ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

マンサーとアーティザン(魔法使い系)の話

★犬と猫の魔法使い

 

 

リバT『前回は、マウ君主国とアンゴラ君主国の話をしました』

 

ダイアンナ「前者は判断力ボーナスが、後者は知力ボーナスが加わる国だな」

 

リバT『ええ。そして、その二つの能力を重視するネコの天命がマンサー(呪術師)。犬のアーティザン(魔工師)同様に、いわゆる魔法使い系の魔法を使える職種です』

 

ダイアンナ「アーティザンは、知力と魅力を要する職だけど、どうして同じ魔法使いなのに違いがあるのだろうか?」

 

リバT『ルールブックによれば、知力は学習力、知識、論理的思考力を意味します。学問によって得られる頭の良さということで、魔法使いにとって必要なことはRPGの常識ですね』

 

ダイアンナ「まあ、魔法の原理を理解し、呪文の知識を蓄え、間違えずに紡ぎ出すわけだからな。ただし、魔法の種類によっては『考えるな、感じろ』系のセンスを問われるものや、信仰心も含む強靭な意志の力を要するものもある。勉強はできても、鈍感とか、根性なしとかでは身に付かないこともあるわけで」

 

リバT『マンサーに必要な判断力(ウィズダム)は、昔のD&Dだと知恵とも訳され、僧侶系の魔法に求められる能力値でした。今は技能などとも組み合わせて再定義され、意志の力、常識力、空気を読む力、勘や機転などを意味する能力となっています』

 

ダイアンナ「じっくり物事を考えるのが知力で、とっさに何かを思いついたり、気付いたり、場に合わせた当意即妙な答えを返すのが判断力と解釈しているが?」

 

リバT『最後のは、魅力に含まれると考えますがね。魅力の定義は、人当たりの良い性格や、説得力、カリスマ性、指導力などで、外界に働きかける心理的影響力だと定義されます。一方、判断力の方は、自分の内面に向かう力と考えていいでしょう。データをインプットするのが知力で、何をインプットするか決めるのが判断力、そしてインプットした内容をアウトプットして影響力を行使するのが魅力と考えます』

 

ダイアンナ「つまらない蘊蓄知識でも、とりあえず溜めておいて物知りなのが知力。何が面白い知識で、何がつまらないか、何が有用で何が無駄なのかを見極めるのが判断力。知識を他人に面白おかしく伝えることができるのが魅力になるのかな」

 

リバT『知識をいかに扱うかという観点で定義すればそうでしょうね。そう考えるなら、猫のマンサーの類型は、いっぱい勉強して内面で処理するけど、他に伝えることには関心の薄い学問一筋、秘密主義の研究者で、一方、犬のアーティザンの類型は、いっぱい勉強して何でも人に伝える、語りたがる好奇心の塊みたいなタレント学者の方向性かもしれません』

 

ダイアンナ「アーティザンは、魔法を使うのに焦点具(フォーカス)を必要とする。焦点具を研究し、その結合を通じて魔力を発動するということだけど、焦点具に話しかけて自分のお願いを聞いてもらうみたいな形をとるから、魅力が必要ということかな」

 

リバT『意志を外界に及ぼすのが魅力ということなら、焦点具という力ある物品に意志を通じ合わせる力が求められているのでしょうね。単に、自分の頭や心で分かって良し、とするのではなく』

 

ダイアンナ「マンサーの魔法には、何が必要なんだ?」

 

リバT『やはり焦点具と称されていますが、それはヒトの遺産ではなく、骨でできた品物です。新たなマンサーの誕生においては、まずヒトの遺産を破壊し、そこに込められた魔力を抽出して、自分の内面に受け入れる秘伝の儀式が行われます』

 

ダイアンナ「ヒトの遺産を破壊するのか? 何とも勿体ない」

 

リバT『それはイヌの発想でしょうね。ネコの魔法使いは物よりも知識にこだわり、内面を尊重する。破壊しても、その精髄が自分の中に蓄えられれば良し、とする発想でしょう。そして、骨とは命の精髄を象徴するものだから、骨を通じて自分の内面の力を外界に放出するための焦点具と解釈できるでしょうか』

 

ダイアンナ「焦点具にお願いするのがアーティザンで、自分を表現する力として焦点具を見なすのがマンサーってところか」

 

リバT『焦点具など、しょせん道具に過ぎません。確かにないと不便ですが、大切なのは私の中に秘められた知識であって、私の技を表現してくれる性能さえあれば、換えはいくらでも効くもの。ただ、私に馴染む品物を見つくろうのが手間ですけどね。やっぱり慣れた道具の方がしっくり来ますし……ってのがマンサーの感覚かも』

 

ダイアンナ「アーティザンはそこまで割り切れないだろうな。外界との調和から魔力を発動させるのがイヌのアーティザンで、内面に溜めた魔力を外に放出するのがネコのマンサー。どちらも焦点具を必要として、傍目には同じように見えても、考えていることは違うということだな」

 

★マンサーとアーティザンの技能比較


リバT『以上の話から、外向的なアーティザンと内向的なマンサーの違いが分かったと思いますが、その特性は技能や、特技(芸や秘奥)からも推察できることです』

ダイアンナ「パグマイアやマウでは、それぞれの天命から2つの技能を習得できるんだったな」

リバT『ええ、正確には天命から2つ、背景から2つの合計4つになりますね。また、成長時には、自分の天命や背景に縛られずに自由に選択できますが、特技を習得するか、成長させるか、それとも能力値と技能を成長させるかになりますので、技能は能力値成長のついで、ということになります』

ダイアンナ「技能メインで伸ばすという育成は、珍しいと?」

リバT『特技と違って、技能はキャラの天命や背景による個性づけが弱いと思いますね。結局、技能判定は能力値判定を少し有利にするぐらいで、一部の知識系技能を除けば、技能なしでも使うこと自体はできますから。まあ、それでも自分の魔法使いは、歌や踊りが得意なんだと主張したい人は、〈芸能〉の技能を習得するといいのでしょうけど』

ダイアンナ「そんな魔法使いは邪道じゃないのか?」

リバT『いいえ。アーティザンの場合は、初期習得技能に〈芸能〉と〈動物使い〉が含まれていて、内向きのマンサーに比べても、知識偏重じゃないことが分かります』

ダイアンナ「アーティザンは、アーティストにもなれるのか?」

リバT『初期技能で〈芸能〉を習得できるのは、パグマイアではアーティザンと盗賊系のラッターのみ。一方、マウでは武闘家のワンダラーと盗賊系のフットパッドのみですね』

ダイアンナ「だったら、歌って踊れる魔法アイドルになるには、猫ではなく犬を選べということだな」

リバT『猫の魔法使いは、そういう華やかなパフォーマンスには関心がないと思われ』

ダイアンナ「と言うか、犬の魔法使いがそういう華やか芸能系のキャラだとは気づいてなかった」

リバT『クイーンのキャラのルビーさんは、〈隠密〉とか盗賊系の技能にばかり目が行ってましたからね』

ダイアンナ「歌って踊れる魔法盗賊って道も目指せたんだなあ」

リバT『ルビーさんの焦点具はタロットの女帝カードでしたが、ギターみたいな楽器を焦点具と言って、音撃使いなアーティザンを構築することも可能でしょうね。もちろん、ガイドが許可すれば、ということですが』

ダイアンナ「パグマイアの方が色物魔法使いを作りやすい、と。マウの方は地味?」

リバT『陰鬱な呪文オタクって感じで、初期技能ではあまり遊べなさそうです。次は特技の比較と行きましょうか』


★マンサーの秘奥、アーティザンの芸


リバT『まず、呪文を使うのに必要な特技は、マンサーが《呪術》、アーティザンが《焦点魔法》という名称ですが、実質は同じですね。中身の呪文が異なるだけで。そして、知識系の技能を強化する《博覧強記》も、犬猫共に習得できます』

ダイアンナ「呪文が使えて、知識が武器というところまでは同じだと」

リバT『しかし、残り2つが異なります。マンサーならではの秘奥その1が《遺物継承》。これはヒトの遺産の特殊能力が自らに宿って、使用することができる技です』

ダイアンナ「マジックアイテムの能力を自らのものにできるだと?」

リバT『ええ。アイテム欄に吸収可能と記されている能力のみですが、先祖のマンサーが破壊して吸収した遺産の精髄が子孫である自分に受け継がれた、あるいは先祖ではなく過去世の自分が吸収した能力を輪廻転生した今の自分が受け継いだと解釈するネコもいるようですが、とにかくマジックアイテムの持つ能力が自分の天賦の才として覚醒します』

ダイアンナ「輪廻転生って本当にあるのか?」

リバT『マウの猫はそう信じていますね。その辺の宗教観は、犬が西洋風で、猫が東洋風と大雑把にイメージできますから』

ダイアンナ「吸収できる能力には、どんな物があるんだ? 透明化とか、空中浮遊とか、読心術とか、そういう超能力的な物なのか?」

リバT『割と地味な物が多く、武器のダメージボーナスとか防具のDCボーナスとか、判断力や魅力などの能力値上昇とか、特定の数字が加算されるものがほとんどです。ただ、一つだけ派手な能力を見つけました』

ダイアンナ「何だ?」

リバT『チャージド・カラー(静電気の首輪)というアイテムで、これを吸収してから強化すると、電磁バリアを体表に張り巡らして、攻撃者に電気ダメージを返すことができます』

ダイアンナ「それは凄いな」

リバT『問題は、魔法使いがそういう能力を得たとしても、わざわざ殴られるために近接攻撃を挑むことはあり得るのか? ということですが、接触攻撃呪文持ちだと、そういう戦い方もありかもしれません。あと、打撃属性への耐性を得ることもできますので、そういう武器を持っている相手なら、金の力でライジングタイタンアーマーをまとったクウガのようなマンサーも作れるかも』

ダイアンナ「歌って踊れるネコ魔法使いは厳しくても、電磁バリアを張って近接攻撃でバリバリ殴るネコ魔法使いは可能ということだな」

リバT『次にマンサーならではの秘奥その2。《呪文の紡ぎ手》は、ソード・ワールドにおける《魔法拡大》系の特技に似ていますね。つまり、射程距離や持続時間を高めたり、相手の抵抗判定を不利にしたりするなど、呪文の性能を向上させることができる補助技です』

ダイアンナ「なるほど。呪文の使い勝手を自分でカスタマイズできるんだな。いかにも魔法のエキスパートらしい技だ。パグマイアのアーティザンには、そういうことはできないのか?」

リバT『できませんね。やはり、犬よりは猫の方が魔法そのものの研究は進んでいるようです』

ダイアンナ「確かに、自分の中にアイテムの魔力を取り込むという発想はなかった」

リバT『その代わり、アーティザンの芸にも魅力的なものがありますよ。その1つが《激励》です』

ダイアンナ「ああ、《焦点魔法》の代わりに習得できる初期習得芸だったな」

リバT『ええ。1日に魅力ボーナス回だけ、仲間の判定にD6ボーナスを加えることができる芸です』

ダイアンナ「あたしのルビーは魅力ボーナスが1しかないので、あまり有効活用できそうにないけどな。高い数値は敏捷力や耐久力に割り振ったから」

リバT『耐久力は呪文の使用回数に関わりますから、魔法使いでも疎かにできませんしね。一応、《激励》を使うと、吟遊詩人的なバフを掛ける役どころにもなれますが、いかんせん使用回数がレベルアップによって増えませんので、魅力が高くても3回程度しか使えません。メインの技として使うには心許ないかと』

ダイアンナ「アーティザンは他に何ができたかな? 自分が使う呪文以外は、あまりチェックしていないんだ」

リバT「《早口》の芸が実は強力だったりします。これも魅力に基づきますけどね」

ダイアンナ「名前だけ聞くと、呪文詠唱が速くなる?」

リバT『そんなことはありません。相手に早口でまくし立てて、混乱させて行動不能にします』

ダイアンナ「え? 戦っている最中なのに、そんなことで動きを封じれるの?」

リバT『お喋りしながら素早い動きで翻弄するというのは、スパイダーマンも得意とするところですからね。さらに、この芸の凄いところは強化することで、魅力で武器攻撃判定できたり、魅力ボーナスと同じ数の敵を一度に行動不能させたり、魅了して仲間割れさせたりも可能』

ダイアンナ「そこまで来ると、もはや催眠術の領域だな」

リバT『効果を読んでいると、言葉だけじゃなくて、相手を誘惑する系のボディランゲージなんかも使ってそうですし、華麗な舞で花びらなんかを散らせるような演出が似合うかもしれません』

ダイアンナ「なるほど。そう考えると、パグマイアのアーティザンって、本当に芸能アイドルみたいなキャラも作れるんだな」

リバT『典型的な呪術師のマンサーと比較して初めて、実はパグマイアの魔法使いが色物だということを理解したわけですね』

ダイアンナ「というか、魔法盗賊という時点で変わり者キャラを作ったから、魅力重視のアーティザンという方向性には目が行きにくかったんだ」

リバT『魅力が得意な愛玩犬でキャラを作ると、血統芸の一つに《お笑い芸》というものがあって、面白いことを言って相手を笑わせて、1ラウンド行動不能にすることも可能。犬D&Dというだけで色物なゲームですが、ルールの中身をよくよく分析すると、さらに色物だと判明するゲーム、それがパグマイアです』

ダイアンナ「それに比べると、マウの方はまだマジメなゲームのように見えるが?」

リバT『明るいパグマイアと、暗いマウのイメージがありますからね。ただ、マウについては、まだルールの細かいところまでチェックの手が及んでいませんので、どんな色物要素が隠されているか、この後の研究が楽しみです』

ダイアンナ「電磁バリアを身にまとうネコ魔道士ってだけで、十分だと思うけどな」

リバT『次は、マンサーの呪文をアーティザンと比べたいと思いますが、呪文研究は長くなりそうなので、また次回に回したいと思います』

(当記事 完)