ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「トカゲ王の島」攻略雑話(その10最終話)

強敵ブラックライオン

 

リモートNOVA『前回から、見学ついでにリバTと交代して、ディレクターをやっている俺だ』

 

リバT『原作ゲームブックをアレンジして、いろいろとネタ仕込みしたシナリオの製作者ですからね。最後はお任せしますの』

 

キャサリンカニコング)「ついに出会うことができたな、トカゲ王。この島の主は今日より、お前ではなく、我じゃ。作品タイトルも『トカゲ王の島』から『勇気爆発ブレイブ・カニ王の島』に変えてみせる!」

 

NOVA『そんなことをすれば、サー・イアンと、その作品ファン(俺含む)を敵に回すことになるので、却下だ。勇気爆発は燃えキーワードだが、やり過ぎは良くない。加減は知れ』

 

キャサリン「とにかく、右手にクロスナイフが進化したクロスソード(+2)、左手にソグの剣(+2)を装備して、合計+4。技術点15で迎え討つ」

 

NOVA『それができたら、本作の難易度もずいぶんと下がるんだけどな。「魔法の剣を二本所持しているからといって、技術点を余分にもらうことはできない」とルールに書いてあるし、「特に指示のあった場合を除いて、技術点の合計は原技術点を越えることはできない」ともある。まあ、ハウスルールとして、「マジックアイテム(せめて武具)は全て技術点プラスを、原技術点プラスとか攻撃力プラスと読み替える」というプレイスタイルもありだろうし、現にそうやって楽しんでいる層もいるらしい。まあ、うちはそうしていないけどな』

 

キャサリン「今からでも、そうしてもいいじゃろう」

 

NOVA『良くねえよ。ここまでルールどおりにプレイして来たのに、最後の最後でルールを覆すな』

 

キャサリン「クロスソードを入手したのじゃから、女神アテナの加護により、アランシアのルールが書き換わったということで、小宇宙(コスモ)を燃やして奇跡が起きた。FFゲームブックのルールが書き換わるぐらいの奇跡だって起こるのが、カニ座のファンタジーってことで、一考願いたい」

 

NOVA『一考した。その結果、ボツだ。グダグダ言ってると、ブラックライオン(技術点11、体力点11の実質ラスボス)に奇襲攻撃させるぞ』

 

キャサリン「先制攻撃はこちらの十八番なのじゃ。先制ソグビーム! 加えて運だめし。(コロコロ)危ない、ピッタリ9で成功。これで4点ダメージを与えて、相手の残り体力は7。見たか、ブラックライオンと言いつつ、表紙絵はどう見ても、ロデムっぽい黒ヒョウめ」

NOVA『まあ、ブラックジャガー、もしくは雌ライオンだよな。カバー絵はイアン・マッケイグで、本編絵はアラン・ラングフォード。本編絵の方が、まだライオンっぽいと言えるが、そっちはそっちで黒くない』

キャサリン「トカゲ王は表紙絵の方が格好良く見えるが、ブラックライオンは本編の方が獰猛そうなのじゃ」

 

NOVA『アラン・ラングフォードは、萌えガールの絵を2つも描いてくれただけで殊勲賞だよ。本作の魅力の半分は萌えガールにあると俺は思うんだが、これで彼女たちを仲間にすることができれば、評価爆上げまちがいなし。マンゴの死を中盤に置いて、萌えガールを一人でも仲間にする。それができれば、「トカゲ王の島」は完璧だと俺認定するわけだ』

 

マンゴ(アスト)「まあ、少なくとも当記事で、マンゴにスポットを当てはしたがな」

 

NOVA『あとは萌えガールの出番を増やせば、完璧だ』

 

コニカ(ダイアンナ)「まさか、ダディは……?」

 

NOVA『フフフ。萌えガールの活躍を描きたいから、さっさと黒ライオン戦を終わらせるぞ』

 

トラ少女の来援

 

 2ラウンドめ。

 NOVAのダイス目7。

 キャサリンのダイス目11。

 運だめしは7で成功。4点ダメージを与え、黒ライオンの残り体力3。

 

 3ラウンドめ。

 NOVAのダイス目2。

 キャサリンのダイス目5。

 2点ダメージを与え、黒ライオンの残り体力1。

 

 4ラウンドめ。

 NOVAのダイス目12。

 キャサリンのダイス目7。

 2点ダメージを受けて、キャサリンの残り体力17。

 

 5ラウンドめ。

 NOVAのダイス目11。

 キャサリンのダイス目11。

 引き分け。

 

 6ラウンドめ。

 NOVAのダイス目6。

 キャサリンのダイス目7。

 2点ダメージを与えて、黒ライオンを撃退。

 

キャサリン「ふう。スティラコ戦ほどの苦戦はせずに済んだのじゃ」

 

NOVA『まあ、最終回だから、勇気爆発で勢いがつけば、強敵ラスボスでさえ勢いで粉砕できるのが熱血ロボアニメのお約束だからな』

 

マンゴ「この記事は熱血ロボアニメじゃないだろうが!?」

 

NOVA『そうか? 戦隊ロボのスーパー合体(初は88年のスーパーライブロボ)や、勇者ロボのグレート合体(初は90年のエクスカイザー)には、聖闘士星矢の装着聖衣玩具のノウハウが仕込まれていると聞く。つまり、「ペガサスやドラゴンなどのオブジェが分解して、素体人形にアーマーパーツとなって装着されるシステム」が発展して、「2号ロボが分解してアーマーパーツとなって素体の1号ロボに合体強化させるシステム」だな。よって、聖闘士星矢の延長線上に、勇者ロボから勇気爆発があるという理論は成り立つわけだよ』

 

キャサリン「すると、『トカゲ王の島』も聖闘士星矢を経て、勇者ロボを超えて、勇気爆発の高みに至ったのも故あることだと?」

 

NOVA『そう、その通り。だが、勇気爆発にあって、この「トカゲ王の島」に欠けているものが一つある。それこそが最終決戦に応援に駆けつける萌えガールの存在』

 

キャサリン「聖闘乙女(セインティア)の我と、守護聖霊カニ子やコニカだけじゃ足りんのか?」

 

NOVA『それじゃあ、「地獄の館」の時と同じじゃないか。せっかく、アラン・ラングフォードが素敵な萌えイラストを描いてくれているんだ。だったら、それを活かさない手はない。苦戦する解放同盟の戦いに、彼女と相棒のサーベルタイガーが強力な助っ人として参戦してくれるんだよ』

 

 一つ目巨人サイクロプスは何とか倒した。

 尊敬する英雄マンゴから戦乙女を通じて託された愛剣を、巨体の腹から引き抜いたキウイはハアハアと荒々しく息を喘がせる。

 これで戦の風向きは変わるはず。

 そう思い、一息つこうとしたとき、愕然とする光景が目に入った。

「マジかよ」

 変異型リザードマンの群れを率いる一つ目巨人がもう一体。

「巨人が二体なんて聞いてねえ」

 思わず弱音が漏れる。

「どうやら覚悟を決める時が来たようじゃな」傍らの戦友ドワーフが話しかけてくる。

 バーノン・ブレイドスミス。

 英雄マンゴの欠けた剣刃を切れ味鋭く研いでくれた鍛治職人。

 今は体躯よりも大きな両手持ちの大鎚(ビッグハンマー)を持ち前の怪力で担ぎ上げている。

「お前は下がっていろ。奴の相手は、このわしがする。若者は無駄に命を落とすべきでない」

「冗談!」キウイは年配の戦友の言葉に苦笑を浮かべた。「あんたみたいな年寄りが戦っているのに、若い俺たちが引っ込めるかっての。覚悟ならとっくにできている。マンゴさんの剣を託された時からな。マンゴさんの名前を俺が逃げ出して、傷つけるわけにはいかないんだよ!」

「では、共に参ろう。戦乙女どのが示したヴァルハラへの道をな」

 ヴァルハラ。

 学のないキウイには初めて聞く言葉だったが、辺境の蛮族の伝説に出てくる勇敢な戦士の楽園らしい。火山島の部族の間でも伝えられていたことは、勇者ソグの兜を受け継いだ戦乙女の言葉からも明らかだ。

 古風な異国風の伝承を確信を持って語る戦乙女キャサリンの言葉は、心から信じていいのか戸惑ったものの、マンゴさんだって、クマと相撲をとったって父親の話をしてくれたし、この世には信じられない英雄の武勲詩だって数多く残っている。

 大体、トカゲの軍隊と戦っている今の自分だって、1年前には想像もついていなかった。狭い漁村の常識には、トカゲ人なんて存在は子どものおとぎ話にしか登場していなかった。遠い南の異国や東のどくろ砂漠には、トカゲ人やヘビ人なんて奇怪な爬虫人類が生息しているらしいとマンゴさんは教えてくれたが、自分には関係ない話だと思い込んでいた。

 世界は広い。

 自分の知るちっぽけな世界の外側に、さまざまな驚異はいっぱいあるのだ。

 マンゴさんみたいな冒険の旅がしたい。

 そのためにも、今の戦いを生き延びないとな。

 それとも、最後の旅の終着点はヴァルハラになるのかな。

 

 戦いながら、機械のように剣を振るいながら、キウイの心は目前の戦場から白昼夢の世界に飛び立っていた。

 戦士としては失格だけど、目前の戦いに集中しすぎると、赤くない血や、恐ろしいトカゲの顔や、死の臭いに苛まれて、心がおかしくなってしまう。

 だから、体の動きとはうらはらに、心は半分、白昼夢の世界に飛び立ち、ただ生存本能と、マンゴの剣の加護と(戦乙女の与えた祝福のおかげと信じよう)、背後を守ってくれるパパイアの槍の支援だけで何とか生き長らえた。

 

 しかし……トカゲ人の群れにバーノンが飲み込まれるのをキウイは見た。

 すぐに自分も体力が尽きて、そうなるだろう。

 キウイは急に怖くなって、瞳を閉じた。

 獰猛な獣の咆哮が聞こえてきて、ザシュッと肉片が切り裂かれる音や、怒号や悲鳴、そして甲高い女性の声が耳に響いた。

 

 女性?

 この戦場に女はいないはず。

 ただ一人を除いて。

 戦乙女キャサリン、彼女がトカゲ王を倒して戻って来たのか?

 

 おそるおそる瞳を上げたキウイは、彼女を見た。

 キャサリンの赤っぽい黒髪とは違う、金髪の女性の姿を見た。

 未開の部族風の皮衣を身につけ、獣のような素早い動きで槍を振り回す少女。

 その近くでは、獰猛な野獣、剣歯虎がトカゲ人の集団を次々と屠っている。

「誰だ?」呆けたかのように、または惚けたかのようにつぶやく。

 戦う少女の姿は鮮烈だった。

 そして、男としてキウイの闘志を掻き立てた。

 彼女を守りたい。

 

 そう思うと、彼女の背後から襲い掛かろうとするゴブリンの姿が目についた。

 こいつらは弱いくせに、いや、弱いからこそ、こそこそ奇襲を仕掛けて来て、名だたる英雄の死の原因になったりする。

 守らなきゃ。

 パパイアが自分の背中を守ったような気持ちが、よく分かった。

 弱い自分にだって、強い相手の背中を守ることぐらいはできる。

 そう思いを乗せて、マンゴの剣をゴブリンに突き刺す。

 

 振り向いた彼女がにっこり微笑んだ。

「ソグの仲間、トカゲと戦う。トリニー、助ける」

 カタコトの会話だったけど、想いは伝わった。

 トラといっしょの少女は、トリニーって名前か。

 戦場に駆け込んで来た、もう一人の美しい戦乙女の姿に、キウイは心底、惚れ込んだ。

 

NOVA『ということで、キウイたちの戦いに、萌えガール2号のトリニーが参戦してくれる妄想をストーリーにしてみた。トリニーの名前の元ネタは、パワーレンジャーだな。サーベルタイガーの戦士ってことで』

 

マンゴ「原作では、仲間になってくれなかった彼女が、実は密かに解放同盟を支援するために戦ってくれていたって話か。なかなか萌えるじゃないか」

 

NOVA『そう、主人公を助けてくれるわけではないけど、主人公の仲間たちを助けてくれる形なら、ゲームブックの本筋を乱すことなく、登場させられるってことだな』

 

キャサリン「まさかのキウイが主人公的な視点キャラになるとは」

 

NOVA『そりゃ、マンゴの剣を引き継いだ戦士キャラだからな。キウイのその後の冒険譚を描きたいって気持ちも生じたが、もしも「トカゲ王の島」の続編があれば、キウイを主人公にしてもいいかも。まあ、さすがに「トカゲ王ふたたび」なんて作品は出ないと思うが』

 

コニカ『ふたたびを妄想する前に、目前のトカゲ王を先に倒さないと』

 

トカゲ王との決着

 

NOVA『では、続きだ。ペットの黒ライオンが思いがけず倒され、眼下の戦場も少女とサーベルタイガーの乱入で優勢が覆されるのを見取り、王は怒りを露わにして、キャサリンを睨みつける。「キサマ、キサマガワルイノカ? ワガスウコウナル、ハドウヲサマタゲル、イカイノモノヨ!」と辿々しい人の言葉で語りかける』

 

キャサリン「見解の相違じゃな。我の目には、悪いのが貴様で、崇高どころか忌むべき覇道としか思えん。貴様の言葉で正しいのは、それを妨げる我が異界から来た者だということだけじゃ。そして、それは貴様もそうじゃろう、トカゲ王を支配するGよ」

 

トカゲ王G『ホウ、Gノ正体マデ見通シテイルトハ、サスガ異界ノ戦乙女ヨ。ナラバ、我ト協力シテ、コノあらんしあノ世界ヲ支配シナイカ?』

 

キャサリン「世界を支配だと? これはまた大きなことを言う。しかし、たかだか寄生虫の貴様にそのようなことができるとは思えん。せいぜい、小さな島一つを支配するのが関の山じゃろう。そして、その覇道もまもなく終わる」

 

トカゲ王G『寄生虫呼バワリカ。余トシテハ、支配力ヲ求メタとかげ王ト共生シ、力ヲ与エタツモリナノダガ。ソシテ、ソウ、今ノ余デハマダマダ力不足。余ノ生体細胞ヲ組ミ込ンダりざーどまんヲ操ルコトシカデキン。シカシ、実験ガ成功シタ暁ニハ、りざーどまんノミナラズ、どわーふヤえるふ、人間トイッタ他ノ種族ニモG細胞ヲ植エ付ケ、全テノ変異種族ト共生強化シテ、壮大ナG帝国ヲ築キ上ゲルコトモ可能トナロウ。ソナタノ女神トヤラモ、愛ト正義ト平和ヲ重ンジルト聞イタ。余ガ実現シテヤロウ。全テノ知的生物ガ余ト共生スル道ヲ選ベバ、ソレコソ愛ト正義ト平和ノ理想郷ダ。トモニ愛ト正義ト平和ノG帝国ヲ築キ上ゲヨウデハナイカ

 

マンゴ「全てがG(ゴンチョン)に支配される世界か。思ったよりも、おぞましいことを考えるな。こんなのが世界に広がる前に、倒してしまわないといけないようだ」

 

キャサリン「一つ質問する。貴様の考える愛とは何だ?」

 

トカゲ王G『モチロン、王ニ向ケラレル崇拝ト献身ノ感情ダ。全テノ民ガ、王、イヤ帝国建設ノ暁ニハ皇帝ニ愛ヲ捧ゲ、皇帝ハ帝国ニ愛ヲ捧ゲテ、ソノ繁栄ノタメニ献身スル。至高ノ帝国、ソレコソ愛ト正義ト平和ノ実現ニ欠カセヌ道ナノダ』

 

コニカ『この虫は、愛というものを根本的に履き違えているようだね』

 

トカゲ王G『さるゴトキ、獣ニ愛ノ何ガ分カロウカ? (内心:エ? さる? ひえぇぇ、ワシハさるダケハ、ニガテナンダアッ! さるコワイ、さるコワイ、さるコワイ、がくがくぶるぶる……)』

 

キャサリン「ん? どうした、トカゲ王? 何やら震えておるようじゃが?」

 

トカゲ王G『気ニスルナ。ソレヨリ、地上ノ愛ト正義ト平和ノ実現ノタメニ、余ニソノ身ヲ捧ゲヌカ? 悪イヨウニハセヌゾ』

 

キャサリンだが断るコニカの言葉どおり、貴様は愛を履き違えておる。愛とは、好き嫌いの感情や内面から噴き出す信念に基づくものであり、他者から決して強要されるべきものではないのじゃ。愛とは想いゆえに、不確かに迷い、惑い、葛藤し、それでも強く湧き上がる気持ち。それだからこそ、迷いの果てに磨き上げられた真の愛は尊い。貴様の理想とする帝国に迷いはあるか?」

 

トカゲ王G『迷イナド、完璧ナ余ノ帝国ニ存在シナイ(内心:さるコワイ、さるコワイ、さるコワイ……)』

 

マンゴ「どうやら、心の声がダダ漏れているよなあ。ゴンチョンは、サルを恐れるトカゲ王の体を完全に制御できていないようだ」

 

キャサリン『貴様はサルが怖いし、嫌いだ。それでもサルを慈しみ、その命を大切に思えるなら、その慈愛は本物だと評価しよう。嫌いなものにも優しく振る舞える情け深さも、愛と呼べるからな。しかし、貴様の理想帝国はそうであるまい。嫌いなもの、自らに逆らうものには慈悲を与えず、滅ぼして良しとする。その残虐さに愛を語る資格はない。もちろん、嫌いなものはスルーして、推しへの偏愛に邁進するのも一つの道ではあるがな。我が触手を愛でるように』

 

トカゲ王G『触手? 触手サエアレバイイノカ?』

 

NOVA『トカゲ王の背中から、うにょうにょと触手が生えてくる。その様や、まるで物体Xの如し。しかし、背中から触手を生やしながら、トカゲ王はぐわーッと悲鳴を上げている。さすがにゴンチョンとの共生は受け入れたが、背中から触手を生やすまでに変異するのは想定外ってことで、契約関係が断ち切れているみたいだ』

 

マンゴ「よし、哲学戦闘はいい加減、これで終了だ。今がチャンス。クロスソードを高く掲げるんだ、キャシー!」

 

キャサリン「おお、サルカニ王者融合合体! 最強聖衣装着カニキングコング!」

 

 解説しよう。

 クロスソードとは、最強ロボ ダイオージャを構成する3体のロボット、エースレッダーとアオイダーとコバルターを召喚するコールサインである。

 そして、ミト王子の乗ったエースレッダーと、スケさんの乗ったアオイダーと、カクさんの乗ったコバルターの3体が、クロストライアングルの掛け声で合体して、胸に三つ葉葵を模した紋様を宿したロボこそ、最強ロボと名高いダイオージャなのである。

 

 クロスナイフが進化して、クロスソードとなったとき、作者NOVAがダイオージャを連想してパロディネタに活用したくなったのは言うまでもない。

 しかし、それがカニコングというキャラと融合して、まことにカオスな文面になってしまったことは想定外だったと言えよう。

 まあ、ブレイバーンの最終回を見た後では、これでも足りないと思ってる自分がいるのもまた事実。

 とにかく、今は落ち着け、作者NOVA。

 

NOVA『ええと、胸にコニカのサル顔を付けたカニ座の黄金聖衣をまとった最強勇者聖闘乙女のキャサリン・ソグがここに爆誕したんだが、マンゴ要素はどこに付けたらいい?』

 

マンゴ「ヘッ? カニ+コングで、これ以上マンゴを乗せる必要はないだろう?」

 

キャサリン「いや、キング成分は、我ではなくて、マンゴのプレイヤーのキングアストにあるんだから、カニキングコングを起動させるためには、お主が心を合わせる必要があるのじゃ」

 

マンゴ「起動って何だよ? ええと、じゃあ、マンゴ成分は、クロスソードの【炎の剣】とソグの剣が合体して、長身の三叉槍クロストライデントになるってことで、海の男として銛を構えたマンゴの映像が背中に浮かび上がる」

 

コニカ『だったら、そのマンゴの肩に小ザルが飛び乗ったイメージ映像で……』

 

キャサリン「その傍らに巨大なカニのイメージ映像が……」

 

NOVA『あまりのカオスぶりに、戦意喪失したトカゲ王Gは技術点6、体力点15に弱体化した』

 

 こうなったラスボス・トカゲ王にまったく勝ち目はない。

 出目で事故ることもなく(いや、このカオスな文章そのものが事故のような気もするが)、きっちり8ラウンドでストレート負けしたのでござる。

 なお、トカゲ王退治の切り札は、サルと【炎の剣】であるが、両方持っていた場合は以上の展開になる。当然ながら、カニキングコングゲームブック原作には登場しない(念のため)。

 他のパターンは以下のとおり。

 

1.サルも【炎の剣】も持っていない。

 ゴンチョンの力で無敵モードのトカゲ王の強さには対抗できず、パラグラフ346番で問答無用のバッドエンド。

 

2.サルはいないが、【炎の剣】は持っている。

 トカゲ王本来の実力(技術点12、体力点15)と戦うことになる。『死の罠』の地底怪獣(ピットフィーンド)と同じ能力で、ダイス運が良くなければ、勝つのは難しい。

 

3.サルはいるが、【炎の剣】は持っていない。

 運だめしを行う。

 失敗すれば、ゴンチョンがサルを恐れるトカゲ王に攻撃を強要させ、怯えたサルが逃げてしまう。その結果、バッドエンドのパラグラフ346へ。

 成功すれば、トカゲ王が恐怖のあまり、自分の持っている【炎の剣】を手から落としてしまい、主人公がそれを拾い上げて、トカゲ王にダメージを与えられるようになる。

 武器を落としたトカゲ王は、技術点10、体力点15の能力で戦うことになる。

 

NOVA『では、覚醒した聖闘乙女と、カニキングコング座の黄金を超えた白金聖衣(プラチナクロス)の力でトカゲ王Gを倒したキャサリンだが……』

 

マンゴ「カニキングコング座って何だよ? それに白金聖衣(プラチナクロス)って?」

 

NOVA『カニ座とキングコング座がガッチャして、錬金術で誕生したのがカニキングコング座のプラチナクロスだ。カニ座は言わずと知れた黄金聖衣だが、キングコング座は白銀聖衣で……と思って、本当にキングコング座は存在するのかな、と思ったが、ダメだった。キングどころか、コング座も、さる座も、ゴリラ座も存在しない。ゴジラ座はあるのによ』

 

コニカ『あるのか? ゴジラ座って』

 

NOVA『さすがに、アカデミー賞主演怪獣は違うなあ。星座にまで公式認定されているなんて。これでゴジラ座の聖闘士だって作れるわけだよ』

キャサリン「でも、コング座はないでごわすな」

 

NOVA『きっと、アランシアの一部の地域には、オオザル座とコザル座があるんだよ。公式の証拠はないが、我々の世界のカニ座と、タイタン世界のオオザル座が世界を超えて融合合体して、今回だけの白金聖衣が誕生したと思えば、特別味があって良くないか?』

 

マンゴ「ここだけの二次創作設定ってことだな。まあ、アランシアに聖闘士とか女神アテナが迷い込むことを考えれば、星座の一つぐらい増えても、世界が崩壊したりはしないだろう」

 

NOVA『それで、トカゲ王の体力点を0にしたキャサリンだが、最後の選択肢は、振り返って仲間と勝利を喜び合うか、ゴンチョンにとどめを刺すか、トカゲ王の衣服を探るかだが……』

 

キャサリン「もちろん、ゴンチョンにとどめを刺すのじゃ。ここまで来て、油断してゴンチョンに体を乗っ取られるような選択肢は選べまい」

 

NOVA『すると、パラグラフ400番でハッピーエンドだな。原作ゲームブックでは、ゴンチョンの汚らわしい死体を投げ捨てて、仲間と勝利を祝う。解放同盟の仲間はそれぞれの故郷に帰り、島の奴隷鉱山は閉鎖され、主人公はマンゴのことを思い出し、勝利の報告に喜ぶマンゴの姿を想像して、あっさり終了となるわけだが、まあオリジナルキャラも含めたその後を補完して、本記事を締めくくろう』

 

お別れと、キャサリンの新たな旅立ち

 

 目覚めたとき、傍らに虎がいた。

「どわ〜〜ッ」

 年甲斐もなく、我を忘れた叫び声を上げる。

「ここは……ヴァルハラとやらか?」

 だったら、戦女神さまがいるはず。

 キョロキョロと辺りを見回すと、いた!

 野生味溢れる金髪の人の少女。

 イメージが違う。

 もっとふくよかで逞しいドワーフのおっかさんを想像していた。

「ああ……」

 何て声をかけようかと言いよどんだとき、

「目覚めたのか、おやっさん!」

 人間にしては逞しいが、髭も生えておらん童顔の小僧が飛びついてきた。

「おい、放せ。キウイ。わしは女神さまに挨拶したいのだ……と言うか、お前もヴァルハラに来たのか。勇敢に戦って死んだのだな。それは結構。だが、今はどいてくれ。暑苦しい」

 キウイは離れてくれた。ふう。

 しかし、心配そうな目で見下ろしてくる。

 上から目線。人間のこういうところは好きになれん。

 まあ、エルフに比べれば、よっぽどマシなんだが。

「バーノンのおやっさん、大丈夫か? 激しく頭をぶつけたみたいだが、目は見えているよな。女神なんていないし、ここはヴァルハラでもない。おやっさんは死にかけたけど、呪術師さんの薬で回復した」

 何だ、ヴァルハラじゃないのか。

 ならば、この世でまだ鍛える刀があるってことだな。

 

 女神さまと誤解したのは、トリニーという名の野生児の娘だった。

 どういう経緯でこの火山島に来たのかは知らんが、恐ろしい猛獣、剣歯虎と心を通わせることができるらしい。

 トカゲ軍の主力との決戦で、わしらが窮地に陥ったときに出現し、キウイたちを救ってくれたそうな。

 カタコトでしか話せんが、トカゲ軍と戦っているわしらの姿を見て、味方だと確信したらしい。彼女と完全に意思を通じ合わせられるのは、島の胡散臭い呪術師のみ。

 フェルナンドの奴は、喜んで呪術師の弟子になると宣言し、他のエルフどもも自然の多いこの島に留まることを決めたようだ。

 エルフの考えることはよく分からん。

 わしはさっさと故郷のストーンブリッジに帰って、ジリブラン王に報告しに行きたいが、戦死者の葬儀ぐらいは手伝ってやらないといかんしな。

 幸い、キウイに、パパイア、それに図体のバカでかいブキャランは生き残った。巨漢のブキャランが仁王立ちになって、敵軍の攻撃を受け止めていたから、フェルナンドも、パパイアも命拾いしたらしい。ブキャランも重傷を負ったが、持ち前のタフさで一命を取り留めたそうだ。

 死んだのはモブキー、その他、14人。

 あれだけの激戦で犠牲者が4分の1程度で済んだのは、戦乙女の加護と、トカゲ王を速やかに仕留めてくれたおかげだろう。

 彼女を見込んだわしの目は間違っていなかったということだな。

 

 キウイはトリニーにしきりに話しかけて、ウザがられておる。

 しかし、虎の威嚇の吠え声にもめげずに、露骨に好意を示すのだから、相当に惚れ込んでいるのだろう。

 一方のパパイアは、戦乙女どのにご執心のようじゃ。いや、もしかするとペットのサルの方にかもしれん。

 エルフたちが森で集めてきた食材を利用して、厨房で食事の準備をしたり、島を出るための舟の製作などの指揮をとったり、リーダーシップを積極的にとっている。戦場では支援役でしかなかったが、平時でこそ輝く男もいるのだろう。

 

 そして、我らがリーダー、邪悪なトカゲ王を見事に仕留めた戦乙女のキャサリン殿は……その表情に憂いを浮かべていた。

 モブキーを始め、この戦いで命を落とした者たちの弔いの儀式を、呪術師どのに協力してもらって、執り行いたいと言っていた。

 確かに勝ったとはいえ、散っていった者がいる以上、ニコニコ無邪気に振る舞ってばかりもいられないのだろう。

 弔いの儀式を終えた後で、わしらはそれぞれの道に就く。フェルナンドやエルフは島に残り、わしらドワーフや人はアランシアの本土に戻る。

 まずは、〈オイスター湾〉の漁村に帰り、そこからは白水川を上り、サラモニス方面に向かうか、途中で陸路を北上してシルバートンを目指すか。いずれにせよ、十分な食料を補充しないといけないだろう。

 また、一部のならず者(密林で隠れ生きていたマリポーサという胡散臭い爺い)なんかは、ブラックサンドに向かうらしい。

 道行きは人それぞれだが、わしらは自由な旅立ちを期待していた。

 戦乙女どのはどこに向かうつもりか。

 そう尋ねると、「分からない。ここではない、どこかだと思うのじゃが……」と曖昧な返事。

「もしや、ヴァルハラへ帰るとは言わんよな」冗談めかして言ったが、「そうかもしれぬ。黄泉比良坂ではないと思うが、先のことは見えぬ。ただ、今はマンゴの霊を送ってやらねばな」

 マンゴという名前を出した時だけは、彼女ははにかみながら、涙を浮かべたような瞳で明るく笑って見せた。

 人の娘の複雑な表情の意味は、わしらにはよく分からん。

 

 マンゴというのは、キウイやパパイアが尊敬する村の英雄で、戦乙女どのがこの旅を始めるきっかけとなった人物らしい。

 優れた剣士であり、船乗りであり、陽気な男だったらしいが、戦乙女どのに後を託して、命を落としたと聞く。

 戦乙女どのにとって非常に大切な男だったのだろう。

 愛していたのか? と確認するほど不調法なマネをするつもりもないが、一人きりで小ザルと戯れながら、手にしたナイフに向かって何やら話している姿を見ると、気にはなった。

 マンゴの剣は、キウイが引き継いで、わしが研いでやったが、特に代わり映えのしない普通の剣だった。しかし、愛着を持って使い続けた剣は、いずれ魂や魔力を宿すという伝承も聞いたことがある。ただ、刀鍛治の経験から言わせてもらうと、その話は眉唾だ。使い続けたから魔力を宿すのではなく、使い続ける途中で何か強力な魔力(竜など幻獣の血とか、稀少な宝石とか)にさらされて、それらが複合することで魔力を備えるのだろう。

 キャサリンどののナイフは、霊力を宿した貴重品らしい。しかし、トカゲ王との決戦に際して、その力はふたたび枯渇しかけているらしい。「マンゴの魂がどうのこうの……」と言っていたから、元はと言えば、マンゴどのの所持品だったのかもしれん。

 生前のマンゴどのに一目、お会いできれば、と思ったが、せいぜい弔いの儀式で見送ることにしよう。

 トカゲ軍に鉱山奴隷として捕まり、自由を奪われたわしらが、戦乙女どのに救われ、解放戦争に生き残ったのも、全てはマンゴどののおかげ。そういう感謝の念を魂霊(スピリット)に捧げたいと思う。

 

NOVA『こうして、バーノンおじさんを初めとする生き残った面々は、マンゴその他の霊を見送る葬儀に参加し、それぞれの道へと旅立って行った、とさ』

 

マンゴ(アスト)「葬式の場面は書かないんだな」

 

NOVA『バーノンのおやっさんの述懐だけで長くなったし、葬式の場面って辛気臭くなるだけだからな。ドワーフの刀鍛冶の視点で、いろいろ後日譚を書くのは新鮮だったけど、葬式の場面なら、やはりキャサリンの視点じゃないとって思い直した』

 

キャサリン「マンゴは、トカゲ王との戦いの後で、すぐに消失したわけではないのじゃな」

 

NOVA『数日間は、起きたり眠ったりの状態で、呪術師さんの儀式で冥府送りの葬儀を行う流れになる。そして、葬儀の最中に異界の門が開いて、マンゴは無事に冥府へ、一方のキャサリンコニカと共に、新たな世界へ召喚されるんだ』

 

キャサリン「新たな世界とは?」

 

NOVA『これがいいかな、と』

 

死神の首飾り‾ファイティング・ファンタジー (11)

NOVA『アランシアとはまた別の異世界オーブへ召喚されるところから、次の冒険が始まるということで』

 

キャサリン「オーブとはどういう世界じゃ?」

 

NOVA『「タイガー暗殺拳」の世界……と言っても、もはや、そのゲームブックそのものがマイナーだよな。持っていたけど、売ってしまったので手元にはない。むしろ、この作者コンビが書いたもう一つのFF作品が「サムライの剣」だ』

サムライの剣‾ファイティング・ファンタジー (20)

 

マンゴ→アスト「東洋風の世界ってことでいいかな」

 

NOVA『アランシアに比べて、信仰色が前面に出ている感じだな、オーブは。ともあれ、キャサリンの次の冒険の舞台は、また異世界ってことで』

 

キャサリン「『トカゲ王の島』の物語は、これで終わり、ということじゃな」

 

NOVA『後日譚として、パパイアは〈オイスター湾〉に戻って、そのリーダーシップでいつか村長になるのだと思う。キウイの方は、島のトラ少女トリニーに恋する戦士だけど、彼女は島に残る。キウイは一度、〈オイスター湾〉に帰り、そこからトリニーにまた会うために、火山島へ行ったり、弱いから相手にされないと思い込んで、マンゴの剣を頼りに冒険の旅に出て、力を付けたらトリニーに求婚しようと遠回りする形』

 

ダイアンナ「それでトリニーはどういう生活なんだい?」

 

NOVA『呪術師の弟子になったフェルナンドから、言葉を学んだりして、少しずつ人の世界に馴染んで行くのかも知れないし、野生児のままかもしれない。ボツアイデアとしては、トラに変身するワータイガーの能力を備えてもいいかな、と思ったけど、あまりモンスター的にするのもどうかと考えて、その辺は保留だ。バーノンさんはストーンブリッジに帰って、相変わらず鍛治仕事を続けているってことにしてもいいかな。あと、ブキャランは〈オイスター湾〉で力仕事に従事して、パパイアを手伝うってことで』

 

キャサリン「それぞれの物語と生活があるのじゃな。では、我はマンゴの霊と、それから島で出会った仲間たちと別れ、笑顔で新たな世界に旅立つのじゃ。涙は流さない」

 

NOVA『了解。キャサリンが異界の門に引き込まれた瞬間、彼女の残した涙のように、激しい雨が降る。それから10分ほどで雨はやみ、空に虹が出現した。それは戦乙女が取り戻した平和の象徴のように受け止められ、戦士ソグの伝説とともに〈虹の戦乙女〉の物語として、アランシアの一部で語り伝えられることになる、と』

 

キャサリンカニコング「きれいにまとまったでごわすな」

 

NOVA『次回は、例によって難易度とか考えるEX記事だが、後のことはリバTに任せた』

 

リバT『分かりました。おつかれさまでした』

(当記事 完)