前回の記事で書きたかったもの
NOVA「要は、AFFの魔法研鑽なんだがな。『ヒーロー・コンパニオン』ってサプリには、新たに7種の魔法系統が収録されているんだが、去年の年末に出た『マジック・コンパニオン』ほどは中身が濃くないって話なんだ」
ダイアンナ「いきなり否定から入るのか!?」
NOVA「いや、むしろ『マジカル・コンパニオン』の方が濃すぎるってことなんだがな。何しろ、『ヒーロー・コンパニオン』の魔法ページは、サプリメント90ページ中の20ページしかない。新しい魔法系統で70ページも費やしているサプリと比べると、ネタが薄いなあ、と後から思った次第」
アスト「だったら、『ヒーロー・コンパニオン』の残り70ページには何が書いてあるんだ?」
NOVA「魔法ページと同レベルで多いのは、野外冒険の作成ガイドだな。基本ルールには、ランダムダンジョン作成ルールを含めた、初心者向きのシナリオ作成ガイドが付いているんだが、その続きになるディレクター支援ツールと言っていい」
リバT『手慣れたゲームマスターなら、自分なりのシナリオ作成法も習得しているのかも知れませんが、それはそれとしてランダムにダンジョン地図や、荒野の冒険の舞台が作られるのは、それだけでもアイデア源になりますね』
NOVA「基本的に、『ヒーロー・コンパニオン』はプレイヤー向きというよりは、ディレクター向きの本なんだよな。目玉の追加魔法ルールも、どちらかと言えばNPC向きのものが多く、プレイヤーが扱うには、なかなか困難なものも目立つ。ネタとしては楽しめるかもしれないが、冒険者として実用的かと言われたら、???な系統が多い」
ダイアンナ「『マジック・コンパニオン』はプレイヤーも楽しめるけど、『ヒーロー・コンパニオン』はプレイヤー向きではない?」
NOVA「D&Dだと、ダンジョンマスター用のブックに載っていそうな情報ばかりだな。NPCの雇い人を雇用するルールとか、領地や資産を管理するルール、それと戦争をするための大規模戦闘ルール。これを使いこなしたら、ディレクターは広い世界を舞台にしたキャンペーン物語を演出できる」
アスト「領地経営か。キングのオレにとっては、興味深くはある」
NOVA「お前、領地を経営しているのか?」
アスト「そういうお前はどうなんだ?」
NOVA「領地は経営していないが、学習施設は経営しているので、この時期は確定申告というものが面倒な仕事になる。リアルはさておき、旅の冒険者だったら、冒険でお金を稼いで、宿賃や食費、装備の調達費用などにお金をかければいいんだが、それとは別に、自分の家や店、耕す畑、果樹園や鉱山などを経営するには、相応のルールが必要になる。あるいは船長として船を持ったり、工場長として従業員を雇ったり、盗賊ギルドの幹部として部下を率いたりなどなど。プレイヤーがそういうことに興味なくても、ディレクターはNPCとしてリアルな登場人物を演出するのに、必要なルールとも言えるな」
アスト「実に面倒くさそうだ」
ダイアンナ「あたしは興味がある。そのルールを使えば、宝石鉱山を経営したり、ジュエリーショップのオーナーになったりもできるんだろう?」
NOVA「風来坊の冒険者でなくても、生活基盤を整えることができるな。もちろん、自分は冒険生活を本職としながら、経営は有能なNPCを雇用して、細かい雑用は任せたうえで、定期収入を得るとか、業務上のトラブルを解決するための冒険を行うとか、いろいろなアイデア源に使うこともできる」
カニコング「クイーンの経営する宝石鉱山にモンスターが出現して、鉱夫たちに犠牲者が出たから、モンスター退治を求めるでごわす」
ダイアンナ「ああ。他人の資産を守るための冒険より、自分の資産を守る冒険の方が熱意も入るってものだ」
NOVA「そういう経営者としての資質を表現するために、特殊技能として[財務管理]が追加されるし、タレントにも【天性の指導者】【起業家】などが用意されている。また、大規模戦闘と組み合わさる[戦術]技能と【戦術の達人】のタレントなどもある他、優秀な船乗りを表現する[航法]技能など、船のオーナーと交易商人的なキャラクターを作ることもできるわけだ」
リバT『つまり、「ヒーロー・コンパニオン」は冒険者として、より強いキャラクターを目指すルールではなく、世界に生きる住人として、より社会性を備えたリアルなキャラクターを構築するためのルールなんですね』
そして魔法ルール
NOVA「そして、『ヒーロー・コンパニオン』に掲載された魔法系統のリストだ」
- 仮面魔術:3ページ強。仮面に特殊な呪術を付与して、さまざまな効果を発揮する。魔術や妖術に加えて習得可能だが、一度、この道に踏み込むと、専念することを要するので、それ以上、他の術系統を成長させることはできなくなる。
- 招霊術:4ページ。ゴーレムを作成したり、異世界から精霊やデーモンを召喚したりして、使役させる。魔術や妖術を3ランク以上、習得した上で追加で学ぶ上級魔法に分類される。
- 死霊術:3ページ。アンデッドを作り、操る邪悪な術系統。魔術や妖術と併用不可。もっぱらNPC用。
- 刺青魔術:2ページ。肉体に特殊な刺青(いれずみ)の紋様を施すことで、魔力を付与するが、習得者は自分を魔法使いというよりは、職人や芸術家と見なしていることが多い。魔術や妖術と併用可能。
- 戦(いくさ)魔法:2ページ。大規模戦闘で扱う高威力、高消費の上級魔法。習得には10点の魔法点と、[魔術]技能が5ランク必要。
- 付与魔術:2ページ。魔法のポーションやアイテムを作成する上級魔法。[魔術]や[妖術]が4ランク必要。
- 混沌魔法:3ページ。混沌の力に直接接することで、他の魔術や妖術の効果を再現できる。ただし、発動判定時にゾロ目が出ると、ランダムに様々な事故が発生する。魔術や妖術との併用は不可で、リスクの大きさのためにNPC限定が望ましい。
ダイアンナ「冒険中に活用する魔法ではなくて、職人的な付与魔術や、高レベル用の上級魔法、それにNPC推奨の危険な邪術だらけだね」
NOVA「ルール上、プレイヤーキャラがすぐに習得可能なのは、仮面魔術や刺青魔術だが、それでも教えてくれる師匠を見つけるのは困難だとされている」
アスト「仮面魔術は、『雪の魔女の洞窟』に登場した癒し手ペン・ティ・コーラが有名だな。刺青魔術は『盗賊都市』のジミー・クイックティントか。自分で術を習得するよりも、彼らに頼んで仮面や刺青を授けてもらうのが一般的な使い方っぽいな」
リバT『仮面魔術も、刺青魔術も、呪術っぽい異形のビジュアルのせいで、日常生活を行うのが難しそうです。仮面魔術の修行は、山にこもって隠者っぽい生活か、どこかの部族のシャーマンに弟子入りする必要がありそうですし、刺青については、ブラックサンドのようなエキセントリックな街でないと、需要がなさそう』
NOVA「刺青職人の全てが魔法の刺青を扱えるわけじゃない。そして、普通、刺青というのは、犯罪者や反社会性を象徴すると見なされやすい。非文明圏の原住民文化のイメージも強くて、社会に反発する若者文化の象徴と見なすことも可能だが、それを公然と見せびらかす行為は文明文化の否定であり、自分はルールを尊重しないと示しているようなものだから、ただのファッションで格好いいと勘違いすると、保守的な層の嫌悪感を招くことになる」
アスト「ファンタジー世界だと文明レベルが低いし、暴力沙汰が日常茶飯事な社会(冒険者も含む)だと、格好付けの刺青が人気だったりもするけどな」
NOVA「体に紋様を入れる行為が、魔術と絡んで、冒険者には縁深いケースもあるが、そういう特殊なファッションは一般社会から外れた異質な社会を象徴するわけで、そのまま脱法めいた個人のアイデンティティを表明していることにもなる」
カニコング「ゲーマーが体にダイスを埋め込んだりするようなものでごわすか?」
NOVA「そんなゲーマーはいねえよ(たぶん)。せいぜい、ダイス模様のシールを貼っておくぐらいで、満足しておけ」
アスト「お前が習得するとしたら、どの魔術だ?」
NOVA「そりゃあ、付与魔術が便利だと思うが、実のところ『ヒーロー・コンパニオン』では、説明がたったの2ページしかないことからも分かるように、データ不足なんだな。例えば、ランク1でポーションが、ランク2で効果の小さな装身具とか、ランクごとに、どのぐらいの効果のアイテムが作れるか説明があって、ランク6が究極のアーティファクトが作れるとあるが、具体的なアイテムの例が少なすぎて、あまり実用的でないルールだった。
「だけど、別サプリでアイテムがいっぱい付いてくることで、一気に可能性が広がる術系統になったわけだ」
ダイアンナ「なるほど。サプリメントの中には、それ単独では扱いにくくても、他のサプリと組み合わせることで、活用の幅が広がることがある、と」
NOVA「個人的には、『ヒーロー・コンパニオン』って基本的な上級ルールって感じだが、あまりにも基本的すぎて、これは凄いって感動が生じにくいサプリだったんだな。要するに、クラシックD&Dの青箱や緑箱みたいなものでしょうってことで」


リバT『そりゃあ、この道、40年近いキャリアを誇るグラマスなら、そういう反応になるでしょうね』
NOVA「もちろん、仮面魔術や刺青魔術は、FFらしくて楽しそうとは思ったけど、データが少なくて、押しが弱いとは思った。だけど、それを覆したサプリが『マジック・コンパニオン』だな。比較対象できるサプリが出ることで、以前のサプリの意義も再評価できるようになったということで」
AFF次の一手
NOVA「それで、こちらの雑誌の話だが……」
NOVA「ファイティングファンタジー関連は16ページ。150ページある中の16ページだから、10%強の内容だが、『主人公はキミだ!』特集で、ピピン氏のゲームブック風サプリメント紹介および個人的なFFとの馴れ初めストーリーが面白かったなあ。80年代に、いかにしてFFゲームブックと出会い、堪能し、進学話と相まって学んで行ったかの述懐は、同時代を生きた人間として、うんうんと首肯できるものがあったし、いい記事だったと思うよ」
アスト「そんなことより、オレたちが気にすべきは、FFコレクション6だ。何か書いてなかったか?」
NOVA「何もない。ゲームブックについては、『米ジャクソンがボックスセットの2集めを出したよ』って話が出て、今さらだなあ、とか思いながら、それでもAFF次の翻訳サプリの話は出た」
NOVA「ぶっちゃけると、『アドベンチャー・クリエイション・システム』と言って、ダイスを振ってランダムに冒険が作成できるチャート類がいっぱいあって、ディレクターがシナリオ作りをする助けになったり、ソロで自動生成のイベントを楽しむことのできるサプリらしい。「ある意味、『ローグライクハーフ』の豪華版にも思えるが、個人的に興味深いのは、悪役(ヴィラン)作成チャートと、ミッションや冒険者ギルドのクエスト作成チャート。やはり、現在のFF世界には、冒険者ギルドという用語が公式に存在するらしい(ジャクソンの『サラモニスの秘密』限定じゃなかったんだ)。
「まあ、さらに個人的には、こちらの方を期待していたんだけどね」
NOVA「昨年末に出たばかりの『ゴッズ・オヴ・タイタン』。タイタン世界の131の神々について書かれた神話伝承本ということで、女神リーブラやロガーン、それに『最後の戦士』の戦神テラクなど、そういう神々のデータに興味があるなら、必須サプリだな、と思う次第。そっちは将来に期待したい」
(当記事 完)




