不忍(しのばず)の盗賊と、忍びの娘
「それで先輩は幹部になれたんですね」
いつもは細い目を丸く見開いて、娘は驚きと感心を示して見せた。
「まあな」
尊敬の目で見られる気分は悪くない。徒弟の身では味わえなかった感情に最初は戸惑いもあったが、じきに慣れた。命を賭けた試練の報酬の一つとして、味わえる美酒だ。羽目を外さない限りは酔い痴れてもいいだろう。
「それで、その宝石……〈バのひ〉ですか? 今でも持ってるのですか?」
〈バのひ〉、つまり〈バジリスクの瞳〉の隠語だ。
さすがに、こんな酒場で盗品のお宝の名前を堂々と口にしない程度の分別は教え込んだ。出会ったときはバカ正直な田舎娘で、頭を抱えることも多々あったが、裏稼業の世界で、少しは様になって来たと言えるか。
その夜、後輩の見習い娘には、オレが成り上がるに至った冒険譚を語って聞かせたが、全てではない。例えば、この試練がギルドの仕込みであったことや、最後のお宝が偽物のガラス玉だったことなどは秘密のままだ。
ギルドの体面にも関わるし、この娘がいずれ幹部試験に挑戦する可能性もあるのだから、全てを明かすことは禁じられていた。試練は本気で、命がけで挑まなければならないし、もしも最初からヤラセであると分かってしまえば、甘えも出て来るだろう。
調子に乗った種明かしは、二流の手品師だってしない。小手先の初歩の技ならともかく、深奥の秘儀は黙して語らず、才ある者のみが悟れる程度に仄めかすべし、とラニックが語っていた。
そして、この娘に才があるかを見極めよ、と。
娘の名前は〈山猫のリサ〉。
細身のしなやかな肢体と、細くて鋭い瞳が見た目の特徴で、ダークウッドの森育ちという。
典型的な世間知らずの田舎娘だが、よりによって盗賊都市の悪名高いブラックサンドに足を踏み入れるとは、うかつ者にも程がある。
一応、野育ちの忍びの技術に自信はあったのだろうが、門番の目をすり抜けて、こっそり街に侵入しようとしたら捕まった。
野外と都市では、忍びの作法にも違いがある。〈忍び足〉の苦手だったオレにでも分かることだが、野外の忍びは自然環境に自分を溶け込ませるらしい。都市でも理屈は同じだが、自然ではなく、人工環境であり、人の中に自分を溶け込ませることが重視される。
例えば、ブラックサンドによくいる物乞いだが、彼らは堂々と人前に姿をさらしながら、壁際の隅っこに引き下がっている。野生の獣なら、あっさり見つけ出して、無力な連中を餌食にするかもしれない。
しかし、都市では風景の一部として堂々と乞食商売している彼らを、住人たちはあまり気にかけない。道端に石ころが転がっていても、誰も気にしないように。まあ、たまに面白がった子どもが蹴飛ばしたり、神経質な掃除人が排除したりすることもあるかもしれないが(稀に慈善家が小銭を恵んでやったり、オレみたいに情報を求める裏稼業の人間が関わったりするケースはもちろんとして)、都市という環境に適した自然体の忍びの技もあるわけだ。
単に隠れるのではなく、姿は見せても目立たなく自然体に振る舞うのが、都市での忍びと言える。しかし、いかにも他所者って風体の田舎娘が、白昼堂々と忍んでいるつもりでコソコソしていたら、怪しさ抜群というものだ。衛兵の目に留まらないはずがない。
そんなわけで、リサは捕まって投獄された。
そこで、このオレ、〈不忍(しのばず)のピート〉と出会うことになったわけだ。
オレが〈不忍(しのばず)〉の異名を持つようになったのは、オレの短所と長所の両方を表しているからだ。
徒弟時代に〈忍び足〉が苦手だったことが一つだが、その逆に他人の忍びや隠れたものを見つけるのは昔からの得意分野で、オレの前では「何ものも忍ぶことができない」という意味で、名乗り続けている。ラニックの下に就くようになって忍びの技も伝授してもらったが、今でもオレを「忍べない」と勘違いしている輩は多い。意識して、堂々と動き回っているからな。
オレが目立つことで、仲間の隠密任務を助ける囮役になっているとか、ラニックの従者として知られた男が目を付けているぞって脅しとか、堂々と存在感を見せつけることが必要な仕事も回ってくる。
また、「忍べない」という評判は、オレにとって有利にも働く。オレを欠点持ちの若造と甘く見た敵が、オレの潜伏に気づかずに不意を突かれるというケースも何度かあって、能ある者は己を低く見積らせることで利を得るとの猛禽の格言どおりだ。
もちろん、隠すあまり、いざ爪が必要なときに錆びついてしまっていては意味がないので、人知れず修練を積んでこその能ある者なのだが。
このように、時には忍び、時には堂々と振る舞うことで、ラニックの懐刀として、いろいろこき使われているのが、オレの日常だ。
牢獄に出向いたのも、とある情報集めのため。牢番に賄賂を握らせてから、投獄された。中の囚人から大事な情報を聞き取る任務だ。一晩経てば釈放されるように話が付いていた。
だが、先客だった娘の存在が計算外だった。
「ここから出せ! あたしはただニカデマスさんに用があるだけなんだ!」
ニカデマス。
橋の下に住んでいた魔法使いの爺さんで、盗賊ギルドとしては何とも煙たい存在だった。
下手に関わると、かんしゃく持ちの魔法使いが不埒者をイモリに変えるという評判もあって、オレの知り合いも何人か行方不明になった。
暗殺者ギルドが動いたという話も聞くが、任務は果たせず、長らく冷戦状態を保っていたそうだが、とうとう領主アズール卿の親衛隊に捕まって、投獄されたらしい。しかし、その後、囚人たちと共謀して派手な脱出劇を展開したという話は、数年前に酒場で大いに盛り上がった。
そして、街の名物の老魔法使いはブラックサンドから旅立ち、今は行方不明と聞く。
今さら、ニカデマス爺さんに用があると息巻く田舎娘に、不思議な好奇心を抱いて、彼女の脱出劇に手を貸してやった。
こうして、ブラックサンドの盗賊ギルドと、未来の英雄が奇縁を持つことになった。
二つ名について
アスト「試練を果たして生き残ったピートは、正式にリサ・パンツァの先輩盗賊として認定することにした」
ダイアンナ「リサのプレイヤーとしては、彼女の背景の解像度が上がるのは歓迎だよ。〈山猫のリサ〉ってのが二つ名なんだね」
アスト「パンツァという苗字を、パンサーにつなげた形だな。基本的に盗賊ギルドという組織は、姓(ファミリーネーム)を重んじない。姓というのは、貴族や大商人、もしくは家柄を重んじる特殊な家系という背景があって成立するものだし、父がリーサン・パンザで、母の姓がツァだから、それを合わせてパンツァという姓になるのは、文化的伝統からしても相当に変わっているのは分かるな」
ダイアンナ「リアルに考えると変だよね」
アスト「しかも、彼女の姓をブラックサンドで堂々と公開すると、リーサンの娘であることは普通に誰でも察しが付くだろうって話だ」
ダイアンナ「でも、リーサン・パンザの顔と名前は指名手配されていても、リサがその娘であることは、すぐにはバレなかった。その辺の設定は、この記事にある通りだ」
アスト「だから、盗賊ギルド時代のリサはパンツァの名前を出さずに、〈ダークウッドのリサ〉と出身地から自己紹介した後で、裏事情に気づいてそうなラニックから、〈山猫のリサ〉の二つ名をもらったことにした」
ダイアンナ「ヒョウじゃなくて、ヤマネコなんだ」
アスト「ヒョウは体長1メートル越えの大型ネコ類。ヤマネコは50センチ越えの中型ネコ類になるかな。もしも、リサが盗賊ギルドの幹部になっていれば、徒弟時代の〈山猫〉から〈紅豹〉なんかの二つ名に昇格していたかもしれないが、それはIF未来だな」
リバT『勝手に、他人のキャラの二つ名を考えるのはどうかと思いますが?』
アスト「あくまで提案さ。もちろん、アニーの意見を重視する」
ダイアンナ「ブラックサンド時代のリサは、〈山猫のリサ〉と呼ばれていた。それは受け入れよう。でも、幹部になる前に、アズール卿に捕まって〈死の罠の地下迷宮〉に送られた。だから〈紅豹〉は幻の二つ名で、ピート先輩の脳内妄想に留めておいて欲しい」
アスト「分かった。とにかく、本作の冒険の10年ぐらい後にピートがリサと出会い、その後、リサを盗賊として訓練するんだけど、アズール卿の差し金で、ギルドは抗しきれずに、リサを売ったという筋書きを想定している」
ダイアンナ「ピート先輩はリサを助けてくれないのか?」
アスト「助けたいのはやまやまだろうけど、それで歴史を変えるわけにもいかないからな。ともあれ、ゲームブックが元ネタのオリジナル短編創作はさておいて、EX記事定番のバッドエンドと難易度認定に移ろう」
バッドエンドの話
・18:アズール卿の宮殿に忍び込もうとして、警備兵に斬殺される。
・29:黒曜石の円盤を入手しようとしたが、宝箱の鍵を開けるのに失敗して、水晶の戦士の奇襲を受ける。首筋に剣を突き刺されて死亡。
・36:アズール卿の宮殿に正面から入ろうとするが、多数の警備兵を突破できずに、牢に囚われる。
・40:毒の胞子の充満した中で、呼吸を抑えきれずに吸い込んで死亡。
・42:隠し通路が発見できずに、試験を断念することに。
・49:黒曜石の円盤を入手しようとしたが、ワイヤーの処理に失敗して、水晶の戦士の奇襲を受ける。首筋に剣を突き刺されて死亡。
・51:毒の胞子の充満した中で、脱出のための扉が開けられずに死亡。
・65:バジリスクの魔力で、石化させられる。
・107:毒の胞子の充満した中で、脱出のための扉が開けられずに死亡。
・111:悪霊に剣で切り掛かるも通用せずに、生命力を吸い取られて乗っ取られる。
・137:老魔術師に無礼を働いて、イモリに変えられる。
・158:ガーゴイルに、持っていないはずの魔法の武器で斬りかかり、作者に不正行為を注意される。最初からやり直し。
・171:グールの爪で麻痺させられて、餌食となる。
・175:ガーゴイルに空中で捕まり、抵抗できないまま、巣に運ばれて死を待つことになる。
・194:街の警備兵の集団に追い詰められて捕まる。牢の中で、処刑を待つばかりになる。
・212:隠し通路が見つからず、試験をあきらめてギルドに失敗を報告する。
・269:最後の部屋で、致命的な光に焼かれて死亡。
・275:260で宝石を見つけるも、そこから275に来て、作者に不正行為を注意される。260はダミーパラグラフで、他から到達できないことを指摘されて、最初からやり直し。
・284:3つのキーナンバーを集めていると先に進めるが、そうでなければ、ここでゲームオーバー。最初からやり直し。
・296:クモの巣を焼いて脱出しようとしたが、失敗して、自ら付けた火に包まれながら死亡。
・312:大グモの麻痺毒で動けなくなり、とどめを刺される。
・320:ダンジョンの行き止まりの通路から先に進めず、試験に合格できず。
・329:アズール卿の宮殿に、壁を登って侵入しようとして失敗。矢に当たって落下死。
・349:ブラスの家の宝部屋に閉じ込められる。〈感知〉なしでは脱出できない。
・370:迷路の中で、運だめしに失敗すれば、脱出できずにゲームオーバー。
・379:サソリの毒を受けて死亡。
・380:黒曜石の円盤で光を遮ろうとしたが、手が震えて遮るのに失敗。運だめしに失敗すると、光の直撃を受けて死亡。
アスト「以上、28パラグラフでのゲームオーバーが確認された。7%という数字は、超絶というほどではないが、十分難しくてゲームオーバーになりやすい作品だと思う」
ダイアンナ「さすがに、『死の罠の地下迷宮』の32回には及ばないけど、『雪の魔女の洞窟』の26回は越えている、と」
アスト「内訳を見ると、前半のシティアドベンチャー部分で11回、後半のダンジョン部分で17回となっている」
ダイアンナ「それだけ手強いダンジョンってことが分かるね」
アスト「特徴的なのが、〈感知〉がなくて隠し通路が見つからずに、試験を断念するエンドが4回もあることだな。盗賊にとって、危険に気づいたり、隠し扉や通路の存在を察知したりするのが非常に大事だというのがよく分かる」
ダイアンナ「じゃあ、次に難易度を見てみようかね」
難易度の話
★真夜中の盗賊(難易度5)
・ラスボスが強い(X):最後の敵は水晶戦士で、技術点10。本作の敵は総じて技術点が高くないが、シチュエーション的にこちらが不利で、技術点に2〜3点のペナルティを受けて戦うケースが多い。その最たるものが、序盤の商人ギルドの屋根近くで戦うガーゴイル。空中を飛び回るガーゴイルに対して、こちらは壁登りの最中で、両手も使えず、回避もままならない状況だから、技術点9が実質的に12になってしまう。
さらに魔法の武器がないと傷つけられない相手のため、上手く機転を利かせてアイテム使っての転落破壊に持ち込むか、逃げ隠れるしかないという。D&Dではお馴染みの中堅モンスター(クラシックではレベル4。5版では脅威度2)という、そこそこ経験を積んだパーティーなら何とかあしらえる相手だが、見習い盗賊1人では非常に始末の困るモンスターだと再確認させられた。
水晶戦士も、剣で戦うのは不利、という理由で、斧がなければ強敵という立ち位置で、ボスとしては決して強いわけではないけれど、奇襲によってバトルにならずにバッドエンドというトラップ的な扱われ方も印象的。
そう、本作のモンスターは全体的にトラップみたいな役割で、いかに巧みにすり抜けるか、不利にならないように立ち回るか、毒や麻痺、擬態などの特殊能力を避けられるかという主人公の盗賊らしさを強調した演出が施され、強さではなく、イヤらしさに重点が置かれている。
とは言え、ボスが強いという従来の物差しでは測れないため、本項ではXを付けざるを得ない。
・全体的に罠が多くて死にやすい(◎):盗賊主人公だから、罠が多いのは当然だよね。前述のとおり、モンスターでさえ罠の一環として扱われているぐらいだし。
バトルの難易度は高くないけど、トラップのイヤらしさは結構なもの。それを技能を駆使してすり抜けて行くのが本作の醍醐味とも言える。もちろん、技能とそれを補うアイテムの入手で、多くの罠を避けることが可能なので、最適解を知っていれば、難なくすり抜けて行けるという点からも、よくできたパズルだとも思います。
・パズル構造が複雑(◯):これは前半の情報収集だけだと◎を付けてもいいんだけど、ダンジョンに入ると、単調な一本道で、技能を持っているか否かで有利不利が変わってくる程度。全体を通してみれば、複雑とまでは言えないんじゃないか、と。
したがって、プレイ後感としては、複雑なパズルを解いたって印象が残らないんですね。
文章をよくよく読むと、「単調な一本道」では決してなく、「道なきところを隠された通路を発見したり、穴を降りたり、壁を登った先に通路を発見したり」など、ややこしいダンジョン踏破をいろいろとしているんだけど、それらはプレイヤーが能動的に選択するゲーム性ではなく、〈感知〉によって自動的に見つけ出すルートだったり、プレイヤーが悩まなくても、キャラが勝手に判断して読み進めるだけの類。
ダンジョンにしても、マッピングしての部屋や通路の位置関係をあれこれ探る構造ではなく、順番に発生するイベントをその場その場で処理していくだけの構造なので、従来のFFシリーズであった、どっちの道を進むのが正解なのかで悩むことが少ない。
よって、本作のパズル性は前半のみに凝縮され、そこだけ見れば◎。ただし、全体を見ると、平均化されて◯という判断。
・ゲームシステムが難しい(◯):盗賊技能を最初に7つから3つ選択する。選ばなかった技能の一部(全体の半数近く)は、街で入手できるアイテムで代用可能。だから、初見はどんな技能が要り用になるのか探り当てながら、試行錯誤するのが面白いゲーム性です。
技能は魔法みたいに使用回数に制限があるわけではないので、リソース管理に神経を費やす必要もなく、しかも多少の有用度の偏りはあっても、使える局面が結構ある。負担なく、攻略やキャラ性にヴァリエーションを持たせる手法として楽しいです。
これ以降、FFシリーズはキャラの職業に合わせた特殊技能を採用した作品も(リビングストン以外では)増えてくるみたいですが、そういう進化したゲーム性の作品は未翻訳で終わったわけですね。近年の作品(スカラスティック版)は、ジャクソンが新しく凝ったシステムを示しつつ、リビングストンは技能ではなく、大量のアイテムと凝ったストーリーが特徴かな。
未翻訳期間(35〜65巻)の凝ったシステムを気にしつつ、あくまで基本システムの土台の上でのルール付与に留めて欲しいな、と。まあ、システムが高度に発展し過ぎると、付いて行けなくなるおじさんゲーマーの意見です。昔は、新システム? 面白そう(ワクワク)と飛びつけたのに、今は新システム? 面倒なものじゃないといいなあ……と警戒しながら、二の足を踏む保守派になってるな、と。
・フラグ管理がややこしい(◯):前半が情報収集ゲームなのにも関わらず、情報を細かく覚えてなくても、3つのキーナンバーを指示どおりに並べるだけでクリアできる。キーナンバーの記録だけがフラグ。アイテム数もそれほど多くなく、元々、所持数制限も設けられているために、管理そのものも楽。
技能についても、元々の種類が7つと少ないうえに(バルサスの魔法12種類なんかと比べても)、技能を持っているかどうかを選択肢の方で聞いてくるだけなので、従来のアイテムと使い勝手は変わらない。アイテムや魔法との違いは、使い捨てではなくて何回でも使い回しが利くので、一度習得したものを「使ったから忘れた」とか「使ったら体力点4消費」とかリソース管理をしなくて済むのが楽。
その分、現代の視点(AFF2版など、大量のスキルがTRPGで当たり前に実装されている環境)からは、システムが小ぢんまりとまとまり過ぎている気がするけど、手軽に楽しめる良さとしては評価したいです。これでも日本の発売当時(89年)では、技能制を採用しているだけで最先端のゲームと見なされていたわけだし。
ダイアンナ「技能制だけで最先端だと?」
アスト「クラシックD&Dでも、選択ルールとして特別に実装されたばかりだし、当時は「技能制のTRPG=高度で本格的なシステム」と認識されていたんだな。トラベラー、指輪物語RPG、クトゥルフ、ルーンクエスト、ストームブリンガーなど、ホビージャパンの箱入りゲームが技能制を採用し、初心者向きのクラス制(キャラ職業制)のゲームとどっちが優れているか論争もあった」
ダイアンナ「で、結論は?」
アスト「90年代に両方が統合される流れが定着したな。まあ、87年の指輪物語RPGが6つの職業と、4つの種族(人間、エルフ、ドワーフ、ホビット。オークやトロール、文化の異なる亜種を含めると多数になるけど)と、スキルを混ぜ合わせた本格派だったけど、それまではクラスとスキルは対立概念と見なされていたわけで」
ダイアンナ「コンピューターRPGではどうなんだ?」
アスト「基本はクラス制だったな。アビリティという形で、スキルを本格的に導入したFF5が92年で、その辺でジョブ(クラス)とアビリティ(スキル)の組み合わせルールがマニアじゃない一般ゲーマーにも定着していった感じだ。まあ、その原型の転職ルールは、ウォーハンマーRPGに由来するものだと思うが。大量の職業と大量の技能を用意して、キャラクターの組み合わせヴァリエーションを広げようと進化したのが90年代。しかし、現在では当たり前の概念が、当時は最先端だったことは歴史認識で忘れてはいけない」
ダイアンナ「現代の感覚で、昔を振り返ると、試行錯誤の過程をバカにして、昔の人は頭が悪かったなどと言い出す者がいるからな」
アスト「先人の苦労の結果としての進化があるのを、苦労そのものをバカにする者が増えると進化が行き詰まることになり兼ねないな。まあ、苦労せずに甘い蜜を吸いたいだけの輩に限って、何も創造的な仕事ができないわけだが」
各種技能の再考察
アスト「では、ダンジョン探索を踏まえての本作の技能最終考察だ」
ダイアンナ「中間考察は、こちらの記事でやったので、その続きになるね」
⚫︎すり:罠を発動させずに、アイテムを素早く入手する手段として活用。この技能がなければ、終盤の強敵である水晶の戦士を2回も倒さないといけないという点だけでも、重要度が高い。
⚫︎錠破り:都市での情報収集には絶対必要な技能。それだけに、ダンジョンに入れた時点で、代用アイテムの合い鍵も含めて、必ず習得していると考えられる。よって、ダンジョンの中で、この技能を持っているかどうかの選択肢には、全く意味がない(持っていなければダンジョンには入れないし、入手した合い鍵を紛失するようなイベントもないし)。したがって、ダンジョン内で鍵が開けられなくて詰む記述は、実プレイでは起こり得ないシチュエーションと判断できるわけで。
⚫︎壁登り:前半では有用度が低い技能だったが、ダンジョン内では通路を歩くだけでなく、通路が途切れて壁を登り降りする上下移動を余儀なくされるため、なければ余計なダメージを負ったり、運だめし失敗で攻略不能に陥る可能性が出てくる。壁に登れないから詰んだというシチュエーションを回避するため、ロープの入手と保持は大事。
⚫︎忍び足:あったら避けられる戦闘がいくつか。まあ、なくても致命的ではないので、多少のダメージを覚悟するなら、必須技能とは言えない。〈忍び足〉がなかったからバッドエンド……という可能性はほぼないので、あれば便利ぐらいの気持ちで。
⚫︎姿隠し:ダンジョンは元々、暗闇の世界である。そして、そこで暮らすものは視覚以外の感覚器官が発達しているのが当然だ。一方、主人公は暗視を持たない人間の盗賊であるため、松明なしには活動困難になる。つまり、姿を隠しても明かりが目立って意味がないということである。結論、本作において一番役に立たない技能がこれである。街中では、警備兵をやり過ごしたり、ブラスから鍵をすり取るに際して、〈忍び足〉がないときの代用手段になり得たのだが。魔法による透明化と違って、使っている間は身動きもできないので、奇襲攻撃にも活用できないのが問題点。
⚫︎感知:この技能の有用性は、散々語ったとおりである。なければ詰む、という局面があまりにも多すぎる。これなしで攻略することは不可能ではないが、その場合、〈すり〉と〈目利き〉が必要になるし、いろいろとダイス目で事故ったりしてバッドエンドに陥る可能性が格段に高まる。〈感知〉なしでのクリアに挑戦、というのは本作をハードモードで攻略するような苦行である。達成すれば、《真夜中の盗賊マスター》の称号を個人的に与えてもいいかも。
⚫︎目利き:〈感知〉の代用技能……としては、使用機会が限定的であり過ぎるけど、〈感知〉なしだと必須技能になるという意味では、〈姿隠し〉よりは有用度が高い。まあ、本作が盗賊ギルドの入会試験という設定のために、多少のヒントはくれているんだろうけども、ギルドも手取り足取り親切に教えてくれるわけじゃないからね。〈感知〉があれば、無用の長物になります。
アスト「ということで、技能の有用度ランクを付けると、1位が〈感知〉、2位が〈すり〉、3位が〈錠破り〉〈壁登り〉〈忍び足〉。〈錠破り〉は必須だけど、アイテム代用ができるので、アイテム入手の確度が低い〈忍び足〉が初期技能としては優先されるかも。〈目利き〉は使用機会が限定的すぎるけど、〈姿隠し〉よりは役に立つってことで」
ダイアンナ「〈目利き〉は〈感知〉の劣化技能、〈姿隠し〉は〈忍び足〉の劣化技能という認識でいいんだね」
アスト「〈目利き〉でないと入手できない情報もあるんだけど、それが攻略必須というほど重要ではない、というのが、評価を下げているんだな。せめて、通路が3つぐらいに分かれていて、〈目利き〉があれば、どれが正しい道か示されるということであれば、ヒントとしての有用度が高まるんだが、ダンジョン内に分岐路があまりないから、盗賊の符号で示される情報の価値が薄いわけで」
束縛と、自由と
「ふうん、結局、〈バのひ〉は上に献上して、手元に残らなかったんですか」
娘の目が失望したように細くなった。
「あたしだったら、自分が手に入れたお宝をおとなしく差し出すなんて、我慢できないけどな」
〈バジリスクの瞳〉がガラス玉だと言わずに、適当にゴマかしたら、こんな反応を示された。
「おいおい。ギルドの試験だぜ。ギルドの意向に逆らったら、合格どころじゃないだろうが」
「ギルドの幹部になることと、稀代のお宝とだったら、どっちが価値あるかって話です。あたしだったら、そんな宝石が手に入ったら、試験なんて無視して猫ババしちゃいます」
「バカ言うな。ギルドに逆らって、生き延びられるとは思うなよ」さすがに、ここらで釘は刺しておかないとな。いくら世間知らずにしても、目先の欲に駆られて愚かしい選択をしたら報いが来ることは伝えておかないと。
はあ、教育係ってのは面倒くせえ。
オレは飲みかけのエールを飲み干して、追加を注文するために店員を呼んだ。
「お前は何か欲しいものがないか。奢ってやるぞ」
「さすが先輩。幹部ともなれば、羽振りがいいですね」
「それだけの仕事をしてるからな。たった一つの宝石で一生を棒に振るより、自分の居場所をきちんと確保して、組織に身分を保証してもらう方が心地よく生きられる」
若い娘に偉そうに、この社会での生き方を説教しながら、エールの追加と、イモや豆などのつまみを注文した。
「あたしはチキンスープを」
「だったら、オレも同じ奴を」
「マネしないで下さい」
「金出すのオレだぞ。奢ってもらう身で、いちいち文句を言うな」
「金を出すのが、そんなに偉いのですか!」
「当たり前だろう。給金をもらっているなら、雇い主のために文句を言わずに働く。奢ってもらったなら、感謝しながら、相手の意見を拝聴する。奢ってもらって当然なんて顔をしていたら、そのうち見捨てられる。お前はもう少し愛嬌ってものを学べ」
「……母さんは自立した女になれって教えてくれました」
「お前の田舎の母さんがどれだけ偉いか知らんが、親の説教を他人に聞かせるなんざ、そいつがまだ子どもで、自立からは程遠いってことだろう? こっちは、親の顔なんて、覚えてもいねえよ。自立したけりゃ、親がどうこうなんて甘えたことは心に思っても、口には出すな」
「だったら、ピート先輩は誰に育てられたんですか?」
「叔父貴さ……」そう呟くと、ちょうどエールのお代わりが来たので、苦い思い出とともに喉に流す。「とっくに死んじまったけどな」
「もしかして……悪いことを聞きましたか?」田舎娘は一瞬、目を見開いてから、しゅんとなった。こうも表情があからさまに変わるようじゃ、賭け事なんかはできそうにないな。
「オレの家族の話なんか、どうでもいいだろう。今はラニックが親父代わりで、組織がファミリーみたいなものだから、その意向に逆らって生きるつもりもねえ」
他の生き方を知らないからな。
リサのことを世間知らずの田舎娘とバカにしているが、オレ自身、ブラックサンドの外の世界のことをよく知らない。
たまに海賊ギルドの船員たちと飲むこともあるが、彼らの話す遠い異国の話は自分には縁のないものと決めてかかっていた。
もちろん、ブラックサンドにいると、遠い大陸の話や、南のトカゲ帝国の話、ロガーンの使徒の〈謎かけ盗賊〉がどうのこうのと、いろいろと面白いネタは聞こえてくるし、ギルドからもらう報酬の一部は、稀少な書物代に消えたりもする。
異国の冒険譚は、子どもの時から好きだったが、ギルドの入会試験で、暗闇の中のダンジョン探索を終えたときから、現実の冒険は暗くて重くて、おとぎ話のようなワクワクできるものではないだろう、と見切りをつけた。
お話はお話。
現実は現実。
パッと見はキラキラ輝いて見える冒険譚も、じっさいにはまやかしのガラス玉でしかない。
だったら、無理に現実を覗き込まずに、お話はキラキラ輝いてそうなのを、遠くから読み聞きしているだけで十分じゃないか。
「とにかくだ」思考が暗くなるのを断ち切った。「自立するにも、金や力は必要になるだろう。偉そうなことを言う前に、自分でしっかり稼げるようになれ。稼ぐってことは、世のため人のために仕事をしろってことだ」
昔、叔父貴がオレに言っていたようなことが、つい口から出る。
「世のため、人のため……ですか?」リサの目が訝しげに細められる。
言いたいことは分かる。
盗賊ギルドの人間が、世のため、人のためって、何の冗談だってことだろう?
「投獄された牢屋から脱走したり、商人の仕事場や自宅に忍び込んで、金庫を開けたりするのが世のため人のためなんですか?」
「時と場合によりけりだ」自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。「世の中には、無実の罪で捕まった人間もいるだろう。官警が正義を執行しない場合は、善人を牢から解放して自由を与えることも、世のため人のためだろう?」
「確かに、そうですね」リサは目を輝かせた。「権力者が正義とは限らない。だったら、解放者こそが正義なんですね」
世のため人のため、と正義は違うんだけどな。小娘には、まだその違いが分からないらしい。
「つまり、ピート先輩があたしを助けてくれたのも、正義のお仕事だったんですね」
「仕事は仕事だ。正義とか情とかじゃねえ。依頼されたからやった。報酬ももらった。そこにお前が付いて来たのは計算外だったがな。正義じゃなくて、ちょっとした事故みたいなものだ」
だから、こうして田舎娘の相手をする羽目になっている。
せめて、もう少し色気が付いていたら、いっしょに酒を飲むのもまんざらじゃないんだけどよ。田舎育ちの引き締まった体型は、未成熟な少年と大差ないうえ、化粧気のない顔つきもあか抜けていない。
もう数年経てば、娼館に売り払う方が金になるのかもしれないが、それまでは盗賊として仕込んでみて、ものになるか試している頃合いだろう。
「事故だなんて酷いです。せめて運命とか宿縁と言ってくれたら、ピート先輩にときめくかもしれないのに」
「ああ、お前を助けたのも運命かもしれんな」言葉を紡ぐだけならタダだ。
「……やっぱり、ときめきませんでした。取ってつけたような言い方じゃダメです。女を口説くなら、もっと言い方を工夫しないと」
「どうして、お前を口説かないといけないんだ? 口説かれたいなら、お前ももう少し自分を磨けよ」
「そのためにも、きれいな宝石をください」
「人に頼るな。自立しろ」
「ピート先輩は自立してるって言えるんですか? ギルドの命令を聞いているだけで」
いちいち、ああ言えば、こう言う娘だ。
機転は利いて、鋭くはあるが、愛嬌がなさ過ぎる。
「世の中、持ちつ持たれつってことだろうが。何もかも自分一人でできないから、自分にできる仕事で、世の中に貢献する。それが社会ってもんだ。表だろうが、裏だろうが、そこに仕事というものが発生したら、金回りが良いところに人は集まって来る。その流れに上手く乗って立つことができれば、自立したってことになるわけだよ。要は、人が求めて金を払うほどの腕を自分が磨いているかってことだな」
「今、一瞬だけときめきました。『人が求めて、金を払うほどの腕を磨け』ですか。覚えておきます」
それで愛嬌を示したつもりなんだろうか。
「で、求める人もいないのに、自分の気持ちだけで、他人の金や命、財産、尊厳を奪うのは外道仕事ってものだ。少なくとも、ラニックはそういう仕事をオレに回しては来ないからな。その点では、義賊の矜持ってことで信頼できる。その点がウェリックどもと違う点だ」
「ウェリックさんって、暴力団の親分ですよね。そんな奴、どうして成敗しないんですか?」
「ラニックの縄張りを荒らしてないからな。住み分けができているうちは、お互いに全面抗争しないほどの密約はできている。ムカつくという理由だけで、大義もなく行動を起こすのは、裏社会でも掟に反するらしい」
「掟って……よく分からないんですけど?」
「だから、上の言うことをしっかり聞いていないと、知らないうちに掟に逆らって、落とし前をつけないといけなくなるんだよ」
「う〜ん、ピート先輩は義賊で、外道仕事はしないってことでいいですか?」
「オレは昔から、そのつもりだ」
「だったら、あたしはピート先輩を信頼して、しっかり付いて行きます。今後とも、ご教示よろしくお願いします」
田舎娘のリサはにっこり微笑んだ。
なるほど、愛嬌を示すことを少しは学習したと言えるか。
離別
「〈山猫〉をアズール卿に差し出さねばならなくなった」
ラニックの宣告に、オレは耳を疑った。
「どうして?」
思わず、問い返す。
「彼女の父親は、指名手配のリーサン・パンザだ。それだけ聞けば十分だろう?」
「〈サソリ会〉の的にされていた男ですね。それほど凄腕の人物だったのですか?」
「13人の暗殺者を返り討ちにする程にはな」
「そんな男の娘が、リサだと。彼女の才覚がそれほどの物とは……」
ラニックは、オレの顔に浮かんだであろう戸惑いに対して、笑みを浮かべた。
「大胆さ、機転、巧みな剣術、しなやかな体術、不屈の精神。お前はいろいろ娘をほめていたと思うが?」
「しかし、欠点も多いです。すぐに泣いて、感情を制御できない。組織に対する反骨精神、束縛を嫌う自立志向。法や権力に対する嫌悪感……これらを克服しない限り、ギルドで重職に就けるには危険すぎます」
ラニックはうなずいた。
「お前の評価は、わたしと一致する。〈山猫〉を飼い慣らすことは、我らにはできなかった。アズール卿にそれができると思うか?」
「あの男の恐ろしさで、飼い慣らせないものがあるとは思えませんが」
「ブラックサンドの常識ではな。だが、あの娘にとって、ブラックサンドは狭すぎたのかもしれん」
「ずいぶんと高く評価しているんですね」
「お前が挙げた彼女の欠点は、あくまで組織の一員としての評価でしかない。もしも、外の世界の冒険者としての資質で言うなら、長所に化けることだってあり得るわけだ」
「彼女を外に逃がす、と?」
「逃がすか、捕らえるか。どちらかを選ぶことになるが、教育係のお前の意見を確認しておこうと思ってな。我らが捕えなければ、ウェリックが動くだろう。ギルドマスターの指令では、『アズール卿にリサを差し出せ』とのことだ」
「だったら、差し出すしかないでしょう?」
「反対はしないのか? 教育係なら、それぐらいの情を示すかと思ったが」
「昔なら、情を優先して、リサを逃がそうとしていたかもしれませんが……」オレは淡々と機械のように宣言した。「オレの忠誠は、ギルドとあなた、〈早手のラニック〉に捧げています。教育係としての情は、それに優先するものではありません」
ラニックは重々しくうなずいた。
「ならば、ウェリックがこの件に干渉しないように抑えておく。連中の手に掛かれば、〈山猫〉がどんな目に合わせられるか知れたものじゃないからな」
「ええ、分かっています。リサは傷つけないように捕らえましょう。しかし、アズール卿はあの娘に何を求めているのですか? 指名手配の男の娘という理由だけで、見せしめにする程度の小物だったとも思えませんが」
「わたしが聞いた話では、『父親のリーサン・パンザの大胆さを気に入った卿が、例の迷宮探検競技の代理戦士として出場するよう宣告した』らしい」
「それは事実上の死刑宣告なのでは? あの迷宮を踏破した者は今までいないという話ですし」
「しかし、そのリーサンを謎かけ盗賊が拉致したそうだ」
「謎かけ盗賊!?」 思わぬ名前を聞いた。「奴は南の国のおとぎ話ではなかったのですか?」
「本物か騙りかは分からんが、リーサンが衆人環視の中で気球に乗って拉致されたことは確かなようで、アズール卿は娘のリサを父親の代理として出場させるよう命令した、とのことだ」
オレはため息をついた。
どこからツッコミを入れたら良いのか、何とも不思議で理不尽な話だ。
こんな大事な事件を目前にしては、オレのささやかなギルドへの入会試験の一夜など、語るに足りない話と言えるだろう。
「ピート先輩。あたしはもっと自由な立場で、宝探しをしたいんですよ。いつまでもギルドに束縛されただけで一生を過ごしたくはありません」
「だったら、もっと力を付けるんだな。運命に選ばれたら、お前の前に英雄らしい冒険が転がり込んで来るさ」
「その時は、ピート先輩も……いっしょにどうですか?」
「勘弁してくれ。オレは英雄なんて器じゃないからな。ギルドの入会試験で冒険はもう十分だ」
「後輩からの誘いを、あっさり断るなんて……冷たいんですね」
「温かい人間だなんて言った覚えはないんだがな」
そう。
オレは温かい人間を目指して、盗賊ギルドに入ったわけじゃない。
情よりも、仕事を優先する機械のような冷静さを目指していた。
それこそが〈不忍のピート〉の生きる道。
後輩にして教え娘の〈山猫のリサ〉、いや、後の英雄であるリサ・パンツァを捕まえるための仕事をその夜、オレは敢行した。
それが運命神の選んだ筋書き通りの物語だと知る由もないまま。
※追記
ピートは不意打ちによって気絶させたリサを、アズール卿の手の者に渡した。
その後、試練を乗り越えて、〈雪の魔女〉の後継者を名乗って、美しく成長したリサと、彼はブラックサンドの街角で再会することとなる。
それはまた『恐怖の神殿』にまつわる別の話にて。
(当記事 完)