ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「アランシアの暗殺者」攻略記(5)

前置き

 

NOVA『ようやく来た週末だ。この2日のうちに、本作の攻略記事を完結させたいと思うぞ』

 

アスト「パラグラフの確認は終了したから、簡単じゃないか?」

 

NOVA『まあ、1ヶ所、毒使いの暗殺者で不慮の死を遂げる可能性はあるがな。FFでたまにある「弱いんだけど、一撃でもダメージを受けたら命を落とす敵」というのがあって、正しいパラグラフを選んでも、100%確実にクリアできるとは限らないんだ』

 

ダイアンナ「そういうダイス事故は見なかったことにはできないのか?」

 

NOVA『この辺はゲームプレイヤーのポリシーって奴だよ。俺は基本、FFでは「技術点の減少ペナルティーはチート技(未来予知)で見なかったことにする」ことをやりがちだが、「ダイス目の不幸による死」(バトルでの敗退や運だめし失敗など)は受け入れて、攻略記事も書いてある』

 

アスト「放射能犬とかか」

 

NOVA『まあ、あれはプレイヤー間の競争という背景もあったから、ズルをしてヤラセっぽい記事内容になったら、書いていても興醒めなので、全てフェアに努めたけどな。ただ、実際の攻略でも、先に400番パラグラフを読んで最後の結末を知ったり、

 ページをパラパラめくって、気になるイラストの文章を読んで、先の展開を好奇心のままにチラ見したり、

 ダイスを振らずに文章を読むだけでストーリー展開を大雑把に把握してから、改めて時間のある時にゲームとしてクリアしたり、いろいろだ。

『昔解いたソーサリーでも、2巻のカーレがなかなかクリアに時間が掛かったから(最後の扉を開くための合言葉を全部そろえるのに手間取ったんだ。ゲームブック初心者の高校生だったからな)、気分転換に、先に3巻や4巻を読んで、ヘビ退治とか、ZEDの魔法の効果とか、マンパンの大魔王の正体を見極めてから、後からダイスを振って完全攻略したんだ』

 

ダイアンナ「ゲームブックをダイスを振らずに、読むだけで楽しめるものかね?」

 

NOVA『作品によるな。例えば、双葉文庫ドラクエゲームブックとかは、俺は購入していないんだが、本屋で立ち読みで解いたりしていた。創元推理文庫の「バックtoザ・フューチャー」なんかもゲーム性が薄く、映画原作の分岐小説めいた作品だったので、本屋立ち読みだけで解いた。後から、安田均社長とSNEの一部前身メンバー(TTG)の作品だったんだ〜と知って、へ〜ってなった記憶がある』

ダイアンナ「立ち読みだけでゲームブックを解くなんて、信じられないね」

 

NOVA『さすがにマッピングが必要な作品や、アイテムとか、パラグラフ・ジャンプなどの仕掛けが多い作品は解けないさ。でも、ストーリー分岐だけで構成されている作品とか、バッドエンド・パラグラフが多すぎる作品は意外と行き詰まることなく、読み解けた』

 

アスト「バッドエンドの多い作品が解けやすいというのが分からないな」

 

NOVA『バッドエンドの多すぎる作品ってのは、右か左を選択するだけで、右に行けば死ぬ、だから左に行くしかないってノリを繰り返して、正解ルートだけを読み進めて行けば、普通に解けるからな。厄介なのは、入手アイテムに番号が書いてあって、しかも、それが複数集めて合計することで進むべきパラグラフ番号が判明する作品(要は「火吹山」の三つの鍵)。まあ、火吹山は攻略難易度こそ高くないが、鍵の番号と迷宮の構造のために立ち読みでは絶対に解けないと思う作品の一つだ。やはり、マッピングとかキャラシートへのメモ取りが必要な作品は歯応えがあって、購入し甲斐があったなあ』

 

ダイアンナ「ダディーのゲームブックの思い出話は、聞きたい気持ちはあるが、今は『アランシアの暗殺者』を2日で完結させないといけないんだろう?」

 

NOVA『ああ、そうだったな。昔話はまた別の機会にして、今は暗殺者狩りを続けるぞ』

 

カアドの街への到着

 

NOVA『ボッグの農場方面からカアドの街に行くと(307)、街から出て来る馬車と遭遇する』

 

アスト「アズール卿か?」

 

NOVA『いや、違う』

 

アスト「そうか。馬車と言えば、FF世界ではアズール卿というイメージがあるからな」

 

NOVA『暴走馬車じゃない。黒いドレスの貴婦人が、御者といっしょに乗ってるんだ。話しかけてみると、その女(葬儀屋のフローレンス・フィギンズ)は主人公が指名手配の人物であることを知ったうえで、友好的に応じてくれる。彼女はアズール卿の招待で前夜の晩餐会にも出席した街の名士の1人だけど、卿のことは快く思っていなくて、こちらに情報をくれるんだ。

『アズール卿は、今朝、旧知の仲のサカムビット公を訪ねて、ファングの街に旅立ったそうだ。ファングの街の迷宮探検競技の話も聞かせてくれて(FFファンには周知の事実だとも思うが、本作が初FFというレアな若者読者、未来のFFマニアもいるだろうからな。いろいろ沼に引き摺り込もうという過去作宣伝活動が露骨に見えて微笑ましい)、途中までで良ければ一緒に馬車に乗せて送ってあげるけど、と申し出てくれる』

 

アスト「親切すぎるな。その女が暗殺者で、罠を張っているという可能性はないか?」

 

NOVA『アスト、お前、もう少し、人を信じろよ。フローレンスさんは心からの親切心で、申し出てくれたんだよ。イラストはないけど、本作最大の萌え美少女キャラにだってなれる素材だ。彼女の目的地は火吹山ふもとのアンヴィル。そこに親戚がいるらしいが、カアドから異教平原を越えてアンヴィルの街に向かう旅路は楽しそうだ。御者のヘンリーも屈強の戦士用心棒を務められそうな執事キャラだし、「葬儀屋フローレンスの異教平原殺し旅」なんてスピンオフを考えたくなってる俺がいる』

 

アスト「何で、殺し旅なんだよ!?」

 

NOVA『俺のツボだからだ。ただし、彼女の誘いに乗ると、攻略不能になるんだ。何しろ、カアドの街の中には3人の暗殺者がいるからな。カアドをショートカットして、アズール卿の追跡を急いだ場合は、暗殺者を取り逃がすことになる。俺は親切な葬儀屋レディーの誘いに、涙を呑んで断りを入れ、俺自身の殺しの的を追うことにした。そう、13人の的を仕留めるまで、この物語は終わらないんだ。「元・残飯漁りの俺が悪魔の短剣を入手して、闇の王を倒したら、その部下の悪徳領主に暗殺者を差し向けられたので、1人ずつ殺していきます」という、長いタイトルの今どきなろう系ファンタジー物語を完結させるためには、葬儀屋フローレンスの殺し旅に同行してはいけないんだ。悪いが縁はなかったということで』

 

ダイアンナ「葬儀屋というキーワードが、ダディーの妄想回路を刺激したみたいだね」

 

NOVA『なお、〈悪鬼の森〉からバッドエンドに至る前に引き返して、カアドに到達するパラグラフ(328)もあるが、そちらだとフローレンスに会う前に、毒グモイベントが発生して、運だめしに失敗すると4点ダメージをくらう可能性もある。細かいパラグラフ分けに作者の職人芸を感じつつ、カアドの街に入ると、〈冠通り〉から〈マーケット広場〉に進むことになる。この通りの名前がいろいろ付けられている描写にブラックサンドらしさを感じながら、急いで〈時計通り〉に向かうといい。他の選択肢を選んでも、下手な詩を読む怪しい老僧(暗殺者じゃない)を相手に余計な出費を強いられたり、呪いをかけられたり、スリ少年に絡まれたりとか無駄足なので(そういう猥雑なイベントもブラックサンドっぽいが)、〈時計通り〉のバルサザールの家にさっさと向かうのが吉だ(140)』

 

アスト「バルサザール?」

 

NOVA『旅の途中に拾った木箱の主だよ。時計屋のバルサザール。名うての仕事人だ』

 

アスト「暗殺者なのか?」

 

NOVA『いや、ただの職人だが』

 

アスト「紛らわしいことを言うなよ。お前が仕事人と言ったら、トランペットの殺しのテーマ(作曲・平尾昌晃)が響き渡りそうじゃないか」

 

NOVA『今回の俺は暗殺者との激闘編をワクワクしている必殺モードだからな。道行く人が全て殺し屋に見えて仕方ないロールプレイだ』

 

ダイアンナ「物騒なロールプレイだね。誰が殺し屋か、ストーリーは知っているはずだと言うのに」

 

時計屋バルサザールと、暗殺者たち

 

NOVA『とにかく、バルサザールは殺しの的じゃない。ネズミ駆除の仕事を〈魔法のフルート〉の力で成し遂げたら、暗殺者ブラックソーンの情報と運点1をくれるし、木箱を渡したら金貨5枚の謝礼をくれる。俺は、ネズミ駆除の仕事を選ばなかったので、金貨5枚を得ただけだったが。どっちにしろ、バルサザールの家を出ると、早速パラグラフ89番で、暗殺者9号〈チャリスのブラックソーン〉と遭遇する。正体に気づかなければ、クロスボウの不意打ち射撃を仕掛けて来るが、イラスト付きでいかにも怪しい風貌に思えたので、引っ掛からなかった。バトル開始だ』

 

★サソリ会第9の刺客「チャリスのブラックソーン」

 カアドで遭遇する暗殺者3人衆の1人。

 褐色の帽子と外套をまとった伊達男風の外見で、街の道案内をしようと親切ぶって近づいて来るが、クロスボウの襲撃でしくじると(成功しても2点ダメージに過ぎない)、サーベルを振り回して、自己紹介しながら襲いかかって来る。

 技術点8、体力点7で、標準的な能力。

 大したことないと思いきや、ダイス運が妙に悪くて、8点ダメージを受けてしまった(技術点3差で勝っているにも関わらず)。保存食を1つ食べて、体力12点に回復。

 サソリマークの首飾りをゲットした後、すぐに次の刺客が!

 

NOVA『暗殺者相手とは言え、街中での刃傷沙汰は周囲の非難の目が露骨に注がれる。ブラックサンドだったら日常茶飯事の光景だったろうが、カアドの街ではそこまで荒廃していないようだ。殺人犯であるリーサンに対して、衛兵たちも取り押さえようと動き始める。このままだと、314番のバッドエンドだ! って、ところで救いの女神(?)が現れた。赤いフード付きマントの女が、裏路地を案内して逃げ道を確保してくれる。だけど、その緑の瞳に誘い込まれると、《精神支配》の魔力に呪縛されてしまうんだ』

 

★サソリ会第10の刺客「レッド・ルース」

 カアドで遭遇する暗殺者3人衆の2人め。

 赤いフード付きマントと緑の瞳が特徴の美女(たぶん)。ブラックソーンを倒した直後のリーサンの逃走を手伝ってやろうと友好的に近づき(その誘いに乗らなければ、街の群衆のリンチに合って、衛兵に囚われてバッドエンド)、油断したところを《精神支配》の魔力で操り、始末するはずだった。しかし……、

 

NOVA『その時、頭にハメた忍者の鉢金がリーサンを救ってくれた。これは古代の《精神防壁》の秘宝で、《精神支配》の魔力を妨害する力を秘めていたのだ! リーサンの心の中に、今は亡き刺客、山久利剛三の思い出が蘇る。そう、自分の握り飯を腹ペコのリーサンにくれた義理堅い男、共に忍者の里で過ごした懐かしい日々、抜け忍として里の刺客に追われるようになったため、敵味方に分かれて対峙する羽目にはなったが、それでも友としての信義は貫き通した剛三よ。今、お前の形見が俺を救ってくれた(滂沱の涙;;)』

 

アスト「いや、ちょっと待て。山久利剛三との間には、そんなドラマはなかったはずだ。勝手に話を捏造してるんじゃないぞ」

 

NOVA『歴史は勝者の視点で、もっと感動的に人々の心を打つ物語に仕立て直されるんだよ。握り飯が美味かったことと、奴の形見のアイテムがリーサンの命を救ってくれたのも事実だ。そういう物語の素材は大事にしたいなあ』

 

ダイアンナ「とにかく、忍者の精神力で呪縛を打ち破ったんだね」

 

NOVA『ああ。こうなったら、技術点5のレッド・ルースなんて、大した敵じゃない。〈悪魔の短剣〉のいけにえに捧げてやったさ』

 

アスト「いくら暗殺者の魔女とは言え、女性キャラを惨殺するなんて、お前には慈悲はないのか!」

 

NOVA『いや、プレイヤーの俺は、彼女の命までは奪わず、サソリマークの首飾りだけ奪って放置するというのもありかな、と思うんだ。しかし、そこに11番めの刺客が現れて、「敵の抹殺に失敗して、生き恥をさらすような者は組織には必要ない。俺の毒で死ぬがいい」「ヒッヒー(苦しみ悶えて絶命する女暗殺者)」という光景が目に浮かんで、毒で殺されるなら、〈悪魔の短剣〉で一思いに苦しまず、サクッと始末する方が慈悲かなって思ったんだ』

 

ダイアンナ「よくも、そこまで妄想が思い浮かぶものだねえ」

 

NOVA『日々の修練の賜物だな。「空想(妄想)タイム」のブログ主なのは伊達じゃない』

 

アスト「とにかく、次々と襲い来る暗殺者をサクサク倒したわけだな」

★リーサン・パンザ

技術点11、体力点16/18、運点9/11

 

武器と防具:悪魔の短剣(メイン武器)

      守護者の盾(技術点+1)

      アストラルソード(技術点+1)

      力の腕輪(技術点+3)

      チェーンメール(技術点+1)

      マンバの腕輪(技術点+2)

      弓矢+矢6本

      ダックスの斧

消耗品:保存食4食、運ポーション、ウジ虫の練り薬、回復の指輪(体力6点回復)

お金&宝石:金貨29枚、銀貨1枚、ルビー、ダイヤモンド2、オパール6、エメラルドの指輪

サソリマークの首飾り:10

その他所持品:ロープ、「44」の鍵、赤インクのガラス瓶、エルフのブーツ、万能袋、不可視の巻き物、魔法のフルート、骨のサイコロ2個、忍者の銅の輪、時間歪曲の指輪

 

レッド・ルースと、銀髪の魔女

 

NOVA『さて、忍者の山久利剛三の名を出したところで、彼の前座として登場した魔女のことを確認しておこう。あそこで逃げた魔女が当然、後で刺客となって再登場するのかな、と思っていたんだが、それらしい刺客はレッド・ルースしかいない。そこで、両者が同一人物なのか否かを検証してみたく思う』

アスト「忍者と魔女の項で登場した魔女は、どんな外見だったんだ?」

 

NOVA『文中での描写は、パラグラフ241番、続く63番、224番までだな、外見は「銀髪の女」とあるだけ。オーク集団に追われていた主人公を助けつつも、自分のフィールドに引き込んで隙を突いて陥れるやり方……はレッド・ルースと共通している。一人称は「わたし」で、二人称は「あなた」と訳されているな。英語では意味のない判断材料だが、訳者のイメージとして、魔女とレッド・ルースを同一キャラと考えているかの目安にはなるかもしれん』

 

ダイアンナ「変装の達人の場合、外見も話し口調も演技で変えられるんだけどね」

 

NOVA『それを言っちゃ、考える材料を組み立てることすらできなくなるから、変装はなし、と仮定する。さて、レッド・ルースの外見は「緑の目とフード付き赤マント」で、一人称は「わたし」、二人称は「あなた」だから、話し口調から同一人物説を補強できるな。しかし、魔女の特徴的な銀髪については、レッド・ルースの髪色の描写がないので、断定はできない。それに、別人だとする根拠は次の3点だ』

 

1.主人公が気付かない。

 やはり、魔女と遭遇している主人公なら、レッド・ルースと会ったときに、同一人物であるなら気づく方が普通と考える。そういう描写があれば、何も悩む必要がないんだが、描写がない=別人であると短絡的に考えるわけにもいかない。

 と言うのも、レッド・ルースと対面したときの主人公が魔女や忍者と遭遇していない可能性があるからだ(その場合はレッド・ルースの《精神支配》を防ぐことができずに、ゲームオーバーだが)。魔女と遭遇していない主人公がレッド・ルースと遭遇したときに「これは前に会った魔女だ」と言う趣旨の文があれば、ルート選択による矛盾が発生するので、その辺の記述はボカす方が分岐小説の場合は望ましい。

 

2.髪色の描写について

 レッド・ルースはフードをかぶっているので、最初に隠されていたであろう髪の色の描写がないのは当然である。

 しかし、彼女を倒した際(パラグラフ33)、彼女の外套(マント)をめくり、サソリマークの首飾りを回収している。

 倒した後なのだから、忍者との戦闘を果たしていることが確定しているので、主人公が彼女を銀髪の魔女だと認識しても、パラグラフの矛盾は発生しない。すなわち、作者が両者を同一人物と意図していたなら、ここで銀髪を描写するのが望ましい。それをしないということは、まあ、別人なんだろうな。

 

3.忍者のアイテムの扱い

 銀髪の魔女は、忍者とグルである。すると、忍者の鉢金(銅の輪)の《精神防壁》の効果を知っていても不思議ではない。

 一方でレッド・ルースは、リーサンが頭に忍者の鉢金を装着しているのに、平気で《精神支配》の術を仕掛けてきた。すると、鉢金の効果を知らない=忍者とはグルでない、という可能性が大きい。

 

NOVA『……という3点の理由から、まあ、同一人物説は俺の妄想で、別人説の方が妥当性が高い、と冷静に判断できる』

 

アスト「すると、銀髪の魔女はどこに行ったんだ?」

 

NOVA『気になると言えば、気になるが、とりあえず、サソリ会暗殺者13人衆の1人ではないのだろうな。もしも、13人衆の1人であれば、レッド・ルースが一番該当しそうってだけで。そして、可能性だけで言えば、実のところサソリ会のメンバーでもなくて、山久利剛三に脅されて、無理やり協力させられた一般人という可能性もある。忍者に脅されたか、あるいは忍びの瞳術で操られ、リーサンを陥れたが、忍者が倒されたのを見て、ハッと我に返り、怖くて逃げ出した。しかし、慌てて逃げ出したところ、周囲をまだ散策していたオークの集団に見つかって……人知れず無惨な最期を遂げた可哀想な魔女という想像はどうだろう?』

 

アスト「名もない銀髪魔女のために、よくもそこまで妄想力を掻き立てられるな、と、ある意味、尊敬してやるよ」

 

NOVA『真実は作者のみぞ知ると言ったところだが、作者の明記していない行間を読むのも、気の利いた読者の芸だと考える。ただの深読みかもしれないが、真実ではなく、エンタメとして自分個人が楽しめる筋書きを披露してみたってことで』

 

毒使いの恐怖

 

NOVA『レッド・ルースの話はこれぐらいにして、彼女を倒したパラグラフは33番。そこから、〈煉瓦通り〉の左に曲がった交差点(137)に進むか、人々の小集団(396)に近づくかという選択肢になる』

 

アスト「指名手配の殺人犯なら、人の目があるところは危険じゃないか?」

 

NOVA『だろうな。そっちを選んで、運だめしに失敗すれば、集団リンチの後の314番バッドエンドになるし、成功しても街を出ないといけなくなって、最後の1人を取り逃がす。よって、137が正解なんだが、そこから〈静寂通り〉に入る。そこはボルグという名のジャイアントがいて、音を立てると暴れ出すので、通りの人たちは静かに歩くことを心掛けているんだ』

 

アスト「エルフのブーツがあるから大丈夫だな」

 

NOVA『勘違いするな。本作のエルフのブーツは、忍び足の能力ではなくて、速足の能力だ。ブーツを履いたまま通りを歩くと、音が響いて、怒れるジャイアント(技術8、体力9)との戦闘になり、勝っても群衆たちの注目を受けて、逃げ回らないといけない。群衆から逃げ回りながら、最後の1人のいる〈噴水通り〉の先の公園に出るルートもあるし、親切な鍛冶屋の家に迷い込んで、暗殺者の事情を話すと今さらレッド・ルースの情報と、もう1人、ケイ=ポン出身らしいトゥンク・ヤンという男のことを教えてくれる展開だって用意されている』

 

ダイアンナ「ケイ=ポンってどこ?」

 

NOVA『火吹山の東、月岩山地の北の土地で、ゼンギス同様、行った記憶のない場所だ。ケイ=ポンの北にゼンギスがあって、まあ、東方の異郷っぽい地域なんだろうな。ともあれ、鍛冶屋から情報をもらうイベントもあるが、そこに至る前に、うっかり群衆リンチのバッドエンドに踏み込む危険に何度か見舞われるし、散々迷った末にうっかり街から出てしまう可能性もある。一番楽なのは、〈静寂通り〉に入ると、周囲の流儀に合わせて、ブーツを脱いで裸足で静かに歩くこと。すると、すぐに目標の的のいる〈噴水公園〉(268)に到着できる』

 

アスト「そこにトゥンク・ヤンとやらがいるんだな」

 

NOVA『ああ。奴を倒せば、この街ともおさらばだし、不用意な死に直面する危険も、ほぼゼロになる。ここが正念場だ』

 

★サソリ会第11の刺客「トゥンク・ヤン」

 カアドで遭遇する暗殺者3人衆の最後の1人。

 背が低く、黄褐色の肌をした東洋人(ケイ=ポン人)で、赤いネッカチーフがお洒落。腕に蛇の刺青を施しており、蛇毒の吹き矢と、カエル毒を塗った短剣で毒殺を狙ってくる。

 

NOVA『トゥンク・ヤンは出会った瞬間、毒吹き矢を撃ってきて、これは運だめしすらさせてもらえず、必ず命中する。海賊イベントで【蛇牙の耳飾り】を入手していれば無害だが、そうでなければ、10点のダメージを受ける』

 

アスト「【蛇牙の耳飾り】を入手するためには、それ以前に持ってたアイテムを全て海賊船長に没収されるから、結局クリアできなくなるんじゃなかったか?」

 

NOVA『アイテムの解釈次第だが、本作のキャラシートでは、背負い袋のアイテムと、ポケットのアイテムと、ペンダント(サソリマークの首飾りのことと思われ)と、保存食、金貨、武器、防具が別扱いになっている。持ち物を全て差し出す場合に、「あくまで背負い袋のアイテムと金貨」のみが対象で、「隠し持ってるポケットのアイテムやサソリマークの首飾りは失う対象外」と都合よく解釈するなら、【蛇牙の耳飾り】を入手してクリアすることもできなくはない』

 

ダイアンナ「だけど、武器も保存食も奪われて、進めるのは厳しいんじゃないか?」

 

NOVA『奪われたものは回収したと独自裁定するなり、いろいろ逃げ道解釈は考えられるが、【蛇牙の耳飾り】を入手せずに進めて、ダメージ10点を甘んじて受けるのが正攻法なんだろうなあ。そして、残り体力6点で生き延びたリーサンのタフさに驚くトゥンク・ヤンは、とどめを刺そうと、ダガーを振り回す。技術点5、体力点6のゴブリン並みザコ能力なんだが、運悪く一撃でもダメージを受けるとカエル毒で即死してしまう(毒の種類が違うので、耳飾りも役に立たない)。例えば、敵のダイス目が12の場合、こちらは5以下でゲームオーバーだ。ここは詳細に実況しよう』

 

・1ラウンド目:ヤンの出目8→攻撃力13

        リーサンの出目5→攻撃力16

                           リーサンの運だめし、12を出して失敗。

        残り運点8、ヤンの残り体力5。

 

NOVA『くっ。運だめしでダメージを増やして、早期決着を図ろうとしたのに、裏目に出たか。9以下ぐらい普通に出ると思ったのによ』

 

・2ラウンド目:ヤンの出目9→攻撃力14

        リーサンの出目9→攻撃力20

                           リーサンの運だめし、9を出して失敗。

        残り運点7、ヤンの残り体力4。

 

・3ラウンド目:ヤンの出目8→攻撃力13

        リーサンの出目4→攻撃力15

                           リーサンの運だめし、7を出して成功。

        残り運点6、ヤンの残り体力0。勝利。

 

NOVA『ふう、運の無駄使いをした気もするが、ここは運のポーションを飲んで、12点に全快+1しておくぜ。これで11人めの暗殺者を撃退した。残りはまあ、消化試合みたいなもんだ(たぶん)』

 

アスト「最後の13人めは強敵じゃないのか?」

 

NOVA『最強の技術点12だが、途中で強力な助っ人が登場するからな。実質、イベント戦闘みたいなものだ。真に死にそうになるのは、ここだと思ったので、ゲーム的にはクリアしたも同然だな(たぶん)。ともあれ、今は保存食を食う』

★リーサン・パンザ

技術点11、体力点10/18、運点12

 

武器と防具:悪魔の短剣(メイン武器)

      守護者の盾(技術点+1)

      アストラルソード(技術点+1)

      力の腕輪(技術点+3)

      チェーンメール(技術点+1)

      マンバの腕輪(技術点+2)

      弓矢+矢6本

      ダックスの斧

消耗品:保存食3食、回復の指輪(体力6点回復)

お金&宝石:金貨30枚、銀貨1枚、ルビー、ダイヤモンド2、オパール6、エメラルドの指輪

サソリマークの首飾り:11

その他所持品:ロープ、エルフのブーツ、万能袋、骨のサイコロ2個、時間歪曲の指輪、致死毒入りの小瓶

 

●イベント通過済みのアイテム(ルート選択で使わずに残っているけど、もう使う機会がないと分かっているアイテムも含む)

 ウジ虫の練り薬、「44」の鍵、赤インクのガラス瓶、不可視の巻き物、魔法のフルート、忍者の銅の輪

 

カアド出立、そしてファングへ

 

NOVA『運が極端に悪ければ、死んでいたかもしれないバトルを何とか生き延びて、パラグラフ326番に至ったリーサン。ここから〈噴水通り〉→〈鐘通り〉→〈時計通り〉→〈マーケット広場〉→〈冠通り〉→正門に至る(1パラグラフで、一気に駆け抜ける流れ)。ブラックサンドには、〈時計通り〉と〈マーケット広場〉はあったけど、他の通り名は違っているなあ、と思いながら、カアドの街の構造はどうなっているのかを気にしつつも、もう出て行くんだからいいか、と未練を断ち切る。ブラックサンドとの地形的な違いで一つ分かっているのは、ここが港町ではなく、また街の中央を川が横切っているわけでもないこと』

 

アスト「それで、これからどうするんだ?」

 

NOVA『カアドに入る前だったら、葬儀屋フローレンスさんが馬車で、ファングへの旅の途上にある宿屋「オットーの基地」まで送ってくれるんだ。今回は黒マントの騎手が現れるので、金貨2枚を払うと、そこまで乗せて行ってくれる。歩いて行くと、体力1点を消耗するうえ、宿で回復することもできないので、ここはぶっきらぼうだけど、約束はきちんと守る騎手さんにお金を払って、送ってもらう方がいい。体力の消耗が激しいうえ、保存食も残り少ない今、お金で体力の消耗を抑えられるなら、そうした方がいいという判断だ』

 

アスト「何だかんだ言って、金は十分稼いでいるもんな」

 

NOVA『金貨はさておき、いろいろ手に入れた宝石を使ったり、換金したりする機会が全くないな、今回。この宝石を「死の罠の地下迷宮」に持ち込んでいいなら、あとはサファイアをゲットするだけでいいんだが』

 

アスト「クリアに必要な宝石は、ダイヤとエメラルドとサファイアだったか」

 

ダイアンナ「それはいいことを聞いた。自分で攻略するときには参考にさせてもらおう」

 

NOVA『とにかく、ぶっきらぼうな騎手は宿屋でリーサンを下ろして、「火吹山に用がある」と言い残して、旅立って行った。ガーナード・ジャグルの毒ガス宝箱がすでに排除されていることを願いつつ、彼の無事を祈っておいた。リビングストン先生の次回作(巨人の影)は、アンヴィルの街と火吹山からスタートするみたいだからな』

 

アスト「『巨人の影』はいつプレイする気なんだ?」

 

NOVA『早くて秋以降だ。さすがに続けて2冊の新作を解くほど、夏は時間の余裕がない。やりたいことと、やらないといけないことが他にもいっぱいだ。では、「オットーの基地」の宿屋で、金貨1枚を払って、ゆっくり休むと、体力が2点回復する。さらに保存食1つで4点回復して、この時点での体力16、保存食残り2食、金貨27枚となって、パラグラフ339に来たところでセーブして、次回に続く、だ』

(当記事 完)