ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「盗賊剣士」攻略記(その7)

今回でゴールを目指す

 

アスト「前回は、時間を巻き戻して、アビゲイルを慌てて助けてきて、バッドエンドフラグを叩き折ってから、再度ニナ救出作戦(その1)、拷問館で捕まったギルメン2人と連絡をつけ、博物館でお宝を回収して、ついに最終の決戦当夜に至った。不慮の事故さえ発生しなければ、今回でクリアできるはずだ」

 

ダイアンナ「不慮の事故って?」

 

アスト「ダイス目が悪くて、有利なはずの戦闘に負けてしまうことだな。一応、バトルの敗北はプレイし直しを想定しているので」

 

ダイアンナ「では、解き直すをすることなく、ゴールまで行き着くことを願ってるよ」

 

決戦場へ乗り込む

 

アスト「物語を始めて、6夜めにギルドが襲撃され、7日めの夕方にニナを救出、8夜めに拷問館と博物館イベントを経由して、今夜は9日め。パラグラフは350番だ。この夜、怪物商人の黒幕である鎧の女が下水道を使って、拷問館に現れるという情報を聞いたオレたち【オッドアイ】の生き残りは、ギルドの存亡、仲間の仇討ち、裏稼業の世界での落とし前を付けるために、夜襲を掛けることになった」

 

ダイアンナ「捕まった仲間の救出も目的じゃないか?」

 

アスト「まあな。気分はまるで必殺仕置人の最終回、いや、仲間が拷問にかけられているのは、仕事屋か仕置屋、仕業人、新・仕置人かもしれないなあ……と、年季の入った必殺シリーズファンのNOVAなら言うだろう」

 

ダイアンナ「必殺と言えば、来年の正月は『仕事人2024』はやるのかね?」

 

アスト「無理じゃないかなあ。主演キャストとか、レギュラーの多くがジャニーズ関係だから、まともに話を作れる状況にはないと思うので、今後の方針を固め直してから、来年の春か夏に新体制で再開するぐらいが関の山だろう。まあ、ゲームブックには全く関係ない話なので、こっちの裏稼業はこっちで始末をつける。気分は『盗賊剣士・激闘編』最終話『アスト、裏ワザで勝負する』ってところだな」

ダイアンナ「裏ワザかよ!?」

 

アスト「裏ワザを使わずに、運だめしの7回連続成功なんて、達成できるか! そのための仕込みは整えた。そう、後は多くの難関を突破して、『どたんば勝負』って流れなんだよ」

 

ダイアンナ「マニアックなネタはそれぐらいにして、ゲームブックのストーリーに戻ろうよ。ええと、下水道から攻めるわけか?」

 

アスト「そう。下水道と言えば、管理人のロックウェルの協力を求めることになる」

 

ダイアンナ「ロックウェル?」

 

アスト「いただろう? 初日の下水道護衛ミッションで、護衛対象になっていた人物だ」

ダイアンナ「ここでの記事だと、名前をチラッと出しただけで、もっぱらネズミのことしか注目していなかったろう?」

 

アスト「いやあ、その時は彼が終盤にも顔を見せる重要キャラだとは気づいていなかったんだよ。とにかく、ネズミから守ってやったロックウェルさんだ。彼は『木船でもあれば楽なんだが、急なことで用意できなかった』と済まなそうに言う」

 

ダイアンナ「持っているよな、木船」

 

アスト「ああ、こんなこともあろうかと、金貨120枚で購入済みだ。木船がなければ、下水道突破に手間どり、技術点1と体力点2を失う。しかし、備えあれば嬉しいなってことで、木船を提供してやる。万事抜かりなし」

 

ダイアンナ「まるで、いろいろ覗き見したかのように、適切に準備しているんだな」

 

アスト「いや、単に金で買えるものは一通り購入していただけだ。そして、次に下水道の臭いに耐えるために『高級鼻栓』がいる。なければ、技術点1と体力点3を失う」

 

ダイアンナ「ここに来て、適切なアイテムを持っていなければ、いろいろとペナルティを被るわけか」

 

アスト「もちろん、『高級鼻栓』は金貨12枚で購入済みだ。念のために買っておいて良かったぜ。さて、次のイベントでは『伯爵の具足』が問題となる」

 

ダイアンナ「それが必要なのか?」

 

アスト「いや、違う。それを身に付けていると、突然、転倒して頭をぶつけて意識を失い、下水道に落下して、そのまま流されてしまうというバッドエンドだ。呪われた品をうかつに身に付けてはいけないという話だな」

 

ダイアンナ「持っていないといけない物と、持っていてはいけない物が入り混じっているんだな。ここを突破するのは、なかなか難儀ということか」

 

アスト「そして、次のイベントでは思わぬ伏兵が現れた。ライバルギルドの【ホークウィングス】の連中が襲撃して来る」

 

ダイアンナ「どうしてだ? ナドラー確保競争が終わって、連中はこちらの軍門に降ったんじゃないのか? ニナ救出作戦でも協力してくれたはずなのに何で?」

 

対決! ホークウィングス

 

 

アスト「こちらが必殺シリーズなら、向こうは影の軍団。2つのギルドの最後の決着の時が来たんだ。【ホークウィングス】の連中が曰く、『ナドラーは真の怪物商人じゃない。黒幕がいるという情報は聞いている。だったら、怪物商人の確保勝負はまだ終わっていない。後は俺たちに任せて、くたばりかけの【オッドアイ】の連中は引っ込んでな!』だそうだ」

 

ダイアンナ「つまり、あたしたちの代わりに、ラスボスと決着をつけてくれるってことかい?」

 

アスト「そんな楽な話じゃないんだがな。要は、ギルドの主導権をかけた勝負の決着をここで付けようってことらしい。当然、こっちのギルマスのアレハンドロも、はい、そうですか、と大人しく引っ込む玉じゃない。2つの組織のメンツをかけた争いが開始された。なお、下水道の闇の中で戦うに際して、蛍石のブローチ』を持っていると、こちらに有利に働いて以降は攻撃力が1点加算される」

 

ダイアンナ「すると今の能力は?」

 

アスト「技術点12+ハンマー(+2)+マキシミリアンの籠手(+1)+蛍石(+1)で、攻撃力の基準が16だ。そんなオレの前に立ちはだかったのが、(生きていれば)アマンダということになる」

 

アマンダ『何とも苦い話だな。お前とは上手くやって行けると思ったが、これもギルドの決めたことだ。お前とはここで決着をつける。死ねやあああッ!』

 

●アマンダ:技術点12、体力点11

 

アスト「アマンダ相手に、ハンマーを振り回して叩きつぶすのもどうかと思ったので、盗賊剣士らしく華麗に『幸運のレイピア』で相手どることにした。それでも、攻撃力の基準は14で、彼女よりも2有利に戦える」

 

(しばし、ダイスを振って)

 

アスト「2点ダメージを受けたが、ほぼ順調にダイスが転がって、彼女を倒すことができた。これで、彼女を殺す……というのが、たぶん公式ストーリーなんだろうが、ここでは相手を戦闘不能に追いやり、命だけは救ってやることにした」

 

アマンダ『くっ、どうして、トドメを刺さない!?』

 

主人公『今夜の仕事は、お前を殺すことじゃないからな。それに、お前さんはいい女だ。いい女には貸しを作って、実をとる。そいつがオレの盗賊剣士の流儀だ。無抵抗の相手を殺してしまったら、損だからな。借りはまた返してもらうぜ。同じギルドの仲間になった時にでもな』

 

アマンダ『私にトドメを刺さなかったこと、後悔するなよ』

 

主人公『やれやれ。後悔するようなマネをして欲しくはないんだがな。まあ、生きていれば、また会おう。せいぜい、こっちの生還を祈っておいてくれ。真の怪物商人はもっと手強い相手だからな』

 

アマンダ『……死ぬなよ。お前との決着、まだ付いていないんだからな』

 

主人公『やれやれ。そういうことにしておいてやるよ。貸し+1、と』

 

アスト「こんな感じのやり取りを想像してから、仲間たちも何とか【ホークウィングス】との戦いを制したようだ。死体を下水道に落としたり、撤退する連中を見逃したりしながら、何とか一息つく。この後は、食事をとったり、ツキ薬を飲んだりすることができない、と記述されていたので、この時点で食料を消費して、体力点を全快にしておく。そして、ついに下水道の向こうから鎧の女が姿を現した」

 

ラスボスの名は……

 

アスト「ここで、囚われた仲間のうち、トロールのセーリヌスを殺害していたら、我々の襲撃は相手に知られていないので、有利に戦える。殺害したのがコビットのピドロなら、体力点4と運点1を失うだけで済む。誰も殺していないなら、鎧の女が高らかにこう宣言する」

 

鎧の女『愚かな【オッドアイ】の者どもよ! きさまらの襲撃は漏れているぞ! きさまらの仲間であるセーリヌスが口を割った。今夜ここに我々が来ることを、新入りのギルドメンバーに伝えたとな! きさまらは我々の罠にハマって、のこのこと殺されに来たのだ!』

 

アスト「これによって、技術点1と運点2を失うことになったわけだ(技術点12/13、運点10/12)。すぐに敵の兵士が襲撃してきて、こちらは応戦に追われることになった」

 

●兵士:技術点9、体力点7

 

アスト「またも2点ダメージを受けたが(体力点23/25)、何とかしのいだと思うと、鎧の女は連れてきたウォードレイクという怪物を解き放った」

 

鎧の女『小癪な下郎がふざけた襲撃を企ておって……覚悟するがいい。お前らの仲間、家族もろもろ全て皆殺しだ!』

 

ダイアンナ「どうも相手はヒステリックになってるようだね。ゴブスレさんじゃあるまいし、そうそう皆殺しなんて言葉を使うとは、過去に何があったんだ?」

 

アスト「盗賊という職業に対して、憤懣やる方ないんだろうさ。それはともかく、ここで【樽(408)】のコネを持っていれば、434番に進むことになってバッドエンドだ。巨大なウォードレイクの猛攻にあって、我々はなす術なく蹂躙されて、全滅してしまう。その時に助けてくれた救世主こそが、怪物少女のアビゲイルだったんだな」

 

 巨大なウォードレイクが【オッドアイ】を蹂躙せんとしていたその時、下水道の中から、さらに巨大なシーサーペントが出現する。

 二頭の怪物は激しい死闘の末、シーサーペントがウォードレイクの頭を食いちぎった。

 鎧の女は、思いがけない怪物の出現に呆然としていたが、すぐに兵士たちに命じて、投擲槍を一斉に投げさせる。

 槍ぶすまになったシーサーペントは、そのまま息絶えたかに見えたが、すぐにその死体が動き出し、中から血まみれの女が這いずり出して来る。

「お前たちこそ皆殺しだじぇ」

 怪物の中から出現した恐ろしい魔少女アビゲイルの怪異同然の姿に、敵の兵士たちは悲鳴を上げて逃げ出した。

 

アスト「こうして、シーサーペントに身をやつしていたアビゲイルのおかげで、敵の軍勢は総崩れとなり、オレたちは逆転のチャンスをつかんだんだ。アビゲイルは力を使い果たしたらしく、その場に倒れ、ギルマスのアレハンドロは彼女の安全を確保しながら、メンバーを鼓舞して追撃戦に移った。その間に、オレとニナの2人だけが、下水道の奥に逃げ込もうとしている鎧の女の姿を目にして、後を追おうとしたわけだ」

 

ダイアンナ「組織戦と怪物大決戦とは、ずいぶんと派手なクライマックスだね」

 

アスト「ああ。プレイ前は都市冒険ゲームブックという触れ込みだったから、ここまで派手な物語になるとは思わなかったぜ。そして、ここに来て、この鎧の女の正体を問いかける選択肢が出るんだ。選択肢は『セエラ伯爵夫人』『ランカスター司祭』『アレハンドロ』『その他』の4択だ」

 

ダイアンナ「その中で、女性はセエラ伯爵夫人しかいないから、思わず選びたくなるよね」

 

アスト「間違った選択肢を選ぶと、鎧の女は足を止めることなく、下水道の奥深くに消えて、ラスボスに逃げられたためにゲームオーバーとなる。ここでの正解は『その他』だ。それを選ぶと、次の選択肢として『グレゴール』『マキシミリアン公爵』『エドワルド』『その他』が提示される」

 

ダイアンナ「グレゴールは【賭博塔】の支配人で、すでに死んでいる。エドワルドは拷問好きの変態大学教授だっけ。ええと、マキシミリアン公爵ってのは……まさか……」

 

アスト「そう、そのまさかだよ、ダイアンナ。怪物商人の真の黒幕、本作のラスボスの名は、この盗賊都市ネグラレーナの領主にして、清廉潔白な名君と謳われたへレーナ・マキシミリアン姫公爵その人だったんだ!」

 

女領主との決着

 

アスト「へレーナ・マキシミリアン、汝の正体見たり! と背後から呼びかけると、逃げていた彼女は足を止めた」

 

鎧の女へレーナ『バカな。私の名前を言い当てるとは、どこでミスを犯したというのだ!? あのトロールとコビットですら、見当もついていなかったというのに!』

 

アスト「へレーナがペットにしている殺人リスが襲いかかり、ニナが応戦しているあいだ、オレは彼女と対峙することになった」

 

へレーナ『お前が何者かは知らんが、私の正体に気づいた以上、生かして帰すわけにはいかん。これでもくらえ!』

 

アスト「そう言って、彼女が取り出したのが、ドラッツェンの国で開発された最強のからくり殺戮兵器、七連装ド弓だ。矢のダメージは1点だが、1つ1つに毒が塗られているようで、1発でも当たったら即死してゲームオーバーだ。矢を回避するには、運だめしを成功させなければいけない。7回連続でな」

 

ダイアンナ「これが噂の本作最難関の仕掛けか。今の運点は何点だ?」

 

アスト「10点だな。(コロコロ)とりあえず、ダイスを振ったら、11が出たので、即死ゲームオーバーだ(涙目)」

 

ダイアンナ「おいおい、アスト。ここまで来て、死ぬ奴があるか!」

 

アスト「ということで、正々堂々の表ワザでは、この窮地は凌げない。しかし、取り出しましたるは、この秘密道具『祝福されたお守り』だ。これを使うと、運だめしが必ず成功するという効果つき。ここから裏ワザタイム発動だぜ」

 

●1回め:お守り効果で、運だめし自動成功(運点は10のまま)。

 

ダイアンナ「しかし、そのお守りは1回しか使えないんだろう?」

 

アスト「そこで、もう一つ取り出したるは、【博物館】のお宝トルマリンのサイコロ』だ。運だめしの出目を好きなように操作できる。ここで2回めは1ゾロが出たようにするぜ。だが、その前に」

 

●2回め:6と4が出て、成功(残り運点9)。

●3回め:2と2が出て、成功(残り運点8)。ゾロ目効果により、「お守り」の効力回復。

●4回め:お守り効果で、運だめし自動成功(運点は8のまま)。

●5回め:4と3が出て、成功(残り運点7)。

●6回め:1と6が出て、成功(残り運点6)。

●7回め:6と2が出て失敗したのを、『サイコロ』効果で1ゾロに変えて成功(残り運点4)。ゾロ目効果により、「お守り」の効力回復。

 

アスト「そんなわけで、お守りとサイコロの合わせ技で、連続7回の運だめし成功を勝ち得たわけさ。なお、作者によれば、運点がゼロになってもルール上は死なないのと、サイコロの効果はダイス目を好きな数字に変えることなので、最低値が1ゾロの2とは限らず、0ゾロとか、マイナス数字のゾロ目にしてもいいらしい。そんなわけで、運点がどれだけ減って0以下になろうとも、運だめしは100%成功できるそうだ。

「ただ、やはり0ゾロとか、マイナスのゾロ目はないだろうとオレ的には思う。それを許すと、もはやサイコロゲームではなくなってしまうということで、やはり運点が2を切れば、もう運だめしは成功できない、とオレ的に縛りプレイを考えてみたが、とりあえず、何とか残り運点4で生き残ったので良しとする。全ての矢を避けきったオレは、よっしゃラッキーと叫んでパラグラフ77番へ向かう」

 

へレーナ『バカな! この者は神に愛されているのか! あるいは、別の力が……!』

 

主人公『そう、別の力さ。これを見ろ。何だか分かるな(両手の籠手を見せる)』

 

へレーナ『そ、それは、我がマキシミリアン家に伝わる家宝の籠手! きさま、まさか博物館から盗んだのか!?』

 

主人公『盗んだんじゃない。あんたのご先祖さまの御魂に導かれたんだ。あんたの悪業を正せ、とな。今のあんたの所業は、マキシミリアン家の父祖に誓って、正義と言えるのか? 名誉あふれるマキシミリアン家の名に傷をつけているんじゃないか?』

 

へレーナ『……盗賊風情が抜け抜けと、正義を語るな! 盗んだ籠手を振りかざして、何が先祖の御魂か! たとえ闇に身を落としても、神の寵愛はなおも我が誇り、覚悟、大願に宿ることをこの剣にかけて証明してみせる!』

 

主人公『いいだろう。オレも誇り高き盗賊剣士。己の正義を語れる身ではないが、闇の掟に従い、道を踏み外した輩をこの祝福された剣で断罪する!』

 

アスト「こうして、へレーナ・マキシミリアンは黒い稲妻を帯びた魔剣を振りかざし、一方のオレは『幸運のレイピア』で迎え撃つ」

 

ダイアンナ「ハンマーじゃないのか?」

 

アスト「ハンマー+2は強いが、幸運のレイピアもここでは有効なんだ。鎧をまとって動きの鈍い相手に対して、素早い動きで応戦し、鎧の隙間に鋭利な刃を潜り込ませやすいので、攻撃力+1、ダメージが技術点チェックに成功することで通常の2点から3点に向上する。彼我の戦闘能力はこんな感じだ」

 

●へレーナ:技術点12、体力点16(体力点4以下で敗北を認める)

●主人公:技術点11+レイピア(+1)+マキシミリアンの籠手(+1)+蛍石(+1)で攻撃基準値14、体力点23/25

 

アスト「まあ、この状態で負けることはまずないな。アイテムによるバフが効いているわけで、じっさいにダイスを振ってみると、こんな感じのバトルになった」

 

●1ラウンドめ

 へレーナの攻撃ダイス9+12=21

 主人公の攻撃ダイス4+14=18

    主人公の残り体力23→21

 

●2ラウンドめ

 へレーナの攻撃ダイス5+12=17

 主人公の攻撃ダイス3+14=17

 同値は幸運のレイピア効果により、主人公の勝ち。

 技術点チェックに成功して、3点ダメージ(以下略)

 へレーナの残り体力11→8

 

●3ラウンドめ

 へレーナの攻撃ダイス8+12=20

 主人公の攻撃ダイス8+14=22

 へレーナの残り体力8→5

 

●4ラウンドめ

 へレーナの攻撃ダイス7+12=19

 主人公の攻撃ダイス7+14=21

 へレーナの残り体力5→2(戦闘終了)

 

 盗賊剣士の鋭い剣撃が、闇に堕ちた女領主、いや怪物商人の魔剣を器用に弾き飛ばした。

 戦いの最中は唸りを上げ続けた黒い魔剣が、カランと地面に転がり、静寂が漂う。

「勝負あったな」武闘派として、無名ながらも【オッドアイ】のルーキーエースに上り詰めた男の声が響く。

「バカな。父以外に負けたことのない私が! 神の寵愛を受けた私が……」誇り高き女の声は動揺を帯びていた。強固な自信が打ち砕かれた瞬間である。

「勘違いするなよ。天命、運、生まれの差、才能の差はいろいろあるけど、神さまって奴は誰にでも平等なんだぜ。少なくとも、オレの信じる盗賊の神さまってのは、えこひいきはしない。勝負を決めるのは、運と実力、そして……何というか信念? 道理? いや、小難しいことはよく分からんが、今回はオレがゲームの勝利者ってことさ。何度か危ないめにもあったし、失敗を取り繕ったこともあったがね。それでも、ここまで漕ぎ着けた」

「私をどうするつもりだ?」女がキッと自分を負かした男を睨みつける。

「さあな」盗賊剣士は肩をすくめた。「無抵抗の女を痛ぶる趣味はオレにはない。だが、あんたはオレたちの仲間を殺しすぎた。相棒が何と言うか……」

 殺人リスとの決着をつけたニナが、静かな、しかし怒りに満ちた口調で割って入って来た。

「許していいわけがない。さっさと始末しましょう。優しいあなたができないなら、この私が……」

「まあ、待てよ、ニナ。神さまだって、最後の懺悔ぐらい聞いてやるのが慈悲ってもんだ。オレたち盗賊稼業にだって、守るべき誇りってものがあるだろう? 領主さまにとっては、オレたち下賎の輩を対等と思っていないみたいだが、オレたちが誇らしく生きていることは示しておきたい。違うか?」

 ニナは少しの間、逡巡してから、こうつぶやいた。

「今すぐ仇はとりたいけど、彼女を追いつめたのはあなたの功績。私も感情的になり過ぎているかもしれないので、正しい判断ができないと思う。この場はあなたに委ねるわ」

 

最後の選択肢

 

アスト「へレーナ・マキシミリアンを打ち負かしたパラグラフ425番で、彼女の主張、ニナとの激論がいろいろと読み取れる。その後、2つのエンディングに分岐するんだ。へレーナにトドメを刺す(400番)と、へレーナを許して盟約を結ぶ(450番)。作者の後書きによれば、どっちのエンディングにも優劣はない、とのことだが、FFゲームブックに慣れた身には……どっちもOKということになるかな」

 

ダイアンナ「FFシリーズとしては、400番がエンディングであることが多いし、ラスボスを倒して、きれいに終わる形が多いな」

 

アスト「勧善懲悪で、倒すべき悪が明確な作品が多いもんな。しかし、本作は違う。誰の中にもある光と闇、表と裏をテーマにして、裏稼業に従事する悪漢主人公の視点で描かれているから、善と悪との逆転構図で話が構築されているんだ。ラスボスのへレーナ・マキシミリアンは【オッドアイ】にとっての敵対相手で、完全に無垢な存在ではなく、己の理念に従って闇に足を踏み入れつつも、秩序にして善良な人物だ」

 

ダイアンナ「だったら、どうして怪物商人の黒幕に?」

 

アスト「元々、この街では無法な怪物取り引きが横行して、それを禁止する政策を彼女の父の先代マキシミリアン公と、へレーナが執り行ったんだ。しかし、先代が亡くなって、権力移行が行われる隙をついて、裏取り引きが行われる流れになった。それを止めることができないと悟った彼女は、無秩序な悪が蔓延することよりも、自らが制御する秩序だった悪として、怪物の闇取り引きを仕切る決断をする」

 

ダイアンナ「政治家として、清濁合わせ呑む道を選んだわけかい」

 

アスト「へレーナ視点では、領主が裏で取り仕切る闇取り引きにちょっかいをかけた外様の悪党集団が【オッドアイ】と【ホークウィングス】ということになる。へレーナは無秩序な悪党組織がのさばって、秩序だった自分の街が乱されることが嫌なので、自分の取り引きの権益に不遜にも挑んできた連中を返り討ちにして何が悪い? って言い分だ。1万の無辜の市民の生活を安泰にするために、100人の無法者を切り捨てても構わない、というのが彼女の主張だな」

 

ダイアンナ「ああ、秩序を守るというのはそういうことだな。万人の人権を守ることを求める余り、社会秩序を乱す者を同じ人間だから受け入れるというのでは、社会不安が高まるばかりだ。誰の人権を重視し、誰の無法な言い分を取り締まるのが社会を良くするのか、それを議論してできるだけ多数の最大幸福を守るのが正解なのかを考えるのが法であり、政治であるってことだね」

 

アスト「その中にあって、少数の人間の制限された人権をどう保障するかが問題となるんだが、少なくとも既存の社会秩序を軽視して異なる価値観で一気に塗り替えようとする急進的扇動家、革命家は、基盤にどんな立派な大義や理念を抱いていようと、手段が暴力であったり、排他性が露骨だったりすると、一般民衆からは嫌われる。まあ、政治の手法の研究はさておき、本作では清濁合わせ持つ覚悟を決めた女領主と、社会の底辺の立場から利権を獲得しようとする盗賊組織の対立劇が背景にある。その落とし所として、【オッドアイ】が新たにへレーナ・マキシミリアンの裏取り引きを仕切る盟約者として協力するか否かが問われることになる」

 

ダイアンナ「権力者の犬に成り下がれ、と?」

 

アスト「現領主を殺害して反権力の立場を貫くのが400番。一方、怪物商人は闇社会のルールを乱したから正体を暴いて制裁するという理屈で動いてきたのが【オッドアイ】だったから、領主の権力に真っ向から立ち向かって、ネグラレーナの秩序を崩壊させるつもりまではなかったので、相手が領主なのだったら反旗を翻すつもりはないのが450番だ」

 

ダイアンナ「アストはどっちを選んだんだ?」

 

アスト「オレは、へレーナ・マキシミリアンを、ブラックサンドの悪徳領主と違って、清廉潔白な民衆思いの良い領主として、応援していたからな。まさか、裏の顔があると知って、それなりに驚いたし、対立することになって残念な気持ちもあった。しかし、『いい女には貸しを作って実をとる』というポリシーからは、450番がベストエンディングに思えるわけだ。多くのゲームブックでは、ラストパラグラフがトゥルーエンドという考え方もあるし、街の秩序は450番の方が保たれるって話だからな」

 

ダイアンナ「仲間の仇討ちにはこだわらないのか?」

 

アスト「へレーナがただ残虐なだけの自己中悪女なら惚れたりはしないんだが、清廉潔白、公明正大を謳う姫領主が街の秩序を守るために、悪の道に手を染める悲愴な覚悟をしたって設定に、萌えを感じてツボッて、彼女に代わって汚れ仕事を引き受ける公儀隠密風の剣士って未来も、ロマンだと思うんだな。へレーナは本来、光サイドの人間だから、闇の世界の掟は知らないんだ。だから、彼女の配下の怪物商人一派はどうしようもない悪党連中が多くて、決して彼女に似つかわしくない。やはり、女領主を支える裏稼業は、オレたちみたいな誇り高い盗賊剣士でないと……と考えて、雨降って地固まる的な終わり方もいいだろう、と思った次第」

 

ダイアンナ「ラスボスとの和解、盟約エンドってのは、本家FFではほぼないもんな」

 

アスト「一応、当ブログの『天空要塞アーロック』攻略記事では、ル・バスティンに対して、そういう改変をしていたが、公式ストーリーではないもんな。敵対し、一度は本気で殺し合った女領主と政治的に和解し、以降は盟約者として彼女の統治に協力する関係を結べるエンドは、ゲームブックでは新鮮で面白いという感想だ。あとは2つのエンディングの概要を示して、当記事は終わりとする」

 

★パラグラフ400番(仇討ちエンド)

 盗賊組織に討ち取られたへレーナは行方不明となり、街はしばらく荒れた後、彼女の弟アミエルが新領主となって、ようやく落ち着きを見せた。

 たくさんの仲間を失った【オッドアイ】は、怪物商人であった大物を倒した功で、裏社会の中で敬服されるようになり、【ホークウィングス】と合併をも果たした。両ギルドの間の遺恨は多少とも残り、いずれ一波乱あるとも思われるが、今のところは一応うまくやれている。

 火種の可能性としては、姉を悪党に殺されたと現領主のアミエルが知った場合、相当な報復が行われるかもしれない。

 光と闇が交差して、それが相容れないとき、人は決断を迫られる。

 だけど、人は昼と夜の両方がないと生きられない。

 闇の世界に踏み込み過ぎたへレーナは、闇の報復を受けて死んだ。その事実を思い返しながら、盗賊剣士として主人公は光と闇の狭間を走り続ける。

 相棒の《夜の妖精》と連れ立って。

 たとえ、明日には消えるかもしれない運命だとしても。

 

★パラグラフ450番(和解盟約エンド)

 盗賊組織【オッドアイ】は、女領主へレーナ・マキシミリアンとの禍根を断ち切り、新たなコネを結んで再出発することになった。

 たくさんの仲間を失いはしたが、【ホークウィングス】と合併をも果たし、怪物取引の権益を国家から内密に、しかし正式に受託されたことで、ネグラレーナとともに発展する未来が約束された。

 光と闇の調和したネグラレーナは、だがしかし、名君マキシミリアンの賢明な統治にも関わらず、周辺国との軋轢を生むこととなり、やがて戦火に見舞われることになる。

 その中で、名もなき盗賊剣士がいかなる役割を果たすかは分からない。

 だが、正義のためというお題目で行動することはないはずだ。もっと大切な何か、それを胸に誇り高く、光と闇の狭間を走り続ける。

 相棒の《夜の妖精》と連れ立って。

 たとえ、明日には路上に倒れる運命だとしても、それで満足できる生き方を目指しながら。

 

アスト「ゲームブックの文章を土台に、多少の文章改変を交えながら、本作の攻略記をまとめて見た」

 

ダイアンナ「この主人公の物語の続きはあるのかね?」

 

アスト「一応、前日譚がニナ主人公の『ハンテッド・ガーデンハート』で、後日譚が『盗賊剣士エクストラ』らしいが、まあ、機会があれば、そのうちプレイすることもあるかもしれん。だが、それとは別に、本記事は次回、攻略記(EX)という形で、まだ通っていないミッションをチェックすることにする」

 

ダイアンナ「ええと、未通過のミッションというと、もしや?」

 

アスト「ああ、3日めの闘技場ミッションの影で行われた、セエラ伯爵夫人に対する誘惑ミッションだ。あくまでIF展開ということで、18禁ミッションを覗き見するってことで」

 

ダイアンナ「当ブログの品位を落とすなよ!」

 

アスト「……努力はしよう」

(当記事 完)