ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

FF31『最後の戦士』攻略記その8(最終回)

戦士王ローレス

 

リバT『前回、カーネクの地下ダンジョンで、ローレス王子は聖都の守護者たる〈戦士王〉を打ち負かす試練を乗り越えて、テラクの腕たる〈黄金剣〉と、それに絶大な神力を付与するテラクの目たる〈エメラルド〉を獲得しました』

 

ローレス(アスト)「テラク神の導きあればこそだ。ここまでのダンジョン攻略で、迷いなく目的達成の最短ルートを通過できたのは」

 

DMカニコング「ここまでのマップは以下のとおり」

 

●カーネク地下ダンジョン

黄金剣エメラルドの入手場所)

 

 

      ?

      l

  ?  戦士王

  l   l

  l→血痕の部屋
 l   ↑

  l クサリヘビ

 l    l         ?  ?

戦士像 l  行き止まり  l         l

 lー地下墓所ーl   古井戸→ナメクジの間

    l   /      ↑

  墓所前礼拝室←ーー→衛兵像2体

          l

         入り口

サマルト(ダイアンナ)「血痕の部屋って、前回、描写されていないよね」

 

DM「うむ。ガスコイン氏は、ダンジョンの描写が細やかなのだが、さすがに攻略記事で全てを描写することはできん。血痕の部屋は、戦士像の部屋を抜けた160番と、クサリヘビの部屋を抜けた際に、テラクの腕を入手済みの106番と、入手し損ねた29番の3ヶ所で共通して描写された部屋でごわすが、どうも拷問あるいは邪悪な人体実験が行われた痕跡が残っておる」

 

ローレス「ちょっと待て。この街って、テラクの聖地なんだよな。何で、そんな痕跡があるんだよ?」

 

DM「これはゲームブックでの描写でごわすが、どうもこの街がテラクの聖地だったのは昔の話で、今現在は邪悪なカオス神(おそらくトカゲ帝国が崇拝する魔王子イシュトラの異名と思われ)に完全に占拠されているような描かれ方になっている。まあ、ラスカルの裏切りでトカゲ帝国を招き入れたのでごわそうが、ここでダンジョンの不気味な雰囲気を強調したいあまり、ガスコイン氏はテラク神の強さや威厳を完全にスポイルするような話にしておる、と」

 

ローレス「敵がテラクの聖地を完全に占拠しているってことなら、そのことを警告するでもなく、〈最後の戦士〉たる主人公を敵地に呼び込むテラク神も酷い神だって話になるな」

 

DM「ゲームブックでは、戦士王も闇の力で目覚めており、テラクは自らの信奉者の闇堕ちすら防げない、情けない神ということになる。そこで当攻略記事では、テラクの威信を高めるため、街の全てが邪神の影響下にあるような描写はカットして、テラクの影響下にある区画と、カオスの神に奪われた区画の両方が存在するようにした。要するに、原作の要素に基づきつつも、一部をこちらの好みに合わせて改変したという形になる」

 

・原作ゲームブック:カーネクは完全にカオス神が占拠している。テラク神は弱体化して、主人公が〈テラクの腕〉と〈テラクの目〉を入手するまでは何もできずにいる。かつてのテラクの従者たちも、完全に闇側の尖兵として、主人公に襲いかかって来る。

 

・本作の改変部分:カーネクは相変わらず、テラク神の加護下にあるが、ラスカルの裏切りによって、闇側の侵蝕が行われている。よって、一部の敵対モンスターは闇ではなく、テラク側の防衛機構が主人公を外からの侵略者と見なしたり、試練と称する形で腕試しのような演出で描くようにした。廃都らしく死者にまつわる不気味な演出(実害はない)は残したけど、いかにもカオスの支配下にありそうな残虐描写の痕跡は、意図的に語らずに割愛した。

 

サマルト「つまり、血痕の部屋は……」

 

DM「部屋はあるが、血痕は演出から削った。というのも、〈テラクの腕〉や〈テラクの目〉を入手する場所がすでに闇の支配下にあるならば、どうして敵側(ラスカルとトカゲ兵)がそれを入手できずにいるかが不明だからな。ラスカルの意図は、裏切り者としてテラクの力を完全に破壊することにあるが、そのために主人公にテラクの遺産を見つけさせたうえで、騙して奪いとる目論みがある。自分自身ではテラクの加護に邪魔されて、入手困難な状態でごわすからな」

 

ローレス「原作のラスカルの行動から考えると、主人公でなければテラクの遺産は見つけられない。にも関わらず、廃都が完全に闇の支配下にあるという設定にしたなら、どうして主人公を呼び込む必要があったんだって話になる、と。むしろ、この廃都はいまだにテラク神の加護の力と、カオス側の呪いの力がせめぎ合っているという状況に、当記事では改変した、と」

 

リバT『それと、ラスカルというキャラの掘り下げも意図していまして、原作では単に裏切り者の悪い奴、という形で深みもなく処理されましたが、当記事ではもう少し善悪の葛藤をにじませる方向にアレンジを施すことに。このラスカルとの最後の決着ドラマが今回のクライマックスです。そこを巧く描写できればいいかな、と』

 

ローレス「では、テラク神の試練を果たし終えて、廃都カーネクの守護者だった〈戦士王〉から称号を引き継いだローレスの物語に決着をつけるとしよう」

 

地上への帰還を目指す

 

DM「それでは、パラグラフ197からの続きでごわす。血痕の部屋から左に進んだ場合と、ナメクジの間から先はIFルートとして、後から処理してダンジョンマップを完成させるでごわす。まずは王道ストーリーの完成に専念するってことで」

 

ローレス「食事休憩をして、消耗した体力点を回復した後で、戦士王が出てきた部屋の奥に進むとしよう(残り体力17、残り食料3食)」

 

DM「その奥は下り階段になっていて、そこから噴水のある部屋に入る。噴水を調べることもできるが、原作では不気味な血溜まりになっていて、何て呪われた場所なのか、と感じさせる演出でごわす。当記事ではそこまで酷いことにはなってなくて、単に乾ききった噴水跡に留めておく」

 

サマルト「作者はとことんテラク神を貶めたいみたいだね」

 

リバT『というより、ラストダンジョンの不気味演出にハマり過ぎて、ここが本来はテラクの聖地であったことを過小評価していたようですね。テラク神がカオスの侵攻に敗れて、自らの聖地さえ守れなかったという描写は、主人公の危機感を煽るには有効かもしれませんが、そこからパラグラフ400番のラストの逆転劇が何だかご都合主義のようにも思えて。それぐらい神の奇跡が凄いってことなら、どうして自らの聖地がここまで酷い状態で放置されたんだよって。FFシリーズは、しばしばエンディングの描写の当たり外れが大きくて、本作もラストは派手なんだけど、そこに至る過程との整合性が上手く取れていないと考えます』

 

ローレス「後半の評価がよろしくないので、攻略記事では改変を試みている、と。ゲームブックでは、『噴水を調べた』『単に不気味なホラー演出だけで、何も得ることはなかった』と、つまらない結果だということだな」

 

リバT『それはともかく、ガスコインさんは血まみれとか腐臭とか、そういう描写を嬉々として語っている人でもあるのですね。さすがは、後にウォーハンマーRPGで混沌関係の小説をまとめ上げたりしただけあります。緻密な学者肌の一面を持つ一方で、趣味嗜好の部分に混沌のネチョネチョグチョグチョがドぎつく内包している御仁とも見受けられます。幻想文学の耽美ではない方の闇要素がお好きな方のようで』

ローレス「つまり、このダンジョンは、ゲーム的な整合性やら遊び感覚ではなく、作者の抑えきれない趣味嗜好要素がたっぷりと詰まった、一種の暴走描写で構成されたってことだな」

 

リバT『原始宗教の暴力性とか、神の栄光よりも失墜の方が作者の描きたい本音部分だったと思しく、だけど物語としては、それでは収まりがつかないので、強引に逆転勝利の結末をつけた。なお、この主人公はガスコインさんの理性というか良心を体現しているようで、過剰殺戮や非名誉的な行動には嫌悪感を抱いて、割と潔癖に、高潔な振る舞いを心がけてはいるようですね』

 

サマルト(ダイアンナ)「だから、ゲームとしては終盤が面白くないにしても、作者の趣味が暴走した筆致は冴え渡っているので、そういう視点では面白く楽しめるってことだね。血まみれ噴水を浴びて、体力点が回復したって主人公だったら、もっとゲーム的に面白いのに」

 

ローレス「いやいや。本作の主人公は、神剣に選ばれた王子ってことで、光り輝く聖勇者の方向性だろう? そんな闇属性を付与されても困る」

 

 

DM「では、噴水イベントの次は、真っ直ぐ続く道(154)と、左の枝道(353)に分かれているでごわす。前者は上りの階段に通じていて、後者は崩れた岩がゴロゴロ転がっているのが見える」

 

ローレス「そういう描写だと、階段の方に行きたくなるよな。オレたちは地上に帰りたいんだし、左は落盤の危険を感じる」

 

DM「だけど、地上への近道は左なのでごわすな。まあ、先に真っ直ぐ進んで階段を上る方から見ていくでごわすが、階段を登った先にある部屋では、3体の影屍鬼(シャドウ・グール)と戦うことになって(技7〜8、体4〜5)、倒すと2つの黒玉が入手できるでごわす」

 

サマルト「宝石マニアとしては、寄って行きたい場所だね」

 

ローレス「ハズレ宝石だと分かっていなければ、寄ってみるのも一興だな」

 

DM「ここで面白いのは、影屍鬼と戦う前に運だめしを要求されて、成功すれば普通に戦える。しかし、失敗すると、主人公がうっかりつまづいて、ランタンを落としてしまうのでごわす。ただ、ランタンの明かりが消えたので、影も消失。結果的に、戦闘することなく、黒玉を入手できたので、ラッキーってことで運が1点回復。稀にある運だめしに失敗した方がラッキーだったという転禍為福イベントとなっているでごわす」

 

 

DM「影屍鬼と黒玉イベントの次は、神殿前の衣装部屋(152)に至って、〈テラク神官のマント〉を入手できる。その先は74番で、こここそが宮殿とも称されるテラク神の地下神殿でごわす。部屋の中央に祭壇があり、その上に置かれた台座にルビーが輝いている。これを入手するために祭壇に近づくか、それとも部屋の奥の上り階段から地上を目指すかの選択肢が出る」

 

ローレス「ルビーもハズレ宝石だと分かっているから、スルーして先を急ぐのが正解だろうが、初見だと宝石をゲットしたくなるのが人情ってものだな」

 

サマルト「当然だ。宝石入手はすべてに優先する。さあ、ローレス王子。ボクのために宝石を手に入れてくれ。そうしたら、愛してあげる」

 

ローレス「おい、サマルト。プレイヤーが駄々漏れになっているぞ。お前はそういうキャラじゃなかったはずだ」

 

サマルト「今まで隠していたけど、実はボク、血と宝石が何よりも好きなんだ。そのためなら、悪魔にだって魂を売ってもいいとさえ、思ったりもする」

 

ローレス「いや、カオスの神に影響されるなよ。物語の整合性を考えない発言は却下だ、却下」

 

DM「なお、このルビーのあるテラク神殿でごわすが、先ほどの左の枝道353番でも同じ描写が見られる。このテラク神殿こそが地下ダンジョン最後の部屋になっているでごわすな」

 

ローレス「つまり、左が近道というのは、影屍鬼のイベントをショートカットできるってことだな」

 

サマルト「だけど、そっちに寄り道しないと〈テラク神官のマント〉を入手できないってことだろ?」

 

DM「実は、そのマント、入手していても、していなくても結果は同じ。何の意味もない思わせぶりアイテムに過ぎんでごわす」

 

サマルト「何だよ、それ?」

 

ローレス「せっかく入手したアイテムが、何の役にも立たないというのは、ゲームブックでも時々あるが、それは役立つアイテムがそれなりにあるからこそ、メリハリという点で面白さとなる。だけど、本作は入手アイテムの使い方がよろしくない、というか、全体的にアイテムが使えそうで使えないケースが目立つ。しかも、いかにも役に立ちそうと思わせて、使えないということなら、そのガッカリ感覚の方が印象的になるというか」

 

DM「さて、テラク神殿は完全にカオスの侵攻を受けていて、祭壇に近づくと、カオスの番人であるイシュカリムという混沌怪物が出現する。人間の上半身とクモのような下半身を持つそいつらはデーモンに分類されて、技術点は7〜9、体力点は8〜10で、強固な装甲に覆われてダメージが1点ずつしか与えられない。そして、ここでは4体が出現して、体力点の総計が35点。その意味が分かるでごわすか?」

 

ローレス「順調に倒せたとしても、全部倒すまでに35ラウンドもかかってしまうのか」

 

リバT『FFゲームブックのザコキャラは、体力点が1ケタなので、早ければ2〜3ラウンド、遅くても5ラウンドほどで倒せます。これがボスキャラになると、体力点が10点越えなので、10ラウンド近くかかることもありますし、出目が悪ければ、ダメージを与えたり与えなかったりで、10ラウンド以上の戦いを余儀なくされます。

『しかし、1点ずつしかダメージを与えられない場合、体力点がそのまま戦闘ラウンドになって、普段の倍の時間がかさむ戦いとなります。おそらく、この戦いはFF史上でもなかなか例を見ないほど、面倒な戦いとなるでしょうね。敵が単純に強いのではなく、そこそこ強い中堅どころが4体も登場して、数が多く、全滅させるのに時間がかかる。普通の戦闘ルールで処理するバトルでは、こいつらがラスボス扱いとなります』

 

サマルト「延々と35ラウンド以上もダイスを振り合うバトルは、やる気を削ぐよね」

 

リバT『記事としても、盛り上がるでもなく、書くことが徒労なので、割愛しましょう。祭壇には近づかないことを推奨します』

 

DM「通例だと、こういう面倒な戦いはアイテム使用で避けることも可能なはずが、本項目で〈テラク神官のマント〉を持っているという選択肢を選ぶと、以下のように作者からバカにされるでごわす」

 

(パラグラフ15番より)

 このような世界の怪物が、テラク神の神官に服従するとでも思ったのか? こいつらはカオス神のしもべなのだぞ!

 

リバT『つまり、ここに来て、ようやくテラク神殿がカオスの神に占拠されていることが明示されるわけです』

 

ローレス「原作では、テラク神、負けてるじゃん! となるわけだな」

 

DM「当記事では、テラクがなおも抵抗していて、神殿は占拠されたとしても、〈テラクの腕〉と〈テラクの目〉はしっかり守り通して、〈最後の戦士〉ローレス王子の手に渡るよう導いたのでごわす」

 

ローレス「ああ。だから、神殿がカオスに占拠されたことも、祭壇のルビーが罠であり、危険なことも神がしっかり警告してくれたから、オレたちはスルーして、先へ進む決断をしたわけだ」

 

サマルト「むしろ、エメラルド以外の宝石は、邪神パワーに毒されていると解釈することもできそうだね」

 

リバT『ええ。それを〈テラクの腕〉にはめるとバッドエンドですからね』

 

ローレス「では、無駄な探索はしないまま、部屋を出て、らせん階段からまっすぐ地上へ直行するぜ(パラグラフ87)」

 

裏切りのラスカル

 

リバT『それでは地下ダンジョンから脱出に成功したので、ディレクターも私めに戻ります。地下神殿から長い螺旋階段を昇って、ラスカルが待つと言っていた崖上の地上神殿に到着。結構な距離の階段を昇ったので、荒れた呼吸を整えながら、いよいよ最終決戦の準備をします』

 

ローレス「ラスカルが裏切ったという話を、テラク神に確認しよう」

 

テラク(カニコング)「では、黄金剣を通じて、テラク神が明確な意思を伝えるようにするでごわす。間違いない、ラスカルは混沌の魔王子、トカゲ帝国に君臨するイシュトラの下僕と成り果てた。神敵であるラスカルと配下のトカゲどもを討滅することが、〈最後の戦士〉の為すべきことだ」

 

ローレス「ラスカルはトカゲと結託して、何がしたかったんだ?」

 

テラク「身の安全と、ヴィモーナ王国の存続を願った。トカゲ帝国に恭順することで、たとえ奴隷扱いされようとも、生き延びる道を模索したようだな。魔王子イシュトラに従うことで、ヴィモーナもカオスの一角としてその軍事力を提供して、西の蛇国と対抗できるような布陣を整える。そのために、汝を誘惑しようと狙ったのだろうが、その思惑は外れたようだ」

 

ローレス「ああ。オレはカオスに魂を売ってまで、自分も国も生き延びようとは思っていない。もしも、混沌の勢力が勝ち目のないほど強大であれば、戦って戦って、一体でも多くの混沌トカゲを打ち滅ぼして、名誉の討ち死にを果たす覚悟はできているつもりだ」

 

テラク「それならば……汝に1000の神の戦士を託すとしよう。黄金剣にエメラルドをはめ込むことで、汝は神の戦士を召喚する能力を獲得する。トカゲ帝国の軍勢すべてを凌駕する力とは言わんが、局地戦では無敵の力を発揮するはずだ」

 

ローレス「なるほど。敵の本陣に突っ込んで行って、そこで1000人の戦士を召喚すれば、一気に大将首を打ち落とすこともできる力か。大したものだ」

 

テラク「もちろん、そう何度も使える力ではないが、ここにいるラスカルとトカゲ兵を蹴散らし、そなたの故国ヴィモーナを包囲しているトカゲの部隊を撃退するには十分なはずだ。その後の戦況がどうなるかは、我にも読めんが」

 

ローレス「帝国の皇帝をそれで倒すことはできないのか?」

 

テラク「それは難しいだろう。まず、皇帝の近くまで汝が接近するのが難しいし、皇帝は魔王子イシュトラの化身とも呼べる力を秘めている。汝が我が力の一端を与えられた〈最後の戦士〉であっても、トカゲ帝国の皇帝が使える力はそれ以上だ。汝はまず、ヴィモーナを解放する。その後は、汝だけで対処できる範囲を越えている。他の英雄との連携が必要となろう」

 

ローレス「他の英雄?」

 

テラク「どう動くかは読めんが、ロガーンの使徒が何やら画策しているのは分かる。それにイシュトラに対しては、エルフの夢使いが動くとの予見が届いた。多くの英雄が、危難に対してそれぞれの対応をこなすことで、やがてその波が世界を動かすことにもなる。アランシアのみならず、タイタンの歴史はそうして紡がれてきた。汝も英雄の1人だ。自らの分に応じた役割を果たすがいい」

 

ローレス「正直、広い世界や神々の話はデカすぎて、オレにはどうもピンと来ないんだが、ヴィモーナが救われるなら、あんたの話には乗らせてもらうよ、我が守護神よ。オレは戦士だから、戦士の神さまに従うのが性に合っているし、カオスに転向したラスカルのことは正直、理解できない。どうして、ヴィモーナの民が命惜しさに、カオスに寝返るだろうと考えられるのか、狂っているようにしか思えん」

 

テラク「汝は真っ直ぐな気性ゆえに、人が絶望して裏切る心情など想像できぬのであろうな。カオスの神は死や絶望、欲望に容易く付け込んで、人を堕落させる。いいか、カオスの神が何を提供すると言ってきても、それには耳を貸すな。絶望からの救済は、信仰の原動力になるが、克己心を持たずして、甘いアメをちらつかせる輩には注意せよ。自ら励まぬ者に勝利はない」

 

 

リバT『テラク神との会話は、それぐらいで十分でしょう。では、ここからラスカルとの対面に移ります。パラグラフ301番の選択肢は、ラスカルと約束どおりに合流するか、それともこっそり様子を伺うかの2択ですが……』

 

ローレス「ここまで情報を得ている以上は、様子を見るのが正解だな」

 

リバT『ええ。のこのこ出て行ったら、トカゲ兵と結託したラスカルの罠にはまって、あっさり捕まってしまいます。それに〈テラクの腕〉を入手していない場合も、結果は同じで捕まることに。その場合、敵があなたから〈テラクの腕〉を奪うか、あるいはあなたが見つけられなかったものを敵が地下から見つけ出して、ここまで持ってくる場面が挿入されます』

 

サマルト「剣の入手に失敗しても、何とかなるんだね」

 

リバT『この場合、主人公が相手の隙を突いて、剣に上手くエメラルドをはめ込むための技術点判定を行います。エメラルドを持っていなかったり、判定に失敗すればバッドエンド。成功すればグッドエンドです』

 

ローレス「エメラルドを持っていて、技術点判定に成功すれば、そのままパラグラフ400に行くんだな。最後は戦いにならずに、呆気なく終わる、と」

 

リバT『ついでに言えば、様子見→トカゲ兵と結託しているラスカルに気づく→その場で剣にエメラルドを差し込む→技術点判定なしで、パラグラフ400に到達、と』

 

サマルト「つまり、ゲーム的には、もう終わっているわけだね。あとは、パラグラフを読み進めて、ストーリーを追いかけるだけでいい」

 

リバT『最後に決戦バトルがないので、ゲーム的な達成感がないというのが、残念ですが、そこを会話イベントで補完するのが本記事の趣旨になります』

 

ローレス「では、ここからクライマックス演出に入るか」

 

ラスカルの真意

 

 ローレス王子たちを地下に送り出して、結構な時間が経った。

 テラク神が、先王の王子を〈最後の戦士〉に任命して、ここまでの決死行を挑ませたという話を、主たる魔王子イシュトラが伝えて来てから、ラスカルは己の所業を振り返る日々を過ごした。

 先王アレクサンドル2世が戦死したという話を知って、ラスカルは絶望した。先王は頑迷ではあったが、真っ直ぐな気性の持ち主で、戦士としては尊敬に値する男だった。軍師として、自分の知識や策で協力できていれば、それで満足できた。

 トカゲ帝国の研究も、もちろん敵に寝返ることを意図していたのではなく、敵を知らずして戦いに勝つことはできないという信念に沿ったまでのこと。先王は、敵のことなど学ぶ必要はない、自ら強くあれば戦いには勝てる、と言い張り、ラスカルの研究の価値を理解しようとしなかった。

 もしも、先王がトカゲ帝国の脅威を正しく理解したうえで、ラスカルと相談し合える仲であれば、違う展開があったかもしれない。

 しかし、先王はラスカルの訴えを、臆病者の杞憂と見なす一方で、ペリエル王妃は聡明な態度で、ラスカルの心情を受け止めてくれた。王妃がトカゲ帝国の脅威を先王に伝えることで、ラスカルは自らの主張を王に受け入れさせるつもりでいたが、先王はつまらぬ勘違いをしたのかもしれぬ。ラスカルが王妃に横恋慕して、あれこれ画策しているのでは、と。

 聖地への左遷も、もしかすると先王の嫉妬心が原因かもしれない、とラスカルは考えたりもした。

 先王と距離を置いたことで、先王への敬意、愛着が薄れて、むしろ器の小さな男、戦バカの暗君よ、と見なし始めた頃合いに、先王が討ち死にしたとの報が入ったのだ。

 

「愚か者が……」そう口にしながらも、ラスカルの心は千々に乱れた。

 無理解への不満はあっても、それでも自分がアレクのことを好きだったと改めて感じて、先王に殉じて自らも死ぬべきか、と考え始めた頃に、魔王子イシュトラの意志を受け取ったのだ。

 テラク神は、アレクサンドロス2世を守らなかった。

 ヴィモーナを救えるのは、イシュトラに恭順して、トカゲ帝国と共に並び立ち、西の蛇国との戦に乗り出すことしかない。

 そう、ラスカルが仲介することで、トカゲ帝国は仇敵から盟友に切り替わるのだ。

 

 テラク神の聖地の遺跡を研究し続けて、ラスカルは一つの結論に達していた。

 テラク神は勇気を奨励し、戦勝への加護を与えてくれると信じられているが、それでも死や破滅から人を救う力にはならない。

 その証拠が、目の前の遺跡だ。

 テラクが本当に民を守る力を持つのならば、どうして聖地と称されたカーネクが廃都として無惨な遺跡と成り果てたのか?

 テラクの遺跡について研究すればするほど、神としての弱さ、力のなさが分かってしまう。

 勇気だと? 

 力なき勇気に何の意味があるのか?

 勇気を抱いて、人を死に追い立てるのがテラクという神の所業では?

 

 テラク神への不信が募った結果、イシュトラ信仰に乗り換えることに、ラスカルは逡巡することはなかった。

 イシュトラの使徒として、廃都に残るテラクの残滓を混沌の力に塗り替えることに、快感さえ覚える。

 そう、自らの意思のままに、自らの色に染め上げることへの快。

 この力があれば、祖国ヴィモーナも自らに恭順させ、トカゲの盟友とともに世界を支配することさえも可能ではないか。

 

 そこに、ヴィモーナ王子ローレスが現れた。

 ローレスは、アレクの勇気を受け継ぐとともに、母親ペリエルの慎重さ、聡明さを受け継いでいると見受けられた。

 テラク神が〈最後の戦士〉に選んだ若者を、上手く導いてイシュトラの素晴らしさを教え込むことができれば……それこそが自らの願望が叶うとき。

 そう。テラクの最後の希望たる王子を転向させて、同志に仕立て上げることができれば……。

 そんな夢想に浸りながら、ラスカルはイシュトラへの祈りを捧げ続けていた。

 

「ラスカル!」

 若者の張りのある声が、神殿に響いた。

 かつてはテラクの神殿であったが、今はイシュトラの魔神殿。

 ラスカルは主への祈りを中断して、顔を上げた。

 金髪の王子と、従者の銀髪の公子の2人の若者の姿を確認する。

「2人とも、無事に帰ったようだな。首尾はどうであった?」

「見れば分かるだろう。これが〈テラクの腕〉だ」背中に負っていた古風な造りの大剣をスッと抜く。扱うのに手こずりそうな代物だが、父親譲りの大柄な体格を持った王子は、手慣れた動作で軽々と扱う。

 本人の鍛えられた膂力もそうだが、魔法の剣にありがちな軽量化の魔力も働いているようだ。そして、神剣と称される武器は、使い手を自らの意思で選ぶともいう。〈テラクの腕〉はローレス王子を使い手として選んだのだろうか?

 テラクの意思を宿した剣。

 それならば、神を裏切ったラスカルを許すことがあろうか?

 剣に意思があるのかを見届けようとする前に、ローレス王子が言葉を続けた。

「なあ、ラスカル。あんたは本当にヴィモーナを裏切ったのか?」

 ああ、気づいていたのか。

 さすがはペリエルさまの息子。聡明なことよ。

 騙し通せると思い込んだのは、浅はかだったのだろうな。

「ヴィモーナを裏切る?」表情に驚きの気持ちを乗せる。「とんでもない。このわしはヴィモーナのために良かれと思って、常々行動してきた。国を裏切ったことなど、一度たりともない」

 そう、裏切ったのは、弱き神であるテラクであって、国を裏切ったわけではない。

「裏切ってないか。だったら、どうして、ここはトカゲの臭いがプンプンしやがるんだ? あんたが手引きしたんだと思うんだが、隠れているトカゲ連中に出て来るよう、言ってはもらえないかい?」

 

 そうか。

 戦場で長らくトカゲ兵と戦ってきた王子だから、その臭いには敏感だったのだな。

 ならば……。

「そうじゃな。ここには、数多くのトカゲ兵が潜んでおる」そう明かしてから、トカゲたちの使う言葉で、出て来るように指示する。

 その数は何十体で、わらわらと物陰から出てきて、剣や弓を構えている。

「これだけの数を少数で相手どるのは困難かと。悪いことは言わん。ここはおとなしく降伏しておくがいい」

「降伏して、どうなる? トカゲの慈悲を期待して、生き延びろとでも?」

「話はわしが付ける。わしにはトカゲの言葉が分かるからな。話が通じれば、意外と仲良く……」

「仲良くなど、あり得ん話だ。お前がトカゲと結託しているなら、どう言い訳しようと、それは裏切りだ。テラク神と我が父アレクサンドル2世の名において、叩き斬る!」

 

「この愚か者!」

 テラク神の名前と、先王アレクの名前が、ラスカルの心を激昂させた。

「お前たちは皆そうだ。無謀な勇気に身を焦がし、頑迷な態度で死に向かう。人がせっかく身を尽くして、賢明な和解案を献策しても、聞く耳持たずに一蹴する。ならば、死ねばいい。イシュトラの名にかけて、愚か者には死を!」

「イシュトラか……」ローレス王子がつぶやいた。

「確か、〈蛇の魔王子〉と呼ばれる邪神だか悪魔だかの名です」サマルト公子が少しばかりの知識を示す。

「とうとう、本音を出したってことか。邪神に魂を売ったとか、そこまで堕ちていたとはな」

 好き勝手言う若造どもに、さすがに慎重で穏健派を自認するラスカルも堪忍袋の尾が切れた。この愚か者たちを痛めつけ、どちらが上かを分からせ、足元にひれ伏させてやる。

 サディスティックな感情が湧き上がり、配下のトカゲ兵に命じる。

「徹底的に痛めつけろ」それから付け加える。「ただし、殺すな。生かした上で、我が色に染め上げる」

 そう言って、背後に下がった。

 すぐに戦いが始まる。

 

 黄金に輝く剣の形をしたテラク神の腕が、深々と体を貫いた。

 息絶えるまでの僅かな瞬間、ラスカルは信じられない思いで、目の前で起こった戦神の奇跡を反芻した。

 

 ローレス王子とサマルト公子がそれぞれ取り出した緑色の宝石、〈テラクの目〉と思しきエメラルドを黄金の大剣に装着したとき、王子の周辺が太陽のような眩さに照らし出された。

 黄金の鎧を身につけたローレス王子とサマルト公子、そしてどこからともなく湧いて出た多数の黄金戦士が周囲を囲むトカゲ兵に雲霞の如く突撃し、圧倒的な数で斬殺していったのだ。

 

 一振りの剣が 1000の軍勢に匹敵する威力を示す。

 古文書に記された記述はこのことか。

 本当に1000人もいるのかは分からないが、少なくとも神殿にいた何十のトカゲ兵では太刀打ちできないほどの圧倒的な数の暴力で、その場は制圧されていった。

 降伏すべきか否か。

 悩んでいる時間は与えられなかった。

 テラク神の無慈悲な一撃が、呆然としたまま何もできずにいる裏切り者の体を貫き、呆気なく命を奪ったのだ。

 うめき声をあげて、ラスカルは絶命する。

 死の間際、老人は様々な想いが込み上げてきて、悔悛と絶望、そして喜びの入り混じった涙を流した。

 

 テラク神がこれだけの奇跡をもたらすことを信じていれば、混沌の神に鞍替えすることはなかっただろうか?

 そう、自分には勇気が足りなかったのだな。死の間際に、勇気の力を見せてもらった。時代を作るのは、若者なのか。

 そうだ。このテラク神に選ばれた若者たちが、英雄として立つならば、ヴィモーナの国も救われよう。

 その未来を、自分は見ることができなくとも、死の直前に信じることはできた。

 自分を殺した王子の顔に、亡き親友だった先王の幻を見出し、ラスカルは逝った。

 裏切り者の名を受けて、その真意は誰にも知られないままに。

 

●カーネク地下ダンジョン

黄金剣エメラルド黒玉ルビーの入手場所)

 

 

地上へ

↑ ↓ー影屍鬼

テラク   l

 神殿 ー噴水

      l

  ?  戦士王

  l   l

  l→血痕の部屋
 l   ↑

  l クサリヘビ

 l    l         ?  ?

戦士像 l  行き止まり  l         l

 lー地下墓所ーl   古井戸→ナメクジの間

    l   /      ↑

  墓所前礼拝室←ーー→衛兵像2体

          l

         入り口

(当記事 完)