死の罠を越えて
リモートNOVA→フォーティ『巨人を倒す手段を求めて、危険な〈ゴルゴンの墓所〉に踏み込んだドラゴン勇士団の一行。その進路が3方向に分かれたところで続いたんだな』
アスト→グース「どちらに向かえばいいかは、デスティニーマップとやらが導いてくれるんだろう?」
フォーティ『地図を見ると、魔人に聞け、と記されていた』
グース「直接、教えてくれるんじゃないのかよ」
フォーティ『だから、ランプを3つの道にそれぞれ振り向けて、中のトウィクシルに匂いを探らせる』
ダイアンナ「『やれやれ。ぼくは働きたくないって言ってるんだけどな。匂いを嗅ぐのだってタダじゃないんだよ』と、トウィクシルはブツクサ文句を言う」
フォーティ『ドラゴン勇士団の物語に参加するのもタダじゃないんだ。特等席で物語を堪能したければ、お前も傍観者ではなくて、役割を果たせ』
ダイアンナ「『魔人使いが荒いご主人さまなんだから。だけど、世界を救う物語だから退屈はしないね』と言いながら、それぞれの道をクンクンと匂う。『まっすぐ進むと、ドラゴン臭いね。左は……岩が転がって来そうな臭いがする』」
グース「臭いで、そんなことまで分かるのかよ」
ダイアンナ「魔人の嗅覚は、人間とは違うものも嗅ぎ分けられるのさ。『そして右の通路は臭いよりも音の方が響くな。それを発しているのが悪魔っぽいけど』」
グース「魔人と悪魔って何か違うのか?」
ダイアンナ「どちらも異世界から召喚された存在って意味では同じだけど、出自が微妙に違う。ランプの魔人は精霊の一種で、自然の諸力に根ざしている。悪魔(デーモン)は奈落生まれで、より暗く破壊的な衝動に満ちている。一般的な人間にとってはどちらも大差ないように思えるけど、エルフなんかは精霊に親和的な一方で、デーモンは嫌うだろうね。闇エルフの一派は除いて」
グース「つまり、魔人はまだ自然寄りで、話が通じる。悪魔はより闇と堕落とかに関係しているってことか」
フォーティ『作品世界にもよるが、善悪の基準によるなら、魔人は中立で敵意は少ないが、悪魔は文字どおり悪だろう。まあ、タイタンの世界観では、精霊の世界も、奈落もまとめて魔界と称されて、ガイド本に詳細が記されているが……フォーティもその辺は詳しくないからな』
グース「とにかく、3つとも何やら危険っぽいってことだな」
フォーティ『問題はお宝の匂いだ。危険の臭いは分かったので、その危険を乗り越えた先にある戦利品の匂いが嗅ぎ分けられないか?』
ダイアンナ「『要求の多いご主人さまだなあ。いいよ、やってみる。クンクン。左の大岩ルートは罠だけで、宝なんてない。宝がありそうなのは右の悪魔ルートだ。ドラゴンのルートには宝がありそうでない』って感じだね」
フォーティ『決まりだな。宝がある悪魔ルートに入る。宝を持たないドラゴンに用はない』
ダイアンナ「では、他の道はIFルートってことで、先に処理するかね」
IFルート:大岩とドラゴンの道
ダイアンナ「簡単なのは、大岩ルートだね。左の236番に入ると、道が上り坂になっている。そして、グースが床の敷石に仕込まれた罠のスイッチを踏んでしまうんだ」
フォーティ『ドジを踏むのは、グースの担当なんだな』
グース「いや、だってよ。オレの専門は野外なんだ。洞窟の中の機械仕掛けな罠なんて、分かるわけがないだろう?」
フォーティ『とにかく、転がる大岩からは一目散に走って逃げないと』
ダイアンナ「【エルフのブーツ】を履いていれば駿足で走れるので安心だね。グースの手を引っ張って、十字路に逃げ込むことができる。無事なので運点+1がもらえる」
フォーティ『IFルートだから関係ないけどな。岩はどうなった?』
ダイアンナ「十字路付近の通路が狭くなっていたので、壁の間に挟まって停止した。こちらの通路は通行不能になったので、まっすぐ(悪魔ルート)か左(ドラゴンルート)に進むしかない」
グース「オレたちの向きが変わっているから、まっすぐの意味が変わっているんだよな」
フォーティ『地図を書かずに、文章だけで方向を読んでいると、こんがらがる元だ。東西南北で表現されているならともかく、左右はどちらを向いているかで変わって来るからな。念のため、ここまでの地図を示しておこう』
●〈ゴルゴンの墓所〉の地図(その1)
ドラゴン?
l
大岩の罠ー十字路ー悪魔?
↑
ダーツの罠
↑
扉
↑
コウモリの群れ
↑
入り口
ダイアンナ「なお、【エルフのブーツ】がなければ、技術点判定を行う。成功すれば問題ないけど、失敗すれば間に合わずに、大岩に潰されてバッドエンドだよ」
フォーティ『備えなければ、即死する危険のある罠ってことだな。備えあれば、運点+1がもらえるラッキーポイントだから、最適解狙いなら【エルフのブーツ】を履いて大岩ルートに入ってみることだ。まあ、そこまで細かく稼ぐのも、攻略としてはみみっちい感じがして、今回はパスしたけど』
グース「で、次はドラゴンルートか」
フォーティ『たぶん、一番安全かつ確実なのは、最初の十字路をまっすぐ進んだこちらだと思うんだ。無難さを求めるなら、こっちを推奨する』
ダイアンナ「ドラゴンルートはパラグラフ286番だね。通路の左右の壁に、竜の頭の彫刻がいくつも配置されていて、開いた口からは煙が立ち上っている」
グース「通路を進むと、火炎放射で焼かれる仕組みっぽいな」
ダイアンナ「通路の入り口の右壁にレバーが突き出している」
グース「レバーを操作すれば、安全と見た」
ダイアンナ「実はレバーを動かさない方が安全で、そのまま進むと普通に通り抜けられて、運点+1なんだよ」
グース「レバーを動かすと?」
ダイアンナ「ドラゴンの頭からゴーッと炎が噴出して、それをすり抜けて進まねばならない」
フォーティ『一応、レバーを戻せば火も収まるので、安全に進めるんだけどな。その場合は、運点がもらえない。愚かな選択は、レバーを戻さずに火の中を走り抜けることだ』
グース「勇士団はたとえ火の中、水の中の精神で、罠を踏み越えるんだろう?」
フォーティ『危険を冒すのが冒険者の生きる道だが、その危険を突破できずに死んでしまったら残念極まりないので、IFルートという前提でチャレンジャーになる』
グース「攻略記事のためだ。頑張れ、兄貴」
フォーティ『お前もいっしょについて来るんだよ。俺たちは一蓮托生だからな』
ダイアンナ「【エルフのブーツ】を履いていれば、噴き出す炎の合間を縫って、無傷で通路を駆け抜けることができるよ」
グース「大活躍だな、【エルフのブーツ】」
フォーティ『お前はブーツを履いてないんだから、ギリギリのところで慌てて身を屈めて、ヘッドスライディングで滑り込みセーフって感じの描写だが』
ダイアンナ「ブラックサンドのベイズボールをネタにした小粋なジョークを披露してくれるんだよね」
グース「どんな時でもウィットは忘れない。これこそ、良き相方キャラに望まれる性格付けってことさ」
ダイアンナ「【エルフのブーツ】を履いていないときは、運だめしを行う。成功すると、体力2点の火傷だけで済む」
グース「失敗すると?」
ダイアンナ「技術点1点と体力点6のダメージだ。グースも手足に火傷を負って、2人とも傷の手当てをしながら、先へ進むことになる。いずれにせよ、この後はパラグラフ276番へ進んで、悪魔ルートと合流する予定」
フォーティ『そもそも、レバーを動かさなければ、安全に通れるルートなんだな。楽に攻略したければ、ドラゴンルートがお勧めだが、楽な道が面白いとは限らない』
ダイアンナ「面白さのためには、敢えて苦難に挑もうってことだね」
フォーティ『ああ、悪魔ルートに挑戦だ』
悪魔の道
ダイアンナ「悪魔の道は厳しいって、序盤のアンヴィルで言ってたよね」
フォーティ『このルートに踏み込む際に、悪魔の唸り声が警告するように聞こえて来るんだな。作者が親切に、通路を引き返して別ルートを進むように促している感じなんだが、こんなことに怯む勇士団ではない』
グース「オレは団長の無謀さに巻き込まれたくはないんだが、覚悟を決めて、迫り来る悪魔に弓を構えるぞ」
ダイアンナ「やがて、2人の前に出現したのはスクリーミング・デーモン(金切り声の悪魔)。巨大な幽霊のようなアンデッドで、灰色の死に装束をはためかせ、大きな頭とぽっかり開いた口、小さな白い目を持っている。そして長い巻きひげのような前腕で前衛のフォーティに襲いかかろうとするんだが……」
グース「危ない、兄貴。支援のために、すかさず矢を撃つぜ」
ダイアンナ「相手は霊体らしく、矢はその体をすり抜けるのみ」
グース「オレは無力だ……」
フォーティ『こいつに特効があるのは【悪魔の剣】だが、【竜の剣】でも斬れないことはない』
ダイアンナ「接近戦の前に、デーモンは特殊能力の金切り声で2人を気絶させようとする。ここで【ゴブリンの耳垢】を耳栓代わりにできないと、意識を失ってバッドエンドになるってことで」
フォーティ『こんなこともあろうかと買っていたんだ。デスティニーマップの導きでな。貴様の特殊能力など、運命神の加護を受けし俺には通じん。素早く音波攻撃に対策を施し、【竜の剣】で斬りかかる』
ダイアンナ「こっちの能力は、技術点10、体力点6だよ」
恐るべきデーモンの触腕を素早くかい潜り、竜の剣士フォーティは魔剣で霊体に突き込んだ。
光り輝く刃が不浄のデーモンの体を貫き、濃い緑色の体液がほとばしる。
のたうち回るデーモンは断末魔の悲鳴を上げると、呪われた魂ごと魔界へ消失した。
フォーティ『ダイス運も絶好調で、無傷で倒したぞ。さすが俺』
グース「その間、オレはデーモンの金切り声に耐えられず、ピクピクと痙攣しながら気絶している」
フォーティ『大丈夫か、グース。もう、悪魔は倒したぞ』
グース「う、う〜んと身じろぎして、かろうじて意識を取り戻す。……もしかして、兄貴が倒したのか? あの恐ろしい魔物を?」
フォーティ『意外と歯応えがなかったな。魔剣の力があれば、体力的には打たれ弱いとも言える。もちろん、腕の立つ剣士でなければ、奴の触腕をかい潜って、本体に刃を当てることも難しかったろうがな』
グース「さすがは兄貴、真の英雄の名にふさわしい漢だ。魔界のあんな恐ろしい悪魔を倒すなんて、並の冒険者にはできやしねえ」
フォーティ『運命神の加護に感謝ってことだな。さあ、先へ進むぞ』
ダイアンナ「通路の先には、デーモン印の王座が壁際に据えつけられている。この王座に座ってみるか、十字路に戻るかだけど?」
フォーティ『王座に座ると、自分がデーモンに体を乗っ取られたりしそうで怖いので、トウィクシルに尋ねるぞ。座っても大丈夫そうかって』
ダイアンナ「トウィクシルは匂いをかいでこう言う。『悪魔くさいけど、魔力は感じない。それよりも、お宝の匂いがするよ。王座の仕掛けがキーみたいだね』」
フォーティ『それなら、安心して座ろう』
ダイアンナ「すると、カチッという音とともに王座が回転し、奥の壁に向かい合う。同時に壁が開いて、隠し通路が現れて、王座ごと通路の奥に運ばれようとするよ」
フォーティ『グース、王座に飛び乗れ』
グース「おっかなビックリ、王座の背もたれに後ろから飛びつくぞ」
ダイアンナ「2人を乗せた王座は、まるでスーパーロボットのコクピットの座席のように、秘密の通路をスーッと流れるように通り抜けて、やがて輝く水晶で照らされた通路まで到達して停止する」
フォーティ『何だか急にファンタジーからSFメカっぽい描写になったんだが?』
グース「というか古代文明か何かか?」
フォーティ『まるで、ファイティングではなくてファイナルな方のファンタジーっぽい演出だな、とプレイヤー的には思うわけだが、とにかく機械仕掛けで動く王座に乗って秘密の通路に侵入できたわけだ』
グース「で、肝心のお宝はどこにあるってんだ?」
ダイアンナ「通路に沿って曲がりくねった1本道を歩いて行くと、ある場所で鎧を着けた骸骨が壁に鎖で縛りつけられていた。その足元には、よく磨かれた鋼の盾が落ちていて、トウィクシルが『魔法の匂いがする』と教えてくれる」
フォーティ『よし、鏡の代わりに使える盾をゲットした』
ダイアンナ「その盾を装備していると、攻撃力も+1される」
フォーティ『技術点ではなく、攻撃力+1というのがポイント高いな。これで技術点11に+1された数値で戦える』
ダイアンナ「そして、最後に通路の先の行き止まりの壁に、魔方陣のパネルがあって、簡単な数字パズルを解ければ、この通路から脱出できる」
グース「解けなければ?」
ダイアンナ「通路に閉じ込められて脱出不能。バッドエンドだよ」
グース「移動王座に乗って出られないのかよ」
ダイアンナ「戻ってみると、時間が経って王座は元の通路に送還されたようだ。入り口の通路も閉ざされて出られない」
グース「なかなか厄介なセキュリティが仕込まれていたってことか」
フォーティ『大丈夫だ。パネルの仕掛けは簡単だから、パラグラフ15に進めば、難なく脱出できる』
グース「さすがはトレジャーハンターと言ったところか。お宝の盾を入手して、上手く脱出できるとはな。ただの狩人のオレには不可能なことを、難なくやってのける」
ダイアンナ「フォーティが15の数字をパネルに叫ぶと、音声入力の仕掛けらしく、青白い光のカーテンに覆われた通路が壁に開く。そこを抜けると、ドラゴンルートの出口と合流して、パラグラフ276番に至るよ」
フォーティ『凝った仕掛けで、危険も大きいルートだったが、作者のアイデアを感じられてプレイヤー的には楽しかったと思う』
ゾンビの大群を越えて
ダイアンナ「パラグラフ276番では、まず通路いっぱいに広がる穴に出くわすんだけど、助走をつけて跳躍すれば、簡単に飛び越えられた」
グース「穴の底には何がある?」
ダイアンナ「底は深くて、上から見通せない。深淵と言っていい」
フォーティ『この後のイベントのためのちょっとした仕込みのようだな。問題は次だ』
ダイアンナ「通路の先には鉄格子があって、その向こうには15体のゾンビが群がっている。鉄格子の鍵は付いているが、ゾンビの知能ではそれを回して開けることはできないみたいだね。鉄格子の向こうの通路に進むためには、ゾンビの群れを何とかしないといけない」
フォーティ『ここで役立つのが、【ゾンビの指輪】だな。なければ、面倒なバトルを切り抜けないといけない』
グース「【ゾンビの指輪】なんて、どう使うんだよ?」
フォーティ『この指輪をはめると、俺はゾンビの姿に変わる。すると、連中は仲間と思って、俺を素通りさせてくれるって寸法だ』
グース「兄貴はそれでいいかもしれないけど、指輪は一つしかないだろう? オレはどうするんだよ?」
フォーティ『おっと、そうだな。ええと、お前はゾンビの群れから逃げる。ゾンビが後を追ってくる。そして、お前が深淵の穴をジャンプして飛び越えると、後を追ってきたゾンビは穴に墜落する。墜落しない奴らは、俺が後ろから隙を突いて蹴り落とす。この作戦でどうだ?』
グース「……何だか囮のオレがピンチになりそうな作戦だが、普通に戦った方が早くないか? 連中は15体。オレの持っている矢は12本あるから、持てるだけの矢で相手を仕留める。残った敵は兄貴が切り刻むってのは?」
フォーティ『俺が一度に相手できるゾンビは3体ぐらいだ。お前がその矢で同時に何体のゾンビを仕留められるかは知らんが、残ったゾンビが俺とお前に群がって来るのを、どう迎え討てばいい? 俺が戦っている間は、お前に群がるゾンビから守ってやれる自信はないぞ』
グース「ちょっと待ってくれ。脳内シミュレートしてみる。兄貴が3体のゾンビを倒したとして、残りは12体。オレの矢で倒せるゾンビを2D体と計算してみて(コロコロ)10体と出たぞ。これなら、残り2体ぐらいで何とかなるんじゃないか?」
フォーティ『本番でも、そう上手く行けばいいんだがな。ゾンビの能力は技術点6、体力点6なので、普通に戦闘して1体を倒すのに3ラウンドかかる。その間にダイスを振る回数は敵味方合わせて6回だ。それをゾンビの数だけ掛け算すると、ダイスを何回振らないといけないんだ? これがゾンビをまとめて穴に落とす作戦だと、たった1回の運だめしだけで成功できる。時間効率は圧倒的にそっちの方がいい』
グース「何だかメタな会話をしているが、せっかく持ってる【ゾンビの指輪】を兄貴が活用したいという気持ちはよく分かった。運だめしに失敗したらどうなるか? という不安は残るが、兄貴の作戦に乗ってみよう」
そんなわけで、【ゾンビの指輪】作戦の決行です。
現在の運点は10点なので、まあ、失敗しないだろうと考えて振ったダイス目は、超ラッキーなピンゾロ。運だめしだと低い出目がいいので、大成功って奴です。
途中でグースが転倒するという文章内でのアクシデントはあったものの、フォーティがグースにつかみかかるゾンビの足を上手く引っ掛けてアシスト。グースは無事に穴を飛び越え、ゾンビは深淵に次々と飛び込んで全滅。
なお、もしも運だめしに失敗すると、グースを助けるために、フォーティは指輪を外して、自分が囮になる作戦に切り替えます。ゾンビはもちろん、フォーティに襲い掛かるのですが、そこで技術点判定。
成功したら、フォーティも穴を飛び越えて、無傷でミッション達成。
そこでも失敗したら、穴を飛び越える際に腕を損傷して、技術点1点と体力点2点を失うことになりますが、まあ、運だめしにも技術点判定にも両方失敗するのは、よほどの運の悪さだと思います。
ともあれ、このイベントの実害は、フォーティの運点が10から9になったことでしょう。運点が11だと成功確率97%、10だと約91%、9だと84%。まあ、ここまでは割と成功することが期待できる。運点8というのが約72%で、この辺りから少し怖くなる。幸運ポーションを使いたくなるのがこの辺なので、できれば運点は9以上を維持したいのがプレイヤー心というもの。
まあ、運だめしに失敗しても、即死したり、技術点を失う負傷がないなら、いいんですけど、その辺はリビングストン先生、優しくなったとは言え、判定に失敗したときのペナルティは結構重いときが多く見られますので、油断しているとギャーとなることも。
終盤の巨人戦では、たった1度の判定ミスで即死ゲームオーバーになったりしますから、それまでに運点を消耗することは避けたい、と。
なお、リビングストン先生は、運だめしを多く要求して来る分、運点の回復もマメにしてくれるので、プレイ中にラッキーを感じさせてくれる機会が多いのもいいですね。リソース消耗がひたすら多いのに回復機会の少ないカツカツゲームは、ヒーローとしての大らかさが感じられないので。
ダイアンナ「とにかく、ゾンビの群れを撃退した2人は、開いた鉄格子から奥に入るんだけど、ゾンビを閉じ込めていた洞窟を調べてみる?」
フォーティ『お宝がないか、トウィクシルに匂わせる』
ダイアンナ「それはさすがにトウィクシルも文句を言うよ。『いくらご主人さまの頼みでも、ゾンビの充満した臭いの中から宝を嗅ぎ分けろなんて、虐待行為もいいところだよ』って。あたしがトウィクシルなら、下剋上を企てることは間違いない」
フォーティ『うむ。さすがにイジメは良くないな。どうせ調べても、肉ウジの湧いた古着しか見つからないことは、プレイヤーには分かっているので、さっさと奥の鉄格子を開けて、先へ進むことにしよう』
蛇の王コブラクス
ダイアンナ「ゾンビの洞窟を抜けた先は、蜘蛛の巣に覆われた青銅の扉に続いていた。何年も開かれたことがないのは明らかだね。扉の中央には、ゴルゴンの頭部の彫刻がデザインされていて、邪悪な目つきで侵入者を威圧してくる。そして、金の鍵で開くようになっているんだけど?」
フォーティ『金の鍵(3)は売っちゃったんだよな。持っていれば、パラグラフ3番へ行けばいいんだけど、ここは開錠用具を使うしかない』
グース「鉄の鍵じゃ開かないのか?」
フォーティ『改めてチェックしたが、鉄の鍵じゃ代わりにならない。ここは開錠用具を持ってないとゲームオーバーだ』
グース「でも、あるんだろう? だったら、オレに任せろ。本職の盗賊じゃないが、ちょっとした心得があって、道具さえあれば何とか。(ガチャガチャ、カチッ)よし開いたぜ。(バキッ)うおっ、喜んで、つい力が入ってしまって、道具が折れちまった。すまん、兄貴」
フォーティ『……苦笑いを浮かべながら、問題ないと言うぞ。それより、問題は中に封印されている奴だ。ここから先は覚悟を決めろ』
グース「おお。鬼が出るか、蛇が出るかは知らんが、汚名返上のバトルを頑張るぜ」
青銅の扉を開くと、そこは蛇神を祀る豪勢な部屋だった。
砂漠の蛇人の様式でエキゾチックに飾り立てられ、人の目には邪悪に映るも、それでいて厳かな清らかさを感じさせる。
悪魔の不浄や堕落とは異なる、原始の神の荒々しさと神々しさが同居した空間。
そして、部屋の奥の石棺からは、体長10メートル近い黒と金の鱗を帯びた、双頭の蛇が湧いて出た。
蛇の王コブラクス『不埒な侵入者よ。ここが蛇の王コブラクスの眠りし場であると心得ていような? 自らを生贄に捧げに参ったのか?』
フォーティ『コブラクス? ゴルゴンではないのか?』
コブラクス『この墓所に眠るゴルゴンは、我が巫女にして妻なり。封印が解かれて蘇る日も近い』
フォーティ『偉大な神よ(よく分からんが、そういうことにしておこう)。俺は運命神に導かれて来た者で、ドラゴン勇士団のフォーティと言う。神の邪魔をする気はないが、ここには破壊の巨人を倒す手段を求めに来た。ラスト・ビートルを集めたら、すぐに退散するので大目に見てはもらえないだろうか?』
コブラクス『運命神とはロガーンか。あやつには度重なる恨みがある。ロガーンの使徒である〈謎かけ盗賊の娘〉を名乗る女に、我が巫女の一人、大神女リーシャが敗れし時より、ロガーンの関係者にはいつか苦渋を飲ませたいと思っていた。覚悟せよ』
フォーティ『やれやれ。ロガーンとそういう因縁があったとは知らなかったよ。何だか逆恨みを受けている気もするが、しょせんは蛇の王。ドラゴン勇士の俺の敵ではないことを示してやろう』
グース「ジリブラン王のハンマーに賭けて、兄貴、気をつけろ。蛇の王に一度でも噛まれたら、毒で死ぬと言われている」
フォーティ『大丈夫だ。運命神は俺の味方だ』
コブラクス『小賢しい! 運命神の使徒なぞ、この牙で葬ってくれる』
コブラクスの能力は、技術点10、体力点10。
神にしては弱いとも思うが、封印されて長いために弱っていると解釈。あるいは、死んだゴルゴンを復活させるために魔力を消耗したとも。
ここで【蛇の剣】を装備していれば、+2のボーナスをもらえるのだが、【竜の剣】には特効がない。
有利なのは、グースが弓矢で支援してくれるので、毎ラウンド1点ダメージを与える点。
不利なのは、やはり毒によって、1度でもダメージを受けると、戦闘後に死んでしまう点。つまり、無傷で倒さなければいけないわけだが、アイテムでの救いはあるので、備えあれば憂いなしと言える。
だけど、神に準えられる獣の王との戦いは、ちょっとしたボスキャラ戦なので、丁寧にラウンド進行で戦闘描写をしてみたく。
●1ラウンドめ
コブラクスの攻撃:10+出目5=15
フォーティの攻撃:12+出目5=17
運だめし:11で失敗(残り運点8、ダメージ1点減少)
フォーティの勝ち(コブラクスの残り体力10ー2=8)
●2ラウンドめ
コブラクスの攻撃:10+出目10=20
フォーティの攻撃:12+出目9=21
運だめし:3で成功(残り運点7、ダメージ2点加算)
フォーティの勝ち(コブラクスの残り体力8ー5=3)
●3ラウンドめ
コブラクスの攻撃:10+出目10=20
フォーティの攻撃:12+出目6=18
コブラクスの勝ち(フォーティの残り体力20ー2=18)
グースの支援射撃(コブラクスの残り体力3ー1=2)
●4ラウンドめ
コブラクスの攻撃:10+出目9=19
フォーティの攻撃:12+出目10=22
フォーティの勝ち(コブラクスの残り体力2ー3=0以下)
コブラクス『バカな。蛇の王たるこの我が、こうも呆気なく……』
フォーティ『言っただろう。蛇よりもドラゴンの方が強い、と。それに、運命は俺に味方しているからな。引きこもりの戦慣れしていない神に、歴戦の現役冒険者が負ける道理がない』
コブラクス『だがしかし、神たる我は不滅。今は敗れても、時来たればまた復活するのだ。それに引き換え、お前たち人間は脆弱なもの。我の毒はお前の命を奪い、奈落にて責め苛むのみ』
フォーティ『チッ、さすがに無傷で倒すというわけにはいかなかったか』
グース「大丈夫か、兄貴。毒消しがあれば、まだ助かるかも……」
フォーティ『フッ、【癒しのポーション】なら購入済みだ。それを飲めば……って、何だか毒が効いているような気がちっともしないんだが?』
コブラクス『何? 貴様にはどうして、我が毒が効かんのだ!?』
フォーティ『そんなの俺が知るか。負けた神は、おとなしく這いつくばって、魔界にしばらく封印されてろ! 復活するってんなら、俺がいなくなってからにしろ。俺の人生の邪魔をしなければ、それで良し。まあ、復活した暁には、俺の志を継いだ冒険者がまたお前を滅ぼすかもしれんがな。今回は人の勝ちだし、次もまたそうだろうさ。人間ナメるな!』
コブラクス『おのれ人間。このような傲岸な種族を作ったロガーンに呪いあれ〜』
こうして、蛇の王コブラクスはひとまず滅び去った。
なお、アランシアで蛇人(カアス)が一番崇めているのは、スネーク・デーモンのシスである。また、動物の中でも蛇の王として一般に知られているのは、ヴァーミストラという名で『タイタン』に記載されており、ヴァーミストラと本作のコブラクスの関係性は現時点でのNOVAにとって不明である。
コブラクスがヴァーミストラの異名なのか、それとも格下の従属神に当たるのか、今後の研究が待たれるが(おそらく本作が初出のモンスターなので)、一応、本リプレイでは知性をもった神の一柱として扱った。
もしかすると、神の眷属である下僕獣が神であるかのように崇められて、本人もその気になっているだけなのかもしれないし、知性を持った獣が小神として昇格したのかもしれない。
分かっているのは、フォーティがコブラクスを撃退したという事実である。
あと、フォーティがコブラクスの毒に耐性を持っていたのは、キャラ本人も気づいていないが、ドラゴン像から入手した蛇頭の【金の護符】の効果である。プレイヤーのNOVAはうっかり攻略ノートに効果を記載し忘れていて、記事書き中には謎アイテムのままだったが、それを反映して、フォーティにとっても謎アイテムとして扱うことに決めた次第。
いずれにせよ、護符の効果で、フォーティの運点は1点回復して8に戻った。戦闘が終わって幸運ポーションを飲もうかとも思ったが、もう少し様子見してみることにする。次に運だめしするタイミングが飲み頃かな、と。
さらにコブラクスの部屋で、金貨100枚を入手したりもするのだけど、今さら買い物をする機会もないので、単に冒険中のご褒美である。ドラゴン勇士団の活動資金になるかなあ、と考えてみたり。
また、今回の記事では、マリクさんの死まで描けるかなあ、と思っていたけど、そこまで至らなかったので、〈ゴルゴンの墓所〉のクライマックス展開は次回に持ち越し。
おそらく、次回で〈ゴルゴンの墓所〉をクリアして、その次の(その12)で巨人との決戦を記し、その後、EX記事で後日譚や、バッドエンドなどの解析や難易度なども含めて総括することになりそう。
次回は、ゴルゴンとの対決から始まるパラグラフ198番よりスタートします。
★ドラゴン勇士団団長フォーティ
・技術点11(盾の効果で攻撃力+1)
・体力点18/20
・運点8/11
・金貨148枚
・食料10食
・重要な持ち物:【竜の剣】、幸運ポーション、秘密の地図(特別な愛称・デスティニーマップ)、【混沌の王冠】のフレーム、ドラゴンのメダル付きペンダント、【幸運のお守り】、【力の指輪】(技術+1)、ゴブリンの耳垢、開錠用具、真鍮のランプ(魔人トウィクシル)、癒しのポーション、縺(もつ)れの指輪、癒しの指輪(技術+1)、鏡効果の鋼の盾(攻撃力+1)
・使用機会の終わった持ち物:短剣、コウモリ軟膏、熱冷まし剤、戦槌、金の護符、ゾンビの指輪、エルフのブーツ
・使う機会のない持ち物:骨入り革袋、青い蘭、金の首飾り、革手袋、銅の指輪、真鍮のベル、黒い絹のハンカチ、銀のヘアピン、鉄の合鍵6本セット
・情報:〈ゴルゴンの墓所〉でラスト・ビートルを入手せよ
・祭りイベント:パイの早食いコンテストに勝利
平手打ちコンテストに勝利
(当記事 完)