ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「トカゲ王の島」攻略雑話(その2)

ジャングル探索はじめ

 

リバT『前回、トカゲ王が支配する火山島に上陸した異世界人、カニ座の聖闘少女(セインティア)キャサリンさんですが、このアランシア世界の唯一の友マンゴさんを大ガニとの戦いで失ってしまいました』

 

キャサリンカニコング)「おお、マンゴ、心の友よ。お前を失って、俺の魂は悲しみに打ち震えているジャン(涙目)」

 

リバT『その時、奇跡が起こりました。キャサリンさんの滂沱の涙が、霊刃クロスナイフに流れ落ちたとき、無念のマンゴさんの魂が刃に宿ったのです』

 

マンゴ(アスト)「やれやれ。オレの冒険は終わったと思ったが、お前、一人を遺して逝けなくなったようだ。肉体は失ったが、魂は不滅。トカゲ王を倒すまでは、この旅に付き合ってやるぜ。元はと言えば、オレの仕事だったからな」

 

リバT『……と言うことで、原作ゲームブックをアレンジして、この攻略物語は主役のキャサリンさんと、介添役の亡霊マンゴさんのコンビプレイでお送りします』

 

ダイアンナ「ゲームブックは一人プレイが基本だけど、発展するうちに同行NPCが登場したりして、物語性が豊かになって行ったみたいだね」

 

リバT『リビングストン単独作品では、最初の「運命の森」で支援者のヤズトロモさん、次の「盗賊都市」ではニカデマスさんが登場しましたが、同行はしてくれませんでした。だけど、その次の「死の罠の地下迷宮」で一時的に蛮人スロムさんが同行したことで、ゲームブックの可能性が広がったのです』

 

ダイアンナ「けれども、一時的な同行者は死んで途中脱落する、という伝統もできたみたいだね」

 

リバT『そうだとしても、マンゴさんの死はあまりにも早過ぎです。感情移入する間もなく散ってしまい、後の「危難の港」で顔見せ登場するまで、ブログ主もすっかり忘れていたほどの存在感の薄さだったので、ここでマンゴさんを宣揚する話を作ろうか、と』

 

マンゴ「まあ、異世界人のキャサリンの一人旅だと、アランシアの常識に欠けるからなあ。オレが助言してやらないと、ストーリーが成立しにくいという二次創作事情もあるわけで」

 

リバT『そして、海岸から密林に踏み込んだパラグラフ391番です。舞台となる火山島は東西に長い地形なので、この旅は基本的に西へ西へと向かって行く形になります。これまでのFFシリーズのダンジョン(森や都市も含む)マッピングは、南から北へと踏破して行く作品が主流だったので、地図書きの方向も注意が必要ですね』

 

ダイアンナ「縦長の紙じゃ収まりきらないので、紙の向きを横長にしないといけないわけだね」

 

リバT『まあ、当記事では全体マップではなく、シーンごとに部分マップを載せている形ですが、火山島のマッピングはあまり迷わせる構造にはなっていませんね。基本は2択で、ある地形を踏破すると1パラグラフに収束して、分岐→収束→分岐→収束をくり返すだけですから、例えば「運命の森」のようにルート1〜4まで細かく分かれるような構造ではない、と』

 

マンゴ(アスト)「マッピングの複雑さでは、リビングストンよりもジャクソンの方がややこしいんだな。リビングストンは基本的に1本道のストーリーで、地形的に迷うことはあまりない」

 

リバT『ただし、分岐したルートで攻略必須アイテムを取り逃がすことで、再プレイを余儀なくされることが多いですが、本作は攻略が有利不利になるという意味での当たりルートや外れルートはあるものの、こちらのルートじゃないと攻略必須アイテムが入手できないのでバッドエンド確定……という意味の厳しさはほとんどありません』

 

キャサリン「つまり、それぞれのイベントでの危険さえ乗り越えることができれば、あまり頭を悩ませることなく力技で攻略できるってことだな。脳筋の俺でも解けるわけだ」

 

マンゴ(アスト)「自分で脳筋って誇ってるキャラも珍しいな」

 

キャサリン「聖闘士にとって大事なのは仁智勇ではなくて、仁力勇だとは、その昔、獅子座のカイザーという男が言ったそうだ」

 

ダイアンナ「FFのキャラで大事なのは、技と体と運じゃないか。心はプレイヤー次第ってことで」

 

リバT『大切なのは、諦めない心と、冒険を楽しむ心ですね。では、密林最初のイベントです。人があまり入らないために、木々や蔦が鬱蒼と茂った地形なので、先に進むためには剣で道を切り開かねばなりません。時間のかかる作業で歩みもゆっくりになるために、少し疲れてきました。ちょうど大きな木の根元で、腰を下ろして休息できそうな場所を見つけました。休息しますか、それとも進み続けますか?』

 

キャサリン「マンゴ、どう思う?」

 

マンゴ「そうだな。幽霊の勘で言わせてもらえば、森の中で休息できそうな場所は、何かの罠が仕掛けられていると思うぜ」

 

キャサリン「では、その罠を踏んでみるのも一興。ゆっくりして行くとするか」

 

マンゴ「おい、オレの警告を無視するなよ」

 

キャサリン「ふう、何だか甘い匂いが漂ってきて、眠くなって来たなあ」

 

マンゴ「お、おい、キャシー、起きろ。何だか上から蔦が降りてきて、お前の首を締めようとしているぞ」

 

キャサリン「大丈夫。敵の小宇宙(コスモ)は感じない」

 

マンゴ「這い寄る蔦に、そんなものがあるか! ええい、オレもナイフだ。蔦を切断するついでに、キャシーの眠気覚ましにチクリと突き刺してやるぞ」

 

キャサリン「痛ッ! 何をする、マンゴ」

 

マンゴ「よく見ろ。オレが助けなければ、お前の生死は運だめしにさらされるところだったんだぞ」

 

キャサリン「大丈夫だ。俺の運点は11。試しに振ると……(コロコロ)8だから成功だな」

 

リバT『失敗すると、蔦に首を絞められて、人喰い樹の栄養分にされてしまうバッドエンドです』

 

キャサリン「成功すると?」

 

リバT『眠気に苛まれながらも、かろうじて必死に剣を振るって蔦を断ち切ることができました。しかし、首を絞められたダメージは大きく、技術点1と体力点2を失ってしまいます』

 

キャサリン「何と! こんなことで、技術点1点を失うでごわすか!? 恐ろしや、リビングストン。今のはなし、やり直しを要求するジャン」

 

マンゴ「リビングストン神のアランシア世界の恐ろしさが分かったか。ちょっとしたことで、やたらと運だめしと技術点減少を狙って来る。ジャクソンほどのパズル的な仕掛けは用意されていないが、ストレートに危険をぶつけて来て、油断した冒険者を苦境に追い込む王道力技が持ち味だ」

 

キャサリン「さすがに死んだ男のいう言葉は違うな。このリビングストン世界の初心者としては、今後、ナイフの警告には従うとしよう。そう、お前は乙女座アンドロメダの星雲鎖(ネビュラチェーン)に匹敵するほどの危険感知能力を備えたナイフだったんだな」

 

マンゴ「相変わらず、お前の言ってることは訳が分からんが、とにかく凄い敬意は伝わってくるぜ。よし、ここからオレは危険察知ナイフとして機能するぜ。それでいいよな、リバT」

 

リバT『まあ、アストさんはここのキングですからね。マンゴ役を押しつけた以上は、今後もサブGM権限でカニコングさんのフォローをお願いします。油断したキャサリンさんのピンチを、クロスナイフのマンゴさんが助けたってことで、運だめしおよび、その後のダメージはなかったことにしましょう』

 

マンゴ「ナイス裁定だ、ディレクター・リバT。パラグラフ選択としては、391番から休息せずに歩き続ける81番へ進んだってことで」

 

ダイアンナ「何だか、キャサリンよりも、マンゴの方が主役になったりしないか? ダメな脳筋女主人をサポートする苦労人ナイフ(使い魔みたいなもの)の冒険譚って形で」

 

キャサリン脳筋はともかく、ダメって言うな。こう見えても、『地獄の館』はクリアしたでごわす。ただ、ジャクソンとリビングストンの作風の違いに油断しただけのこと。ここで、ジャクソンなら蔓に首を絞められて、恐怖点1点を与えられはしても、技術点を削ってくることはしないはず」

 

リバT『作風の違いはともかく、リビングストンさんはこの辺りから、技術点の上下変動が激しくなって来た気がします。そのため、リソースの維持が攻略において大切と評価されていますね』

 

キャサリン「教訓。ナイフの助言は聞き入れるべし、でごわす」

 

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「トカゲ王の島」攻略雑話(その1)

俺っ娘について

 

リバT『では、GM役として「トカゲ王の島」の攻略雑話を仕切らせてもらいますの』

 

キャサリンカニコング)「主役は、地獄の館帰りの聖闘少女(セインティア)キャサリンが務めるジャン」

 

アスト「1人称が俺、語尾がジャンのバトルヒロインに需要があるとは思えないんだが」

 

キャサリン「1人称が吾輩、語尾がごわすよりはマシと思うジャン」

 

ダイアンナ「まあ、男勝りな俺口調のヤンキー姐さんと思えば、いなくはないってことかな」

 

アスト「ナデシコのスバル・リョーコとか、か」

リバT『こういうキャラもいますね』

アスト「確かに、高橋留美子キャラだと、女らんまの他に弁天さまも俺っ娘だし、この手の姐御系キャラが多そうだな」

 

リバT『他には、故・鳥山明先生の木緑あかねさんや、二重人格ランチさん(ワイルドバージョン)も1人称、俺ですの』

ダイアンナ「最近の俺っ娘だと、この辺りかね?」

キャサリン「つまり、俺っ娘は十分、萌えキャラとして市民権を得ているでごわすな」

 

アスト「だから、ごわすはやめろ」

 

キャサリン「おっと、訂正。フィクションの俺っ娘は十分、市民権を得ているジャン」

 

リバT『で、そんな男勝りな武闘派姐御肌少女のキャサリンさんが、お喋り陽キャラのマンゴさんと舟で火山島に向かう場面がパラグラフ1番です。自慢のオールで手慣れた操船技術を披露しながら、マンゴさんは自分の父親の勲しを語ってくれますよ。彼の親父さんは山みたいな大男で、トロールと力比べをしたり、象を持ち上げたり、とにかくタフな人物だったけど、ファングの街の〈死の罠の地下迷宮〉に挑んで帰って来なかったそうです』

 

キャサリン「なるほど。では、俺も尊敬するデスマスク師匠の話をするジャン。そう、師匠は強かったが、ドラゴンには勝てなかった……と語りつつ、マンゴの父親の挑戦心を褒めたたえる。そう、漢にはたとえ負けると分かっていても挑まなければならない試練がある、と」

 

アスト「デスマスクは、格下の青銅聖闘士のドラゴン紫龍に負けるとは思っていなかったんじゃないか?」

 

ダイアンナ「それにキャサリンは漢(おとこ)じゃなくて、女だろう?」

 

キャサリン「体は女、心は漢(おとこ)でごわす」

 

アスト「まあ、間違ってはいないな」

 

リバT『そういうのを称して、漢女(おとめ)とも言うそうです』

 

キャサリン「そう、聖闘少女(セインティア)は聖闘漢女でもあるでごわすな」

 

リバT『聖闘士関係の話は、マンゴさんにはよく分かりませんが、「ドラゴンと戦ったデスマスク師匠の話」には感銘を受けてくれます。「そうか。お前の尊敬する師匠の人も、挑戦する男だったんだな。そして、お前もその心意気は受け継いでいる」と』

 

キャサリン「その通りジャン。マンゴには一宿一飯の恩義を感じていたが、この短い舟旅の上で、無二の親友のような共感を得るようになったでごわす」

 

アスト「チョロいな。カニ子やコニカがツッコミ入れたりしそうだ」

 

リバT『カニ子とコニカの背後霊姉妹は、アランシアには付いて来ていません。目下は行方不明中です』

 

キャサリン「そうなのか? てっきり常に一緒にいるものとばかり」

 

リバT『キャラが増えると、演出する方も大変ですからね。今のあなたは1人きりで、この世界ではマンゴだけが知り合いです』

 

キャサリン「しかし、マンゴは遠からず亡き人になるわけで、それまでにしっかりフラグを立てておかなければ」

 

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「トカゲ王の島」攻略雑話(準備編)

「地獄の館」以来の攻略……でごわす

 

カニコング「今回からはしばらく、元キングであった吾輩が返り咲き主役でごわす」

 

アスト「ええと、前にプレイしたのは『地獄の館』だったな」

 

ダイアンナ「ああ。萌えヒロインがどうこう息巻いていた怪リプレイか」

カニコング「怪リプレイなのは当然。奇才スティーブ・ジャクソン氏が構築したホラーゲームブックでごわすから、リプレイが幽霊だらけの怪奇風味になるのは必然のことでごわそう」

 

アスト「いや、ジャクソンのせいにするなよ。あのリプレイが、あれだけカオスなことになったのは、お前が変なキャラ立てをしたせいだろうが」

 

カニコング「お褒めに預かり、恐悦至極!」

 

アスト「褒めてねえ。今度は、まともなリプレイになるんだろうな」

 

カニコング「フッ、この吾輩がまともなリプレイを求められていると思うでごわすか?」

 

ダイアンナ「……キングの称号を剥奪されたカニに王道を求めてもダメってことか」

 

カニコング「王の座を剥奪された吾輩が、熱帯の島を征服したトカゲの王に名誉挽回のバトルを挑む正統派熱血王道冒険譚……を期待している読者には悪いでごわすが、今回はそういう話ではない(断言)」

 

アスト「カニコングVS爬虫類の王……って展開にはならないのか」

 

カニコング「そういう王道怪獣バトル映画が見たければ、これを楽しみにするでごわす」

アスト「もしかして、トカゲ王を偉大な怪獣王にして、アカデミー賞主演怪獣の栄誉に輝いたG様になぞらえているんじゃないだろうな」

 

カニコング「いや、そんな畏れ多いネタにはできないでごわすよ。しかし、トカゲ王VSコング(with小猿)というシチュエーションや、密林の島という舞台設定など、本作は実にコング映画の文脈にも沿ったゲームブックではごわさんか。吾輩は、リビングストン氏のコング愛に感服したでごわす」

 

アスト「別に、リビングストンがキングコング好きというソースは一つもないんだけどな」

 

カニコング「作品を通じて、妄想を膨らませるのは読者の自由でごわす」

 

ダイアンナ「少なくとも、ドラゴンとか翼竜とか地底怪獣みたいなのは、リビングストン作品の定番だと思うけどね。恐竜とか怪獣好きなのは察しが付くと思う」

 

カニコング「とにかく、『トカゲ王の島』という作品は、熱帯の島を舞台に、現地の未開人や巨大化した熱帯生物や恐竜、そして疫病に怯えたり、サバイバルを頑張ったり、野外冒険や鉱山探索など、盛りだくさんの冒険譚でごわすよ。他の作品とあまりリンクしておらず、一作で完結した広がりの薄さゆえ、過小評価されているでごわすが、冒険物語としてのまとまりの良さでは、非常に盛り上がる作品と感じた次第」

 

アスト「『アランシアの暗殺者』の序盤の島でのサバイバルを、1冊丸ごと展開したような作品とも言えるか。オレとしては、終盤の反トカゲ王の旗印を掲げた鉱山奴隷の蜂起のシーンが、印象的だったと記憶するが」

 

ダイアンナ「へえ。圧制に対する大規模な反乱を扇動する主人公の話ってことかい? ゲームブックでは珍しい展開だと思うけど?」

 

カニコング「基本的に一本道で、ストーリーの完成度は高いと思うでごわすが、ゲーム的な仕掛けの要素が薄くて、単調なバトルの繰り返し……と感じさせる作品と見なす者もいよう。ただ、丁寧に物語を追って行くと、豊富なイベントが用意されていて、野外冒険としてはリビングストンの既作に当たる『運命の森』よりも進化発展しているのが分かるでごわすよ」

 

アスト「『死の罠の地下迷宮』同様、1984年の作品だから、これも今年でちょうど40周年か。ジャクソンが『ソーサリー』の2巻と3巻を発表した年に当たるな」

 

カニコング「広い未開地をラスボスのいる目的地に向けて旅する展開は、ソーサリーの1巻や3巻に通じるものがあって、海岸、密林、沼地、山岳地帯、火山といった地形の変化や、それに伴うイベントの数々など、オープンアドベンチャーとしては非常にヴァリエーションに富んだ作品とも言える。D&Dで言えば、青箱エキスパートルールをたっぷり使いこなした一大キャンペーンをたったの一作で体験できるので、野外冒険のイメージソースとして良いテキストと言えたでごわそう」

 

アスト「『ソーサリー』が先に盛りだくさんの野外冒険を、より派手に大掛かりに先行して発表したから、地道にコツコツ土台を積み重ねていく志向のリビングストンが後塵を拝した形になるのか」

 

カニコング「舞台となる火山島の物語が、他の作品ともあまりリンクしないために、『危難の港』でNPCのマンゴが顔見せするまで、作品が忘れられがちだったという事情もあったか、と」

 

アスト「トカゲ王というボスキャラが、主人公とコミュニケーションを交わせない異種族だから、物語的に地味というのもあるな。しょせんはゴンチョンという寄生虫の傀儡だったわけだし」

 

ダイアンナ「ゴンチョン? 何だ、それは?」

 

カニコング「エースよ。ネタバレは良くないでごわすな」

 

アスト「おっと。表紙絵に載ってる、節足動物みたいな頭飾り(変なデザインの宝冠に見える)が生き物ということで、トカゲ王を無敵強化している元凶なんだ。この寄生怪物のゴンチョンが本作一番のどんでん返し的な存在で、後にゲームブックドルアーガの塔』でも〈ゴンコーンの剣士〉という敵キャラがオマージュ採用されている」

カニコング「だから、準備編で、いきなりラストのネタバレをするなよ。興を削ぐでごわす」

 

アスト「40年前のゲームブックのネタバレぐらいで、興が削がれるかよ。それより、せっかく攻略記事にするんだから、当ブログならではのオリジナリティを見せてくれるんだよな」

 

カニコング「フッ、それなら任せるでごわす。吾輩ならではの攻略記事で、他にないツボを突いてみせよう」

 

ダイアンナ「どんなツボか分からないのは不安なので、リバT、カニのお目付けを頼む」

 

リバT『かしこまりました、マイ・クイーン』

 

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「ハンテッド・ガーデンハート」所収の短編GB感想

ミニ・ゲームブックのあれこれ

 

アスト「とりあえず、いくつかの短編をクリアしたので感想を書いておこう」

アスト「なお、表題作の『ハンテッド・ガーデンハート』の攻略記事はこちらだな」

ダイアンナ「わずか37パラグラフの短編だから、一記事で攻略できた作品だね」

 

アスト「本書には、全部で10本の作品が収録されている。その内訳は以下のとおりだ」

 

  1. ハンテッド・ガーデンハート(37パラグラフ)
  2. かえる沼の龍神(54パラグラフ)
  3. ネグラレーナの平日(16パラグラフ)
  4. ガルアーダの塔 外伝(20パラグラフ)
  5. フィンガーセイバーの冒険(25パラグラフ)
  6. マドレーンの海域(33パラグラフ)
  7. ゴルギアスロフの旅の店(52パラグラフ)
  8. 胸おどる黒豚アグー亭(29パラグラフ)
  9. トーンの地下水道(52パラグラフ)
  10. カオスフレイムの戦士(153パラグラフ)

 

アスト「6番からはFFシリーズ的なルールで、キャラ作成ができる。5番まではキャラが固定で、サイコロを振ったりはしない分岐小説の類だな。今回は5番までをクリアしたので、その感想を語りたい」

 

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「サラモニスの秘密」の追加エラッタの話

豚頭イベントについて

 

リバT『前回で終了したはずのサラモニスですが、SNEより追加エラッタが発表されたので報告です』

 

アスト「NOVAはどうした?」

 

リバT『ずっとゲームブックに耽溺していたら、ミストレス晶華やマザー翔花の機嫌を害したようです。1週間前のバースデイケーキを食べて、ハーカバーカ送りになったとか、ならなかったとか』

 

ダイアンナ「ならなかったんだね」

 

リバT『詳細はこちらを』

ダイアンナ「少し遊びが過ぎたようだね」

 

アスト「まあ、NOVAのことはどうでもいいや。それより、サラモニスの追加エラッタとはどういう内容だ?」

 

リバT『農場での作業人集めイベントなんですけど、豚頭1つにつき得られる報酬が金貨2枚ではなく、2サラコインということです。パラグラフ215番では報酬が2サラコインと明記されていたのに、462番でじっさいに報酬を受け取る際に「金貨2枚と誤記されていた」ために、受け取るお金が10倍になっていたようですね』

 

ダイアンナ「すると、ラッタピラー退治ミッションでもらえる金貨は減るな」

 

リバT『攻略記事では金貨3枚に追加報酬で6枚の合計9枚を受けとっていましたが、じっさいには金貨3枚プラス6サラコインだったようですね。そのために、農場ミッションとカエル沼ミッションの価値が逆転して、後者は最大8金貨稼げるのに、前者の方が簡単なのに稼ぎがいいという逆転現象がなくなりました。順当に、農場ミッションは金貨3枚+α(せいぜい金貨1、2枚に満たないボーナス)に落ち着き、より困難なカエル沼の方は最低が金貨3枚(値上げ交渉で金貨5枚)と、ヘビ皮を売って金貨1〜3枚の増額でお得ってことになります』

 

アスト「攻略記事では、余分に金貨5枚少し得をしただけで、その後の買い物に大きな影響をもたらすものではなかったが、ミッション1の方が2よりも単純にお勧めとは言えなくなったということだな」

 

リバT『ミッション1は簡単だけど、ボーナス入れても収入は少ない。ミッション2はそれなりにリスクがあるけど、1や(金銭的には)3や4よりも美味しく稼げると言ったところですね。鉱山ミッションも稼げる金貨は最大7枚ですから』

 

ダイアンナ「ドリー村では、呪いを解くための必要アイテムの情報も入手できるので、攻略の重要度が上がった感じだね」

 

リバT『ドリーの価値が上がったと言うよりも、農場ミッションの価値が下がったということですね。人集めによる追加ボーナス報酬が激減したので、豚頭チェックという処理が面倒なだけで利益の少ないお仕事を真面目にこなすことがバカらしくなったというか』

 

アスト「人を1人スカウトして2000円ってことなら頑張る気にもなるが、1人スカウトして200円って仕事だと何だかなあって感じだな」

 

リバT『一般人の金銭感覚と、冒険者の金銭感覚の違いも体感できますね。一般人がコツコツ稼いで、小銭のサラコインを10枚程度集めて1日を何とか過ごせる日常なのに対して、冒険者になると危険の見返りに収入がドンと10倍単位になるという。その意味でも、アランシアやファンタジー世界の経済について、貴重な体感を覚えるゲームだったってことで』

(当記事 完)

「サラモニスの秘密」攻略EX

ジャクソン最新作を終えて

 

リモートNOVA『さあ、自分の誕生日を挟んで、たっぷりと堪能できたジャクソン最新ゲームブックの攻略記事も、これで終了だ』

 

アスト「感想はどうだった?」

 

NOVA『新しいゲーム体験……とは少し違うな。FFゲームブックとしては、新しい体験だったと言えるけど。前半の「冒険者になる前のシティ・アドベンチャー的な部分」が新鮮で、ここは他にない楽しさを感じた。後半の冒険者になってから「ギルドで仕事を請け負って、攻略を進める手法」については、コンピューターゲームでもお馴染みで、ゲームブックよりはTRPGのソロアドベンチャー的な印象。

『また、「成長システムや、〈綴り呪文〉のパズルシステムが面白い」と思いながら、終盤になって伏線が収束されていき、それまで関わって来たNPCが主人公の周りに集まって来る展開はいかにもクライマックスの盛り上がりを感じて、運命神に選ばれた主人公が英雄への道を昇り詰める流れが、物語としては良いなあ、と思ったりも』

 

ダイアンナ「たまたま冒険者としての仕事に励んでいたら、王族絡みの大事件に関わったことで、国家を救った英雄と見なされる流れだね。その後、大魔術師の弟子にスカウトされて、世界を脅かす巨悪に立ち向かう導線も提示されたわけだし」

 

NOVA『40周年祭りの記念作としては、新鮮さと懐かしさ、そして初心者をも改めて引き込むストーリーの仕掛けもあって、いろいろ盛りだくさんだ。冒険者ギルドで7つのミッションを解決するミニアドベンチャー集としても、それぞれのミッションが多彩でTRPGのシナリオソースとしても、バリエーション豊かなアイデア群がいいなあ、と』

 

アスト「農家を脅かす魔物退治から始まって、危険な土地に生えている植物採取、鉱窟探検のダンジョンシナリオ、怪現象の謎を調査する情報活動、隊商の護衛任務、邪教団への潜入、そして森でのユニコーン捕獲か。1冊のゲームブックで、多彩な冒険ネタが仕込まれていて、いかにも簡易冒険シナリオ集って感じだな」

 

NOVA『ゲームブック執筆をメインにしてきたリビングストンと違って、ジャクソンの方はコンピューターゲームTRPGの方でマルチジャンル的に、FFシリーズを広げてきたという話を最近知った。

『たとえば、「ポピュラス」(89年)や「テーマパーク」(95年)、「ダンジョンキーパー」(97年)という作品で有名なコンピューターゲームのデザイナー、ピーター・モリニューが1997年に設立したライオンヘッド・スタジオに、ジャクソンも共同設立者として名を連ね、10年ほどのキャリアを積んでいる。ジャクソン自身はプログラマーではないけど、アイデア出しやディベラップメントなどでモリニューをサポートしたのだろう。そういうサポート業務は、作品製作者として名前が残るものではないから、日本では伝わりにくかったのだろうけど。ライオンヘッドの作品も、日本ではマイナーだったろうしな』

 

ダイアンナ「現在は、AFF2版の監修者という立場で、メインデザイナーのグレアム・ボトリー氏をバックアップしていたんだね」

 

NOVA『AFF2版は2011年に本国で出版され、日本語訳は2018年から。で、ゲームブックの方も2017年からスカラスティック社で再々展開が始まったことで今に至っている流れだな。現在、FFシリーズを紹介しているSNEはアナログゲームがメインの会社だから、ゲームブックTRPG以外のジャクソンの活動は積極的にチェックしていなかったし、ジャクソンもどちらかと言えば裏方サポートに回っていたから、その活動がこうして話題に上るのは本当に久しぶりになるわけで』


アスト「つまり、『サラモニスの秘密』という作品は、ゲームブック畑だけでなく、コンピューターゲームTRPGの要素を濃厚に反映した作品ということなんだな」

 

NOVA『世界観は、ジャクソンのアランシア冒険譚(「火吹山」「バルサス」「モンスター誕生」および小説「トロール牙峠戦争」)を背景世界に盛り込んで、きちんとFFシリーズらしい雰囲気を描写しながら、ゲームシステムは懐かしくも新しいという矛盾を上手くまとめ上げている』

 

アスト「名誉点を経験値とした成長システムは、TRPG的だな」

 

NOVA『冒険者ギルドの掲示板に自由に選択できるミッションが並べられて、自由な順番で攻略できるのはシステマチックなコンピューターRPG的でもある。後にTRPGのソロシナリオでも採用されたけど、1回のセッションで複数の冒険要素を準備するのは、シナリオを自作するGMには負担が大きいので、あまり一般的じゃない。まあ、プロレベルだと、カバンの中に複数のシナリオを用意していたりもするケースもあるけど』

 

 

すごいGM『ほう。このシナリオが気に入らないか。だったら、別に3本のシナリオを用意した。どれでも好きな仕事を選べ』

 

 

ダイアンナ「ダディはどうなんだ?」

 

NOVA『ほう。このゲームシステムが気に入らないか。だったら、別に3つのシステムを用意してある。どれでも好きなのを選べ……と言ったことはある(苦笑)。

『まあ、90年代は文庫RPGもいっぱい出ていたし、軽いシステムも多かったからな。今は、カバンの中に3つもゲームシステムを用意するのは難しいと思う。ソード・ワールドだけでも、基本ルールブックを3冊は最低でも用意したくなるし、サプリメントもいっぱいだ。ましてや、ハードカバーのルールブックを持ち歩いてゲームマスターをしに行くのは、ハードワークと言えるだろうな』

 

ダイアンナ「その点、AFFはルールブックもサプリメントも、薄手の冊子で軽いから、持ち運びには便利だよね」

NOVA『むしろ、今回のFFコレクション4の方が重くて、かさばるような気がする。何だかんだ言って、コレクションも20冊になったわけだからなあ。そのうち、AFFのルールとサプリメントを全部揃えるよりも、高価になるんじゃないか、とも』

 

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「サラモニスの秘密」攻略感想(その10)

とうとう最終回

 

リモートNOVA『待望だったゲームブックの大家、スティーブ・ジャクソンの最新作もついに今回で攻略完了だ。まあ、ここまでゲームクリアに必要なアイテムフラグは全て達成しているので、後は一本道のストーリーを辿り、一連の事件の経緯をまとめるだけなんだが』

 

アスト「シュリーカー事件の解決手段として、〈震える男〉にかけられた呪いを解呪しようって話に帰結するんだな」

 

NOVA『冒険者ギルドでの仕事中に、それらのアイテムを集められていたらいいんだけど、集め損なっていると、自分で冒険者失格と諦めて、田舎の農夫になることを選択するバッドエンドだ』

 

ダイアンナ「それはそれで一つの人生だと思うけどねえ。冒険者人生も決して楽じゃないだろうし」

 

NOVA『まあ、トレジャーハンティングに失敗して、残飯あさりになった挙句、指名手配されて暗殺者に狙われ、死の罠の地下迷宮に飛び込まされそうになったかと思えば、思いがけず謎かけ盗賊に拉致されるような過酷な人生を歩まされた冒険者もいるからなあ』

 

アスト「他の冒険者の話はさておき、ディートンの話に決着をつけようぜ。癒しのハンスさんは、〈震える男〉の解呪ができたのか?」

 

NOVA『解呪のためには、〈クモの森〉へ行って、〈虹の池〉を見つけないといけないらしい。それを聞いて、ロングベアードさんが「徒歩で3日もかかる」と指摘すると、ディートンは「大丈夫です。馬なら1日でしょう。運命神が馬を用意してくれました」とロガーン信者らしいことを言う』

 

ダイアンナ「完全にロガーン信仰にハマったようだね」

 

NOVA『本作に関しては、そういうロールプレイが違和感なくハマるんだよな。じっさいに運命神に導かれているわけだし。とにかく、馬に乗って蛮人ナノックと彼の率いる用心棒の一団、そしてラズニック師匠が応援に駆けつけてくれた。この、これまで関わってきたNPC集結みたいな構図がいかにもクライマックスらしくていいなあ』

 

アスト「カード詐欺師のロドリゲスおじさんはいないけどな」

 

NOVA『そこが少し残念だけど、ナノックとラズニックだけでも嬉しくなるわけだよ。とにかく、鉱山のドワーフたちに、後でサラモニスの街から仕事を手伝った謝礼があるだろうと約束して、別れを告げる。ロングベアードとハンス、〈震える男〉は用心棒の馬の後ろに乗せて、ディートンはナノックの後ろに乗った。ラズニック師匠は「とある利益団体から、きみたちの任務遂行を手伝うために派遣された」と背後関係を匂わせるようなことを言っていたが、おそらくはサラモニス王宮が要請して来たんだろうな』

 

 

ロングベアード『ところで、〈虹の池〉はスティトル・ウォードのエルフに守られているんじゃなかったか?』

 

ラズニック『そのとおりだ』

 

ロングベアード『なら、どうやってわしらを中に入れてもらうんじゃ?』

 

ハンス『心配ないさ。わたしの名前はスティトル・ウォードのエルフたちにも知られているはずだ』

 

ディートン『本当に?』

 

ハンス『何だ、疑うのか、少年?』

 

ディートン『いや、ロングベアードさんの名前は田舎の子どもでも知っているほど著名だけど、ハンスさんの名前はどうだろうって……』

 

ハンス『それだから、世間知らずの子どもは困る。癒し手と言えば、ハンスだというのはアランシアの常識中の常識』

 

ラズニック『ほう。そなたが、かの有名なヤズトロモ氏やニカデマス氏と並ぶ、大魔術師の3大弟子のお一人とは思わなかったぞ』

 

ロングベアード『何と。その癒し手だったと言うのか? いや、わしの聞いた伝説の癒し手の名は確かペン・ティ・コーラという名前だったはずじゃが……』

 

ハンス『……そんな名前など知らん。わたしは癒し手ハンス、サラモニス近辺では最高の癒し手として名を馳せる……はず』

 

ディートン『はいはい。一応、ぼくの手記には書いておくよ。癒し手ハンス。力量のほどは不確かながら、その自信満々な態度は特筆に値する、と』

 

ハンス『力量のほどはこれから明らかになる。スティトル・ウォードに行けばな』

 

ディートン『スティトル・ウォードかあ。どんなところだろう?』

 

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