ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「奈落の帝王」攻略感想(その5)

カラメールへの帰還

 

リモートNOVA『前回は、東の脅威を確認して、報告のためにカラメールの街に帰還する途中、異形の暗殺者に襲撃されたり、謎かけ盗賊の師匠から投剣術の奥義を学んだりした』

 

ダイアンナ「ゲームブックでは、バロロ師匠は主人公のかつての師匠という設定だけど、本記事では『リーサンが南アランシアに師匠なんて作っているはずがない』ということで、『リーサンを南アランシアに連れて来た謎かけ盗賊のかつての師匠』という設定に改変したんだね」

 

NOVA『どちらも、小粋で洒落た軽妙洒脱なキャラという特徴があるからな。リーバーはフランスの怪盗のノリで、バロロはフランス南部からスペインのラテン剣士のノリだと思う。性格的にも、リーサンは泥臭い田舎者って感じなので、バロロ師匠みたいな垢抜けたキャラに師事したとは思えないんだな。だから、バロロ→リーバー→リーサンという系譜がいいと考えた。リーバーはバロロの不肖の弟子(剣士の道から挫折)で、その剣士の道をリーサンが継承したという筋書きだ』

 

アスト「リーバーを間に介することで、改めて師弟関係を構築したってことだな」

 

NOVA『バロロ師匠を変に忍者に改変するよりは、謎かけ盗賊を元・剣匠の弟子とオリジナル改変する方がらしいと考えたからな。ともあれ、ゲームとしては《ハエ刺し》の技を入手した。これがあると、距離のある相手を仕留めることができる。レオパルドンのソードビッカーや、バトルフィーバーロボの電光剣ロケッターに相当する奥義だ』

アスト「最強技と名高いソードビッカーや、ラスボスを倒した電光剣ロケッターに相当する奥義か。こいつは期待が高まるな」

 

NOVA『まあ、ゲームブックでは何度か使うタイミングがあるんだが、使用タイミングが適切でなくて失敗することも多い残念技とも言える。だけど、ここぞというところで、この技を使わないと攻略失敗になるわけで、習得必須だ』

 

ダイアンナ「立てないといけないフラグの多いゲームみたいだね」

 

NOVA『ここまでで必須フラグは、「謎かけ盗賊に会って、瓶を入手する」「少女メマを助けて、彼女の師匠の情報を聞く」「バロロから《ハエ刺し》の技を教えてもらう」の3つだな。続いて、「カラメールの街に戻って裏切り者を断罪する」のフラグを立てないといけない』

 

アスト「推理劇に展開するわけだな」

 

NOVA『パラグラフ67番。カラメールの街に到着して、早速、宮殿に赴くと、2人の門番に無礼な態度をとられる。どうやら顔パスとは行かないらしいので、こちらの任務の件を話すと、「キャロリーナさまの葬儀の準備でみんな忙しいので、出直して来い。それから風呂には入った方がいいぞ」と見下される』

 

ダイアンナ「いや、風呂に入った方がいいのは事実だろう。緑色のネバネバとか、臭いが漂ってるだろうし」

 

NOVA『そこで諦めて、街に引き返すとダメなんだ。金貨6枚以上の賄賂を払って門を通してもらうか、剣で脅しつけるかを選ばないといけない』

 

アスト「金で解決できるなら、その方がいいんじゃないか?」

 

NOVA『最初の所持金が5枚しかないので、黒エルフの野盗から略奪していなければ、金の持ち合わせがないんだな。まあ、リーサンは金を持っているが、ここは剣士の流儀で行く』

 

ダイアンナ「って、宮殿の門番相手に戦いを挑むのか? 野蛮じゃないか?」

 

NOVA『その野蛮を押し通す力が、今のリーサンにはあるのさ。さあ、無礼な衛兵よ。カラメールの英雄の顔を知らない無知さの代償を払ってもらおうか』

 

 衛兵1(技7、体8)と衛兵2(技6、体7)との同時戦闘である。

 におい玉の影響で、主人公は睡眠不足で、技術点を2減らすことになるが、それでも11はあるわけで(丸盾の効果で+1を適用)、1度だけ引き分けになった以外は順調に9ラウンドかけて、無傷で勝利。その間に敵味方を合わせて23回もダイスを振らないといけなかったのが、面倒だな、と感じた戦闘でした。

 昔は、こうしてダイスを振ることだけで、ゲームを楽しめたんだけどな。ダイス振りがただの作業のように感じると、ゲームの楽しみが減退するのが大人ってものか。

 

 ともあれ、衛兵2人を峰打ちで気絶させ……と思っていたら、パラグラフ150番で「衛兵の死体を近くのどぶに引きずっていき、宮殿の中庭へ大股で入っていく」とある。

 あちゃあ、職務に忠実な衛兵を斬殺してしまったよ。

 まあ、こっちは睡眠不足で苛立っていたから、不可抗力の事故だな。

 しかし、結果論だが、ここでリーサンを止めることで、カラメールが滅びることを考えると、衛兵2人の命を犠牲にすることでカラメールの街が救われるのだから、名誉の戦死ということにしておこう。

 ただし、こういう血生臭いやり方を嫌うプレイヤーには、金貨6枚の賄賂を払って、平和に解決することを推奨します。

 

謀略の宮殿

 

NOVA『こうして強引に宮殿の門に入ったリーサンだったが、顔見知りの従僕が気づいてくれたことでホッとする。キャロリーナの葬儀とかどういうことだよ、と確認したかったが、まずは直接、自分に偵察任務を要請したダンヤザードさん辺りに取り次いでもらおうと頼んだら、従僕くんは快く引き受けてくれた。うむ、聞き分けのいい坊やは助かる。これ以上、人が死ぬのは見たくないからな』

 

アスト「味方のはずのカラメール宮殿で揉め事を起こすのは悪手だろう」

 

NOVA『それはそうだが、ここで一番の悪手は、揉め事を避けて宮殿内部の裏切り者を放置しておくことだから。ゲームブックをクリアするには、多少の強引な手も使わないといけないんだよ。そして、パラグラフ310番。控え室で待っていると、ボディガードを連れたダンヤザードが部屋に入ってくる。その傍らには、リーサンのかつての冒険仲間、ルーサーもいるんだが、ゲームブックではここが初登場だ。そして、「ごまかしの上手いルーサー」と、いきなり悪印象の形容詞が付けられている』

 

ダイアンナ「ルーサーは敵なのか?」

 

NOVA『カラメールの街を乗っ取る謀略に絡んでいて、主人公とラメデスを陥れようとしている「堕ちた英雄」の役回りだな。ルーサーはいきなり、衛兵殺しの罪でリーサンを問い詰めた。それについては言い訳できないので、かつての仲間からの糾弾に低姿勢になりながらも、「しかし、今はそんなことを言っている場合ではないのです」と東の脅威について、見聞きしたことをダンヤザードに訴えるのみだ』

 

アスト「ダンヤザードの反応は?」

 

NOVA『冷ややかでぶっきらぼうだ。ルーサーにどう思うかと尋ねると、ルーサーは「私の手の者の報告では、そのような黒い軍隊の存在など、でたらめに過ぎません。愚かな村人たちが迷信にとらわれ、村を捨てて森に逃げ込んだだけ、と聞いております。この浅はかなリーサンは、民の風聞を真実と勘違いして、いささか錯乱しているものと思われます。リーサン、君は疲れているんだ。風呂でも入って、少し落ち着いて冷静さを取り戻した方がいい。ソフィアの死で動転していたのかもしれないが」と持ち前の弁舌で、上手く周囲を丸めこもうとしている』

 

ダイアンナ「衛兵殺しの件も、錯乱とか、仲間の死で気が動転ってことで情状酌量の余地を考慮してくれるなら、親切ってものだけどね」

 

NOVA『東からの脅威を過小評価している点は気に入らないが、ここでこれ以上の口論を続けても、ルーサーに勝てるとは思えないので、一度は引き下がるしかないだろうと判断をつける。それよりも、気になるのはキャロリーナの死だ。それすら何かの謀略のような気がしてならない』

 

アスト「推理小説で言うなら、依頼人が突然、死んだようなものだからな。誰が犯人かを探り当てるのが、これからのストーリーか」

 

NOVA『ストーリーの筋書きはそうなんだけど、立ち位置的にリーサンが名探偵役を演じることは周囲から求められていないんだな。自分から探りに行かないと、何も分からない傍観者として話が流れて行ってしまう。ダンヤザード曰く、「今はキャロリーナの葬儀の準備で忙しく、お前たちの話の真偽を確認する暇がない。真実は私自身の方法で確かめよう。それまでは宮殿に待機すればいい。召使いの部屋を用意しよう」と命じられた』

 

ダイアンナ「召使い扱いなんだね」

 

NOVA『衛兵殺しの罪で、投獄されるよりはマシさ。少なくとも、身綺麗にして、行動の自由は与えられているからな。その夜、リーサンは裏切り者の正体を暴くべく、隠密調査活動を行う。というか、のんびり部屋で眠っていると、裏切り者の指示で闇から闇に葬られる形になるので、やられる前にやれの精神じゃないと生き残れない』

 

隠密調査

 

NOVA『夜になって、時間がまた進んで13点め。何かが気になって、宮殿の中庭に出ると、貴族の部屋のある主塔の窓の一つから、黒い影が夜空に飛び出すのを目撃した! どうやら、例の暗殺者の魔物が、貴族の誰かと結託しているらしいと判断をつけたリーサンは、馬小屋の外のフックに結え付けられたロープを拝借して、宮殿の屋根に登って、貴族の部屋を覗き見しよう作戦を決行することにした』

 

アスト「そういうのは、オレの得意分野だな」

 

NOVA『覗き見が!?』

 

アスト「隠密調査が、だよ。覗き見なんて人聞きが悪いことを言うな」

 

NOVA『昭和のダイナミック系主人公には必須スキルだろうがな。最近は、主人公が直接、覗き見をするのではなく、覗き見担当のマスコットキャラとか、使い魔とか、脇役従者がいて、主人公の株を下げないようにするのが定番だが、本作は80年代〜90年代のゲームだからな。主人公自ら堂々と、いや、こっそり覗き見する仕様だ』

 

ダイアンナ「しかし、巡回する衛兵だっているだろう?」

 

NOVA『うむ。技術点判定で、同値の12を出せば見つかってしまう。(コロコロ)危ない、11だったぜ。危うく、また一人の衛兵の命を奪ってしまうところだった』

 

アスト「罪を増やさなくて、良かったな」

 

NOVA『なお、衛兵に見つかった場合、選択肢は3つだ』

 

  • 突進して始末する:衛兵の装備した石弓の的になって死亡。
  • 会話で言い逃れる:寝室に戻され、それ以上の調査はできなくなる。
  • 習得していれば、《ハエ刺し》の技で衛兵を始末する:最適解。衛兵から石弓をゲットできる。

 

NOVA『もしも、衛兵に見つかってしまった場合は、《ハエ刺し》を身につけていなければ、ゲームオーバー確定なんだ。逆に言えば、飛び道具の石弓をゲットするには、こうするしかない。石弓は必須アイテムではないんだが、持っていると便利な局面もある』

 

ダイアンナ「だけど、リーサンは石弓を入手はできなかったわけだね」

 

NOVA『まあ、わざわざ衛兵に見つかるドジを踏みたくはないからな。とにかく、衛兵の監視の目をすり抜けて、気分はルパン3世ってことで、クラリスが監禁されている塔に登るわけだ』

 

アスト「いや、クラリスは関係ないだろう」

 

NOVA『ルパン3世ゲームブックもいろいろ出ていたな。俺は一つも解いたことがないから、詳しい説明はできないが、全部で19冊もあるらしい』

NOVA『ルパン3世のゲームは、こちらのブログが書いてあったりするな。19冊すべての攻略記事を書いているサイトは見当たらないが、10冊を超えるシリーズがあるのは一つのジャンルと言ってもいいだろう。まあ、今はゲームブックよりも、むしろ、こちらの方が流行りかもしれんが』

NOVA『ともあれ、リーサンは怪盗ではないけど、トレジャーハンターということで、お宝となる情報を求めて、塔の屋根に登り着いた。そこから、4つの窓を順に調査することができる。ただし、3つ調べると衛兵に見つかる危険が発生するので、全ての調査はできないんだが、攻略記事の都合で4つとも紹介しておこう』

 

  • 左端の窓(397):マッドヘリオスの部屋。深夜にもぞもぞ動いて、こっそり夜食を食べている。
  • 中央左の窓(94):アシア・アルブドールの部屋。キャロリーナの死を悲しんで、一人で故人の霊と向き合うように、思い出話を語っている。国の采配など投げ捨てて、マッドヘリオスに任せておけば、こんな悲劇に見舞われなくて済んだのに……と嘆いている。なお、過去記事で彼女を男性と勘違いしていたり、ダンヤザードと混同していたりする記述があったので、この機に修正しておきました。すみません🙇
  • 中央右の窓(218):ダンヤザードの部屋。金の亡者らしく、衣類や宝石をトランクに詰め込んで、夜逃げの準備をしているようだ。
  • 右端の窓(340):沈黙のシージュの部屋。深い瞑想にふけっている。テーブルの上に、ゲームで使うようなボードが置かれていて、盤面にはカラメール周辺の地図が描かれている。彼女は指先で、コマ代わりのコインを動かしているようだ。

 

NOVA『以上の手がかりで、それぞれの貴族の中から裏切り者は誰かを推理するゲームだが、この中ではマッドヘリオスが一番、間抜けに見える』

 

アスト「食べ物のことしか考えてなさそうだもんな」

 

NOVA『なお、パラグラフ400番を読むと、次の領主はこの人なんだ。この人の統治下で、カラメールが平和になった光景が描かれている』

 

ダイアンナ「食べ物のことしか考えてないのに?」

 

NOVA『しかし、食料のことを誰よりも重要視するのは、国策だと正解とも言えるわけだよ。自分が飢えないことと、国民が飢えないことを同等の価値で考えられる為政者は、十分に傑物だと思うがね』

 

アスト「アルブドールは、あまり目立ってなかったがな」

 

NOVA『ダンヤザードと混同していたり、男性と思い違いをしていたり、ピクシブの記述に惑わされた形だ。アシアって名前は女性ではないか、と素直に読み取れば良かったんだが、ここまで記事書きを進めて、ようやく勘違いに気づいた次第』

 

ダイアンナ「キャロリーナの死を最も悼んでいる人ってことだね」

 

NOVA『少なくとも、キャロリーナ殺しの犯人でないことは、ほぼ確定だな』

 

アスト「ダンヤザードの狼狽えようが酷いな」

 

NOVA『俺、彼女を頼れる女指導者だと思い違いをしていたんだよ。一回、攻略できたから分かったつもりになってたんだが、厳格な表の顔と情にもろい裏の顔はアルブドールさんのもので、ピクシブの混同した記述を後で読んだから、記事書きの際にそうだと認識を上書きされた形。で、ダンヤザードはやはり商売重視なんだな。カラメールが交易都市だから、経済発展のために重要な才覚の持ち主だが、カラメールが滅びに瀕しているとなれば、それを守るよりも、さっさと見切りをつけて逃げ出すことを算段に入れる、頭のキレる女に見える』

 

ダイアンナ「儲けを出せる会社には投資するけど、先がないと見なせば、あっさり見捨てる薄情さも持ち合わせている、と」

 

アスト「でも、それってルーサーの言葉よりも、リーサンの言葉を信じたってことだよな」

 

NOVA『そう。彼女なりに真実を見極める洞察力は持ち合わせていたってことさ。その上で、国が滅びるのを救う手立てはないと、現実主義の視点でシビアな結論を出した。逆に言えば、今さら慌てて逃げ出す準備をするってことは、事件の黒幕と通じているわけではない』

 

ダイアンナ「すると、やはり沈黙のシージュが裏切り者なんだね」

 

NOVA『何らかの呪術で、交信しているようだからな。しかし、覗き見情報だけでは確かな証拠とは言えないので、さらなる調査が必要だ。でも、3つの窓を調べたタイミングで衛兵がやって来るので、ロープをすべり降りて、素早く中庭の陰に隠れる。他の選択肢(屋根の上に寝そべって隠れるのと、衛兵を攻撃)はバッドエンドに通じるわけで、ここでの選択も慎重でなければならない』

 

アスト「3択のうち、正解は一つだけ、という分岐が多い作品だな」

 

NOVA『そう。正解は1つで、他の2つは、即死バッドエンドと、攻略必須フラグを取りこぼす遠回りなバッドエンドになることが多いので、初見でのクリアはまず無理だ。即死バッドエンドは、その場で選択肢を選び直せばいいだけなんだが、攻略必須アイテムや情報の取りこぼしについては、まず何が攻略必須なのかが分かってからでないと、正解か不正解か判断しにくいわけで、本作の解析が難しい理由もそこにある』

 

ダイアンナ「分岐の多さと、必要フラグの多さも、難易度の上昇の原因になってそうだけどね」

 

無敵のラメデスの物語

 

NOVA『さて、衛兵の巡回の目から上手く隠れているパラグラフ204番。ここから自分の部屋に帰ろうかと思っていたタイミングで、宮殿の別棟の扉が開いた。そこから出て来たのが、「信用のおけない冒険者ルーサー」と名もなきもう一人(おそらく牢獄の看守)。2人は、リーサンが隠れていることにも気づかず、次のようなことを話していた』

 

  • 無敵のラメデスに恐ろしいモンスターを差し向けた。
  • もう1人の邪魔者(おそらく主人公)は、もっと簡単に始末できる。

 

アスト「ルーサーは、ラメデスとリーサンを抹殺する気が満々ということか」

 

NOVA『ゲームブックだと、ただの小悪党扱いなんだけど、当リプレイでは、エリート意識の高い男で、自分以上にラメデスが高く評価されているのが気に入らない。それに、リーサンやソフィアが自分を対等な仲間と見なしている態度も、不遜と感じていたんだな。要するに、貴族の出身で才覚もある自分が、こんな連中と仲間と見なされていることが許せない、もっと自分を崇めて、配下になれば重宝してやったものをって感覚?』

 

ダイアンナ「人間関係を上下でしか考えられないってことか。格下連中が、自分を仲間と見なしていることも侮辱だと思っている? 器量の小さい男だねえ」

 

NOVA『そこを、黒幕に利用されたのかもしれないわけで。とにかく、ここでの選択肢は、ルーサーたちが出て来た扉から中に入るか、それとも自分の部屋に帰って寝るか、警戒して馬小屋で寝るかの3択だ』

 

アスト「自分の部屋で寝ると、闇に葬られるんだったな」

 

NOVA『ああ。安心して寝られるのは馬小屋だ』

 

アスト「ようこそ」

 

NOVA『出迎えるなよ。俺はルーサーたちがどこから出て来たかが気になる。パラグラフ363番へGOだ。そっちは独房が続いていて、さらに奥が洞窟になっている』

 

ダイアンナ「ダンジョンか?」

 

NOVA『文字どおりの意味でな。迷宮ではなくて、地下牢。洞窟の床に、鉄格子の跳ね上げ戸があって、一人の男の両手がつかんでいる』

 

アスト「もしかして、彼が?」

 

NOVA『そう。仲間のラメデスだ。彼を助けようと跳ね上げ戸を開けたら、不意に後ろから蹴られて、リーサンも暗闇の穴に突き落とされてしまった』

 

ダイアンナ「何だって!? 犯人は誰だ?」

 

NOVA『それを確認する前に、地下の穴倉に潜むモンスターを何とかしないといけない。そこにはクワグラントという名前の魔法生物がいるんだ』

 

アスト「知らない名だな」

 

NOVA『「超・モンスター事典」の解説によると(クァグラント名義)、以下のようになっている』

 

・クァグラント:邪悪な魔法使いが生み出した肉塊状の魔法生物。本体は灰色のまだら模様で、一つの大きな目と黒い口を持つ。相手を口で吸引し、肉を削ぎ落とす攻撃で、穴に落ちたネズミや動物を掃除する。時には人間さえも。技術点8、体力点14。

 

ダイアンナ「体力はそれなりだが、技術点はそれほどでもないようだね」

 

NOVA『こちらが一度、ダメージを受けると、毎ラウンド2点ダメージを受けるのが問題だな。用心を重ねるなら、吹き矢筒を使うと、技術点6、体力点8に弱体化できるので、ここはそうした。おかげで問題なく、穴倉の掃除屋モンスターを撃退成功。そして問題は、リーサンを穴に突き落とした男(牢獄の看守)を何とかしないといけないことだ』

 

アスト「穴の下から攻撃か」

 

NOVA『奴は、こちらが化け物と戦っている間に、ちゃっかり跳ね上げ戸の鍵を閉ざしやがった。つまり、接近戦で倒すことは不可能なので、《ハエ刺し》か石弓が使えなければ、閉じ込められたままゲームオーバーだ』

 

ダイアンナ「《ハエ刺し》を教えてもらって良かったわけだね」

 

NOVA『穴の下から、鉄格子の隙間を通過して飛んできた長剣が、油断していた看守の胸を貫き、即死させた。看守の手に持つ鍵が穴の下に落下し、それを拾い上げることで、リーサンとラメデスは何とか穴から脱出することができた』

 

アスト「それにしても、どうして探索の旅に出ていたラメデスが、こんな目に?」

 

NOVA『ラメデス自身が、さっぱり分からんと言っている。しかし、それでも、彼の話を整理すると、こんな感じだ』

 

  • 3ヶ月前に、ラメデスはキャロリーナの依頼で、領主のランゴール家に関わる秘宝を手に入れるための探索に出た。
  • 最近、使命を果たして帰還したところ、何者かに薬を飲まされ、殴られ、武器もなしに怪物の前に置き去りにされた。
  • 宝は安全なところに隠してあるので、それをキャロリーナに渡さないといけない。
  • そのうえで、自分を酷い目に合わせた奴に復讐しなければ。

 

ダイアンナ「つまり、ラメデスはキャロリーナの死をまだ知らない、と?」

 

NOVA『あと、ルーサーの裏切りもな。それを話してやると、ラメデスは凄絶な、覚悟を決めた表情になった。「キャロリーナを殺した裏切り者を殺すためなら、この命、惜しくはない!」と』

 

アスト「え? 止められないのか?」

 

NOVA『止めようとすると、頼み事をされる。「リーサン・パンザ。ルーサーが裏切った以上、信頼できる仲間は君だけだ。オレの見つけた宝の隠し場所を教えてやるから、それを持って、このオレの正義を証明して欲しい。オレが裏切り者を始末できれば、それでよし。もしも失敗すれば、君に後を託す。2人そろって死ぬのは愚かしいから、オレに付いて来るようなマネはするなよ」 それでもラメデスが心配で従うか、それとも自分の仕事を果たそうとするかの2択だ』

 

ダイアンナ「念のため聞くけど、ラメデスに付いて行ったら?」

 

NOVA『ラメデスの死に様を目撃できる。パラグラフ224番。ラメデスは宮殿の主塔に突進し、ルーサーの名を呼ばわり、衛兵たちと大立ち回りを展開する。6人の衛兵と同時に戦い、それでも次々と撃退する無敵ぶりを発揮したものの、石弓の一斉射を受けて絶命するんだ。そして、その戦いを見守っていた主人公も、衛兵に見つかって、狼藉者の仲間として始末されるバッドエンドだな』

 

アスト「壮絶な散り方なんだな」

 

ラメデスが遺したもの

 

NOVA『死を覚悟したラメデスを止めることができず、また共に付き従うことも望まなかったリーサンは、ラメデスの遺言に従い、彼の遺産となった秘宝を入手する。それは馬小屋の傍らの水槽の底、皮の小袋の中に入っていた精巧なロケットだった。プラチナなどの貴金属で作られ、はめ込まれた青い宝石は、ランゴール家の紋章の形に並んでいる。留め金は2頭の組み合わさった銀のイルカの形をしているが、魔法の力でなければ開かないようだ』

 

ダイアンナ「貴重品なのは分かるが、こんな物のために命を賭ける価値はあったのかね?」

 

NOVA『キャロリーナとラメデスにとっては、そうする価値があったことは後で分かる。ただ、その2人の運命を皮肉な悲劇に落とし込んだのが、今回の謀略と裏切りなので、その後始末はリーサンが託された形になる。遠くで聞こえるラメデスの断末魔の声に哀悼の言葉を口にしながら、リーサンは馬小屋で少し休むことにした。時間点が14になる』

 

アスト「葬儀の時間までは、待機ってことか」

 

NOVA『ああ。パラグラフ344番。もしも、前日に宮殿に入ることができなければ、いきなりこの場面から話が進むことになる。ここまでのフラグで一番大事なのは、「ラメデスのロケットを手に入れること」で、次に「裏切り者が誰か判断する材料を得ること」なんだけど、後者はやみくもでも4分の1の確率で正解できる』

 

ダイアンナ「いや、やはり物語なんだから、しっかり手順は追おうよ」

 

NOVA『リーサンは、市民の長い列に紛れ込んで、亡き女領主との告別の儀に参加する。市民の噂話が聞こえて来て、この地域では「殺人犯が殺した相手に口付けしたら、遺体の唇が真っ黒になって罪が明らかになる」という迷信が強く信じられているらしいと分かる。

『市民それぞれが亡きキャロリーナの遺体の手に口づけする儀礼が続けられ、リーサンにも順番が回って来た段階で、選択肢が出る。「1.壇に上がって演説する」「2.紋章のついたロケットを掲げる」「3.儀式を最後まで見守る」の3択だ』

 

アスト「演説だと?」

 

NOVA『ルーサーが妨害して来て、彼との戦闘に入る(技術点8、体力点17)。厄介なのは、ルーサーの剣には即死毒が塗られているので、一度でも負けると死んでしまうことだな。リスクを冒したくないなら、ロケットを掲げる方がいい。儀式の間に何も行動しなければ、バッドエンドにもなるので、確実なのはロケットで、「この紋章が目に入らぬか」と掲げることになる』

 

アスト「『ええい、上さまの名を騙る不届きものだ』とかルーサーが言いそうだな」

 

NOVA『それに近いことを言うのがシージュだ(笑)。「ランゴールゆかりの品を盗むとは! 誰か泥棒を捕らえよ!」 しかし、マッドヘリオスが呆然とロケットを見つめている前で、ダンヤザードが「キャロリーナが死の床で口にしていた秘宝だわ。それこそ《ランゴールの運命》」 そして、アイテムの名がキーワードとなったようで、ロケットの封印が解除されて、中身が開放される』

 

ダイアンナ「どんな奇跡が起こるんだい?」

 

NOVA『ロケットの中には、ラメデスの絵が示されていたんだ。それを見て、アシア・アルブドールが宣言する。「《ランゴールの運命》は真実を伝える。カラメールの新しい男爵はラメデスと決まった!」

 

アスト「って、ラメデスはもう死んでるじゃないか」

 

NOVA『皮肉なものだよな。ラメデスの死の原因はルーサーだ、と暴露してやると、衛兵たちも自分たちがラメデスを殺害した罪を免れるためか、次々とルーサーの罪をなじりながら、彼を牢屋に引っ立てて行く。次期の領主候補を陰謀で葬った罪で、ルーサーの処刑は決まったようなものだ』

 

ダイアンナ「公衆の面前で、陰謀を暴き立てるゲームもFFでは珍しいよね」

 

NOVA『さて、次にルーサーと手を組んでいた貴族なんだが、4人の貴族の1人に、キャロリーナに口づけするように要求できるんだな。彼女の死に関わった犯人なら、唇が黒く染まるという迷信があって、罪を告発する形なんだが、ここでシージュ以外を選ぶとバッドエンド。シージュを選んだときだけ物語が進むことになっている。まあ、それぞれの反応をチェックしよう』

 

  • マッドヘリオス:自分が疑われたことで、心外だといきなり泣き出す。しかし、ふらついた体で遺体に口づけし、無罪を証明して、主人公が不敬罪で投獄される。
  • ダンヤザード:「キャロリーナは、私の財産をよく守ってくれる人だから、殺してもなんの得にもならない」と主張して、口づけによる無罪を証明。主人公を不敬罪で投獄する。
  • アシア・アルブドール:愛するキャロリーナに心からの口づけをして、「これで目を覚ましてくれたら」と願いを示す。無罪が証明されて、主人公が不敬罪で投獄される。
  • 沈黙のシージュ:怒りに駆られて、主人公を攻撃(2点ダメージ)。技術点7、体力点5の彼女と戦闘になる。

 

NOVA『結局は、シージュを告発して、彼女を撃退すると、その遺体から黒い瘴気が発生して、リーサンの左手に青→緑→黄→橙→赤に変わる光の傷をつける。この光が現世でシージュを撃退したフラグになるので、しっかり記録しておくべし』

 

アスト「これでカラメールに巣食う謀略の根源は絶たれたんだな」

 

NOVA『ああ。シージュとルーサーという謀略の主が排除されたことで、カラメールの代表は、マッドヘリオスということになった。統治力の上ではダンヤザードの方が高いと思うが、彼女は街を愛しているのではなく、そこから生まれる富を愛しているのだから、名目上の長の地位よりも宰相としての実権を欲しがるはず。一方、マッドヘリオスには、農村の民がいなくなれば食糧難が発生して、美味しい物が食べられなくなるから、農村の平和を守るために手を貸してもらいたいと、リーサンは頭を下げる』

 

ダイアンナ「頭を下げるんだ」

 

NOVA『やはり、残飯あさりの経験者にとっては、食の大切さを分かる相手とは仲良くしたいんだよ。領主にとって大事なのは、変な野心に突き動かされるよりも、民にとって本当の幸せをよく分かっている人間だ、と思う次第。一に食べ物、二に経済、三つめに愛や正義とかじゃないかなあ』

 

 こうして、カラメールに巣食う闇は表向き一掃された。

 しかし、外敵が消えたわけではない。

 東の脅威を取り除くために、リーサンは再び旅立つ。

 時間点を15にして、パラグラフ183番へ。

★リーサン・パンザ(奈落の帝王ver)

 

・技術点:12(丸盾+1)

・体力点:15/20

・運点:12

 

・食料:5

・金貨:21

・時間点:12→15

 

・装備:ファングセイン鋼の剣、革鎧、背負い袋、におい玉、謎かけ盗賊の瓶、幸運のポーション(グルシュ)、吹き矢筒、丸盾(戦闘時に、剣といっしょに使うと技術点に1を加える)、ラメデスのロケット

・特殊技:《ハエ刺し》

 

・情報:魔法使いエンシメシスは、賢人アレセアに会うために変幻の森に向かった。

    変幻の森では、「やぶに咲く手袋」が迷路攻略の手がかり。

    色の変わる傷を受けた。

(当記事 完)