ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

FF31『最後の戦士』攻略記(準備編)

今年最初のFF攻略記事

 

アスト「よし、気合を入れて、久々のゲームブック攻略だ」

 

リバT『その前に、こちらの記事をどうぞ』

ダイアンナ「それは……日本のゲームブック史の最終回か」

 

アスト「おお。オレのゲームブック記事を応援するために、寄稿してくれたんだな」

 

リバT『何を調子に乗ったことをホザイているのですか。こっちが応援する立場であることをお忘れなく』

 

ダイアンナ「むしろ、アストの攻略記が、FFゲームブックの足を引っ張らないか、と心配だよ」

 

アスト「攻略を始める前に、プレッシャーをかけるなよ」

 

カニコング「とにかく、『最後の戦士』の攻略記事は、ググっても見つからず。つまり、これが日本で最初の攻略記事サイトになるわけで、この作品が売れるかどうかは、お前の記事の良し悪しに掛かっているでごわす」

 

アスト「いや、売れるも何も、絶版ゲームブックだぜ。オレがどんな攻略をしても、それで商売の邪魔をしたりすることはないと思うけどなあ」

 

リバT『これで、FFコレクション6の収録作に、本作が入って来るとビックリですね』

 

アスト「そりゃ驚く。社会思想社の作品の終盤は、おそらく復刻しないか、あるいは相当後になるだろうと踏んでいるからな。あり得るとしたら、FF10巻までが終わったので11巻の『死神の首飾り』、リビングストンの『恐怖の神殿』『迷宮探検競技』『死の軍団』、そしてウォーターフィールドの23巻『仮面の破壊者』辺りが順当だと思う。他の旧作が採用されたら、ええ? それは読めなかった……と思うばかりだ」

 

ダイアンナ「復刻があり得ないワースト5を挙げると?」

 

アスト「……まあ、『天空要塞アーロック』が来たら、NOVAが裸踊りをするぐらいに驚くだろうが、誰もそんなものを見たくはないだろうな。ワーストという基準ではないが、『恐怖の幻影』も、来るとしたら『仮面の破壊者』の後だろうから、優先順位的に6集での復刻はないと思う。

「来ないものを予想しても不毛だが、残り3つを選ぶなら、アンドリュー・チャップマンの作品も版権的に厳しいのではないだろうか。『宇宙の暗殺者』『宇宙の連邦捜査官』『海賊船バンシー号』の3作が、FFコレクションに入って来たら、それはそれで驚くよなあ。わざわざオーストラリアの作家さんに翻訳交渉を持ち込んだことになるだろうから」

 

リバT『それに比べると、本作「最後の戦士」は作家的に復刻はしやすいのですよ。何しろ、マーク・ガスコインさんですから』

 

作者の紹介

 

リバT『ファイティング・ファンタジーに詳しい人にとって、マーク・ガスコインさんの名前は、ジャクソンやリビングストンの次に重要な大幹部みたいな立ち位置かと思われます。執筆ゲームブックは本作1つだけですが、タイタンの世界観をまとめ上げた御大ですからね』

アドバンスト・ファイティング・ファンタジー 第2版 改訂版

 

ダイアンナ「AFFの作者なのかい?」

 

リバT『1版のね。アドバンストの付かない無印FFRPGは、言わずと知れたスティーブ・ジャクソン作ですが、その後『モンスター事典』『タイタン』を経て、ダンジョニアというタイトルの付いたAFFの1版を著したのは、マーク・ガスコインとピート・タムリンの2人です。AFF2版は、グレアム・ボトリーと、サプリメントでしばしば見られるアンドリュー・ライトが主戦力ですが、最初のルールブックは1版の作者2人に敬意を表して、表紙に名前を載せているわけですね』

 

アスト「大御所ゲームクリエイターの1人なんだな。今は何をしているんだ?」

 

リバT『この記事によると、去年の1月にジャクソンさんとリビングストンさんが、彼を「FFのブランドマネージャー」という役職に招聘したそうで、リビングストンさん曰く、「今後のFFのさらなる発展と世界規模の展開に向けて、我々がマークを迎え入れることができて嬉しい。彼はこの分野の尊敬すべき専門家だから、今後のFFチームの重要なメンバーになるだろう。彼の体力点が尽きませんように」とのメッセージを送っています』

カニコング「FF界にあって、名誉ある立場の御仁なのでごわすな」

 

リバT『おそらく、「主人公はキミだ!」においても、大きく語られるとは思いますが、大雑把な経歴を見ておくと、ゲームズワークショップの看板雑誌である「ホワイトドワーフ」誌やFFシリーズのサポート誌だった本家「ウォーロック」誌の編集長を務めた経験があり、ジャクソンの小説「トロール牙峠戦争」を引き継いで、同じ主人公の続編小説2作(DemonstealerとShadowmaster)を書いた人。さらに、AFF1版のサプリメント、「ブラックサンド」と「アランシア」の作者でもあります』

 

アスト「そりゃあ、80年代から90年代のFF界において、ジャクソンやリビングストンを支えた重鎮だな」

 

リバT『ゲームズワークショップに所属していたこともあり、ボードゲームの『ブラッドボール』の編集にも携わっていますね。*1

『ゲームズワークショップが、ジャクソンやリビングストンの手を離れて、ミニチュアバトルゲーム専門の会社に転向した後、ガスコインさんはフリーのゲームデザイナーとしてAFFをリードする一方、カール・サージェントと協力して「シャドウラン」のイギリス方面サプリや「アースドーン」のサプリメント製作に携わっています。ただ、日本でそれらの作品が十分に翻訳される前に、冬の時代を迎えたために未訳に終わったのが残念ですが』

 

ダイアンナ「90年代を中心に活躍した欧米のゲームデザイナーが、日本ではあまり知られていないってことだね」

 

リバT『その中で、ガスコインさんはデビューが早かったこともあって、ゲームブックのFF方面で著名な方なのですが、それ以外の仕事も多岐に渡っているわけですね。ですから、海外の動向に詳しい日本のゲームデザイナー/翻訳家にとっては、非常に影響力の大きい作品を作って来た人です。

『その後、97年になってFFシリーズの展開が終了した後、ゲームズワークショップは新たにブラックライブラリー(BL)という出版子会社を立ち上げます。本社はミニチュアゲームの製作販売に専念する一方で、BLはウォーハンマー関連の雑誌や小説などをメインに行う会社で、ガスコインさんはベテラン編集者から、ジェネラル・マネージャー(事業の本部長、部門の統括責任者)の役職を任せられ、世紀末からゼロ年代にかけては、ウォーハンマーの小説やゲームサプリメントの編集に手腕を発揮しますね』

 

カニコング「自分で作品をデザインするのではなくて、編集長の立場で若手にデザインさせる役割だったのでごわすな」

 

リバT『ここで重要なのは、編集や監修というのがどういう仕事なのかってことですが、プロスポーツの世界で言うなら、コーチや監督に相当する仕事ですね。かつての野村克也監督のように、選手兼任監督という珍しいケースもありましたが、ゲームデザインの世界では、企画を立てるのが主に編集者の仕事。もちろん、小説やマンガの場合は、作家と編集者の打ち合わせの機会は多くありますが、編集者が作家に「こういう企画があるんですが、あなた、書けますか?」と話を持ち込むところから作品作りが始まるのが通例です。よって、プロの作家やデザイナーは、編集者やクライアントとの交渉をしながら、自分の作りたい作品と先方の要望の両方を満たせるように尽力する必要があるわけですね』

 

アスト「もちろん、作家の作品そのものに魅力があって、編集者が積極的に応援してくれるケースもあって、花形作家だけを見ていると、作家が主で、編集が従に見えてくるケースもあるが、現実には編集者が持ってきた仕事を、作家が下請けで作業する編集者が主のケースが多い、と」

 

リバT『それでは、自分が本当に書きたいものを書けない、と考えるプロ作家が余力で同人活動に精を出すケースもあるわけですが、さておき。

『ゲームデザインの世界では、デザイナーが企画を出すケースも、業界が成熟していなかった時代には相当数ありましたが*2、ある程度の企業になると、上が企画を出して、その企画に対して興味を持つ者がブレインストーミング的に意見を出しながら、企画を煮詰めていく。そして、その企画を形にした叩き台を作ってみて、これなら行けそうだ、となった時に、テストプレイなどをしてゲーム商品にするか、ゲーム小説の場合はもっとシンプルに、あらすじプロットにまとめて、面白そうだとなったら初稿を書いてみるなど云々』

 

ダイアンナ「基本的には編集主導で、作家主導の作品は珍しい?」

 

リバT『その作家のネームバリュー次第ですね。もちろん、優秀な作家と優秀な編集がタッグを組めば、互いに意見をぶつけ合ったり、融通し合ったりで、そういうメイキング裏話の方が作品そのものよりも面白いケースもあって、「主人公はキミだ!」はそういう作家と裏方編集者のドラマもたっぷり読めそうなのがいいですね』

 

アスト「とにかく、マーク・ガスコインはゲームブック作家としては1作のみだが、ゲームデザインをバックアップする編集者としては超ベテランということだな」

 

リバT『ゲームのことが分かっていない編集者じゃ、面白いゲームをまとめ上げたりはできないですからね。まあ、作家視点では、無能な編集者もいて、面白いマンガや小説をみすみす見逃す話もあったりしますが』

 

アスト「作家から見れば、編集者が最初の読者になって、あれこれ口うるさい感想や意見を言って来たりもするが、そこで、この編集者は分からず屋だとなれば、他を当たるという行動力を持った作家もいて、そのうちの成功例だけが世に出てくる、と」

 

リバT『ともあれ、海外のアナログゲーム事情って、70年代から90年代までは、いろいろ歴史的に語られている話も多いのですが、ゼロ年代から10年代の話って、日本独自に進めていけるのと、とりわけ21世紀最初の10年近くは「D&DのD20システムが全てを支配したように見える時代があった」ので、TRPG的には海外ゲームの発展性が乏しくつまらない。そして、海外ゲームの紹介役を務めていたグループSNEが、その時期にはTRPGよりもドイツ製ボードゲームが面白いということで夢中になって(今は、そこからマーダーミステリーに切り替わり中)、語られる話が少ないということになります』

 

ダイアンナ「話そのものが少ない……のではなくて、話される機会が少なかった、ということか?」

 

リバT『例えば、FFゲームブックの歴史に絞ってみるなら、80年代から90年代初頭で日本の展開は終わっていますので、92年のFF10周年祭りと、そこから打ち上がる3年間のファイナル花火はようやく最近、話題になっているわけですね』

 

アスト「ジャクソンの小説『トロール牙峠戦争』や、リビングストンとキース・マーティンの小説『ザゴール伝説』シリーズが最近になって、ようやく話題に上がるようになった、と」

 

リバT『言わば、90年代に取りこぼした祭りを、FFコレクション5では再確認したことになります』

 

アスト「ゼロ年代から10年代最初は、ウィザードブックスがFFシリーズを復刻させたでごわす」

 

リバT『2002年は、FFシリーズの20周年で、その年に復活して、2012年の30周年の時に終わってしまった流れです』

 

アスト「日本では、そのタイミングで一時的な復刻の流れがあったけど、単に懐かしさだけで終わってしまったな」

 

リバT『80年代のゲームブックファンだった少年たちが、大人になって、それぞれの分野で復活の火の粉を燃やしていたけれど、大きな火種がなかったので、パチパチと木っ葉が爆ぜるだけで終わった感です。風が吹かずに、炎が広がらなかった』

 

ダイアンナ「だけど、日本では見えないところで、AFF2版が産ぶ声を上げていた、と」

 

リバT『FF復活の前に、T&T完全版の復活があったのが面白いですね。昭和から平成の時代がFF(1984)→T&T(1987)→ソード・ワールド(1989)だったのが、平成から令和の時代にソード・ワールド(2008年の2.0以降)→T&T(2016)→FF(2018、ゲームブック復刻は2021から)と逆流するような展開で』

 

アスト「ソード・ワールドは2018年に2.5版に版上げする一方で、AFF2版も日本語訳が出たのは同じ2018年だ。ついでにD&D5版は2017年末からホビージャパンによる展開が始まって、まあ大体、2018年から日本のオールドスクールと呼ばれるTRPG復刻ルネサンスの流れが来る、と」

 

ダイアンナ「オールドスクール?」

 

アスト「TRPGの分野では、主に70年代から80年代の古いシステムが現代風に改訂された作品をいう。旧世紀風味、あるいは日本だと昭和風を意味する。その意味では、仮面ライダーも戦隊も、宇宙刑事も、ガンダムもオールドスクールに分類されるだろうが、伝統的な作品が装いも新たに復活して、懐旧派のノスタルジーを掻き立てる商法でもあるな」

 

リバT『でも、ライダーや戦隊、ガンダムはずっと継続しているので、あまりオールドスクールとは言いませんね』

 

アスト「オールドスクールには、『久しぶりに帰ってきた』感が欠かせないからな。おっさんが昔話をできて、それを今の若い子が時代の最先端のように興味深く受け入れるレトロ感覚が望ましい。10年や20年の歴史だと中途半端なメモリアルに過ぎないけど、オールドスクールだと時代を作り上げた創始者、元祖的なニュアンスも付いて来そうだ」

 

 

リバT『話をガスコインさんの方に戻しましょう。ブラックライブラリーで10年ほどのキャリアを積んだ後、ゲームズワークショップが出版事業の縮小を決めたために、2008年の3月に辞職し、半年後に新たにアングリー・ロボット(AR)社というSFファンタジー関連の出版社を立ち上げます。この会社の功績がワールド・ファンタジーCONというイベントで認められて、2011年に「ワールド・ファンタジー特別賞(プロ部門)」を獲得したとのこと』

 

アスト「ワールド・ファンタジーCON? 世界幻想文学コンベンションってことか?」

 

リバT『1975年にアメリカで、SFファンタジー分野のファンのお祭りとして始まって、毎年秋(10月〜11月)にアメリカ(たまにイギリスかカナダ)で、イベント開催されている由緒正しいコンベンションだそうです。「世界ファンタジー大会」と訳すべきか、定訳が分かっていませんが、とりあえず、ここではワールド・ファンタジーCONで』

 

カニコング「その特別賞では、どんな作品が表彰されているのでごわすか?」

 

リバT『詳しくは、こちらを参照ください』

World Fantasy Special Award—Professional - Wikipedia

 

ダイアンナ「英文ページだし、情報が膨大なので、要所だけピックアップしてくれないか?」

 

リバT『では、日本でも有名だと思われるところだけ、ピックアップ……しようと思いましたが、この特別賞は作家に与えられるものではなくて、編集者に与えられるものらしいことが分かりました。海外のSFファンタジー雑誌やホラー小説のアンソロジーの編者の名前がずらずら並べられても素人の私めには手が出せません』

 

アスト「つまり、『ドラえもん』の作者の藤子不二雄は有名だが、コロコロコミックの編集長の名前があまり知られていないのと同じだな」

 

リバT『同コンベンションのメインである世界幻想文学大賞では錚々たるメンツの名が見られますね。75年の第1回が、パトリシア・A・マキリップの「妖女サイベルの呼び声」。翌76年はリチャード・マシスンの「ある日どこかで」。こちらはあまりに有名なので、日本語ページでも普通に歴代受賞作家が確認できます』

アスト「つまり、ガスコインさんは作家ではなく、編集部門で世界幻想文学への貢献を認められたってことだな」

 

リバT『あと、英国幻想文学大賞の出版社部門でも、彼の作ったAR社は2016年と2024年の2回、賞を得ています。つまり、ゼロ年代までの彼はゲーム業界の人として知られ、10年代以降はもっと広くSFファンタジーをバックアップする出版業の人になって、近年FFゲームブックに帰ってきたって形ですね』

 

作品の紹介

 

リバT『そして、「最後の戦士」です。原題はBattleblade Warrior。直訳すると、〈闘刃戦士〉ってところでしょうか』

 

アスト「何だか、闘技場で戦う剣闘士といった感じだな」

 

リバT『バトルブレイドというのが、戦神テラクの加護を宿した聖剣のことだと思われ、〈神剣の戦士〉というのが直訳に近い意訳だと考えますが、「最後の」というのがthe last warriorという神からのメッセージからの引用だったりします』

 

アスト「最後の手段とか、切り札みたいな意味合いで使われる言葉だな。究極とか、最高最強のニュアンスも持っている」

 

リバT『舞台は南アランシアのヴィモーナ国です』

ダイアンナ「南アランシアは、前に東側のカラメールを舞台にしていたけど*3、今度は中央のシャマズ湾の入り江に面した地域なんだね」

 

リバT『どくろ砂漠の南の蛇国と、トカゲ兵の都市シルアー・チャに挟まれた伝統国家ですが、6年におよぶトカゲ帝国の侵攻によって、防戦一方のヴィモーナ国は壊滅の危機に立たされています』

 

アスト「オレはその国の王子ローレスだ」

 

カニコング「お前が王子だと? あり得ないでごわす」

 

アスト「言っておくが、オレはキング・アストという称号を持つ身だから、王子をプレイしても許されるはずだ。まあ、魔法は使えないから国民にはバカにされているんだけどな」

 

リバT『それはリメイクされたドラクエ2。だから、ローレスって名前なんですね』

 

アスト「ちなみに父王はアレクサンドロス2世という名*4で、城壁に立ってトカゲ兵を迎え討っていたところを、毒矢で撃たれて死んだ。今の国のトップは、我が母ペリエル女王だ。夫の死に涙することなく、彼女は猛き戦士となった。彼女は魔法のたしなみもあって、神々の加護を願いながら、兵を率いて戦いを続けている。

「戦争が始まった6年前は、オレも鍛え足りない華奢な若者だったが、実戦を何度も経験するうちに鍛え上げられた肉体は、オレを超一流の戦士にした。さあ、技術点は12と言っていいな」

 

リバT『よくありません。技術点は10〜12の範囲で決めましょう』

 

アスト「5と6がベストだが……出目4。ならば11だ。最強ではないが、十分に強いはず」

 

リバT『ついでに体力点と運点も決めてください。どちらも最低値は出目4で、体力20、運10にしますが、それより高い出目が出れば、そちらを採用します』

 

アスト「体力7、運2。ボーナスは特になしか。ならば、技11、体20、運10で、優秀だが最強には至らない能力値だ」

 

リバT『持ち物については、パラグラフ1で支給されますので、記事を改めてから話すことにして、作品紹介の続きをば。この作品は原書が88年に出版され、翌89年に日本語訳されました。南アランシアを舞台とした初のゲームブックになります』

アスト「ゲームブック所収の地図か。本国では、『タイタン』や『謎かけ盗賊』で先に南アランシアの地図も見せられたそうだが、日本ではそれらの翻訳が90年になったので、どくろ砂漠の南が初めて明かされた形になる」

 

リバT『ついでに言えば、大規模な戦争を描いた初のFFにもなりますね。「運命の森」はトロールとの戦争前夜のストーンブリッジが描かれており、「トカゲ王の島」でも解放奴隷とトカゲ軍との戦争がありましたが、どちらも小規模な地域紛争程度のもの。しかし、南アランシアは本作も、そして続く「奈落の帝王」でも、戦争を背景に王国滅亡の危機に際して、主人公が王子だったり、歴戦の剣士で部隊の指揮を任されたり、一介の冒険者を越えた立場に置かれています』

 

アスト「王子といえば、『王子の対決』だが、そちらは何年だったかな」

 

リバT『原書は86年で、日本語版は87年ですね。しかし、そちらでは王子という立場は、あまり冒険の内容とは関係ありません。2人は身分と関係ない一介の冒険者兄弟という形で、試練を果たすわけで、戦士と魔法使いという職業の方が劇中では重要でした。しかし、「最後の戦士」は王子による神剣探索行という、ある意味、英雄物語の王道とも言える物語の出だしで、当時ブームだったドラクエとの共通点も多し』

 

  1. 敵がトカゲや恐竜なのは、ドラゴンが敵ボスだったドラクエ1に対応している。
  2. 主人公が純戦士な王子のところはドラクエ2で、戦争で滅ぼされそうな母国なのは、ドラクエ2のムーンブルクをも想起させる。
  3. 還らぬ父親に代わって、母親が主人公を強く育てたところはドラクエ3。

 

アスト「ちょっとドラクエ3は無理やりっぽくないか? まあ、本作が一介の冒険者ではなく、国の代表として探索行に赴く英雄伝説っぽさは、ゲームブックのFFシリーズよりは和風のコンピューターRPG風味だが」

 

リバT『そして、近藤功司さんの後書きにもあるように、本作はこの時期のFFゲームブックには珍しく、ルールが基本どおりで変化球じゃない。リビングストンを除けば、新人ゲームブック作家は必ず特殊ルールを付けてくるものなのです』

 

  • FF25巻『ナイトメア・キャッスル』:ホラー物っぽい雰囲気のために「意志力点」を追加。
  • FF26巻『甦る妖術使い』:リビングストンなので変化なし。
  • FF27巻『スターストライダー』:SFなので、飛び道具主体の戦闘ルールに加え、「恐怖点」「時間点」「酸素点」が採用。
  • FF28巻『恐怖の幻影』:魔法が使える。夢の世界と現実世界の行き来によって、物語が展開する。
  • FF29巻『真夜中の盗賊』:盗賊の各種技能を活用する。
  • FF30巻『悪霊の洞窟』:ネコの神「自慢たらたらのタバシャ」による援助と、一撃戦闘(ゲームの難易度的に悪名高い)
  • FF31巻『最後の戦士』:リビングストンではないのに、変化のない王道ルール。
  • FF32巻『奈落の帝王』:「時間点」と、技術点による判定が「以下」ではなく、「未満」で成功を決めるという独自の判定ルール。
  • FF33巻『天空要塞アーロック』:SFなのに銃器主体ではないが、悪名高いヴィークル戦闘ルールが大きな特徴。他には「酸素点」を採用。ただ、この酸素点の活用が、宇宙空間で残り酸素が問題になるサスペンスを盛り上げるのではなく、単に敵との格闘戦で呼吸を塞がれた状態でジタバタもがく場面のみで、あまり効果的だったとは思えない。いろいろと凝った宇宙船用シートの仕様だけは、面白そうと思わせる。売る前に写真を撮っておくべきだったか。でも、ネットで画像が見つかったので、貼っておきます。

 この宇宙船シートだけは、『フリーウェイの戦士』の冒険記録紙並みに凝っていて、プレイ前はワクワクしていました。

 

ダイアンナ「って、違うゲームブックの記録用紙を貼り付けると、紛らわしいだろう、リバT」

 

リバT『それもそうですね。では、「最後の戦士」の冒険記録紙をば』

リバT『あまり面白みがありませんが、「父の遺品」欄が特徴と言えましょうか。これ、キャラクター用紙の画像だけ見せて、どのゲームブックの物か当てるクイズをすると、面白いかもしれませんね』

 

↑こっちが「盗賊都市」で、

 

↑こっちが「死のワナの地下迷宮」です。

 

ダイアンナ「どっちも同じじゃないか、と言う人は、観察力が足りないってことか。右下にゲームブック⑤と⑥の表記がある点で、一応、見分けは付けられる」

 

アスト「よく見ると、社会思想社版の『盗賊都市』はモンスターの訳語が妖怪なんだな。続く『死のワナ』の方は怪物なのに」

 

リバT『あと、これもよく見ると、右上の剣のデザインが違っているんですね。上は西洋っぽい両刃の剣なのに、下は刀っぽい片刃になっているのは、興味深い。もしかすると、『死のワナ』の方には東洋風の忍者がいるからでしょうか』

 

アスト「さあ。それは知らんが、オレはFFゲームブックのキャラクターシートの研究家になるつもりはないので、この話はここまでにしておこう。それよりも、背景の続きを見て行こうぜ」

 

神託の夢

 

リバT『ヴィモーナの城はトカゲ帝国の大軍に包囲されて、食料も不足するようになり、さらに連日の夜襲騒ぎや、魔法による亡者の叫びなどで睡眠も妨げられます。不屈の闘志と、徹底した食料管理の統制によって、かろうじて持ちこたえてはいるものの、このままだと陥落もそう先の話ではない。口にはしないけれど、そんなことを内心思いながら、ローレス王子はその夜も城の南塔に撃ち込まれた燃える薪の束によって生じた火事を消す作業を終わらせました』

 

アスト→ローレス「トカゲの奴らめ。油断も隙もない連中だが、何とか今夜も守り抜いたか。こうなったら、遠からず城門を開いて、残存戦力をかき集め、トカゲどもに最後の決戦を仕掛けるしかないのではないか」

 

リバT『しかし、王子の勇気と無謀を取り違えた計画に、ペリエル女王は反対の意志を崩しません』

 

ダイアンナ「女王はあたしが演じよう。『ローレス王子よ、疲労と絶望のあまり、自殺まがいの突撃など私は決して許しません。神は勇気を称えますが、いたずらに命を捨てることを勇気とは言いません。命を使うなら、戦神テラクの名の下に勝利に邁進できる機を見出すのです。勝つ見込みもなく命を投げ出すのは、目の前の困苦より逃げたいという弱さの現れ。逃げてはなりません』と、最後まで生きて勝利を目指すことを訴えるんだね」

 

ローレス「やれやれ。戦神テラクがオレたちを助けてくれるなら、とっくに助けて欲しいぜ」

 

リバT『女王は信仰心旺盛ですが、息子の王子はテラク神をあまり信仰しておりません。というか、子どもの時には無邪気に戦いの神さまを敬っていたのですが、父王が討ち死にし、母たる女王が連夜、神に対する祈りを捧げているにも関わらず、一向に戦況が良くならないことを体験していると、不信の念も募るというもの。しかし、その夜、疲れ果てたローレス王子は、着替える間も惜しんで、手入れのされていない汚れた寝台に倒れ伏すように眠りに就きます』

 

ローレス「ZZZ」

 

リバT『夢の中ですが、あなたは気がつきません。夜明けとともに目覚めた(と思った)王子は、いつもと違って周囲が静まり返っていることに違和感を覚えます。いつもなら、城壁を攻撃するトカゲ軍との小競り合いが日常なのに』

 

ローレス「寝台から飛び起きて、母上を探して司令所に駆け込むぞ」

 

リバT『城の中には、あなた以外、誰の姿も見えません』

 

ローレス「これが夢だと気づいていないオレは、何かの魔術が城の人間を消し去ったのだと誤解して、母上の名前や、仲間の戦士たちの名前を虚しく呼び続けて城じゅうを駆け回るが、返事がないことに絶望する。独りか……と呟き、もう、どうなってもいいという諦めの境地で、剣を抜く。『この剣が、戦神テラクの黄金の剣であれば、オレを導きたまえ!』と叫ぶ」

 

カニコング「すると、『我の名前を呼びしは、汝でごわすか!』と後ろから声をかける存在が……」

 

ローレス「驚いて、振り返るぞ。……何だ、カニか」

 

カニコング「カニではなくて、カミ、すなわちゴッドネス・テラクでごわす」

 

ローレス「お前が神? あり得ん」

 

カニコング「カニ座は冥府を司るが、コングはドクロ島やファロ島、モンド島の守護神として祀られた経緯があるからして、この吾輩が戦神テラクを演じるのに、何の不都合もあるまい。ディレクターの許可はとっているでごわす」

 

ローレス「マジで!?」

 

リバT『マジです。いろいろ検討して、豪快マッチョな脳筋戦神テラクをプレイするには、カニコングさんが最適だと判断しました』

 

カニコング→戦神テラク「そういうわけで、今から我を神として崇めるように」

 

ローレス「オレの信仰心がますます失われていくような気がするが、相応の威厳はあるんだよな」

 

リバT『光り輝く黄金の鎧に身を固めた眩い姿で、足元には一頭のライオンが寄り添っています。ビジュアルイメージとしては、獅子座の聖闘士カイザーさんを想像するといいかも』

リバT『全てを射抜くようなエメラルドのような眼光と、巨大なライオンすら凌駕する巨体ゆえに、あなたは彼が本当に戦神テラク、黄金の剣の神であり、勇気の王であり、邪悪に対して戦う者の守護神であることを認めざるを得ません』

 

ローレス「相手がカニコングだと思わず、黄金聖闘士のカイザー、もしくは獅子の瞳のレオ師匠だと思って、膝をつくぞ。一体、どうして偉大なる神がオレの前に?」

 

戦神テラク(カニコング)「運命の戦士が、我が名を呼ぶ声が聞こえたでごわすからな。それに、我もそなたとこうして話す機会を待っておった」

 

ローレス「……あなたが本当に正義の守護神ならば、ヴィモーナの城を今にも攻め滅ぼそうとするトカゲの軍勢を成敗してください」

 

戦神テラク「そうしてやりたいのはやまやまだが、神々は古よりの盟約で、地上の出来事に直接干渉することはできないのだよ。だから、汝は己の力で望みを果たさなければならぬ」

 

ローレス「地上のことは関わりなきことと見捨てるのですか?」

 

戦神テラク「関わりは……ある。このトカゲ軍は、カオスの神の尖兵でな。ちょうど我が天空の城も混沌の軍勢に攻められ、討ち滅ぼされようとしている。地上と天空は時に合わせ鏡のように連鎖しているのだ。我が勝つには、地上の英雄が事態を打開できるように導き、その武勲が天まで届くように局面を動かさねばならん。汝は、我に選ばれた英雄として、試練に挑む勇気と覚悟はあるでごわすか?」

 

ローレス「戦士として、勇気と覚悟は元より持ち合わせています。しかし、母上より無謀を戒められておりました」

 

戦神テラク「女王の祈りは届いておった、でごわす。それゆえに、ようやく汝とこうして接触がかなったわけだ。母君には感謝を伝えてくれ。そのうえで、汝は試練の旅に向かうことを母君に宣言せよ。我も意思を示すゆえ、聡明な彼女なら受け入れてくれよう。汝が我に選ばれし運命の戦士、このトカゲ帝国の侵攻に立ち向かう〈最後の戦士〉として立つなら、地上に眠る〈黄金の剣〉への導きを与えるでごわす」

 

ローレス「〈最後の戦士〉として、〈黄金の剣〉を見つける探索行ですか? 謹んで拝命します」

 

戦神テラク「まことの戦士なら、そう応じてくれると思ったぞ。よく聞け。ヴィモーナよりも北東の地に、デュルケラキンと呼ばれる山がある。ライオン高地にある双峰の一つで、それこそが我テラクの聖地なのだ。そこに眠る〈黄金の剣〉の力があれば、トカゲの軍勢に神罰を下すことも可能となろう。ラスカルという男を探すがいい」

 

ローレス「ラスカル?」

カニコング「アライグマではないでごわす」

 

リバT『やはり、その名前を聞くと、そっちを連想する人は多そうですねぇ。今の若い子はどうか知りませんが。とにかく、テラク神はローレス王子に、できる限りの援助を約束してくれました。天上の戦いに戻らなければならない、と言い残して、神と従者のライオンの姿がすーっと幻のように消えます。直後に、あなたは目覚めました。今の夢の記憶は生々しく残っています』

 

ローレス「とりあえず、今さら頬っぺたをつねって、現実かどうかを確かめておく」

 

リバT『そんなことをしなくても、周囲から聞こえる喧騒で、あなたは現実を認識しました。夢のお告げをペリエル女王に伝えに行きますか? はいかYESで答えてください』

 

ローレス「ここでNOと答える選択肢はない、と」

 

ダイアンナ(ペリエル)「もしも、NOと答えたら、女王のあたしが息子に命じて、探索行に送り出してやる。神託は下された、と言ってな」

 

ローレス「それじゃ、オレがいつまでも母離れできないマザコンみたいなので、自立した戦士らしく、こっちからきちんと報告するぞ」

 

ペリエル「では、いよいよ断は下されたようですね。運命がそなたを選んだ以上、私にはそなたの無事を祈って、待つことしかできません。今すぐ、出発の準備を整えなければ」

 

ローレス「母上の決断の速さには驚くな。この6年間、オレが城の外に出ようとするのを、さんざん止めたのに」

 

リバT『夫の死と同じ運命が、あなたを襲うことを恐れていたのでしょうね。女王にとっても、息子のあなたこそが〈最後の戦士〉だったのでしょう。しかし、崇拝する神があなたを選んだのなら、否やはありません。困惑と心配の気持ちを瞳に宿しながらも、決然とした表情と言葉で、指示をします』

 

 敵陣を突破するのに一番いいのは、夜明けの直前に出発することです。

 暗がりの中なら、敵の戦線を通り抜けられるでしょう。

 くれぐれも無謀なマネだけはしないように。

 あなたは、私たちの最後の希望なんですから。

 

(当記事 完。パラグラフ1へつづく

*1:初版は86年に誕生。『ウォーハンマー』の世界観を流用して、ファンタジー世界の異種族たちがチームを結成して、アメフト風の過激な球技を行う作品。ボードのスポーツゲームではあるが、勝つためには乱闘バトルを行うことも可能、というか、そっちが主流。日本でもこのゲームに感化されて、ウィザードリィRPGの設定で乱闘ありの野球を行うカードゲーム『ウィズボール』を89年に製作した。

*2:今でもインディーズ系がそう。自分で作ったゲームを売るために、編集作業も自前で行い、それが認められて大手のゲームデザイン会社から声が掛かる業界シンデレラ・ストーリーも皆無ではない。

*3:FFシナリオ『謎かけ盗賊』およびFF32巻『奈落の帝王』

*4:些細なことながら、背景ではアレサンドロスという表記だけど、本編232ではアレサンドロスとなっている。ここでは本編表記に合わせた。