ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

小説『ザゴール・クロニクル』の話

今回はFF小説の話

 

 公式にFF小説の第1作は、スティーブ・ジャクソンの書いた『トロール牙峠戦争』(1989、邦訳は2021)と言われています。

 スティーブ・ジャクソンは、『モンスター誕生』を1986年に書いてから、小説を書きたいのでゲームブック作家を引退すると宣言して、その後、FF小説を発表したはいいものの、この1作で小説も書かなくなり、以後の動向が(日本では)よく分からない状況が続きました。

 相方のリビングストンは引き続きゲームブックも発表していて、ウィザード・ブックス版や現在のスカラスティック版でも旧作復刻や新作の表看板に出ていたのに、ジャクソンは何をしていたのだろう? という疑問が自分の中では最近になってようやく晴れた、と。

 ともあれ、『トロール牙峠戦争』が90年代に邦訳出版されるはずが、社会思想社のFF撤退で未発表に終わり、30年の時を経てようやく日の目を見たわけですが、続編小説が2作ありまして、主人公のチャダ・ダークメインの話は続くも、作者が異なる。

 

 

 ジャクソンが開拓した小説分野を、引き継いだのが『モンスター事典』『タイタン』『アドバンストFF1版』で大活躍のガスコイン。この人は今年の1月に再び、「FFゲームブックのブランド・マネージャー」という役職でリビングストンさんに招聘されたとのニュースがあって、80年代から90年代にかけて振るった辣腕がもう一度見られるのかな、と期待。

 何よりも、リビングストンさんの身近にガスコイン氏がいることで、上記の小説の版権交渉も非常にしやすい状況になったとも言えるわけで、将来の邦訳の可能性も出てきたかな、と。

 

 そして、ダークメイン3部作に続いて、93年から94年にかけて出版されたのが、当記事の主題の『ザゴール・クロニクル』です。

 こちらの作者は、イアン・リビングストン名義のキース・マーティン(またはカール・サージェント)。本名はカール・サージェントで、イギリスTSRで働いていたのが、ゲームズワークショップに出向したりして、D&Dとウォーハンマーの両方でシナリオ書いたり、サプリメントを作ったりしていた人。キース・マーティンはFFゲームブック用のペンネームだけど、前の記事にもあるように『ザゴール伝説』プロジェクトの時期に八面六臂の活躍をしていたわけですな。

 2018年に亡くなった後で、日本のゲーム界でも改めて再評価されている御仁です。

 

ZC1巻『ファイアストーム』

 

 ZCは『ザゴール・クロニクル』の略ね。

Zagor Chronicles (Puffin Adventure Gamebooks)

 この1巻は、パズルブックの『魂の宝箱と12の呪文』の設定やエピソードを原作にした小説で、後にザゴールと融合することになるデーモンがアマリリア世界を脅威にさらし、英雄の活躍で封印されるまでの物語です。

 背表紙のストーリー概要をおおよそ翻訳すると、

 デーモンが君臨す!

 

 魔法の地アマリリアを、戦争の嵐雲が覆っている。闇の世界の未知なる力が、ドラゴンや恐るべきアンデッド、その他のモンスター軍団を招き寄せ、アージェントの王城の栄光を破壊し、サンクチュアリの城塞を襲撃しようとしている。

 人間やエルフの土地、さらに誇り高きバラバングのケンタウロスの地まで、破壊の渦が席巻し、美しき栄光のアマリリアを引き裂こうとしている。

 本作は、ザゴール・クロニクルの第1巻。幻想世界アマリリアに、より恐ろしい不死の魔道士が襲来する前の影の時代を描いた序章である。

 

 メインキャラクターは、ゲームブックの主人公、蛮人アンヴァーです。熊の部族の出身ながら、狼の力を得たいと願って、部族から出奔したはぐれバーバリアンですな。赤き狼の精霊と、黒き熊の精霊が彼の帰属をめぐって対立するなどの個人イベントもあったりしますが、

 ゲームブックに関係するストーリーだと、まず旅先でドワーフのスタッブルと仲間になります。ともにオークの群れを撃退するなかで友情を抱き合う、と。

 このアンヴァーというキャラは、リビングストンさんが最初にD&Dでプレイしたバーバリアン・キャラをモデルにしているそうで、小説でも最後まで主役の任を全うするようです。

 

 そして、もう1人の主役が戦士ブラクサス。

 彼は港町ダルポートの漁師の息子なんですが、実はその父親がアマリリア王国の第8代国王ブラクサス4世の孫という血筋が隠されていて、王位を巡る継承権争いの陰謀から身を守るために逃れたという経緯があるのですね。

 その秘密を知ったブラクサスは、現国王のクラールと対面し、騎士として忠義を尽くしたいと願って王城に旅立つことを決めます。

 しかし、クラール王は、デーモンに心を乗っ取られて、アージェント城が魔の軍勢に陥落するきっかけとなるわけですね。ゲームブックでは、息子の少年王イリアンが後を継いで、新たな王宮サンクチュアリでアージェント城奪回のために、勇者たちを送り出すところからスタートしますが、小説を読むことで背景がもっと詳しく分かる、と。

 

 ともあれ、ブラクサスの旅の同行者になるのが女魔術師ジャラリアル。彼女はゲームブックの主人公魔術師サラザールの妹で、小説では彼女がメインキャラの1人になります。

 小説のサラザールは、残念ながら1巻でのデーモンとの戦いで討ち死にし、後事を妹に託すことになる、と。

 ゲームブックおよびボードゲームのプレイヤーキャラは男ばかり4人でしたが、小説ではヒロインキャラも必要と判断されたのか、妹が主要キャラに抜擢された、と。

 うちの将来の攻略記事でも、サラザールは名前を改め、ジャラリアルで行こうかな、とにわかに検討中。

 

 ともあれ、アンバー&スタッブルの斧コンビと、ブラクサス&ジャラリアルの騎士魔女コンビの2チームが合流して、デーモン戦争の末に〈魂の宝箱〉にデーモンが封印されるまでの話が小説1巻です。

 アマリリアの国は戦火でボロボロになって、再建で忙しい間に5年が過ぎ、ゲームブックおよび小説2巻の話に続きます。

 

ZC2巻『ダークスローン』

 

 ゲームブックおよびボードゲームと内容がリンクしている小説2巻です。

 小説の方では、アージェント城の探索は4人パーティーで行うみたいですが、それがボードゲームになると、4人のプレイヤーが1キャラクターずつ担当。それがさらにゲームブックになると、4人のキャラのうち1人を選ぶ形ですね。

 ここで気になるのは、魔術師キャラがどうして小説では女性なのに、ゲームでは男性なのか?

 93年の時点では、ゲーマーに女性は珍しいとされていたのか。

 男プレイヤーが女魔術師を好き好んで選ぶことはないと判断されたのか。

 この辺は、30年前の価値観で考えると、女性のゲーマー人口の割合が今ほど多くなく、男性プレイヤーが女性キャラを演じるというスタイルも珍しかったから……と思いますが、今だったら、4人いたら1人ぐらい女性キャラという選択肢があってもいいとは思いますね。

 

 ともあれ、再び背表紙の物語概要の紹介文です。

 さらに恐ろしい邪悪来たれり!

 

 アマリリアの大戦争終結し、彼の魔法の地に現れた骨のデーモンも永遠に消滅した、という者もいる。しかし、敵軍の残党は弱体化した王国を今も蹂躙し、それを止めるだけの戦力は残っていない。一方で、アージェント城の廃墟の内部では、デーモン自身よりもさらに危険な邪悪が形を成そうとしている。それは今やアマリリアの残された栄光や美にまで、歪んだ手を突き入れようとしている。

 本作はザゴール・クロニクルの第2巻。幻想と王威と深い魔法の世界に残された正義と真実、それら全てを脅かす恐ろしい不死の魔道士が織りなす計画が今、明らかとなる。

 

 背表紙なので、ネタバレを極力防いだ思わせぶりな煽り文ですが、ゲームブックを読了後は筋書きがだいたい分かった、と言えますね。

 興味深いのは、ゲームブックで登場した元・宮廷魔術師のレムスターさん。裏切りの魔術師が幽霊になって改心したという形ですが、その裏切りの経緯が小説1巻で書かれているようで、仕える国王クラールがデーモンに乗っ取られるのだから、宮廷魔術師だった彼も関係者として断罪されるよなあ、と。

 国王がデーモンと契約して国を滅ぼすという話だと、『ロードス島伝説』を思い出しますが、あちらは宮廷魔術師ウォートがうっかりデーモン召喚の秘術のヒントを王に与えてしまい、贖罪のために教え子であった主人公ナシェル王子と行動を共にして、王国を出奔するという展開でした。

 レムスターさんはそういう行動がとれずに亡国の元凶の一人として、ゲームブック内では散々罵られており、でもゲーム中にじっさいに対面すると、前非を悔いて攻略ヒントをくれる幽霊になっていた。この展開に、ゲームブックではあまり感情移入できていなかったのですが、小説の1巻からの流れを補完されると、ストーリーとして面白く感じたりも。

 つまり、ゲームブック火吹山の魔法使いの伝説』のストーリー部分は、小説で背景やキャラの人間関係が補完されて初めて感じ入れる、と。

 

 このパターン、富士見のAD&Dゲームブックで、ドラゴンランス関連の作品(『パックス砦の囚人』『ウェイレスの大魔術師』『奪われた竜の卵』)をプレイしたときに感じたな。原作小説を知らないと、ゲームブックのストーリーの理解がおぼつかず、知ると相乗効果で楽しめる。

 

 もちろん、ゲームブックボードゲーム版の『ザゴール伝説』は、小説2巻のクライマックスであるアージェント城探索とザゴール=デーモン退治を丁寧に再構築したもので、小説はそこに至る展開も含んでいるようですね。

 これも同じ小説の『トロール牙峠戦争』で、火吹山探索の場面が1シーンで展開されて興味深かったような感じで、ゲームは小説の一要素をクローズアップしたもの、あるいは小説がゲームの背景やキャラドラマをもっと劇的に描いて、2つの媒体で相互補完し合っているということでしょう。

 ゲームブックを読んでいた際に感じた(他のゲームブック作品と比較しての)ストーリー要素の薄さも、実はその部分を小説が担っていた、あくまでゲームブックではゲーム部分に重点を置いたと考えると納得できました。

 

 何よりも、4人パーティーによるアージェント城攻略の方が、ドラマとしては複層的に楽しめそうですし、逆に小説を知ってると、小説のメインキャラをプレイできるという楽しさもあるわけでしょうし。

 ただ、小説を読んでると、ゲームブックではアンヴァーとブラクサスを選ぶのが普通になりそう。スタッブルを選ぶのは、『ドラゴンランス』のフリントや、『ロードス島伝説』のフレーべを選ぶようなもので、ドワーフ好きでないとメインに選びたいとは言い難い。いやまあ、『ロードス島戦記』のギムさんだったら、カーラ=レイリアとの因縁的に実はドラマのメインだったわけですが(その想いや役割は魔術師スレインに受け継がれる)。

 そして、小説を読むと、どうしてサラザール? って気持ちが込み上げてくる、と想像できます。当ゲームブックの批判の一つに、スタッブルとサラザールが能力的に弱くて攻略難易度が上がる、というものがあります。じっさい、アンヴァーとブラクサスが明らかに強くて、優遇されている感じがゲームブック読んでて思いましたが、小説の背景をチェックして納得。この2人が主役で、スタッブルとサラザールは脇役。

 おまけにサラザールは、小説1巻で死んでいて、それがゲームの主人公に抜擢されている時点でおかしい、と感じるもの。これ、サラザールをジャラリアルと名前だけ変えて、ゲームブックをプレイしていた人もいそうですね。あるいは、サラザールを女体化して、サラ・ザールにアレンジするとか。

 この辺、本作の攻略記事では、どういう趣向で挑んだらいいのか、いろいろ考えどころだと思うのですが、結論を出すのは今すぐじゃなくてもいいかと。

 

ZC3巻『スカルクラッグ』

 

 このタイトルを最初に見て、『危難の港』のトラップだらけの洞窟ダンジョンを思い出しました。

 で、よくよく調べると、同名の別場所だということが判明。『危難の港』のスカルクラッグは月岩山地にあるけれど、本作でのスカルクラッグは、アランシアのもっと北の地、氷指山脈の中にある雪と氷に覆われた土地らしい。

 そして、そのスカルクラッグのふもとに、ザゴールの出生の地があるらしいです。

 

 安田解説小冊子では、小説3巻以降のネタバレを禁止する形で流されましたが、そりゃあそうですね。2巻に基づくゲームブックの結末をバラしてしまうことになるし、さらに言うなら、ゲームブックのボスとして倒したはずのザゴールがまだ滅びてなくて、続きがあると明言しちゃえば、これからゲームブックをプレイする人の興醒めになりかねない。

 安田社長とすれば、この面白そうな小説も翻訳出版したい気持ちもあるだろうけど、現段階で確約できないと書いている以上、ファンとしては独自にチェックして、ワクワクを深めるしかないじゃないですか。

 

 で、安田解説では言及を避けた背表紙の内容です。

 奴は死なない!

 

 アマリリア世界の人々が荒廃した国を再建しようと勤しむ中で、祝うべき一つの勝利を勝ち得た。不死の魔道士ザゴールは滅びた。多くの者がそう考えてはいたが、新たに大魔術師の称号を得たジャラリアルは、疑念に駆られて、やがて知ることになる。邪悪な魔道士の魂は完全に滅びておらず、単に封印されただけで、今も魔力と敵勢力を集めて、己の解放を目論んでいる、と。仲間のヒーローたちとともに、大魔術師の彼女は次元を越えてタイタン世界に旅立つ。アマリリアの呪いを終わらせるために、ザゴールの起源と秘密を探り出すのだ。

 本作はザゴール・クロニクルの第3巻。馴染みのない世界に赴いた旅人が、裏切りと偽りに翻弄されながら、仇敵の起源と弱点を求めて奮闘する物語。

 

 ということで、この3巻でアマリリアの冒険者一行が、ザゴールを完全に滅するためにタイタンのアランシアの地に赴く、2つの世界のクロスオーバー展開です。

 起承転結の転に当たり、FFシリーズのファンが一番ワクワクしそうな話です。アマリリアも魅力的な世界として、ここまでの冒険で描かれては来ましたが、やはり心の故郷はアランシアでしょう、というものです。

 でも、ジャラリアル視点では、アランシアのことを「馴染みのない世界」と語ってしまうのが面白いですね。読者視点と、キャラ視点が明確に異なる。シリーズファンが馴染んだアランシアという世界が、異世界の人間にはどう映るか、という想像が楽しめそう。

 ところで、この話の主役はアンヴァーとブラクサスじゃなかった? 何だかゲームブックのプレイヤーキャラでもないヒロインちゃんが勝手に物語の中心として仕切っちゃってますよ。サラザールも草葉の陰で泣いている? いや、妹が大成長したことを喜んでいる? 

 とにかく、次元を越えた大冒険ということなら、大魔術師が話の中心に来ざるを得ないのは分かりますが、本編でのメインはやはりアンヴァーとブラクサスだと思うのですよ。

 アンヴァーは比較的どこでも自分のペースを崩さないバーバリアンだから、アランシアでも割とすぐに順応できそうだと思うんですけど、ブラクサスはなあ。彼の出自は漁師で、だけど騎士道に憧れたりもして、女魔術師さんの護衛役を嬉々として務めてそう(小説を読んでないのに、設定だけで勝手に妄想)。

 しかし、アランシアには基本的に、王さまに仕える騎士っていないんじゃなかったかな。サラモニスを除いて。この辺は、地域にもよるだろうし、シナリオライターの解釈なんかでブレることもあるだろうけど、アマリリアは王権と騎士、それに信仰団体が前面に出ていて、そこに悪魔が絡んで、滅びに瀕したりしていた。でも、アランシアはもっと自由で、すでに崩壊した後の自由と開拓と交易商人と冒険者と悪徳の世界って感じがする。

 アマリリアは、人類が結束しないと悪魔に滅ぼされそうでヤバいって感じですが、アランシアは世界征服を企む悪者もしょっちゅう出てくる反面、世界の危機を救うヒーローもいっぱい出てきて(死ぬ奴も多いけど)、ロガーン様好みの冒険者万歳な世界だと思う。

 そうか。アマリリアにはロガーン様がいないから、幸運の期待値がタイタンの人間たちよりも2点低いんだな。ひどいよね、アマリリアって。タイタンの冒険者なら、出目1でも運点7が確保されるけど、ブラクサスやサラザールなんて、出目1だと運点4しかない。これで運だめしさせられちゃ、冒険なんてやってられねえよってなる。

 とりわけ、サラザールなんて気の毒だ。これまでFFシリーズ最弱主人公は、『地獄の館』の一般人か、『サラモニスの秘密』の初期状態、冒険者になる前の少年(技6、体12、運6の固定値)のどちらかだと思っていたけど、サラザールって出目最低値を振ったら、「技5、体9、運4」という一般人の少年以下になってしまうものな。最弱候補にまた1人、と。

 

 話を戻して、騎士道まっしぐらのブラクサスが、アランシアに来たら、どんな反応を示すか、気になるところ。

 そして、もう1人、ドワーフのスタッブル君は、ストーンブリッジに来たら、こう言って欲しい。「初めて来る場所だが、何だか懐かしい気がする。涙がこみ上げて来た。何だ、この感情は? この地がわしの何かを呼び覚ます?」

 いや、たぶん、ストーンブリッジには寄らないのでしょうけど。

 

 本記事の資料に使っているTitannicaによれば、登場地名に「ヤズトロモの塔」や「ダークウッドの森」はあっても、ストーンブリッジはないので、異世界転生したスタッブル君の里帰り(?)は個人の妄想に留めておきます。

 それにしても、登場地名にしっかり火吹山も出ているし、ブラックサンドはないのにアズール卿の名前が出ているのはどういうシチュエーションなんだろうと思いながら、ワクワク想像を満喫させているのが今です。

 

 そして、アマリリアの冒険者が、ザゴールの謎を追ってアランシアを来訪するという大イベントを経て、物語は完結編に至る、と。

 

ZC4巻『デーモンロード』

 

 終幕の時、来たり!

 

 不死の魔道士ザゴールが、魔法王国アマリリアに最後の帰還を果たした。元は定命の者であったが、力を追及した結果として、今や悪魔の姿をとり、その力は計り知れないまでに至った。無慈悲な暴君は亡者だらけの要塞の深淵から、あらゆる敵対者を苦痛と死の支配に引きずり込む。4人のヒーローは、一度はアマリリアの地にて仇敵を倒し損ね、奴の故郷であるタイタンの地でも再び勝利を逃したが、今や死よりも恐ろしい運命に直面し、襲いくる悪夢に対して最後の反撃を開始する。

 本作はザゴール・クロニクルの第4巻。世界の命運は、蛮人とドワーフと魔術師の勇気と技に掛かっている。

 FFゲームブックの共同製作者イアン・リビングストンが、君たちに感動的な新たな英雄伝承をここに送る。

 

 ということで、舞台を再びアマリリアに戻して、ザゴール=デーモンとの最後の決着に至る完結編です。

 ただし、4人の冒険者が戻って来たのは、時空を越えた65年後のアマリリア。旅立ったときは少年王イリアンの時代でしたが、その孫娘の女王シャバラの時代に移っています。

 そして、強大な力をもって復活したザゴールの支配下で、人類および他の善なる種族は滅亡の危機に瀕しています。その巻その巻でヒーロー側は勝利を収めているにも関わらず、不死身のザゴールにトドメを刺せないので、何度も復活して、ますます事態が悪化していくという状況。まあ、シリーズ物ではよくあることか。

 最終的には、ブラクサスさんの自己犠牲によって、ザゴールともども爆死するという壮絶な幕切れで、もう1人の主人公アンヴァーさんが生き残ったヒーローとして、バーバリアン部族の長になるという。スタッブルさんとジャラリアルさんがどうなったかは分かっていませんが、「アマリリアの命運は蛮人とドワーフと魔術師に掛かっている」と書いていて、そこに何故か戦士ブラクサスのことが抜けてあるってことは、彼だけが最後の戦いで討ち死にしたからってことかな。

 まあ、彼とサラザールは、運点が低いからなあ。物語で死んでしまう運命だから、運が低く設定されたのかも、とうがった見方をしてみる。これでスタッブルも実は死んでました……だったら、根拠が崩れるんだけど、

 ともあれ、ヒーローの1人が自己犠牲を果たさないと倒せないほどの巨悪にまで育ったザゴールということで、最後の結末としてビターエンド感は残るけど、それだからこその感動ってのもあるものな。ドラゴンランスのスタームとか、ロードスのギムとか。

 

 最初のFF小説では、主人公がラスボスのザラダン・マーと相討ち的に死んだけど、女神の加護で救われたというオチで、感動とは異なる結末だったし、そもそもダークメインというキャラにあまり感情移入できなかったから、何とも言えない。

 ゲーム小説って、キャラをゲームのコマのように感じるか、それとも生きた人間のように感じるかは、じっさいに作品として読んでみないと分からないけど、キャラの死に様に感動するってのは、その想いが大切な誰かや理想のためって死に至るドラマ立てがしっかりできていて、その想いを受け継ぐ誰かがいてこそ、だと個人的には思ったり。

 スタームの死については、その名誉や誇りを受け継ぐローラナがいて、

 ギムの死については、スレインとレイリアがその死を惜しむ最終シーンがあって、しかもロードス小説は、ギムの旅立ちから始まっていたと思う。

 で、ダークメインについては、ジャクソンさんには悪いけど、主人公にしては信念もなく、その場その場の衝動的に動くキャラで、まあ、ゲームブックの「君」を体現したら、こうなるのかなと思って読んでいたら、最後の最後で「本当に神々のゲームのコマでした」というメタオチが判明して、なるほどなというスッキリ感と脱力感で、感動とは程遠し。

 このダークメインを改めてガスコインが描いたらどうなるか、とか、リビングストンの小説はどうかなど、書き手によっても感情移入できる度合いが変わって来るとは思う。

 

 何はともあれ、ストーリーの大筋は把握したザゴール小説。

 ゲームブックの背景の補完にもなるし、ゲームブックで物足りないと思ったストーリー的要素が小説で膨らませながらフォローされているので、安田解説にもあるように「いつか可能なら」翻訳小説として味わいたいとは思います。

(当記事 完)