今回は作品総括
NOVA「では、恒例のEX記事だが、本作は『天空要塞アーロック』と比較できる要素があると考える」
アスト「本当かよ」
NOVA「一応、SF系のゲームブックとしては、『さまよえる宇宙船』(4)、『宇宙の暗殺者』(12)、『宇宙の連邦捜査官』(15)、『電脳破壊作戦』(18)、『スターストライダー』(27)の5作品を、安田社長は著書で丁寧に紹介していて、SF系作品の発展を期待していたんだな」

ダイアンナ「アーロックはSF系にはならないのかい?」
NOVA「いや、著書の執筆時にはまだアーロックが出版されていなかったし、その前の『奈落の帝王』までを紹介している。ついでに言えば、この段階で、社会思想社がFFシリーズの展開を中断するという決定も為されていないと思われ」
リバT『「FFゲームブックの楽しみ方」は90年8月に刊行。FF32巻の「奈落の帝王」は90年3月で、「アーロック」は91年5月ですから、確かにそうですね』
NOVA「TRPGのAFFも90年から91年にいろいろと展開していたから、FFシリーズ中断が決定したのは91年の後半ぐらいかな、と。雑誌のウォーロックは92年3月(63号)まで続いて、半年ほど前の58号からはAFFリプレイに続いて、ウォーハンマーRPGリプレイがスタート。その段階で、FFシリーズの展開が中断のみならず、ウォーハンマーも91年にルールブックが出て、シナリオ集やリプレイもフォローされたが、92年から93年にはあっさりサポート終了。しかし、ゲームブックからT&Tなどの文庫スタイルのTRPGを展開していた社会思想社の、日本TRPG界における文化的影響は非常に大きかったなあ、と」
アスト「結局、宇宙SFゲームブックに分類されるのは、『アーロック』を入れて6種類ということか」
NOVA「宇宙という縛りをなくして、メカSFというカテゴリーにするなら、13巻の『フリーウェイの戦士』、17巻の『サイボーグを倒せ』、22巻の『ロボット コマンドゥ』が含まれる。俺的には、『ロボット コマンドゥ』は宇宙のとある星を舞台としているから、宇宙SFに分類されるが、宇宙船が登場しないからなあ」
ダイアンナ「ジャンルの区分はさておき、『ロボット コマンドゥ』と『アーロック』の共通点とは?」
NOVA「作者がイギリス人でない点と、機体の乗り換えシステムが採用されている点。他のSF作品でも、主人公が操縦する宇宙船などの設定があるが、基本的に乗り換えはないんだな。しかし、ロボコマと、アーロックと、あと『嵐のクリスタル』がストーリーの展開に合わせてメカを乗り換える要素がある。このメカの乗り換えについて考えてみたい」
メカの乗り換えの話
NOVA「さて、メカの登場と、それ用のルールの搭載が、メカSFのゲームブックを考えるポイントだが、ロボコマは大成功して、アーロックは大失敗して、『嵐のクリスタル』は普通といったところだ」
ダイアンナ「成功とか、失敗とか、どういう根拠なんだい?」
NOVA「ロボコマのルールが成功したと考えるのは、『ロボの操縦が通常の戦闘ルールと大差ない。すなわち、人機一体型のルール』ってことだな。優秀なメカは、主人公の技術点にボーナスを与えてくれ、また体力点と同じ扱いの装甲点で、ルールは同じながら違いは明確。一番独特なのは、メカが破壊されても、主人公は脱出できる局面が多く(脱出できずに死ぬ場面もあるが)、新たな機体を調達するという展開がワクワクできる。アーロックには、それがない」
アスト「機体が壊されるってなかったか?」
NOVA「愛機の星霧号は、アーロック本星に到着するまでの前半部分で非常に役立つんだが、アーロックに到着時点で大破する。ここから地上編になるんだが、地上では多種多様の乗り物、あるいはパワードスーツなんかを駆使して、宇宙船ルール同様のヴィークル戦闘を半強制的にさせられる。これが本当につまらないんだ」
ダイアンナ「つまらない理由は?」
NOVA「ロボコマが楽しかった理由と対になる。ロボコマは、搭乗するメカを自分で選択できる。飛行メカが必要な局面とか、地上メカでないと探索できない場所とか、機体から降りて建物内部の探索とか、プレイヤーが自分の行動を自分で決めることができるし、機体の選択も自由だ。多少弱い機体であっても、主人公の技術点が十分に高くて、《妨害フィールド》と《追跡ミサイル》を装備すれば、ラスボスも倒せる。機体の乗り換えが面白いのは、自由選択できる点だな。強い機体を選んでもいいし、弱い機体でチャレンジするのも自由。この自由さが、アーロックにはなかったんだ」
アスト「というか、ヴィークル戦闘のルールそのものがつまらないって、前に言ってなかったか?」
NOVA「FFシリーズって技術点を使って判定するのが根幹ルールだろう? そこに射撃戦だと技術点以下を出すとか、接近戦だと技術点に加えて敵と攻撃力を比べるとか、技術点の使い方に違いは設けても、技術点をスルーするルールは、もはやFFじゃない、と思うんだ」
リバT『技術点で戦闘や判定を行い、戦闘でダメージを増やしたい時には、運だめしを行うというオプションもありますね』
NOVA「アーロックのヴィークル戦闘は、その技術点や運点を使わない独自のルールで、使用するのは機体の武装とシールドの数のみ。一応、操縦能力という数値があって、これは成長できる能力なんだが、先攻後攻に影響するだけで、先攻をとった側が武装の数値以下で相手にダメージを与えられるのに対し、後攻は武装の数値未満という扱い。つまり、後攻は武装の能力が1点減点されたのと同じ意味合いとなる」
アスト「先手有利な法則だな。ロボコマでも、速度の高い機体は技術点+1できたが、似たようなものじゃないか?」
NOVA「ロボコマは2Dで+1、アーロックは1Dで+1の差だから、アーロックの方が影響が大きいということになる。問題は、この操縦能力って、しばしば敵の方が高くなりがちなんだ。自分よりも操縦能力の高い敵を倒したら、自分の操縦能力が+1されるという成長ルールがある都合上、作者はサービス精神で主人公よりも操縦能力の高い敵を出してくる。結果として、ヴィークル戦闘は主人公が不利になる局面がしばしばだ。しかも、アーロックの地上で主人公が扱えるマシンは、対戦相手に比べて弱い性能であることも多い。結論、アーロックのヴィークル戦闘は勝率がやたらと低く、俺つえー的な爽快感がなく、ゲームオーバーになる可能性が高い」
ダイアンナ「メカ戦闘を売りにしているゲームで、メカ戦闘に爽快感を感じないのは、問題が大きいね」
NOVA「結局のところ、アーロック攻略の最適解は、いかに死にやすいヴィークル戦闘を避けるか、だからな。売りにしているオリジナルルールを避けるのが正解、とプレイヤーに思わせたら、ゲームデザイナーとして失敗だろう。プレイヤーを快適に楽しませるルールを作るべき仕事なんだからさ」
リバT『でも、作者のバランス感覚では、乗り物戦闘って非常に死にやすいというリアリティが働いているのかもしれませんよ』
NOVA「リアリティ云々を言うなら、主人公の初期設定が王国有数のエースパイロットなんだよな。だけど、アーロックの世界では、主人公よりも操縦能力が高いキャラがやたらと多いんだよ。主人公が新兵で、成長能力の高さを売りにした大器晩成の若者キャラなら、そういうデータ設定も納得なんだが、主人公は経験豊富で、王国から高性能な専用宇宙船を与えられたワンマンアーミー的な設定なんだぜ。それなのに、上には上がいる的なデータが敵に設定されていて、ストーリー設定との齟齬が甚だしい」
リバT『ロボコマの主人公は、恐竜相手にロボットでやり合っている牧場主ですね。軍人ではないので、強さは未知数ですが、技術点次第で力量が決まります』
NOVA「技術点12で無双を楽しむこともできるし、技術点10で中の上というキャラにしてもいい。そして、中の上でも技術点を補強してくれるヘルメットとか、機体がボーナスを与えてくれるとか、主人公を強化してくれるアイテムが用意されている点も、ゲームの醍醐味だな、と思う」
アスト「ゲームには2種類あってな。キャラが成長するゲームと、限られたリソースが枯渇する前に目的を達成するゲーム。つまり、初期状態からプラスになるゲームと、マイナスになるゲーム。ホラーRPGだと、プレイヤーキャラが正気度を失っていく過程の恐怖でハラハラドキドキを堪能する後者寄りのゲームと思うが、成長を志すゲームと、そうでないゲームを同列に語るわけにはいかないな」
NOVA「FFゲームブックの場合、成長ルールは基本的にないけれど、冒険に役立つアイテムの入手が目的達成の鍵になることが多い。強い武器を入手して喜んだり、攻略必須アイテムが何かを考えたりしながら、プレイをするうちに有用アイテムを探すのもゲームの楽しみと言える。それに対して、食料や薬などの初期装備が枯渇するリソースと言えるかな。体力点や運点の減少にドキドキしつつ、冒険の中でアイテムゲットを喜びながら、目的達成までの道筋を見つけるのがFFのゲーム性だな」
ダイアンナ「アイテム以外に、手がかりとなる情報の入手が大事なこともあるね」
NOVA「パラグラフジャンプのためのキーナンバーとか、ジャクソンが最初に多用した感じだな。初出は、『火吹山の魔法使い』や『バルサスの要塞』の鍵に刻まれた数字だけど、それはアイテム連動型と言える。アイテムから独立した情報としてのキーナンバーは、『さまよえる宇宙船』や『ソーサリー』で活用され、ジャクソン特有の仕掛けの多い作品に発展していく。おかげで英ジャクソンの作品は、立ち読みでは絶対に解けない難易度となった」
リバT『リビングストンさんの作品は?』
NOVA「一部の作品(『甦る妖術使い』など)を除けば、キーフラグが『このアイテムを持っているか?』と問われる形式なので、持ってなくても持ってる選択肢を選べば、読むだけでストーリーを進めて最後まで行ける。まあ、それは解いたことにはならないんだが、ともあれアイテムあるいは情報の入手と、強敵に勝つためのキャラ強化がFFゲームブックの楽しさなんだと考える。それは『ロボット コマンドゥ』でも当然、踏襲されていて、むしろ双方向移動による自由度の高さから、アイテム探しや情報探しに積極的に動き回れるのが楽しいとも言える」
アスト「そこに、自分の好みの機体に乗り換えられるというキャラカスタマイズの楽しさもあるよな」
NOVA「米ジャクソンの特徴は『面白いゲーム性を優先する』と、かつて安田社長は評していたが、確かにドラマよりもゲームなんだな。一方、英ジャクソンは『パズル性、NPCとのやり取り、斬新なアイデア』を重視する作風で、リビングストンは『RPGの方法論を持ち込んだ世界観の継続性、基本ルールをとことん活用する伝統重視の安定性』となるか。ただ、リビングストンはWジャクソン以上に多数のゲームブックを長期間に渡って執筆しているので、時期による作風の変化も他作家より強く見受けられる」
アスト「80〜90年代の作品と、近年とでは殺意が全然違っているもんな」
NOVA「最新作の『ブラッド島の地下迷宮』は、殺意満載の『死の罠の地下迷宮』の関連作だから、往年の殺意が復活しているのか、それともマイルドな作風に落ち着いているのかを気にしつつ、それらの作品に比べてアーロックは……」
ダイアンナ「いや、アーロックの話はもういいから。今回の主題は、ロボコマだろう? 寄り道脱線が過ぎると思うが」
NOVA「お、おう。では、最後にこれだけ言っておく。アーロックでは、星霧号が最強マシンなので、それを失った後の地上のヴィークル戦闘のルールは本当に蛇足だった。星霧号に代わるスーパーマシンを用意して、俺つえー的な盛り上がりを用意してくれれば、また評価が変わったかもしれないけどな」
リバT『ゲームブックにおける俺つえー感は大事ってことですね。あれだけ最弱主人公だと言われた「地獄の館」でも、クリスナイフを入手してからの覚醒感は、それまでのストレスを払拭するものがありましたし、弱い主人公が成長して輝くクライマックスがあれば、達成感は得られるというもの』
NOVA「そんなアーロックについて公式がどういう評価をしているのか、『主人公は君だ!』での記述を楽しみにしつつ、『ロボット コマンドゥ』のバッドエンド解析をするか」
ロボコマ、バッドエンド解析
NOVA「本来のEX記事の目玉に移る」
・6:スーパー戦車と相討ちになって、惜しくも死亡。
・37:平和の神殿で安らかな眠りに就く。永遠の平和とともに冒険終了。
・50:首都で合言葉に答えられなかったために、カロシアン軍が仕込んでいた地雷を発動させて、主人公機を大破させる。
・61:知識市で機体を失い、カロシアン軍に捕らわれる。脱出不能で奴隷にされてしまう。
・64:機体に乗らずにジャングルに踏み込んで、恐竜に食べられる。
・95:恐竜から逃げようとして、泥にハマって死亡。
・114:捕まった部屋から脱出しようとして失敗する。
・121:機体から脱出するも、対峙していたノトザウルスに食べられる。
・125:機体から脱出する際に運だめし。失敗すると脱出装置が戦闘中に破壊されていて、脱出不能で死亡。
・133:機体から脱出する際に運だめし。失敗すると逃げ損ねて死亡。
・136:戦闘機の空中戦で、コクピットに直撃して撃墜される。
・139:空戦中の機体から脱出する際に運だめし。失敗すると、脱出が間に合わずに墜落死。
・141:食人植物に機体を破壊されて死亡。
・157:エレベーターのケーブルが切れて、落下死。
・173:ふさわしくない合言葉を使ったので、敵に捕まってしまう。
・201:ミノス王を暗殺するのに成功したものの、大勢の敵兵士に包囲されて、栄光ある討ち死にを遂げる。
・226:カロシアン軍から逃げようとして果たせず、捕まってしまう。
・238:機体から脱出する際に運だめし。失敗すると、乗機から降りたところをカロシアン兵士に捕まって、その場で殺される。
・241:カロシアンの軍服を着ていたものの、正体がバレていて、スパイ容疑で射殺される。
・245:首都で空中戦を展開したものの、無謀な戦いを続けて、空中で吹っ飛ぶ。
・267:敵に捕まって、はったりも通用せずに、収容所に送られる。
・276:医科大学で、多数の実験生物に囲まれて、無残な死を迎える。
・283:敵の大群に孤軍奮闘するも、討ち死にしてしまう。
・287:宝物泥棒に失敗して、犯罪者として捕まる。一生、強制労働させられることに。
・297:ミノス王との一騎討ちを、理由がないと拒絶され、囚人として連行される。
・312:ジャングルで底なし沼にハマって死亡。
・318:ブロントザウルスの群れに踏みつぶされる。
・326:敵の大群に囲まれて、脱出できないままに死亡。
・336:ロボット戦で敗れて気絶。そのまま敵に捕まる。
・347:ロボットに戻ったが、直後に敵の攻撃を受けて爆発する。
・348:恐竜の胃袋の中で、冒険が終わる。
・357:ガーディアン市の防衛システムに、運悪く敵と認定される。砲撃されて死亡。
・384:戦いに敗れて、クラッシャーロボに踏みつぶされる。
・391:ティラノザウルスから逃げられずに、餌食にされる。
NOVA「以上、バッドエンド総数は34となる」
アスト「意外と多くないか? ええと、30超えは超絶難易度だという話だったが」
NOVA「『死の罠の地下迷宮』で32だったからな。しかし、本作のバッドエンドは癖があって、そのうち13個は『メカ戦で敗れて、脱出に失敗したり、敵に捕まったり、恐竜の餌食になる系』のバッドエンドだ。他の作品だと、戦いに敗れた際にわざわざバッドエンドのパラグラフを用意したりはしない。つまり、戦闘での死は、不意打ちや罠などによる突発死亡事故とは別扱い。しかし、本作ではメカ戦で敗れても、それで終わりとは限らない。戦いに負けてもバッドエンドとはならないケースが多いために、逆に『負けてバッドエンドになるパラグラフを個別に用意している』ということになる」
ダイアンナ「それって、メカ戦で負けなければ、意味のないバッドエンドということになるねえ」
NOVA「普通は、負けたら死亡確定だからな。だけど、本作ではマメに、装甲点がゼロになった時のパラグラフが指定されている。例えば、最初にカウボーイロボでティラノザウルスと遭遇して、負けた場合。運だめしに成功すれば、体力点を3点失うだけで、ティラノから逃げることができる。しかし、失敗すると391番だ。ロボ戦で負けた場合の描写や処理をパラグラフに丁寧に組み込んでいるため、必要以上にバッドエンド総数が嵩上げされていると考えるな」
リバT『ロボ戦での敗北に伴うパラグラフを無視して考えると、20程度ですね』
NOVA「敗戦=死亡(バッドエンド)のゲームブックが普通の中で、機体乗り換えによるリカバリーが可能なのが本作の特徴と言ってもいい。いわゆるボトムズ方式と言おうか。もちろん、機体を失った後は、行動にもハンデが伴うわけだし、メカ戦を極力避けて動き回って、首都に乗り込んでミノス王との一騎討ちを狙う『ロボを使わない攻略』というのも可能かもしれない」
リバT『ロボなし攻略ですか。どうすればいいのでしょうか?』
NOVA「まずは、初期機体でドラゴンフライを選ぶ→産業市に行けば、プテラノドンとは出会わずに済む→燃料精製工場で合言葉(88)を入手して、すぐに逃亡(その間に機体の装甲が残り2点になる)→産業市から娯楽市に行き、ゲームセンターで《透明マント》の情報を入手→産業市に戻って、知識市に行く→恐竜保護地区で《透明マント》入手→博物館でカロシアンの一騎討ちの風習を知る→ついでに軍服ゲット→宗教市に行って、栄光神殿で自己強化→首都に行って、徒歩で議事堂に向かい、《透明マント》を使ってタロスの守護剣を入手→敵陣に潜入してミノス王に一騎討ちを挑む→勝ってグッドエンド。うむ、ドラゴンフライを移動手段として使うだけで、ロボなし攻略は可能だ」
アスト「それって面白いのか?」
NOVA「あくまで、本作の攻略自由度の高さを示しただけで、正攻法はやはり、ロボットを《妨害フィールド》と《追跡ミサイル》で強化して、ミノス王のスーパー戦車と戦うことだと思うなあ。そんなわけで、バッドエンドの多さ=高難易度とはならない特別ケースだと考える」
リバT『それでは、難易度を考えていきますか』
難易度の話
①ラスボスが強い(◯)
ボスキャラであるミノス王、および彼の駆るスーパー戦車は、技術点12で普通に強い。
体力点12の王自身に比べると、スーパー戦車の装甲点16、および小型砲による毎ターン確定1ダメージは明らかに強い。
しかし、主人公側も機体の強化はしやすい反面(ヘルメット+1、機体の戦闘ボーナス+1〜2、速度差によるボーナス+1、ミサイルによる確定ダメージ10点)、自分自身の強化はせいぜい技術点+2ぐらいなので、戦車の方が倒しやすくはある。
いずれにせよ、主人公の初期技術点が10あれば、どちらも倒すのはそれほど難しくない。9以下だと、剣での戦いは不利だけど、とにかくミノス王は能力の高さに反して、倒しやすい敵と言えよう。もちろん、自分および機体の強化をしたうえでの話だけど。
初期技術点が12あれば、ミノス王は別に強化しなくても、一騎討ちフラグを立てるだけで直接乗り込んで行って、勝つことも可能だろう。
なお、薬品散布ルートの場合には、ボスと戦わなくてもクリアできる。
その場合は、食人植物が実質的なボスキャラになるか。後は飛行メカの確保が必須となって、ジャングル市に飛行メカで行かないことが重要となる。
まあ、ガーディアン市の場所を知っていれば、可変メカを普通に入手できるので、そのルートで詰むことはないわけだが。
②全体的に罠が多くて死にやすい(X)
バッドエンドの数は多いが、それはメカバトルでの敗北を、描写込みでバッドエンドに組み込んでいるからである。
従来のFFらしい致命的な罠としては、底なし沼ぐらいか。
敵の大群相手に奮戦して死亡とか、ボスは倒したけれど自分も死亡という相討ちエンドとか、戦争という背景ならではの仕掛けがあって、本作特有のバッドエンドパラグラフや、死亡はしないけど罠となり得る要素が面白い。
書棚を調べたら、頭の上から本が落ちてきてダメージ……というのは、ゲームブックではありそうでない罠だったので、笑った。
他に、駐屯していた愛機に乗り換えようと思ったら、敵の待ち伏せにあって、乗り換え前後の機体が両方破壊されてしまうという展開は、インパクトありました。
それと、倒した敵機体を調べようと思って近づいたら自爆とか、死なないけど、細々と体力を削ってくる罠はそこそこ多かったな。
そして、細々とした罠と軽く見ている感じですが、本作は主人公の体力点回復手段が少なめなので、体力点に対するダメージというのが、他の作品よりも深刻に感じるのも事実。
最初から、体力4点回復できる食料を10個持っている多くの作品(40点分の回復効果)は、戦闘のくり返しによる消耗を許容し得るが、本作の場合、体力1点回復できる医療キット5個が初期装備で、回復効果が5点しかない。
本作の戦闘は、メカ戦が多く、生身でのバトルの機会は、パラグラフ142(警備ロボット、技8)、161(ロボット外科医、技6)、215(衛兵2人、技4と5)、232(大トカゲ3体、技6と7)、286(栄光神殿の試練用の兵士、技10)、294(案内ロボット、技6)、314(将校、技11)、328(先述の大トカゲ3体)、330(ミノス王、技12)、353(医師3人、技6と7)の10ヶ所のみ。この中で必須戦闘は一つもないのだ。
強いて言うなら、知識市の医科大学で遭遇する実験生物の大トカゲが、薬剤散布ルートの障害となるぐらい。
また、ミノス王との一騎討ちルートの場合は、自己強化のための栄光神殿の試練、守護剣の非入手の場合に戦い得るミノス王の前座の将校戦、そしてラスボスのミノス王と、技術点10越えの強敵3人との対決があるが、栄光神殿の試練は勝つと体力フル回復できるし、将校は守護剣を入手することで避けられる。逆に、この将校戦を避けられなかった場合、ラスボスとの戦いが連戦となって厳しくなるわけだが。
一方で、ロボバトルのパラグラフは、16、26、27、39、55、78、93、108、117、156、169、207、217、239、246、248、281、341、349、386、400の21ヶ所。メカ戦の比重が倍となっている他、相手の技術点が8とか9とかが多くて、6や7の多い生身戦よりも平均して手強くなっている。
技術点10越えの強敵は、ラスボスのスーパー戦車(パラグラフ156)の他に、技術点11のミュルミドン戦闘機(55)、技術点10の人型ミュルミドン(78および281)、技術点11のバトルマン(108)、技術点10のトライポッド(169)、技術点10のロボ・ティラノ(207)、技術点10の小型ロボット集団(217)、技術点10の海竜タイロザウルス(246)、技術点11のワスプ戦闘機(341)の10ヶ所で遭遇。
これを見ても、本作でメカ戦をメインに行うには、技術点が10以上は欲しいわけですが、速度差で+1ボーナス、ヘルメットで+1ボーナス、機体の戦闘ボーナスが+1およびガーディアン製の+2とあるので、最大+4ぐらいは強化できます。これだけあれば、初期の技術点が最低値の7でも理論上は対等に太刀打ちできるかな。まあ、安定して楽しむには9か10は欲しいですけどね。
いずれにせよ、体力点は医療施設と栄光神殿の試練をうまく活用することで完全回復できますし、装甲点については産業市で修理したり、スーパー・カウボーイ倉庫やガーディアン市に戻ることで無傷のものに機体交換できますので、バトルを繰り返すプレイスタイルでも、リカバリー可能。
その意味では、他のFF作品よりも死ににくい作品と言えるでしょうな。
③パズル構造が複雑(◯)
パラグラフ・ジャンプとか、双方向移動によるルート選びの煩雑さ(メモ必須)とか、ロボの種類(主に地上型か空中型か)によるパラグラフ分岐とか、能動的な攻略を必要とします。
個人的に難解というほどではないのですが、FFシリーズでありがちな、何となくパラグラフを進んでいたら、自然とストーリーが展開して、読むだけで最後まで行き着けたというのが、本作ではありませんね。
薬品散布ルートでは、薬の色が判明しないと、パラグラフ・ジャンプができませんし、
スーパー戦車ルートだと、敵陣を突破する際に、合言葉のキーナンバーが必要になる。
ミノス王との一騎討ちルートでも、知識市の博物館で、カロシアンの一騎討ちの慣習を調べて、キーナンバーを入手しないといけません。
その意味で、情報収集のためにタロス国内を移動しまくって、手がかりを探しまくるゲーム性ですね。
『サソリ沼の迷路』と違って、最初に目的が3つの中から選択できて、3通りのストーリー展開が楽しめる作品ではありませんが、
目的は一つ。その達成手段が3通りあって、当攻略記事のように、一度のプレイで全ての情報を集めて、全ての解法を探ることも可能、と。
表面上は、ロボットに乗って戦いまくるゲームと思いきや、バトルを避ける選択肢をいかに探して、効率優先を重視するプレイも可能というテクニカルな謎ときゲームでもあった、という。
④ゲームシステムが難しい(◯)
FF基本ルールに、ロボ戦用のルールが加わり、ロボの乗り換えシステムが自由度を高めてくれる。
シンプルながらも奥が深く、それでいて煩雑でない。
追加ルールが複雑になりがちなSF系ゲームの中にあって、FFの基本ルールに+αのオリジナル要素を加えただけで、ロボットらしさを表現し得たのが素晴らしいですね。
ロボットらしさ1。機体からの脱出と乗り換え。これによって、高機動のリアル系と、重装甲のスーパー系の両方を楽しめます。80年代当時の流行だった可変メカを再現したり、ジャングルでは強いヘビとか、対空戦だけ強いハリネズミとか、色々な特殊能力のヴァリエーションが面白い。
まあ、ハリネズミはどうしても対空戦が必要な局面がないのが残念仕様ですけどね。基本的に高機動の戦闘機って、こちらが空中型に乗ってないと出現しないので。せっかくの対空能力が、それに応じた敵と出会わないせいで、機能しないという。コンセプトは好きなんですが。
ロボットらしさ2。オプション兵装。対空戦用のマップ兵器と、一撃必殺級のスーパーミサイル。たった2つだけでも、ロボ強化につながる特殊兵装が用意されていて、勝利の鍵になるという。
この特殊装備を付けることで、敵から鹵獲した量産機でもカスタム化されたスペシャル仕様になるというのはロマンですな。
これで研究者がみんな目覚めていて、主人公が選択できるオプション兵装をどんどん開発してくれたら、ロボット物として、ますます面白くなるのだろうけど、ゲームブックとしては、そこまで煩雑にできなかった事情も分かる。
その中で、シンプルにちょっとしたメカ・カスタマイズの雰囲気を表現してくれたのは好みです。
⑤フラグ管理がややこしい(◯)
パズル性にも通じますが、自分の持ってる機体の性能や、入手した情報など、細かいデータの多い作品です。
『サソリ沼の迷路』はマッピングのしやすい作品で、マップを描く=フラグ管理に通じるので、プレイはしやすいのですが、
本作はマッピングの必要がない反面、都市に到着→都市内の各施設の探索→さまざまなイベントを交えた入れ子構造になっているため、一区画が1イベントになっている『サソリ沼』よりも煩雑さが増していると思えます。
例えば、産業市に着くと、街を出ることを除いて、4つの選択肢がある。そのうちのロボット実験センターに行くと、階層ごとに4つの選択肢がある。場所の移動だけで選択肢の分岐が多くなるわけですな。
そして、街を出ると、他の街とのつながりが複雑だし、陸路で行くか、空路で行くかによってもイベントが変わることもある。実は、フローチャートを書くのがややこしい作品でもあります。
自由度の高さに比例して、構造を把握するのに手間を要するゲームではあった、と。
首都に到着してしまうと、そこから出ることはできませんので、それまでに必須情報やアイテムをしっかり確保していることが重要です。ルートごとの攻略失敗の可能性(バッドエンドを除いて)と、攻略手順は以下のとおり。
- 薬剤散布ルート:知識市の医科大学で「青い薬」を作ったものの、大トカゲに襲われて、逃げる際に飲み薬の瓶が割れてしまう。飛行機体が破壊されて、入手が不可能になるのが、攻略失敗の可能性2点。ジャングル市の食人植物を倒しても、再戦は可能なので、「青い薬」を入手前に食人植物を倒しても詰みにはならない。ただし、2度手間になるので、ジャングル市に行く前に、「青い薬」を入手してから、「ラベンダーの薬」に仕上げること。そして、飛行機体が必須になる。
- スーパー戦車ルート:必須アイテムは、ジャングル市で見つかる「妨害フィールド」。また、地上歩行のできない飛行機体では陣地に近づけないので、ワスプ戦闘機では攻略不能。「88」に対して、「7」と答える合言葉も必須情報。もしも、可変でない飛行機体でここに来た場合、宝物殿で手に入るカニ・ロボット(戦闘ボーナス0、装甲点12、低速)でも使うしかないが、《追跡ミサイル》を使えば、技術点次第で、残り6点のラスボス装甲は十分に削れるはず。産業市でヘルメットとミサイルを入手すれば、ラスボス戦で有利に戦えるので推奨。また、ガーディアン市で入手できる2機なら、《追跡ミサイル》を使わなくても、普通に勝てるポテンシャルがある。
- 一騎討ちルート:必須情報はカロシアンの風習(111)のみ。ただし、タロスの守護剣を入手するために、娯楽市のゲーセンで知った情報(3)を使って、知識市の恐竜保護区で《透明マント》を入手する必要がある。首都の国会議事堂に徒歩で潜入し、《透明マント》を使うことで、守護剣を入手できるようになります。その後、敵陣に行って、大勢の兵士に捕まるものの王との一騎討ちを要求して、守護剣所持による国の代表資格を主張すれば、要求が受け入れられる、と。また、必須ではないものの首都に行く前に、宗教市の栄光神殿で試練を受けておけば、生身戦闘で技術点+1されるので、有利になるので推奨、と。
NOVA「とにかく、攻略ルートが3種類あるので、どのルートで何のアイテムや情報が必須なのか錯綜するわけだが、主人公の能力値から考えると、難易度低が薬剤散布、難易度中がスーパー戦車、難易度高が一騎討ちルート。ただし、必須情報の数が最も少ないのが一騎討ちルートとも言えて、技術点12、体力点それなり、運点12あれば、111の情報を入手するだけでミノス王に挑む最短攻略を果たせる、と」
リバT『すると、難易度総計4ですね』
・8:火吹山の魔法使いふたたび、モンスター誕生
・7:地獄の館、天空要塞アーロック、サラモニスの秘密、奈落の帝王、王子の対決(魔法使い)
・6:バルサスの要塞、危難の港、サイボーグを倒せ、死の罠の地下迷宮、暗黒の三つの顔
・5:さまよえる宇宙船、アランシアの暗殺者、真夜中の盗賊、王子の対決(戦士)
・4:雪の魔女の洞窟、ロボット コマンドゥ
・3:火吹山の魔法使い、魂を盗むもの、トカゲ王の島、巨人の影
・2:盗賊都市、運命の森、サソリ沼の迷路
NOVA「あとは、夏にやった面白さ総括も試みようかと思ったが、あれは結構、疲れるネタなので、今回はパス。また、来年に気が向いた時にでも行うことにする。今年のここでのゲームブック攻略記事は以上だ」
ダイアンナ「では、少し早いけど、メリークリスマス&良いお年を」
NOVA「ああ、来年もよろしくな」
(当記事 完)