ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

対決! 戦士VSエルフ

 これは、「コメント対応」に分類しようかとも迷いましたが、D&Dのシステム紹介記事にも該当するので、コメントはあくまで起因、もっと幅広い内容の記事にしようとの思惑で「TRPG」カテゴリーに分類。

 

 さて、クラシックD&Dのクラスの一つである戦士(ファイター)ですが、エキスパートルールまでは「特殊能力を一切持たない」ということで初心者向き、という評価が常々為されてきました。覚えるルールが少なく、前線に立って敵と殴り合っているだけで仕事が全うできる、しかもHPの高さで死ににくく、ダイスを何回も振れるので退屈な思いをせずに済む、さらには主役は戦士というファンタジー小説も多いので自然と主役として祭り上げられたり、リーダーとして周囲からチヤホヤしてもらえる。

 つまり、ファイターを経験することで、考えなくとも自然と楽しいゲームを味わうことができるわけですな。問題は、ダイス目が極端に悪く、一向に敵に命中させることができない場合だけ、仲間からの評価が「使えない奴」という認識にダダ下がりしてしまうこと。

 

 一方、エルフは確かに強力なクラスです。

 クラシックD&Dのエルフは、戦士と魔法使いの特性を合わせ持った兼職キャラクターと紹介することができます。

 例えば、CD&Dにはクラスレベルごとに雰囲気を高めるための称号が設定されていて、それを日常的な名乗りにも活用することが推奨されているのですが、1レベル戦士は「古強者(Veteran)」、一方で1レベル魔法使いは「霊媒師(Medium)」となっています。

 「何で新米の若造戦士がベテランなんだよ、そこはルーキーとするべきじゃないか?」と今ならツッコミ入れたりもするのですが、初D&Dの時の純粋な高校生脳では「自分はD&D初心者だし、ルールブックにそう書いてあるからには、そうなんだろう。きっとベテラン兵士として鍛えられた一部のエリートだけが、選ばれし者として冒険の旅に出るんだな。たかが1レベル、されど1レベル。さすがD&D、奥が深いな」などと勝手に脳内補完と幻想を抱いて、その世界にますますのめり込む。

 うむ、それが若さというものだったのだろうな。

 いちいち、ちょっとしたことでツッコミネタを見つけ出しては、製作者の意図とかミスとか背景事情を探ろうとし、評論家ぶった斜に構えた態度で作品に接するようになった大人な態度は、まあ百害あって一利なしなどと極端なことは申しませんが、時には無粋に映るもの。純粋に作品を見て感じ入るピュアマインドは年を取っても忘れたくないもの。

 

 で、エルフですよ。

 1レベルだと彼らの称号は、「古強者霊媒師(Veteran Medium)」という複合語。つまり、戦士と魔法使いのベストマッチ。すなわちラビットタンクフォームみたいなものですな。今のタイミングだからこそ使えるこの例え。まさにタイムリーと人は呼ぶ。

 なお、ウサギが魔法使いというのはSW2.0の常識。一方で戦士が基本、重戦車というのもゲームの一般常識ですな。よって、仮面ライダービルドはエルフだった、という説がにわかに持ち上がってくるのです。

 まあ、最近は専門化したラビットラビットや、タンクタンクの方が強いので、やっぱり兼職じゃダメだな。高レベルの戦いを勝ち残るには専業化するしかない、という方向性に進みそうですが。

 ともあれ、エルフは戦士のいいところ(全ての武器と防具を装着できる)と、魔法使いのいいところ(最大レベルの10までは、魔法使いとほぼ同じ程度の魔法が使える)の両方を兼ね備えた、まあファイナルファンタジーシリーズにおける赤魔道士程度に有能なキャラクターなんですね。

 他の兼職できるゲームでも「魔法を使うためには、防具は軽装でなければならない」などの制限が課されているのに(AD&Dでも)、制限なしに剣も魔法もどっちも使える、とあっては、「エルフ最強伝説」というのがまかり通っても納得できるというもの。

 

 しかし、NOVAの経験では、そんなのは机上の空論の幻想でしかない。CD&Dのエルフは便利だけど、意外と使えないというか頼りにならない。彼らを最強視するのは、低レベルの期間だけで、高レベルプレイの経験者の発言とはとても考えられない、という結論になるわけですな。

 

★真実を求めて

 うむ。
 この記事を書く際に、下手な話し方をすれば、「コメントくれた彼は嘘つきだ」という事実が浮かび上がって、角が立ってしまうんだろうなあ、と思います。
 でも、余所のブログで来し方を振り返っているうちに結論が出ました。それは「何を今さら」というもの。

 いやあ、彼って、NOVAと付き合い始めた当初から、「見栄っ張りで、できもしないことを平気でできるようなことを言って、自分を実情よりも有能そうに見せようと虚勢を張る、いわばのび太君のようなところがあって、その幼いところを可愛い(=可哀想)と思うか、信用ならんと思うか」によって、人間的な評価が変わってくる人だと思うんですね。
 まあ、どっちにせよ、同じ結論になるのは「共同で何かの作業をする相手としては頼りにならないことこの上ないので、この人に仕事を任せるときは当てにせずに、失敗したときのリスクを常に考慮に入れた上で策を講じるべし」とか、「何かを自信ありげに主張しても、その半分から7割ぐらいは事実誤認の思い込みの激しさと、主観的で突発的な感情論と、根拠レスで自分では検証もできない直感的なひらめきめいた妄言のオンパレードだから、こちらは検証を怠るな」とか、そういった数々の教訓なんですね。
 まあ、妄言のことで人のことを偉そうにいう資格はNOVAにはない、というのは、「スーパー空想(妄想)タイム」という亜空間に接した方なら、共通した思いでしょうが、自分でもそう思います。

 なら、なぜ、そういう彼にとって恥となることを公に書いちゃうか、と言えば、ここを読んでいるNOVAのネット友人に、「NOVAは彼のことをここまでは理解して、それでも敢えてコメントその他の限られた付き合いなら続けてもいい」と考えていることのアピールです。
 どうもNOVAの付き合っている友人たちは、NOVAのことを「お人好しで、すぐに人を信用するため、騙されやすくて、見ていて心配になる世間知らずのお坊ちゃん」的に見てしまう傾向があるようで、おかげであれこれ親切心から助けていただく恩恵も受けてきたわけですが、自己内評価としては「世間ではそう思われても、意外と打算的に物事を考えている奴で、こいつは自分にとってメリットがないと踏んだ相手に対しては、それこそ壊れた玩具を捨てるように扱う冷淡な面も持っている」ということを一応は公言しておく方がフェアなのかな、とは思っています。
 まあ、「小ズルい」と言われると、ちょっと反論したくなりますが、「意外としたたか」ぐらいに考えていただける方が、たぶん、NOVAのことは理解していただけるんじゃないかな、と考える次第。

 ゲーマー的に述べるなら、「メリット、デメリットの計算ぐらいは事前にしっかり考えておいて、その上で自分や周囲の人が盛り上がる方向性をエンターテイナー的に模索したい」というのが昔からのプレイスタイルで、「人を乗せるのが上手な貴利矢さん」や「自称神の幻夢社長」にシンパシーを感じたりする奴、と書けば、分かる人には分かっていただけるんじゃないか、と。

 その上で、根拠もなく、他人を嘘つき呼ばわりするのはアンフェアだとも考えるので、ここから検証タイムが始まるわけですな。

★高レベルプレイの是非

 ええと、コメント主はNOVAが経験したことのない「10レベル以上の実プレイ経験者」とコメント欄で主張しておりまして、仮にそれが真実ならば、様々なプレイ経験をお持ちだから、是非とも印象的だった冒険の数々を面白おかしく語っていただき、こちらの参考にしたい、と考えております。
 ただ、まあ、 創作者の端くれであったNOVAとしては、事実であっても、脚色されたフィクションであっても、どちらでも大した違いはなくて、「要は、その話が面白いかどうか」が評価基準になるわけですね。面白い経験をしたのが事実なら、それを面白おかしく話して欲しいし、逆に嘘であったとしても、その嘘を矛盾なく塗り固めて、ついた嘘の範囲で整合性を整えるのに知恵を絞ること自体は評価します(創作ってそういうものでしょ)。

 まあ、その嘘でこちらに害が及んだり、仕事ができない言い訳を延々と並べたり、嘘を付いても楽しくならない、稚拙な小細工って雰囲気が濃厚だと、「つくなら、もっとマシな考えた嘘をつけ。お前、つまらんわ」となるわけですな。

 で、先程申した「10レベル以上の実プレイ経験者」なら、エルフのレベルがその辺で頭打ちになり、どうにも使いにくくなる難儀さは知っているはずだから、単純にエルフ最強説を嬉々として語ったりはしないと考えるんですね。仮に、「D&D初期レベルを噛った程度です」という人なら、無邪気に「エルフ強い」と口にしてもいい。
 ベテランにはベテランの、初心者には初心者の特有の感じ方の違いというのがあって、そういうのはその道の経験者にはある程度分かるものなのですが、そこのところを後先考えずに、「バレないだろう、と浅はかな見栄っ張りの嘘を付く」と正直白けるんですね。
 じゃあ、どうして彼がそんな嘘を付いたかと考えるなら、話は単純、「ぼくが9レベル程度までしかプレイ経験がない」と語ったから、それに対してマウントを取りたくなって「自分は10レベル以上をプレイしましたよ」と深く考えずに発言しちゃった。まあ、今のところはただの推測でしかないのですけど。
 そして、こっちは彼にそれぐらいのマウントなら取らせてやってもいいんだけど(そんなつまらんことにこだわる奴でもないし)、だったら「10レベル以上のプレイの醍醐味はこうだ」とか「こんなモンスターと戦って苦戦した」とか、そういう経験者だからこそ分かる、中身の想像できる生きた体験談を聞かせて欲しいんだけど、その辺の中身がスカスカなものだから、10レベル以上のプレイ経験が事実であろうと、フィクションであろうと、マウントを取った意味がない。

A「ぼく、こんな凄い体験をしたんですよ」
B「え、本当? その話、ぜひ詳しく聞きたい」
A「はは。ところでさ、今度うちの近所のネコが……」
B「話をはぐらかさず、凄い体験とやらを聞かせろや、コラ」

 この例のBの心情が、まあ、ぼくの気持ちってことで。
 見栄張って、マウント取ろうとしてもいいから、マウント取った分の責任ある話の引っ張り方をして「嘘から出た真実」を創り上げるなら、その人をNOVAは創作家として尊敬しますけど、取ってみたマウントを無責任に放り出して、場を白けさせるだけなら、そういうマウントに何の価値もないと断じますね。

A「創作企画の参加者募集します。ブログもすぐに製作予定です」
B「おお、そいつは面白そう。是非、協力しよう」
A「あ、ありがたいです、ハハ。ブログは……すぐにはできないから少し待って下さいね」
B「ああ、3ヶ月ぐらいあったらできるよね。その時期には、こっちも仕事で忙しくなるからさ」
(3ヶ月後、なおもできないブログ)
C「何やってるんだ。見てられない。Bさんも仕事で忙しくなるみたいだから、少しぐらい協力してやるよ」
B「それは助かります。親切にありがとう」
A「……あ、ああ、どうも」

 まあ、彼との付き合いは、割と最初からこんな感じでしたから。
 彼の発言とか信用できないことが多いのも分かっているけど、ただ一つだけ言えることはあって、「こっちがアクティブに行動する起因にはなる」んですね。彼のためだけと思えば不毛なので疲れるだけだけど、こっちが自分を高める契機として使うなら、有用な人物になり得る。
 彼のコメントにも、自分のブログ記事として昇華させ得るキッカケにはなると思うし、何だろう? 昔の教育テレビの「問題提起役の子供」ぐらいの役割はきちんと演じてくれるかな、とも。

 「君、そこ間違っているよ」と遠慮なく言える相手がいるってことは、こっちの検証したがり癖を時には満たしてくれもするわけで。
 欲を言えば、こっちの検証に対して、さらなる検証してくれる人間がいれば、自分の思い違いにも気づけるんだけど、それはここじゃなくても、他でも十分できそうだし。

★そしてエルフ

 以上、前置きめいた打ち明け話終了。

 彼とのここでの付き合い方は、いろいろ考えてみたけど、結論としては「それなりに愛着のある古い玩具」的な感じかなあ、と今では思っています。ここ、「ゲーム&トイ」ライフですし、彼のコメントを玩具として受け止めれば、思い出話を語るのもブログの趣旨にはかなうわけで。
 こう書くと、「人間を玩具扱いするとは何事だ!」と比喩を解さない正義漢な方のお叱りを受けるかもしれませんが、まあ、人間相手に注げない愛情も、玩具相手なら意外としっくり来ることもありますし、玩具なら壊れない程度にメンテナンスに気を使うこともできる。人間の場合は自己責任だし、こっちが知ったことか、勝手に傷つく奴が悪い、と開き直ることもできるけど、玩具相手に自己責任なんて言えないですしね。それに、ぼく、玩具は大事に扱う人間なので。壊れたら泣きますもん。今は、心の中でですが。
 まあ、さすがに仕事で忙しかったりする時に、玩具や幼子が「いっしょに遊ぼうよ」と誘いをかけてきても、「そんな余裕があるか、馬鹿者。後にしろ、後に。時間ができたら、少しぐらいは遊んであげるから」と厳しい大人ロールを示さないと、彼らは付け上がって来るから、とここまで書いて、おかしなことに気付きます。幼子はともかく、玩具は別に付け上がらないと思うなあ。付け上がって、さらに駄々をこねるようなら、それは玩具ならざる妖怪だ。妖怪だったら、鬼太郎さんを呼ぶか、自らの手で呪文なり、お経なりを唱えて調伏しないと。

 って、何の話をしているか、自分でも曖昧になりましたので、妖怪ではなく、妖精の話に戻りましょう。

 ええと、エルフと戦士のどちらが強いか、ですね。
 そんな物はぶっちゃけ、レベルと、エルフの覚えた呪文による、という結論になります。

 話を簡単にするために、能力値はどちらも同じで、装備品も同じとしましょう。この場合、武器を使った戦闘能力では、エルフは戦士に絶対に勝てません。ダイス運を考慮せずに、純粋に能力の差異だけを比較するなら、ということですが。
 HPを比べても、戦士は1D8で、エルフは1D6で、しかもエルフはレベルの上昇が遅い。戦士がレベル2に上がっても、エルフは相変わらずレベル1。ようやく、レベル2にエルフが上がったら、戦士はレベル3。エルフが最高レベルの10に達したところで、戦士のレベルは12。この後、戦士は36レベルまで成長し続けることを考えると、純粋な武器戦闘能力ではエルフ(に限らずCD&Dのデミヒューマン)は人間に太刀打ちできない、という結論になります。
 もちろん、それじゃあまりにもデミヒューマンが不公平なので、コンパニオンルールでアタックランクというシステムが付与され、高レベルデミヒューマンでも攻撃能力だけは戦士に対抗できるように伸びますが、それでもHPが伸びないのは前衛で殴り合うにはあまりにも不利。強いて彼らの利点を挙げるなら、セービングスローの数値だけは早い段階で完成しますので、竜の息とか呪文などの特殊攻撃に対しては結構な耐性を発揮するのですが、そんなものは殴り合いには関係ありませんしね。

 だから、エルフが戦士に勝つには、魔法使いと同じように呪文に頼ることになるのですが、その場合、初期レベルだと、スリープの呪文で先制とれれば確実に勝利、ということになります。つまり、戦士がレベル5になるまでは、エルフの勝ちは揺るがないことになります。
 「ダメージを受けたら、そのターンの呪文の行使はできない」というルールは確かクラシックのD&Dにはなかったはずなので、戦士に殴られても死にさえしなければ、100%勝てるでしょう。
 ただし、今、ルールブックを確認すると、こういう記載がある。

キャラクターは呪文の使用にあたり、ジェスチャーし、話さねばならない。呪文をとなえている間、キャラクターは精神集中をしなければならず、移動はできない。歩いたり、走ったりしながらでは呪文は使えず、又、呪文をとなえている間に精神集中が乱れると、その呪文の効果がないだけでなく、使ってしまったと同様に忘れられてしまう。

 この「精神集中が乱れる」ことの条件が、ルールブックにははっきり記されておらず、ダンジョンマスター(DM)の裁定次第ということになりますね。なお、自分の記憶では、「呪文使用中のキャラが乱戦に巻き込まれるような事態は生じなかった」ので、呪文使いが呪文を失敗するという状況はなかったはず。仮に乱戦に巻き込まれても、結構ファジーな裁定をしていたから、その辺は深く気に掛けていなかったんだろうなあ。
今、裁定するなら、次の3つの中から1つを選ぶと思いますね。

1.術者は接近戦に巻き込まれた時点で、呪文は使用できない。あるいは集中を維持するための能力値判定を必要とする。

 割と厳しめです。元より、接近戦を自ら挑まない魔法使いはともかく、接近戦も可能なエルフや僧侶が悩むと思いますね。ただ、呪文の使用を、タブレットでブログ記事を書くのと同等の集中力を要する作業と考えるなら、自分は誰かに殴り掛かられた状況で、記事書きを続けられる自信は全くありませんので、妥当な裁定だと考えます。
 接近戦、即、呪文使用不可だと、明らかに戦士が有利になり、集中維持の判定が可能なら、エルフにも多少の逆転の余地があることに。

2.術者は呪文をかけ終わる前に命中を受けたりST判定に失敗すると、集中が解けてしまう。

 こちらは、CD&Dではなく、上級ルールのAD&D2版より見つけてきた正式なルールです。ただし、そのルールには、呪文ごとにキャスティングタイム(詠唱時間)のデータが設定されているため、詠唱中の術者に攻撃することが普通にできたわけですね。
 これをCD&Dのルールに反映するなら、「命中を受けた直後のラウンドは、術者は呪文を唱えることができない」ぐらいになるでしょうか。すると、戦士は呪文を封じるために何とか命中させようとし、エルフの方は攻撃を当てられた直後は武器で反撃し、攻撃を避けたラウンドは魔法を使い……という行動パターンになり、勝敗の行方は結局、戦士のダイス目次第、という泥仕合になりそうです。

3.術者は自ら集中を解くか、能動的な行動が行えない状況にならない限り、原則的に呪文行使の集中を維持できるものとする。

 これはかなりエルフに有利な裁定と言えます。
 まあ、昔のNOVAは、ややこしいルール処理をしなかったので、集中が維持できずに呪文行使が失敗するような局面は想定していなかった、と。そもそも、コンピューターゲームなんかでも、前衛で接近戦に巻き込まれているから、呪文が使えません、というシステムはあまり記憶にないし、いわゆる機械的な処理という奴です。
 こういう裁定なら、戦士は特別なオプション行動が許されない限り、エルフの攻撃呪文の火力にさらされたり、魅了や金縛りなどの1対1では割と致命的な呪文を受けたりして、実力を発揮できないまま力尽きて倒れることが予想されます。


 結局、問題になるのは、「戦士が殴ることしかできない」のに、その割には与えるダメージが伸びないキャラなので、一撃必殺というわけにはいかず、その「ただの殴りを続けることでエルフの呪文行使が封じれるかどうか」というDM裁定にかかってしまう点ですね。
 エルフ有利の裁定も、戦士有利の裁定も、それを決めるのはDMの一存なので、「エルフが絶対に戦士に勝つ」という結論には必ずしも至らない、と。
 なお、戦士がエルフにほぼ勝てる手段はあります。相手の呪文を封じれば勝てるわけですから、事前に「サイレンス(静寂)」の魔法をどこかの僧侶に頼んで、自分自身に掛けてもらうことです。そうすれば、接近戦を挑むことにより、相手を静寂空間に巻き込んで確実に呪文行使を封じることができます。
 そう言えば、実際に「サイレンスの呪文の掛かった矢」を相手の魔法使いに打ち込んで、呪文を封じる戦術も使われたりしたなあ。だったら、DMの方も対抗して、「君たちが見ていた魔法使いは実は幻影だった。本物は部屋の反対側に隠れていたのだ」とか策を講じたりしたことも。

 え? そんなのは、一対一の原則に反するって?
 そもそも、戦士は戦いが始まると武器で殴る以外のオプションは取れないのだから、いざ戦いに突入する前に、それぐらいの知恵は働かせないと。もしも、エルフが戦士のその作戦に気づいたなら、先に「ディスペル・マジック」(魔法消去)で静寂空間を解除してしまえばいい。
 そういう丁々発止のやり取りをあれこれ考えながら、勝利に向かって戦術を練るのが、上級D&Dプレイヤーの醍醐味という奴でしょうに。
 そのような想定なしに、ルールブックのデータだけ見て、「うわあ、エルフは剣と魔法の両方使えて、最強じゃん」と手放しに喜んでいるのでは、初心者の子供と変わりません。そんなことでは、高レベルプレイ経験者の名が泣くというものです。

★エルフの立ち位置

 まあ、今はルールブックも所有しておらず(何でも、いつぞやの震災で紛失したとか)、プレイ当時は小学生とか中学生だったと打ち明けてくれた相手に対して、こういうやり方でマウント取って勝ち誇るこちらも大人気ないと考えますので(でも、上級ゲーマーって、ルールを吟味して自分のキャラが勝てて楽しい状況をあれこれ考えるのを喜ぶ人種だと理解します)、
 ここは「一対一で戦って、どっちが強い?」的な子供みたいな想定もやめて、それよりも現実的な「仲間と協力して動く時のエルフの立ち位置」について考えましょう。
 この場合、エルフが前衛に立ちにくい大きな理由がありまして、それは「レベルアップが遅くて、HPが伸びにくい」というもの。鎧は戦士と同じ物が身に付けられて、良好なAC(アーマークラス)が実現できるものの、D&DのACって相手の命中率を下げる働きはするものの、ダメージそのものは軽減してくれないので、相手のラッキーヒット一発であっさり沈んでしまうような貧弱なHPでは、安心して前衛を任せることができないんですね。

 例えば、1レベル時のHPはヒットダイスの最高値、その後のレベルの上昇HPはヒットダイスの期待値という形でシミュレートした場合、キャラ作成時の戦士はHP8、エルフはHP6、魔法使いはHP4となります。まあ、この時点では、敵の与えるダメージも低く、十分なACがあればまずザコの攻撃は当たりませんから、よほどDMのダイス目が鬼でない限り、エルフは戦士と肩を並べて遜色なく戦えます。

 しかし、悲劇は経験値が2000から2500ぐらい溜まって、戦士、次いで魔法使いがレベル2に上がった時に訪れます。レベル2戦士のHPは8+4.5で12.5、早くもエルフの倍以上。貧弱で有名な魔法使いもHPが4+2.5で6.5。おや、エルフさん、君はまだ初期レベルのHP6かね。魔法使いにも負けるとは、それで前衛が務まるのかね。なお、魔法使い並みの貧弱さで有名な盗賊は、レベルアップがやたらと早いので、その時点でレベル3に一番乗りし、HPは4+5で9。まあ、それだけあれば一撃死は免れますね。

 エルフが頑張ってレベル2になれる経験値4000だとエルフのHP9.5に対し、戦士はレベル3でHP17。倍とまではいきませんが、それでも剣の一撃最大ダメージ程度の差は大きいかな。剣のダメージ期待値が4.5なので、エルフは2撃で瀕死の重傷なのに対し、戦士は3撃までは普通に耐えられて、あと1撃でまあ死ぬけれど、その前に僧侶が戦士優先で回復してくれるでしょうね。
 さらに経験値を稼いで5000に達すると、魔法使いがレベル3でHP9。盗賊はレベル4で11.5。僧侶はレベル3でHP13。この時点で、HPが一桁なのは、どうせ前衛には出ない魔法使いと、成長の遅いエルフのみ。
 ここから後は、エルフは「魔法使いの貧弱HPにかろうじて勝てた」と、自分を慰めながら、「前衛で戦士と肩を並べて戦うのは、私には無理みたい。敵が減るまでは、魔法使いの横で一緒に魔法支援したり、弓矢で後方支援しているわ。敵が魔法使いを狙ってきたときだけ護衛しているのがいいかしら。あ、敵がそろそろ減った? だったら安心して前に出て追撃のお手伝いするね」などと、戦況を見ながら、自分のポジションを臨機応変に判断することになります。
 「ヒャッハー、鎧が硬いから前衛行くよー」と喜んで勇み足になったエルフ君を待つ道は、戦士が「チッ、ラッキーヒットを受けて、HPが半減だ。これ以上は危険かもな」と冷静な判断をしている横で、「半減なんて甘いものじゃないですよ。ぼくなんて、残りHPが2です。死ななかったのが不思議なくらいです。こんな生活もう嫌だー」と騒ぐ羽目になるのが日常風景。

 そんな状況が続く中、とうとうエルフ君は経験値60万を稼ぎ、最高レベルの10に達しました。そして誇らしいHPは6+3.5×8+2で何と36点。これならレッドドラゴンの噛み付き攻撃(期待値18)だって、2発は……耐えられませんね。あまり無理はしない方がいいです。
 同じ経験値で、前衛エースの戦士さんはレベル12に達し、そろそろ領主か、パラディンか、ナイトか、アベンジャーか、人生の選択肢を決めている頃合いかも。HPは8+4.5×8+6で、50の大台に乗りましたよ。これならレッドドラゴンと殴り合いになっても、十分渡り合えそう。
 他の面々もざっと見ていくと、エルフ君のHPライバルの魔法使いさんはレベル11でHP26。まあ、だったら自分が守ってやらないとなあ、と庇護欲に駆られるエルフ君でした。
 いぶし銀の盗賊さんはスクスク育って、レベル12。もうすぐレベル13が見えてますよ。HPは魔法使い並みに見えて、実はネームレベル(レベル9以上)のHP固定伸び率がいいのでHP30。エルフ君はホッと胸をなで下ろし、上から目線で盗賊さんをチラ見しますが、エルフ君のHPが頭打ちなのに対し、盗賊さんはあと最大24のレベル成長、HP48点分の上昇を残しています。そろそろエルフ君の引退時が迫ってきたのかな。デミヒューマンは辛いよ。
 エルフ君と同じD6HPの僧侶さんは、順調にレベル13に達しました。レベル12辺りから、盗賊と僧侶の成長率に逆転現象が生じまして、盗賊の方がタフで、僧侶の方が成長が早い、という形になっています。HPはギリギリ、エルフ君を越えた38点。

 この時点でのエルフ君は、剣も魔法も両方使えるのはいいんだけど、HPではあまりにも戦士に及ばなすぎて、一緒に前衛に立つと、どんどんコンプレックスが募っていくばかり。
 エルフがいれば、戦士は必要ない?
 そういうことを言う人は、現実を舐めています。戦士の大切な役割「戦闘の最前線に立って、悪を遮る壁になる」をエルフ君は貧弱HPが祟って、代行することなんて到底できないんですよ。体を張って皆を守るなんて地味な縁の下の力持ちな仕事で、戦士や頑健ドワーフの向こうを張ろうだなんて、自分を見失っちゃいけない。
 君は所詮、何でも屋。だったら、その鋭い観察眼をフルに発揮して、戦況をしっかり見定め、自分の能力を十全に活用するタイミングを見計らうことこそが君の生きる道です。君一人が前線に立つことよりも、氷の壁でも立てて敵を足止めし、戦士君に襲いかかる敵の数を少しでも減らしてやることとか、狙われた魔法使い君のために飛び道具防御の呪文でも掛けてやるとか、時には魔法使いと一緒にダブル攻撃呪文で敵を一掃する快感を味わうとか、究極の遊撃兵として臨機応変に立ち回って、敵を翻弄することこそが、CD&Dエルフを知る者の考えだと思うのですが、いかがでしょうか?

 とにかく、エルフが戦士の代役を務められるか、と言えば、ザコ相手ならともかく、強敵戦ではレンガの壁になれない木の壁でしかなく、まあ、エルフは森の民だから木の壁の掘っ立て小屋である自分を意識して、その分、立ち位置を探りながら自在に動き回ることで、機動戦術を旨とするべきだと考えます。以上。