何とか読了報告
NOVA『大著を全部読んだ。……ウソだけど』
アスト「ウソかよ!」
NOVA『今日は4月1日だからな。正確には、大体、興味ある部分は全部読んだ。後半は、例えばフィギュア作りの造形師とか、FFゲームブックにインスパイアされた音楽バンドの話とか、同人誌活動の話とか、マニアックなコレクターの話とか、そういう話が続くと、興味が薄いので流し読み、飛ばし読みもしたりしたわけで、それでもFFシリーズが本当に大勢のファンに支えられているんだなあ、というのは分かった』
ダイアンナ「それでも、一通りは読んだわけだね」
NOVA『前回の目次形式を踏襲しつつ、各章で小見出しを立てて、解説感想を加えて行こう』
23章『火吹山の物語(その4)』(パラグラフ192〜199)
この章は、ウィザードブックスから出版された新刊の話が中心。
2005年のFF通算60巻に当たる、リビングストンの『龍の目』に始まり、
本書の著者であるジョナサン・グリーンの作品がどんどん飛び出す。
- 61巻『ブラッドボーンズ』(2006):パフィンブックスより出版予定が出ていたのに、幻と終わった企画が陽の目を見た形。イギリスのファンにとっては、日本のFFファンが『トロール牙峠戦争』や、34巻の『魂を盗むもの』が出たのと同じような感慨か。いや、向こうは10年待たされたけど、こっちは30年近く待たされたから年季が違うけど。とにかく、殺し屋海賊への復讐に燃える主人公の話です。
- 62巻『狼男の雄叫び』(2007):FFコレクション5に収録されたジョナサン・グリーンの一番傑作と呼ばれている本。
- 63巻『ストームスレイヤー』(2009):ウィザードブックス2期めの新作柱。天候魔術師のバルダザール・ストゥルムの脅威から世界を守る話で、旧世界のフェンフリイが舞台。
- 64巻『死霊術師の夜』(2010):主人公が最初に死んで、幽霊として、自分を殺した犯人に裁きを与える物語。幽霊としての特殊能力は、壁をすり抜けたり、浮遊したり、誰かに憑依したり。次に、グリーンのゲームブックがFFコレクションに来るとしたら、この作品を要望します。設定的に、一番面白そう。
24章『火吹山のファンダム』(200〜213)
ここから、FFゲームブックのファン活動の話がいろいろと。
でも、そのかつての少年少女のファンたちが大人になって、それぞれの立場でFF愛を表明している話を読むと、いろいろと凄いですな。
そもそも、この本自体が作り手側の物語だけでなく、それぞれが主人公たるYouをプレイした愛読者の物語をも内包しているわけだし、FFゲームブックがインタラクティブな魅力を持っているわけで、本場イギリスのファン活動の話が日本語で読めるのは貴重な書物ですな。
まあ、その断片は、インターネットのサイトや動画配信などで伝わりやすくはなっているんだけど。
25章『火吹山の銀の峰』(214〜215)
25周年(2007年)に出た『火吹山の魔法使い 特別限定ハードカバー本』にまつわる話です。
あと「ロゴの進化」と称して、歴代FFゲームブックの表紙の変遷を語っていますね。
まあ、そういうのは、このサイトが凄かったりするわけですが。
26章『ル・ソルシエ・ド・ラ・モンターニュ・ド・フー』(216〜232)
この章では、「翻訳版」と称して、イギリス以外の諸外国でのFFの展開事情について紹介されています*1。
この中で、一番盛り上がったのがフランスだそうで、フランスのガリマール社は本国のイギリスが中断していた時期も、変わらずにFFシリーズをずっと出版し続けたということで、リビングストン氏も一番讃えている感じですな。
イギリスのパフィンブックスがFFを終了して、絶版状態になっていた期間も、フランスでは途切れることなく、売り続けていたという。
そして、イギリス以外でFFシリーズが売れた市場トップ3は、フランス、アメリカ、そして日本だというのが公式の見解とのことで。
ただし、アメリカ版は、13巻までは表紙絵を変えて、14巻『恐怖の神殿』からイギリス版と同じ表紙にしたものの21巻で中断したとのこと。
そして、アメリカ版の『火吹山の魔法使い』のこの表紙は、ジャクソン氏のお気には召さなかったようで。

理由は、「主人公の姿が描かれているから」。
FFの原則としては、主人公は読者自身なので、表紙絵や本文の挿絵には姿を描かないとのこと。
まあ、例外として、『真夜中の盗賊』や『王子の対決』があったりするわけですが。


あと、この狼男は主人公なのか、それとも敵キャラなのか、判断つきにくいですな。

ともあれ、物議をかましたのは、何よりもこれですな。
リビングストン氏にツッコミを入れられて、今回、ジョナサン・グリーンにもツッコミ入れられるというネタ。
過酷なダンジョンを攻略するときにはもちろん、戦士ならビーチにも着ていくとは思えないような服だ!
一方、社会思想社版と、グループSNEのFFコレクション版については、好意的な評価をしている模様。
現在、アメリカでFFを出版している米ジャクソンの話は出ていないけど(本書の出版が、原書は2023年なので、まだ米ジャクソンとの交渉は実ってない時期)。日本のFFコレクションも3までしかまだ出ていない段階。4と5を予定しているのを、後から訳注で補っている形。
ともあれ、ワールドワイドなFF出版事情が分かって、ここは非常に面白い章でした。
27章『火吹山のテクノマンサー』(233〜261)
コンピューターゲーム化されたFFゲームの話です。
個人的に、興味深いのはこれですが。
他にも、いろいろなFFゲームブックのデジタル化作品があるんだなあ、と改めて知る。
28章『火吹山の幻灯劇』(262〜268)
この章は、FFシリーズの映画化企画の話だけど、『地獄の館』と『死の罠の地下迷宮』の2つを映画化したいという企画案がそれぞれジャクソンやリビングストンのところに持ち込まれたそうな。ただ、どっちの企画も今のところ上手く進んでいない、という話。
29章『火吹山の黒真珠』(269〜275)
ウィザードブックスは、大人だけでなく、児童層にもFFゲームブックをアピールしようと、いろいろ戦略を練っていたんだけど、2011年には伸び悩むことになって、2012年の30周年のために最後の花火を上げることになった。
それが、リビングストンの新作ゲームブック、通算65巻めに当たる『ゾンビの血』である。
この『ゾンビの血』は、もちろん従来どおりの書籍スタイルで発売されたんだけど、同時にTin Man Gamesと提携して、デジタル書籍のアプリという形でも売り出す戦略をとった。当時のリビングストンは、デジタルゲームの分野でも幅広く活動していたので、自らの新作を違うスタイルで売り出すことにも躊躇しなかったわけだ。
結果として、『ゾンビの血』はFF25周年記念作の名に恥じない売れ行きを見せたものの、作品としては賛否両論らしい。
デジタルゲームとの連動企画というだけでなく、ゲームシステムも従来の技術点や運点を排除して、体力点だけでプレイする別システムになったからだ。
つまり、従来のリビングストンには珍しく、ルールを大きく変えたというか、逸脱した実験作になったのだ。
もちろん、世界設定も従来のタイタン世界(アランシア)ではなくて、ジャクソンの『地獄の館』以来の現代ホラー作品。まあ、時代設定は80年代の『地獄の館』と、21世紀の『ゾンビの血』では大きく異なるのだろうけど。
リビングストンにとっては、『フリーウェイの戦士』以来の非ファンタジー作品で、「20年間のデジタル世界で仕事をしてきた成果」だそうです。
ある意味、FFで『バイオハザード』みたいなことをやりたかったとか。
そして、30周年企画としてもう一つ、FFゲームブックの歴史をまとめた本『You are the Hero』の初版をキックスターター・プロジェクトとして立ち上げ、見事に貴重な歴史書が2014年に出版されることになった。
その初版と続編を組み合わせたのが、本書である。
30章『火吹山のコンベンション』(276〜281)
2014年9月7日、『You are the Hero』の初版は、第1回ファイティング・ファンタジー・フェストの会場で発売された。
こういうお祭りイベントは、1985年にもファイティング・ファンタジー・デーという名で開催されたが、それ以来の大きな祭りである。
その後、2017年にフェスト2が、2019年にフェスト3が開催される。
そして、40周年を記念したフェスト4が2022年に開催されたのだが、それはまた後の章である。
さらに、2024年のフェスト5を経て、今年、フェスト6が開催予定とのこと。フェスト5では、リビングストンの新作ゲームブック『ブラッド島の地下迷宮』が発売されたが、今年はどうなるのかな。
31章『火吹山の彫刻師』(282〜295)
FFシリーズのミニチュアフィギュアやジオラマなどの職人や、彼らの作品を紹介する章。
32章『火吹山の吟遊詩人たち』(296〜303)
ゲーム音楽や、FFシリーズに感化されたミュージシャンたちの話。
33章『火吹山のファンジン』(304〜314)
FFファンの作り出した雑誌や、ネット上の情報媒体の話。
また、ゲームブックでなく、TRPGのAFF2版のファンジンである『ウォーロック・リターンズ』についても紹介。
34章『火吹山の学芸員』(315〜326)
FFシリーズの様々なコレクターの話。
集める対象は、本だけでなく、フィギュアやイラスト原画、関連小物類など多数。
何というか、マニアってすごいなあ、と感心するというか、ここまでのレベルだと引くというか、俺たちのできないことをやってのける、そこに痺れる、でも憧れないってレベル。
こじらせるってこういうことさ、って見本を見せられた感。
35章『火吹山のシーケンシャル・アート』(327〜343)
FFシリーズのコミックの話。
かつての『ウォーロック』誌に掲載されたギャグ調のショート・コミック『トロールのデレク』に始まるが、本格的なコミック作品は2010年代になってからである。
こちらとしては、意外に遅いんだな、と思うけど、あくまで公式のコミック作品のことだろう。ファンの個人的な同人活動ではなく。
2017年、リビングストンの『フリーウェイの戦士』のコミック化が記念すべき初の本格的コミック作品になる。原作ゲームブックに登場するスーパーカー、ダッジ・インターセプターにスポットを当てて、主人公がそのマシンを手に入れる前の物語をオリジナルで描いたらしい。
つまり、ゲームブックの前章に当たる、別主人公の物語を新たに語るというもの。
あくまでリビングストン作品は原案であって、そのメカ設定と世界観を流用して、新しい物語を作ったわけですな。
次にジャクソンの小説『トロール牙峠戦争』のコミックが2017年に発売された。

日本では、原作小説がようやく2021年に翻訳されたので、コミック版なんて知る由もなかったなあ。
他には『盗賊都市』と『電脳破壊作戦』のコミック化が進行中(2023年時点)とのことだけど、まだプロジェクト段階で完成には至ってない模様。
36章『火吹山のブロードキャスト』(344〜351)
ジャクソンやリビングストンが、過去にTVやラジオに出演した歴史をまとめている。
37章『火吹山のあるじ』(352〜360)
ジャクソンやリビングストンの2010年代から20年代初頭の活動について、まとめた章。
13章の続きになる。
『You are the Hero』2014年版では書けなかった部分の追記の章。
ジャクソンがブルネル大学のゲームデザイン講師として教育活動に励むかたわら、FFのブランドマネジメントとして、権利交渉絡みの裏方事務作業をしていたとか、アプリ版の『ソーサリー』を始めとするデジタル化への監修にも参加していたという話。
一方のリビングストンも、デジタルゲームの分野での教育活動に尽力。リビングストン・アカデミーの設立を2021年に果たす他、2016年にブラジルのサンパウロ・コミコンに招待されたりするなど、精力的に動き回っている様子が示される。
38章『火吹山の復活』(361〜372)
2017年は、FF誕生35周年。
その前年に、FF公式サイトの管理人が、コレクターとして有名なジェイミー・フライから、本書の著者ジョナサン・グリーンに交代した。
つまり、我々が今、見ることのできるFF公式サイトは、ジョナサン・グリーンが改装したものだったのだ。寡聞にして知らなかったや(苦笑)。
まあ、自分がFFに注目し直したのは、SNEがウォーロックマガジンを創刊し、AFF2版を翻訳展開し始めた2018年以降になりますので、それまでは昔のFFゲームブックを後生大事に持っていたオールドコレクターでしかなかった。
元ゲームブックファンだったのが、現役ゲームブックのプレイヤーにして、研究者気質のファンに返り咲いたのは、令和に入ってから、と言える。
よって、35周年までの動きも分かっていなかったんですな。後から雑誌やネットで調べて、知識を補完していく中で、本書『主人公はキミだ』にもリアルタイムで大いに学ばせてもらっている最中。

そして、2017年、ついに来ましたよ。
スカラスティック社(学者=スカラーと比喩。これまでSNEはScholasticをスコラスティックと表記してきたけど、本書ではスカラスティック表記に改めた模様)でのシリーズ再出発で、通算66作めのリビングストン新作『危難の港』が発売。

うん、『危難の港』があればこそ、うちもFF攻略記事を精力的に書くようになった、と。
コレクション1だけだと、ただの懐古趣味のコレクション記念アイテムでしかなかったのが、2022年夏のFFコレクション2の発売を前に、引退冒険者から現役に返り咲いたわけで。
本国では、2005年のFF60巻『龍の目』以来、12年ぶりのリビングストンのアランシア新作になるので、それはそれで盛り上がりが大きいわけだ。2012年の『ゾンビの血』は新展開として盛り上がったけれど、こうじゃないと考えるシリーズファンも多かったようで、彼らの琴線を大いに刺激したのが『危難の港』。
ついに、リビングストンがアランシアの地に帰って来て、新たな物語を示したわけで。
まあ、こちらは5年遅れで、「10周年記念作の『火吹山の魔法使いふたたび』がずいぶんと難しいなあ。そうか、これがリビングストンだったなあ」とか思いながら、改めて『火吹山』『バルサス』『盗賊都市』までおさらいして、『危難の港』を受け止める準備をしていたわけですが。
いろいろ感慨深い2022年の思い出ですが、ゲームブック熱が高まるのは、この辺りからになりますか。
D&D5版に起因する懐古→ソード・ワールド2.5版を経ての、ウォーロックマガジンがサポートするパグマイアに走ってからの、FFゲームブックに行き着く話ですな。
この辺は、個人の追っかけ展開ですが、さておき。
2017年イギリスに話を戻すと、翻訳によるタイムラグも感じたりしながら、本書で当時のイギリス本国での熱気を追体験しているような気分です。
パラグラフ363番の『アランシアふたたび』って項目もいいですし。
アランシアの新しい地図があって、バルサス・ダイアのブラックタワーと、ザンバー・ボーンのブラックタワーの2つも同じ地名があるのを、この機にザンバー・ボーンの方をダーク・タワーに改めたって話とか、
「ところでよく見てみると、校正の目をすり抜けた誤記が1つある。どれかわかるだろうか?」と、ジョナサン・グリーンに問いかけられて、291ページの地図を見ること数十秒ぐらい。
あ、サラモニスがSalamonsになっている。nとsの間にiを入れないと、と思い、愛を注入する今だったり。
で、この2017年は、前述のFFフェスタ2の年でもあるので、そういうイベントにも絡めて、FFゲームブックのオーディオドラマが発売されたとか。
そこでは、新たなヒロイン主人公、エルフの女戦士ヴェイル・ムーンウイングが火吹山を攻略して、それから『運命の森』『バルサスの要塞』『死の罠の地下迷宮』『モンスター誕生』まで、ヴェイルの冒険物語が続いて行くそうで。
最初は、ヴェイルと相棒の冒険者カシアス・ストームブレードの2人に、敵役のザゴールを交えただけの火吹山探検物語だったのが、2018年にキックスターターで資金を集めた結果、多数の声優さんを呼ぶことができて、ヤズトロモやサカムビット公、バルサス・ダイア、スロム、ドリーの魔女エヴェリナ、そしてヴォルゲラ・ダークストームといったキャラも登場するとか。
1作50分のオーディオドラマで、温故知新的に旧作を原作にした新たな物語を築いているのは、改めて面白そうと思ったり。
それにしても、ヴェイル・ムーンウイングって、ヒロイン主体の物語としてシリーズ展開するのが、今の主流なんだな、と感じたりも。
39章『火吹山の著名人』(373〜386)
この章では、スカラスティック社のFF展開として、著名作家のチャーリー・ヒグソンとリアンナ・プラチェットにFFゲームブックを書いてもらう企画の話を中心にまとめてます。
FF67巻『死の門』(2018)はチャーリー・ヒグソン著ですが、スカラスティック版では唯一未訳の作品。FFコレクション6に収録候補ですが、その内容は、「人をデーモンに変えてしまう疫病の脅威にさらされたアランシアを救うため、回復用のポーションを作る女高司祭を手伝うために、材料を求めての探索行に赴いた見習い僧侶の主人公が、やがては魔界に通じる〈死の門〉を抜けて、悪の女王ウルラカーとその軍勢に立ち向かう」という話らしい。
ところどころユーモアを交えつつも、基本はホラー調の話のようですが、悪名高き尻顔モンスターが議論を呼んだとか。
テーマとしては、コロナ禍? を連想しつつも、2018年の作品だから2年早いか。
次に2019年、FFフェスタ3に合わせて、リビングストンが68巻めの新作『アランシアの暗殺者』を発表。
そこにスロムが登場したことで、前作『危難の港』との時間軸の問題が発生しました。『危難の港』では、スロムが故人になっていて、『アランシアの暗殺者』では健在。これによって、時間軸が『盗賊都市』→『アランシアの暗殺者』→『死の罠の地下迷宮』→『危難の港』の順番かな、と考えていたのですが、
ジョナサン・グリーンの見解では、違う仮説を唱えている。
オーディオドラマで登場したスロムが、ヒロインのヴェイル・ムーンウイングにこう語っているのだ。
スロム「俺の部族では、成人した男性は皆『スロム』という名前を与えられて、冒険を通じて真の名前を見出すんだ」
つまり、スロムという名の蛮人は1人じゃなくて、いっぱいいるという話に。
このオーディオドラマの設定を採用すると、何だかトンデモないことになりそうですが、そもそもスロムの部族って、どこの地域なんだろうか、とか掘り下げると謎は深まるばかりですな。
あと、『アランシアの暗殺者』と『死の罠の地下迷宮』の話を比較すると、主人公はスロムの後に迷宮に入ったことになり、それって忍者だという可能性が出て来ます。
『死の罠の地下迷宮』では、1番めが騎士、2番めがエルフ、3番めが蛮人1号、4人めが忍者、5人めが主人公、6番めが蛮人2号になっていました。蛮人2人のどっちがスロムか、というのが問題ですが、自分の解釈は主人公の前に先行していた蛮人が死体になって見つかっているので、スロムは6番と解釈した。
だけど、公式では3番めがスロムのようですね。
この辺、細かく見ると、矛盾が発生しまくるようですし、萌えFFの『デストラップ・ダンジョン』では、主人公のフィリアちゃんが6番めに入ったと改変されていますが、それはまた、後から入ったのでなければ、他の挑戦者との出会いで矛盾が発生するので(いずれも主人公より先行しているような遭遇の仕方)、迷宮内のどこかで別ルートでも使って追い抜かれたと考えざるを得ない。
まあ、こういう矛盾へのツッコミと、整合性を考えての独自解釈ってのも、ファンのたしなみってことなんでしょうな。
ジョナサン・グリーンの解釈も、公式に近い1ファンの解釈として、受け止めておきます。
そして、2020年、リアンナ・プラチェットの『嵐のクリスタル』ですな。
ここでも、ジョナサン・グリーンが彼女へのアドバイザーとして大活躍です。
それに同年、『火吹山の魔法使い』が最初に刊行された8月27日を〈国際ゲームブックの日〉と定め、第1回の祝賀イベントとしてオンラインで(コロナ禍なので)開催する企画を立てた人物でもあるし、本書の後半部分は、著者の実体験の部分も多く(極力、客観的な視点を心がけていますが)、ところどころで一度、FFを切り捨てたパフィンブックスへの恨み節が漏れ出る辺りが面白い。
FFゲームブックを世に出したパフィンブックスの功の部分をジャクソンやリビングストンの立場で持ち上げつつ、ペンギンやパフィンの上層部がゲームの文化的価値を理解せずに、いろいろと酷い扱いをした罪の部分も余さず記載していて、なかなか痛烈だなあ、と。
何でも、スカラスティック社と契約する前に、パフィンブックスがもう一度、自分のところで出さないか、とリビングストンに打診して来て、それを断ったそうです。
理由は、スカラスティックのトップの人が、FFシリーズの大ファンで、シリーズのことをよく理解してくれていたから、信頼できる、と。
この辺、出版社との関係がいろいろだなあ、と思いつつ、
40章『火吹山のルビーの至宝』(387〜399)
そして2022年、FF誕生40周年のメモリアルイヤーの年。
リビングストンは、ナイト爵位を受けて、サー・リビングストンと称されることに。
ゲーム業界で初のナイト爵位を贈呈された人物ということで、界隈の話題を集めたのも記憶に新しい。
そして、ジャクソンの新作『サラモニスの秘密』と、リビングストンの新作『巨人の影』が、FFフェスト4の目玉の2本になって、この辺の話は、うちでもよく知る内容になっている、と。
本書のパラグラフ399番は、FFフェスト4が盛大に開催された様子を語っている。
パラグラフ400『火吹山の遺産』
最終パラグラフは、魔法使いの宝を主人公が入手して終わる。
この章では、FFゲームブックの魅力や未来について、多くの関係者が見解を述べながら、祝福の言辞を述べている様を記載して締めくくっている。
本書の出版が2023年なので、以降の歴史は現在、紡がれている最中だけど、補足しておくなら、2024年のFFフェスタ5は、リビングストンの新作『ブラッド島の地下迷宮』とともに開催された。
それ以降、スカラスティック社のFF出版は休止しているが、今年のFFフェスタ6に合わせて、新作を準備中との願望まじりの噂を聞く。ジョナサン・グリーンの新作との先行情報だけは聞いているのだけど、作品タイトルが発表されていないので何とも言えず。
もしも噂が本当であれば、2010年の『死霊術師の夜』以来、16年ぶりの新作ということになる。
とは言え、日本人にとっては、ジョナサン・グリーンはFFコレクション5の『狼男の雄叫び』で初翻訳された作家で、今回の『主人公はキミだ』がFF関連としては2作めにすぎない。1993年の『スペルブレイカー』でデビューして以来、33年間のキャリアを誇るFFベテラン作家にも関わらず、日本での知名度は低いわけだ。
この15年近くの間、ジャクソンやリビングストンを助けながら、精力的に裏方仕事をこなしていたりもするわけで。
ともあれ、こちらのサイトの現管理人がジョナサン・グリーンだと今回、知ったことで、いろいろと自分の記事書きに際しても、お世話になっていたんだなあ、と改めて、感謝を表明しつつ。
PS.で、次は日本でFFコレクション6が、どんなラインナップで展開してくれるか、だけど、4月発売のGMウォーロックで情報が出ることを期待しつつ。
(当記事 完)
*1:念のため、ソルシエは魔法使い(ソーサラー)、モンターニュは山(マウンテン)、フーは火(ファイヤー)で、つなげると「炎の山の魔法使い」となるフランス語です。





