ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

1stダンジョン、ラストバトル(ワンデルヴァー8話)

★今回は最初からクライマックスだぜ

 

 

ガイド役NOVA「では、君たち開拓団の一同は、ゴブネズミの部屋を無事に通してもらい、ついにボスのクラーグの部屋の前に到着した」

 

バリー(アスト)「いよいよ、最初のシナリオもクリアできるわけだな」

 

モッサ(触手キング)「ゴランドはすでに別の城に連れて行かれた後なので、続きのシナリオをプレイしないといけないわけだが」

 

NOVA「連作キャンペーンシナリオだと、最初の目的を果たすのに、ずいぶん時間が掛かったりするからな。昔、AD&Dのシナリオで、行方不明の女の子を探すキャンペーンをプレイヤーとして始めたんだけど、シナリオ3つを終えても、まだ女の子が見つからなくて、結局、DM都合でその後が続かず、女の子が行方不明のまま消化不良に終わったことがあったんだ。人探しのシナリオが一回で解決しないのは、なかなか気に病むものがあるわけで」

 

ルビー(ダイアンナ)「あたしとしては、人探しよりも、さっさとお宝探しに邁進したいんだけどね」

 

NOVA「宝ねえ。まあ、ボスキャラを倒せば宝が手に入るのは定番だからねえ。頑張って下さいな」

 

アイアン(鉄太郎)「では、部屋の扉を開けて、素早く戦闘態勢を整えるぞ」

 

フリーダ(リバT)「ちょっと待って下さい。先にブレスの呪文を唱えますから。今から1分間(6ラウンド)、アイアン様とモッサさん、バリーさんは攻撃ロールに+D4できますので」

 

ルビー「あたしは?」

 

フリーダ「すみません。この呪文は3匹までしか掛かりませんので」

 

ルビー「そうかい。まあ、ボス相手なら絶対命中のマジックミサイルを使えばいいか」

 

NOVA「では、扉を開けて、早速戦闘を開始しようか」

 

アナグマのクラーグ退治


NOVA「君たちと敵の配置はこんな感じでいいかな」


敵後衛 ゴブ弓兵A ゴブ弓兵B
     (7)   (7)
敵前衛 クラーグ   狼
     (27)  (11)
味方前衛 モッサ  アイアン
     (12)   (15)
味方後衛 ルビー  フリーダ バリー
     (8)   (9)  (11)


バリー「オレは弓の方が強力だから、後衛に行かせてもらうぜ」

モッサ「敵ボスのクラーグが、やはり強そうでごわすな」

アイアン「ここにも狼がいるのか。なだめることはできないのかね?」

NOVA「さすがに、ボスのクラーグが生きているうちは無理、と言っておく」

ルビー「つまり、先に集中砲火でクラーグを仕留めてから、後の連中を降伏させるのが有効じゃないかな」

フリーダ「確かに、ボスさえ倒せば、なだめたり脅したりできそうですものね」

モッサ「では、ボスを仕留めて、降伏勧告作戦を実行するでごわす」

NOVA「方針が決まったようなら、イニシアティブから決めよう。こちらの最速は(コロコロ)クラーグの19。なお、アナグマの元ネタはバグベアだ。D&Dではゴブリンの近縁種扱いだけど、パグマイアでは別種族と設定した。巨大なモーニングスターをブンブン振り回して、当たったら大ダメージなのでよろしく」

モッサ「ゴランドアーマーの防御力さえあれば、防ぎ止められるはず」


◉1ラウンド目


NOVA「おや、誰もイニシアティブ 19に届かないなら、こちらからか。それでは、遠慮なく。狙いは防具の薄そうなアイアンで、命中は10」

アイアン「そんな大振りは当たらんよ」

NOVA「では、次に手番を狼に譲って……」

バリー「ちょっと待った。ここはフォーチュンを消費して割り込みを仕掛けるべきだ。ルビーのマジックミサイル。フリーダのセイクリッドフレイム。どんどん仕掛けて、このラウンドのうちにクラーグを落としたい」

ルビー「賛成だ。だったら、フォーチュンを使わせてもらうよ。いいね、リーダー」

モッサ「承認するでごわす」

ルビー「では、フォーチュン残り3点。マジックミサイル発動。女帝カードが輝いて、絶対命中の光の矢が3発、次々とクラーグに突き刺さる。5点、2点、5点で合計12ダメージ」

NOVA「スタミナ残り15点か」

フリーダ「続いて、セイクリッドフレイム行きます。耐久度ST13に抵抗して下さい」

NOVA「くっ、抵抗失敗」

フリーダ「閃光一閃。ダメージは5点」

NOVA「残り10点」

バリー「意外とあっさり倒せるんじゃないか。オレの弓は(コロコロ)ダイス目19で余裕で命中。ダメージは5点」

NOVA「残り5点」

モッサ「とどめは吾輩で構わないか?」

アイアン「ああ。私は目の前の狼をなだめたい」

モッサ「では、推して参る。命中は14」

NOVA「こっちのDCは16だ。装甲に阻まれ、ダメージが通らない」

フリーダ「いいえ、ブレスの効果があります。D4で2以上を出せば、通るはず」

モッサ「うおー、ゴランドアーマーの加護よ。我に力を!(コロコロ)3が出たので命中17」

クラーグ『何? こいつの力に押し負ける?』

モッサ「ゴランド・インパクト! 鎧が輝いて、その光が剣に宿って、相手の装甲を貫いた。勢いで突き入れて11点ダメージ」

クラーグ『グホッ、バカな。こんなザコどもに、オレサマが。無念』

アイアン「では、狼をなだめるとするか。(コロコロ)19。ほうら、いい子だ。大人しくしていなさい」

NOVA「狼はクーンと鳴いた。ゴブネズミ弓兵も、ボスのクラーグがあっさり倒されたのを見て、戦意喪失したようだ。その時、君たちの後ろから『ええい、静まれ静まれ。このお方をどなたと心得る。恐れ多くも、この洞窟の副リーダー、いや、先のリーダー、イーミク様にあらせられるぞ。一堂の者、ご老公の御前である。頭が高い、控えおろう!』という声が聞こえてきた」


★裏切り


ルビー「はい? 今ごろ出てきて、何を言ってるんだ? この爺さん」

イーミク『お前たち、頭が高いと言っておろうが。早く、頭を下げんと、この犬の命がないぞ』

モッサ「何だと? もしや?」

NOVA「イーミクは、君の知ってる先輩シルダーの首筋に刃を突きつけているね。そして、イーミクは高らかに笑う。『チーチッチッチー。お前たち、よくぞクラーグを倒してくれた。これで、この洞窟の支配者の地位は再びわしのもの。お前たちも武器を捨てて、わしにひれ伏せよ。お前たちの誰かは知らんが、どうやら凄い魔力を感じるわい。この力を手土産にギザ牙に捧げれば、わしも幹部の地位を得て、万々歳という寸法よ』」

アイアン「何て卑劣な奴なんだ」

イーミク『頭がいいと言ってもらおうか。絶対に動くなよ。動いたら、犬質がどうなっても知らんぞ』

バリー「ガイドよ。ずいぶんと楽しそうに、卑劣漢の演技をするじゃないか」

NOVA「当たり前だ。16の歳から途中ブランクはそれなりにあれども、33年間のゲームマスター歴を誇る俺をなめんなよ。これぐらいの演技で恥ずかしがっていては、TRPGマニアは名乗れない。なお、君たちと敵の配置は現在こうなっている」



敵前衛 ゴブ刀兵A ゴブ刀兵B
     (7)   (7)
味方前衛 モッサ  アイアン 狼
     (12)   (15) (11)
味方後衛 ルビー  フリーダ バリー
     (8)   (9)  (11)
敵前衛 ゴブ刀兵C ゴブ刀兵D ゴブ刀兵E
     (7)   (7)  (7)
敵後衛 ゴブ弓兵F イーミク ゴブ弓兵G
     (7)   (12)  (7)


バリー「ちょっと待てよ。完全に挟み撃ちにされているじゃないか」

ルビー「おまけに敵が6体も増えて、総勢8体だって?」

フリーダ「後衛キャラが敵にさらされるなんて、大ピンチです」

NOVA「フフフ。プレイヤーの慌てふためくリアクション。そいつが見たかった~♪」

バリー「この卑怯者。お前がそういう奴だとは……前から思っていたけどな」

NOVA「とにかく、おとなしく降伏するんだ。人質、いや、犬質の命が惜しいならな~。あ、シルダーさんはイーミクのそばでスタミナ1のまま無力化されています」

フリーダ「生きてはいるんですね」

NOVA「うめきながら『私の命には構わず、こいつらをやっつけるんだ』と殊勝なことを言っています」

ダイアンナ「そうしたいのはやまやまなんだけど、こっちもこの状況じゃ身動きがとれやしない。せめて、前後の位置を交代できればいいんだけどね」

NOVA「前後を入れ替えるなら、機会攻撃が発動しますな」

アイアン「ところでガイドよ。私の隣にいる狼は、味方だと判断していいのかね?」

NOVA「どちらかと言えば中立なんだけど、少なくともゴブネズミに味方して、君たちを攻撃して来ないのは確実だ」

モッサ「とにかく、シルダー先輩が捕まっている以上は、うかつに手が出せん」

フリーダ「ガイド様、こんな時にヒトの神に祈りを捧げてもよろしいのでしょうか?」

NOVA「ああ、聖印に奇跡を呼ぶような作用があるって言ったよね。それで、どういう奇跡を願う?」

フリーダ「どんな奇跡なら、叶えられるのでしょうか?」

NOVA「これまでのストーリーから考えて、妥当だと思う内容なら」

フリーダ「では、誰かがイーミクさんの後ろから忍び寄って、人質、じゃなくて犬質を助けてくれるとか?」

NOVA「誰かって?」

バリー「実は、生きていたゴブ助とか?」

NOVA「埋葬したんじゃなかったのかよ。死んだ奴が生き返ってきたりはしない」

アイアン「だったら、生きていればいいのか。ウィンダムミクラス、アギラとか」

NOVA「(正解だ)すると、フリーダの祈りに呼応するかのように、アイアンの隣にいる狼が吠え声をあげる」

イーミク『何だ? おい、誰か、その犬っころを黙らせろ』

NOVA「その時、イーミクの背後からも別の吠え声が聞こえてきて、不意に獰猛な狼が噛みついてきた。他の2頭も後衛のゴブネズミに襲いかかった結果、戦場はこういう形になる」



敵前衛 ゴブ刀兵A ゴブ刀兵B
     (7)   (7)
味方前衛 モッサ  アイアン
     (12)   (15) 
味方後衛 ルビー  フリーダ バリー
     (8)   (9)  (11)
敵前衛 ゴブ刀兵C ゴブ刀兵D ゴブ刀兵E
     (7)   (7)  (7)


ルビー「相手の数が減った。これなら、それぞれが一体ずつゴブネズミを倒せば、片付けられる」

モッサ「各員、自分の目の前の敵を速やかに排除せよ」


◉2ラウンド目


NOVA「それでは、戦闘ラウンド再開だ。フリーダのブレス、祝福効果は消えている。イーミクは狼たちへの対処に手一杯で、戦闘には参加できない。それは、もちろん狼たちも同じなんだけどね。よって、君たちはそれぞれ1体ずつのゴブネズミを倒せば、戦闘終了だ。では、改めてイニシアティブを決めよう。こちらは(コロコロ)7。狼の乱入で、ゴブネズミの動揺は大きいようだね」

バリー「最高はオレみたいだな。弓をグレートソードに持ち替えて、すぐに切りつけることはできるのか?」

NOVA「フリーアクションで弓を足元に落として、グレートソードを抜いて斬ることは可能とする」

バリー「では、それで。抜きざまに叩き斬る。(コロコロ)命中は5」

NOVA「ゴブネズミEは慌てて身をかわした」

バリー「くっ、やはりオレは弓派だな。次、女帝頼む」

ルビー「当然、あたしはマジックミサイルだ。3点、4点、5点の合計12点ダメージ」

NOVA「ルビーに斬りかかろうとしたゴブネズミCは、目前に出現した3本の光の矢をまともに受けて即死した」

ルビー「あたしは無力な女じゃないのさ。次、フリーダ」

フリーダ「はい、セイクリッドフレイム、受けなさい」

NOVA「耐久度セービングスロー13は成功。ゴブネズミDは聖なる光に耐えてみせた。『何だ、その花火は?』」

フリーダ「くっ、神のご加護は狼召喚で終わったの? アイアン様、お願いします」

アイアン「目前の敵をさっさと倒して、後衛を援護しに行かなければ。ダイス目19で命中して、ダメージはぴったり7点。よし、ゴブネズミBは討ち取った。リーダー、格好良く決めてくれ」

モッサ「心得た。命中ダイスは(コロコロ)17。ダメージは最大値が出て13点」

NOVA「結局、残ったのはゴブネズミDとEだけか。では、Dはフリーダに攻撃。19で当てて、ダメージは6点」

フリーダ「キャー、残りスタミナは3点です」

NOVA「バリーに対しては、22で当てる」

バリー「お前、ちょっと当て過ぎだろう。少しは遠慮しろ」

NOVA「ダメージは7点」

バリー「残り4点。大丈夫か、オレ」


◉3ラウンド目


味方前衛 モッサ  アイアン
     (12)   (15) 
味方後衛 ルビー  フリーダ バリー
     (8)   (3/9) (4/11)
敵前衛       ゴブ刀兵D ゴブ刀兵E
           (7)  (7)

NOVA「では、次のラウンドだ。前の終わりはゴブネズミEだったから、ゴブネズミDにもう一度回す」

ルビー「させないよ。フォーチュンで割り込んで、フリーダを支援する。いいね、リーダー」

モッサ「承認したでごわす」

ルビー「フォーチュン残り2点。最後のマジックミサイル撃つよ。3つの光が敵を撃つ。4点、2点、5点で合わせて11点」

NOVA「フリーダを追いつめていたゴブネズミDは、横合いから飛んできた魔法の矢で吹っ飛んだ」

フリーダ「ありがとうございます、ルビーさん」

ルビー「気にするな。お宝探しの仲間じゃないか」

フリーダ「お宝……探しですか?」

ルビー「そのうち、借りは返してもらうさ。さあ、バリー。自分の始末は自分でつけな。最後ぐらい格好良く決めるんだよ」

バリー「そうさせてもらう。命中は13」

NOVA「それじゃ、当たらない。ゴブネズミのDCは15だからな」

バリー「なあ、みんな。ここはフォーチュンを使わせてくれないかな? このオレがヒーローになれるかどうかの瀬戸際なんだ」

モッサ「承認しよう。フォーチュンを使って、相手を倒せばヒーローになれる」

NOVA「だけど、フォーチュンを使っても倒せなかったら、お前はどこまで行っても三下キャラ確定だな」

バリー「くっ、ここが運命の分かれ道。(コロコロ)出目は3かよ、シクシク(涙目)」

ルビー「最後まで決められない男だねえ」

バリー「すまん、リーダー。後は任せた」

モッサ「仕方ないでごわすな。どうれ、最後の始末はこの吾輩が決めてやろう。のっしのっしと歩み寄って、命中16。ダメージは7点」

NOVA「それで、ぴったり戦闘は終わった」


★光と闇の末路


アイアン「狼たちはどうなった? 無事か?」

NOVA「ミクラスとアギラは、それぞれ一体のゴブネズミを仕留め、ウインダムはイーミク相手に少し苦戦したけど、4頭めの狼が加勢に入ってきたおかげで逆転勝利できた」

アイアン「そうか。4頭とも怪我はないか、と毛皮をなでてやろう」

NOVA「すると、4頭めの狼がアイアンに思念を飛ばす。『光の勇者よ。我らを闇の枷から解き放ってくれたこと、大いに感謝する。我が名はセブンガー。天狼一族の勇者ウルフガーの7番めの子孫に当たるものだ』」

アイアン「セブンガー、そうか、お前が……」

NOVA「なお、ウルフガーというのはフォーゴトン・レルムに登場する有名な蛮族戦士の名前だ。ダークエルフのドリッズトや、ドワーフ戦士のブルーノーと共に旅をして、その活躍譚は『アイスウインド・サーガ』という小説シリーズにもなっている。当リプレイは、フォーゴトン・レルムのソード・コースト地方をパグマイア風にアレンジするに当たり、勇者ウルフガーの一族は文字どおり伝説の狼に設定した。そして、その7代後の子孫ということでセブンガーということだ(今、思いついたアドリブなんだけど)」

フリーダ「つまり、公式設定をオリジナル改変したということですね」

NOVA「まあ、元ネタありの二次創作に、それっぽい理屈をこじつけたってことだな。何の接点もなくセブンガーを登場させるなら、ただのウルトラ余興ネタに過ぎないが、『ウルフガーの7代後の子孫』と設定づけてしまえば、いかにもフォーゴトン・レルムの改編世界として箔が付くんじゃないか」

アイアン「では、セブンガーを初めとする狼たちは、これからも同行してくれるのか?」

セブンガー『勇者アイアン・ラビドッグよ。我らが巡り合ったのも何かの縁。しかし、我らは長く闇にさらされ、消耗が酷い。しばしの休息をとらねば、この身は長く保たん。ゆえに、我らは同行できん。だが、そなたが勇者の力を取り戻した暁には、我らもまた力を貸すことができるやもしれん。それまでのお別れだ。再び共に戦う日を楽しみにしておるぞ』

アイアン「分かった。またいつか会おう。セブンガー、ウインダム、ミクラス、そしてアギラよ。今回は助けてくれたこと、感謝する」

ウインダム『礼を言うのは私たちの方です。クラーグのペットにされていた時は、絶望の毎日でした』

ミクラス『アイアンの兄貴が解放してくれなければ、連中の悪事の手伝いをずっとさせられていたろうからな』

アギラ『うちらを救ってくれたのは、アイアン様の善意のおかげや。ほんまにありがとな』

フリーダ「む、アイアン様に従うライバルが一気に増えた気分ですわ。これは油断がなりません」

NOVA「まあ、この狼たちはレギュラーじゃないし。常に登場させると、ゲームバランスも思いきり崩れるだろうし、作者としてはキャラを描き分けるのも大変だ。ということで、セブンガーと3匹の狼は名残惜しげにしながらも、その場を立ち去った。次に登場するのはいつになるか、それは作者すら知らない大宇宙の謎である」

アイアン「とにかく、私は今後の成長で《獣使い》の芸を習得することを目的にすればいいのだな」


モッサ「狼の件は話が済んだとして、シルダー先輩は無事なのか?」

シルダー『ああ、何とか生きている。だけど、誰か回復魔法を掛けてくれると助かるな』

フリーダ「それでしたら今すぐに。(コロコロ)5点だけですけど、よろしいでしょうか」

シルダー『これでスタミナ6点に戻ったから、転んだだけで気絶することはなくなったよ(笑)。助けてくれてありがとう。だが、残念ながらゴランドのおやっさんは敵に連れて行かれてしまった』

モッサ「聞いているでごわす。とりあえず、今はワンダリンの街に戻って養生を。それから情報交換と、おやっさん救出作戦を考えましょう」

シルダー『ああ、そうだな。だが、その前に落とし前をつけなければ』

NOVA「そう言って、シルダーはまだかろうじて生きているイーミクをギラリと睨んだ」

バリー「こいつ、まだ生きていたのか」

イーミク『狼どもが助けに来るなんて、そんなの誰が予想できると言うんだ? お願いです。命だけはお助けを。この通り反省しました。老い先短い年寄りの命を奪うほど、あなた方は極悪非道ではないでしょう?』

バリー「こんなことを言ってるが、どうする?」

ルビー「命惜しさや欲に駆られて犯罪に走る気持ちはよく分かる。だけどね、悪党にも悪党なりの仁義ってものがあるんだ」

アイアン「それは?」

ルビー「裏切り者は許さない。命乞いをするなら、相手の裁きを素直に受け入れろ。自らの拠って立つ誇りは決して見失うな。それがあたしのルールさ。イーミクよ、あんたの誇りは何なんだい?」

イーミク『そ、それは……ゴブネズミ一族の長であること。部族の繁栄のため』

ルビー「だったら、散って行った部族のところにあんたも行ってやるんだね。墓ぐらいなら作ってやるさ。うちの勇者さまがね」

イーミク『墓だと? 言わせておけば……』

シルダー『モッサよ、君の剣を私に貸してくれ』

モッサ「はい、どうぞ」

シルダー『こいつに一番、恨みがあるのはこの私だ。こいつがゴランドを犬質にとらなければ、私は一騎討ちでクラーグを倒せていたはずなんだ。私の名誉のために、そしてゴランドのために、拷問で受けた傷のために、死ね、イーミク』

イーミク『ギャーーー』

アイアン「こんな奴の墓も、私が作らないといけないのか」


 こうして、王立開拓団の一行は『ギザ牙族の隠れ家』と呼ばれる最初のダンジョンをクリアした。
 しかし、彼らの任務はまだ達成できていない。

 ゴランドを救出し、伝説の『ワンデルヴァーの失われた鉱山』を見つけるための彼らの冒険はまだ続く。

 だが、次なる冒険の物語を始めるまでは、今ひとたびの安らぎを得るとしよう。

(パグマイアwithD&Dリプレイ 
  ワンデルヴァー第一部『ゴブネズミの矢』 これにて完)