ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

コンパニオンへの道(戦士編)

 NOVAにとって、あまり追求して来なかったD&Dコンパニオンルール。

 

 この機会に再探求する中で、もはや単なる紹介記事じゃなくなったな、と思ったので、タイトル変更しました。正直、いつまで続くか自分でも読めないけれど、記事の一つ一つは興に乗って書けているわけで。

 

 前回は、コンパニオンルールで新しく紹介された武器だけで、いっぱい書けてしまったので、本命のアベンジャーまで辿り着けなかった。今回は、そこを目指すぞって決意で、「戦士編」って表記。

 

 しばしば、昔のD&Dで、戦士って職業は初心者向きで、行動の選択肢が少なく、熟練プレイヤーにとってはつまらない、という意見を聞きます。まあ、前に立って仲間を守りながら殴り合いをして、サイコロいっぱい振るだけで十分楽しめるので、実際のプレイ中に戦士がつまらないと感じる人は稀だと思いますが。

 プレイ前の準備期間などで、呪文使いだと呪文の使い方をあれこれ検討する楽しみ方がある。トレーディングカードゲームで、どのカードを組み合わせてデッキを作るか、ワクワクしながら考える感じですな。

 盗賊なんかだと、元の性能が弱い分、どういう風に立ち振る舞うか、あるいはネタ芸的なプレイをするか、遊べる余地がある。

 戦士の場合は、事前準備での選択肢もないし、脱線的な遊び(前衛の戦いを放棄して、遊び人的な半ばふざけたプレイをする)はパーティー全滅に即つながりますので、役割はきちんと果たさないとならず、その辺の自由さがガチガチに固定されている。

 

 まあ、 実体験では、戦士って結構プレイ中のテンションが高くなりがちなので、自然に発話回数も多くなって、リーダーシップも取って行きやすい。

 それに対して、特にクラシックのD&Dの場合、魔法使いや盗賊といった慎重さをロールプレイで求められる職業が、ゲームルール的にも軟弱で、普通にゲームしているだけで、怯えた慎重派な、ある意味、姑息で狡猾な役割演技もしっかりできるという効果があったりします。

 

「魔法使いはクールに振る舞わないと生き残れないから、自分が生き残って、かつ仲間の役に立つことを目指すなら、必然的にクールにならざるを得ない」というわけで。

 

★突然、ロードスリプレイ第2部の思い出

 D&Dの魔法使いは、クールで慎重でなければならない。これが鉄則。

 もちろん、これには例外もあって、ロードス島戦記のリプレイ第2部に登場した超絶美形魔術師のセシルは、顔に似合わぬ熱血漢で、積極的に前衛に立ってクウォータースタッフで相手を殴り倒すような強烈なキャラクターだった。
 これは、彼の能力値がHPに影響するコンスティテューション(強靭度)MAXの18で、毎レベルでHP+3される仕様。戦士のHPが毎レベル期待値4.5ずつ増えるのに対し、セシルの場合、期待値2.5+3の5.5ずつ増える計算で、実際、戦士のオルソンやシーリスに匹敵する、時には凌駕する打たれ強さを誇っていた。

 なお、ロードス第1部のパーティー構成は、戦士、ドワーフ、エルフ、僧侶、盗賊、魔法使いの割と王道パターンで、D&Dの紹介編という記事の目的もあって、無難な構成と言えた。
 一方、第2部は、「ロードスという作品そのものに固定ファンが付いた頃の連載」なので、D&Dの標準とは違ったヴァリエーションを見せ、第1部からの変化を模索していた。パーティー構成も結構いびつで、戦士×2(男女それぞれ)、ハーフリング、武闘派魔術師、美形盗賊の5人にNPCの女僧侶シャリーが加わる。そして、おっさんキャラや、エトみたいな地味な顔立ちのキャラがいた第1部と比べて、第2部の美形率ははるかに高い。マスコットキャラのハーフリングのマール君を除けば、全員がイケメン美少女という華やかさは、雑誌連載版の第2部がロードスリプレイ一番の人気作と信じる根拠の一つになっている。

 「黄金剣探索者のジルヴァー」という、その後、ロードス島ワールドガイドにも言及されない伝説の読者投稿採用キャラとか、
 あわや吸血鬼にされそうになってNOVAのドキドキ回路を大いに刺激したシャリーさんとか(彼女もゲームのデータは記載されているのに、ワールドガイド巻末の人名索引には載せられていない。彼女の師匠のホッブは普通にいるのによ。シクシク)
 いろいろとツボにハマったのに、小説やアニメでは第1部や第3部にスポットが当たるために、第2部の扱いはパーンの冒険行のおまけ程度で、いろいろなエピソードが半ば黒歴史化しているという現状。もう、ロードスには「黄金剣を知っているか」と誰かれ問わず尋ねて回る悪霊が出没していても、おかしくないぞ。
 もうね、NOVAの脳内では、「黄金剣探索者のジルヴァーと、吸血鬼になった美少女神官シャリーちゃんの珍道中」が妄想冥想しちゃいそうな、というか昔、しちゃったりもしたのですが、さすがに、それは自分のブログ創作のネタには扱いにくいので、ここだけの話に留めておきます。
 ロードス島戦記の失われし挿話として、ジルヴァーの冒険譚とか、シャリーさんの吸血鬼未遂事件とか、カシュー王に顔を奪われた傭兵隊長シャダムの裏話とか、そういう黒歴史をまとめた短編集を、小説刊行30周年を記念して出版されてもいいんじゃないだろうか、と、ここで言うだけ言ってみる。

 さて、実はロードスヒロインの中で自分が一押しだった戦神マイリーの神官戦士シャリーさんですが、元がNPCなので作者の水野さんも小説版では控えめに扱った感じで、自分的にはそこが不満材料だったのですが、彼女がNPCだったのが幸いして、セシルも積極的に前に出られたのだと思いますね。これ、僧侶役のプレイヤーがいたなら、回復に気を使わないといけないので、いくら能力値が打たれ強いからといって、ダメージの受けやすさは普通の魔法使いと変わらないセシルが前に出ることに対しては、きっと文句の一つや二つぐらい出てたと思うぞ。
 つまり、NPCのシャリーさんが控えめないい人だったおかげで(戦神の神官戦士なので、もっと強気な発言が多くても良かったのだろうけど、その辺の神のイメージと、信仰する神官のイメージがまだ固まっていなかったのだと思う)、シャリーさんが文句一つ言わない奥ゆかしい人だったおかげで、セシルは積極的に前に出る魔法使いとして、某ダークシュナイダー並みのキャラ立ちができた、と。

 小説版のセシルにも、その名残はあるけど、リプレイほどの強烈さはないですな。世界観に合わせた落ち着きが出ているというか。
 まあ、自警団の団長としては便利なキャラなので、自分もロードス関連のシナリオを書く際、積極的に使わせてもらったけれど。
 「本当は、俺が出て事件を解決したいところなんだが、魔法使いはおとなしく後方支援に徹して下さい、と周りのみんながうるさいもんでな。仕方ないので、君たちに事件の解決を依頼したいのだ。いいか、合言葉はキル・ケイオスだ」って感じ。
 そう、小説版のセシルは世界観に合わないので、「キル・ケイオス」という決め台詞を言わなくなったのが、リプレイ時よりも地味に見えるんだよな。

 とりあえず、クラシックD&D関連ということで、連載当時は屈指の人気作だったのに、諸事情で語られにくくなったロードスリプレイ第2部の話をたっぷり語ってみたぞ。
 火竜山の魔竜シューティングスターとか、カシューVSアシュラムのPC置いてけぼり頂上決戦だけは、今でも陽の目の当たりやすい大イベントとして、語り草になることが多いのだけどね。

★コンパニオンルールの素手戦闘

 さて、元々はこの記事、「戦士は戦闘時にとれる行動の選択肢が少ないけれど、コンパニオンルール導入によってそういう不満が一気に解消されるぞ。コンパニオンは何よりも戦士を強くするためのルールだ」という趣旨で書こうとしたんですね。
 それが、どうして、またまたロードス島に寄り道することになったのか、今年が30周年のメモリアルイヤーという事情はさておき、ええと、魔法使いなのに前衛に出てきて強烈な印象を与えたセシルが悪い、ってことでいいですかね。
 まあ、おかげで、NOVAのシャリーさんへの秘めたる想いを今さらながら語れたからいいや。で、シャリーさんはマイリー神官。マイリーの導きにより、戦士の各種の技について語るぞ。

 まず、素手戦闘ルールが一つ。
 武器を持たないときのダメージは基本、1点+筋力ボーナスなんですが、コンパニオンにおいて、「ストライキング」と「レスリング」の二つのルールが追加されます。
 ストライキングは、殴ったり蹴ったりの打撃攻撃。普通にダメージを与える以外に、前回の記事で書いた武器のブラックジャック使用時みたいな気絶(ノックアウト)や、スタン効果を狙えます。ボクシングのような格闘試合や、酒場でのケンカのような場面を演出するのに有効。もちろん、敵に操られた仲間とか、傷つけたくない相手を無力化させるのにも使えますね。まあ、魔法が使えるならホールドで動きを封じた方が早いと思いますが。

 もう一つのレスリングは、力づくで押さえ込むためのルールですが、複数の人間で一人の動きを封じることも可能なので、拡大解釈すれば、大勢の群衆に取り囲まれて揉みくちゃにされるシーンも再現できそうです。そして、このルールの面白いのは、「レスリングにおいては鎧は着ていない方が有利」なんですね。つまり、プレートメールをしっかり着込んだ戦士は一度つかまれて地面に押し倒されてしまうと、鎧の重さに邪魔されて、うまく相手を押しやることもできなくなってしまう。
 このルールで恩恵を受けるのは、実は戦士ではなくて、元々鎧の薄い盗賊だったりして。鎧の差で、普通に武器で戦った場合、戦士は盗賊に比べて20~25%の優位に立つ計算になりますが、これがレスリングの場合、逆転する。つまり、盗賊が戦士にダイス運などの事情抜きで勝つ可能性が高い手段として、レスリングが有効というわけですな。

 まあ、確かにレスリングする際に鎧をガチガチに着込んでいるのは、ロビンマスクとか、一部の限られた超人ぐらいだし、ロビンが鎧を装着する理由も「あまりにも強大な超人パワーを抑えるため」と説明されていますしね。

 すごいよ、D&D、キン肉マンの世界さえルールとして再現可能とは。こうなったら、二刀流×2倍のジャンプ×3倍の回転力で普段の12倍のパワーを発揮できるためのルールも、どこかにあるのかも、と錯覚したくなります(笑)。
 いや、本気でキン肉マンTRPG化するなら、D&Dが最適のシステムか疑問が残りますがね。運命の5王子とかD&Dのクラスにすると、マリポーサ=シーフ、ビッグボディ=ドワーフ、スーパーフェニックス=エルフ、ソルジャー=ファイターまではいいとして、キン肉マンゼブラをどの職業にすればいいか悩むし(技巧でシマウマなんて職業が思いつかん)、そもそもキン肉マンの火事場のクソ力をどうルール化しようとか、いろいろ困りそう。GURPSキン肉マンなんかは、マーシャルアーツとヒーローズ(日本の妖魔夜行の元ルール)を組み合わせれば何とかなるかもしれないけど、そもそもTRPGキン肉マンをプレイしたい人がどれだけいることやら。
 だけど、実はイモータルルールの概要をチラチラ他所で読んだりすると、神さまがこの世の超人のパトロンになって強大な力を与えるキン肉マンの王位争奪戦なんかがイメージできるのですわ。ここだけの話。イモータルは、冒険ミッションをこなすことで「パワー」と呼ばれるポイントを稼ぐというルールもあって、何だか超人一人を倒すごとに1万パワーを得て、ついには1000万パワーに達したバッファローマンも再現できそうだし、そもそもD&Dで言うところのミノタウロスですからね、バッファローマンは。

 他にも、鎧を脱げば強くなる龍星座の紫龍なんてのも、D&Dのレスリングルールと相性がいいのかも。廬山亢龍覇なる相手を押さえ込むレスリング技も持ってるし(敵と一緒に自滅しちゃうけど)、そもそもドラゴンを模した鎧とか、聖剣エクスカリバーとか、ファンタジー要素と相性のいいキャラだったり。
 D&DとかGURPSを改造、調整して、星矢RPGとか、ドラゴンボールRPGとか、キャプテン翼RPGなんかを試しに作ってみるってのも、ゲームデザイナーの修行になったなあ、と思いつつ。まさか、それらの80年代に一世風靡したマンガ作品群が、30年後も現役の話題として通用する未来が来ることだけは予想していなかったけど。

★ファイターのコンバットオプション

 話が脱線したので、小見出しを書き換えて、改めて仕切り直しのための項目立て。

 D&Dのファイターには、戦闘のための選択肢が少ないというのが、エキスパートまでのルールでした。それでも一応、エキスパートルールでも、二つだけ追加ルールが加えられています。
 一つは、軍馬に乗ってランス(騎乗槍)で突撃して、2倍ダメージを与えること。つまり、十分な広さ(20メートルの助走距離)と馬さえ確保できれば、D10の倍ダメージ、最大で20ポイントのダメージを与えることが可能と(期待値は11点)。
 もう一つは、突撃してきた敵に対して、スピアを構えてカウンターダメージ。これも2倍ダメージですが、スピアが基本ダメージD6なので、最大でも12ダメージにしかなりません(期待値は7)。
 これら二つのオプションは、うまく状況がハマれば、それなりに強いのだけど、前者は野外でないと使えず、機動戦術になりますので「ファイターの仕事である前衛の壁」を放棄することになります。他に壁になってくれる仲間がいるなら、自らはダメージディーラーとして戦場を縦横無尽に駆け回ることも可能でしょうが、ダンジョン内ではどっちにせよ使えないわけで。
 後者は、そもそも敵の方から突撃して来ないと使えないうえに、突撃して来る敵なんて限られている(ルールに明記されているのは恐竜のトリケラトプスぐらい)。この辺は、ルールをDMが拡大解釈して、ミノタウロスとか、猪(ボア)とか、長い角や牙を持つモンスターは突撃2倍ダメージを与え得ると決めた上で、「こっちの突撃に対して、そちらもスピアのセットが可能だね」ぐらいは示唆しないと、まあ、プレイヤー側もルールの使用タイミングがつかめないんじゃないかな、と。いずれにせよ、相手の動きに対する受動的な対応なので、プレイヤーの方から積極的に使える技ではないことに変わりありません。

 そうしたエキスパートの使いにくい行動オプションと違い、コンパニオンとかマスタールールでは、戦士の取れる選択肢が一気に広がっており、「魔法使いや僧侶などの呪文職に比べて戦士は優遇されていない」というツッコミは、明らかにルールをきちんと理解していない間違いだと言わざるを得ません。むしろ、ルール的にも、世界観的にも、コンパニオンルールは戦士を中世の騎士、領主として振る舞えるように構築されたシステムなのに、そこのところを理解せずして、何のためのコンパニオンルールか、と。
 コンパニオンにおける魔法使いや僧侶は呪文の研究や信仰の探求に専念して内向きに引きこもる方向に成長する(まあ、僧侶の方は神権政治という戦士と似たような世界を目指すことも可能)のに対し、戦士は封建領主として世界の中で地位を固めることも可能というか、コンパニオンルールの半分はその手のルールだというのに(まあ、西洋中世史に興味がなかったのでしょうな、コメントの人は)、不遇なのは盗賊とかデミヒューマンかな、と思います。
 盗賊は、盗賊ギルドの長になるという道が示唆されているにも関わらず、「盗賊ギルドに関するルール」は何も語られていなくて(DM用のルールにも)、要はDMのルールを越えたファンタジー小説や歴史の勉強次第だと。また、この辺は、AD&Dとか、ガゼッタなどの地域別ワールドガイドで詳しく語られていることもあって、盗賊を堪能したければ、そちらでサポートされている情報が必要なのに、日本語には訳されなかったという事情もあります。まあ、コンパニオンだけでも、先述の特殊武器やレスリングの活用などで、盗賊にも新しい遊び方の可能性が広がったのも事実ですが、まだ技能ルールも採用されていない初期のゲームシステムのため、盗賊の多芸っぷりも十分でなく、今の目から見れば、過渡期だったためまだまだ不遇な扱いだったと言わざるを得ません。
 また、デミヒューマンは、自分の種族の中での地位とかがルールに書かれていて、これって要するに、人間社会での冒険活動からは足を洗って、引退しなさいと示唆している感じですね。そもそも、デミヒューマンイモータルを目指すことができるのか、ということさえ、明らかにされていないわけで。この辺のデミヒューマンサポートも、クラシックD&Dではガゼッタ頼りだったのだと考えます。唯一、日本語版が出たガゼッタの種族資料集『アルフハイムのエルフ』を読んでの初感想は、「このルールがなければ、D&Dのエルフは完成しないよな」と。
 人間社会に残留することを選んだデミヒューマンは、以降、人間たちの騎士文化の中で立ち位置を模索しながら、己の戦闘技術を磨いていくことになります。

 一方、戦士には本当に充実したサポートが為されたおかげで、コンパニオンの「仲間」というのは、『アーサー王伝説』の円卓の騎士たちのような騎士仲間のことを指すのではないかと推測できるほど、戦士を堪能するためのルールということができます。
戦士には、「パラディン」「ナイト」「アベンジャー」の三つの旅人コースと、「土地持ち封建領主=ロード」の定住コースが用意され、そういう人生の選択を為した者たちのみ特殊な武芸を学ぶことが可能です。

 まあ、これまでどおり「一介の冒険者集団の武器攻撃担当」という筋肉バカから「神への献身」「名誉ある探求の旅」「復讐への誓い」「民への責任」のいずれの道に生きるかを選びとることで、覚悟完了して強くなるわけですな。自由気ままな御気楽稼業じゃ、戦闘奥義なんて身に付けることもできないよ、というゲームシステムのデザイン思想が見え隠れしたり。

 以下は、そういうファイターおよび、デミヒューマンのナイト職のみ許された強力な戦闘オプションです。

⒈マルチアタック(複数攻撃)

 AD&Dや新世紀D&Dでは、6レベルぐらいで普通に身につくマルチアタックが、クラシックD&Dではレベル12になってようやくという遅さ。まあ、最大レベルが近年のD&Dが20レベルぐらいだと考えるなら、レベル36MAXのクラシックD&Dは成長が遅くて、半分ぐらいのペースかと考えられるのですが。
 ただし、このマルチアタックにも条件があって、命中判定のダイス目が2でも当たるときのみ複数攻撃可能という。ええと、これがどれぐらい有効かは他のデータと組み合わせないと判断できないので、そういうデータを用意してシミュレートしてみます。

 まず、戦士の筋力による命中ボーナスを+2と設定。能力値にして16か17で、最強の18(ボーナス+3が得られる)には一歩及ばないまでも、それなりに優秀。
 次に、使用武器にも+2の魔法ボーナスをあげます。コンパニオンレベルの戦士なら、これぐらいは持っているだろう、というDM判断。
 すると筋力+武器で+4のボーナスが得られるので、ダイス目2でが出た場合、命中判定は6という結果になり、レベル12戦士の命中表を見ると、AC7まで命中。ゴブリンのACは6で、当時のD&DのACは数字が低い方が良いので、つまり、この戦士の能力ではゴブリン相手にすらマルチアタックが使えないというわけですね。ダメじゃん。
 動きの鈍いゾンビならAC8だから2回攻撃可能だぞ。AC7のスケルトンでもいいな。まあ、雑魚モンスター相手なら、わざわざ2回攻撃に頼らなくても、あっさり倒せるわけで。ベーシックルール所収のモンスターで、そこそこHPが高い強敵で、しかもACが良くない奴は……あ、いたいた。HD5のAC8のグリズリーベア(灰色熊)なら、覚えたての2回攻撃のちょうどいい練習相手になりますな。他には、鎧を着ていない高レベル魔法使い相手なら結構有効。
 エキスパート所収のモンスターなら、まずラクダ。それから馬に、巨大ガエル。何だか動物ばかり虐待している戦士をイメージします。情けない。
 本命のコンパニオン所収なら、おお、まともなのがいた。AC9、HD8のマッドゴーレムというのがいた。泥ゴーレム相手なら、当てやすいし、タフだし、戦士の2回攻撃の絶好のターゲットだ。

 うーん、レベル12で2回攻撃ができるようになったばかりだと、ターゲットとして有効な相手が結構限られるので、あまり使いこなせないような気がします。
 まあ、1か2ぐらいの差なら、魔法で命中にボーナスを受けたり、相手のACにペナルティーを与えるなどの仲間の支援があれば、一気に有用になる可能性もありますな。一人では使いこなせない技も、仲間のちょっとしたフォローで一気に花開く。これぞコンパニオンってことかも知れん。
 さらに、レベルが1つ上がって13になると、AC5まで通用するようになるので、ゴブリンはもちろん、オーク、バグベアー、ミノタウロス、オウルベア、リザードマン、ガーゴイルドッペルゲンガーなど有効なモンスターが一気に増えて、さらに各種クマなど動物相手だっていろいろ虐待できます。ただし、装甲の硬い大アリとか巨大カブト虫とかはAC3や4を誇るので、もう3レベルの成長が必要となります。
 戦士の命中率はレベル3ごとにAC2ずつ良くなるので、レベル16にもなるとAC3で、この辺りまで育つと、まあ割と何とかなるかと思いきや、コンパニオン所収のモンスターは動物系の追加を除けば、AC0とかマイナス数字がいっぱい見られるので、複数攻撃したい強敵に限って通用しないという憂き目に。
 なお、因縁の相手であるレッドドラゴンですが、ACマイナス1を誇りますので、複数回攻撃を仕掛けるにはレベル22が必要。これぐらいレベルを上げて、ようやく一騎討ちで倒せるような気がする。

 なお、さらにレベルを上げて、レベル24になれば3回攻撃、レベル36MAXになれば4回攻撃も可能。
 ところで、ロードス第2部のD&Dリプレイだと、アシュラム配下の戦士勢が2回攻撃してきたけど、あれは本来のD&Dの戦士のルールには沿っていなかったことが今さら判明した。モンスターデータだったら、普通に低レベルでも複数攻撃してくるし、そういうデータ構築をしたのか、あるいは当時はコンパニオンルールは未訳だったから、複数攻撃のAC条件のルールを見落としていた可能性がありますな。
 まさか、30年ほどを得て、ロードスのルール運用のミス(?)を発見してしまうとは、自分がコンパニオンレベルのルール検証を今まで怠ってきたことが実感できたというものです。

⒉スマッシュ(強打)

 コンパニオン戦士が攻撃力を上げるための最強の切り札。
 イニシアティブを失い、命中にマイナス5のペナルティーを受ける代わりに、武器の普段のダメージに、さらに筋力そのものの数値(ボーナスではなく)を加算することが可能。先程のデータの戦士であれば、対レッドドラゴン戦でレベル12の時でも、ダイス目15を出せば、通常の剣のダメージ期待値4.5にボーナス+4で8.5、それに筋力16とか17を加えて、一気に20点以上のダメージを与えることができる。
 ダイス目10以上でちまちま当てて行くか、15以上で一気に大ダメージを狙っていくか、こういう選択行動が取れるだけでも、戦士としては随分と楽しくなると思います。

⒊パリー(受け流し)

 いわゆる防御専念。相手の命中を4下げます。
 ダメージを与えるのは、他の仲間の魔法や飛び道具に任せ、自分はひたすら壁役に徹するとか、相手の足止めに専念しての時間稼ぎとか、仲間の回復が追いつかないときの生き残り戦術とか、そういう局面でこういう選択行動を取れると、プレイ巧者の域に達したな、と感じます。

⒋ディザーム(武器落とし)

 武器を持っている相手の武器を弾き飛ばす格好いい技。
 まず、相手に攻撃を命中させます。その後、双方のDEX(器用、敏捷力)ボーナスでプラスマイナスの修正をした後、相手のDEXより大きい目を20面ダイスで出せば成功。
相手のDEXが平均並みの10か11なら、半々ぐらいの確率で成功するので、結構、有効だったりします。そして、弾かれた相手のメインウェポンを待機していた盗賊やハーフリングがすかさず拾い上げて、そのまま持ち去ったりすれば、相当有利な戦いが展開できそうですな。
 その場合、相手も同じことを狙ってくる可能性は十分ありますが、するとレスリングに持ち込んで……という展開もありでしょうな。その場合に備えて、鎧はガチガチに着込むのではなく、せいぜい鎖帷子程度に留めて、レスリングで有利になれるようにする。
 当然、このオプションは戦士でなく、ハーフリングが実行することもできるのだし、うまく決まれば、相当格好いい場面を演出できるってもの。クラシックD&Dにおける軽装戦士の有用性は、あまり意識したことがなかったけど、ここまで記事を書いてきて、初めて理解した気がします。

 とりあえず、ちょっとした感動を覚えている段階で、当記事は締めるとしますか。
 次回は、ようやくアベンジャーなどの戦士、いや騎士の生きる道に関する話。(完、あるいは次記事につづく)