 

アスト「ピートは忍べないからなあ」

 

リバT『忍べないなら、使用人と彼の飼っている番犬に気づかれて、てんやわんやの大騒動になってゲームオーバーですね。忍べても、ここには用がないと見切って、メリットは皆無です』

 

アスト「だから余計なことはしないで、まっすぐ2階へ行くのが正解なわけだ」

 

ダイアンナ「納得したよ。では、2階に上がった」

 

リバT『すると、左手にドアがあって、さらに右手のバルコニーに続く踊り場には3つのドアが見えます』

 

アスト「先に左手のドアから調べるぜ」

 

リバT『鍵が掛かっていますね』

 

アスト「合い鍵だ」

 

リバT『開いた扉の中は豪勢な書斎です。机と、部屋全体を調べることができます』

 

アスト「先に机だな」

 

リバT『特に重要な手がかりになりそうなものは見当たりませんね。金貨5枚相当の銀のペーパーナイフぐらいです』

 

アスト「余計な手荷物になりそうだからスルーして、部屋を調べよう」

 

リバT『部屋を探ると、上物ブランディが一瓶(体力2点を3回回復可能)、金貨2枚の価値がある銀の額縁の絵などが見つかります』

 

アスト「実用品のブランディだけ持って行く。芸術関連の知識は素人だし、今夜はギルド入団の試練だから、よけいな盗みに手を出してる余裕はない」

 

リバT『それとブラスの肖像画が部屋に飾ってあったのですが、その後ろに金庫が隠されていました』

 

ダイアンナ「本棚の後ろに隠し部屋とか、肖像画の後ろに隠し金庫とか、よくある仕掛けだね」

 

アスト「金庫を調べると?」

 

リバT『情報どおり、2つの鍵穴がありますね。Lの鍵と、Rの鍵が必要ですが』

 

アスト「Lの鍵なら持ってるぜ。もう一つの鍵は、〈錠破り〉技能か合い鍵で何とかなるはずだ」

 

リバT『何とかなりました。パラグラフ335をメモしてください。金庫の中には、金貨20枚と、バロウの丘云々の手紙が見つかって、「バのひ」という暗号もメモもあるのですが、正直よく分かりません。おそらくは数字情報を並べる順番だと思うのですが、言語依存のパズルで日本語だと分かりにくいのかな、と推察します。もっとも暗号の意味が分からなくても、攻略に支障はないのですが、読者さんで解説できる人がいればありがたいですね』

 

ダイアンナ「バだけがカタカナということは、〈バロウの丘〉という地名を指しているのだと思うが」

 

アスト「〈バジリスクの瞳〉の可能性もあるがな。とにかく本作の謎解きで重要なのは、言語パズルじゃなくて、3つのパラグラフ番号を集めることなんだ。これでこの場所での用事は済んだ。早速、〈バロウの丘〉とやらへ向かうぜ」

 

ダイアンナ「おい、アスト。踊り場のドアとか、Rの鍵とか、排水管を登ったルートとかはどうなるんだ? あたしも、読者も、それが気になると夜しか寝れないだろう?」

 

アスト「夜に寝れたら十分だろう? まあ、盗賊見習いのピート君は、今夜の試練のために徹夜のダンジョン探索をしないといけないんだが」

 

リバT『本作は、たった一晩の物語なんですね。それでも体力回復用の食料は10食という、リアルに考えたら、1日にそれほどたくさん飯食えるのか、というツッコミができるのですが』

 

アスト「だからと言って、リアルを重視して、食料3食だけねと言われてもイヤだし。食料10食とポーション1本はシリーズ伝統だと思うので、それがないと何だか寂しいし、攻略がキツそうと思うわけだ。いつもあるものがないと、それだけで不安だな。ところで、本作の主人公の武器は短剣1本のはずなのに、本文では剣と表記されて、どっちなのか疑問に思うこともある」

 

ダイアンナ「短剣も剣の一種なのではないか?」

 

アスト「これは昔からファンタジーゲームの訳語につきまとう問題で、一般的にはロングソード=長剣、ショートソード=小剣、ダガー=短剣と訳されている(D&Dなど)。しかし、中にはショートソードを字義どおり短剣と訳している事例もあって、もしかすると本作の短剣はダガーではなくて、ショートソードなのでは? と今、思い立って英語版のサイトをチェックすると、やはり主人公の武器はショートソードだった」

 

ダイアンナ「武器の分類として、ダガーは剣ではないけど、ショートソードは剣なんだね」

 

アスト「武器の大きさとして、ダガーは刃の部分が10センチ前後で、持ち手が5センチほど。ショートソードは刃が30センチから50センチだから、かなり違うんだな。ダガーは懐に隠し持つことができるけど、ショートソードは難しい。10センチ物差しはポケットに入れることができても、30センチ物差しは無理じゃないか」

 

ダイアンナ「ダガーはポケットサイズで、ショートソードは持ってると分かるぐらいか」

 

アスト「日本の侍は大小2本の刀を持つスタイルがあるが、大刀はロングソードで刃が70〜80センチ。ショートソードの倍近いサイズだな。剣道の竹刀は1m前後で、武士が一般に使う刀よりも長いのは材質の軽さゆえだ。そして小刀は、中村主水愛用の脇差しで、これが片手で使える暗殺剣としてちょうどいい。若い日の主水は、大刀も脇差しも両方使えて、最盛期は二刀流スタイルも駆使していたが、仕事人時代になると大刀を使ったチャンバラは稀になり、素早く脇差しで不意打ち一突きが主流になる。より暗殺特化型になるんだ」

 

リバT『それは、主水さんの仲間の浪人、畷左門さんが豪快な大刀剣術を駆使するスタイルだから、その差異ですね』

 

ダイアンナ「マニアックな時代劇話はともかく、本作の主人公のメイン武器がダガーなのか、ショートソードなのかはイメージが大きく変わって来るよね」

 

アスト「まったくだ。オレはずっとダガーのイメージで考えていたから、ピートのメイン武器がショートソードだと知って、脳内での映像を修正中なのが今だ」

 

リバT『FFゲームブックのルール上は同じなんですけどね。AFFだと武器によるダメージ差が存在しますが』

 

アスト「では、考察寄り道ついでに、完全攻略のためのIFルートを見てみるか。先に、ここまでのキャラシートだけセーブしておいて」

 

★盗賊見習いピート

 

・技術点11

・体力点16/20

・運点10

 

・盗賊技能:〈すり〉〈感知〉〈目利き〉

・アイテムによる追加技能:ロープとかぎ爪による〈壁登り〉、合い鍵による〈錠破り〉、黒マントによる〈姿隠し〉

 

・食料10食

・金貨18枚→38枚

・装備:ショートソード、短剣1本、革衣、明かりセット

・背負い袋の中身(6つまで):食料、運の薬、ロープとかぎ爪、Lの鍵、ブランディ(体力2点回復×3回)(残り2つ)

(合い鍵、マントは個数制限に含まれない)

・情報:マダム・スターのパラグラフ289

    ブラスの事務所のパラグラフ90

    ブラスの家のパラグラフ335

 

ブラス宅のIFルート

 

アスト「それでは、脳内シミュレートによる空想妄想タイムだ。まずは、排水管から登ってみよう」

 

ダイアンナ「排水管から登るという選択肢が、本作の特徴みたいだね。他のゲームブックではあまりないシチュエーションだと思う」

 

リバT『排水管から登る際には、運だめしが必要です。失敗すると、排水管が体を支えきれずに、バキッと折れて大事になりますよ。大きな物音で近所の人たちが目覚めて、ヤジ馬が出て来るので〈姿隠し〉がなければ見つかって、慌てて逃げ出すことに。この場の探索は不可能になって、結果的に攻略失敗のバッドエンド確定です』

 

アスト「〈姿隠し〉があれば、見つからずに再挑戦できるんだな」

 

リバT『それでも排水管は折れたままなので、今度は〈壁登り〉技能が必要になりますが』

 

アスト「ロープならある」

 

リバT『すると、排水管を登るのに成功したのと同様、2階の窓から覗き見することができます(パラグラフ238番)。ただし、窓には泥棒除けの鉄の柵が施されているため、そこから侵入することはできませんがね。結局、〈錠破り〉技能がなければ、ここでの探索は詰んでしまうんです』

 

ダイアンナ「やはり、一人前の盗賊には鍵開け技能は必須ってことだね」

 

アスト「合い鍵を譲ってくれた名もなき物乞いには感謝だな。彼の助けがなければ、今夜の試験には合格できなかった。盗賊にとって大事なのは、個人の技量もさることながら、足りないところを補ってくれる人脈作りということかもしれない」

 

ダイアンナ「実は、その名もなき物乞いさんが盗賊ギルドのお偉方で、ピートがギルドのメンバーとして仲間と上手くやって行けるか、コミュニケーション能力を試していたのかもしれないね」

 

アスト「なるほどな。試験だから、どこかにヤラセの試験官が潜んでいる可能性も十分に考えられる。こんな感じか?」

 

見習い『ええ!? あんたはあの時の物乞い? まさか……』

 

試験官『ホホホ、若いの。お前さんはあの時、わしを威圧することなく、親切に振る舞ってくれた。情けは人のためならず。ましてや相手を格下と思って、居丈高に振る舞うイヤな奴は、わしらのギルドには欲しくない。他人に冷酷非情な身勝手人間は他人からの助けも得られない。ギルドとは助け合いの場なのじゃ。

『もちろん、個人の実力が伴わなければ、助け甲斐もなかろうがの。相応の実力を示し、足りないところは人のコネを大事にできる、そういう人材こそギルドにはふさわしい。そして、何よりも用心深さと天性の運が伴えば、長生きできるじゃろう』

 

ダイアンナ「やけに説教くさい試験官だね。ブラックサンドの盗賊ギルドって、もっと非情な悪党集団だと思っていたよ」

 

アスト「身内と認めた相手には、相応に義理堅いんだよ。単にドライなだけでは、裏稼業として長持ちできない。情と非情のせめぎ合いこそ、裏稼業ドラマの醍醐味って奴だな」

 

リバT『来月発売の必殺シリーズのインタビュー本を楽しみにしているので、作者のグランドマスターもそろそろ脳内必殺脳となりつつあるようです』

ダイアンナ「だからか。さっきから中村主水がどうこうという話になったのは」

 

アスト「あと、ブンブンジャーだな。番組開始時のメインライター・インタビューで、この戦隊の裏設定に必殺シリーズの影響を仕込んでいる、との話だったが、それが本格的に見えて来たのが、今のタイミングっぽい」

 

ダイアンナ「ただの金持ち道楽ヒーローじゃないんだ」

 

アスト「赤は元締めで、他に必殺視点からキャラ配置を読み取れる要素もあるんだが、情報屋とか調達屋とか始末屋とかキーワードで雰囲気だけ作ってきたのが、いよいよ裏が表に出てきた転回期だな。もちろん、世紀末サイバーパンクの要素からも分析できると思うが、日本のサイバーパンクアウトロー時代劇の文脈に影響を受けたりしているからな」

 

リバT『サイバーパンクの方が、近未来エキゾチック要素として日本要素を積極的に取り入れましたからね。古典的な映像作品では「ブレードランナー」が挙げられますが、以降もストリートを歩く戦闘サイボーグをサムライと呼ぶとか、企業ニンジャとか、ヤクザと呼ばれる東洋マフィアとか、ゲイシャガールとか、80年代から90年代は日本文化がヨーロッパの既成文化に反抗するパンクの象徴の一つと見なされていた時期もあったわけです』

ダイアンナ「FFシリーズで日本風といえば、やはりこれみたいだね」

アスト「これはこれで、本作に先駆けて、特殊技能ルールを初採用したFFゲームブックと思う。魔法を除く特殊能力は、SF系以外では見られなかったからな」

 

ダイアンナ「それはまた面白そうなんだけど、プレイの予定は?」

 

アスト「作者コンビは『死神の首飾り』の人たちだからな。そちらが先になるだろうさ。どうやら東洋風ファンタジーが得意な人たちみたいで、FFゲームブックでは2冊だけだが、FF以外でもゲームブックをいっぱい出していて、その中で日本のゲームブックマニアにも有名なのが『タイガー暗殺拳』だ」

リバT『話が大きく脱線しましたので、そろそろ元に戻しましょう。ブラス家の2階の窓からは結局、侵入できないのですが、パラグラフ238番から中を覗き見ることが可能なんですね。窓から見えるのは、左手が小さな女の子の寝室。右手が中年夫婦の寝室です。家の中から入る際は、左右が逆になっていることに注意しながら、一応、探索の手がかりになっていると思えば』

 

アスト「では、改めて1階から侵入して、踊り場のドアを調べるか」

 

リバT『そちらに向かったパラグラフ45番。3つのドアの右側から、白ローブを着た若者が歩み出て来ます。選択肢は、隠れる、家から逃げ出す、攻撃するの3択です』

 

アスト「逃げ出すのと、攻撃は論外だと思うので、隠れるんだろうな」

 

リバT『それが無難ですね。男は侵入者に気づくことなく、夢遊病者らしいふわふわした足取りで、自分の部屋に戻って行きました。運点を1点回復できます』

 

アスト「とは言え、ここまでは運を使っていないんだよな。念のため、攻撃していたら?」

 

リバT『寝ぼけていただけの男が悲鳴をあげて、これ以上の探索は不可能になります。攻略失敗ですね』

 

アスト「だろうな。オレは押し込み強盗じゃないんだから、暴力的な行為は禁じ手だ。隠れてやり過ごすのが最適解ってことだな」

 

リバT『やり過ごした後は、パラグラフ325番で3つのドアを調べることができます。左手(277)と、右手前(70)、右奥(76)の3択ですね』

 

アスト「若い男が出て来たのは?」

 

リバT『右奥ですね』

 

アスト「そっちに行っても仕方ないんだな。右手前は?」

 

リバT『小さな少女の寝室です』

 

アスト「オレがロリコン趣味の変質者なら、へへへと忍び寄って不埒な行為に及ぶところだが……」

 

ダイアンナ「おい、アスト。お前という奴は……」

 

アスト「ちょっと待て、アニー。あくまで仮定の話だ。オレはロリコン趣味の変質者なわけがないだろう?」

 

リバT『そうでしょうか? 今年6歳を迎えたばかりの花粉症ガールの翔花さんに長らくストーカー行為を働いた事実は厳然としてありますが?』

 

アスト「いや、翔花ちゃんは外見年齢14歳だったはず。いくら何でもオレに幼女萌えの性癖はない」

 

リバT『そもそも、ロリータの愛称を持つ原作小説の少女ドローレス・ヘイズは劇中で12〜14歳です。つまり、ロリータは幼女ではなく、中学生相当。そんな娘に30代後半の中年男性ハンバート(文学系の大学教授)が恋焦がれ、彼女の母親の未亡人シャーロット(30代半ば)と結婚したものの、シャーロット死後にドローレスに懸想して逃げられる話です』

 

ダイアンナ「20歳以上年下の少女に惚れる大学教授か」

 

リバT『まあ、大学教授が女子大生に惚れるなら、それはそれでトラブルの元ですが、相手が成人に近いので倫理的には許されるかもしれません。しかし、教授は中学生にしか反応しない。と言うのも、自分の中学時代の恋人が早逝して、彼女のことが忘れられないという設定だからです。思い出の中の恋人は永遠の中学生の理想像として強く心に残っているため、その年頃の娘にしか反応できないという設定』

 

ダイアンナ「死に別れた恋人への満たされない鬱屈した想いが、原作のロリコンの起源か」

 

リバT『日本でロリコンという言葉がブームになったのは1982年ごろと言われて、当時のアイドルブームに紐づけられますね。つまり、アイドルやアニメの美少女キャラに20代の若者が熱狂する現象がロリコンと呼ばれ、原作小説の娘ぐらいの歳の差はなく、美少女アイドルオタク=ロリコンと呼称される流れ。

『しかし、80年代末の幼女連続殺人事件に端を発するマスコミのオタクバッシングの中で、ロリコン=幼女に欲情する異常性癖に意味が書き換えられていく過程がありました。つまり、本来は中学・高校生のアイドルブームから生まれた美少女概念=ロリータだったのが、90年代にもっと年下にシフトしていった現象もあるわけです』

 

アスト「で、どうしてロリコンの話になっているんだ?」

 

ダイアンナ「そりゃあ、アストが小さな少女にへへへと忍び寄って、不埒な行為に及ぼうとしたからだろう?」

 

アスト「だから、そんなことはしていねえ。大体、少女と言っても、こんな絵柄だぞ。萌えられるか!?」

リバT『パラグラフ60番。真夜中の侵入者に悲鳴を上げる少女の図ですね。これを目撃すると、もう慌てて逃げ出すしかないので、攻略失敗です』

 

アスト「そう、ホラーみたいな絵柄の萌えられない悲鳴少女のために、ミッションを失敗するわけにはいかないって話だ。これが可愛い萌え美少女の悲鳴なら、ご褒美になるから攻略失敗しても見る価値があると思うが、さすがにこれはネタになっても、ご褒美にはならない。表紙も本文も、イラストレーターはジョン・シビックという名前だが、萌え絵を期待するような作風じゃない」

 

ダイアンナ「他にどんな作品があるのさ?」

 

アスト「FFでは『仮面の破壊者』の表紙絵と、『甦る妖術使い』の本文絵。そしてAFF1版の表紙および本文絵みたいだな」

リバT『それと忘れていけないのが、ウォーハンマーの表紙絵です。伝説のモヒカン・ドワーフを生み出した最初の画家と言ってもいいでしょう』

リバT『得意ジャンルは、古代の恐竜や動物絵、モンスター関連ですね。実はブラスの娘の少女もモンスターなのでは? と仮説を唱えてみます』

ダイアンナ「メデューサとかバンシーとかの系譜か。確かに、この人の絵で一番萌えたのがこのコアラの絵だな」

 

アスト「なるほど。モンスターだったら、遭遇しただけでバッドエンドになるのも納得だ。リアル世界でも、痴漢の冤罪をかけられたら社会的に抹殺されるそうだし、君子、危うきに近寄らずってところか」

 

リバT『で、本来、探索すべきなのはパラグラフ277のブラスの寝室なのでしょうが、実は〈忍び足〉か〈姿隠し〉のどちらかと〈すり〉の技能が両方なければ、寝ているブラスの首からRの鍵を入手することができないんですね』

 

アスト「忍べないけど、隠れるぜ」

 

リバT『その場合、部屋に入って、うっかり床をきしませてしまい、危うくブラスを目覚めさせそうになります。その後、動かずに息を潜めて隠れると、相手が再び眠りに就くので、近づいてRの鍵をすり取ることに挑戦しますが、技術判定に成功しなければなりません』

 

ダイアンナ「いろいろリスクがあるんだね」

 

アスト「だから、Lの鍵だけ入手して、もう一つは〈錠破り〉で代用する方が手っ取り早いし、リスクも少なめなんだな」

 

リバT『ともあれ、IFルートでいろいろ想定外の寄り道をしてしまいましたが、見習い盗賊のピートさんは何とか全ての必須情報を集めて、いよいよ〈バジリスクの瞳〉の隠し場所に向かうことになります。次回は、パラグラフ144番からスタートするってことで』

(当記事 完)