ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「巨人の影」攻略記(その12最終話、巨人たちとの決戦)

決戦前の朝

 

リモートNOVA『パラグラフ323番にて、本作のメインダンジョン〈ゴルゴンの墓所〉を脱出したフォーティとグース。明るい光に目を慣らしながら、太陽の高さや方向から、今がまだ午前中だと確認する』

 

アスト「ダンジョンに入ったのが、正午過ぎぐらいになるから、ダンジョンで夜を明かしたことになるんだな」

 

NOVA『ゴルゴンの部屋で、軽く仮眠をとったのがゲームブックの文章表記だが、本プレイでは、寝る前にマリク師匠が追いついて来た形になる。マリク師匠とのやり取りは、原作よりも少し長くして、時間経過はやや曖昧だが、ダンジョン内では一睡もしていないという流れだ』

 

ダイアンナ「原作では、ハーメリンでのマリク探しから月岩山地の〈ゴルゴンの墓所〉までが午前中の出来事で、昼にダンジョンに入って、夜にゴルゴンの間に到達。夜明け前にマリクさんが到着したわけだね」

 

NOVA『ここでは少し変えて、グースとの出会いの後に宿に泊まった。翌朝、ハーメリンを出発して〈ゴルゴンの墓所〉に到着したのは昼。その後、夜にゴルゴンの間に到達は同じだけど、マリク師匠が来たのは、同じ夜のうち。原作よりは1日遅れという計算になる』

 

アスト「ハーメリンの祭りの日を基準にすると、祭りの当日にハーメリンを探索して、ダンジョンに入ってゴルゴン討伐まで成し遂げたのが原作。祭りの翌日にダンジョンを探索したのが本プレイということになるか」

 

NOVA『だから、マリク師匠が駆けつけて来たのも、原作では翌日の未明で、別に遅れてはいない。しかし、本プレイでは翌日の夜遅くでギリギリのタイミングで駆けつけて来た形になる。いずれにせよ、翌日に合流するという約束は守れている。原作の方が、マリク師匠も強行軍って感じだけどな。大方、寝る間も惜しんで、私用を済ませてから、主人公たちを追いかけて来たんだろう』

 

ダイアンナ「無茶しやがって、という感じだね」

 

NOVA『巨人との決戦は、原作では祭りの翌日だけど、本プレイでは翌々日ということで、少し急がねばならない。原作では、この後、昼過ぎにグースの丸太小屋に寄って、そこで軽く食事をとって体力点を2点回復してから、彼の馬に乗って、巨人の元まで駆けつける形だが、1日遅れだと巨人はもっとハーメリンの近くまで迫っていて、街の人たちが警戒態勢に入っていることにしよう』

 

アスト「え? 原作と状況を変えるのか?」

 

NOVA『原作だと、あまりにも街の住人がのんびり構え過ぎているからな。パラグラフ400番で、主人公たちが巨人との戦いの結果を市長に報告して、ようやく1時間かけて、巨人の残骸を確認して、事実を知るに及ぶという情弱状態だ』

 

ダイアンナ「街の住人が、危機に鈍感なのはいただけないね」

 

NOVA『だから、本プレイでは少し改変した。フォーティは、街の情報通のビニー・ブローガンにも、通りで出会った〈賢き髭〉にも巨人の件は話しているからな。そして、祭りの2日後ともなれば、巨人の情報は街の多くの住人にも知らされることになっているさ。もちろん、事実を確認できたわけじゃないので、本気に受け取る者もいれば、冗談と考える者、そして巨人の脅威がいかに恐ろしいかを肌で知る者はいないだろうから、事実であったとしても大したことないと安易に考える者などいろいろで、パニックにまでは至らないが、不安でざわついている頃合いだと思う』

 

アスト「そんなハーメリンに戻るのか?」

 

NOVA『いいや、戻らない。その前に、フォーティたちの行く手に1人の男が現れた』

 

ダイアンナ「誰だい?」

 

NOVA『マリク師匠の昔の相棒だったハロルド・ホゲットだ。2頭の犬、チューリアとジョージを引き連れ、さらに2頭の馬、ウィローとパトリシアを伴ったハロルドが、月岩山地から降りて来たドラゴン勇士団と遭遇した。そこで、ダイアンナ、このシナリオを読んで、ハロルド役を演じてくれ』

 

ダイアンナ「あたしがハロルドみたいなおっさんを演るのか? まあ、他ならぬダディの原稿だ。読むぐらいなら、合わせてやろう」

 

ハロルドの話

 

ダイアンナ→ハロルド『おう、若いの。探したぜ』

 

NOVA→フォーティ『あんたは、ハロルド・ホゲット! 畑はどうしたんだ?』

 

ハロルド『巨人に踏み潰されちまったからな。犬と馬を連れて、逃げ出して来たのよ。途中で、ウィローも合流して来てな』

 

アスト→グース「誰だ、この人は?」

 

フォーティ『マリク師匠の相棒のハロルド・ホゲットさんだ』

 

グース「伊達男のマリクさんに比べて、ずいぶん野生味のある親父だな。だが、兄貴の師匠の相棒ってことは、オレにとって師匠になってくれるかもしれないお方。ハリー師匠とお呼びしてもよろしいか?」

 

ハロルド『何だ、この馴れ馴れしい馬面の男は?』

 

グース「オレは狩人のウィラード・ホンク。親しい者はグースと呼んでいる。ドラゴン勇士団の斥候にして、射撃担当だ」

 

ハロルド『ウィラードか。うちの馬のウィローみたいな名前をしやがって。馬の世話はできるのか?』

 

グース「もちろん。丸太小屋に1頭、飼っているし」

 

ハロルド『丸太小屋か。オレの小屋は巨人につぶされちまった。代わりを作るまで、寝泊まりさせてくれねえか?』

 

グース「もちろんですよ。相棒の師匠の相棒だったら、我が師匠も同然。ドラゴン勇士団の新たな顧問になってもらえるなら喜んで」

 

ハロルド『それより、マリクはどうした? 一緒じゃないのか?』

 

フォーティ『それが……〈ゴルゴンの墓所〉の奥で……。マリク師匠の命により、これから巨人退治の切り札「ラスト・ビートル」を使って、対決に出向くところです』

 

ハロルド『マリクの命なら仕方ないな。ウィローとパトリシアに乗って行け。オレは……マリクのところに行く。〈ゴルゴンの墓所〉ってところの地図はあるんだろう?』

 

フォーティ『はい、これです(魔力切れのデスティニーマップを渡した)。導きの魔力は枯渇しましたが、普通の地図としてなら、必要事項をしっかり記載しました。しかし、1人で大丈夫ですか?』

 

ハロルド『1人じゃねえ。チューリアとジョージだって一緒だ。オレのことより、巨人とぶつかるお前たちの方がよほど命がけだろう? 勝算はあるのか?』

 

フォーティ『ドラゴン勇士団は、神や悪魔を倒したヒーローチームですから』

 

ハロルド『そいつは眉唾だが、マリクが見込んだ連中だからな。マリクを信じて、お前たち若造にアランシアの平和を託すとする。世界を救う戦いをしっかり果たしてみせろよ!』

 

フォーティ『もちろん、そのつもりだ。師匠のことは、よろしく頼む』

 

 こうして、ドラゴン勇士団は、ハロルドから2頭の馬を借り受けて、巨人との戦場に駆け出した。

 

戦闘開始

 

フォーティ『ゲームブックを少し改変しつつ、パラグラフ292番だ。ここで、俺は〈幸運のポーション〉を飲む。原運点も+1されて、12点に回復。これで運だめしの失敗はなくなった』

 

ダイアンナ「ダイス目で事故る可能性を少しでも減らすのは鉄則だね」

 

グース「体力は回復しないのか?」

 

フォーティ『保存食はまだ1食も口にしていないんだな。これだけでも本作の戦闘面での簡単さが証明されていると思うんだが、俺の分と、グースにも保存食をあげて、馬上でむしゃむしゃ食う』

 

グース「オレの分まで、わざわざ……」

 

フォーティ『原作では、お前の小屋で食事を振る舞ってもらうからな。相棒としては、持ちつ持たれつだろう』

 

グース「おお。ここから先は、オレと兄貴とでダブルライダーってところだな」

 

ダイアンナ「さて、馬で全速力で駆けているうちに、前方100メートルほどの場所に4体の巨人を発見した。原作では、まだ火吹山の西なんだけど、今回はより近く、火吹山の東に位置しているね」

 

フォーティ『ハロルドの農場が踏みつぶされたって話だからな』

 

グース「巨人に気づかれずに近づけるのはここまでだろうな。馬はどうするんだ?」

 

フォーティ『借り物だからな。役目は果たした。馬から降りて、逃がしてやろう』

 

グース「それを聞いて安心した。馬の命は世界の未来だからな」

 

フォーティ『それを言うなら、人の命って言うところだが、まあいい。では、作戦を確認するぞ。うまく隠れながら巨人の足首にラスト・ビートルを仕掛ける。そして錆の効果で巨人の動きが鈍るのを待つ。俺が2体を担当するから、お前も2体だ。いいな』

 

グース「野外の隠密潜伏は、狩人の得意分野だから任せておけ。ちょうどいいことに、潜伏できそうな岩陰があるし」

 

フォーティ『俺は……丸太の山かな』

 

ダイアンナ「では、技術点判定をどうぞ」

 

フォーティ『成功確率は97%。(コロコロ)出目は9。問題ない』

 

ダイアンナ「これで失敗していれば、巨人の足に蹴り飛ばされて、技術点1と体力点8のダメージを負うところだけど」

 

フォーティ『判定に失敗したときのダメージが大きいんだよな。まあ、成功したからいいんだけど。俺もグースも、まずは1体ずつの仕込みが無事に終了』

 

グース「兄貴にサムズアップを示してから、もう1体に移る」

 

ダイアンナ「そこで運だめしだね」

 

フォーティ『(コロコロ)11! 危ない、危ない。運点を回復していなかったら、大ピンチだったぜ』

 

ダイアンナ「巨人に巨大な腕でつかまれようとするのを避けようとして、利き腕を痛めてしまう(技術点マイナス2)ところだったけど、成功したので被害なく避けれた。巨人はフォーティを意に介することなく、近くを通り過ぎ、その隙にラスト・ビートルを仕掛けることに成功したね」

 

フォーティ『こっちの仕事はひとまず終了。グースは?』

 

ダイアンナ「巨人に踏まれて、大ダメージを負って倒れている」

 

グース「ギャーーーーッ。オレはもうダメだ。グフォッ」

 

フォーティ『そいつは見捨てていけないな。すぐに助けに行くぞ』

 

グース「兄貴、すまねえ。しくじっちまった」

 

フォーティ『死ぬな、グース。【癒しのポーション】を飲ませてやる』

 

グース「おお、これは、みるみる元気になって行くぞ。兄貴、世話をかけたな。お仕事、再開、がんばるぞ、おお〜」

 

ダイアンナ「あまり大きな声で騒ぐと、巨人に気づかれるぞ」

 

グース「では、小声で、お仕事がんばる、おお〜と呟きながら、ラスト・ビートルを最後の1体に仕掛ける」

 

ダイアンナ「これで、仕込みは終了して、パラグラフ174番に一度、選択肢が収束。もしも、グースを見捨てたり、【癒しのポーション】を持っていなくても、グースはゴンピの葉という薬草を見つけて、自分で応急手当てをするんだけど、ちょっとしたペナルティを受けるんだね」

 

フォーティ『ここまで、被害なく話を順調に進めたわけだな』

 

錆ゆく巨人を斬り崩す

 

ダイアンナ「パラグラフ174番で、2人は巨人を後から追跡しながら、ラスト・ビートルが効果を発揮するのを待つ。そして1時間ほどのドキドキ追跡行を経てから、巨人の足元がグラグラ揺れて、歩調が不安定になるのが見てとれた」

 

グース「どうやら、ラスト・ビートルがいい仕事をしているようだな! オレは手持ちの斧で攻撃する。弓矢は通りそうにないからな」

 

フォーティ『そんな手斧で大丈夫か? 威力が足りないなら、これを使えとハンマーを託す』

 

グース「扱い慣れないハンマーよりは、手斧の方がいいんだけどな。まあ、せっかくの兄貴の好意だ。借りておくぜ」

 

フォーティ『もちろん、俺の武器は【竜の剣】だ。マリク師匠の心が込められた勇者の剣に念じると、青白い霊光を放つ』

 

 ここで、主人公の持っている可能性のある剣は以下の6種類。

 巨人に対する効果は、大中小の3パターンあって、判定の有利さが変わってきます。

 

  • 吸血鬼の剣:アンデッド(レイスとリッチ)に特効。巨人に対しては効果小。
  • 炎の剣:ハーメリン地下のドラゴンに特効。巨人に対しては効果小。
  • 悪魔の剣:スクリーミング・デーモンに特効。巨人に対しては効果中。
  • 蛇の剣:コブラクスに特効。巨人に対しては効果中。
  • ルーンの剣:呪われて体力を消耗する。でも、巨人に対しては効果大。
  • 竜の剣:本編では特効なし。でも、巨人に対しては効果大。

 

 竜の剣は、本プレイでは鳴物入りの凄い剣であることを強調していましたが、ラストの巨人戦を除けば、ゲームシステムとしては何の特効もない、つまらない剣と言わざるを得ません。

 まあ、本当は凄い剣だったのだけど、長年、悪霊レイスを封印するのに魔力を消耗し続けていたから、フルに性能を発揮できていなかったのだと解釈しておきます。そして、最後の決戦で巨人の魔力に反応したのか、それともマリクの想いが宿ったのか、名前に劣らぬ超威力を発揮するという設定。

 なお、この剣が元はマリクの持ち物だという設定も、本リプレイのアレンジ設定です。原作ゲームブックでは、マリクと墓場のレイスや、それを封印するのに使った竜の剣という話は語られていません。むしろ、レイスの生前こそが、竜の剣の所有者だという可能性も考えられるのですが、妻の墓参りによく来るマリクさんが墓場のレイスの存在に気づいていなかったとも思えず、じゃあ、どうして退治しなかったんだ、という疑問に答えを出すために、自分なりの設定を捏造して、主人公との関係性も強調してみた次第。

 こういう独自解釈が、ゲームブック原作の二次創作の面白いところだと考えています。

 

フォーティ『ということで、1体めの巨人の弱点となった錆部分を叩き斬るには2Dで10以上を出さないといけないんだが、効果大なら+6のボーナスが得られる。効果中なら+4、効果小なら+2のボーナスで、効果小なら2Dで8以上という、やや不利な判定になる。事故らないためにも、やはり効果大で臨みたいわけだが』

 

ダイアンナ「それでも出目2や3で失敗するんだろう?」

 

フォーティ『ドキドキしながらダイスを振って、(コロコロ)よし、5が出た』

 

グース「効果大でなければ、失敗していたな」

 

フォーティ『それでも技術点判定に成功したら、バッドエンドを免れるんだよ。とにかく、俺の【竜の剣】は青く輝いて巨人の片脚を叩き斬ることに成功。バランスを失った巨人は転倒して、少しもがきながらも、すぐに沈黙する』

 

ダイアンナ「脚しか斬ってないのに?』

 

フォーティ『いわゆるアキレス腱ってことだろう。ふと見ると、グースも1体倒すのに成功したようだ』

 

グース「見よ、華麗なトマホークの一撃。やはり手斧で良かったんだよ。気分はザクってところだな」

 

フォーティ『いや、それはやられ役だろう。せめてゲッター1と言えばいいのに』

 

グース「何でもいい。この調子で2体め行くぜ。さっさと倒して祝杯だ」

 

フォーティ『こちらも2体めに挑戦だ』

 

ダイアンナ「今度は技術点判定だね」

 

フォーティ『5で難なく成功』

 

ダイアンナ「効果大なら出目から3を引けて、中なら2、小なら1が引けるから、技術点11以上なら絶対に成功するんだね。失敗したら、巨人の手につかまれて空中高く投げ飛ばされて即死エンドだけど」

 

フォーティ『気分は「ゴジラ−1.0」の序盤の日本軍兵士だな。巨大なモンスターにつまみ上げられて投げ飛ばされる映像ってのは、意外とありそうでないと思う』

 

グース「巨人の大暴れは、怪獣映画に通じるからな」

 

フォーティ『大魔神が4体だと思えば、なかなかハードなバトルだが、上手くいったので、運点が2もらえた。よっしゃ、ラッキー♪』

 

グース「しかし、オレはその間に、巨人の手につかまって、空中高くに持ち上げられているのだった(涙目)」

 

フォーティ『おい、グース。ドジってるんじゃねえ、とツッコミ入れながら、助けに行くぞ』

 

ダイアンナ「さっきと同じ判定をして。失敗すれば、グースを助けようとして失敗し、フォーティもつかまって、2人仲良く空中に飛ばされてバッドエンドだ」

 

フォーティ『同じ判定なら失敗しようがないんだが、(コロコロ)7で問題ない』

 

ダイアンナ「最後の巨人の足を切断し、巨人は倒れ込んだ」

 

グース「手につかまれていたオレは、高いところから落下して、地面に激突。うめき声をあげている」

 

フォーティ『うめいているということは即死ではない。しかし、心配ではあるから、駆け寄ろうとするんだが?』

 

ダイアンナ「最後の巨人は倒れているけど、まだかろうじて上半身が起動している。その腕で体を起こすと、倒れたグースに這い進んで、とどめを刺そうと手を伸ばす」

 

フォーティ『そうはさせん。友の亡骸を傷つけようとする邪悪め、ドラゴン勇士の名誉にかけて、ここは通さない! と剣を構えて叫ぶ』

 

グース「あ、兄貴。オレはまだ亡骸じゃないし。生きてるってアピールする」

 

フォーティ『バカ。死んだフリをしていれば、こっちに注意を引きつけられたかもしれんのに。人の配慮を察しろ』

 

グース「そ、そうだったのか。だったら、今からでも死んだフリをするぞ」

 

ダイアンナ「巨人が人の言葉を聞き取れるかは定かじゃないけどね。とにかく、巨人はフォーティを叩き潰そうと腕を振り上げる」

 

フォーティ『フッ、こんなこともあろうかと用意していたのが、この【縺れの指輪】だ。人呼んで、スパイダーネット! あるいはD&D的に言うなら、マジカル・ウェブをくらえ!』

 

ダイアンナ「指輪から発射された、蜘蛛の網が巨人の四肢にまとわりついて、動きを封じる。しかし、巨人の力の前には、脆弱な蜘蛛の糸など一時凌ぎにしかならない」

 

フォーティ『その一時凌ぎの間に、弱点を貫いて一気にとどめを刺すしかないようだな』

 

ダイアンナ「心の目を研ぎ澄ませると、ラスト・ビートルが胴体の二箇所の装甲を食い破っているのが分かった。大きな穴と、小さな穴のどっちを貫く?」

 

フォーティ『普通は大きな穴だろう、と思いながら、いや、それは罠で小さい穴が正解なのでは? と迷いつつ、わざわざ小さな穴を狙って外したら恥ずかしいので、無難に大きな穴を狙うのが正解と見た。仮面ライダーBLACK RXリボルケインを参考に、光の剣で真っ直ぐ貫き通すのが、今が旬のヒーローの道、と覚悟を決める。くらえ、40周年スペシャル奥義、ドラゴン・フォーティ・スクリュー・トルネード・クラッシュ!』

 

グース「技名、長いよ」

 

フォーティ『略して、DFSTCだ』

 

ダイアンナ「ドラゴン・フォーティ・クラッシュで十分と思うけど、サイコロ2個の出目に技術点と、【竜の剣】ボーナスの+3を足して、16以上で成功だから。失敗すると、攻撃を外して、ジャイアント・アイアン・ナックルで粉砕バッドエンドだから」

 

フォーティ『だが、技術点11で+3ボーナスだと、固定値14だが? ピンゾロでも16以上は越えるんだが?』

 

ダイアンナ「だったら、ピンゾロ出たらファンブルで失敗ということで」

 

フォーティ『うおっ、ここまで来て、それだけは避けねば。マリク師匠と、トウィクシルと、あと死んだヒグリーと、他にザゴールと、奈落の底から見ていそうなリーサン・パンザと、ドワーフ王ジリブランと、ヤズトロモさんの想いを込めて、(コロコロ)普通に7』

 

グース「それだけ込めて、普通かよ。ここは景気よく6ゾロを出して、盛り上げてくれよ」

 

フォーティ『だったら、グースの思念も横から滑り込んできて、(コロコロ)7。どうやら、グースの思念は1つの足しにもならなかったようだ』

 

グース「シクシク」

 

ダイアンナ「リサ・パンツァの思念だと? (コロコロ)ほら、9だ」

 

グース「オレにも振らせろ。(コロコロ)3ゾロで6。ゾロ目は振り足しで、よし、11を出して、合計17だ」

 

フォーティ『ゾロ目で振り足しなんてルールは、FFにはない。T&Tと勘違いするな。とにかく、いろいろなキャラの想いを込めた一撃で、光り輝く【竜の剣】は巨人の急所を貫いて、奴の心臓を動かす混沌の力の輝きを消し去った。眩い閃光が激しく瞬き、鉄の巨人は完全に倒れて、戦いは終わった』

 

ダイアンナ「それでは最後の判定だ。グースがきちんと生存しているかどうかを決める運だめしだよ」

 

フォーティ『運が悪いと、グースが力尽きて、名誉の戦死を遂げるんだな』

 

グース「だけど、兄貴の運点は12だから、6ゾロでも失敗はしないんだろう?」

 

フォーティ『それじゃあ、面白くないから6ゾロはファンブルで失敗ってことにしようぜ』

 

グース「頼む。6ゾロだけは出さないでくれ」

 

フォーティ『まあ、普通は出ないだろう。(コロコロ)おっと、5ゾロだった。良かったな、グース。そこそこ劇的だけど、死なない出目で』

 

グース「ふう、ラッキーだったぜ。ショックで気が動転していたが、藪がクッションになって、かすり傷程度で済んでいたようだ。痛みはあるが、骨は折れていない。オレたちが全部、倒したんだよな」

 

フォーティ『具体的には、俺が3体で、お前が1体な。まあ、これでアランシアは救われたと言っていいだろう。アンヴィルやストーンブリッジの状況は気になるが、少なくとも俺たちはハーメリンを守った英雄だ。市長に報告して、街のみんなを安心させてやろうぜ』

 

グース「ああ、オレをバカにした街の愚か者が仰天する顔が楽しみだ」

 

フォーティ『いつまでも根に持っていたら、英雄にはふさわしくないぜ。ドラゴン勇士は、たとえ人々から称えられようと、バカにされて謗られようと、自分たちの信じたもののために戦うことが誇りなんだからよ』

 

 こうして、フォーティとグースはハーメリンの街に凱旋した。

 巨人の襲撃から街を守った2人の英雄を人々は誉めそやし、街はまたも祝祭ムードに包まれる。

 英雄の銅像が建てられ、巨人が倒された日が新たな祝祭日として、ハーメリンの歴史に記録される。

 グースは、街の人たちと仲直りし、己とフォーティの武勇伝を調子に乗って、大袈裟に語って聞かせる。

 その一方で、フォーティはマリク師匠の後を継ぐ準備のために、忙しい日々を過ごすのだった。

 マリクの葬儀を執り行い、彼の家屋敷、遺産を継承し、その生前の功績を称え、彼の若き日の活動を新たに再開する。それこそが【竜の剣】の継承者である、自分の次なる冒険の道となるはずである。

 アランシアの冒険者精神はこうして代々引き継がれていくことになるだろう。

(当記事 完。EX記事『マリクが遺したもの』につづく)