ダンジョン突入前の異種族談義
リバT『前回は、テラク神の聖地である廃都カーネクに至って、事前準備と重要人物ラスカルのキャラ紹介も含めた仕込み回。そのついでに、FFのタイタン世界におけるトカゲ人と蛇人の設定解説も行いました』
アスト「ファンタジー世界において、異種族はいろいろいるけれど、爬虫類種族(レプティリアン)は独自のキャラ付けが為されているよな。クラシックD&Dでは、モンスター種族のリザードマンが中立のヒューマノイドで、敵対するとは限らないけど、ドラゴンランスのドラコニアンは邪竜勢力の敵キャラになった一方、現在のD&D(5版から5.5版)では、ドラゴンボーンという竜人種族がプレイヤーキャラクターとして普通に使うことができる」
リバT『D&Dのドラゴンボーンは、3.5版のサプリメントに登場したのが初ですが、版ごとに設定が変わってくるんですね。最初は人間などの別種族が、ドラゴンの友として認められた後に、転生の儀を経て竜族の恩恵を受けた後天的な種族でしたが、4版、および5版で先天的な種族に格上げ。ドラゴンの成り損ない(卵から孵化するときに竜神の祝福を受けられなかった)とか、ドラゴンの従者として創造されたのが独自の文明を持つに至ったとか、様々な追加設定が為されているようですね』
アスト「D&Dでドラコニアンを採用する前には、『ルーンクエスト』でドラゴニュートを採用したのが、ファンタジーRPG初の竜人種族らしいな」
ダイアンナ「21世紀に入ってからは、割と定番種族で、ソード・ワールドでも2版からリルドラケンが採用されたし、ゴブリンスレイヤーでも蜥蜴僧侶という仲間キャラがいる。21世紀の価値観では、トカゲ人や竜人も独自の文化や名誉的な価値観を持つ種族として受け入れられているけど、80年代ではまだ敵対種族の印象が強かったようだね」
リバT『西洋ファンタジーでは、長らくドラゴンは邪悪なモンスターとして扱われて来たので、竜人などの爬虫人類も邪悪属性。日本でも、ドラクエの初期は竜がラスボスだったりしましたが、90年のドラクエ4から、竜の神さまというマスタードラゴンが登場したり、勇者のルーツに竜の血筋が絡んできたり、善竜が登場するファンタジーを提示。一方、海外で竜が善玉として描かれたメジャー作品は何になりますかね?』
アスト「84年の『ネバーエンディングストーリー』では、ドラゴンのファルコンが主人公の駆る善竜として登場するが、デザインが爬虫類ではなくて、モフモフの獣だからな。この時点では、洋物ファンタジーも爬虫類への嫌悪感を克服できていなかったのだろう」
リバT『西洋文化で爬虫類や恐竜が恐ろしいモンスターから味方に転じるのは、もしかするとパワーレンジャーやゴジラの影響かもしれませんね。もちろん、D&Dでは初期から善竜(金属竜の系譜)が設定されていましたが、80年代半ばのドラゴンランスで善竜をメジャーなものとしつつも、そこから一般化するのは90年代になるのでしょうか』
アスト「メジャーRPGのウィザードリィでは、90年に登場した6で、リザードマンや竜人ドラコンがプレイヤーの選べる種族として登場している。同作では他に、犬人間のラウルフや猫人間のフェルプールが登場していて、ケモナー属性も充実している。獣人系列がプレイヤーキャラとしてメジャーデビューしたのは、その辺りからじゃないかな」
ダイアンナ「フワフワモコモコの毛のある哺乳類の獣人種族と、爬虫類系は別物と考えるべきという主張もあるが、それはともかくモンスター娘の系譜では、蛇女というのは重要なモチーフとしてラミアやメデューサという萌え路線がある」
リバT『モンスターの擬人化はまた別の文脈が混ざっているとは思うのですが、総じて80年代は爬虫類が敵というのは一般的で、FFゲームブックの邪悪な種族であるトカゲ人も当時の価値観では常識だったのが、90年代以降の爬虫類種族の受容の流れがあって、21世紀のファンタジー界隈では、トカゲ人や竜人が即座に悪役と断ぜられることはなくなった、と』
アスト「トカゲや竜が擬人化されると、屈強な武人という属性が付与されやすいな。その典型が、ダイ大のクロコダインやバランなどになるんだろうが」
リバT『ともあれ、トカゲ帝国との和解と共存の道を探るというのは、21世紀におけるストーリーイメージであり、80年代ゲームであるFFシリーズ(原本では40巻までが80年代の出版。41巻が90年の登場になる)では、トカゲ帝国は不倶戴天の敵なので、世界観的にも和解はあり得ないという前提で考えていきましょう』
カニコング「爬虫人類と戦ったゲッターロボシリーズは、70年代でも90年代でも恐竜帝国は敵で、主人公の1人が恐竜人とのハーフで和解の道を探ったゲッターロボアークは、21世紀の作品でごわす。この点を見ても、時代ごとの価値観の違いは明確なので、昔の作品を今の視点で道徳的に断罪することは文化史的に危険と考えられよう。その意味では、触手が万人に受け入れられる時代が到来する未来だって普通に考えられるわけで……」
リバT『爬虫類と触手を無理に結びつけないでください。鱗肌嗜好と、触手嗜好はまた別ジャンルってことで』
アスト「爬虫類と触手はつながらないよなあ。かろうじて蛇が群れとなったら、似たイメージになるだけで。どちらかと言えば、触手って無脊椎動物の軟体系か虫系になるか。まあ、カエルやカメレオンの長く伸ばした舌という方向もあるが」
ダイアンナ「どうでもいい話に広がりつつあるので、さっさとダンジョンに入らないか? 異種族談義はこれぐらいにして」
カニコング「それでは、ここからテラク神の天の声として、吾輩がダンジョンマスターという形で王子たちを導くでごわす」
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