ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「雪の魔女の洞窟」攻略感想(その1)

雪原の女魔剣士

 

リサ(ダイアンナ)「さて、ビッグ・ジム率いる隊商の護衛に雇われたあたし、リサ・パンツァは、斥候任務の際に目的地の前哨砦が謎の獣(巨大なホッキョクグマか何かと推測)に襲撃されて壊滅したことを知る」

 

リバT『ジムさんの依頼で、その獣の討滅仕事に移ったわけですね』

 

リサ「6人の屈強な男たちを皆殺しにした獣だが、このあたしも噂に名高い〈死の罠の地下迷宮〉を踏破した女。相手にとって不足はない、と追跡を開始したわけだ」

 

アス・ラル(アスト)「その意気だ、嬢ちゃん、と魔剣のオレは久々のバトルと血が吸えることに興奮の念を禁じ得ない」

 

リバT『吸血鬼なのはリサさんではなく、魔剣アストラル・ソードの方だったんですね』

 

アス・ラル「ああ、オレは元々、〈悪魔の短剣〉と呼ばれるサラモニス鋼に宿る剣の精霊だったんだが、リサの父リーサン・パンザの命を狙う最後の暗殺者ウルズル・アイアンフェイスとの死闘で折れてしまったんだな。しかし、リーサンが暗殺者の一人、オレアンダー・レッドフライを倒して入手した魔剣アストラル・ソードに憑代を移したわけだ」

 

リサ「その後、〈死の罠の地下迷宮〉に挑むことになった娘のあたしに、剣が託されたという経緯がある。以降、アス・ラルはあたしの心強い相棒として戦いを支えてくれたわけだが、この剣を使い続けると、無性に血を吸わせたくなる衝動に駆られるのが難点だ」

 

アス・ラル「冒険者だったら、戦いは日常茶飯事だから問題ないんじゃないか? ずっと街中に滞在していれば、吸血衝動に苛まれるのは呪い以外の何者でもないが、戦場に生きる覚悟を定めさえすれば、呪いは祝福と変わる」

 

リサ「いや、あたしは冒険がしたいのであって、過剰な殺戮を好んでいるわけではないんだが」

 

アス・ラル「このアランシアの地で、戦いのない冒険などあるものか。さあ、早くオレに血を吸わせろ」

 

リサ「うるさいので鞘に収めて黙らせる」

 

アス・ラル「モガッ。ムムムッ(オレを鞘から出せ。血だ、血を吸わせろ〜)」

 

リバT『そんな魔剣との付き合いも相応に長くなったわけですが、少しずつリサさんの心身に魔剣の影響が現れて来るんですね。剣士としての感覚が研ぎ澄まされていき、ある程度、離れた先からも血の匂いを嗅ぎつけやすくなったというか』

 

リサ「最初は血の臭いに嫌悪感を抱いていたんだ。だけど、イヤな臭いを、いつしかワクワクする匂いとして感じている自分に気がついて、このまま戦いに慣れていった先に何があるのか、不安に思う気持ちもあるってことで」

 

リバT『ともあれ、殺戮現場の前哨砦に戻ってきて、これより獣の追跡に移るわけですが、時間が経ったからか、死体はうっすらと雪に覆われ、獣の足跡も見えなくなっています』

 

リサ「どちらに足跡があったのか、大体の方角は覚えていないのか?」

 

リバT『何となく、山の方に向かっていたような気がします』

 

リサ「だったら、迷いなく山へ突き進む。ダディは雪山登山に嫌悪感を抱いているみたいだが、あたしはそんなことはない。山へGOだ」

 

リバT『山に向かう斜面の雪は柔らかく、膝まで埋まりながらゆっくり進んで行きますよ。やがて途中にクレバスと出くわして、最初の選択肢が出ます。近くに見える氷の橋を渡るか、それとも橋を危険と思って大回りをするかの2択です』

 

リサ「時間がない。橋を渡ろう」

 

リバT『大回りをすれば、技10、体11のマンモスと遭遇してバトるはずでしたが、橋を選んだのですね。では、さっそく運だめしをして下さい』

 

リサ「運点は12だから、最初は絶対に失敗しないんだね。一応、ダイスを振って7だから、無難に橋を渡った」

 

リバT『失敗していたら、さらに運だめしを要求されて、それでも失敗すれば10メートルほど滑落して1Dダメージ、成功しても1点ダメージを負うところでしたが』

 

リサ「下手したら、いきなり運を2点も失うところだったんだね。体力点もイヤだけど、運をムダに削られる方がもっとイヤな気がする」

 

リバT『では、運点を1点消耗しただけで難なく橋を渡ったリサさんは、パラグラフ212番で、次なる遭遇に出くわします。風がビュービュー雪とともに吹きつける中、風のうなり声に混じって、獣の吠え声が響き渡ります』

 

リサ「クマか?」

 

リバT『いいえ、出現したのは2頭の雪狼です。白い毛に覆われ、目だけが血のように赤い獰猛な獣ですよ』

 

リサ「何だ、ザコか。スッと剣を鞘走らせて身構える。アス・ラル、出番だぞ」

 

アス・ラル「よし来た。バトルだ、血だ、生贄だ〜」

 

リサ「剣の興奮が感染して、思わずニヤリと笑みを浮かべる。その瞳が吸血衝動で、雪狼に負けじと赤く燃える様は自分でも気づかないってことで」

 

リバT『いかにも、魔剣に呪われた女剣士って感じですね。では、最初のバトルを始めましょう』

 

獣狩りの時間

 

 2頭の雪狼の技術点は両方とも7、体力点は8と7。

 並みの剣士では、多少の手傷を負うかもしれないが、技術点12のリサにとっては、確かにザコである。

 大した苦労もなく、魔剣の餌食にするのだった。

 

リサ「足場が雪上で滑るので回避が難しかったけど、敵の動きが単調だったので、飛び掛かって来る相手に剣を突きつけたら、呆気なく刺し貫くことができたし、楽勝だね」

 

アス・ラル「これも、オレが切れ味鋭い名剣だからこそできた技だな。そこらのなまくら刀だったら、1頭を刺し殺しても、それで死体から刃が抜けずに、2頭めに対して無防備になるところだったわけで」

 

リサ「素人じゃないんだから、そんなヘマはしないさ。剣の切れ味は心得ている。ただの獣相手に負けはしない」

 

アス・ラル「獣の血はあまり旨くはないんだがな。やはり、ここは知的な相手が死を前にして怯える恐怖の血が……」

 

リサ(ダイアンナ)「……アスト、魔剣のロールプレイを楽しむのはいいが、あまり吸血鬼に変な属性を付けてくれるなよ。恐怖の血なんて美味しくはないんだから」

 

アス・ラル(アスト)「ほう。だったら、アニーはどんな血が美味しいんだ?」

 

リサ(ダイアンナ)「そりゃあ、あたしを愛し、陶酔してくれる相手の血の方が甘くて……だからこそ、誘惑や魅了をするのが吸血鬼の流儀だろうが」

 

アス・ラル(アスト)「つまり、愛こそスパイスってことか」

 

リサ(ダイアンナ)「そりゃあ、吸血鬼もいろいろだからな。血なら何でもいいって者もいれば、嗜虐的な性格で、力で支配したがるなら恐怖心を糧とする者だっているだろう」

 

アス・ラル「まあいい。オレは戦って奪いとる血こそ美味だと思うってことで。剣だから、無防備な相手のくれる血には、ワクワクできないのだ。強き敵に打ち勝ち、報酬として飲む血の何とも美味なことよ」

 

リバT『吸血談義はそれぐらいにして、雪狼を難なく撃退したリサさんですが、雪が渦巻くなか、急勾配の坂を進み続けます。雪は次第に激しくなり、吹雪と言ってもいいほどですね。ここで剣を使って、急場しのぎの避難所を作ることもできますし、強引に進み続けてもかまいません』

 

リサ「強引に進むと、運だめしを要求されたりして、凍傷で技術点を失うような気がする」

 

アス・ラル「ずいぶんと具体的な気だな」

 

リサ「きっと〈時間歪曲の指輪〉の影響による未来予知か何かだろう。わざわざ損をすると分かっている選択はとらない。アス・ラル、お前の切れ味鋭い刃で、氷を切るぞ。ブロック状の氷の塊を積み重ねて、イグルー(かまくら)を作る。吹雪が止むまでは、避難所の中で温まっていよう」

 

アス・ラル「世間知らずな割に、知恵が回るじゃないか」

 

リサ「昔、ヤズトロモさんのところにある本で読んだんだ。雪の女王にまつわる童話で、吹雪のときに急ごしらえの氷の家で難をしのぐ旅人の話を覚えてたってことで」

 

アス・ラル「氷を切っても、何も美味しくはないんだが、嬢ちゃんを守るためには仕方ない。だけど、後でしっかり研いでくれよ」

 

リサ「どこかにドワーフの武器屋でもいればいいんだけどな」

 

 こうして、吹雪をしのいだリサさんですが、体力を維持するのに保存食を2個消費しないといけなくなります。実質的に、体力点8点を消耗したような形ですね。

 なお、強行軍を選んだ際は、運がよくても、技術点1点、体力点5点、運点1点を失うことになり、運が悪ければ、技術3点、体力6点、運1点で、もう諦めてビッグ・ジムのところに戻りたくなるほど酷い目にあう(自尊心のために、何とかやせ我慢して進むんだけど)。

 そういう目にはあいたくないので、食料2食は必要経費ぐらいな感覚でいましょう。

 

リバT『避難所で身を休めながら、1時間ほどもすると吹雪が収まりますね。ある程度、見晴らしもよくなりましたので、少し向こうの山の斜面に、木造の小屋が建っているのが見えます』

 

リサ「小屋か。誰か住んでいれば、獣についての情報が手に入るかもしれないな」

 

アス・ラル「中の住人が友好的とは限らないが、それはそれで悪くない。美味しい生き血を味わえるだけだ」

 

リサ「お前は物騒だから、危険がはっきりするまで、鞘に収まってろ」

 

アス・ラル「モガッ。フンガーッ」

 

リサ「で、小屋に近づこうとするけど、何が見える?」

 

リバT『小屋の屋根には雪が高く積もっており、窓の上の出っ張りからは氷柱(つらら)が下がっています。あとは、小屋から出て行く足跡が一組み、山の斜面を上っているのが分かりますね。足跡を追跡しますか、それとも小屋に入りますか?』

 

リサ「先に小屋に入って、どんな住人がいそうか調べておこう」

 

リバT『どうやら毛皮漁師の小屋みたいですね。それを示すのは、獣用の罠、はぎ取られて未加工の毛皮、一人用のベッドと、食器の置かれたテーブル、椅子といったところでしょうか。暖炉には鍋が仕掛けられて、冷めたシチューが入っています。温め直して食べてもいいですし、外に出て足跡の主を追ってもいいですよ』

 

リサ「シチューを食べる。毒は入ってないよね」

 

リバT『何で雪山の猟師小屋のシチューに毒が入っていましょうか?』

 

リサ「いや、親父が暗殺者に命を狙われていたって話を聞いたからさ」

 

リバT『それは過去、あるいは35年先の未来の話です。「雪の魔女の洞窟」の原書は1984年、「アランシアの暗殺者」の原書は2019年の発売ですから』

 

リサ「それが同じFFコレクション3のリビングストン・ボックスに入っていて、続きの物語としてプレイできるんだから、歴史の重みを感じるよね」

 

リバT『暖炉の火で勝手に温めたシチューを無遠慮に食べて、体力3点が回復しますね。ダメージは受けてなかったはずですが』

 

リサ「代わりに、美味しいシチューを食べてラッキーなので、運が1点回復してもいいよね」

 

リバT『よくありません。猟師小屋のシチューを勝手に食べて、運まで回復させようなんて、図々し過ぎます』

 

リサ「さて、家主が帰って来たら面倒だ。十分温まったので退散するとしよう。その前に金目の物がないか物色するけど?」

 

リバT『泥棒ですか!? ……って泥棒でしたね。ブラックサンドの盗賊ギルドに所属していたって設定でした。ええと、金目の物はないですけど、ベッドの下に武器がいくつか転がっていますよ。戦槌(ウォーハンマー)と槍(スピア)を持って行けます』

 

リサ「今作、初アイテムをゲットだよ♪  これでアス・ラルが折れても、戦える」

 

アス・ラル「モガッ、モガーッ(オレは、折れねえッ)」

 

リサ「予備の武器を入手したので準備万端で、足跡を追っていこう。その先に獣がいるはず」

 

リバT『標高が高くなるにつれて空気も薄くなって、息苦しくなりますよ。体力1点減らしてください』

 

リサ「どれだけ高く上ってるのよ、あたしは。残り体力19点。怪物よりも雪山の過酷な環境の方が強敵って感じだな」

 

リバT『突然、人間の叫び声と、続いて凶暴な吠え声が聞こえてきました。前方のそう遠くないところで、毛皮猟師が巨大なクマのような獣と命がけで戦っています』

 

リサ「クマ発見。すぐに剣を抜くわ。アス・ラル、あれが獲物よ」

 

アス・ラル「あいつはクマじゃねえ。雪男の異名を持つイエティだ」

 

ドラゴンクエストモンスターバトルロードII 2M-007IIR イエティ(ロト)

リサ「そこの毛皮猟師さん、お困りのようだから加勢するわ。そこのクマ、じゃなくてイエティ退治はあたしの仕事なんだから」

 

リバT『しかし、あなたの加勢は間に合いませんでした。不運な猟師は、イエティの鉤爪にえぐられて、雪の中にうつ伏せに倒れます』

 

リサ「おのれ、シチューのお礼ぐらいしたかったのに。こうなったら、猟師さんの恨みを込めて槍を投げつけるわ」

 

リバT『槍を入手していて、凍傷になっていない場合に限って、槍を投げつけることができます。1Dを振ってください』

 

リサ「4が出た」

 

リバT『1以外なら命中して、イエティに3点ダメージを与えます。さらに技術点も1点減らして、技10、体9に弱体化しました』

 

アス・ラル「弱体化できなければ、技11、体12の強敵だったんだな」

 

リサ「今こそ、獣狩りの時間よ!」

 

雪の魔女の洞窟へ

 

 毛皮猟師を倒した野獣イエティに果敢に立ち向かうリサ・パンツァ。

 4点のダメージを受けながらも、魔剣アストラル・ソードを巧みに操る美少女剣士は華麗に野獣を仕留める。

 ここにファングの住人がいれば、伝説の地下迷宮の覇者の戦いぶりに拍手喝采を送るだろう。

 こうして、前哨砦の6人の猛者を惨殺した恐るべき獰猛な獣は、たった一人の少女の手で葬られたのだった。

 

リサ「お仕事完了! これで後はイエティの首を、ビッグ・ジムさんのところに持ち帰れば、金貨50枚の報酬がもらえるのよね♪」

 

リバT『倒れた毛皮猟師さんがうめき声を上げながら、身じろぎしますが』

 

リサ「あら、まだ生きてたの? だったら、応急手当てが施せないか診てみるけど?」

 

リバT『イエティにえぐられた胸の傷は深くて、命の助かる見込みはなさそうですね』

 

アス・ラル「苦しそうだ。一思いにトドメを刺してやるのが慈悲ってものだろう」

 

リサ「あんたは自分が血をすすりたいだけでしょう。しばらくイエティの血でもすすってなさい、と獣に突き刺したまま、毛皮猟師さんの遺言を聞こうとします」

 

アス・ラル「ああ、血がうめえ。強敵を倒した後の祝杯は格別のものがあるなあ」

 

リサ「アス・ラルの発言は無視して、猟師さんの言葉に集中するわ。大事な話があるのよね」

 

リバT『はい。この猟師さん(名前はない)の話を聞かないと、今作のタイトルが「雪山の魔獣の恐怖」とかで終わってしまいます。本番はここからですね。とりあえず、パラグラフ67番までがアバンタイトルで、映画ならこの辺でOP曲が流れることになります』

 

リサ「猟師さんのセリフは、死にかけているのに長いので、ここでは箇条書きでお願いね」

 

リバT『確かに重要情報をくれるNPCは、死にかけていてもセリフが長いですね。その間に治療を施せば、助かるんじゃないの? とツッコミ入れたくなる程度には。では、そんな長い遺言の要点をまとめてみました』

 

  • 猟師は人生の大半をこの氷指山脈で過ごし、獣の毛皮を売って生活してきた。この5年は、伝説に名高い〈水晶の洞窟〉を探していたという。
  • 〈水晶の洞窟〉は、美しくも邪悪な女魔法使い〈雪の魔女〉とその信奉者たちの手で、氷河をくり抜いて作られているようだ。
  • 〈水晶の洞窟〉の入り口は、この山の上の方にあって開放されているが、幻影によって隠されている。猟師は昨日、たまたま偶然、魔女の手下の戦士の一人が氷の壁をすり抜けて消えるところを目撃して、入り口を発見したそうだ。
  • 翌日また発見できるように、入り口の上に毛皮の切れ端をぶら下げておいたのだが、そこに行き着く前に、イエティと遭遇して果たせず仕舞いになった。
  • 〈雪の魔女〉は闇の力を利用して、このアランシアに氷河期をもたらし、絶対的な支配者になろうと目論んでいる。だから、世界の平和を守るためにも、手遅れになる前に倒さなければならない。
  • また、〈水晶の洞窟〉には氷漬けにされた莫大な財宝が隠されているらしいから、充分な報酬となるだろう。猟師は使命を果たせなかったが、運命に導かれた勇者に使命を託すことができたのは幸いだった。これで心残りなく、死んでいける。さらばだ、ぐふっ。

 

リバT『以上です。ここで選択肢は……出ません。ビッグ・ジムのところにイエティ退治の報告に戻るか、それとも報告よりも〈水晶の洞窟〉に早速、赴くかの選択肢ぐらいあってもいいのですけどね』

 

アス・ラル「仮に、ビッグ・ジムのところに戻る選択肢があっても、きっと道中で吹雪にあって遭難してバッドエンドになりそうだけどな。雪の魔女を倒すまでは、この山脈から無事に下山できないとか、闇の魔力の影響が働いているとか理由づけはできる」

 

リサ「ゲームブックの文章だと、ビッグ・ジムのくれる金貨50枚よりも、〈水晶の洞窟〉の莫大な財宝の方に夢中になって、迷うことなく、そっちに向かうんだよね。できれば、ジムさんに仕事を果たしたよって連絡ぐらいは入れたいんだけど」

 

リバT『そういう連絡手段がないんですよね。リサさんは魔法使いじゃないので』

 

リサ「とりあえず、猟師さんの遺体はそのまま氷の中に埋葬する。そして、あたしはイエティの首を切断して、それを持って山小屋に引き返そう。そこの入り口にトロフィーのように首を飾っていく」

 

リバT『ゲームブックにはない行動ですが?』

 

リサ「GM、いや、ディレクターがいるんだから、多少の融通を利かせて欲しいものだな。そして、小屋の中で保存食を1つ食べながら、イエティ戦で失った体力を回復しつつ、手紙を書くんだ。イエティと戦って倒した経緯とか、これから〈雪の魔女の洞窟〉に乗り込むから引き返している余裕はないとか、あたしが帰って来れなかったら、この手紙を隊商頭のビッグ・ジム・サンのところに届けて欲しいとか、リサ・パンツァの署名入りで」

 

リバT『そんな手紙を書いても、誰も読む人はいませんよ』

 

リサ「いや、この小屋に後世の冒険者か誰かが入るようなことがあれば、読むかもしれない。冒険物語によくあるじゃないか、攻略のヒントになるような日記とか書き置きが。誰に向けて書いたか分からないが、冒険者がたまたま偶然見つけて、その背景にある物語を推測想像するような文章が。もしも、特定人物の書き残した文章をいろいろ集めると、その人物の生涯や人となりが浮かび上がってくる歴史資料になるような文献が。あたしはせっかく冒険するんだから、自分の冒険をその場限りの体験じゃなくて、後世に伝わる物語として残したいんだ。だから、機会があれば、こうして書き残すことにする」

 

アス・ラル「まあ、本作ではビッグ・ジムと再会することがないから、彼にとってのリサ(または他プレイヤーさんの主人公)は殺戮獣を倒してくる、と大口を叩いておきながら失踪したホラ吹きでしかないんだよな」

 

リバT『仕事を達成したという報告がないのですからね。まあ、彼との再会ストーリーを捏造する手もあるのでしょうが』

 

リサ「それより、せめて何らかの記録として、ジムさんにあたしの偉業(イエティ退治)が伝わるような仕込みをしておこうって話だ。リサが3日で帰って来なかったら、ジムさんは遠回りをして交易を続けるだろう。そうするうちに、風の噂で殺戮獣のイエティがとある冒険者に倒されて、この辺りが平和になったという話も聞くだろう。そこで、あたしのことを知るかどうかは分からないし、ジムさんにとってはどうでもいいことかもしれない。

「だけど、もしかすると、後からでも、あたしが〈死の罠の地下迷宮〉を踏破した大英雄であるという話を聞いて、そしてイエティ退治もあたしが果たしたと知ったら……そんな凄い相手と行動をともにしたことを喜んで昔話として語るかもしれない。そんな語られる英雄になれたらいいなって願望が、とりあえず手紙でも書こうかって気にさせたんだ」

 

リバT『まあ、現時点で、雪の魔女退治に失敗する可能性もありますからね』

 

リサ「プレイヤー発言だと、パラグラフは全部チェックして、攻略フローチャートも完成しているけど、ダイス目は記事書きしながらリアルタイムで振っているからね。出目次第では、力尽きる可能性もあるわけだ」

 

リバT『その辺が、リビングストン作品のジャクソンに比べてキツいところですからね。ジャクソン作品は最適ルートを見つけるのに苦労しますが、一度正解が分かると、ダイス目によるランダム要素はあまり影響せずに、ほぼ確実にクリアできますから。リビングストン作品は、最適ルートを見つけても、戦闘が難儀だったり、出目によるランダム要素でクリアできなかったりします』

 

アス・ラル「それでも、能力値が高くて、まともな期待値どおりなら解けるから、まだフェアな作りなんだけどな(技術点9以下だと、よほどの幸運がないとバトルで力尽きるけど)。最適ルートを通っても、能力値が高かろうと、出目がよほどの幸運に恵まれていないと解けない欠陥品とは違う。アで始まって、クで終わる奴とか」

 

リバT『それは違いますよ、アストさん。頭文字は「天」です。グランドマスターがFFゲームブック数ある中で、唯一攻略記事を書いたのに、ダイスを振ってのリアル攻略を断念した作品。ゲームバランスの面で崩壊していますから』

 

アス・ラル「それでも、社会思想社最後のFFというネームバリューとレア度のおかげで、値段が高騰して、とうとう14万8500円か。誰がこんなの買うんだよ、と言いたい」

リサ「商品価格と、ゲームの傑作度は比例しないってことだね」

 

リバT『どちらかと言えば、稀少価値と話題性(マニアの認知度)の方が商品価格に反映されるってことですね。グランドマスターNOVAがネットで知り合った、あるいは一方的に知ってるFFマニアさんも、この終盤の作品は持っていないって人が多くて、リア友なら貸してもいいよって気軽に言えるんですけどね。他の人が、この作品をどう攻略するのか読んでみたいって気になってるらしくって』

 

アス・ラル「売ったりする気にはならないのか?」

 

リバT『お宝としての適正価格が自分では分からないそうです。もう攻略記事も書いて、自分では一生、プレイすることもないだろうけど、10年後に「何でも鑑定団」に出せば、骨董として100万の価値が付くかもしれないとか』

 

アス・ラル「掛け軸とかツボとか絵とかブリキ玩具じゃないんだから、91年の本でそこまで高騰しないだろう? せいぜい10万程度じゃないか?」

 

リバT『メルカリで29万って価格で出品している人もいるそうですよ。何とも強気な』

 

リサ「そんな値段で買う人間の顔が見てみたいところだね。ぜひとも、お友だちになりたい」

 

アス・ラル「本一冊に出せるお金は、どんなにレアでも万は越えないがな。まあ、いい。話のネタとしては面白いが、お宝自慢が過ぎるとウザいだけなので、興味があれば、ここから先の攻略記事を読んでね、ぐらい記事CMしておいて」

 

リサ「とにかく、あたしは猟師小屋でここまでの冒険の顛末を手紙に書き記してから、改めてパラグラフ67番から先に進むわけだ」

 

リバT『では、「雪の魔女の洞窟」のタイトルが上がって、OPテーマが流れた後で、CMを経てから続きをお送りします。CMが明けると、雪もすっかり降りやみ、晴れた青空が広がっています。まさに広がるスカイって感じですが、空気は冷たくパリッとしていて、足元では雪がザクザク音を立てますよ』

 

リサ「いかにも雪山らしい情景描写だね」

 

アス・ラル「景色なぞどうでもいい。それより事件だ。敵はどこだ?」

 

リサ「やれやれ。バトルマニアはこれだから。冒険の醍醐味は、情景描写の美しさじゃないか。そこを味わう感性が乏しいと、ファンタジー物語を満喫できないよ」

 

リバT『そうですね。では、厳しい北国の自然を満喫してもらうために、運だめしをして下さい』

 

リサ「ヘッ、何で?」

 

リバT『雪崩(なだれ)です』

 

リサ「12は出るな! (コロコロ)おお、ピンゾロ」

 

アス・ラル「戦闘で出たらギャーだけど、FFだと能力判定と運だめしは低い方がいいもんな」

 

リバT『成功したら、雪崩が発生したのは、隣の尾根だから問題ありません』

 

リサ「それでも、運が1点減って、残り10点だ。ピンゾロで成功すると、運点が回復するような特別ルールはない?」

 

リバT『ハウスルールで作ればありますが、作りません。さて、この雪崩イベントは、最初の運だめしが失敗すると、どんどん連鎖的に判定を繰り返させられて、最悪、バッドエンドです。まあ、バッドエンドに至るのは、運だめし失敗→技術点判定失敗→最後の運だめし失敗という3連続失敗というリアルラックに見放された、呪われたようなプレイヤーさんだけですけどね』

 

アス・ラル「他の可能性はこんな感じか」

 

  • 最後の運だめしに成功:斜面を転がり落ちて技術点1点を失うが、途中で止まって崖下への転落死は免れる。
  • 技術点判定に成功:上手く岩の出っ張りに潜り込んで、雪崩に巻き込まれずに済む。

 

リサ「技術点が十分高ければ、最初の運だめしに失敗しても実害は被らないわけだ」

 

リバT『雪崩イベントを切り抜けると、パラグラフは363番。ここで〈水晶の洞窟〉の入り口に到達します。これ以上は登れない岩壁に行き当たり、斜面を迂回して歩くと、二つの峡谷を埋め尽くす氷河の壁面に到着。猟師さんが目印に付けた毛皮の切れ端も見つかって、幻影に隠された入り口から氷のダンジョンに侵入することができます。いよいよ、ここから〈雪の魔女の洞窟〉のダンジョン・アドベンチャーが本格的に始まる、ということで、今回はここまでです。キャラクターシートを示して、当記事 完ですね』

リサ・パンツァ

・技術点12

・体力点19/20

・運点10/12

 

・食料残り7食

・金貨:なし

・所持品:アストラル・ソード、時間歪曲の指輪、幸運ポーション、背負い袋、戦槌(ウォーハンマー)、その他(着替えとか、防寒具とか、マッピング用の筆記具などの類。ゲームには影響しない標準装備ってことで)

(当記事 完)