最後の総括編
リバT『邪悪、中立、善良の3ルート完結おめでとうございます』
ダイアンナ「3月から始めて、1ヶ月ごとに1ルートを攻略する形だったね」
アスト「途中で、作者が気まぐれに『狼男の雄叫び』に寄り道したり、他所のブログでドルイ道話を展開したり、いろいろ寄り道をかましていたからな」
カニコング「それでも、寄り道脱線転覆事故に陥ることもなく、完結を迎えたのは、ひとえに触手の女神リバTさまの加護があればこそ」
リバT『ですから、触手の女神呼ばわりはやめて下さい、と何度も申し上げているではありませんか。私めは自由と解放を司るのですから』
アスト「自由だけど、混沌ではなくて、秩序寄りなんだよな」
リバT『あなた方や、グランドマスターNOVAがどちらかと言えば、混沌寄りなので、誰かが秩序役にならないと、うまく話がまとまらないじゃないですか』
ダイアンナ「ダディは混沌だったのか? どちらかと言うと、秩序寄りだと思っていたが?」
リバT『秩序と混沌のバランス重視型を本人は自認していますが、混沌方面に暴走する素養を多分に備えていますね。側から見ると、どっちに転ぶか分からない不安定さを内包していて、外付け自省回路が必要になります』
アスト「外付けだと、自省という言葉と矛盾するような気もするが、まあいい。それで、今回は何をするんだ?」
リバT『例によって、バッドエンド確認から続く難易度の数値化、あとは今後の予定を考えるってところでしょうか。一応、グラマスの脳内では、「サソリ沼」の次は、空想タイムで山本弘さんの「暗黒の三つの顔」攻略記事を立ち上げる予定みたいですけど』
アスト「ああ。『王子の対決』の次は、そっちに進む的なことを言っていたが、ようやくか。確か、アランシア→旧世界→クールと3つの大陸を順に巡る連作冒険譚って形だったな。和製FFでも最も大掛かりな作品だったとも聞く」
カニコング「では、しばらくゲームブックは、そちらに専念ということでごわすか」
リバT『そちらをプレイしながら、こっちの次回作を始める気力を高めようってことですけど、候補作はいくつかあります。まず、こちらの記事を確認ください』
この1年のクリアFFゲームブック
リバT『去年の夏に攻略予定に入れていた作品で、達成できたのは以下のとおりです』
●攻略18作め『奈落の帝王』(32):前日譚の『謎かけ盗賊』記事と合わせて12回(2024年8月1日〜17日)
●攻略19作め『真夜中の盗賊』(29):準備編からEXまで9回(2024年9月7日〜19日)
●攻略20作め『巨人の影』(71):EXまで13回(2024年10月26日〜11月14日)
●攻略21作め『サソリ沼の迷路』(8):準備編から当EX記事まで15回(2025年3月1日〜5月27日)
リバT『なお、攻略1作め〜17作めの総括記事は、こちらを参照してください』
アスト「別ブログの『王子の対決』は勘定に入れないんだな」
リバT『あれは、ゲームブック2冊分の手間暇がかかったようですから、それを入れると「サソリ沼」は攻略23作めになってしまいますが、ややこしいですよね。とりあえず、番外編という扱いにさせてもらいます』
※番外編『王子の対決』:2人プレイ記事『王女の対決』と完全解析記事を合わせて16回(2025年1月17日〜3月15日)
リバT『他には、攻略記事にまでは至らない日記形式で1本』
※簡易日記『狼男の雄叫び』:3回(2025年3月8日〜3月19日)
ダイアンナ「あとは、FT書房の作品『狂える魔女のゴルジュ』や『水上都市の祭日』、それにローグライクハーフの『混沌迷宮の試練』を1月から2月まで感想記事とか攻略記事を挙げたりしたわけだね」
リバT『ええ。ここで攻略したFFゲームブックは、今年に入ってからは「サソリ沼」の一本だけでしたが、番外編とか他社作品の記事に寄り道していた状況があったことを再確認したわけです』
ダイアンナ「『サソリ沼』のキャラクターは、ローグライクハーフからの出張だから、リンクしているわけだし」
リバT『そんな「サソリ沼」も今回で終わりだから、いろいろ感慨深くもあり、そこから次にどうつなげようか、展望を考えようって話ですね』
アスト「『FFコレクション6』の情報は、そろそろ来ないだろうか?」
ダイアンナ「去年はこの時期辺りに初報が出ていたと思うが」
リバT『5月に初報が出て、年末発売予定だったのが、2月にズレ込んだ流れがありますので、今度は最初から2月を予定しているんじゃないでしょうかね。だったら、初報も2ヶ月ズレ込んで、7月に出るのではないか、と推測しています。いずれにせよ、今のところFFコレクション6の話題はちっとも出て来ておりません』
アスト「収録作品の候補は、『死の門』『仮面の破壊者』『ブラッド島の地下迷宮』の3つが確定といったところか?」
リバT『確定はしていませんが、前2作はFFコレクション5から外された2つが、今度こそ来るか? という順当な予想ですね。「ブラッド島」はリビングストン最新作ということで、外せないと思われますが、すると他の2作は「迷宮探検競技」と続編の「死の軍団」と来れば、新作3巻と復刻2巻で、半分以上がリビングストンBOXになりますが』
ダイアンナ「『死の罠の地下迷宮』の続編セットって形だね」
アスト「英ジャクソンの方はもう打ち止めだから、ジャクソンが来るならアメリカ版の『深海の悪魔』『ロボット・コマンドゥ』という線もあり得る」
リバT『米ジャクソンは、先にアメリカで復刻してくれなければ、またイラストレーターで難儀しそうですが、さておき。今の段階で予想を挙げても、根拠レスな願望に過ぎませんので、こちらの記事の展望の方を考えましょう』
当ブログの攻略展望
アスト「去年の夏に展望した作品で、まだなのを挙げたらいいんじゃないか」
- ソーサリー4部作
- 死神の首飾り(11巻)
- 恐怖の神殿(14巻)
リバT『それにFFコレクション5の収録作品で、優先順位を付けるとこうなりますね』
- 嵐のクリスタル(69巻)
- 火吹き山の魔法使い(ザゴール)の伝説(54巻)
- 狼男の雄叫び(62巻)
リバT『「狼男」の方は、攻略ノートにフローチャートを書いて、一通りの解析は済ませているのですが、もう、それでグラマスNOVAが満足しちゃってる感なんですね。先に未読の「嵐のクリスタル」を優先。また、「ザゴール伝説」は複数主人公のシステムなので、「サソリ沼」の後ではお腹がいっぱいになりそうだから、後回しという感じです』
ダイアンナ「後は、ソーサリーをどうするかだね」
リバT『大作は、手を付けるのも億劫になりがちなので、次はもっと手軽に楽しめる作品をって考えもあります。そして、実のところ、攻略記事には書いていないけど、攻略ノートで解析済みの作品がいろいろありまして、前述の「死神の首飾り」「恐怖の神殿」もそうですが、他に以下の作品も解析済みです』
- 宇宙の暗殺者(12巻)
- フリーウェイの戦士(13巻)
- 迷宮探検競技(21巻)
- 甦る妖術使い(26巻)
- 悪霊の洞窟(30巻)
- 最後の戦士(31巻)
リバT『これで邦訳されているリビングストン作品は「ザゴール伝説」を除いて全て解析済みで、後は10巻台を前から順に、と、30巻台を逆順に解析していた時期があったのですが、次の攻略記事はおそらく、この中のどれかになると思われます』
ダイアンナ「FFコレクションに収録予定の旧作は避けたいところだね。『運命の森』と『さまよえる宇宙船』は旧訳の方を先にプレイしたけれど」
アスト「リビングストン作品は、遅かれ早かれコレクションに収録される可能性が大きいことを考えるなら、それ以外の復刻しなさそうなのを優先した方が効率は良さそうだ」
カニコング「『死神の首飾り』は吾輩のキャサリンが、『恐怖の神殿』はクイーンのリサ・パンツァがそれぞれヒロインになることは確定しているので、後はエースのアストが何をプレイしたいかで決めるといいのではないか?」
アスト「オレは『迷宮探検競技』で生きていたスロム役でプレイすることが決まっているが、次のFFコレクションの予定待ちってところだな。改めて選ぶなら、『海賊船バンシー号』か『ロボット・コマンドゥ』って気分だが」
リバT『……と言った感じで、目移りして定まらないのが今です』
アスト「定まらないなら、急いで次回作を決めなくてもいいじゃないか。それよりも、『サソリ沼』のケリを付けてしまおうぜ」
改めて、サソリ沼のバッドエンド
リバT『では、順番が前後してしまいましたが、定例行事を片付けてしまいましょう。バッドエンドのパラグラフ確認です』
・3:グロナールの助言に従わずに、魔法なしでサソリ沼に挑んで、運悪くぬかるみにハマって脱出不能になって死亡。
・30:腐蛆病川に飛び込んで、ワニの餌食になる。
・49:プームチャッカーに、魔法の指輪を金貨100枚で売る。一時の金は得られたが、サソリ沼の冒険をするチャンスは失われた。
・52:アンセリカ探索に失敗し、セレイターを落胆させる。
・98:グリムズレイドの魔法で、小さな蜘蛛に変えられる。
・100:プームチャッカーの依頼に失敗し、疲れ果てて宿に帰る。
・124:グリムズレイドと剣で対決。バッドエンドというわけではないが、技13、体18の彼を倒すのは、なかなか難しいので、実質的にバッドエンドに準じると解釈。
・141:プームチャッカーの依頼に失敗したが、使わなかった魔法石を返すことで、癒しのポーションをもらうことができた。サソリ沼への再挑戦を示唆して終了。
・222:グリムズレイドが召喚したデーモンと戦う。バッドエンドではないが、技16、体12の敵を倒すのは、非常に難しいので、実質的にバッドエンドに準じると解釈。
・260:〈鳥の女あるじ〉に《呪い》をかけると、邪悪化した彼女に返り討ちにあって殺される。
・297:グリムズレイドから逃げようとして失敗し、《怪力》の呪文をかけた彼に抵抗できずに捕まえられ、空中高くから落とされる。
・313:凍結した氷塊に乗って腐蛆病川を渡ろうとしたが、途中で氷が溶けてしまい、溺れ死ぬ。
・327:プームチャッカーに戦いを挑んだが、苦戦して逃げ出そうとしたところ、駆けつけた衛兵に捕まって、地下牢に投獄される。
・332:〈蜘蛛のあるじ〉に話しかけると、背後から毒蜘蛛に噛まれて、麻痺してしまう。捕えられて、蜘蛛の餌にされる。
・361:〈蜘蛛のあるじ〉に《友情》の魔法を使って話しかけるが、結局、332と同じ結果になる。
・372:プームチャッカーに戦いを挑んで追い詰めるも、ゴブリンメイドの呼んだ衛兵にクロスボウの矢を撃ち込まれて死亡。
・375:グリムズレイド撃退後に、彼の塔を家探ししていると、黒い影の悪魔が出現して、恐怖のあまり逃げ出そうとするも、塔が爆発して死亡。
リバT『バッドエンド総数は17個。そのうちサソリ沼探索時の死亡は6個で、他は雇い主の任務を達成できなかったり、関係性の決裂で残念な結果になったりが11個ですね。その内訳は、セレイター1個、プームチャッカー5個、グリムズレイド5個といったところ』
アスト「プームチャッカーがグリムズレイドと同じぐらい危険だとは意外だな」
リバT『彼の場合は、任務失敗時に主人公が商人の冷ややかな態度に逆ギレして、攻撃してしまった故のバッドエンドが2つなので、自業自得感がありますね。他に、本作の最重要アイテムの指輪を売ってしまって、冒険を放棄したのも自業自得ですし、同じバッドエンドでもプームチャッカーが悪い、とは言えない形。一方でグリムズレイドは主人公に対して非常に攻撃的で、まあ攻撃的な相手は指輪の力で事前に察知できて、こちらも攻撃的に接するのが正解のゲームですから、《呪い》で倒すとか、依頼を受ける前の弱い段階で悪即斬と始末するかが物語上の正解になります』
ダイアンナ「他には、グッドエンドがそれぞれあるか」
リバT『他のFFゲームブックは、最終パラグラフ(普通は400番)に到達することが目的で、立ち読みでも最後にどうなるかはすぐに分かるわけですが、米ジャクソンの作品はマルチエンディングで、グッドエンドが1つではない仕様から、最終パラグラフが終わりじゃないのが特徴。それぞれのエンディングはこうなってます』
- セレイター:175番。アンセリカを見つけていれば、グッドエンド。稀少な薬草を見つけて、善の魔法使いを喜ばせて、世の中を良くできたことに満足して、気分よく旅立つ流れ。
- プームチャッカー:158番。ウィロウベンドまでの地図を完成させていれば、グッドエンド。商人が主人公の成果を誉めたたえ、特別報酬のエメラルドをくれる他、約束どおり交易による儲けの半分をくれる誠実さを示す。金銭的利益という観点からは、最も得をするエンディングと言える。
- グリムズレイド:彼の場合はグッドエンドが分かりにくい。任務に失敗しても、彼を倒せば一応の結末が見られるから。その意味で、悪の魔法使いを倒して塔から脱出する298番がベストエンドと解釈(収入は得られず、雇い主はもっと慎重に選ばないと、という反省も込み)。任務達成して、護符を渡した場合、報酬の金を受け取った358番も一応のグッドエンドと言えるが、悪事を為して汚れたお金を得たことに対する自己嫌悪や疑念を伴うので、やや達成感が削がれる。また、護符を持ち帰らずに、グリムズレイドからただ無事に逃げ出して終わる349番も不完全燃焼ながら、バッドではない一つのエンディングと言える。
ダイアンナ「結果として、グリムズレイド関係が一番エンディングの種類が多くて、複雑ってことなんだね」
リバT『報酬は得られないけど、邪悪な魔術師を倒して、勇者的な達成感を得られるのがFFゲームブック的な理想なんでしょうね。お金は受け取って得はしても、悪事に加担したことへの懸念で終わるのは、もやもやする終わり方ですし。それだったら、護符を一つも渡さずに、得るものはなかったけど悪にも加担せずに、無事に逃げられたのが幸い、と言える349番の方が、文章での後味はまだよろしいか、と』
ダイアンナ「グリムズレイドと仲良くなって、今後も共に悪の限りを尽くそうではないか、ワッハッハと笑いながら、邪悪同盟で盛り上がるエンディングがないのが残念だよ」
リバT『一応、邪悪ルートを選んでも、主人公自身は悪人ではない、という約束事で物語を描いていますからね。冒険中のイベントで善人を殺害したときに、ペナルティーで運点が減ったりしますし、高い報酬に目がくらんで、悪い主人に雇われはしたものの、良心が欠如したキャラではない、と』
アスト「グリムズレイドの器がもっと大きくて、悪人だけど相応の大義は持っていて、忠義や友好の念を捧げるに値する相手ならともかく、約束の報酬をケチって、チョロまかす小物っぷりを露呈したことで、こんな奴に付き合えんわ、となる」
リバT『まあ、悪役は裏切るものと相場が決まってますし、誠実な悪党ってキャラ性を示されても、倒しにくいでしょう?』
カニコング「甘言で人を誘い込み、こちらを利用するだけ利用しておいて、用が済めばあっさり裏切って切り捨てる。清々しいまでの悪役ムーブでごわす」
リバT『同じケチ臭さをところどころ示しつつも、任務達成の成果に対しては、きちんと報酬を与えるプームチャッカー氏の誠実さを見ると、爪の垢を煎じて呑ませたいものです』
ダイアンナ「ともあれ、バッドエンド総数は17と決して少なくはないけど、雇い主絡みで水増しされていて、冒険中のバッドエンドは6つしかないので、本作が危険だって印象にはならないわけだね」
リバT『その6つのバッドエンドも、理不尽な突然死というものが本当になくて、ワニのいる川に飛び込むとか、主人公の愚かしい行動に対する報いでしか死にませんし。〈蜘蛛のあるじ〉に話しかけると死ぬ、というのは多少とも理不尽を感じたりもしますが、この男が邪悪であることは普通に指輪が警告してくれていますから、その警告を無視して試しに……というのは愚行でしかない、と』
難易度の話
リバT『以上を踏まえて、難易度を考えてみるわけですが、ルートによって多少の変化は見られるわけですね。それを見据えつつ、項目別に見て行きましょう』
①ラスボスが強い(邪悪◯、他X)
邪悪ルートのボスキャラであるグリムズレイドは、《呪い》の魔法で即死するという弱点を知らなければ、技術点13、体力点18という非常に難敵である。その意味では、ザゴールやバルサスを凌駕すると言ってもいい。
しかも、彼の召喚する悪魔や、彼自身の使う魔法など、選択肢によっては主人公を追いつめる手段が多岐に渡るのだが、フェンマージの住人を脅かす悪事を企んでいるとか、主人公が絶対に倒さないといけないとか、物語上の必然性がないために、その能力が過小評価されている一面はある。
彼を倒すと、その塔が直後に爆発してしまうために、彼が護符を入手して何を企んでいたのか、それともただのマジックアイテム・コレクターでしかないのか、描かれていない背景は想像するしかない。
本ブログの記事では、「サソリ沼には、強大な魔力を秘めた魔獣が封印されていて、その力を求めた召喚魔法の使い手で、〈あるじ〉たちにとっての要警戒対象」ぐらいの設定を付けてみたけど、最初の攻略であっさり倒されたこともあって、後から「実は凄い奴だった……のかも?」という扱い。
しかし、自分の与えた《呪い》一発で即死、という間抜けさや、任務達成の報酬をケチるという小物っぽさのために、恐ろしい印象が削がれた残念ボスになりますな。ある意味、ゴンチョンの傀儡というだけで小物扱いされているトカゲ王と同様に、戦闘面での実力は高いのに過小評価されたボスだ、と。
なお、セレイターとプームチャッカーのルートでは、ボスと言えるキャラがいないうえ、本作の敵はグリムズレイドと召喚悪魔を除けば、技術点が最大11なので、戦闘で苦戦する局面が他の作品と比べても少なかった。
ただし、技術点減少のトラップが結構多いので、最初の技術点が9以下だとクリアに支障をきたす可能性が高い。技術点が10あれば、普通にクリアできると思われ。まあ、戦闘機会の多い邪悪ルートだと、技術点が11以上は欲しいけど。
②全体的に罠が多くて死にやすい(X)
サソリ沼の探索中のバッドエンドは6回と少なく、死ににくいゲームブックと言える。
運だめしの機会も多くなく、代わりに技術点を失う類のトラップは結構ある。
《技術回復》の魔法は、ぜひ習得しておきたい。最初に入手し損ねたなら、頑張ってウィロウベンドまで行って、買ってくるべきだ。
初見殺しの罠は、ほぼないので、リソース管理に気をつけながら、罠区画を避けたり、対処手段を学ぶ過程が結構、楽しめるゲームである。いきなり即死して、探索が強制中断させられる興醒め感がほぼない良ゲームと思う。
FFゲームブック特有の理不尽さがツボだって人には、物足りない可能性もあるが、そういうマゾ気質な人は、『死の罠』とかFF20巻台を楽しむといい。
③パズル構造が複雑(◯)
ストーリー重視で、来た道を戻ることができない既存ゲームブックだと、必須アイテムの取りこぼしがあったりすると、最後までたどり着けないことが多々あるのだけど、本作でそういうことは一切ないので、その点は楽。
ただし、行ったり来たりできるゲームは、マッピングしていないと自分の現在地を見失ったりして、立ち読みでテキトーにパラグラフを進めているだけでは解けない。
そして善中悪で冒険の目的やストーリーが変わって来る点も、パズル構造として複雑だったりもする。ここからのさらなる発展形が、英ジャクソンの『サイボーグを倒せ』なんだろうけど、そちらは時間経過が重要なゲームで、双方向の行き来はできない。
ともあれ、ゲームブックに双方向移動の概念をもたらした革命的な一作で、当時の日本のゲームブック業界がかなりお手本にした面も。
ゲームブックをプレイするのに、マッピングやフローチャートを書くのが当たり前のヘビーユーザーならともかく、テキトーにパラグラフを読み進めて、ストーリーの流れで理解していく読書派プレイヤーには、単調な区画描写の迷路構造の本作は多少とも難易度が高いとも言える。
東西南北が明確で、番号で現在地が示され、地図に描きやすい整合性を重視する者には評価されるが、そういうゲーマー志向のプレイヤーとは違う非マニアな客層もブーム当時はいっぱいいたってことで。読み進めるだけで難なく立ち読みで解けちゃうファミコン系のゲームブックも結構あったからなあ(主に双葉社)。
そして、本作最大のパズル性は、「目的地までの地図を作って、そこに行って、スタート地点に帰って来るまでが冒険の目的」としたプームチャッカー・ルートにあると思っています。地図を作ることが手段ではなくて目的なのと、ただ一方向にゴールを目指すのではなくて、往復することがミッションクリアに必要な、システムに即したストーリー構成で、実に計算高く作られた一本だなあ、と。
まあ、コンピューターゲームのウィザードリィなんかがやって来た道だけど、ホームタウンから迷路への往復ってのは。違うのは往復回数で、1回往復すれば物語が一段落するのがゲームブックで、何度もダンジョンに入ったり出たりを繰り返して、キャラの成長を楽しむのが当時のコンピューターRPG。ゲームブックはRPGよりはむしろ、テキストアドベンチャーの書籍化に近いんだけど、本作の双方向移動システムはよりRPGへの傾倒を強めたとも言える。
これにキャラ成長システムを組み込んだのが、東京創元社の『ドルアーガ』とかの和製ゲームブックの当時の本流だったわけで。
④ゲームシステムが難しい(◯)
善中悪の3種類の魔法、というのが本作の注目点の一つ。
『バルサスの要塞』の魔法システムを、属性への分化という意味で発展させて、道中の危険をどの魔法で切り抜けるかだけでなく、属性による対処法の違いなども再現して、面白い。
善良だから使える魔法が決め手になることもあれば、植物系の敵(本作には数多い)には悪の《枯らし》が有効とか、魔法を使った対処法がいろいろヴァリエーションがあって、複雑であるとともに楽しませてくれる。
もしも魔法がなければ、戦う、話す、逃げるの他に、入手したアイテムを使うぐらいしか選択肢がないわけですが(魔法のないFFでは、入手アイテムこそが切り札となる)、本作のアイテムは交渉で使うことが多く、魔力を秘めた便利な品がなくて(護符ですら使える機会がほぼない)、魔法による局面打開の機会が結構用意されている。
FFシリーズの魔法システムは当時、『バルサスの要塞』『ソーサリー』『サソリ沼の迷路』の順で発展継承されて、次に『恐怖の神殿』につながるわけですが、その中で使用回数が最も少ない(必然的に稀少価値の高い)本作の魔法をどう活用するかも含めて、楽しめる、と。
個人的には、悪の魔法が他のゲームブック作品では使用機会が少ないので、本作の大きな特徴と思います。
⑤フラグ管理がややこしい(X)
善中悪とか、双方向移動システムとか、扱う情報が結構多くなりがちなシステムなのに、いろいろスッキリしていて、フラグ管理が手間どらない。これは非常に秀逸だなあ、と。
東西南北の区画整理ができたマップ構造もそうですが、ゲームとして非常にスッキリした(システマチックな)要素の数々で、いたずらに複雑化していない。
食料とか金銭とかもキャラクターシートから削って、入手アイテムも決して多くなく、他のFFゲームブックと比べても、物足りないと思えるぐらいのデータの少なさ。
でも、サソリ沼のマップ書きという作業に専念させるために、不要な要素を削ったと考えると、この地の探索が非常にスッキリ楽しめるというもの。
リバT『以上を踏まえると、邪悪ルートは難易度3、他の2つは難易度2という形になって、総合的には難易度2が妥当な評価だと考えます』
・8:火吹山の魔法使いふたたび、モンスター誕生
・7:地獄の館、天空要塞アーロック、サラモニスの秘密、奈落の帝王、王子の対決(魔法使い)
・6:バルサスの要塞、危難の港、サイボーグを倒せ、死の罠の地下迷宮
・5:さまよえる宇宙船、アランシアの暗殺者、真夜中の盗賊、王子の対決(戦士)
・4:雪の魔女の洞窟
・3:火吹山の魔法使い、魂を盗むもの、トカゲ王の島、巨人の影
・2:盗賊都市、運命の森、サソリ沼の迷路
(当記事 完)
