ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

ゲームブックの面白さ振り返り(その2、主人公補足とNPC編)

思ったより文章が膨らんだので

 

 前回は、FFゲームブックにおける主人公性について、御大ジャクソンとリビングストンについて見てきました。

 今回は他の作家の攻略済み作品について、まずは補足気味に追加です。

 

  • ◎:真夜中の盗賊、奈落の帝王、王子の対決
  • ◯:サソリ沼の迷路、魂を盗むもの
  • X:天空要塞アーロック

 

 まず、『サソリ沼の迷路』ですが、無色透明主人公が善中悪のパトロンによって、物語が変わるというゲームとしては傑作です。ただ、主人公の魅力という意味では、ゲームのコマ以上の個性を感じるものではありませんでした。

 

 『天空要塞アーロック』は、△(0点)という評価では収まらずに、唯一のX(マイナス1点)の厳しい評価を入れさせてもらいました。理由は手の込んだ設定(4本腕の異星人、ベテランのスパイにして探検家)にも関わらず、本編中でそれを活用したシーンがほぼなくて、自称ベテランのスットコドッコイがドタバタコメディSFアクションを繰り広げて、作者がしばしば主人公の失敗を嘲り、主人公も理不尽な命令をくり返し寄越して来る上司の君主に露骨な嫌悪感を示す、マイナス感情吹き荒れまくりのB級アドベンチャーだからです。

 専用宇宙船を与えられて、単身危険な任務に邁進するスーパーエージェントなキャラなのに、どうしてこんなに間抜けで行き当たりばったりに描写されてるんだ? と、設定と描写の噛み合わなさに感情移入を邪魔され、主人公をちっとも格好いいと思えず、笑えないコメディを延々と見せられて、サプライズだらけの展開に、ツッコミどころ多数というか。

 シチュエーションアイデアや大筋の王道英雄譚的な流れは評価できる面もあるのですが、ウイットの効いていないブレナンって感じで、作者がプレイヤーを嘲ってくるのが目立つ。ブレナンは、プレイヤーを「村の若者ピップ」の体に宿し、「ピップよ、お前は実に間抜けな死に方をしたもんだ。14へ進め。次こそ、うまくやるようにな(byマーリン)」と嘲りとともに、アフターケアが行き届いて、しかもピップという3人称を込みで、直接プレイヤーに悪意が向かないようにしている。語り部もマーリンという著名な劇中キャラで、まあ、大魔法使いの御仁に小バカにされるのはありだな、と、その辺の語り口調や設定が巧妙なので、皮肉も受け入れられる。

 しかし、ブレナンのそういうセンスを抜きにして、FF調の設定でヒーローたる「君」を嘲る文章ばかりだと(ジャン・ミストラルという固有名詞を設定しているのに)、プレイしていて、失敗のたびに苛立ちが募ってくる。プレイヤーへの精神攻撃も甚だしい。

 なお、B級SFコメディという意味では、ジャクソンの『サイボーグを倒せ』もそういう雰囲気で、だけどプレイ感覚が全然違うのは、過剰に失敗を嘲らないジャクソンの文体にもあるのだろう。

 マーティン・アレンがジャクソンの作品を相当に意識して、アーロックを書いたのは推測できるが、その奇抜なセンスと理不尽なサプライズ展開の連続は、プレイヤーの感情移入を妨げるとともに、ゲームとしてもいろいろ破綻しているな、と。

 そして、主人公がプレイヤーの思惑から離れて、勝手に間抜けな行動をとって無駄にダメージを受けたり死んだりするのは、作者の顔面に真鍮ダイスを投げつけたくなるほどの憤りを感じさせてくれた唯一のゲームブックである。

 

 一方、『真夜中の盗賊』の盗賊らしさ、『奈落の帝王』のベテラン冒険者としての立ち振る舞い(王侯貴族と対等に渡り合うFF主人公は珍しい)、『王子の対決』の兄弟王子のキャラ付けを適度に反映した選択肢や関連ドラマは、主人公設定がうまく生きた冒険譚だと思います。良い意味での独自性に満ちた主人公像で、感情移入がしやすい作品と言えました。

 最後に『魂を盗むもの』が◎ではなくて◯なのは、リビングストン流の無色透明剣士を踏襲しているからで、「恐怖心に負けない類稀なる豪胆さゆえに、恐怖を武器とする敵魔法使い相手に切り札となる」という性質を除けば、際立った個性が見られない点。まあ、普通にゲームのコマとして楽しく遊べるだけで十分です。

 ◎が付くのは、その作品ならではの魅力やゲーム内シチュエーションを示した主人公ってことで。

 

NPCとの絡み

 

 さて、ゲームブックは基本的にソロアドベンチャーです。つまり、1人で遊べる冒険物語ですな。一部の例外はありますが、プレイヤーは主人公となるキャラクター1人を管理し、ダイスを振って行動の成否判定や戦闘を行い、冒険の目的を果たす。

 しかし、物語には主人公以外の脇役登場人物がいます。当初、それらは主人公に敵対するモンスターや悪の魔法使いなどでした。あるいは、主人公に冒険を依頼する村人や、情報をくれる助言役なんかもいます。味方とは会話によって手がかりを得て、敵とは剣で戦い、進むべき道を切り開く。

 最初のゲームブック火吹山の魔法使い』は、強大な力を持った魔法使いの住む迷宮(ダンジョン)に宝を求めて侵入した一人の冒険者が、数々のモンスターと戦いながら、宝箱の鍵を拾い集めて、ボスキャラの魔法使いの弱点なんかも探り当てながら、ゴールを目指すシンプルなストーリーゲームでした。

 しかし、FFゲームブックが元にしたD&Dでは、プレイヤー複数の集団(パーティー)による遊びが一般的なので、それを導入した最初のFFシリーズ作品が、第4作の『さまよえる宇宙船』だったわけですが……宇宙船の乗組員を率いる船長というキャラ設定ながら、複数キャラを設定すると主人公のキャラクター性が希薄になるという欠点もあります(単純にゲーム的な処理が面倒になるという問題もありますが)。

 そこで次に採られたのが、第6作、リビングストンの『死の罠の地下迷宮』の蛮人スロムです。〈迷宮探検競技〉の競争相手ですが、困難な迷宮を突破するために一時的に共闘関係という形で、仲間になってくれる。

 ゲーム的にデータがあるとか、ボーナスを与えてくれるわけではないのですが、文章内でいろいろと助けてくれたり、アドバイスをくれたり、こちらをサポートしてくれる。いや、まあ、よくよく文章を読むと、役に立ってないような、微妙に足手まといになっているような感じではあるのですが、それでも良い奴だなあ、と感じられる。

 そして……ゲームブック史上初の「仲間の死」なんですな、これ。以降も、リビングストンさんは冒険の同行者や援助役を登場させては、劇的な死を描くというシチュエーションを用意して、厳粛に感じ入らせてくれたり、こいつも死ぬんじゃないか? と不安がらせてくれたりします。

 まあ、『危難の港』でハカサンが生き延びたときは、小躍りしましたよ。あと、『巨人の影』のグースね。何だかんだ言って、主人公は死んでもやり直しができますが、仲間の死は取り返しがつかないので、そっちの方がプレイ中にドキドキします。

 とにかく、仲間が加わることで「1.主人公の持たない技能や視点(考え方)で冒険の幅を広げてくれる」「2.主人公の活躍を称えてくれる(素直に嬉しい)」「3.劇的な死を遂げることで、物語への感情移入を高めてくれるかも」というメリットがあります。

 まあ、3つめは演出上の当たり外れが大きいですが。それでも、仲間の死を通じて、自分が関わっている冒険がいかに危険かを感じさせてくれる。自キャラの死は物語の終了とやり直しに通じますが、仲間の死はそれを乗り越えての物語の継続性に通じます(たまに、仲間の死がバッドエンドに直行するケースもあって、自キャラ並みに優遇されているケースもありますが)。

 ともあれ、ストーリー途中に登場する仲間(冒険の同行者)との出会いと交流、そして別れは、ただの一人遊びを冒険物語として進化させてくれました。人との絡みがドラマに発展するのは、あらゆる物語の基本だと考えます。まあ、一人旅でもドラマは紡げますが、会話劇の方が話を広げやすい、と。

 

 さて、冒険中に仲間との交流シーンがあるゲームブックは、評価が上がりますが、NPCは同行するキャラだけではありません。例えば、『バルサスの要塞』は終始一人旅ですが、レプラコーンのオシェイマスは印象的なキャラクターですし、ボスキャラのバルサス・ダイア、そして妻のルクレツィアは印象深く覚えている(ルクレツィアについては、山本弘さんのAFFリプレイの印象も大きいですが)。

 そうすると、同行しないけど、印象的な敵キャラや助力者なども点数評価しないといけない。そこで客観評価する基準として、以下のポイント制を考えてみます。

 

  • 同行者が登場する(出会って数パラグラフで死ぬキャラは含まない):+1
  • 同行者が最後まで生き延びる:+1
  • 同行するけど憎たらしい(足手まといだったり、実は敵の回し者だったり):−1
  • 敵ボスが印象的:+1
  • 同行しないけど、主人公に好意的で助けてくれる重要人物がいる(ヤズトロモさんとか):+1
  • 魅力的な異性キャラがいて萌える(自分の趣味的に悪女でもOK):+1

 

 以上の評点を加えていくと、一番面白いのは、「最後まで行動を共にする相棒がいて、敵ボスも格好よかったり、ただの倒され役よりも印象的な芝居を見せたり、助言者や助力者も印象的で、可愛い、あるいは妖艶な女性キャラがいる」という話で最大5点。

 なお、女性キャラの場合は、イラストの印象も大きいですが、FFの場合、日本的な萌えヒロイン乱立ファンタジーではないので、存在そのものがなかなかレアですね。だから登場するだけで評価が上がる。でも、『盗賊都市』のシルバートン市長の娘は主人公に絡まないし、ヘビの女王なんかは、萌えないので点数はあげません。

 そして、4点から5点に達すると、◎評価。

 2点から3点は◯評価。

 1点以下は△評価とします。

 それでは攻略済み作品を振り返ってみましょう。

 

  • 火吹山:1点。ザゴールぐらいしかNPCは語れない。
  • バルサ:3点。バルサス、ルクレツィア、それとオシェイマスやら、洗濯おばさんやら印象的なNPCがいろいろと。
  • 運命の森:2点。何よりもヤズトロモさん。もう1点は、敵だけどネコ娘のイラストが悪くないので、おまけ。
  • さまよえる宇宙船:1点。仲間キャラの医療士官が女性設定なので、おまけで1点。主人公はともかく、ヒロインキャラまで無色透明なのが初期FFですな。
  • 盗賊都市:2点。1点はニカデマスさん、もう1点はザンバー・ボーンの塔にいる女吸血鬼さんの分。うん、ただの性癖ですな。
  • 死の罠の地下迷宮:3点。1点は言わずと知れたスロムの分。2点めはサカムビット公です。FFシリーズの君主キャラで一番大好き。イベント事で街を盛り上げるエンタメ推奨君主って点と、優勝者を称えるフェアプレイ精神とか、諸々の美徳に痺れる、憧れる。3点めはエルフの娘ですな。もう、イラストを貼り付けたくなるぐらい何だかツボにハマりました。旧訳だと、エルフという単語が日本人に定着していない時期だったので、「妖精めいた女」という曖昧な言い回しだったけど、そのために、より神秘的なイメージを抱いていました。

 

 

  • トカゲ王の島:4点。かなり主観の入った評価です。1点はマンゴ……ではなくて、サルです、サル。FF史上初の同行するペットキャラですよ。トカゲ王を倒すのに重要な協力をしてくれるうえ、最後まで生き延びてくれる。2点めはトカゲ王……じゃなくて、ゴンチョン。もう、寄生モンスターとして、最後にどんでん返しを見せてくれます。バッドエンドで、ゴンチョンに寄生された主人公が悪堕ちする様はドキドキものでした。3点めは、サーベルタイガーを連れた謎のターザン娘ですね。ぜひとも仲間にしたかった。そして4点めは「同行者が生き残った場合」のポイント1点ですが、サルはアイテム扱いとも見なせますので、ここは解放奴隷の人たちですね。もう、独自のキャラ付けをしたくなるぐらい、クライマックスの戦争は燃えましたので、みんなまとめて1点あげてもいいでしょう。その中に、『巨人の影』のマリク師匠もいると思えば、後からでも感無量です。

 

  • サソリ沼の迷路:3点。鳥の女あるじは、萌えヒロインにして、重要な助力者。つまり、2点の価値がありますね。助力者と言えば、善中悪の3人の魔法使いも点数に値しますが、助力者ポイントは1点のみですので、増やすわけにはいきません。だけど、彼らをボスと考えれば(セレイター以外とは戦うこともできますし)、その分のキャラ立ちでもう1点あげてもいいかな、と。そして、原典では正体不明のグロナールもいいキャラしてましたね。結構、交渉できる人間キャラも多くて、会話が楽しめるゲームブックだったと思います。
  • 雪の魔女の洞窟:4点。1点は赤速とスタブ。2点めは雪の魔女シャリーラ。FF史上初の女ボスにして、吸血魔女というNOVAのツボを突いてくれました。ウィザードブックス版の表紙絵が大好き。自分の中では萌えヒロインとして美化もされているので、さらに+1点。そして最後の1点は癒し手ペン・ティ・コーラですね。ヤズトロモやニカデマスは再登場しているんだから、彼にも再登場の機会を与えてほしいと思っています。ともあれ、どんどんドラマ性が豊かになっているんですね、リビングストンさんは。

Caverns of the Snow Witch (D20 Fighting Fantasy S.)

  • 地獄の館:2点。1点は館の主人ケルナー伯爵。まあ、ラスボスではありませんが、準ラスボスとして、ホラー屋敷の雰囲気を盛り上げてくれました。惜しむらくは、女吸血鬼が出なかったこと。出ていれば、もう1点加算できたのに。女幽霊はメッセージだけ伝えて、あっさり消えますので萌え要素にはならないんですね。情報が大事なゲームで、情報くれるNPCもモルダナ婆さんやシーコウなど、いろいろいるため、まとめて1点ということで。
  • サイボーグを倒せ:3点。1点めのラスボス・サイボーグさんは、途中で家電イベントの販売員をしているシーンがいいですね。最後に戦うだけでなく、それまでに印象的な顔見せをしてくれるボスは好き。2点めは情報屋のマリファナ・ジェリーでして、直接対面するシーンは短いですが、日頃から事件発生した際に、通信連絡を送ってくれるヒーロー活動の重要サポーター。さらに、数々のヴィランやヴィラネスもキャラ性が豊かで、登場NPCが豊富な作品ですな。彼らは敵役でありながら、ラスボス・サイボーグに通じる情報源だったりもしますので、ジェリーとは別の助力者だったり、悪女系ヒロインもいたりして、まとめて1点の価値があります。そういう評価基準なら、『さまよえる宇宙船』の数々のエイリアンNPCにも1点の価値があるのかもしれませんが、どうにも美女キャラがいないですし、攻略に必要な情報を持ってるエイリアンがほとんどいないので、本作のヴィラン連中ほどにゲーム性やストーリー性に寄与していないのですわ。やはり、情報獲得ゲームとしては、『サイボーグを倒せ』の4パターンの主人公システムが非常に洗練された作品になって、どのヒーローがどのヴィランから情報を得られるかも、うまく仕込まれているなあ、と思います。
  • モンスター誕生:3点。同行者のグロッグさんで1点。背景情報がたっぷりのラスボス、ザラダン・マーで1点。ドリーの魔女その他の情報源キャラが多数なので1点。最初は理性もなく、まともな交渉などできないモンスターさんが、煙の精霊から知恵と言語能力を獲得して、攻略必須情報を集めるために、いろいろなNPCとの会話から手がかりを集めるゲーム性のため、バトルよりも情報収集と活用が大切な作品。だから、NPCとの対話が多いんですね。惜しむらくは、ヒロインが皆無なところ。いや、魔女の婆さん連中をヒロイン認定する老女萌えな性癖の人にはツボかもしれませんが、モンスターさんが萌えるのは美女ではなく、ホビットの肉ですからねえ。色気よりも食い気ってことで。
  • 真夜中の盗賊:1点。これも情報収集が大切なゲームなので、情報源となるNPCが多いけど、まとめて1点ですね。それだけ。同行者も、ボスキャラも、女性キャラもほぼいない(占い師のマダム・スターか、侵入した屋敷の娘幼女ぐらい)。ゲームとしては面白いけど、ドラマ性には乏しい孤高の探索物語ってことで。
  • 奈落の帝王:3点。同行者が登場しないことを除けば、非常に高密度なドラマ展開が為されます。謎の暗殺者に狙われながらの探索行。かつて冒険をともにした仲間の女性は序盤であっさり殺され、パトロンだった女君主さえ暗殺される。探索行の途中で助けた少女を親元まで届けたり、剣の師匠との邂逅を経て、ついに裏切り者の正体を見出すも、敵の黒幕は異世界に潜む神の如き存在だった。女魔術師の支援を受けて、奈落の地に向かった主人公は、奇策をもって自らも神の力を手に入れて、黒幕を倒す。その代償は、人の世界に帰れないことなので、神として新たな冒険は始まる……という大筋。こんな話なので、ラスボスのキャラ立ち、主人公の支援者、そして女性キャラ(少女とか、女魔術師とか)など、ドラマチックな要素がいろいろ揃ってます。同行者だけがいなくて(助けた少女は仲間扱いではないので勘定に入れず)、昔の冒険仲間や同僚は物語途中で次々と散って行く過酷な展開でもある。その中で、邪神を倒して自ら神となる究極の英雄譚ですな。D&Dで言うところの、イモータルへの道を描いたような内容です。
  • 天空要塞アーロック:2点。同行者はいるのに、敵のスパイでやたらと妨害工作を働いて来るうえに、同行を拒むことも、戦って排除することもできない、ミニマイトのジャン並みに苛立つNPCが登場します。ミニマイトは「その周りで魔法が使えない」という種族の性質ゆえのトラブルであって悪意はないのに対し、こちらは明確に主人公に悪意を向けてくる。それなのに、これが敵だと一向に気づけない主人公の間抜けさ加減に泣けてきます。よって、同行NPCの価値がまったくない。他にも、同行するわと言った次のパラグラフで、心臓発作であっさり死んだアーロックの前君主とか、ラスボスとして背景ではずいぶんと盛られていたのに、本編では部下の人造生命体の下剋上を受けて、勝手に投獄されているラスボス崩れのル・バスティンとか……予定調和を廃したサプライズだらけの展開で、波瀾万丈ではあるけど、プレイヤーの感情を置いてきぼりの七転八倒なストーリー展開。それでも2点あるのは、序盤の惑星でクリル・ラビット王と、敵の妖精魔女シェイネがそれぞれ、助力者と、魅力的な異性キャラの条件を満たしてくれているので、そこだけを評するなら、奇抜だけど王道の冒険SFになっているからですね。全体を通しても面白いイベントの数々はあって、部分部分は悪くない要素もあるんだけど、サプライズ部分が主人公の活躍とは無関係に話が進んで、英雄譚をスポイルするような歪んだ展開になりがち。一応、個性的で豊かなNPC群によるドラマにはなっている、と。無色透明で淡白ではないけど、サイケデリックなドギツい宇宙観の物語と称しておきます。
  • 魂を盗むもの:2点。敵ボスと、助力者で2点です。同行者と、女性キャラの欠如でドラマ性が薄いかな、とは思いますが、敵の大掛かりな計略と、立体ダンジョンの巧妙な仕掛け、終盤の幻影帝国の異空間で主人公を挑発するボスのお茶目さが特徴の佳作。
  • 火吹山ふたたび:3点。ボス(ザゴール)と、助力者(ヤズトロモ)と、同行者(ズート・ジンマー)で3点ですね。ジンマーについては、最初に空の旅で主人公を火吹山まで連れて行ってくれた後、一回別れた後に、ザゴールの手下に捕まって、再登場。主人公にダンジョン攻略の手がかりを託したはいいものの、罠にハマってあっさり絶命。助けたと思ったら、あっさり死ぬもんなあ。えっ、マジ? とビックリするぐらい。己が身をもって、今度のザゴールダンジョンの恐ろしさを証明する役どころだった、と。ヒロイン要素は、一応あって老婆の魔女が幻影で美女に化けて、主人公を誘惑します。それもバッドエンドの一部。あまり萌えない展開だったので、点数はあげません。
  • 危難の港:5点です。ハカサン1人で同行者と、ヒロイン要素と、最後まで死なないポイントを稼いで、3点ゲットですね。あとは、ラスボスのザンバー・ボーンの『盗賊都市』以上のインパクト(大軍勢を率いて攻めてくる)と、ヤズトロモ&ニカデマス同盟で完璧です。ブラックサンドの牢獄からニカデマスさんを救出する派手な脱獄劇でお世話になった囚人連中とか、冒険中の見せ場も多数ですね。
  • アランシアの暗殺者:4点です。スロムを同行者認定すれば、5点ですけど。同行者はサミュエル・クロウ船長ですね。死ぬの早かったけど。ラスボスみたいな立ち位置のアズール卿と、同盟者のサカムビット公の揃い踏みがクライマックス。あと、主人公に襲いくる13人の暗殺者がいろいろ個性的で、そこには魅力的な女性キャラも多数。一人ぐらい説得して、仲間になればと思いましたが、プレイヤーキャラのリーサンには嫁がいたので、そういう浮気展開にはしませんでした。一番好きな暗殺者ヒロインは矢作り職人のフランシス・フレッチャーに化けた《死の手》の使い手グレッタ・モーグですな。まあ、忍者絡みで出てきた銀髪の魔女も気になるところですが。
  • サラモニスの秘密:4点。生き延びる同行者がいろいろいて(2点)、少年主人公を助けてくれる街の人たちがいろいろいて(1点)、ヒロインは……ユニコーン狩りイベントに登場するラズニックおじさんの娘のデイナさんか、スティトル・ウォードの女エルフの衛士長ゲイヤ・イヌリエルぐらいしかいなくて残念ですが、一応、ラスボスの〈シュリーカーの女王〉も女性キャラなんですね。ここはFF界でも珍しい女性ボスに敬意を表明して1点としましょう。いずれにせよ、NPCとのドラマ的な絡みが豊かな作品なのも事実だし。
  • 巨人の影:4点。ヒロインがいないことを除けば、他はたっぷり揃ってますな。グースで2点、巨人で1点、マリクさんと旧友のハロルドで1点にはなるでしょう。ヒロインといえば、ハーメリンの街の案内嬢ビニー・ブローガンや花屋のフェイ・ビブルがいますが、さほど印象が強いわけではないですし、それよりはモンスターの蜘蛛女やゴーゴンの方がインパクト大。やはり、女性キャラでポイントを稼ごうと思えば、ただの街娘では役不足で、魔女とか吸血鬼とか暗殺者とか魔物娘で冒険に絡まないといけないのでしょうな(個人的な趣味)。まあ、聖女とか、姫騎士とか、光方面でも構いませんが。ただし、今作の蜘蛛女もゴーゴンも、絵的に萌えるキャラじゃなかったので却下です。
  • 王子の対決:番外編。2人用ゲームブックで、同行者は自分の兄弟王子ですな。それを抜きに考えると、ボスキャラも、名のある支援キャラも、魅力的な異性キャラもいなくて、NPCとの絡みでは意外と0点だったりします。イベントは非常に多いのですが、その場その場での解決に終始し、人間関係によるドラマを紡ぎ上げようとはしていない作風。まあ、2人のプレイヤーキャラの絡みが重要なシステムなので、個別の冒険でそれぞれが濃い人間ドラマを描くとゲームの焦点がぼやけるという判断かな。
  • ソーサリー:一時的な同行者のミニマイトはいますが、基本は1人旅なので、同行者ポイントはなし。マンパンの大魔王、それと旅先の数々の助言者や助力者で合計2点。NPCの数は非常に多くて、個々のイベントのストーリー性は豊かだと思うんですけどね。再プレイしたら、また何か評価基準が変わるかもしれませんが、今回はこんな形で。

NPCとの絡みに関するまとめ

 

 以上を総計すると、こんな感じですか。

  • ◎:トカゲ王の島、雪の魔女の洞窟、危難の港、アランシアの暗殺者、サラモニスの秘密、巨人の影
  • ◯:バルサスの要塞、運命の森、盗賊都市、死の罠の地下迷宮、サソリ沼の迷路、地獄の館、サイボーグを倒せ、モンスター誕生、奈落の帝王、天空要塞アーロック、魂を盗むもの、火吹山ふたたび、ソーサリー
  • △:火吹山、さまよえる宇宙船、真夜中の盗賊、王子の対決

 

 大きな印象として、◎は登場人物とのやり取りが多く、物語性が豊かな作品。△は物語よりもゲームとしての要素が強く、ややシステマチック。楽しさはあっても、ドラマ的な感動を与える作品ではないのかもしれません。

 ただし、ソーサリーがふつうの◯なのはどうかな、と思う面はあります。ソーサリーに足りないのは、同行者NPCと、個人的な萌えヒロイン要素。ソーサリーで印象的なNPCは、数々の集落で出会う村人A的なポジションの人物群で、巻が進むほど、ただの一般人よりも癖のあるキャラが増えてくる傾向がありますが、いずれにせよ、ジャクソンよりもリビングストンの方が王道ドラマ志向が強く、ジャクソンはドラマよりもゲーム性を重視する傾向があるのかな、と考えます。

 後の再プレイを経たなら、印象評価が変わる可能性はあるでしょうし。

 

ここまでの累計

 

 以上で、主人公の独自性と、NPCとの絡みの2つの評点が出たので、それをまとめてみます。

 

  • 4点:トカゲ王の島、雪の魔女の洞窟、危難の港、アランシアの暗殺者
  • 3点:バルサスの要塞、死の罠の地下迷宮、サイボーグを倒せ、モンスター誕生、奈落の帝王、サラモニスの秘密、巨人の影、ソーサリー
  • 2点:運命の森、盗賊都市、サソリ沼の迷路、真夜中の盗賊、魂を盗むもの、火吹山ふたたび、王子の対決
  • 1点:火吹山の魔法使い、地獄の館
  • 0点:さまよえる宇宙船、天空要塞アーロック

 

 ここまでだと、点数の高い方が主人公の英雄性が高く、登場人物とのドラマ性も強い面白い物語となりますね。逆に点数が低いと、主人公の個性が弱く、ゲームのコマのように扱われて、ドラマ性も薄いということになりますか。

 残っている基準は、「システムの楽しさ」がゲーム性に関わるもので、ストレートに評価できそうです。

 「理不尽な展開の少なさ」は、アーロックを多分に意識したものですが、表現を改める必要を感じています。「ストーリーの納得性」というか、「ゲームとしてのフェアさ」というか、たとえバッドエンドを迎えても、悔しくはあっても憤りにまでは至らない。要するに、プレイしていて不快にならないゲームであること。

 そして、「プレイ終了時の満足度」は思いきり主観ですが、自分がその作品を楽しめたかどうかです。ハッピーエンドでスッキリってのが基本ですが、『火吹山ふたたび』や『アランシアの暗殺者』みたいな続きを気にしたくなるエンディング(『雪の魔女』もそれに近い。リビングストンさんって、そういうエンディングも上手いですね)。ジャクソンの『モンスター誕生』のエンディングもインパクト大ですが、これは達成感を祝ってくれないので、もやもやさせられたかな。

 

 ともあれ、次回は「ゲームシステムの楽しさ」について、私見を述べつづってみたいと思います。

 この観点だと、多分ジャクソン推しになると思いますが。

(当記事 完)