今回の語り手はリバT

リバT『前回はグランドマスターNOVAがメインの語り手でしたが、諸事情で今回は私めがその任を務めさせてもらいます』
アスト「諸事情か。まあ、正月が明けると、あいつも暇してばかりじゃないんだろう」
リバT『それもありますが、今回の作品はテーマ的に相性が悪かったとのこと』
ダイアンナ「テーマって?」
リバT『冒険ではなくて、男女の甘酸っぱい恋愛物語。いわゆるラブストーリーでございます』
ダイアンナ「だったら、あたしとアストが向いているってことだね」
アスト「オレは他人の恋バナに興味はないから、向いているかどうかは分からんが、NOVAがそういう話を喜んで語るような奴でないことは分かる。囚われのお姫さまを救出とか、冒険のフレーバーになる恋バナならともかく、ラブストーリーが中心になるような話は、よほど上手く描かないと、つまらないと言ってしまう奴だったからな」
ダイアンナ「ラブコメとか萌えとかの話をしてなかったか?」
アスト「創作で試みたけど、上手くまとまらなかったらしい。そもそも、『人間相手に恋したことがない』とか表明する奴だからな」
リバT『人間以外の魔物やサイボーグとか精霊や宇宙人などの2次元ガールが嗜好なので、普通の恋愛ドラマが総じて興味ない、という主張です』
ダイアンナ「その結果が、吸血鬼のあたしとか、精霊少女の娘たちとか、神霊の日野木アリナとか、アシスタント・モンスターのリバTといった人外ばかりが集うブログ時空になるわけだね」
リバT『清々しいまでに、普通の人間女子がいませんからね。うちの周辺は』
アスト「で、そんな恋バナ素人のNOVAが、恋バナゲームブックをどう攻略するかと思ったら、リバTに丸投げってことか」
リバT『一応、攻略ノートとミニ感想の台本はあるので、それを元に私めが、グラマスの意図を推測して膨らませることとします』
ダイアンナ「グラマス? ああ、グランドマスターの略か」
リバT『いい加減、略称が欲しいと考えていたのですが、GMだとゲームマスターと紛らわしいので、これからはグラマスNOVAと略式表記しようと思います』
アスト「NOVAの呼び方はどうでもいいんだ。それより、ゲームブックの攻略感想に移ろうぜ」
異国魔法と、世界観の話
リバT『本作およびゴルジュの購入背景や、プレイ前の感想はこちらにある通りです』
ダイアンナ「購入理由は3点あるみたいだね」
アスト「3番の『都市でのお祭り』は、FFだと『巨人の影』が描いたので、今現在だと欠如はしていないがな」
リバT『当時も「巨人の影」は未攻略なれど読了済みなので、失念していたようですね』
ダイアンナ「『水上都市の祭日』と『巨人の影』は、祭りで賑わう都市を散策するゲームという点が共通しているわけか」
アスト「あと、『盗賊剣士』はギルドで請け負う仕事を選ぶシステムという点で『サラモニスの秘密』と共通しているとも言える」
リバT『FT書房がFFシリーズを参考にしているのは明らかですが、逆にFFシリーズに先駆けてFT書房が描写したストーリー表現があったりすると、比較するのも面白いと思います』
アスト「1番の聖フランチェスコ市は、ローグライクハーフの第1シナリオのホームタウンだったが、どんな街だったかな」
リバT『詳しい情報は、こちらにありますね』
ダイアンナ「黄金龍オレニアックスと契約したとか、剣神エスパダ(戦乙女の姿をした女神)と盾神エスクード(エスパダの弟神)の聖地とか、兵士や冒険者を養成するオレニアックス剣術学校とか、いろいろな設定があるんだねえ。『黄昏の騎士』のシナリオをプレイした時は、ちっとも気づいていなかったが」
リバT『そのシナリオは、聖フランチェスコの郊外のハイホロウ村の近くの地下迷宮が舞台でしたからね。聖フランチェスコ市に関する記述はあまりなかったのですよ。水上都市とも呼ばれる同市の名物は、街中を通る川を移動するためのゴンドラで、それを降りて「穀物スコップ」大通りを歩くと、〈パンと赤ワイン亭〉があります。その酒場でハイホロウ村の事件を聞いた冒険者が地下迷宮に挑むのが「黄昏の騎士」シナリオだった、と』
アスト「穀物スコップ大通りの〈パンと赤ワイン亭〉か。それはゲームブックにも登場するのか?」
リバT『ええ、パラグラフ100番ですね。そこでの記述によると、都市でいちばん大きな酒場だとか』
ダイアンナ「なるほどね。知っている地名や施設の名前が出てくると、いかにも話がつながっている感があるわけだ」
リバT『つながっていると言えば、本作には「闇の森を抜けて」という前日譚があったのですが、現在は完売されていて入手困難だそうです。どうも、前作をプレイしている場合だけ、遭遇できる隠しキャラ(アレッシオ)がいるみたいなのですが』
アスト「ソーサリー2巻のヴィック(VIK)みたいなものか。1巻で情報を得ている場合だけ登場するお助け人だが」
リバT『パラグラフ77番と271番の2ヶ所でアレッシオは登場して、良いアイテムをくれたり、攻略の手掛かりを教えてくれたりしますが、そこに行き着く方法がパラグラフ・ジャンプによるもので、前作をプレイしていない場合は行けないわけですね』
ダイアンナ「シリーズを追っかけている熱心なファンへのボーナスみたいなものか」
リバT『他に、ソーサリーを思い出すのが、某所で売っている「カオスの肉団子」。ソーサリーでは4巻に「ミュータント・ミートボール」というアイテムがあって、それを食べると突然変異で体がランダムに変わって、最悪、即死するというギャンブル性の高いイベントでした』
アスト「ソーサリーと言えば、何よりも48種類の魔法だろう」
リバT『その魔法システムを参考にした異国魔法が本作の目玉でもあるのですが、この魔法を全部リストにすると、1記事で話が収まらなくなるので、ソーサリーでもお馴染み、初心者向きの6種類だけを紹介しておきます』
アスト「ソーサリーでは、ZAP(稲妻)、HOT(火球)、FOF(力場障壁)、WAL(防護壁)、LAW(懐柔)、DUM(不器用)の6つだったな」
リバT『異国魔法では、LIT(稲妻)、ARM(怪力)、MAM(慰撫)、BAR(障壁)、ZOO(動物調教)、BIT(鈍重)の6つですね。割と似た魔法が用意されていますが、似て非なるものも多く、変な物だと「自分が老化するGAP」とか「雌鶏を呼び出すHEN」とか「酒を作るTUN」とか「自分が気絶するOFF」とか、使い道がよく分からないものも混ざってますね』
ダイアンナ「48種類も呪文を覚えるのって、大変だろうね」
リバT『一度、冒険の旅に出たら呪文書は持ち運びできないという設定ですからね。もちろん、攻略記事を書くためのパラグラフ解析では、そんなことも言ってられないのですが、この呪文システムで大変なのは呪文の名前だけでなく、必要アイテムまで覚えておかないといけないこと。お店で売ってるアイテムが何の呪文のためなのか知っていないと、買い物もしにくいわけで』
アスト「ソーサリーの魔法ルールの概要を簡単に触れると、こうなるわけだ」
- 魔法を使う際は、パラグラフに記された5種類の呪文から1つを選んで、その先のパラグラフに進む。
- 5種類の呪文の中には、偽呪文も混じっていて、体力点を5点ロスするペナルティがある。
- 呪文を使うには、1〜4点の体力点を消費する。言わば、体力点がMP代わりである。数少ない強力な呪文は、もっと多くの体力点を消費する。
- 呪文の中には、必要アイテムが設定されているものもある。そういう呪文は、冒険中にアイテムを入手しないと、使用できない。アイテムがあれば、消費体力が1〜2点で済むので、そういう呪文を使う方が効率いい。
- 初心者向きの呪文6種類は一律、消費体力が4点と割高なので、もっと効率のいい呪文を使えるようになるべく精進したいところ。
リバT『本作の魔法ルールもソーサリー踏襲型で、しかもソーサリーと違って、戦士と魔法使いの選択はできません。つまり、魔法使い一択で、技術点は戦士よりも2点低い1D6+4で決めることになります。さらに、冒険に出るのが目的ではなく、祭りのための街の散策なので、武器を持たずに行動するとのことから、攻撃力を4点減らすのが初期状態』
ダイアンナ「ということは、戦闘時の技術点が1D6のみになるのか」
アスト「ゴブリンの技術点が5という世界なので、下手するとゴブリンにすら負けてしまう弱体化モードだな」
リバT『一般人の少年主人公の「サラモニスの秘密」でも初期技術点は6でしたから、本作の序盤はそれよりも弱い能力で事態に対処しないといけません。実質的に、普段どおりの荒事は禁じ手ということになります。魔法を使うか、早急に武器を手に入れないと、まともに戦えない仕様ですね。おまけに、露店で購入できる剣は飾りもので攻撃力を2点減らす仕様。素手よりはマシなのですが、本作の主人公の戦闘時の技術点は最高で8点という状態で、いつもの感覚で戦闘すると危険ということですね』
ダイアンナ「街中で、それほど戦闘する機会があるとも思えないんだが」
アスト「盗賊都市のような治安が悪いところならまだしもだな」
リバT『技術点5〜6の物乞いが結構な強敵に思えますし、技術点10のサイクロプスとか絶望的な相手に思えますね』
アスト「極力、戦闘は避けるべし、というゲーム性か。いつもの冒険者感覚とは違うゲームってことだ」
リバT『それだけ魔法の重要度の高いシステムってことですね。ソーサリーの場合は、魔法使いでも体力点の節約のために、剣で戦った方が効率いいケースも多々ありますし、どちらかと言えば、魔法はイザというときの切り札的な印象ですが、本作では魔法に頼らないとどうしようもない局面が多いわけです』
アスト「主人公の設定は魔法使いか」
リバT『表向きの商売は、ワイン樽を街に運んできた商人ってことですね。旅の危険から自衛するために、剣と魔法のたしなみはあるのですが、別に勇者というわけでもなく、冒険が本分というわけでもない。FFシリーズとは、主人公設定からして違うわけですね』
アスト「で、旅の商人の若者が祭りの喧騒の中で、彼女探しを目的とするナンパなゲームというわけだ」
リバT『ゲーム性としては、冒険ゲームではなく、美少女攻略の恋愛アドベンチャーと申しましょうか。5人、いや4人と1匹のヒロインとの出会いや関係性の発展を求めて、街を散策するだけの作品です』
ダイアンナ「ソーサリーのシステムで、恋愛ストーリーを楽しむ都市のお祭り散策ゲームか。確かにFFシリーズとは異なるフレーバーだね」
4人と1匹の花嫁候補たち
リバT『聖フランチェスコ市には、「降天使祭」という祭りイベントがありまして、いつもは厳格な宗教都市なんですが、この日ばかりは街を祝福した天使ハナエルを記念しての行事で盛り上がるのです』
アスト「天使という単語自体、FFシリーズではまず聞かないな」
リバT『魔界はあるし、神界はあるけど、宗教都市という概念があまりなくて、ギリシャや北欧的な多神教ワールドという感覚。キリスト教的な中世感覚が薄くて、もっと原始的な土着信仰っぽいのがFFシリーズか、と。一方で、アランツァ世界では、都市ごとに異なる文化や価値観があって、善悪合わせて15神という設定がございます。善側の主神は唯一神セルウェーという「愛情と善行を勧める威厳ある光の神様」らしいですが、生真面目すぎて庶民の人気は薄く、神聖都市ロング・ナリクで厳格な規範をもって崇拝されているとか』
ダイアンナ「多神教世界の中でも、一神教的な存在ってことだね」
リバT『一方、聖フランチェスコ市で優勢なのは、二神教と呼称される戦神姉弟で、冒険者や庶民にも広く愛されているとか。堅物お爺さんのセルウェーに比べて、苛烈な戦乙女エスパダと誠実なマッチョイケメンの守護戦士なエスクードのコンビは実際的でもあり、盗賊都市ネグラレーナでもエスパダ神が祭られておりました』
アスト「そう言えば、教会の神はそんな名前だったか。墓地の死体漁りをこっそりしている腐敗した教会だったが」
リバT『エスパダ信仰だと、戦の勝利と公正な裁きを重んじる傾向があって、死者への尊厳がセルウェー神に比べると緩いのかもしれません。これがセルウェー神の教会だと、墓場でアンデッドが出現することなど、まずあり得ないでしょうが、ネグラレーナの墓地だと管理者が悪徳腐敗している影響か、死体が動き出したりしましたからね』
アスト「それはネグラレーナ特有の現象だと思いたいぜ。聖フランチェスコの教会はどうなんだ?」
リバT『セルウェーよりも、二神教が優勢だからか、厳密な規範よりも善意ある自由を重んじる傾向があります。交易都市や観光都市としての側面も強く、平和を維持という前提で多様性を重んじている感じですね』
ダイアンナ「多様性が行きすぎて、土着の文化風習を蔑ろにしてしまうと平和が損なわれるからね。多様性重視が文化破壊や侵略を正当化するお題目になって来たから、昨今は伝統文化を守るために多様性の廃止がトレンドになりつつあるみたいだね」
アスト「多様性が暴走すると、異物を何でもかんでも受け入れることが正しいとなって、既存の価値観を軽視して、混沌状態を引き起こすわけで、その辺の線引きをどうするかが政治性ということか。まあ、聖フランチェスコは、その辺の塩梅が上手く行っているということかな」
リバT『自由と秩序のバランスが取れているので、あまりアクが強くなく、冒険者のホームタウンとして向いているということですね。で、天使ハナエルは男性なのですが、降臨の際に街娘と恋に落ちて花嫁に迎えた。以降、街は天使の祝福を受けて栄えることになったという伝承がありますので、「天使の花嫁」というイベントが設けられたのです。天使の花嫁にエントリーした女性は、番号入りの名札を付けて、昼は街の通りを散策する。夜になると、花嫁と懇意になった男性がプロポーズして、愛情と求婚が受け入れられたら、街の人たちの祝福を受けてハッピーエンドになるわけです』
ダイアンナ「受け入れられなかったら?」
リバT『残念ながら、バッドエンドです。なお、求婚対象は1人だけなので、エロゲーでありがちなハーレムエンドはありません』
アスト「攻略対象を選ばないといけないのか。4人と1匹と言ったが、その1匹って何なんだ? 人外が混ざっているのか?」
リバT『人外は2名おりまして、1人は人魚のセエラ。グラマスNOVAの1番のお気に入りで、彼女に関するイベントがもっと多ければ、この作品を当たりと思えたんだけどな、と不満を述べていました』
ダイアンナ「ダディは人魚萌えなのか」
リバT『「スプラッシュ」という映画(1984)のダリル・ハンナにハマっていた時期がありましたからね』
アスト「つまり、人魚みたいな異種族との恋愛劇なら、NOVAの琴線に触れたわけだな」
リバT『人魚のセエラとのハッピーエンドを迎えるフラグは2つ。奴隷商人に捕まってる彼女や他の娘を救出するイベントを果たすことと、街を散策時に出会った魔法使いのクラフトマルトと情報交換して、SEAの魔法を教えてもらうこと』
ダイアンナ「SEAの魔法? 海に関係するっぽいけど?」
リバT『体力点1点を消費して、水中活動を可能にする魔法ですね。呼吸や水泳技能、体温調節機能なども付与されますが、何よりも効果時間が長くて、一度、水に潜ったら陸上に上がるまでずっと水中で暮らせることが可能です』
アスト「体力点1点で破格の効果じゃないか」
リバT『その呪文を会得していなければ、人魚のセエラとは住む世界が違うという理由で結ばれることはないのですけど、その呪文を会得して、ずっと水中で生きていくと誓うことで、晴れて人魚の世界で暮らすことが可能に』
ダイアンナ「ウルトロピカルでは、そのゴールを推奨ってことだね」
リバT『で、水中活動のできるゲームブックだと、こういうものもあるわけですが、米ジャクソンの作品として、また新版が出るかどうかを気にしつつ』
アスト「NOVAが人魚推しなのはいいとして、人外がもう1つとは?」
リバT『ネコです』
アスト「すると、これか?」
リバT『いいえ。人間態に変身することはない正真正銘のネコです。彼女の名前はエメラルド。〈パンと赤ワイン亭〉の飼い猫で、店主の冗談で花嫁候補に選ばれたそうで、一応は攻略対象のヒロインの1つです』
アスト「ネコに求婚する主人公かよ」
リバT『ラストは、ネコを連れて冒険の旅に出る主人公というエンディングです。残念なのは、異国魔法に動物と会話できる呪文がないことですね。ソーサリーには、YAPという動物語会話の呪文が存在するというのに』
ダイアンナ「ネコが攻略対象のヒロインとはね。で、ネコを攻略するにはどうすれば?」
リバT『闘技場イベントで、HENの呪文を唱えます。すると雌鶏が出現しますが、敵にあっさり殺されてしまうんですね』
アスト「闘技場で雌鶏なんて召喚しても役に立たないじゃないか」
リバT『普通は外れの選択肢と考えますが、殺された雌鶏がアイテムの鶏肉に変わるので、これを持っていると、鶏肉好きのエメラルドが主人公のプロポーズに応じてくれて、ハッピーエンドが成立します』
アスト「『盗賊剣士エクストラ』でも、ネコが重要なイベントがあったが、FT書房製のゲームブックはネコ推しな傾向があるな」
リバT『とにかく、人魚エンドとネコエンドがあって、残り3人が普通の人間なので、グラマスNOVA曰く、後はどうでもいいおまけだそうで』
アスト「いや、普通は人外の方がおまけと考えるだろう」
リバT『人間ヒロインは3人。まずは酒場の給仕娘のディミテラさん。彼女は借金を抱えているので、彼女への求婚を成立させようと思えば、金貨100枚を入手しなければなりません』
ダイアンナ「最初の所持金は?」
リバT『金貨10枚ですね。まあ、正攻法で金貨100枚は稼げないので、ここは闘技場で戦って稼ぐか、酒場でギャンブルをしないといけません。お金以外のフラグ立てはないので、ディミテラと出会ってさえいれば、ハッピーエンドは簡単です。もちろん、わざわざ狙わないと、金貨100枚も儲けることはできないわけですが』
アスト「つまり、借金を肩代わりすることで、給仕娘の身請けをするってことか。ロマンチックではあるが、ファンタジックな話ではなくて、あまり夢はないかもな」
リバT『そして、残りの2人がメインヒロインのアルウェラ(貴族の娘)と、対抗馬のハナ(平民。商人の娘で芸術好き)。この2人のグッドエンディングを迎えるには、緻密にフラグ立てを頑張らないといけません。それに、どちらもライバルキャラとなる男(イヤミな貴族の御曹司と、幼馴染のマッチョ)がいますので、花嫁を巡ってのバトル展開にもなったり、恋愛感情のもつれがドラマになったりもする』
ダイアンナ「トゥルーエンドがアルウェラの方かい?」
リバT『そうです。パラグラフ400番は、アルウェラと結婚し、貴族の跡継ぎになるハッピーエンドですが、そこに行き着くまでが大変。まずは、通りで困っている使用人と遭遇して、旦那さまの病気を癒す薬を買いに行くことになり、無事に薬をゲットできれば、アルウェラと対面することができます。その後、家に縛られているアルウェラと、自由人である主人公の身分違いの恋話とかがあって、外国の話なんかを楽しそうに聞く彼女との関係性が進展』
アスト「よくあるラブロマンスだな。だけど、その身分の差をどうやって克服するかが問題だ」
リバT『実は、彼女の家は陰謀劇の的にされていて、兄が急死したり、父親の病気とかもあったりして、先行きが不安なんですね。で、その背景にライバル貴族の目論見があるわけですが、その陰謀の背景をしっかり調べることができて、身内の裏切り者を排除したりしながら、父親の信頼を得たうえで、イケ好かない貴族の御曹司の妨害工作を切り抜けてから(切り抜けられなかったら主人公も暗殺される)、愛情に関する彼女の哲学的な質問に正解を出すことで、ようやく婿養子として快く迎えてもらえる形に』
ダイアンナ「逆玉の輿って奴だね」
リバT『正直、貴族の背景ってリアルで考えると、非常に面倒くさいんですね。アルウェラ自身、非常に面倒な性格の女性なので、美少女恋愛ゲームのメインヒロインになるようなタイプのキャラクターではないのです』
アスト「メインヒロインって、大体、才色兼備だけど主人公にとっては仲の良い幼馴染みってイメージがあるな」
ダイアンナ「自由に憧れる財閥のお嬢さまとかはメインというよりは、ツンデレ系のサブヒロインって気はする」
リバT『貴族の家柄なので、彼女に言い寄る男は結構多いのですが、家柄ではなく彼女自身の価値を見出して、愛情を注いで欲しいという願望と、それでも家を守ってくれる強かさを兼ね備えた男性が希望なんですね』
アスト「愛とか優しさとかは必要だけど、それさえあれば家を捨ててもいいという割りきりはできない。だから、愛と強さの両方が欲しい、と」
リバT『強さがなければ、貴族同士の陰謀の世界に他人をうかつに巻き込むことはできないという彼女なりの配慮もあるのです。その陰謀を看破して、ライバルの妨害も排除するだけの知恵と力がなければ、トゥルーエンドには至れない。そこまでするほどの女か? と考えたら、うちのグラマスNOVAはハマれない、という感想でした。イラストのアルウェラも、冷たい貴族的な美貌の女性で、文章表現でも貴族令嬢らしい堅苦しい口調と、年頃の娘らしい愛らしさがシーンによって切り替わるものの、ゲームブックのブツ切りの文章では「性格や話し口調に一貫性がない精神分裂じみたヒロイン」に見えて、ツンデレとかギャップ萌えにまでは至らなかった、と』
ダイアンナ「イラストの印象も大きいけど、メインヒロインにハマれない美少女ゲームは、評価が下がるってことか。まあ、個人の趣味の問題も大きいのだろうけど」
アスト「性癖が人魚萌えのプレイヤーのツボを突くような設定は、なかなか難しいだろう。人魚ヒロインがいるだけでも良しとしなければな」
リバT『これが容量の多いデジタルゲームなら、サブヒロインにももっとイベントが多く実装されていて、サブヒロイン絡みのイベントだけでもお腹いっぱいになれるはずだったのです。しかし、ゲームブックでは人魚ヒロインのイベントも少なく、メインヒロインのアルウェラさんか、平民代表のハナさんがもっぱらの話の中心になって、他は刺身のつま程度の扱い』
アスト「だけど、世の中には、つまの方が好きな人間もいるってことだな」
リバT『複雑な環境や性格、攻略難度の高さのせいで、メインヒロインに萌えないという感想もあるなか、分かりやすいヒロインがハナさん。彼女を攻略するには、芸術好きの彼女の琴線に触れる音楽を奏でたり、いっしょに絵画鑑賞したり、相手の趣味を理解して、なおかつ陶芸の腕を磨いて、魔法の補助も受けながら、見事な芸術作品を仕上げる必要があります』
ダイアンナ「宝石好きのあたしのために、宝石加工のスキルを高めるってことだね」
リバT『それだけではなく、陶芸のための原材料となる土をゲットしたり、最近亡くなった陶芸名人の霊魂から教えを乞うために、地下墓地に侵入してWILの魔法で幽霊の声を聞いたり、そのために必要なアイテムのお香を教会で購入したり、陶芸の技をコツコツ磨いているマッチョな幼馴染みを殴り倒して、寝取りを実行したり、アルウェラさんに負けない数のフラグをしっかり立てる必要があります。ただ、エンディングがアルウェラさんに比べて、あっさり風味なのが残念なところ』
ダイアンナ「メインヒロインに比べて、サブヒロインがないがしろにされている?」
リバT『ハナの攻略ポイントは、完成度5以上の陶芸品を作り上げることですので、それには事前の仕込みがいろいろ必要になります。陶芸品の完成度が高いとハナさんも満足で、商人の父親も売り物になる工芸仕事だってことで認めてくれてハッピーエンド。でも、それだと最後が工芸職人になるという未来で、他のエンディングに比べて、自由も華やかさも感じられません。メインヒロインの対抗馬として設定されたにも関わらず、最後の締め方が一番つまらないオチというか、これだと人魚といっしょに海の世界へ、とか、ネコを連れて旅立つとか、冒険者としてはそっちの方が憧れる、というのがグラマスNOVAの感想です』
アスト「過程は良くても、結末がつまらなければ、ダメってことか」
リバT『メインヒロインのアルウェラさんの方は、結ばれた後の未来まできちんと描写されていて、「平民であっても魔法使いであれば、街で一目置かれて出世できる」という世界観とか、愛情に満ちた生活で数年後に子どもができるとか、ワイン樽の冒険商人から貴族の婿養子としての将来まで物語が追跡しているのです。一方で、ハナさんエンドにはそこまでの描写はなく、商人の父親が認めてくれて、「晴れて2人は結ばれた。お幸せに」であっさり終わる。マルチエンディングだったら、せめてハナさんもアルウェラさんに負けないだけのエンディングもあって欲しかったな、と』
次のFTゲームブックの関心
アスト「結局、『水上都市の祭日』は恋愛シティアドベンチャーと異国魔法の組み合わせで、面白い試みだったけど、マルチエンディングのバランスの悪さで、サブヒロインに興味を抱いてもつまらないので、NOVAのツボに刺さらなかったということだな」
リバT『ええ。アルウェラさんとハナさんを比べたら、複雑な性格のアルウェラさんよりも、明るい性格のハナさんの方が好きってファンも多いと思うのです。でも、エンディングで明確な差が付いてしまうと、ハナさん派が残念な思いをするんじゃないか、と。本来、美少女ゲームって、プレイヤーごとに好みのヒロインを選べて、多様な楽しみ方ができるものだと考えますが、あるエンディングが明確に正解で、他のエンディングは描き方がおざなりとなれば、そちらを選んだファンががっかりと思うのですね』
ダイアンナ「それでも楽しかったんだろう?」
リバT『グラマスNOVAは、自分には合わない作品だったという結論ですね。ハナさんを幼馴染から寝取る展開もスッキリしないし、一番ツボだったのが複雑な貴族の陰謀劇よりも、奴隷商人を倒して救出したヒロインと種族の差を乗り越えて結ばれる単純明快さだと言っておりました』
アスト「恋愛劇って、心理描写が重要になるから、ゲームブックとしては珍しい反面、これが正解だと押しつけられると合う合わないの差が極端に出て来るのかもしれない」
ダイアンナ「メインヒロインの性格が気に入らなくても、サブヒロインにハマれば、というのが美少女ゲームにはあって、でもゲームブックでそういう長所を取り込もうと思えば、マルチエンドでの描写を充実させる配慮が必要だったということだね」
リバT『で、次のFT書房作品ですと、「ガルアーダの塔」がいいかな、とグラマスNOVAはお考えのようです』
アスト「聖フランチェスコを舞台に、ニナ・ガーデンハートも登場する作品か」
ダイアンナ「彼女の物語の一つというだけで興味が出て来るね」
リバT『優先するのは、ローグライクハーフやFFコレクションの方になると思いますが、機会を見て入手して、プレイしたいということで、今回の感想雑談はここまでにしておきましょう』
(当記事 完)

