未踏の地形へ
リバT『前回は、行方不明の相方冒険者ダルタニアさんの後を追うように、サソリ沼に踏み込んだアートスさん。手がかりになるアイテムは、彼女の旅の記憶を宿した不思議な指輪ですね。この指輪があれば、方向感覚を見失いやすいサソリ沼の東西南北も正確に分かり、また邪悪な存在の悪意も探知できるという優れもの。パトロンの商人プームチャッカーの依頼を聞いて、フェンマージから北西の街ウィロウベンドへの近道ルートを地図に書き記すことがミッションとなります』
アートス(アスト)「謎の男グロナールによると、ダルタニアがウィロウベンドに向かった可能性を示唆していたな。ウィロウベンドまでは、サソリ沼を真っ直ぐ突っ切れば、1日で行き着けるそうだが、迂回するなら道が遠回りになるので10日近く掛かるらしい」
リバT『フェンマージは〈王の道〉という大きな街道近くにありますので、交通の便が良いのですが、ウィロウベンドの方は道が整備されていない自主独立の気風が感じられる街。割と荒くれ者の盗賊や冒険者がたむろしているそうですね』
アートス「そんな不便そうな街に冒険者が集まる……ということは、それなりに冒険の種があるってことだな」
リバT『近場に古代の遺跡がいくつもあるんじゃないでしょうか。ともあれ、ゲームブックの記述では、素朴な村風のフェンマージよりも、ウィロウベンドの方が賑やかに発展している街って印象ですね。フェンマージでは冒険家が珍しい様子なのに、ウィロウベンドの住人は割と大胆な感じです。宿も三軒あって、商売慣れしている様子なので、旅人もよく訪れるのでしょう。
『ただ、ワールドガイドのタイタンの地図によれば、街道沿いのフェンマージに比べて、ウィロウベンドに人が集まる理由がよく分からないんですね。交通の便が必ずしも良くないのに、人が来るということは冒険や商売の種になる何かが近辺にあるのだろう、と』
アートス「サソリ沼やその北でしか生育しないレアな動植物がいて、貴重な薬草やマジックアイテムの素材になるのかもしれないな。ウィロウベンドのみで作られる毒物とか闇の嗜好品があって、大々的に宣伝されているわけではないけど、裏ルートでは結構な値段で取り引きされているとか」
リバT『そんなウィロウベンドに向かっている途中なのが、今のあなたの状況です。サソリ沼に入って東の未踏部分を進みながら、沼怪獣や蜘蛛のあるじ、蟹草を倒すところまで到達しました』
アートス「キャラクターシートはこんな感じだな。今のところリソース消費もなく、順調に進めている、と」
●盗賊剣士アートス(プレイヤー:アスト)
・技術点:12
・体力点:20
・運点:10
・呪文:技術回復、体力増強、開運、氷結、目くらまし
・入手アイテム:スミレ石、蜘蛛の護符
リバT『蟹草を切り払った空き地24番を歩いていると、木に「オークに注意!」という警告の文字が刻まれていますね』
アートス「確か西が戦場跡になっていて、戦士とオークたちの死体が転がっていたんだな。指輪がダルタニアの記憶を見せてくれたので、そっちの危険は避けて、未踏の東へ向かうところから今回はスタートだ」
オークに注意
リバT『あなたは空き地26番に入りました。すると、一本の矢がヒュンと頭をかすめます。気がつくと、弓を構えた沼オークが3体、あなたを待ち伏せしていたようです。さらに2本の矢が飛んでくるのですが、あなたは【金の磁石の首飾り】を持っていますか?』
アートス「確か、戦場跡で手に入るんだったな。呪われていて、矢を引きつける効果があるとか」
リバT『運だめしを要求されて、成功すればダメージ1点、失敗すればダメージ5点になるところでした』
アートス「幸い、オレはそんな呪われたアイテムは持っていない」
リバT『そうですか。だったら、矢の一本は外れますが、もう一本が腕に命中して、技術点が1点、減少します』
アートス「何だと!? 技術点のダメージはなかなか痛いんだぞ」
リバT『そうですよね。【金の磁石の首飾り】は持っていると損をするように思われがちですが、持っていない方が技術点を減らされるので、有用という意見もあるのです』
アートス「持っていると、運だめしで運1点を消費して、成功すれば体力1点のダメージか。良くても合計2点の能力減少が発生するわけだが、技術点1点の方が手痛いな。まあ、〈技術回復〉の魔法は準備していたのが幸いだが、とにかくオークに挑みかかるぞ」
複数の敵と戦う場合、FFでは1体ずつ戦うケースと、複数体まとめて戦うケースがあり、前者の方が振るダイスが少なくて済む。
例えば、ここの沼オークはそれぞれ体力点7、7、5であるが、普通に戦うと順調でも11ラウンドを要する(1度に与えるダメージが2点なので、4+4+3=11)。1体ずつ相手にする場合、敵味方それぞれダイスを振り合うので、2D6を22回振ることになる(ディレクターなしのソロプレイの場合)。これだけでも面倒に思えるが、複数体まとめて戦う場合は、はるかに面倒だ(苦笑)。
最初の4ラウンドは、敵3体のダイスを振ることになり、12回。
続く4ラウンドは、敵2体のダイスを振ることになり、8回。
最後の3ラウンドは3回で済むので、合計23回になる。
これに自分の攻撃ダイス11回を含めて、34回もダイスを振らないといけないのだ。
昔は、この単調作業が楽しかったんだけどなあ。
なお、体力点の低い3人めを先に倒すと、3×3+4×2+4で21回になり、敵の振る回数が2回減るので、ダイスを振るのが面倒に感じるプレイヤーにはお勧めである。
また、魔法を使うなら、《目くらまし》がうまく通用しないので、《脅し》がいいのだが、それでも1体しか逃げ出さないから効率はよろしくない。
どうしても楽がしたいなら、逃げ出すとオークは追って来ないが、ここに居続けるので、鬱陶しい。
まあ、昔を思い出して、ダイスロールを楽しむのがゲーマーの道であろう。
そしてダイス振りを効率よく楽しみたければ、敵味方の手順を逆にして、自分の攻撃ダイスを先に振るといい。そして、自分のダイス目が高いなら、敵のダイス振りを省略するのだ。
この戦いの場合、自分の技術点は1点下がって、11点。オークの技術点は6か7なので、最大でも攻撃力は19点。自分が9以上を出せば、絶対に勝てるので、オークのダイス振りを省略してもいいだろう。
今回は手間を減らすために、そういう手法をとった。
厳密なルール運用ではないが、先に自分の攻撃ダイスを振る方が、個人的には気合いが入って、良い目が出るようにも思える。
アートス「ふう。ザコ相手とは言え、数が多いので激しい戦いになったな。2点ダメージを受けたが、何とか全滅させたぜ」
リバT『振るダイスの多いのは、ディレクター役の私めの方なんですけどね。そして、アートスさんを傷つけたのは、そちらが出目4を出した場合のみ。まあ、12ラウンドも戦って、2点しかダメージを受けなかったのは、プレイヤーの運が良かったと言えるでしょうか』
アートス「さすがに、それだけダイスを振れば、出目が事故る時もあるよな。さて、せっかく苦労したバトルだ。戦利品も欲しいわけだが」
リバT『そう思って、オークの死体を探ります。すると、彼らの保存食っぽいネズミの干物とかが見つかりました』
アートス「人が食う気にはなれないな」
リバT『そうですね。こんなガラクタでも、魔法の触媒になるかも、と持って行かせるゲームブックもありますが、本作は違います。連中の保存食は気持ちが悪くて、触れる気にもなれないとあっさり切り捨て、数枚の金貨のみが貴重品です』
アートス「本作では、金貨の枚数を記録する必要がないもんな。金勘定は割と曖昧に処理されてる」
リバT『他に貴重品といえば、彼らの使っている大雑把な地図なんですが、読みとった情報はすでにあなたが知っているものばかりで、ただ一つだけ真南に「王冠をかぶったカエル」の絵が描かれてありました。この先の道は北と南に向かいますが?』
アートス「目的地は北にあるんだが、カエルの絵は気になるから、そっちに進むとしよう。ところで、そのオークから奪いたいものがある」
リバT『何でしょう?』
アートス「弓矢だよ、弓矢。アランツァ世界では、オレは剣だけじゃなくて弓矢を使ってたんだ。だったら、ここでも弓矢を使いたいのが人情ってものではないか?」
リバT『しかし、ゲームブックの記述では、「彼らの武器は粗末なもの」で無用とのこと』
アートス「ディレクターがいるなら、その辺は融通を利かせろよ。別にルール的に有利になりたいってわけじゃない。フレーバーアイテムとして、弓矢ぐらい持っておきたいって話だ。戦闘に入る前に『とりあえず、弓を射ってみたが、オークの粗末な武器は扱い慣れず、うまく命中させることができない。仕方なく、手慣れた剣に持ち換えて接近戦を挑む』ぐらいの表現で、弓使いっぽさを演出する形だ」
リバT『では、その辺の演出は、プレイヤーさんにお任せします。当たらない弓矢を大事に持って行くなら、それでもいいでしょう』
アートス「いつも当たらないのもオレが下手くそみたいだからな。当たっても、相手の装甲が固くてダメージが通らないとか、皮膚が粘ついていて矢がヌルッと逸れてしまうとか、その都度、演出は変えよう」
リバT『どうでもいいですけど、南へ行きますよ』
カエルのあるじ
リバT『南の空き地8番に進むと、周囲から何千ものカエルの鳴き声がクワクワケケケケと聞こえてきます。やがて、巨大なキノコが何本も立っている場所に行き着いて、その一つにずんぐりした体形の、背の低い男が腰を下ろしていますね。首に銀色のカエル型をした護符が下げられており、両側の地面には護衛のように大きなウシガエルが2体、待機しています』
アートス「あんたが〈カエルのあるじ〉か?」
リバT『そうだ、とあるじは答え、あなたの用向きを尋ねて来ますね』
アートス「こいつは邪悪ではないんだな」
リバT『指輪は反応しませんね』
アートス「だったら、話に応じよう。ええと、ダルタニアという女を探している。彼女がウィロウベンドに向かったという話を聞いたので、そちらに向かうついでに、地図を作っている最中だ」
リバT『「その女なら知っている」とカエルのあるじは答えます。「邪悪な魔法使いに雇われて、我らの仲間のあるじを殺し回っていたという噂だったが、〈鳥の女あるじ〉殿に説得されて、邪悪な魔法使いを倒すように動いた、とか。お前もすでに魔法使い殺しに手を染めたようだな」』
アートス「〈蜘蛛のあるじ〉のことを言っているなら、奴が邪悪でこっちを殺そうと企んでいたからな。あくまで正当防衛って奴だ。あんたは邪悪ではなさそうだし、オレの邪魔はしないだろう? オレはただ沼を越える助言が欲しいだけだ」
リバT『「北西のウィロウベンドへ行くには、人魂のウィル・オ・ウィスプに付いて行かないことだ。死にたくなければな」と、カエルのあるじは教えてくれます。中立ルートだと、これだけのイベントですね』
アートス「邪悪ルートだと、ユニコーンのところで《友情》の魔法をゲットしないといけないという話だったな」
リバT『ああ、その件ですけど、後に私めの勘違いだと判明しました』
リバT『こちらの記事でも、訂正脚注を入れたのですが、〈カエルのあるじ〉から護符を入手するのに必要な魔法は、《友情》ではなくて《目くらまし》だということを再確認しました。邪悪ルートだと、正直に護符をくれと言った場合、〈カエルのあるじ〉は用心棒のウシガエルに戦闘を任せて、自分は飛び跳ねて逃げてしまうので、護符を入手できません。ですから、嘘の作り話をして、相手の油断を誘うことになるのですね』
アートス「《友情》の魔法を使わなくても、会話はできる、と?」
リバT『その作り話の内容が、「ファングのサカムビット公に仕える自分は、〈死の罠の地下迷宮〉のための新たなモンスターを探すために、このサソリ沼に送り出された。そして、外の村で〈あるじ〉の噂を聞いて、興味が出て来た。あなた方の素性と目的が知りたい」というもの』
アートス「何と。大陸違いの『死の罠の地下迷宮』のネタが出て来るのか」
リバT『そこで運だめしに失敗すると、嘘がバレて逃げられるのですが、運だめしが成功だと、〈あるじ〉の扱う護符の魔法について、大まかな話をしてくれます。その後で《目くらまし》の魔法を使えば、〈カエルのあるじ〉をうまく出し抜いて、護符をゲットできる仕様』
アートス「何にせよ、ダルタニアは《目くらまし》を覚えていなかったはず」
リバT『というか、そもそも出会ってもいなかったわけで。あくまでIFの話ですからね。とにかく、邪悪ルートで〈カエルのあるじ〉から護符を入手するには、適切な魔法の準備が欠かせない、と』
アートス「あるじに関するイベントは、中立よりも邪悪ルートの方がいろいろ濃いことは分かった」
北西への旅路
リバT『〈カエルのあるじ〉の空き地8番は行き止まりになっていますので、オークを倒した北の空き地26番へ戻るしかありません』
アートス「もう、待ち伏せはないよな」
リバT『倒したオークが復活して来ることはありません。このまま北上すると、空き地3番へ出ますが、特にイベントはありません。道は東西に伸びています』
アートス「ウィロウベンドは北西だったな。ならば、西へ向かう。東の探索は善良ルートのカニコングに任せた」
リバT『西の空き地は13番です。この場所では、何十匹ものサソリが足元を這いずり回っています。安全に踏破するには、運だめしに成功しないといけません。失敗すると、1Dダメージを受けることになりますよ』
アートス「出目5で成功。残り運点は9だ。これで突破できていいのか?」
リバT『運だめしに成功すると、選択肢が3つですね。剣でサソリの群れをなぎ払うか、《火炎》の魔法で焼き払うか、ジャンプで飛び越えるか』
アートス「《火炎》は持ってないんだ。剣で相手するにも、数が多すぎてキリがなさそうなんだよな。ジャンプするぜ」
リバT『2Dの出目が体力点以下なら問題なく飛び越えられますね』
アートス「体力点が11以下でない限り、ダイスを振るまでもなく成功だな」
リバT『では、道は北と西に分かれます』
アートス「どちらへ進むかを決める前に、一度、ここまでの道程を地図で確認しようと思う」
●サソリ沼の地図(未完)
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(14) ? ? ー(13)ー(3)ー?
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(23)ー(29)ー(5)ー(24)ー(26)
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(6)ー(18) l (8)
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(34) l
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(4)ー(1)ー(12)ー(25)
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沼の入り口
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フェンマージ
●空き地番号とイベント名および攻略コメント
(1)水たまり
(3)特にイベントなし
(4)狼のあるじ
(5)戦闘跡
(6)鉤爪獣(ダイア・ビースト)
(8)カエルのあるじ
(12)クマのうろ
(13)サソリの群れ:運だめしとジャンプで乗り越える。
(14)鳥の女あるじ
(17)蜘蛛のあるじ
(18)剣の木
(23)恐怖の花
(24)蟹草
(25)沼怪獣(プール・ビースト):表紙絵モンスターの割に強くない。倒すと【スミレ石】を入手できる。
(26)沼オーク3体:弓矢のダメージが痛い。だけど、倒しても弓矢は入手できず。
(29)ユニコーン
(34)小川
アートス「地図によると、13の西は5の北になるみたいだが、本当にそう上手くつながるのか気になるので確かめてみたい」
リバT『では、西へ進むと、空き地9番に入ります。一人の小柄な男が、のんびりピクニック気分で、食事を食べていますね。「やあ、剣士さん。ご一緒にチーズでも食べないかね」と男は友好的に話しかけて来ますが、指輪が反応します。こいつは悪意を持った盗賊だ、と』
アートス「だったら、こう言おう。お前が盗賊だってネタはバレている。だが、オレもな、盗賊なんだ。どっちが優秀か、盗賊ナンバーワンを決めるためにバトろうぜ。いきなり剣で斬りかかる。あ、その前にオークの弓矢を射っておこう」
リバT『小柄な盗賊は矢をかわして、短刀を抜いて接近戦を挑んで来ます。技術点10、体力点6ですね』
アートス「思ったよりも、腕の良い盗賊ってことだな。まあ、1差で勝っているから、負けはないだろうが」
結果的に、運良く無傷で勝利したアートスだった。
盗賊ナンバーワンバトルの勝者となったため、戦利品として【赤い外套】を入手する。そして、盗賊の遺したチーズをパクつきながら、南が空き地5番に通じていることを確認した後、引き返して北へ進む。
そこは空き地20番で、腐蛆病川の見える崖になっていた。
腐蛆病川を越えるために
アートス「初期のFFにありがちなのが、地下にせよ地上にせよ、川を渡ると後半戦に突入ってことだな」
リバT『例外は英ジャクソンの「バルサスの要塞」「さまよえる宇宙船」ですね。バルサスは、洗濯おばさんのいる地底川は登場しますが、川を渡るイベントはない。よって、川を渡るのはリビングストンの初期の伝統と言った方がいいでしょう。「火吹山」「運命の森」「盗賊都市」「死の罠の地下迷宮」「トカゲ王の島」「雪の魔女の洞窟」まで、川を渡るイベントは必ず採用されていました』
アートス「で、川を渡るための橋はあるのか?」
リバT『空き地20から東へ向かった先に橋が見えますが、ここから直接、橋へは行けないようです』
アートス「だったら、空き地13のサソリ地帯に戻って、そこから北へ向かえば、橋が渡れるってことだろうな」
リバT『選択肢は4つあります。来た道を南へ戻って東から橋を渡るか、道の続いている西へ向かうか、崖から飛び降りて川を北へと泳ぐか、東へと泳ぐかですね』
アートス「泳ぐのは危険だと思うな」
リバT『そうですね。よく見ると、川にはワニの姿も見えますし』
アートス「さすがにワニと戦う趣味は、オレにはない。だが、念のため、IFルートってことで、川に飛び込んだ場合の脳内シミュレートを試みよう」
リバT『では、川に飛び込んで北へ泳ぐと、ワニに食べられるバッドエンドが想像できました。東に泳いでも結果は同じですね。つまり、川に飛び込むのは自殺行為と言っていいでしょう』
アートス「だったら、西だな。来た道を引き返すという手もあるが、未探索のエリアを確認するのも一興だ」
リバT『空き地20の西は、空き地33番です。ここからは南に行けますね。あと、魔法で川を凍らせるという選択肢も出ます』
アートス「川幅はどれくらいあるんだ?」
リバT『ざっと200メートルと言ったところでしょうか』
アートス「思ったよりも広かった。オレは魔法については素人だが、《氷結》の魔法で200メートル先まで凍らせられると思うか?」
リバT『それは運次第ですね。《氷結》を2回使えば確実と、指輪の中のダルタニアさんの記憶が言ったような気がします』
アートス「う〜ん、川を渡るのに、こんな苦労をさせられるとはな。素直に引き返して、東の橋を渡る方が安全確実と思うが、ここは地図の完成を優先して、未踏破の南へ進むとしよう」
リバT『南はなぜか番号が付いていませんが、悪臭の瘴気地帯となっていて、通過すると体力点2点を失います。さらに南へ向かって進みますか?」
アートス「進むしかあるまい。地図が正しければ、この先はユニコーンのいる空き地29番に出るはずだが?」
リバT『正解です。ユニコーンが通せんぼをしていて、戦うか《脅し》の魔法で追い払わないと通過できません』
アートス「もう一度、瘴気地帯を抜けるのはイヤなので、ユニコーンには悪いが死んでもらう」
リバT『ユニコーンは強くて技術点11ですが、怪我して弱っているので、体力点は4しかありません』
アートス「2回攻撃を当てれば、倒せるんだな。運が良ければ、無傷で倒せる」
運は普通だったので、1回攻撃を受けて2点ダメージ(残り体力14点)を受けたものの、ユニコーンを撃退したアートスだった。これで【ユニコーンの角】を入手する。
さらに、この場を調べて、運だめしに成功すると(残り運点8)、空き地の木の根元に何かを埋めたような跡を見つけて、掘り返すと《友情》と《開運》の魔法石を手に入れることができた。善良ルート以外で《友情》が使えるようになる唯一の方法である。
アートス「さて、ここまで来たら、ついでに〈鳥の女あるじ〉様に会って行くか。恐怖の花の技術点減少は、《技術回復》の魔法で何とかできるし」
鳥の女あるじ、ふたたび
空き地29番から、西の空き地23番の恐怖の花地帯を抜けて(技術点9に減少)、空き地14番に入ったアートス。
オウムに取り次いでもらって、美しい〈鳥の女あるじ〉と面談することに。
アートス「あんたが〈鳥の女あるじ〉様か。ここに相棒のダルタニアがやって来なかったか? 行方を探しているんだが」
鳥の女あるじ(リバT)『その指輪! そうですか、運命神ロガーンは次にあなたを選んだのですね』
アートス「運命神ロガーン? 何のことを言っている?」
鳥の女あるじ『ロガーンはどうやら、アランツァという別世界からあなたやダルタニアさん、それにもう一人の従者をこのクール大陸に召喚したようですね。このサソリ沼での冒険譚のコマとして』
アートス「つまり、この事件の元凶ってことか。そいつを倒せば、元の世界に戻れるって話だな」
鳥の女あるじ『ロガーンは、フェンマージの街でグロナールという男に化身して、あなた方を冒険に誘っているようです。代理人の老魔女を差し向けて、親切な冒険者に指輪を渡してフェンマージに導き、それから自分の望む仕事のために情報を与える』
アートス「実に手の込んだことだぜ。何のために、そんなことをするんだ?」
鳥の女あるじ『形而上学では、このタイタン世界は神々の作ったゲームの盤だとか。ロガーンはゲームマスターとして中立に冒険譚を紡ぐことを好むようですが、悪意のためではありません。英雄たちが冒険を成功させることで、世界の悪が退治されて、世の中が少しでも発展するように意図していると思われます。ただ、全ての英雄が冒険に成功するとは限らないのですが』
アートス「悪い神ではないかもしれないが、迷惑な神なんだな。わざわざ別世界から、関係ないオレたちを誘い込むなんてよ」
鳥の女あるじ『巻き込まれたダルタニアさんは、この世界のロガーン使徒に選ばれた一人の女冒険者、リサ・パンツァとの魂の絆があるようです。リサは〈死の罠の地下迷宮〉の冒険で、ロガーンに見初められ、その後、雪の魔女シャリーラの魂と一体化して魔女剣士となった。その分身がダルタニアさんだったわけで』
アートス「何だかよく分からない話をしているが、だったらオレにも魂の分身がいるってことか?」
鳥の女あるじ『あなたのことはよく分かりませんが、盗賊都市ポート・ブラックサンドにゆかりのある人物に思えます』
アートス「ブラックサンド? 聞いたことがあるような、ないような……。オレの知ってる盗賊都市と言えば、ネグラレーナなんだが」
鳥の女あるじ『神々の仕掛けた異世界転移に巻き込まれた冒険者や一般人は、あなた方だけではないと思いますが、私にできるのは鳥たちの集めた情報を観測し、それを整理しながら、世界が悪い方向に進まないよう忠告を与えることです。ダルタニアさんは、ロガーンの目論見どおりフェンマージの邪悪な魔法使いグリムズレイドを倒すという使命を果たして、また違う世界に旅立ったと思われます』
アートス「この世界には、もういないってことか!?」
鳥の女あるじ『ええ。私の従者の鳥たちは、広く世界を観察できますが、使命を果たしたダルタニアさんにロガーンが接触して、別の世界に転移させたことを先ほど報告して来ました』
アートス「だったら、オレも同じ世界に転移させてくれ。今すぐに!」
鳥の女あるじ『残念ながら世界を越えるような魔法は、神の身ではない私には不可能です。ダルタニアさんの後を追うには、ロガーンの望みどおりの使命を果たすことが一番の近道だと思われます』
アートス「ったく。運命神もわざわざまどろっこしいマネをしないで、このオレに何をして欲しいのか直接言ってくれよな」
鳥の女あるじ『ロガーンは策略と迂遠な回り道を好むのですよ。あなたは神の使徒として、啓示を聞いたら、その通りにするような人でしょうか?』
アートス「……神の操り人形になるのは、真っ平ごめんだな。オレはオレの自由意志を大切にしたい」
鳥の女あるじ『ロガーンも冒険者の自由意志を重視するようですから、導線だけは仕込んで、後は冒険者の意志に任せているようです。しかし、私としてはもっと親切で善良な女神リーブラへの帰依を勧めますね。今からでも、リーブラの使徒になりませんか?』
アートス「宗教への勧誘は他を当たってくれ。神々のややこしいゲームに好き好んで巻き込まれたいとは思わない。それより、ロガーンはオレにプームチャッカーの仕事をさせて、何がしたいんだ?」
鳥の女あるじ『フェンマージの街の発展のようですね。元は田舎の寒村だった村のフェンマージですが、ロガーンの計画では将来に重要な役割を果たすらしいです。私ども〈あるじ〉がこのサソリ沼に移って来たのも、フェンマージと周辺地域に何らかの魔力の異常を感知したので、その調査と観測のためです。この地に魔界の門を開こうとしたグリムズレイドは倒されましたが、かつての魔法大戦の余波はこの地にも眠っていて、下手に封印が解放されたなら惨劇が待っていることは予想できます』
アートス「このサソリ沼も、混沌迷宮みたいな状況になるかもしれないってことか。どこの世界も大変なんだな」
鳥の女あるじ『ロガーンはバランスを重んじますので、フェンマージ周辺地域が秩序をもって発展することで、古の混沌復活への対策ができると考えているようです。ロガーンの目的がそれなら、私としても協力はしたいところです。もちろん、ロガーンに選ばれた冒険者のあなた方にもね』
アートス「今のオレの仕事は、ウィロウベンドへの地図を完成させること。しかし、どうも腐蛆病川を渡るルートで回り道をしているのが現状だな」
鳥の女あるじ『ウィロウベンドとフェンマージを直接つなぐことについては、私は懐疑的です。素朴な村フェンマージと、悪徳者のはびこるウィロウベンドが交流するとなると、トラブルも多く発生するでしょう。プームチャッカーという商人は開明的な御仁のようですが、秩序よりも混沌を好む気質がある様子。その点が、ロガーンにも気に入られているのかもしれませんが』
アートス「あんたは、プームチャッカーに反対するのか?」
鳥の女あるじ『私はセレイターを支持していますからね。しかし、あなたの探索については、協力できると思います。世界の壁を越えることはできませんが、腐蛆病川を越える程度なら、お安いご用。大鷲の背に乗せて、川向こうまで送り届けてあげましょう』
アートス「そいつは助かる。ついでにウィロウベンドまで送ってくれないか?」
鳥の女あるじ『そうすると、地図が描けないのでは? 私の助力は、あくまで川を渡るまでです。帰り道もあるわけですから、自分の足も使って探索をしないと』
アートス「それもそうだな。とにかく、いろいろ教えてくれて感謝する。プームチャッカーやロガーンの仕事を完遂して、それから奴に話を付けようと思う。何も知らなければ、無益な仕事を延々とさせられるからな」
鳥の女あるじ『ダルタニアさんとの再会を願っていますよ。その後で、あなた方がどのような冒険に巻き込まれるかは分かりませんが、愛する男女が別れ別れになるのはお気の毒です』
アートス「ちょっ!? オレとダルタニアはそういう色恋の関係じゃなくて、互いに頼れる相棒って話だ。愛情じゃなくて、信頼とか仲間意識とか、そういう関係性ってことで」
こうして、アートスは〈鳥の女あるじ〉の大鷲タクシーに送られ、川向こうの空き地16に到達した。
次回はパラグラフ202から再開する予定。
●盗賊剣士アートス(プレイヤー:アスト)
・技術点:9/12
・体力点:14/20
・運点:8/10
・呪文:技術回復、体力増強、開運×2、氷結、目くらまし、友情
・入手アイテム:スミレ石、蜘蛛の護符、オークの弓矢(持っているだけで効果なし。ただの演出用)、赤い外套、ユニコーンの角
(当記事 完)