ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

T&Tの戦士の話

★またもグランドマスターですか?

 

 

NOVA『やあ、リバT。緊急事態宣言発令で、またリモート通信だ』

 

リバT『お仕事の方はどうですか?』

 

NOVA『学校の方は休みになっていないから、一応は平常運転なんだが、一部の私学は短縮授業になっているところもあるそうだ』

 

リバT『そうですか。それで、今回は何のご用で? また、コメント欄での愚かな書き込みに対して、手厳しいツッコミですか?』

 

NOVA『ああ、間違いを指摘して正さないといけないと思った。ただし、今回は俺自身のミスだ。人に厳しくて、自分に甘い態度は信用をなくすからな。他人に厳しく言うなら、自分の過ちに対しても、誠意をもって正さなければならない。少なくとも、俺自身はそういう人間でありたいし、そうできる人間をこそ尊敬するわけだ』

 

リバT『なるほど。それで、どういうミスをされたのですか?』

 

>>T&Tの防具2倍ルール

 

> 今のT&Tは、2倍だと強すぎるので、1.5倍に落ち着いたと記憶する。

 

 

NOVA『自分で言ったことが事実かどうか、最新のルール(完全版)を確認したが、1.5倍というのは記憶違いで、2倍だった。このコメント欄を読んだ読者の皆さんには、訂正の上、謹んで頭を下げる(m0m)。その上で、ミスの原因が過去のルールのどこにあるのか、手持ちのルールを全部で5冊チェックしてみたんだが、どこにも1.5倍という記述が見当たらないので、どうやら別のゲームのルールと混同したのかも知れん。間違いは間違いなので、改めて「T&Tの戦士の防御点は、日本語で発売された、ほぼ全てのルールにおいて2倍である」と結論づけよう』

 

リバT「ほぼ全て、ということは違うものもあるのですか?」

 

NOVA『ああ。角川文庫版ハイパーT&Tだけが違った。戦士と聖闘士は鎧で防御点+3、盾で防御点+1のボーナスがもらえる仕様に改変されている』

 

リバT『それにしても、ルールブックを5冊も持っているとは驚きです』

 

NOVA『そりゃあ、何かを研究するのに資料を用意するのは当たり前だろう? よく知りもしない物事に知ったかぶった発言をしても、詳しい人間にはあっさり見抜かれて、底の浅さを露呈するだけだからな。物事を知らないから語らない、語れないので、知っている範囲で語るのが普通だし、趣味人とか研究者の誠意だと思うんだが、詳しい人間の前でテキトーな嘘をついても、尊敬が得られるはずがない。解釈違いとか、記憶違い、誤解やケアレスミスの類ならまだしも、事実認識の上で、資料も持たないのに好き勝手語るような人間は、真面目に趣味研究に取り組む人間にとっては害悪以外の何者でもない。まあ、俺としてはコメント主が「その程度の人間」だと言うのは分かっているので、俺自身まで「同じ穴のムジナ」と思われたくないために、関連事項の知識をいろいろ確認して、このジャンルにおいて見識ある読者への姿勢表明としておきたいわけだ』

 

リバT『ところで、T&Tは場違いな話題ではないのですか?』

 

NOVA『いや、パグマイアと同じ雑誌(ウォーロックマガジン)に載っているわけだし、その前身はT&Tマガジンだからな。それに、去年の今頃はこんな記事も書いてある

 

リバT『なるほど。「T&Tとパグマイアの話」とは実にストレートな記事名ですね』

 

NOVA『そんなわけで、今回は俺自身の過ちを修正するついでに、T&Tの戦士を中心に語ってみようと思う次第だ』

 

 

★まずは社会思想社版(第5版)



NOVA『最初のT&T(トンネルズ&トロールズ)は、D&Dの亜流ゲームとして1975年に出版され、世界で2番めのTRPGと言われている。ただ、このゲームはただのコピー作品に留まらず、セービングロールによる一般判定システム、敵味方双方の攻撃力をぶつけ合う集団戦闘ルール、金を払って買う魔法ルール、多彩な武器や防具の一覧(アフリカ投げナイフやチャクラムがTRPG界で知られているのも、このゲームの影響が大きい)、そして後のゲームブックにも影響を与えた多数のパラグラフ式ソロアドベンチャーなどなど、TRPG史でも重要な意味を持っている。
『国内においては、87年に最初に翻訳された本格的な文庫本RPGゲームブックファイティングファンタジーRPGを除く)で、ゲームブックからTRPGへの入門に最適と判断された。これが文庫RPGとして成功を収めたからこそ、ソード・ワールドにつながったとも言われている。SNEにとっても、ロードスとは別の枠でTRPGを広めた立役者となった大切な作品であるわけだ』

リバT『ええと、T&Tには戦士以外にどんな職業がありますか?』

NOVA『戦士、魔術師、盗賊、魔法戦士の4つだな』

リバT『僧侶は?』

NOVA『基本ルールにはなくて、魔術師が回復魔法も使う。ただし、追加ルールで僧侶も加わった。そして、職業は少ないけど、種族は人間、エルフ、ドワーフホビットの定番の他、フェアリー、レプラコーンといった珍しい種族になれる』

リバT『それで、戦士は防御点が2倍なんですよね。攻撃力にはボーナスがないんですか?』

NOVA『このゲームでは、戦士以外は体力度(STR)を消費して魔法を使うんだ。盗賊も弱い魔法戦士として、剣も魔法も両方使える。ただ、魔法で体力を消耗すると、必要体力の高い強力な武器や頑丈な防具を装備できなくなるので、盗賊が魔法で消耗することを考えると、必然的に装備が軽量のものにせざるを得ない。結果的に、戦士だけが重い武器や防具を扱う存在となるわけだ』

リバT『魔法という特殊能力がないからこそ、武器や防具を体力の限界まで装備しても問題ないわけですね』

NOVA『ただ、T&Tのルールはシンプル過ぎて、90年代に入る頃には成熟したTRPGファンがもっと発展したゲームを求めるようになる。そこで、ソード・ワールドのシステムデザイナーとして活躍していた清松さんが、T&Tの上級版も日本独自で製作する。それがハイパーT&Tだ』


★ハイパーT&Tへの発展(1991)




NOVA『最初のハイパーT&Tは社会思想社から、T&Tの上級版として登場した。元のT&Tをベーシックルールとして、そこから上級追加ルールのハイパーT&Tに接続する形だ。レベルが4になったら、上位クラスに転職する形をとって、10種類の職業が用意されている。戦士が昇級すると、戦士、武闘家、僧侶、聖闘士の4つのどれかを選ぶ一方で、魔術師からは魔術師と呪術師、盗賊からは盗賊と怪盗、魔法戦士からは魔法戦士と魔道士に分かれる』

リバT『それぞれの違いが知りたいんですけど』

NOVA『戦士の最大の特徴は、ハイパーバーサーク戦闘という攻撃ダイスを加算して強くなるブースト技が使える。普通のバーサーク戦闘はゾロ目の振り足しなんだけど、ハイパーバーサークはゾロ目が出た分、さらに1個加えて、どんどん追加していける』

リバT『具体的には、どういうことでしょうか?』

NOVA『試しに6面ダイス5個を振ってみよう。T&Tではこれぐらいはよくあることだ。出た目を合計せずに一つずつ言ってくれ』

リバT『1、5、5、6、6ですね』

NOVA『だったら、合計23点だな。普通の戦闘なら、これに個人修正を加えた数が、そのキャラの攻撃力になる。そして相手の攻撃力と比べて、多い方が少ない方へ差分のダメージを与えるんだが、ここでバーサーク戦闘を宣言すると、ゾロ目の分をさらに振り足せるんだ』

リバT『5と5をもう一度振ると1と2。6のゾロ目をもう一度振ると3と4ですね』

NOVA『再度のゾロ目はなしか。では、1、2、3、4を合計して10点を、先程の23点に加えて攻撃力が33点になる』

リバT『ハイパーバーサークだと、振り足しの時にダイスを1つ増やせるわけですね。5と5でダイス3個、6と6でもダイス3個をそれぞれ振り足していいと』

NOVA『実際に振ってみて』

リバT『まずは、2、5、6。続いて、3、4、5』

NOVA『さらなる振り足しは発生しないか。だったら、攻撃力は13と12点加算して48点まで増えた』

リバT『結局、普通で23点、バーサークで33点、ハイパーバーサークで48点まで攻撃力が上がったんですね。ゾロ目が出続ける限り、どんどん振り足して強くなるのはいいですけど、デメリットはないのですか?』

NOVA『当然ある。バーサークだと毎ターン2点、ハイパーバーサークだと毎ターン3点の体力度を失うので、体力の消耗が激しくなると、そのうち疲れて倒れることになったりするわけだ。しかも、自分の意思で途中で止めることができない。仲間に魅力度で宥めてもらって判定に成功して、ようやく鎮まるわけだ』

リバT『戦士だけがハイパーバーサークできるわけですね』

NOVA『他のキャラだと、武闘家は装備に制限がある代わり、素手の攻撃力がレベルによって上がり、「気」というパワーを使った特殊な戦闘法が使える。僧侶は僧侶魔法が使える。聖闘士は僧侶の従者で、限定的な僧侶魔法と聖戦士宣言が行える』

リバT『聖戦士宣言?』

NOVA『自分の信じる神のために命を燃やして攻撃力を高め、3倍の戦闘力を発揮するけど、長時間の使用で即死する可能性が高まる究極奥義……といった感じだな』

リバT『3倍の戦闘力って凄いですね』

NOVA『T&Tは敵味方がダイスをいっぱい振り合うシステムで、攻撃力もパーティーの仲間全員の合計を足したりするから、敵味方の攻撃力が結構大きな数字になる。だから、2倍とか3倍という単位でダイナミックな数字の修正が加わるんだよ。まあ、違うゲームシステムで防御力2倍なんて言ったら、ゲームバランスがどうなることやら。そして、T&Tの欠点の一つに、戦士の防御力が過多なので、戦士と同じ乱戦に巻き込まれたら、戦士以外のキャラだけがダメージを受けて、戦士が仲間を庇う働きができないという問題が発生する』

リバT『ああ。戦士の防御力は仲間を守るのに機能しないんですね』

NOVA『一方で、GM側が戦士にダメージを与えられるぐらいの攻撃力を敵側に持たせたら、乱戦の中で戦士以外のキャラが先に死んでしまうので、その辺の対応をどうするかという回答をハイパーT&Tは出した』

リバT『どんな回答ですか?』

NOVA『これは、元のT&Tでも曖昧に書かれていたんだけど、「戦士以外の防御力の低いメンバーは、乱戦に参加せずに、前線維持を戦士だけに任せて、自らは後方に待機を宣言」ってオプションだな。T&Tの基本が乱戦に参加することなので、乱戦に参加せずに敢えて攻撃力を加えないという戦術があることは、清松さんがウォーロック誌のサポート記事や「T&Tがよくわかる本」で示してくれて、なるほどな、と思った。
『そのままだと欠点の目立つゲームを「このように運用すれば上手く機能して楽しめる」というガイド記事を書いてくれるデザイナーは、当時から尊敬したものだ。ゲームに限らず、ある作品を愛するということは、その作品の楽しみ方を示せるってことなんだ、と俺は考えるし、それができる人間に憧れるし、俺もそうなりたいと今でも思っている。逆に言えば、そいつの作品感想とか批評を読んで、作品をつまらなく感じるような白けさせる文章は、それを書く人間そのものがつまらないってことなんだよ。つまらない理由は、知識の欠如とかデタラメばかりとか、いろいろあるだろうけど、何よりもその書き手が作品をバカにしている、自分がその作品を楽しんでいない、というのが露骨に出ているからだろうな。楽しんでいない人間の作品語りが楽しいはずがない、と俺は考えるよ』

リバT『戦闘に参加すると、余計なダメージを受けるから、敢えて戦闘に参加しないというのは、他のゲームだったら当たり前ですが、みんなで乱戦に参加して何ぼってルールのT&Tでは、意外と盲点になるわけですね』

NOVA『当然、仲間は何もしないわけじゃない。1ターンめは戦士に任せて様子見しながら、戦士だけで十分対処できることが分かれば、自分が傷つく恐れはないから、自分も乱戦に参加して、敵へのダメージを底上げして速やかに戦いを終わらせる。戦士だけでは戦闘バランスが拮抗しているようなら、その時も乱戦に参加したり、支援魔法で戦いのバランスを味方有利に崩してやる。そして戦士がダメージを受けるような事態に直面した場合に、起死回生の戦術をいかに駆使するかが盗賊や魔術師に求められる役どころってことなんだ』

リバT『で、そういう戦術はルールブックには書かれていなくて、ルールをサポートする雑誌記事やガイド本で紹介されていたから、それらの関連本を読んで、自分たちのゲームプレイをより楽しめるように、高度なレベルに引き上げることがゲーマーのたしなみ、ということですか』

NOVA『何しろ、80年代後半から90年代頭は、日本のTRPG文化の発展期だったからな。作品数もまだまだ少なかったし、一つ一つの作品をどう楽しむか、デザイナーもファンも熱心に研究していったものさ。もちろん、今も熱心なファンは大勢いるし、新規のファンが自分たちの楽しめるゲームを求めていたりもするわけで、その需要をどう発掘し、応えていくかが、デザイナーの、そして俺たちオールドファンの役割なんじゃないかな、と思ったりも。だから、作品を楽しむことに貢献しない、建設的でない批評は駄文でしかないし、卑しくも文章を書く身なら、自分の文章で人を楽しませてこそ、何ぼってもんだろう? 作品をバカにして、物を知らない、ろくに研究もしていない人間が、真面目に作品を楽しもうとしている人間を楽しませることは不可能なんじゃないかなあ』

リバT『それは特定個人への当て付けだけでなく、一般論も込みで言っているわけですね』

NOVA『まあ、作品の欠点をネタにして、そういうツッコミを面白おかしくディスる芸もあったりして、それを楽しむ風潮も一部にはあるんだろうなあ。でも、そういう芸の第一人者が「作品へのリスペクトあってこそのディス芸だ。ただ悪口言って、バカにしているんじゃない」と昨年末のキラメイジャーで主張していて、なるほどな、と。確かに、作品のあるあるネタってのは、きちんと作品研究してないと出せないし、受け入れられる辛口批評の根底には、バカにする浅はかさではなくて、きちんと作品研究している深い視点が感じられる。ろくに作品研究していない安易な悪口なんかじゃ、なるほどな、とは思わせない』

リバT『自己主張が違う方向に流れている気もしますので、軌道修正を図りますと、T&Tのサポート記事なんかで提示された戦術を、正式なルールの形で取り入れたのがハイパーT&Tということでしょうか』

NOVA『そうだな。ハイパーT&Tの製作には、ウォーロック誌の読者の意見や、デザイナーの清松さんのT&T分析記事や、新RPGの製作過程を追ったメイキング記事という段取りを経て、それらをまとめ上げた結晶的な作品なんだな。だから、当時のウォーロック読者は、TRPGのルールがいかなる過程を経て作られているか、という流れをリアルタイムに読み取ることができたわけだ。これはドラゴンマガジン誌におけるソード・ワールド製作記事にも言えることだし、他社では菊池たけし氏のセブンフォートレス記事などにも言えることだ。90年代当時は、TRPGのプロと言っても業界が成熟していないために、この道10年足らずの若い人たちが試行錯誤を経ながら、一生懸命に作品を作り上げていた。そういうメイキング過程に接して、ゲームデザインのアイデアの出し方やまとめ方、読者の意見をどう形にして行くかなど実例も込みで魅せてくれたわけだ。
『形が違うけど、キン肉マンの超人アイデア募集とかにも、読者と作品をいかにつなげて見せるか、というフィードバックとか、ファンへのサービス精神が見え隠れしている。作品を愛する者と一緒に盛り上げて行こうよって気持ちが表明されているわけで、ファンとしてもデザイナーや作者が自分たちの想いを受け止めてくれるという感覚があるからこそ、応援したくもなるわけで』

リバT『今は、そういう熱気はないのでしょうか?』

NOVA『TRPG業界は40年近く経って、成熟したからな。ただ、雑誌ではなく、インターネットの形でプロデザイナーとファンとの交流は盛んだし、昔の試行錯誤の経験が蓄積されて、ある程度の定石と、その枠に留まらない新たな試行錯誤の可能性を探る若手デザイナーの思惑が多方面に拡散されている感じだな。ネットでメイキング裏情報を語り、雑誌だけで全てが分かる時代ではなくなったので、マニアを名乗るには、これだけ追っかけていれば大丈夫ってことがなくなって、その中でファンとしては何を情報源とするか、そして自分の立ち位置を明言することで、自己主張の依拠にしないといけないと思う。何かを語る際に、きちんと一次情報に基づいているか、それとも物を自分で確かめずに誰かの風評や思い込みだけで語っているか、断片的な情報をどう組み立てて、筋道を通した見解にまとめ上げていくか、という姿勢が問われる時代なわけだ』

リバT『グランドマスターにとって、ハイパーT&Tというのは、未成熟な業界がファンといっしょに物作りしていく過程も映し出した思い出の作品の一つということですね』

NOVA『ああ。そして、後のソード・ワールド2.0につながる系譜でもあるしな。プリミティブなT&Tに、ハイパーポイントやら特殊なオプション行動やら数々のスキルやら、流行りのシステムをいろいろ取り込んでいく流れは、ソード・ワールド1版から2版にステップアップする流れを先取りしていたとも言えるし、メインのサポート役が清松さんから北沢さんにバトンタッチする流れもそのまま踏襲しているからな。
ソード・ワールドの1版から2版へのブラッシュアップを語る上では、D&Dの影響は比較的少なくて(さすがにSWの現デザイナーが当時、D&Dを意識していたという発言は見たことがない。旧世紀とは日本のTRPG界の状況が全然違う)、それよりも自社のハイパーT&Tや央華封神、そして他社のアルシャードの影響の方に注目して系譜を辿らないと、何も分かっていないに等しい。そういう過程を分かっていないから、「これが2008年発売のSW2.0では一挙に事情が変わります」などと、つまらないことしか書けないんだ』

リバT『まあ、1989年の話をして、20年後に時間を飛ばして、一挙に変わると言われても、そりゃ変わるのは当たり前だとしか言えませんね』

NOVA『本人は、その変化のスピードに全然ついて行けていないで、ちっとも変われないみたいだけどな。90年代の物の考え方に留まっていて、そこから成熟していないという感じだ』

リバT『グランドマスターもそうではないのですか?』

NOVA『まあ、俺にとっても90年代は懐かしい青春時代の思い出だから、こだわりは強いと思うけど、そこに戻りたいとは思わない。ただ、90年代に蒔かれた種が時経て、どう育つか、発展するかという過程をも楽しく追っかけているのが今だな。ソード・ワールドが1版から2版に発展進化する流れとか、2版から2.5版になって今後の目指す方向性とか、それらも追っかけながら、懐古と共に時代のダイナミズムを感じたいとか、自分にとっての、そして自分の趣味世界にとっての各時代の意義付けを考えたり感じとったりして行きたいとか、結果ではなく過程を分析したい気持ちで書いている』

リバT『確かに、歴史を語るというのは、時代の流れを分析することですから、結果だけ見てどうこうというのは、「所詮は結果論だけどな」と自嘲すべき態度ですね』

NOVA『まあ、その結果の読み取りさえ、ろくに資料を確認せずに語っているから、間違いだらけなんだけどな。間違いだらけの人間が「強い違和感を覚える」ということは、その私見は正しくない、と見なすのが常識なわけで、自分の私見に価値を持たせようと思えば、「資料をきちんと調べて語る」「自分の知らない資料の範囲には踏み込まない」「自分の過ちを指摘されたら、そこから逃げずにきちんと向き合い、見解を改めて自分の研究に磨きをかける」という研究者の基本を守るべきだろうな。研究解説の補足を気取るなら、嘘偽りにはならないようにしないと、自分自身の信用をますます損なう結果になるわけで』

リバT『ともあれ、ハイパーT&Tについては、まだまだ語り足りないように見えますが』

NOVA『確かに、マイ・ベストT&Tは清松さんがウォーロックファンと一緒に作り上げたハイパーT&Tだからな。清松さん曰く「海外では埋もれていたT&Tという作品が、日本で再評価され、もう一度、日の目が当たるようになったのも応援してくれるファンのおかげです。歴史的RPGを蘇らせる原動力になったのだから、日本のT&Tファンは誇りに思っていい」という趣旨の文章をどこかの記事で書いてあったんだな。
『もちろん、それはファンに向けてのリップサービスでもあるんだろうけど、例えば日本では過去の遺物とされたグレンダイザーやボルテスV、アイゼンボーグやジャスピオンなんかが海外で本国以上に評価されているという話を聞いて、何だかワクワクできるように、海外のT&Tデザイナーが日本でのT&T流行を知って喜ばしく感じ、自分たちの仕事に励みを覚えたとか、そういう流れでの感極まった発言なんだから、こちらもいろいろ誇らしく感じ入るわけなんだよ』

リバT『だから、T&Tのルールを5冊も買って、今だに大事に残しているわけですね』

(次記事に、つづく)