★初バトル
ガイド役NOVA「前回は、パグマイアの王都を2台の馬車に乗って、辺境のソード・コーストへ向けて旅立った一行が、ゴブネズミの奇襲に遭ったところまでだったな」
ハンターのバリー(アスト)「調子に乗って、荷馬車レースなんてものをしてしまったために、先行して勝ったオレたち3匹だけで、先にゴブネズミと戦う羽目に陥ったんだ」
NOVA「前回の感想だが、ダイアンナのダイス目が凄いな。レースで20を出してチームの勝利に貢献するし、ゴブネズミの罠にも19を出して気が付くし」
アーティザンのルビー(ダイアンナ)「一応、花粉症ガールの系譜に位置する女だからね、あたしは。基本的に花粉症ガールはダイス目がいいという伝統があるのさ」
NOVA「確かに、晶華も、ヒノキ姐さんもダイス運は良さそうだな。1号の翔花はプレイ経験が少ないので、よく分からんが」
ガーディアンのモッサ(触手キング)「とにかくバトル開始と行こう。戦闘マップはどうなってる?」
NOVA「基本的に文字情報だけのブログなので、戦闘は略式で行う。ソード・ワールドの基本戦闘ルールや、昔のウィザードリィみたいに前衛と後衛に分かれて、細かい移動はなし」
バリー「機会攻撃や遮蔽のルールはどうするんだ?」
NOVA「前衛から後衛に逃れたりする際に機会攻撃を受けるものとする。相手の前衛を突破して、後衛に切り込むことは想定していない。あと、遮蔽は前衛1匹が後衛1匹を守る際に機能するとする」
バリー「つまり、前衛の数が後衛と同数以上なら、後衛は安心ということだな」
モッサ「吾輩はもちろん前衛でごわす」
バリー「3人だけなら、オレも前に出た方がいいな。弓ではなく、グレートソードを構えるぜ」
ルビー「では、あたしが後衛で援護する」
ストレイのアイアン(鉄太郎)「私たちが駆けつけるまで持ちこたえてくれよ」
シェパードのフリーダ(リバT)「怪我しても、私めが回復してあげますからね」
バリー「たかがゴブネズミ相手に、遅れはとらないぜ」
★1ラウンド目
NOVA「敵味方の配置はこんな感じだな」
敵後衛 ゴブ弓兵A ゴブ弓兵B
(7) (7)
敵前衛 ゴブ刀兵C ゴブ刀兵D
(7) (7)
味方前衛 モッサ バリー
(12) (11)
味方後衛 ルビー
(8)
ルビー「カッコ内はそれぞれのHPだね」
NOVA「パグマイアでは、スタミナと言うんだけどな。戦闘の簡略化と、記事の分かりやすさのために、敵のスタミナも公開情報にする」
バリー「どっちが先攻だ?」
NOVA「敏捷判定で一番、高い者から攻撃が始まる。ゴブネズミは(コロコロ)12だ」
バリー「オレは11。くっ、出遅れた」
ルビー「あたしは20だよ」
モッサ「14でごわす」
バリー「シクシク、スピードAの名が泣くぜ」
NOVA「20面はダイスの振れ幅が大きいからな。じゃあ、最初はルビーからだ」
ルビー「とりあえず、エレメンタル・レイを撃つよ。女帝のカードを掲げると、そこから赤い光がほとばしり、炎の熱で相手を焼くということで。目標はバリーの前の刀兵D。命中ダイスは出目16に+4して20」
NOVA「こちらのDC(ディフェンス・クラス)は15なので命中。ダメージをくれ」
ルビー「D8振って、ダメージは4」
NOVA「残りスタミナは3だな。では、ルビーは次に攻撃する者を指定してくれ」
ルビー「どういうことだい?」
NOVA「パグマイアの戦闘では、攻撃順は初手を除いて固定されていないんだ。手番が終わった者が次に行動する者を指定することができる」
ルビー「だったらバリーを指定して、とどめを刺すように言えるわけか。やれ、バリー」
バリー「おお、誰か一人が先手を取れれば、他のダイス目が低くても問題ないわけだな。攻撃するぜ」
NOVA「ちょっと待った。フォーチュン1つ渡して、ゴブDが割り込みを仕掛けるぞ」
バリー「何だ、そりゃ? だったら、こっちもフォーチュンを消費して、割り込みし返す」
NOVA「割り込みに割り込みはできないんだ。大人しく殴られておきなさい。(コロコロ)命中は22。シミターで斬りつけて、ダメージは4点」
バリー「ぐはっ、残りスタミナは7点だ。こっちは回避できず、ダメージ素通しなのがD&Dの恐ろしいところだな。クラシックD&Dなら、すでに重体だった」
NOVA「ゴブDはゴブCを指定して、モッさんに攻撃。命中は17」
モッサ「DCは18だから、カーンと弾き返した。さすがは誇らしきゴランドアーマーよ」
NOVA「では、ゴブCはゴブAを指定して、モッさんに弓矢を放つ」
バリー「おいおい、連続攻撃かよ」
NOVA「フォーチュンで割り込みを仕掛けてもいいんだぜ」
バリー「そうさせてもらう。とりあえず、目前の敵をグレートソードで斬り裂く。命中は12」
NOVA「当たらないな。次は?」
バリー「モッさんに回す」
モッサ「では。(コロコロ)20でごわす」
NOVA「クリティカルじゃないか。ダメージダイスが倍になる」
モッサ「D8が2個振れるのでごわすな。3が2回で、さらに+5して合計ダメージは11」
NOVA「ゴブネズミCは強烈な斬撃で、真っ二つに切り裂かれた」
ルビー「やはり、このお巡りさんには逆らわない方がよさそうだね」
モッサ「うお、捕縛するつもりだったのに、とどめを刺してしまった。大人しく降伏しろ。こうなりたくなかったらな」
NOVA「一応、このラウンドの攻撃はさせてもらうから。モッさんへの弓は13で外れ。最後の1匹はランダムで的を決めよう。奇数でモッさん。偶数でバリー。20が出たらルビーってことで、17奇数。モッさんを狙って命中は、よし19キター。ダメージは7点」
モッサ「ぐおっ、鎧の隙間に矢が突き刺さった。残りスタミナは5点でごわす」
バリー「狙われたのがオレだったら、スタミナ0で倒れていたな」
NOVA「さあ、2ラウンド目だ」
アイアン「ちょっと待った。私たちは馬車に乗って駆けつけてくる最中だが、前方で戦っているのは分かるんだよな。だったら、遠くからアイスラッガーを投げて支援することはできないだろうか」
NOVA「射程60フィートは、およそ18メートルか。だったら可能っぽい。だけど、距離があるので、命中は不利になる。つまり、2回振って両方当たりにならないといけない」
アイアン「当たればラッキー程度で、アイスラッガーを投げる。目標は傷ついているゴブD。命中は17と9か。惜しい。不利じゃなければ当たっていたのだが」
NOVA「では、アイスラッガーという名のハンドアックスがギュルギュルと回転しながら、ゴブネズミDの頬をかすめて、近くの地面にザクッと突き刺さる。ビクッとなったゴブネズミは、そちらを見て新たな敵の襲来に気付く」
フリーダ「今です。セイクリッドフレイムを放ちます」
NOVA「え?」
フリーダ「この呪文も射程60フィートなので、当然届きますよね(ニッコリ)」
NOVA「ああ、確かにそうなるな。ええと、その呪文はこちらが抵抗するから、13以上で抵抗。(コロコロ)ダメだ、5しか出ない。ダメージを下さい」
フリーダ「7点」
NOVA「眩しい。目が、メガーーーッと叫んで、ゴブネズミDは聖なる光で焼け死んだ」
フリーダ「醜い生から解放して差し上げましたわ」
★2ラウンド目
NOVA「では、改めて2ラウンド目に入る。後衛ゴブネズミは弓をシミターに持ち替えて、前衛に出てくる。駆け付けてきたアイアンとフリーダはこのラウンドから正式に配置すると、こんな感じだ」
敵前衛 ゴブネズミA ゴブネズミB
(7) (7)
味方前衛 モッサ バリー アイアン
(5/12) (7/11) (15)
味方後衛 ルビー フリーダ
(8) (9)
残りフォーチュン:4
バリー「アイアンの旦那と癒し手さんが駆けつけてくれたのが心強いな。さて、行動順はどうなるんだ? もう一度、ダイスを振るのか?」
NOVA「いや、前ラウンドの最後に行動したフリーダが指定してくれていい」
フリーダ「私めですか? では、そうですね。味方を指定すると、敵の割り込みに合うと思いますので、敵を指定して、ルビーさん、割り込んで下さい。マジックミサイルで集中攻撃すれば、確実に1匹を仕留められるのではないでしょうか?」
ルビー「クレバーな戦術だ。では、割り込みフォーチュンを使っていいだろうか、リーダー?」
モッサ「吾輩は承認するぞ。他の者も異論はないな。では行ってくれ、女帝どの」
ルビー「マジックミサイルは絶対命中。D4+1の魔法の矢が3本、ゴブネズミAに突き刺さる。ダメージは3点、4点、3点の合計10点」
NOVA「ゴブネズミAはゴブーッと悲鳴を上げて絶命した」
ルビー「次はバリーを指定するけど、どうせ割り込んで来るんだろう?」
NOVA「ああ、フォーチュンをどうぞ。ゴブネズミBが狙う相手は前衛3人からランダムに選んで、バリーだな。17と言って命中。ダメージ7点」
バリー「ぐわっ。ガイドよ。お前はオレに恨みでもあるのかよ。バタンと倒れて気絶した」
NOVA「恨みじゃなくて、ダイスの結果だから恨むなよ。じゃあ、誰を指定するかもランダムに決めよう。ええと、モッさんだな」
モッサ「よくもバリーを。仇は必ず討つぞ。命中は17。ダメージは8」
NOVA「チュチューンと断末魔の悲鳴を上げて倒れた。はい、これで戦闘は終了だ」
フリーダ「倒れているバリーさんに、キュアして差し上げますわ。はい、スタミナ11点回復。あと2回使えます」
バリー「すまねえ、助かった。たかがゴブネズミと油断しちまったぜ」
モッサ「癒し手どの、吾輩にも回復をお願いできるかな?」
NOVA「パグマイアでは、スタミナダイスを使って自力回復もできるぞ。モッさんはガーディアンなので、1日1回D10+耐久ボーナス分のスタミナを回復できる」
モッサ「それは戦闘中も可能なのか?」
NOVA「いや、戦闘後の小休憩の時だけだ」
モッサ「ならば、呪文は戦闘時にとっておけ。吾輩は自力回復を試みる。ムンっ、よし、11点回復したでごわす」
アイアン「地面に刺さったアイスラッガーを回収して、辺りに危険な気配が残っていないか、周囲を警戒するぞ」
ルビー「ここからは慎重に進めた方がいいみたいだね。目的地のワンダリンまでは、あとどれぐらい掛かるんだい?」
NOVA「支給されていた地図によれば、今夜までには到着できるだろう」
モッサ「ところでガイドどの。支給品を一つもらえるという話だったが、今、欲しい物ができた」
NOVA「何だ?」
モッサ「ゴブネズミのような小悪党相手に、剣だと加減ができずに殺してしまうので、捕縛用に鞭(ウィップ)をくれないだろうか。鞭で相手を倒した場合には、殺害ではなく捕縛できたということで」
NOVA「鞭のダメージはD6だから剣よりも弱いぞ」
モッサ「もちろん、強敵相手には剣を使う。だが、知的生物相手なら捕縛して情報収集できるかもしれないからな。吾輩たちがどうしてゴブネズミの待ち伏せにあっていたのか、少し気になったもので」
NOVA「分かった。じゃあ、モッさんは今、鞭を持っていたことを思い出したことにしよう」
モッサ「かたじけない。次にゴブネズミが襲撃してきた時には、背後に大掛かりな野盗集団がいるかもしれんからな。ゴブネズミがたった4匹だけとは考えにくい。おそらくは、ただの先遣部隊ではなかろうか」
バリー「お巡りさんは、意外と心配性なんだな。だけど、その推理には一理あると思うぜ。ゴブリン、いや、ゴブネズミは群れを作ってるものだからな」
ルビー「ところで、戦利品みたいなものはないのかい?」
NOVA「目ぼしいものはないな。せいぜいショートボウ2つと何本かの矢ぐらい」
モッサ「一応、飛び道具を持たない吾輩が持っておこう。遠距離戦で必要かもしれないからな」
アイアン「それなら私も。アイスラッガーは投げても帰って来ないので、予備の飛び道具が必要だ」
バリー「敵から奪った武器を活用する。気分はゴブリン、いや、ゴブネズミ・スレイヤーだな」
★襲撃の跡地
NOVA「では、ゴブネズミの襲撃を切り抜けた君たちの馬車だが、御者のアイアンとバリーは道の先の異変に気づく」
バリー「またかよ。一体、何だ?」
NOVA「2頭の馬の死体が倒れている」
アイアン「馬? 乗用馬か? 馬車ではなく?」
NOVA「うん、馬車ではないね」
バリー「さっきの襲撃があるからな。慎重に荷馬車を近づけるぜ」
モッサ「ある程度近づくと、馬車から降りて直接この目で見るとしよう。もちろん、周囲への警戒を怠らない」
NOVA「モッさんは、馬のそばに一本のウォーハンマーが転がり落ちているのに気がついた。どうやら鍛治師ゴランドが愛用していたハンマーのようだ。他にも、馬の鞍に付けられた手荷物袋は、ゴランドの物だと断言できるね」
モッサ「ゴランドが襲撃された。そう考えていいのだな?」
バリー「馬車を止めて、オレたちもモッさんの近くに行くぜ。一人だけというのは危険だからな」
NOVA「弓使いのバリーだったら気付くだろうな。馬の死体には矢が突き立っていて、その黒い矢羽が特徴的なデザインをしている。つまり、先ほどのゴブネズミが使っていたのと同じものだ」
バリー「襲撃はいつか分かるか?」
NOVA「〈探索〉判定をしてもらおうか」
バリー「それなら得意技だ。(コロコロ)9」
NOVA「それじゃ、よく分からない」
フリーダ「ガイドさん。私めは《鋭き観察眼》の芸を持っておりますが、役に立ちませんか?」
NOVA「それは視覚、嗅覚、聴覚の判定を有利にするものだな。判断力のボーナスを付けて、2回振って大きい出目をどうぞ」
フリーダ「判断力は得意ですの。16が出ましたわ」
NOVA「十分だ。辺りに微かに漂った血の臭いから、馬たちは死んでからおよそ1日が経過していると推測できる。さらに周辺には、10匹以上のゴブネズミ集団の足跡、犬の足跡が2種類、それに犬やネズミよりも大型の人型生物の足跡も見つかったね。犬の足跡は強引に引きずられたらしく、道外れの茂みの奥の森に消えて行ったようだ」
フリーダ「大型の人型生物って何ですの?」
NOVA「それを知るには〈自然知識〉の判定が必要だね」
アイアン「〈自然知識〉か。あまり高くないが、持っているので挑戦してみよう。よし、出目18で+1して19だぞ」
NOVA「乱暴なアナグマの物だと分かった。アナグマはネズミとは違う種族だけど、激しい気性でネズミを脅して配下に従えることもある、とアイアンは知っていた」
アイアン「だったら、みんなにそう説明しよう。恐らく、アナグマ率いるゴブネズミの野盗集団がこの近辺にはびこっているらしいな」
モッサ「引きずられた犬の足跡は、ゴランドと護衛の物か? 一刻も早く助けなければ」
ルビー「あたしは反対だね。10匹以上のゴブネズミだって? あたしたちはさっきの戦いで呪文を使ったし、まもなく日も暮れるんじゃないか。夜道を足跡追跡できるのかい? 夜目の利きそうな相手にうまく立ち回れるのかい? それに、あたしたちの仕事はまずワンダリンの街に荷馬車を届けることだろう? 先に街に行くのが筋ってものじゃないか」
モッサ「しかし、急がねばゴランドの命が……」
ルビー「殺されるなら、とっくに殺されてるさ。襲撃から1日も経っているんだからね。わざわざ引きずって行ったということは、何らかの利用価値があるってことだろうから、そう簡単に殺されるとは思わない。あたしたちはこれから街に行き、この野盗集団の情報を集めて、一晩休んで万全の態勢を整えた上で、明日の日中に野盗の本拠に踏み込む。そうでなければ、下手するとこっちが返り討ちになりかねないだろう。あたしたちが失敗すれば、誰も助けられないんだよ」
アイアン「確かに暗中模索で進むのは危険が大きい。確実を期するなら昼間だろうな」
フリーダ「急がば回れ、とはヒトの神の聖典にも書かれております。急いては事を仕損じる、とも。その代わり、絶対に捕まった方を助けに行くことはお約束します。不当な拘束からの解放は、私めの使命なのですから」
バリー「そういうことだ。まあ、捕まったのが、か弱い女の子だったら話は別だけどな。その場合は一刻も時を争うと思うが、おっさん二人だったら急ぐ必要はないだろう……って、ガイドよ。護衛の犬がドジっ娘ってことはないだろうな? ちっとも護衛の役目を果たせていないみたいだが」
NOVA「お前も人のことを言えないじゃないか。今回の話で判定に成功した試しがないし」
バリー「うるせえ。オレには仲間がいる。その護衛はたった一匹で大丈夫なのか? それだけ強いって設定なのかよ?」
NOVA「名前はシルダー・ホールウィンター・ドーベルマン。モッさんの先輩にあたる元警察犬で、今は重要人物のセキュリティーガードをしているという話だ。スタミナだけでも公開しておくと27だ。しかし、そんな彼でも数の暴力には勝てないんだよ」
モッサ「吾輩の先輩で、それだけのスタミナということは、レベル3ぐらいはありそうでごわすな」
アイアン「おそらく、ボスのアナグマ相手に一騎討ちで挑んだものの、配下のゴブネズミがゴランドを人質にとって、やむなく降伏したのだろう」
NOVA「まあ、そんなところかな(勝手にシルダーのキャラが創られてるし)。とにかく、リーダーのモッさんに選択を突きつけよう。このまま夜道を足跡追跡して、当てもなくゴブネズミの拠点を探し回るか? それとも一度、ワンダリンの街に荷車を運んでから出直すか?」
モッサ「仕方ない。苦渋の決断で、仲間の意見に従うでごわす。しかし、待ってろ、ゴランドのおやっさん。必ず、必ず救い出すからな!」
NOVA「はい、一連のロールプレイにフォーチュン1つ渡して、次回はワンダリンの街に到着だ」
(当記事 完)