ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「雪の魔女の洞窟」攻略感想(その4)

三つの通路を前にして

 

リサ(ダイアンナ)「前回は、半分以上がIFルートの確認で、あたしの冒険はドワーフの見習い司祭、アリマさんを助けただけ」

 

リバT『アリマ・センって名前は、こちらでテキトーに付けさせてもらいましたが、一応、ゲームブック本編に登場しているんですね』

 

アス・ラル(アスト)「ゲームブックでは名もなきNPCに過ぎないキャラを、こっちで勝手に名付けて、キャラ立てするのが恒例の芸になりつつあるな」

 

リバT『物語を面白くするのは、キャラクターの絡みだと考えます。わずかばかりのセリフにも、物語上の意味を持たせて、キャラの個性を構築するのは、ちょっとした創作芸だと考えますよ』

 

アス・ラル「全てのキャラに個性を与えて肉付けすることはできないけど、ポッと出のキャラを膨らませることで、二次創作にも多少のオリジナリティを付与する方法だな」

 

リバT『あとは伏線ですね。一度クリアしたゲームブックだと、後のストーリーが分かってますから、後の展開をより印象的にするようにプロットを強化するのは、物語の完成度を上げるのに必要なテクニック。有名な実例ですと、『ロードス島戦記』のリプレイ版と、それを元にキャラクターの背景設定や関わり方を補足強化した小説版の違いです。サイコロで生み出されたゲームのキャラを、プレイヤーの演技で肉付けしつつ、より世界の中で生きるリアルな登場人物として背景を固めて解像度を上げる作業があってこそ、小説版ロードスはただのゲーム小説よりも奥深い真に迫った作品になったと考えます』

 

アス・ラル「ゲームだと(笑)で済まされるキャラのダイス目によるドジも、小説では登場人物の真面目な葛藤に変換されたりするものな」

 

リバT『リプレイはコミカルに、小説はシリアスに、という対比もありますが、ラノベは既存の小説よりも、軽妙なコミカルさを売りにして発展した傾向があります。その辺のコミカルさはゲームの影響が大きいと考えるのですが、コミカルとシリアスの相反する要素をどう作品に落とし込むかが作家のセンスと考えますね。お笑いやおふざけと、真面目さを両立させるのはなかなか難しくて、その切り替えに計算ができていない作品だと、描写のチグハグさが目立って、キャラへの感情移入も、物語への没入も受け手として削がれる結果になりがちです』

 

リサ「リプレイだと、プレイヤー発言がコミカルで、キャラのロールプレイがシリアスで、と切り替えることができるけど、小説ではなかなか難しいか」

 

リバT『コミックでは絵柄で、コミカルとシリアスの切り替えが簡単で、映像作品だとさらにBGMでシーンの雰囲気を補強することもできます。しかし、文章の力だけで、その切り替えを表現するのはなかなかの筆力を伴うと考えます。まあ、両立を目指して、どっちも失敗する書き手さんが多いんですけどね。笑えないジョークと、唐突なシリアスで物語にノリきれない作品は結構あって、それは作家さんも「自分の脳内では面白く見えている物語が、いざ文章の形となって組み上がったときに、どれだけ自分の意図が作品として伝わっているかを客観的に読めないと、まともな推敲作業もできない」という話になります』

 

リサ「まあ、創作論はさておき、あたしはあたしのプレイを頑張るだけさ。ドワーフのアリマさんと分かれた後、T字路の右に進むことになるんだね」

 

リバT『氷河を抜けるトンネルは、山の内部に突入して、壁も氷から岩へと変わります。ここから先が、いよいよ〈雪の魔女〉の本陣に入る感じですね。通路が3つに分かれているのですが、その前にローブを着た男が中央の通路から歩み出て来ます。何やら得体の知れないプリズムを持ちながら、リサさんを一瞥すると、ニヤリと笑みを浮かべて「山に入れるのは魔女さまの側近だけだ。すぐに引き返せ」と命じます』

 

リサ「こちらもニヤリと応じよう。貴様は〈雪の魔女〉の側近か? だったら取り次いで欲しい。このあたしの剣の腕、役に立つと思うがな」

 

ローブの男『確かに、私は魔女さまの側近だが、魔女さまはつまらない剣士に用はない。魔術は剣よりも強し。それよりも、お主は芸事をたしなんでおらぬか? 魔女さまを称える歌か、音楽か、それとも美しい肖像画を描く才能か。魔女さまは文化芸術を愛しておるのだが、この雪山ではそういう人材に事欠くのでな』

 

リサ「芸術か。フルートなら持っているが」

 

リバT『「フルートか。いいだろう。ならば、こちらへ付いて来い」そう言って男は左の通路を示します』

 

アス・ラル「おい、嬢ちゃん。気をつけろ。こいつは罠の臭いがプンプンするぜ。うかつに左の通路に入ると、閉じ込められてバッドエンドに突入するような予感だ」

 

リサ「ああ、そうみたいだね。【鉄の鍵】を持っていれば、何とかなるんだろうけど、持っていないから左はダメ、と〈時間歪曲の指輪〉が教えてくれた」

 

リバT『メタ発言もいいところですね。この三択通路で、選択ミスでゲームオーバーになった冒険者は数多いわけですが』

 

リサ「冷静に考えると簡単なんだな。ローブの男は中央から出て来たんだから、中央が正解だろうって推測できる。しかし、中央に入るには、この男を倒さなければならない。やるぞ、アス・ラル」

 

アス・ラル「そう来なくっちゃな。魔術は剣よりも強し、だと? しかし、魔剣は魔術よりもさらに強しってことを証明してやる」

 

幻術師を退散させて

 

 リサが斬りかかると、ローブの男は予期していたかのようにせせら笑い、手にしたプリズムをこすると、三体に分身した。

 どれを攻撃するか三択の選択肢だけど、〈時間歪曲の指輪〉の効果で限定的ながら未来視のできる魔剣士リサには通用しない(笑)

 

リサ「本体は右ね(ザクッ)」

 

ローブの男『バカな。なぜ、分かったのだ!?』

 

リサ「臭いね。幻影には臭いがしないもの。あなた、芸術を云々言う前に、お風呂には入った方がいいわ」

 

ローブの男『クッ、しかし、これで勝ったと思うなよ。これぐらいの傷、我がプリズムの魔術さえあれば、たちどころに回復……』

 

リサ「つまり、プリズムを壊せばいいのね」

 

ローブの男『うわっ、離せ。プリズムを引ったくるな! やめろ、地面に叩きつけるなんて乱暴な。(パリン)そんな〜、魔女さまから拝領した我がプリズムが〜』

 

プリズムの魔神(ジン)『我が女主人よ。解放してくれて礼を言う』

 

リサ「って何? 女主人って、あたしのこと?」

 

魔神(ジン)『うむ、長年、プリズムの中に封じ込められていたのだ。その男、幻術師を気取っておるが、我が力を無理やり酷使していたに過ぎん、トンだ小者よ。さあ、今こそ復讐の時』

 

ローブの男『ヒッ、ヒーーッ!』

 

リサ「あ、逃げた」

 

アス・ラル「やはり、中央の通路に逃げて行ったな。そっちが正解だ」

 

リサ「後を追うわよ。じゃあね、魔神(ジン)さん」

 

魔神(ジン)『ちょっと待つのだ、女主人。我を解放してくれたお礼に一つ、願いを聞いてやろう』

 

リサ「う〜ん、だったら〈雪の魔女〉を倒して」

 

魔神(ジン)『それはできん。我をプリズムに封印したのは誰だと思っておる? この我の力では、〈雪の魔女〉に抗えぬのは自明の理。それだけは勘弁して欲しい』

 

リサ「それなら、あたしを〈雪の魔女〉のところに今すぐ連れて行って」

 

魔神(ジン)『それもできん。我にできるのは、幻影魔術のみ。姿を見えなくする程度なら、お安い御用。そんなところで、お役に立ちますよ。それ以上は、期待されても困る。魔神にもできぬことはあるゆえ、そこのところをご理解いただけると、助かり申す。では、さらば。ハハハハハ』

 

リサ「……威厳があるんだか、ないんだか、よく分からない魔神だったわね」

 

アス・ラル「まあ、何でもできると豪語する慢心魔神よりも、自分の限界を心得た謙虚魔神の方が扱いやすいんじゃないか? 何でもできる万能型って、扱う方にも想像力が必要だし、結局、もったいなくて使いそびれることの方が多い。これだけできるって効果限定の単機能型だと、必要な時だけ使える道具扱いしても問題ないだろうし」

 

リサ「それに〈雪の魔女〉のところに送ってもらっても、攻略必須アイテムが不足していたら勝てない可能性が大きいし。ショートカットに頼ると、必要フラグの取りこぼしがありそうなのね。急いては事を仕損じるって言葉もあるし」

 

アス・ラル「善は急げって言葉もあるけどな。さあ、中央通路を進むぞ」

 

リサ「その前に、〈時間歪曲の指輪〉の効果で左右の通路も未来視で覗いてみたいのよね」

 

 

 左の通路は、先述のとおり、【鉄の鍵】を持っていないと、通り抜けることができずに、閉じ込められてゲームオーバーです。【鉄の鍵】は前回の記事で紹介したオークの死体から入手できるのですが、そこに行くと攻略必須アイテムを取りこぼすことになるので、クリアできないという仕掛け。

 まあ、初見だと何が攻略必須アイテムか分からないので、ここを突破するために、【鉄の鍵】を探し求めた冒険者も少なからずいたことでしょう。

 次に、右側の通路ですが、こちらを突破するにはゴブリンから入手した短剣と、運だめしが必要になります。ゴブリン戦と台所は両立可能なので、こちらからの攻略は可能なのですが、やはり本命はドクロ型の入り口が印象的な中央通路でしょう。

 逃げた幻術師を追って、ドクロの入り口に突入します。

 

氷の巨人の宝物

 

リバT『中央通路を抜けると、白い顎鬚を生やした霜の巨人フロストジャイアントが何かの木箱を高い棚に持ち上げようとしている場面に出くわしました。出口は部屋の奥です。こっそり巨人に見つからないように出口へ向かいますか、それとも木箱の中身を手に入れるために巨人と戦いますか?』

 

アス・ラル「もちろん、巨人と戦うべきだな」

 

リサ「ええっ? 巨人は技術点10、体力点10のそこそこ強敵だよ。こんなところで体力点を無駄にしたくはないし」

 

アス・ラル「お宝は欲しくないか? 木箱の中に、美味しい食べ物か、キラキラ宝石が入っているとしたら?」

 

リサ「ゴクッ。悪魔の囁きに乗せられて、瞳が真っ赤に輝く。巨人さん、その木箱の中身をあたしに確認させてはもらえないかしら?」

 

リバT『あ〜あ、戦いを選ぶのですね。こっそり抜け出せば、ノーダメージで突破できたのに』

 

リサ「うん。攻略ノートを見ると、『中央のドクロの通路、フロスト・ジャイアント(技10、体10)』と簡易メモが書いてあって、てっきり倒さないといけないように思い込んでいたんだよね。だけど、そんなことはなく、スルーできることを今さっき知った。この中央ルートがリスクなく突破できる正解でまちがいない。ゴブリンを倒して、右に進む方が楽と思い込んでいたのは間違いだったんだ。この巨人は倒さなくてもいい」

 

リバT『それなのに、敢えて戦いを挑むと言うのですか?』

 

リサ「うん、お宝欲しいもん。リスクなく、お宝をもらえるなら、それを見逃す手はないよね」

 

リバT『技術点10の敵はリスクありまくりですよ』

 

リサ「剣で戦うならね。だけど、ジャーン、投石紐〜♪  ドワーフのアリマさんからもらったスリングさえあれば、楽勝だよ。その辺のオマージュが込められた作品がこれだ」

リバT『ゴブリンスレイヤーのその巻は、本作「雪の魔女の洞窟」オマージュがいっぱいの必見傑作エピソードですね。女神官さんがゴブスレ不在のパーティでリーダーシップをとって大活躍です。スリングで巨大な怪物を仕留めたり、氷の魔女と対峙したり、元ネタ知ってると大はしゃぎできます。逆にゴブリンスレイヤーのこの巻が気に入った若いファンには、是非とも元ネタの本作を楽しんで欲しいものですね』

 

アス・ラル「ちょっと待て。スリングだと? 剣は使わないのか? 技術点10とまともにやり合って勝利してこその英雄だとは思わんのか?」

 

リサ「スリングで巨人を倒すのも英雄だってのは、『ダビデゴリアテ』の伝承が証明している。とにかく、スリングで巨人の頭めがけて鉄の玉を撃ち込む」

 

リバT『一応、形式上ですが技術点判定をして下さい』

 

リサ「期待値どおり7」

 

リバT『鉄の玉は見事に巨人のこめかみに命中しました。巨体がカードで組み上げられた家のように崩れ落ちて、持っていた木箱の中身も散乱しました。割れたポーションの中身はどうしようもないですが、金銀銅の3つの指輪が見つかりますね。どれをハメますか?』

 

リサ「どれをハメないか聞いた方が早いよね。銀の指輪が最悪で、生命力が奪い取られて、技術点が1D減少、体力点が2D減少、という破格のペナルティで、リセットボタンを押したくなる未来が見えた」

 

アス・ラル「最悪、技術点が6減少という時点で、終わった感、満載だもんな」

 

リバT『次の戦闘で確実に死ねそうですね』

 

リサ「金と銅は2つとも当たりなんだよね。ロガーン様に感謝しながら、ありがたく付けさせてもらうよ」

 

リバT『ロガーン様はチートを推奨……してるんですね、トリックスターの神で、神話もチートなエピソードがいろいろで、何というか、リビングストンさんが「FF攻略でズルをしていいかって? みんな、するだろう? 君はしたことがないか? ズルをしても楽しんでくれたら、作者冥利に尽きる。でも、ズルをしても、そう簡単に解けないように作っているから、自由に楽しんでくれていい。1人プレイだから、自分が楽しめるように英雄伝を紡ぎ上げる権利はプレイヤーのものだ。もちろん、TRPGだったらディレクターの裁定が絶対だけど」という趣旨の発言もありましたし、ジャクソンさんも含めて、作者の性根がロガーン寄りなんだな、と感じました』

 

アス・ラル「作者自らが、公式にチートOKのお墨付きを与えているインタビュー記事が笑ったな。もちろん、個人や内輪で楽しむ範囲のことだろうけど」

 

リバT『そのインタビュー記事はこれですね。少し話を盛ってしまった気もしますが、趣旨としては間違っていないと思います』

リサ「FFC3や4が出る前の話だから少し古いけど、ラズニックおじさんの元ネタがそうだったのか、と攻略後の今だからこそ感じ入れるネタもあるんだね」

 

リバT『去年の今ごろは、ラズニック・ウルセンというキャラが名前を聞いても、よく分かってなかったし、よく分からないものは読んでも記憶に残りにくいですから。後で知識を得てから読み直すと、改めて感じ入れる文章もあるわけです』

 

リサ「では、指輪に話を戻すと、新しくゲットした指輪は次の2つだよ」

 

  • 金の指輪:冷気抵抗の指輪。入手時に運点+1。
  • 銅の指輪:1度だけ戦士を召喚できる指輪。入手時に運点+1。

 

リサ「これで運点もフル回復して、しばらくは運だめしも怖くないと思えるよ」

 

クリスタルの戦士との戦い

 

リバT『さて、次のイベントは、三択通路を抜けた先で、〈雪の魔女〉直属の衛兵の1人、クリスタル・ウォリアーと戦ってもらいます。技術点11、体力点13の恐るべき相手ですよ』

 

アス・ラル「何てこった。こいつの体には、刃を受けつけない防御効果がある。残念だが、オレとは相性が悪すぎる。見学に回らせてもらうぜ」

 

リサ「そんなこともあろうかと持って来たのが、戦槌(ウォーハンマー)さ。問題は、この戦い、ハンマーを持っていない方が、プリズム魔神の助けを借りて、無傷で通過できるんだよね」

 

リバT『アイテムを持っていない方が得なのか、それともハンマーを持っていても、魔神の助力を得られるように解釈してもいいのか、判断に迷うところですけど、ここではルールに従って、真っ向勝負に挑んでもらいます』

 

リサ「せっかく回復した運点の使いどころだとも思うね。ラウンド進行で戦うよ」

 

●1ラウンドめ:敵の出目12で、攻撃力23。

        リサの出目7で、攻撃力19。

        リサの残り体力点16点。

 

●2ラウンドめ:敵の出目3で、攻撃力14。

        リサの出目8で、攻撃力20。

        運だめし7で、成功(残り運点11)

        敵の残り体力9点。

 

●3ラウンドめ:敵の出目9で、攻撃力20。

        リサの出目10で、攻撃力22。

        運だめし6で、成功(残り運点10)

        敵の残り体力5点。

 

●4ラウンドめ:敵の出目9で、攻撃力20。

        リサの出目10で、攻撃力22。

        敵の残り体力3点。

 

●5ラウンドめ:敵の出目6で、攻撃力17。

        リサの出目9で、攻撃力21。

        敵の残り体力1点。

 

●6ラウンドめ:敵の出目10で、攻撃力21。

        リサの出目6で、攻撃力18。

        リサの残り体力14点。

 

●7ラウンドめ:敵の出目9で、攻撃力20。

        リサの出目10で、攻撃力22。

        リサの必殺技・裂孔水晶砕きで見事に勝利。

 

リサ「なかなか厳しい戦いだったけど、何とか打ち勝てたよ。腹が減ったので、食料を食べるけど」

 

魔神(ジン)『おお、我が女主人よ。恐るべき魔女の刺客を撃退するとは、まことにもって素晴らしい。ピンチに陥るならば、透明化の術で支援しようと待機していたが、我が助力は必要なかったようだな。もはや、我にできることは何もなさそうだ。その力があれば、〈雪の魔女〉を倒すことも必ずできよう。健闘を祈っているぞ。では、さらば。ハハハハハ』

 

リサ「って、何しに出て来たんだよ。役に立ちそうで、立ってくれない魔神なんだから」

 

アス・ラル「全くだ……って、オレもあまり偉そうなことは言えないんだがな。よくぞ、一人でこの難局を切り抜けたな。嬢ちゃんは立派に成長した。もはや、オレ抜きでもやって行けそうだ」

 

リサ「それもこれも、あんたのおかげさ。親父があんたを託してくれなかったら、あたしは〈死の罠の地下迷宮〉でくたばっていたろう。これからも、あんたと一緒に戦ってこそ、あたしは英雄の坂を登って行ける気がする。だって、英雄には愛剣が付き物だからさ」

 

アス・ラル「おお、そう言ってもらえると魔剣冥利に尽きるってもんだ。次こそは、しっかり戦って、美味しい生き血をすするとしよう」

 

リサ「あんた向きの相手が出るといいね。まあ、無理に戦うつもりはないけど」

 

 

 次のT字路を右に進むと、鍵のかかった部屋にぶつかる。

 ハンマーで鍵を粉砕する脳筋女子力で部屋に突入すると、そこにいたのは1体のゾンビ(技6、体6)。

 「これじゃあ、生き血がすすれねえ」と文句を言うアス・ラルだが、しょせんはザコなので、あっさり撃退に成功。

 部屋の中は倉庫のようで、ミノタウロスの角の粉末、ニンニク、歯がいっぱい入った箱、トカゲの尻尾のピクルス、ドラゴンの大きな卵4個が見つかった。そのうち、3つだけ持って行ける、という指定。

 ロガーン様の啓示を受けて(笑)、ミノタウロスの角の粉末、ニンニク、ドラゴンの卵を持っていくリサだった。

 

雪の魔女との対決

 

リバT『では、倉庫から役に立ちそうなアイテムを略奪して来たリサさんですが……』

 

リサ「略奪か。いい響きだ」

 

リバT『人聞きの悪いことを言うな……って反論しないのですね』

 

リサ「盗賊ギルド出身の冒険者として、今さら世間知らずのお嬢さまっぽい世間体を気にするつもりはないさ。闇の本拠地に侵入してるんだ。略奪上等、しかし堅気の衆には手を出さない。それぐらいの仁義で世の中を渡って行こうと思う」

 

アス・ラル「さすがは、嬢ちゃん。いや、これからは姐さんと呼んだ方がいいかな?」

 

リサ「姐さん呼ばわりされるほど、年をとったつもりもないんだけどね。お嬢、ぐらいがいいんじゃないかな」

 

アス・ラル「では、お嬢。あっしは、どこまでも付き従いますんで」

 

リサ「ああ、そう簡単に折れるんじゃないよ。〈雪の魔女〉を撃退の暁には、良い研ぎ師を探してやるから」

 

アス・ラル「そいつは楽しみだ。ハハ」

 

リバT『では、先ほどのT字路を今度は、左に進む形になります。通路の突き当たりに扉がありまして、入ってみると、天井の高い巨大な広間になっていますね。広間の中央に大理石の棺が安置してあって、そこから白いネズミが飛び出して来ました』

 

リサ「『白ネズミに気をつけろ!』 もしかして、こいつが噂の〈雪の魔女〉!?」

 

リバT『そうじゃないと分かっているのに、わざわざ口に出す天然ボケ演技が清々しいですね、お嬢』

 

リサ「いや、あんたにお嬢と呼ばれるのは、どうかと思うんだよね、リバT」

 

リバT『ああ、失礼しました、マイ・クイーン。とにかく、リサさんの目の前で、白ネズミはみるみる巨大化します。そして、技術点12、体力点14のホワイトドラゴンに変身するわけですが……』

 

リサ「こんなのとまともにやり合ってちゃ、たとえ勝ったとしても、最後まで攻略できないのは明らか。しかし、こんなこともあろうかと取り出しましたるは、ミノタウロスの角の粉末なんだ。こいつを巨大化途中の白ネズミに振りかけると、あら不思議。《変身》の呪文の効果が消え失せるという仕込みさ」

 

アス・ラル「お嬢、そのような魔法の知識をどこで?」

 

リサ「さあ。ロガーン様の啓示か、それとも昔、読んだヤズトロモさんの書物から得たのか、自分でもよく分からない。だけど、とにかく、これで白ネズミは無力化された。ミノタウロスさんには感謝だね」

 

 ちなみに、もしもホワイトドラゴンへの変身を封じられなかった場合は、金の指輪の冷気防御と、銅の指輪の戦士召喚が役に立つ……かもしれませんが、素の能力値が本作最強の白竜相手では大きなアドバンテージにもならず、ギリギリの死闘になることは間違いないか、と。

 せめて「白ネズミには牛の角」というぐらいのヒントは欲しかったです、ドワーフの旦那(アリマ・セン)。

 

リバT『それでは、石棺からオーホホホと、気品漂う甲高い女性の笑い声が鳴り響きます。そして白い毛皮をまとった美しい女性が、ゆっくりと起き上がって来ますね。パラグラフ297番のイラストはこんな感じですが』

アス・ラル「出たな。噂の涎と鼻輪美人(?)。美的センスよりも、ショッキングなインパクト重視の絵柄で、まさか吸血鬼だったとは! という初見の衝撃に全力投球したようなイラストだ」

 

リサ「もっとも、雪の魔女の正体が吸血鬼だっていう秘密は、FFファンの間ではごく当然の常識みたいに知れ渡っているから、もはやサプライズでも何でもないという」

 

リバT『「ほほ笑みを浮かべるとまぎれもない牙がのぞき、きみはぞっとしつつ頭で理解した。〈雪の魔女〉はヴァンパイアだったのだ!」という文章が、イラストとは絶妙に噛み合っていないんですよね。イラストの魔女はほほ笑んでいるように見えないし、リビングストンさんの文章表現だけだと、たおやかな知的美人で、優雅なたたずまいって感じに振る舞っているのですけど、イラストだとワイルドでアグレッシブにビーストチェンジした感じで、どちらかと言えば、これから狼女に変身しそうな感じ。ゲームで言うなら、こちらではなく……↓』

ガイド・トゥ・カマリリャ (ヴァンパイア:ザ・マスカレード)

リバT『こっちって感じのキャラ性です↓』

ワーウルフ・ストーリーテラー・コンパニオン 日本語版: ワーウルフ:ジ・アポカリプス日本版サプリメント

 

リサ「イラストの良し悪しは、人の好みもあるからさて置くとして、文章から感じられるキャラクターイメージと、イラストの雰囲気が大きく異なっているのは、どうかと思うね」

 

リバT『文章ですと、〈雪の魔女〉は芸術センスに優れ、知的な遊戯が好きで、血を吸うにしても、イラストのように牙を剥き出しにして正面から襲いかかって来るのではなく、もっと絡め手を使って、ギリギリまで牙を隠し秘めて、誘惑して誘き寄せた獲物に対して瞬時に豹変って流れだと考えるのです。豹変後のイメージを描いたと言うならば、豹変前の気品あふれる美女のイメージももう一つ描いて欲しかったな、と思います。妖艶な美と魔性を宿した〈雪の魔女〉の文章イメージが、強烈なイラストのせいで台無しになったのは、本作の惜しまれる点です』

 

アス・ラル「上手いか下手かで言えば、高度に上手いイラストなんだよな。古風で厳かなファンタジー世界の雰囲気はよく出ている。だけど、肝心の〈雪の魔女〉の文章との解釈違いがくっきり出ていて、そこだけはイメージギャップがすごく大きいわけだ」

 

リサ「まあいい。吸血鬼の〈魔女〉を退治するのに必要なアイテムは、ニンニクルーン文字の棒だ。その2つを持っていれば、サイコロを振るまでもなく、〈雪の魔女〉を安全に瞬殺できる」

 

リバT『一応、技術点が11以上なら、という条件ですけどね。もしも技術点が10以下なら、ルーン文字の棒を相手の心臓に突き刺すのに、技術点判定が必要になります。いずれにせよ、〈雪の魔女〉は「盗賊都市」および「危難の港」のザンバー・ボーンや、「モンスター誕生」のザラダン・マーと同様に能力値を持たず、直接戦闘ではなくてアイテム入手によるフラグ立てができているかで倒せるタイプのボスキャラ。こういう作品では、ボス自体よりも、それ以前の道中で出会う護衛などが強敵だったりするわけですね』

 

アス・ラル「ボス自体が強敵だと、ここで攻略した範囲だと、『火吹山の魔法使い(ふたたびも含む)』『バルサスの要塞』『トカゲ王の島』『地獄の館』『サイボーグを倒せ』『魂を盗むもの』『アランシアの暗殺者』『サラモニスの秘密』といったところだな」

 

リサ「『運命の森』『さまよえる宇宙船』は明確なボスがいないし、『死の罠の地下迷宮』は単独ボスが強いというより、終盤のボスクラスの強敵との連戦がキツい作品だし、『天空要塞アーロック』は……何だろう?」

 

リバT『ボスと思われた相手が部下に下剋上されて、終盤に主人公を助けてくれるという意外な展開でした。その部下も直接対決では弱く、ただ集団で大群なので数が多くて厄介。それをボスさんの科学知識で一網打尽にしようとするのは良しとして、必須アイテムの「塩」を入手するのに、道中で非常に厳しいダイス目の僥倖が必要なバトルに勝たないといけなくて、「塩」ぐらいどこでも手に入るだろうとツッコミ入れられる作品でした』

 

アス・ラル「大筋では王道スペースオペラのプロットなのに、気の抜けたサプライズと、笑えないジョークと、行き当たりばったりで主体性の見えないストーリー展開と、格好いい設定のはずなのに行動はお間抜けコミカルな主人公描写と、ゲームバランスが悪い方向に崩壊した極悪難易度と、意図不明なミニゲームと、サイケデリックさとハッタリ疑似科学の入り混じったB級SFな宇宙観で、ヤクでも決めてラリったような物語体験を味わえるのがアーロックだな」

 

リサ「語り始めると、誹謗中傷が止まらなくなる感じだね」

 

アス・ラル「ネタにはできる面白さはあるんだ。ネタにもならん凡作ではなくて、画期的で個性的で、『死霊の盆踊り』的なカルト色の強い作品。怪作の名が相応しくて、この作品の外国人の書評が読みたいと思わせる。まあ、一般にはお勧めできない作品だな」

 

 

リバT『話を戻しましょう。攻略必須アイテムのルーン文字の棒を入手していたおかげで、〈雪の魔女〉を本当に呆気なく倒したリサさんですが、パラグラフ4番にて心臓に棒を突き刺して、魔女の肉体は滅びます』

 

リサ「だけど、まだ完全に滅びてはいないんだね」

 

アス・ラル「結構しぶとく復活してきて、嫌がらせの呪いまでかけて来るんだよな」

 

リバT『強いという印象は皆無ですけど、やたらとイヤらしいという印象がついて来ます。それはさておき、当リプレイでは独自に〈雪の魔女〉とリサさんのドラマ性を強調したオリジナル展開を考えてみました。ゲームで最初に倒される前に会話イベントを紡いでみましょう。〈雪の魔女〉登場シーンから時間を巻き戻して……』

 

雪の魔女の目的

 

リバT『広間の棺桶から優雅に起き上がった〈雪の魔女〉は、リサさんを一瞥すると、にっこり笑みを浮かべて、白い牙をちらつかせます。そして威嚇するのではなく、親しげな態度で話しかけて来ます』

 

魔女『よく来たね。運命神ロガーンに選ばれし娘リサ・パンツァ。心より歓迎するよ』

 

リサ「あたしの名前を知っているのか!?」

 

魔女『もちろんさ。死を司る我が神とロガーンは古き知り合いでね。天上界でちょっとしたゲームを始めたんだ。ロガーンはそなたをコマに選び、我が神はもちろん私を選んだ。このタイタンの地ではよくある話さ。魔術や天上界、異世界の研究をしている者にはお馴染みの運命の遊戯。おっと、そなたは魔術とは無縁の剣士だったかね』

 

リサ「ロガーンがあたしを選び、あんたは別の死の神に選ばれた。だったら、あたしがあんたを倒せば、ロガーンの勝ちってことだね」

 

魔女『すると、ロガーンはそなたを次のゲームに誘う。そなたはいつまでも運命神の操るゲームのコマだ。それで満足できるなら、私に挑むがいいさ。だけど、私の望みはそなたと殺し合うことではない。神のゲームのコマに甘んじるつもりもない。私は神々の操り人形になるつもりはない。私は私の意志で、望みをかなえるつもりさ』

 

リサ「それがアランシアに氷河期をもたらし、支配者になるってことなの?」

 

魔女『そういう噂を立てる者もいるみたいだね。私は〈雪の魔女〉、私に最初に力を授けた氷の魔神は、そなたが先ほど器を倒したせいで、しばらくアランシアに干渉できなくなった。感謝するよ。小者のデーモンの支配から、私を解放してくれたことをね。さすがは運命に選ばれし英雄の卵だ。これで私も、アランシアを氷づけにするという小者デーモンのつまらない妄執に縛られずに済んだ』

 

リサ「だったら、氷河期計画は、氷魔神のせいであって、あなた自身の本意ではない、と?」

 

魔女『若き日の過ちって奴さ。遠い昔、この雪と氷の地にて試練にさらされた際、力を求めて契約した魔神が私を束縛した。そうして、ゼンギス生まれの若き神官にして女魔術師、小娘シャリーラは魔神の下僕〈雪の魔女〉として、この地に君臨することになった。魔神は私に永遠の忠誠を求め、私は死の神とも契約して吸血鬼となった』

 

リサ「契約相手を間違えた報いってことかしら」

 

魔女『そなたも人のことは言えまい。ロガーンと契約して、その魔剣を使い続けているうちに、そなたも人から魔の道に足を踏み入れ始めていることに気付かぬのか?』

 

リサ「あたしが魔の道にですって?」

 

魔女『そうとも。私はそなたの血に、私と同じ匂いを感じておる。そなたもまたゼンギスの血を受け継ぐ一人であろう。私や、かの火吹山の魔法使い同様に』

 

リサ「ゼンギスの血……確か母さんがゼンギス出身の忍びだと言ってた」

 

魔女『あの地では、古来より男が肉体的で、女が霊的、精神的な存在だと言われてきた。まあ、火吹山のあやつのような例外はいようがな。もしかすると、私が生きていた時代よりも、その辺の風習が変わったのかもしれんが、選ばれた女は巫女として、あるいは魔術師として高度な修練を積むべく試練を強制されたものだ。その中で才能を開花した者は、人の道から魔の道に親和性を示して、ある者は英雄に、ある者は邪悪な魔術師として、讃えられたり疎まれたりする。来た道は違えど、根元において私とそなたは同じ血の運命によって結ばれていると言ってよい』

 

リサ「あたしとあなたが同じですって? そんなことはない!」

 

魔女『だったら、どうしてこの地に来た? そなたは自分の意志でこの雪山まで登って来たと思うておるかもしれんが、そこには運命神や我が死の神、そして私自身の意志も多分に働いておる。何しろ、そなたは我が望みどおりに、私を縛る氷の魔神を倒してくれたのだからな。私に会うためにここに来たのであろう。ロガーンの導きどおりに、私を殺しに来たのか? それとも私を束縛から解放しに来たのか? そなたの意志を教えておくれ』

 

リサ「……あなたを殺す、と言ったら、素直に死んでくれるの?」

 

魔女『これは異なことを聞く。死は我が神の権能だ。私は死を恐れるものではない。すでに不死の境地に達しているからな。そう簡単には死ねんよ。それでも殺すと言うなら、死ぬのはそなたの方だな。試してみるか?」

 

リサ「……吸血鬼はこれに弱いと聞いた」

 

魔女『ほう、ニンニクか。確かにな。それさえなければ、私はそなたに強制力を働かせて、自ら血を捧げて、奴隷にすることもできたろうが、そうするつもりなら最初からそうしておる。私はそなたの意志を奪って、つまらない従者に仕立てたいとは思っていないのだよ。私が欲しいのは同志だ。神のコマであることに甘んじず、自らの意志で誇りを貫く魔の道を追求する同志。そなたならそうなれると期待しているのだがな。魔剣士リサ・パンツァ』

 

リサ「〈雪の魔女〉、いいえ、シャリーラと言ったわね。あなたはあたしに同志になれと言うけれど、そんなつもりは毛頭ない。だけど、あなたを望みどおりに解放してあげる。この魔力の棒であなたの心臓を貫いてね。人を捨てた魔物は滅するが定め。この世から未練なく消え失せなさい」

 

シャリーラ『良かろう。刺し貫くがいい。そなたの手で我が年経りし肉体を滅ぼすがいい。我が望みしままに』

 

リバT『こうして、リサさんは〈雪の魔女〉シャリーラの心臓をルーンの棒で貫き、その肉体を滅ぼすことに成功しました。消滅する中で、シャリーラは満足したかのような笑みを浮かべ、「これでいい」とリサさんの耳元でつぶやきました』

 

リサ「……本当に良かったの?」

 

リバT『ええ、肉体は滅びても、不死の魂は不滅。そして、同志と目したリサさんの手で倒されること、それが彼女の目的だったのです』

 

アス・ラル「それは……何だかイヤな予感がするな。リサに何か変わった気配はないか?」

 

リサ「変わった気配って、どういう意味よ?」

 

アス・ラル「いいや。気のせいだったらいいんだ。しかし、これでまだ話が終わったわけじゃないだろう?」

 

リバT『もちろんです。ゲームブックの話はまだ続きますからね。でも、今回はこれにて完です。あとは今回のマップとキャラシートをまとめて終了します』

 

     ?

     ↑

   297雪の魔女

     ↑

   150白ネズミーーーーーーーゾンビと倉庫83

            l

          結晶戦士59

            l

                        ーーーーーーーーーーーーーー

       l      l              l

    要・鉄の鍵  霜の巨人288 要・短剣

       l      l       l

       ーーーーーーーーーーーーー

             l

 311ドワーフーー137ーー125幻術師

         l

悪魔像の集会場→ー

 

リサ・パンツァ

・技術点12

・体力点18/20

・運点10/12

 

・食料残り5食

・金貨:なし

・所持品:アストラル・ソード、時間歪曲の指輪、幸運ポーション、背負い袋、戦槌(ウォーハンマー)、白いマント、【勇気のお守り】(技術点+2)、古いバラ、ルーン文字の棒、魔法のフルート、スリングと鉄の玉2つ、金の指輪(冷気抵抗)、銅の指輪(戦士召喚)、ミノタウロスの角の粉末、ニンニク、ドラゴンの卵4つ、(青字は今回入手したアイテム)

 

・情報:白ネズミに気をつけろ

(当記事 完)