オープニングフェイズ
GM(NOVA)「では、ここからオープニングフェイズです」
ユイ(翔花)「オープニングフェイズって?」
GM「アルシャードなどのFEAR製のTRPGでは、シーン制と言って、プレイの段取りが割ときちんとルール構築されている。オープニングでは、各人のキャラクターが今回の事件に関わるきっかけが描かれている。キャラの日常から事件に突入する入り口だな。次にミドルフェイズで、事件の調査やトラブル解決が描かれ、クライマックスフェイズでボスキャラとの対決などだ。そして、エンディングフェイズでキャラが日常に帰還する流れだな。もちろん、場合によっては命を落とすとか、闇堕ちなどで日常に帰還できないケースも考えられるが」
アキラ(晶華)「闇堕ちなんてあるの?」
GM「ダブルクロスとか、一部の作品にはな。アルシャードの場合は、ルール上の闇堕ちはないが、シナリオ展開によってはPCの奈落堕ちとかも絶対ないとは言いきれない。まあ、その場合は、NPC化するんだろうけどな」
ディオーネ(ダイアンナ)「闇堕ちかあ。ゾクゾクするねえ」
GM「念のため、アルシャードは闇堕ちを推奨するゲームじゃないからな。PCはあくまでクエスター、神の加護に選ばれた正義のヒーローだから、無闇に邪悪プレイに走らないように」
ニック(ヒノキ)「そのために、シナリオハンドアウトが用意されておるのじゃろう?」
GM「まあ、アルシャードのプレイにおいては、GMが用意したシナリオハンドアウトに基づいて、キャラを作成したり、調整したりするんですけどね。今回はシナリオクラフトを使うので、ハンドアウトは用意していません。その辺は、GMのアドリブもしくはプレイヤーの意見を採用する形で臨機応変に進めます」
ニック「友人や顔見知り同士のカジュアルプレイなら、気心も知れておるじゃろうし、アドリブでも何とかなるじゃろうな。ハンドアウトは特になし、と」
GM「それでも、オープニングで状況解説ぐらいはするんですけどね。まずは、翔花の飛彩ユイからだ。君はアイギスに所属するルーンナイトとして、奈落に狙われやすいと想定されている神名アキラの護衛のために、普段は高校1年生をやっているわけだが……」
ユイ「勉強難しい。アキラちゃん、教えて〜」
アキラ「ユイちゃんはバカなの?」
ユイ「理知が9しかないし」
アキラ「私は15だから、確かにユイちゃんよりは賢いみたいね」
ディオーネ「あたしも15だ。魔法使いにとっては、理知が重要だからな」
ニック「わらわ……いや、ワタシは11です。確かに、マスター・ユイには勉強が必要なようですね」
ユイ「大丈夫、体育は得意だから。体力14、反射15だから、頭は多少良くなくても生きていける」
GM「アルシャードで一番バカを作りたければ、ファイターレベル3のシングルクラスでキャラ作成すると、理知6になるな。まあ、能力値の基準はD&Dと同じで10が平均並みだけど、9〜11はボーナスが同じなので大差ない。8以下だとバカを名乗れるが、9は平均よりやや低いけど、バカってほどじゃない。平均60点ぐらいのテストなら、半分の50点前後といったところかな。落第点ではないけど、それ以上、点数を下げないように頑張れと普段から言われるタイプ。もう少しで平均なのに〜と、教師からは微妙に心配される学力だな」
ユイ「とにかく、奈落と戦うよりも、テストで点をとる方が難しいと思ってたりします。アキラちゃんに教えてもらわないと生きていけない〜」
アキラ「そこまで? じゃあ、私はユイちゃんの命の恩人ってことで」
ユイ「うう、シャードによる交信で、テスト中にアキラちゃんから答えを教えてもらうってわけにはいかないの?」
ユイ「こうなったら、レジェンドの特技《運命の予感》を使います。GMに3回まで質問できる。このテストの答えを教えて〜」
GM「まあ、そんなテストに苦戦しながら、何とか赤点はとらずに補習も免れたことにしておこう。テストに苦戦する脳筋学生ってのは、学園ものの日常風景の基本だな。では、ユイの日常描写はそれぐらいにして、アイギスの志緒理お嬢さまからの指令が届くんだけど、場所はどこがいい? 学校か、それとも自宅か」
ユイ「ええと、秘密の指令だったら、学校じゃない方がいいのよね。台所付きの隠れ家で、夕食を食べてからアイギス本部に定期通信を送ってるときに、指令を受け取るって感じかな。帰って来たテストの結果を見て、とりあえず落第は免れましたって報告も兼ねて」
GM「では、志緒理お嬢さまがそれを聞いて、安心する。なお、お嬢さまは黒髪ロングの16歳美少女だ。ガイアでも16歳だけど、セイヴァーでも16歳。年をとらないのか、ルールが変わって世界が更新されたからなのか詳細はともかく、本リプレイでも初期設定の16歳として扱う」
ユイ「同年齢ってことね」
GM「向こうの方が威厳に満ちているけどな。志緒理お嬢さま曰く、『もしもテストで不合格で落第したら、アキラさんと学年が違ってくるので、護衛任務から外れてもらうところでした。どうやら、護衛任務は継続できそうですね』とニッコリ柔和な笑みを浮かべる」
ユイ「え? もしかして、テストで不合格だと、任務失敗ってこと? そこはアイギスの権力で、不合格を取り消しとかはできないのですか?」
志緒理『アイギスが誇る優秀なルーンナイトのあなたが、よもや高校1年生程度の問題で落第するとは思えないんですけど?』
ユイ「そう言うお嬢さまも、私と同じ年だったはず」
志緒理『ええ。世間一般で言うところの高1レベルの学習内容は、3年前に履修済みです。財団のトップとして帝王学を修める身では当然のことですわ』
ユイ「うわ、そういう人なのね」
志緒理『そういうことですから、高1レベルのテストで不合格になるようでしたら、あなたはこの護衛任務に相応しい人材ではなかったということで、もっと優秀なエージェントを派遣しようと思っています。もっとも、神の恩恵である超絶美形を誇り、生ける伝説とまで称された才女の飛彩ユイさんともあろう人が、これぐらいの試練を乗り越えられないはずがないと信じていますがね。でしょ?』
ユイ「は、はい。大丈夫です(汗)。どんなに手強い試練でも、友情と努力で勝利を収める。それこそがヒーローの道です!」
志緒理『そう言うと思いました。ところで、日常の仕事はともかく、非日常の事件が舞い込みましたので、その解決も要請したいと思います』
ユイ「一難去って、また一難ですか」
志緒理『ええ。あなたたちの暮らす街に、コードネーム:ビーストと呼ばれる化け物が潜伏しているという情報が、フューネラルコンダクター社から知らされまして、詳しい話は直接そちらのエージェントから確認して下さい』
ユイ「お嬢さまは詳しく知らないってこと?」
GM「彼女は、FC社から飛彩ユイの協力を要請されただけみたいですね。ただ、ビーストを放置すると、街が厄介なことになるそうです。……と言うことで、ユイさんにはシナリオクエスト『ビースト事件を解決する』を差し上げます」
ユイ「この学園と街の平和は私が守る。ヒーローの出番です!」
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