ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「盗賊剣士エクストラ」攻略感想FINAL

昼と夜の交錯

 

アスト「前回でボス敵のハカボネとの決着まで進めて、今回は最後の裏切り者との結末まで語るつもりだが、まずは昼間の情報収集と夜の仕事をつなげてみよう」

 

ダイアンナ「今回の一連の攻略感想では、先に昼の部をまとめて終わらせて、その後で夜のミッションを順に確認して行ったんだな」

 

アスト「実際のゲームでは、昼の自由度が高くて、2回の情報収集&街の散策を行なって、いろいろとフラグを回収してから、1本道ストーリーの夜の部を解決して、昼と夜を交代制で進めて行く形だ。だから、昼の部で攻略順番を間違ったりすると、夜の部がうまく行かなかったりするゲーム性で、最初は試行錯誤もあったんだ」

 

リバT『そして、夜の部を一通り終わらせた後で、昼の部をどういう順番で攻略するのが最適か、考えてみようってコーナーですね』

 

アスト「まず、クリアのために絶対に必要不可欠なのは、広場でエストレージャさんに魚をプレゼントして、友人認定してもらうことだけだな。友人にとって何よりも大切なのは、相手に利益を与えたり、面白く交流したりすることだ。不利益ばかりもたらしたり、怒らせているのに、ろくに謝罪もせずに迷惑ばかりかけたり、何かとイラッとさせたりするようなのは、友人とは言えない」

 

ダイアンナ「利害でつながった友人関係ってのは、打算的でさもしくないか?」

 

アスト「まあ、利害といっても物理的・金銭的な関係性だけでなく、情報や心理的報酬などの知識面、感情面での好感度がある。互いにいろいろと役立つ、もしくは興味ある情報をやり取りしたり、互いの記事にいいねを付け合ったり、好きなものへの関心や愛情を表明しあったり、そういう共感度も利益と見なせる。同好の士として付き合えるのは、たとえ面識がなくても友人的な交流だろう?」

 

ダイアンナ「友人におんぶに抱っこを求めるなら、それは友人ではなく保護者を求めている感覚になるね」

 

アスト「対等な間柄だと、共にそれぞれの場で立つ関係で、上下関係はないよな。例えば、ブログ主同士の関係だと、ブログ主とコメント付ける客人としての関係性が、相互交流で主従逆転することもある。TRPGGMとプレイヤーが役割としての上下関係があるように見えても、マスタリングを交代することで対等の友人としての付き合いもあるし、前はこっちが世話になったから、今度はこっちが世話役になったるってこともあるわけだ。もちろん、役割分担で対等じゃない社交でも、気心の知れた先輩、後輩関係も成立するし、有能な後輩だったら先輩が助けてもらえる局面だってあるわけだ」

 

リバT『あとは互いへの敬意の表明ができるかってことですね。まあ、ブログ主同士だと、記事へのいいね、とか、好意的なコメントで話の分かる人と見てもらえれば、普通にコミュニケーションがとれるんですが』

 

アスト「コロナ以前の過去にもあったケースみたいだが、記事とは関係ない自分語りとか一方的な宣伝、相談の場にコメントを悪用すると、記事を主体に考えるブロガーの気持ちを逆撫ですることもあるし、プロの作家へのファンレターでも、作品への感想やご意見よりも、自分の書いた作品のアピールばかりしてるような承認欲求むき出しの内容もあったりするそうだ」

 

ダイアンナ「ああ、作家の偉い先生に、自分を認めてもらいたいアピールね」

 

アスト「それが作家自身の勉強や興味につながればいいんだが、大抵はそうじゃないし、作家としては自分の作品を読んでくれるからファンなのであって、作家に読んで欲しいと押しつけられるのは望んでいない。読者からすれば、『自分が作家の本を読んでやってるんだから、作家も少しぐらい自分の作品を読んでくれてもいいじゃないか。こっちは、あなたに憧れて、影響も受けたりしながら、作品を書いているんだから、親として認知して欲しい』的な感情もあるのかもしれない」

 

ダイアンナ「親に甘える子どもみたいな感情か。まあ、弟子と師匠の関係にも通じるのかもしれないけど、作家の側からすれば、他人だね。読者である以上は、無下にもしたくはないだろうが、読者としての筋を逸脱した偏愛的な要求に応じる必要はないってことか」

 

アスト「その辺の人間関係への想像力とかは、リアルでの人付き合いやフィクションでの描写から学習してバランスをとって行ければいいんだけど、人付き合いや読むものが極端に偏ると、適切な人間関係の紡ぎ方に支障が出ることもあるとして、それはそれで試行錯誤や相手ごとの距離のとり方、付き合い方を学ぶことになるな」

 

リバT『変な相手に絡まれることも、創作のタネと考えるのが作家とかクリエイター感覚なんですが、決して変な相手を歓迎しているわけではないってことですね。ともあれ、エストレージャさんに餌をあげて、一飯の恩義で助けられることが、本作をクリアするのに絶対外せない部分で、他はまあ、クリアに必須ではないって話だと』

 

アスト「ネコに餌をあげると、恩返しをしてくれるって話だな。ゲームブックだと、どうしてもその辺が打算的になってしまうけど」

 

ダイアンナ「フラグを立てるための親切心って感じになるもんね」

 

アスト「リアルだと、この人と仲良く付き合いたいとなれば、その人の嫌がることはしない(自分は望んでいても)とか、その人とお喋りするための共通の話題の模索とか、相手のツボを上手く突くために相手を知りたいって好奇心とか、いろいろ付き合い方を講じるもんな」

 

ダイアンナ「あまり露骨に詮索されてもイヤだけどね。その人が普段から話している内容から察しろ、それだけでも十分な手がかりだろうが、そこに鈍感で裏情報とかばかり求めるのは本末転倒だろ、とか」

 

アスト「まあ、ゲームブックでは作者ならではの人付き合い観も反映されるからな。人にも表の顔と裏の顔があって、それぞれの欲望が交錯して、利害対立の末にぶつかることもあれば、和解に至ることもある。その中で、バッドエンドに至る展開を読み解けば、ただのゲーム性だけでなく、物語としての作者の価値観が読みとれることもある」

 

リバT『その辺のストーリー哲学があまりなく、ただの交通事故死とかランダムによる不条理な死が主体の作品もあったりしますがね。ランダム・サプライズにも、ちょっとした伏線があれば楽しめるのがストーリー重視派ですし、突発的な死だと、ただのギャンブル感覚と変わりない運不運のゲームになってしまうわけで』

 

ドラマチックなフラグ立て

 

アスト「そして、本作で最もツボなのは、NPCと主人公の関連ドラマだな。ネグラレーナでのアクの強いキャラクター群に対して、主人公がどう接するかという関わり方がコネというフラグ立てルールになっているし、コネがきちんと成立しているからこそ、覗き見ることができる人の内面、裏の顔ってものがある。もちろん、それがゲーム攻略上、必須になることもあれば、ブック、つまりストーリーの奥深さを堪能できる『ゲームとしては必須でないけど、ストーリーとしては外したくない、潤いのための栄養素』の方が今作では数多い」

 

リバT『いわゆるフレーバー要素と言えば、いいのでしょうか。機械的な攻略以上の、奥深い人間ドラマっぽいエッセンス?』

 

アスト「例えば、メリンダ関連の物語が露骨だが、彼女のエピソードを解決するには、4日めの夜までに〈鷹の翼亭〉を訪れて、アマンダと再会しておかないといけない。そして、アマンダと再会するには、前作の『盗賊剣士』本編でのコネを必要とするわけで、言わば、本編プレイヤーのためのサービス・エピソードになるわけだな」

 

ダイアンナ「前作をプレイしていると、より深く楽しめる、と」

 

アスト「まあ、アマンダとのフラグを立てずにクリアすることもできるが、作者としては、主人公とアマンダの関係性も味わって欲しいと意思表明しているわけだな。そこに感じ入ることができれば、読者として勝ちだろう。で、ゲームブックとしては、いかに必要最低限の犠牲者しか出さずにハカボネとの対決まで持ち込めるかが勝負になるが、ハカボネ自身の能力が(エストレージャに傷つけられてズタボロだったために)、直接対決ではゴブリン並みのザコになったので、死者の群れとの戦いさえ切り抜ければ、余裕で勝てる」

 

ダイアンナ「つまり、ハリストンの聖印も、必須ではないわけだ」

 

アスト「運だめしに3回成功すれば良いだけだからな。解くだけなら、魚の尾だけをゲットすればいいし、バトルや運だめしの機会も適切なパラグラフさえ選べば、ほとんどしなくて済むので、ダイスを振る機会も肉屋の雌オウガと、死者の群れ、瀕死のハカボネの3回までに留められる。まあ、資金に余裕が欲しいなら、大通りのスリで稼ぎを増やすためにダイスを振るというのもお勧めになるな」

 

リバT『では、改めて昼の散策地点を最終確認しましょう』

 

  1. 医院:体力や技術点の回復ポイント。最適ルートを選ぶなら、ほぼ無傷でクリアできるので、必要ない。病気の回復薬も買えるが、完治できないし、そもそも最適ルートだと病気にならないので、来る必要は皆無になる。
  2. 幸運の泉:運の回復ポイント。最適ルートだと、運だめしもほぼ必要としないので、来る必要はない。
  3. 武具店:投げ短剣、絞殺具、木製の楯を買えるが、特定箇所で役立つこともある程度。どれも必須ではない。絞殺具については、仲間に金貨3枚払う方が効率がいい。金貨2枚ならお勧め品になるんだけどな。
  4. 教会・墓地:教会はハリストンの聖印入手のために、行っておいた方が得。墓地は金貨20枚を払って、死者の群れを技−1、体−2にする効果をどう見なすか。最適ルートだと、死者の群れが強化されないので、必要を感じないが、死者をハカボネに悪用されるのが忍びないと考えるなら、金貨20枚を頑張って払うのもあり。スリを4回すれば、確実に稼げる額だし。
  5. 広場エストレージャさんと仲良くなるために必須のパラグラフ。ここに来ないとゲームを絶対にクリアできません。最初の朝はここから行って、ネコに魚をプレゼントするのが最適ルートと判断する。
  6. 直売所:ここでアイテムを売るよりは、大通りのスリの方がいいと思うな。
  7. 娼館:重要な情報源。全ての情報が欲しければ、金貨8枚と5回分の行動消費が必要になる。初見プレイで覗き見て、内容をチェックしたら、以降は特にフラグが立つわけでもないので、不必要ですな。肝心の裏切り者の情報が手に入らないわけだし、それぞれの仲間の裏の顔を知って、ストーリーを味わい尽くしたい人のみ推奨。それにしても、かえる人の性交渉というものがどんなのか、気になるのは異種族好き。
  8. 肉屋:3夜めまでの伏線ぐらいの意味。細かいことを気にするなら、3夜めに女主人のヴァネッサを殺害した後でも、ここには来れてしまうんだね。矛盾を防ぐなら、ヴァネッサを殺した際には、閉店されているという記述が欲しいところだけど。
  9. 大通り:死体焼却のための金貨20枚を稼ぎたいなら、ここでスリに勤しむのがいいな。1日スリに明け暮れるなら、2D+10で、期待値17枚稼げます。
  10. 〈鷹の翼亭〉:アマンダとメリンダの姉妹イベントをしっかり見るなら必須。初日の昼間に寄って、アマンダと再会しておくといい。前作未プレイなら寄る必要はない。だけど、エクストラを堪能するなら、本編も買ってプレイすべきでしょう、と推奨しておく。面白かったし。

 

アスト「そして、夜の仕事との組み合わせだな」

 

●1日め:午前中に広場で魚の尾をゲット。残り金貨9枚。

    午後は〈鷹の翼亭〉でアマンダと再会。

     夜はかえる人のエルガに偽造書類を作ってもらい、

     難なくミッションクリア。残り金貨6枚。

     仕事料をもらって、残り金貨11枚。

●2日め:午前中は、教会で聖印フラグをゲット。

     午後は娼館でメリンダの情報を聞く。残り金貨9枚。

     夜はローズガーデン卿を本人の意向どおりに殺害。

      仕事料をもらって、残り金貨16枚。

●3日め:午前中は、大通りでスリ。残り金貨21枚+D6枚。

     午後は、墓場でクシャン侍従に話しかけて、

     死体を焼却処分に協力する。残り金貨1枚+D6枚。

     夜はオウガのヴァネッサを奇襲して殺害。

      仕事料をもらって、残り金貨6枚+D6枚。

●4日め:午前中は娼館でかえる人エルガの情報を聞く。

     午後は同じく娼館でトロールのレゴルバの情報を聞く。

     残り金貨は2枚+D6枚。

      夜はメリンダイベント発生。ニナに助けを求めてから、

      メリンダを姉のアマンダと再会させる。

●5日め:午前中は大通りでスリ。残り金貨7枚+2D6枚。

     午後は娼館で、アビゲイルとハカボネの情報を聞く。

     残り金貨は5枚+2D6枚。

     夜は教会イベント。ニナに助けを求めてクリア。

     脱出時に聖印入手。

      仕事料をもらって、残り金貨7枚+2D6枚。

●6日め:大ガラスを牽制して、ダメージを受けないようにするため用に、

     武具屋で投げ短剣(金貨3枚)を買ってもいい。

     あとは、大通りのスリで小遣い稼ぎでもいいかな。

     ハカボネ戦では、様子見→死者の群れ戦(弱体化してるザコ)

     →光の矢は聖印で完封→投げ短剣で大ガラスによるダメージ4点を

     無効化→エストレージャさん乱入で逆転勝利。

 

アスト「……という感じで、きれいに攻略したと思う」

 

リバT『それでは、いよいよ最後の選択ですね』

 

裏切り者の想い

 

リバT『ハカボネを倒して、ギルドに帰還したボクラーノさんとニナさん、そしてアビゲイルさんはギルド長のアレハンドロさんに報告して、ささやかな祝勝の宴を催してもらいます。そして宴が解散した後、アレハンドロさんはこっそりボクラーノさんのところに来て、耳打ちします。「そろそろ期限よ。裏切り者は誰だったの? その人物のところへ行って、捕まえて来てちょうだい」

 

アスト→ボクラーノ「これで間違えた人物の名前を挙げると、拷問で無理やり自白させられ、犯人に仕立て上げられて、殺されてしまうんだよな。一応、事件解決で、おめでとうと言われるが、無実の罪で陥れるのはグッドエンドじゃない。そんなわけで、悪い、ニナ。犯人はお前だ」

 

ダイアンナ→ニナ「ちょっと待ってよ。何の話か分からないんだけど?」

 

リバT『プレイヤーのクイーンはそうでしょうね。でも、キャラクターのニナさんは覚悟を決めています。クイーンはパラグラフ109番を読んでから、ロールプレイをお願いします』

 

ニナ「ええと、自分でもよく分からないままに犯人にされてしまった気分ね。(パラグラフ109番を読んでから)はあ、このまま誰にも何も言わずに、こっそり旅立とうと思っていたのに、ボックには気づかれてしまったのか」

 

ボクラーノ「水臭いじゃないか。オレに何も言わずに旅立とうなんて。ギルドからお金をこっそり盗みとっていた裏切り者は、お前だったんだな」

 

ニナ「……ええ、そうよ。アレハンドロがあなたに内偵させていたみたいね。こんなに早くバレてしまうとは思わなかったけど。あなたがそれだけ優秀な盗賊剣士って証明ね」

 

ボクラーノ「そうは思いたくなかったけどな。他の容疑者がシロなら、残ったのは一人しかいない。それでも動機が分からないんだ。どうしてなんだ?」

 

ニナ「家族のためよ。私が盗賊剣士になったのも、金目当てに裏切り者の道を選んだのも。……って、これ、セリフを全部、読み上げたりして大丈夫なのか? 著作権とかに引っ掛かったりはしないか?」

 

リバT『引用の範疇なら大丈夫、ということですが、感想メインで、本文からの抜粋が従であり、商品価値を大きく損なわないような記事だと、問題にはならないと解釈します。逆に、著作者の名誉を著しく損なうような記述だと、公開された場では法的に問題が発生する可能性がありますね。その場合、著作権違反ではなく、侮辱罪や名誉毀損罪に相当するわけですが、作品への批判と、作者個人への人格的攻撃は立て分けないといけません』

 

ボクラーノ「まあ、セリフが長いから、概要だけをまとめるといいだろう」

 

ニナ「分かった。とりあえず、ニナが盗賊剣士になったのは、6人いる妹たちと再会するため。末っ子のミナは無事なんだけど、後の5人は売春宿に売られて行方不明だった。妹たちの情報をつかんで、身請け金を稼ぐために盗賊稼業が打ってつけだったのよ」

 

ボクラーノ「ボクラーノにとっては初耳の情報なので、驚くぞ。エルフの世界って、もっと浮世離れしていると思っていたのに、人間と変わりない生々しさだなって」

 

ニナ「同情はいらないわ。これは私の家族の問題。そして、実のところ、妹の5人はもう一緒にいるの。あと1人を助けるためのお金が貯まったので、ここでの生活はもう必要なくなった。最後に1年ほどはズルもしたけど、それだけの仕事はして来たつもり。だって、ギルドの仕事料は危険の割に安すぎるもの」

 

ボクラーノ「それには同意する(苦笑)。しかし、賃上げ交渉なら、ズルをせずにアレハンドロにそう伝えたら良かったろう? 彼はニナの忠義心を信じていたし、オレだって。そんなみんなの想いを裏切って平気なのか!?」

 

ニナ「たかだか15年いっしょにいただけよ。人間の尺度だと十分な長さかもしれないけど、私には私の背景がある。もっとずっと長い時間生きてきて、この先もずっと長い時間、生き続けるのが常なの。だから、人間の友だちなんて作らないつもりだった」

 

ボクラーノ「見ている世界が、人間とエルフでは違うってことなのか?」

 

ニナ「アレハンドロはエストレージャのことを可愛がっているけど、あの子ももう年だから、あと数年も生きられない。人間にとって、ネコってどういう目で見ているのかしら? たかが動物? 愛するものだったら、特別な存在になるのかしら?」

 

ボクラーノ「さあな。オレはペットなんて飼ったことはない。エルフにとって、人間はペットか何かなのか?」

 

ニナ「そうね。昔はそういう見下した気持ちだったと思う。詳しくも知らなかったし、早死になのは神さまに愛されていないから、なんて思ったりもしたのよ。ごめんなさい。でも、あの日、あなたと出会ったあの日に、その考え方は根本から覆されてしまったわ。あなたは暗殺者に殺されそうだった。私も追われていた。あなたを初めて見たとき、直観的に思ったの。お互い似たような境遇だって」

 

ボクラーノ「ああ、助けられたな。だから助けた。お互いさまだ」

 

ニナ「でも、決定的な違いがあった。私は自分の状況に半ば絶望していたけど、あなたの瞳は強く、何一つあきらめていなかった。最後の最後まで生き抜いてやるって強い覚悟に、心が震えたの。だから私も覚悟を決め直すことができたの。本当の覚悟を持った者だけが、愛するものを救うことができるんだって」

 

ボクラーノ「あきらめたら、そこで終了だからな。だけど、オレは器用じゃない。姐さんみたいに器用にこなせる姿は憧れなんだ。オレがここまで生き延びられたのも、姐さんのサポートがあったからだろうし、他にもいろいろと助けてくれた人がいるから、この街で生き延びることができた。だったら、そういう絆は大切にして生きていきたい。姐さんだって、そうじゃないのか?」

 

ニナ「家族の絆か、仲間の絆か。どちらを選ぶかってことね。……だったら、ボクラーノ。私と一緒に来ない? 私、あなたのことが大好き。どこに行っても生きて行けるけど、できればあなたと一緒に生きたい。ギルドは裏切ったけど、あなたを裏切ったつもりはないの。だから一緒に来て欲しい」

 

ボクラーノ「オレは……」

 

ケジメ

 

ボクラーノ「……ということだ。裏切り者の名はニナ・ガーデンハート。あんたから頼まれた仕事は、これできちんと果たした」

 

アレハンドロ『そう……報告ご苦労さま。辛い仕事を引き受けさせたわね。これは報酬よ』

 

ボクラーノ「……少ないな。倍は欲しい」

 

アレハンドロ『欲を張る男じゃないと思ったけど?』

 

ボクラーノ「自分の価値を自覚しただけさ。あんたはオレに借りがある。そうだよな?」

 

アレハンドロ『そうね。今の〈オッドアイ〉があるのは、あなたのおかげ。十分に感謝しているつもりよ。それでも、あなたが〈オッドアイ〉の新人であることには変わりない。あなた一人を特別扱いしたのでは、他の者に示しがつかないの。組織を運営するってそういうことなのよね』

 

ボクラーノ「まあ、あんたにはあんたの苦労があるんだろうな。その苦労はオレには背負えない」

 

アレハンドロ『半分ぐらいは背負ってくれると助かるんだけどね』

 

ボクラーノ「だったら、命令してくれ。〈オッドアイ〉の別支部を作れって」

 

アレハンドロ『別支部って、ここから独立する気!?』

 

ボクラーノ「ニナがいなくなったんだ。この街に残っていても仕方ない。オレは旅に出る」

 

アレハンドロ『そんな身勝手が許されると思うの?』

 

ボクラーノ「黙って出て行く方が身勝手だろうと思ってな。ギルド長には仕事の報告と、こちらの気持ちは伝えておくのが筋だと思った。別に敵対するつもりはないが、こちらにも優先したいことがある。ただ、それだけの話だ」

 

アレハンドロ『ニナとあなたの2人ともいなくなるのは厳しいわね』

 

ボクラーノ「ニナはともかく、オレの代わりなんていくらでもいるだろう? しょせんは新人だ。いつでも首が切れる。そのつもりで、エストレージャさんを見張りに付けたんじゃないのか」

 

アレハンドロ『まさか気付いていたの?』

 

ボクラーノ「やはりそうか。助っ人に登場するタイミングが良すぎたもんな。が、結果としては、エストレージャさんに助けられたから文句はない。ただ、あんたを敵に回したんじゃ、いつエストレージャさんに始末されるか知れたもんじゃない。そいつだけは勘弁願いたいから、こうして頭を下げてるんだ」

 

アレハンドロ『本来なら、組織への裏切りと足抜けは許すわけにはいかないんだけどね。だけど、あなたには崩壊しかけた〈オッドアイ〉を再建するために、いろいろ助けてもらった義理はある。それだからこそ、ここで抜けてもらいたくないのよ。あなたにはギルドの副長を任せようと思ってたんだから』

 

ボクラーノ「それなら、アマンダがいるだろう。〈ホークウィングス〉のビノーだって献身的な男だ。ギルドの中枢を〈オッドアイ〉の身内だけで固めていたんじゃ、派閥間の争いのタネになる。オレやニナがいなくなったから人手が足りないとでも言えば、連中を幹部に抜擢する理由づけにもなるだろうさ」

 

アレハンドロ『……あなたを敵に回すと、〈ホークウィングス〉の連中との関係も決裂するような気配ね。いつの間に抱き込んだのやら』

 

ボクラーノ「人聞きの悪いことを言うなよ。こっちは、ただいろいろと筋を通したいだけさ。あんたのギルドを乗っ取るつもりはない。オレはオレの道を行く。あんたはそれを許すだけでいい。お互いにぶつかることにはならないだろう」

 

アレハンドロ『……最後に聞くわ。あなたはニナを殺していない。そうよね』

 

ボクラーノ「……惚れた女を殺せるほど、オレは冷たく生きられないんでね。ただ、裏切り者をあんたがどう制裁するかが分からないから、全てを明かす気にはなれん」

 

アレハンドロ『分かったわ。非情になれない盗賊剣士に仕事は任せられない。ここらが潮時ということにしておく』

 

ボクラーノ「そうか。あと、あんたに頼みがある」

 

アレハンドロ『足抜け以外に、まだ要求があるわけ? 図々しいというか、大胆極まりないというか』

 

ボクラーノ「このハリストンの聖印なんだけどさ。ハカボネ退治のために拝借したんだが、持ち主のランカスター主任司祭に返してやって欲しいんだよ。彼はこの聖印のためなら、何でも聞き入れてくれると思うし、うまく交渉の材料に使えると思うんだよね。オレには必要なくなったから、あんたに託した方がいいだろうさ」

 

アレハンドロ『あなたの足抜け料にはなるわね』

 

ボクラーノ「それと、このマキシミリアンの籠手も、領主さまに返しておいてくれ。街から出て行くのだったら、家宝の籠手は返納するのが筋だろうし、あんたも領主さまへの義理が立つだろう?」

 

アレハンドロ『ずいぶんと気を回すようになったじゃない?』

 

ボクラーノ「生き延びるためなら何でもするさ。最後に、この闇紅のアレクサンドライト。売れば金貨15枚ほどになると思うが、それよりも賭博塔が再開したときに、赤黒円盤で大儲けする方がよっぽどいいだろう。だけど、街から出て行くとなれば、無用の長物だからな。ニナがいくらチョロまかしたかは知らんが、これで全部チャラってわけにはいかないか?」

 

アレハンドロ『つくづく、あなたを手放すのが惜しくなるわ。交渉はもう十分。ニナのこと、よろしく頼むわよ』

 

ボクラーノ「許してくれて、感謝する。それでギルドの支部は、どこに作ったらいいと思う?」

 

アレハンドロ『本気で作るつもりなの?』

 

ボクラーノ「ああ。盗賊ギルドになるか、冒険者ギルドになるかは知らんが、広いアランツァの世界で、どこかの新天地を拠点に頑張るつもりさ」

 

アレハンドロ『ネグラレーナは、あなたには小さすぎたのかもね。だったら、西海岸の聖フランチェスコ辺りを目指すといいわ。そこなら、私たちの目も届かないし、好きにできる。だけど、本気で組織交流するほどの力をあなたが、いいえ、あなたたちが付けたなら、いつでも連絡して来て。今は縁を切るけど、〈オッドアイ〉に利益をもたらす相手だったら、良き交友関係を築きたいものね』

 

新たなる旅立ち

 

ボクラーノ「こうして、オレたちはアレハンドロと穏やかに別れ、ネグラレーナを後に、西へと旅立ったわけさ」

 

リバT『原作ゲームブックでは、逃げるようにネグラレーナを後にするニナさんと主人公なんですけどね』

 

ボクラーノ「ニナは逃げたつもりだろうけど、こっちは後腐れなくギルドと別れたかったんだ。アレハンドロにきちんと報告して、盗賊剣士としての筋だけはしっかり通して、きれいに風呂敷をたたむのがオレの最適解ってことで、ラストを多少オリジナルにアレンジさせてもらった」

 

リバT『盗賊剣士であり続けることを選ぶなら、裏切り者名義のニナさん(技10、体10)と涙の対決となって、愛する者の命を奪う非情の裏稼業として伝説に残るエンディングになるはずでした』

 

ボクラーノ「だけど、正史ではニナは生きている。そして、桜森で妹たちと再会するニナの横に、オレがいるというエンディングで、エクストラは終了だ。その後の物語はまだ分からない」

 

リバT『「ガルアーダの塔」という作品にも、ニナさんは登場するみたいですけどね。どういう時間軸なのかは未購入なので分かりませんが』

 

ダイアンナ「先に、ゴルジュで妹のミナをプレイしたいところだね。でも、その前に『雪の魔女の洞窟』のリサ・パンツァの物語をプレイするつもりだけど」

(当記事 完)