ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「死の罠の地下迷宮」攻略IFストーリー(1)

年内にクリア

 

ダイアンナ「何とか2023年のうちに『死の罠の地下迷宮』を攻略できたぞ」

 

アスト「ほう。つまり、当記事はリアルタイムプレイではないわけか」

 

ダイアンナ「それだと、3回ぐらいは死んでしまっていたろうな」

 

アスト「たった3回でクリアできたのか?」

 

ダイアンナ「まあ、能力値が『技術点12、体力点20、運点12』で始めたら、能力不足で詰むことはないだろう。ただ、罠にハマってペナルティを被ったり、即死トラップをくらったり、攻略に必要なアイテムを取り逃がしたり、正解ルートを見つけるまでの試行錯誤がいろいろあるからな。1発クリアするのは、よほどの運に恵まれないといけないだろうし、それでもダイス目の事故や終盤の戦闘難易度の高さで、正解を知っていても確実にクリアできるとは限らない。少なくとも、初期のFFシリーズ(10作めまで)では、最高難易度と言えるだろうな」

 

アスト「リビングストン作品は、それまでの『火吹山の魔法使い』『運命の森』『盗賊都市』までの難易度がそれほど高くなくて、『死の罠の地下迷宮』で難易度が急に上がった感じがあるな。一方で、ジャクソンの方は正解ルートさえ分かれば、割とあっさり解ける(強い敵にも普通に対処法が用意されている)感じなので、正解ルートを見つけること自体が重要。一方、リビングストンの作品は、正解ルートを見つけても戦闘や運だめしの失敗で攻略できないことも多い印象だ」

 

ダイアンナ「ただ、初期の作品だから、いろいろとプリミティブ(原初的、単純)なダンジョン物って感じで、後の作品を先に味わうと、ストーリー的に凝っているとは言えないな。有名な蛮人スロムとのやり取りも思ったよりも短くて、シンプルで、噂ほどではないと感じた」

 

アスト「そりゃあ、NPCとのやり取りも、後の作品の方がよりドラマチックに進化しているだろうさ。重要なのは、リビングストン作品で初の同行者って点だ。ジャクソン作品(ソーサリー)における、ミニマイトのジャンはどちらかと言うと足手まとい(とりわけ魔法使いにとって)だったが、スロムは有能な相棒枠だったからな。やむなく自分で倒すことを強要されてしまうが、その仇討ちという選択肢を与えてくれるおかげで、感情移入を高めてくれる。だからこそ、『危難の港』で蛮人スロムの隠し財宝とか、『アランシアの暗殺者』で生きているスロムに助けられるシーンとかで、時代を越えて感じ入れるFFゲームブックのオールドファンも多いわけだ」

 

ダイアンナ「それで、今回からの攻略感想は、リアルタイム攻略記事ではないが、ダンジョンイベントとストーリーを順番に振り返りながら、盗賊娘リサ・パンツァの物語としてアレンジしていく所存だ。そのために、進行役としてリバTにも協力してもらうことにした」

 

アスト「どうでもいいが、今日は大晦日だぞ。わざわざ、こんな日から攻略記事を始めなくても、年明けから開始するというわけにはいかなかったのか?」

 

ダイアンナ「何を言うか。年越しゲームブック記事で2023年から2024年をつないで、FFコレクション4への希望を託す。これこそ、良きゲームブックライフというものじゃないか」

 

アスト「いや、冷静に考えると、『死の罠の地下迷宮』で過ごす年末年始というのもどうかと思うんだが? もっと明るい作品をだな」

 

ダイアンナ「明るいゲームブック? 例えば?」

 

アスト「表紙のカラーリング的には、これなんかが金ピカで、ドラゴン的で、お宝積んでそうでいいと思うんだが」

リバT『船がヒドラの襲撃で沈みそうなので、良い選択とは思えないのですが。それを選ぶのだったら、まだ、こちらを選ぶ方がよろしいかと』

 

背景の説明

 

リバT『さて、本作は社会思想社版の「死のワナの地下迷宮」と、ホビージャパン版の萌えFF「デストラップ・ダンジョン」と、FFコレクション版の「死の罠の地下迷宮」の3バージョンありまして、その違いはこちらのブログなんかでも研究考察されておりますね』

 

ダイアンナ「萌えFFだと、終盤で戦う忍者(左下)が女だったりするんだな」

 

リバT『主人公は腹ペコ女戦士のフィリアちゃんで、ビキニアーマーを身につけていますね。右上のエルフもロリ少女だったり、中央奥のスロムが主人公もできそうなイケメン男子だったり、右下の相棒(兄貴)のクロムがスロムと無関係のドワーフ風蛮人だったり、羽根付き兜の騎士が鉄仮面(左上)と呼称されていたり、萌えFFらしい改編が行われています』

 

ダイアンナ「腹ペコ女戦士か。だったら、リサも腹ペコ親父の娘という設定だから、腹ペコロールプレイをするといいんだろうな」

 

アスト「それにしても、迷宮探検競技に出場するのにビキニアーマーとは、ダンジョン舐めるな、と言いたくなる」

 

リバT『萌えFFバージョンは、こちらでは現物がないために、キャラ描写の違いぐらいしか語るネタがないのですが、社会思想社の旧訳と、FFCの新訳ではいくつかの訳語の違いを触れてみます。まず、明確な誤訳として競技の優勝者に与えられる褒賞の「チアンマイの永久統治権が旧訳ではツッコミどころとなるわけですね』

 

ダイアンナ「チアンマイとは相当に広い地域だよな」

 

リバT『社会思想社版が翻訳された時には、チアンマイという地域の広さが明確になっていないから、あまり違和感を覚えなかったんですけどね。ただ、チアンマイが広い地域で、その中に一都市のファングがある。ファングはチアンマイの首都みたいな位置付けだから、もしも永久統治権が与えられると、主人公はファング領主のサカムビット公を凌駕する王国君主の立場に上ることになって、それはさすがにないだろう、と』

 

アスト「つまり、東京オリンピックみたいなスポーツ競技に優勝した選手が日本国の終身総理大臣になるような破格の褒賞ってことだな」

 

リバT『スポーツ競技の覇者が、政治のトップに立つというのも変な話ですが、80年代当時のファンタジーだと試練を切り抜けた英雄が王位を勝ちとるというのも違和感なかったというか、ただ、サカムビット公の権限だと、せいぜいファングの街の近衛騎士に抜擢とか、それぐらいが無難なところでしょうね』

 

ダイアンナ「新訳だと、『チアンマイの永久自由特権』に改訳されていたな」

 

リバT『要するに、サカムビット公の権力範囲での市民権と言ったところですね。日本で例えるなら、外国人に日本籍を与えるぐらいの意味づけか、自由ということだから住民税を免除されるとかの特権かもしれません。チアンマイ地域では、他所者であっても顔パスで自由に旅ができるとか、便宜を図ってもらえるとかでしょうか。もっとも、当攻略記事では「アランシアの暗殺者」の後日譚という形でストーリーを再構成しますので、主人公の優勝賞品は「アズール卿が恩赦として自由を与える」という形に置き換わってしまうのですが』

 

ダイアンナ「アズール卿の名代という形なので、優勝賞金の金貨1万枚もアズール卿の物で、自分は処刑を免れて自由が得られるという形で、満足しないといけないわけで(涙目)」

 

アスト「原作のゲームブックよりも過酷な状況設定なんだな」

 

リバT『あと、ストーリーを改変しないといけないのは、迷宮探検競技の開催日なんですね。本来なら、毎年5月1日の定期イベントなわけです。公式設定ではそうなっているのですが、本記事では「競技参加者であるリーサン・パンザが謎かけ盗賊に拉致されたので、娘のリサが代役として強制徴用された」という改変が為されたために、迷宮探検競技の日付けも延期されて5月8日になった、という設定にアレンジします』

 

ダイアンナ「自分で話を組み替えて言うのは何だが、迷宮探検競技の日付けを改変するのはありなのか?」

 

リバT『さすがに「謎かけ盗賊の競技参加者拉致事件はちょっとしたテロみたいなもので、サカムビット公が有能な政治家なら、予定どおりの競技の強行は控えると思うんですよ。それに客人のアズール卿が代役を用意するために一週間の延期を要望して、サカムビット公も政治的判断で了承したということで、この年の迷宮探検競技は1週間遅れとなりました。なあに、FFコレクション4が2ヶ月遅れになった事例を考えるなら、迷宮探検競技が1週間遅れになっても、熱心な観客は許してくれるはず

 

アスト「まあ、テロ事件とか大規模災害で臨時ニュースが優先されて、楽しみにしていた番組の放送が1週間延期されることもリアルであるわけだしな」

 

ダイアンナ「ゲームブックの背景だと、まずコク川流域のファングの町の紹介がされて、最初は小さな交易都市だったのが、サカムビット公の発案した迷宮探検競技で有名な観光都市として栄えるようになったという経緯が書かれているな」

 

アスト「高校野球のおかげで、兵庫県西宮市の阪神甲子園駅やJR甲子園口駅が活性化するようなものだな」

 

リバT『きっと、その日の観光客相手に「デストラップ饅頭」とか「迷宮探検Tシャツ」とか土産物も用意されているのでしょう』

 

アスト「『デストラップ饅頭』なんて、誰が買うんだよ!?」

 

リバT『与太はともかく、毎年5月に開催されるこの見世物に向けて、町の人々は何ヶ月も前から準備するようになったそうですね。「天幕と食堂が建てられ、楽師や踊り手、火喰い、手品師などの芸人が雇われて、競技参加者の登録なんかも行われ、4月の最終週になるとお祭り気分も最高潮に達する」とか』

 

ダイアンナ「でも、今回は1週間延期された、と」

 

リバT『まあ、お祭りが予定より1週間延期されたと思えば、経済効果にとってプラスかマイナスかは分かりませんが、抜け目のないサカムビット公は「謎かけ盗賊という不逞の輩が、迷宮探検競技に対する妨害工作を行ったが、我がファング市は臆することなく、ブラックサンドの盟友アズール卿とも協議のうえで、恒例の重大行事を1週間遅れで決行することにした。我々はいかなる妨害にも屈することなく、伝統の迷宮探検競技をやり遂げようではないか」と市民を宣揚し、競技への期待を高めたわけです』

 

ダイアンナ「で、その間にリサはアズール卿の手の者に捕まって、ブラックサンドからファングまで拉致された先で、競技の参加を強要されたわけだ」

 

リバT『ゲームブックの背景ストーリーでは、挑戦心旺盛な主人公が「自分こそが生還者ゼロの迷宮の初踏破者になってやろう」と決意して、ブラックサンドからファングまでの船旅を経て、町にやって来るんですね』

 

アスト「前作『盗賊都市』から世界観がつながっていることが、そこで初めて描かれているんだな」

 

リバT『迷宮の中には、ブラックサンドのトロール衛兵サワベリーの姉アイビーも登場していますので、意図的にシリーズの世界観をつなげていますね。もっとも、両都市の領主同士の夢の共演は「アランシアの暗殺者」で初めて実現したわけですが』

 

ダイアンナ「原作ゲームブックでは自分から望んで競技に挑戦する主人公だけど、『アランシアの暗殺者』ではアズール卿によって強制的に参加させられることになって」

 

リバT『でも、「危難の港」のエンディングでは、ハカサンが「次は自分が死の罠の地下迷宮に挑戦しよう」なんて言ってるんですね』

 

アスト「彼女はゼンギスの忍びだから、実は萌えFFのデストラップの女忍者がハカサンという解釈もできそうだな」

 

リバT『それだと、ハカサンを倒さないといけなくなるじゃありませんか。その解釈はボツです。代わりに今回のストーリーでは忍者について別の解釈を用意しました』

 

ダイアンナ「用意したんだ」

 

リバT『異なる物語をつなげるためには、辻褄合わせは何よりも必要なスキルですからね。ともあれ、もう一つ考えないといけないのは、競争相手の一人、蛮人スロムの相棒の設定ですね。原作では兄のクロムという公式設定が後付けで作られたのですが、「アランシアの暗殺者」ではクロムは故人という展開になっている。よって、ここではスロムが別の蛮人と、競技延期の一週間の間に出会って意気投合したことにしました。このアナザー蛮人の名前はフロムってことで。まあ、結果的に死ぬのは一緒ですけど』

 

ダイアンナ「ええと、スロムの兄のクロムによく似たフロムってことだね」

 

 

スロム『兄貴!?』

 

フロム『ん? 何だ、お前。オレには兄弟なんていないぞ』

 

スロム『い、いや、済まない。あんたが死んだ兄貴にそっくりだったもんでな。他人の空似って奴か』

 

フロム『うむ。これも何かの縁だ。オレは迷宮探検競技に出る。お前はどうだ?』

 

スロム『俺もそのつもりだ。いっしょに組まないか? 1人相棒がいたんだが、例の謎かけ盗賊に連れさらわれちまったんだ』

 

フロム『何だよ、それ? つくづく相棒運の悪い奴だな。まあ、オレは別にいいぜ。よろしくな、相棒』

 

 

リバT『という経緯があって、スロムは新たな相棒を見つけたわけです』

 

アスト「勝手に捏造するとはな」

 

リバT『あと、背景ネタとしては、新訳で登場するエルフの女が旧訳では「妖精めいた女」と訳されているんですね。原書ではelven womanですが、85年の時点では種族名のエルフが日本ではあまり一般的ではなかったみたいです。おかげでFFシリーズで初めて登場したエルフが、「バルサスの要塞」のワイン倉庫管理人だった黒エルフを除くと、「雪の魔女の洞窟」の赤速(レッドスウィフト)だっていう誤解が日本では長く続いたようです』

 

アスト「そうか。FFでの初エルフは『死のワナ』の妖精めいた女だったのか」

 

迷宮突入

 

ダイアンナ「では、早速……ではないが、ダンジョンに突入だ」

 

リバT『6人の参加者で、最初に入ったのは騎士さんですね。2番めがエルフさん。3番めが蛮人の1人で、4番めが忍者。リサさんは5番めです。6番めがおそらくスロム。萌えFFの方では、主人公は6番めに改変されておりますが、スロムとアナザー蛮人は結局、別行動と思われます』

 

ダイアンナ→リサ「では、ここから先はリサ・パンツァとしてロールプレイ・モードに移るとしよう。迷宮に入って、パラグラフ1番からスタートする」

 

リバT『通路の天井には、柔らかな光を灯す水晶が20メートルおきに吊り下げられていますね』

 

リサ「明かりを持たなくてもいいのは助かるな。おかげで、FF冒険者には珍しく、初期装備から盾を持っているのが特徴的だ」

 

アスト「普通は冒険の途中に盾を入手するものだからな。しかし、女盗賊が盾なんてわざわざ用意するか?」

 

リバT『その辺も仕掛けを用意しました。通路を5分ほど歩くと、左手の壁際にテーブルがあって、6つの箱が置かれてあるんですね。そのうちの一つに、リサさん、あなたの名前が書かれています』

 

リサ「箱を見ると、開けたくなるのが盗賊の性ってものだね。とりあえずは形式的に罠とか仕掛けられていないか確認して、それからワクワク開こうとする。お年玉だったらいいなあ」

 

リバT『記事書きしている間に、年が明けてしまいましたからね。では、お年玉として金貨2枚を差し上げます。あと、サカムビット公からの年賀状です』

 

アスト「いやいや、劇中では5月8日のはずだから、年賀状ってのはないだろう?」

 

リバT『そうですね。では、A happy dungeon♪ってことで、「勇気と分別を持って、援助の証を受け取ったことを称賛」しつつ、忠告のメッセージですよ。迷宮攻略のためには、いくつかのアイテムを見つけろってことですね』

 

リサ「まあ、当然だな。金貨2枚はありがたく受け取っておく。最初の所持品の中には、お金がないからな。食料だけは10食あるので、すぐに飢え死にすることはないが」

 

リバT『それと、当記事では追加品として、1本の剣と、盾と、指輪が入っています』

 

リサ「何だと? あたしだけ特別サービスなのか?」

 

リバT『さらに、箱の中にはもう1通の手紙が入っていますね。差出人は、リーサン・パンザ。本来、このダンジョンに送られるはずだった腹ペコ・トレジャーハンターにして、ザンバー・ボーンと13人の暗殺者を撃退してきた指名手配の男ですね』

 

リサ「クソ親父かよ? どうして?」

 

リバT『手紙には、この一連の出来事が策略の神ロガーンの仕掛けた運命のいたずらによるもので、それに巻き込んでしまったことへの謝罪が書かれています』

 

リサ「策略の神ロガーンだって? まあ、謎かけ盗賊が絡んでいるから、当然そうだろうってプレイヤーは納得するんだけど、リサとしては納得するんだろうか?」

 

アスト「要は、神さまが仕掛けたいたずらに巻き込まれただけだから、自分は悪くないって言ってるのか?」

 

リバT『そもそも、リーサン個人は自分に娘がいたことも知らなかったんだけど、時空の歪みが発生したせいで、そういう話になってしまったわけですね。ゲームブックの時間軸があれこれおかしいことに。でも、辻褄合わせにトリックスターの神を持ち出すと、話を作るのが楽でいいです。矛盾が生じると、全部ロガーンと謎かけ盗賊が仕組んだことだと言えば、だったら仕方ないな、と納得するのがFFファンというもの』

 

アスト「いやいや、そればっかりだと芸がないだろう?」

 

リバT『いつもそれだと芸にはなりませんが、ここでの攻略記事では、ロガーンと謎かけ盗賊を初めて扱いますからね。これがFFならではの芸だと強弁できるってものです。使える設定は使うのが、世界観の活用ですし』

 

リサ「ロガーンとか謎かけ盗賊の策略って話はよく分からないけど、父親のリーサンが娘に贈り物をしてくれたってことが重要だな。娘としては、父親の贈り物に感じ入るわけで」

 

リバT『剣は、暗殺者オレアンダー・レッドフライが使っていたアストラル・ソードですね。技術点+1という性能ですが、本作ではそのボーナスはリサの初期能力値に反映されているものとします。リーサンの愛用武器は〈悪魔の短剣〉でしたが、最後の刺客ウルズル・アイアンフェイスとの戦いで砕け散って、その悪霊エッセンスはアストラル・ソードに受け継がれて、今、娘の手に渡ったわけですね』

 

リサ「これがクソ親父の剣……だと言うのか。何て禍々しい……だが、それでいて、まったりとした美しさを感じる。これで迷宮の怪物を斬りつければ、あたしは生者のエッセンスを吸いとって、ますます強くなれる?」

 

アスト「って、何を言ってるんだ? その剣は呪われているじゃないか」

 

リバT『まあ、そのためにもう一つのアイテム、〈守護者の盾〉があるのです。これも技術点+1で、ボーナスはすでに反映済み。アストラル・ソードが混沌の力を秘めているとすれば、〈守護者の盾〉は秩序の力を秘めていて、この両方がバランスをとることで、リサさんは呪われることなく正気を保てるという設定で』

 

リサ「つまり、右手の剣の秘められた悪霊が殺戮に駆り立てるのを、左手の盾に秘められた守護者の霊がブレーキをかけてくれるってことか?」

 

リバT『そして、リーサンが残した第3のアイテム【時間歪曲の指輪】は、攻略に失敗しても時間を巻き戻してプレイをやり直させてくれるチートアイテムです』

 

アスト「破格の効果じゃないか」

 

リバT『これによって、リサさんは死んでも、その時の経験を元に初めから、あるいは途中からやり直しができるという、ゲームブックの攻略手法を物語で正当化するためのメタアイテムという扱いですね』

 

リサ「キャラクターは死んでも、プレイヤーの書いたマップやパラグラフルート、そしてストーリー体験は残って、次はもっと上手くプレイできるって仕様だな」

 

リバT『【時間歪曲の指輪】もおそらくロガーンが用意したアイテムで、これさえあれば、いかに「死の罠の地下迷宮」と言えども悠々と突破できるだろう、という策略です』

 

リサ「何だか神さまの手のひらで動かされているような気がするんだが、利用できるものは何でも利用させてもらうさ。それに……幸運の神、盗賊の神が加護を授けてくれるなら、ありがたい」

 

リバT『ともあれ、いずれの装備もあくまでフレーバーアイテムで、「死の罠の地下迷宮」を攻略するのにゲーム的なボーナスを与えてくれるわけではありません。それと、ゲームブックでキャラが死んだ場合に、別キャラで再挑戦するとか、同じ能力の兄弟やクローンで再挑戦するとか、いろいろなプレイスタイルはあるのですが、今回の攻略ストーリーでは、リサさん自身が時間を歪めての再挑戦で切り抜けた、という扱いですね。リサ2号とか、妹のミサとかリナとかが登場することはありません』

 

アスト「それをすると、物語の整合性が保てなくなるもんな」

 

 

アズール卿『お前の姉は、悪名高い死の罠の地下迷宮で死んだ。だから、今度は妹のお前が我の名代として、何としても迷宮を攻略するのだ!』

 

ミサ『分かった。お姉ちゃんができなかった迷宮攻略、わたしがきっと成し遂げてみせる!』

 

 そして1年後、リーサン・パンザの2番めの娘、ミサ・パンツァの試練が始まる。

 なお、ミサが失敗すると、次は従妹(いとこ)のオカメ仮面が……

 

 

リバT『……って、こんな話にするわけにはいきませんからね。リサさんは、何度失敗しても、時間を歪めて再挑戦する神力が授けられたってことで』

 

リサ「それこそ勇者の証ってことだね」

 

3つの分岐

 

リサ「さて、箱の中のメッセージを読んだり、スルーして通り過ぎたりした後、北へ進むと、通路が左右に分かれているんだね」

 

リバT『壁には西向きの白い矢印が描かれていて、3人がそれに従って西に、もう1人が東へ向かったようです』

 

リサ「ええと、あたしは5番めに迷宮に入ったけど、前に4人。東へ向かったのは、アナザー蛮人のフロムと考えていいんだね」

 

リバT『そっちの通路で、お亡くなりになっていますからね』

 

リサ「最後までプレイすると、東ルートが正解という結論になる。西ルートに進むと重要アイテムのロープが手に入らなくて、攻略難易度が跳ね上がるのだ」

 

リバT『でも、リサさんは最初、西ルートに向かったんですね』

 

リサ「まずは、矢印どおりとか、大勢の向かった先に進むのが無難だと思ったんだよ。そして西に進むと、さらに道が2つに分岐して、北へ向かった足跡が1組、西へ進み続ける足跡が2組だったので、あたしもそのまま西へ向かった。結果として、序盤でのルート選択は3つに分かれることになる」

 

リバT『便宜上、西西と進むのを第1ルート、西北と進むのを第2ルート、東へ進むのを第3ルートとしておきましょう』

 

ダイアンナ「正解は第3ルートだけど、他のルートでも解けなくはない」

 

リバT『本作最強の敵、ピット・フィーンド(地底怪獣もしくは穴悪魔)を倒せるならばってことですがね』

 

ダイアンナ「技術点12、体力点15の敵とやり合いたくはないけどね」

 

リバT『大丈夫。ソーサリー第1巻のラスボス、マンティコアはもっと強い技術点12、体力点18ですから』

 

ダイアンナ「ここでもマンティコアが出て来たじゃないか。技術点11、体力点11の弱体化バージョンだったけど」

 

アスト「おいおい。2人とも、何を終盤の話をしているんだよ? いくらクリア済みだからって、攻略記事の体裁をとっているんだから、基本は順序どおり進めるべきじゃないか? さもないと、読者が混乱する」

 

リサ「すまない、読者。とりあえず、ここでは第1ルートから順に見ていくことにする」

 

第1ルート(パラグラフ137)

 

リサ「西→西に行くと、天井から巨大な鉄の鐘がぶら下がっていたんだな。だけど、この鐘は下手に触らない方がいい。試しにゴーンと鳴らしてみると、激しい揺れが発生して、『技術点2点、体力点2点を失う』ことになるうえ、鐘の音を止めるために叫んだりすると、駆けつけてきたホブゴブリンたちに囲まれて、いきなりバッドエンドだ。本作で初めて見た死亡がこれだ」

 

アスト「一回めの死か?」

 

リサ「いいや。選択肢としては『鐘には触らずに先に進む』を選んだうえで、後から攻略記事を書くためと称して、起こる事件はチェックしておいたわけさ」

 

アスト「もしも、鐘を鳴らした方が良い結果になると分かったら?」

 

リサ「次の攻略に際して、その選択肢を選ぶさ。そのプレイの時点では、選ばなかった選択肢が得だからって即座に選び直すようなズルはしないつもり。もっとも、選択ミスでいきなり死んでしまった場合は、時間を歪めて死ななかったことにはするけど」

 

アスト「まあ、通路を歩いていて鐘を見かけたからって、いきなり鳴らすようなマネは普通しないよな」

 

リサ「鉄の鐘イベントをスルーすると、道は北へ折れて、その先で殴り合っているホブゴブリン2体を見かけた(264)。『ゴブリンどもは皆殺し』のゴブスレ精神に則って、いきなり殺すのが正解。残り1体(技6、体5)を倒すだけでイベントクリアだ。下手に話しかけようものなら、2体ともに相手しないといけなくて手間だし、こっそり通り過ぎるとアイテムが入手できない」

 

アスト「戦利品は大事だな」

 

リサ「床に落ちている背負い袋の中に1本の瓶が入っていた。どうやら、それを巡って2体は争っていたらしい。バカな連中だ、と思って、さっそく飲むと自分もバカになるので注意な」

 

アスト「そりゃ、正体不明の薬物をいきなり飲むようなマネはしないな」

 

リサ「布切れを浸してみるという選択肢があったので、それで確かめると、中の液体は酸だった。酸の瓶を入手して、このイベントはクリアするのが正解だが、もしもうっかり酸を飲んでしまうと、酷い目にあう」

 

アスト「そりゃ、あうだろうな。酸で喉が溶けるとか?」

 

リサ「『技術点1点、体力点4点を失う』ことになり、さらに運だめしを2回とも失敗すると死んでしまう。バッドエンドその2だ。運だめしに成功すれば、水たまりを見つけて、喉の酸を洗い流すことに成功する。まあ、うっかり酸を飲みさえしなければ、免れるイベントということだ」

 

リバT『序盤で早くもバッドエンドが2つ……ってのが本作の難易度の高さを象徴しているようです。バッドエンドでなくても、罠に引っかかると技術点を失うことになるのは厳しいですし、それまでのリビングストン作品とは明らかに異なるハードさですね』

 

リサ「道を進むと、通路は東に折れる(110)。次のイベントは、壁に固定された12本の棒だ。棒に触れないように道をそのまま歩くか、それとも道の床に罠が仕掛けられていると考えて、棒を足場に道を乗り越えるか、の選択だ」

 

アスト「ここは少し悩むなあ」

 

リサ「結局は、棒が罠のトリガーだったので、触らない方が正解。道をそのまま歩く場合は技術点チェックが必要となる。まあ、技術点12だから絶対成功できるわけだが」

 

リバT『棒に触れると、鋭い木片が飛び散って、「運点2点、体力点2D点を失う」んですね』

 

アスト「2D点ってことは、2〜12点か。期待値7点。たかが木片にしては厳しすぎる罠じゃないか」

 

リバT『罠の頻度もそうですが、罠にハマった時のペナルティの大きさもそれまでとは大違いで、リビングストンさんが本気で殺しにかかって来ている、と感じさせてくれます』

 

リサ「だけど、あたしは罠に引っかかることなく、ここまでノーダメージで来たんだ。しかし、次で最初の大きな難関に直面する」

 

エメラルドを手に入れるために

 

リバT『パラグラフ313で第2ルートと合流、続くパラグラフ32で第3ルートと合流してからのパラグラフ37番。そこは広い洞窟で、高さ6メートルの巨大偶像が立っています。像の両目はエメラルドの宝石になっていて、像の両脇には巨大な鳥の剥製が2体置かれています』

 

リサ「当然、宝石はゲットしないとね」

 

アスト「ここで入手できるエメラルドは攻略必須アイテムだからな」

 

リサ「それが分かるのは終盤になってからだけどね。まあ、何にせよ、宝石と見れば、手に入れずには済まないのがあたしってことさ」

 

アスト「で、像の体を登って行くんだな」

 

リサ「ここでロープを持っているか否かの選択肢が出る。ロープがあれば、像の首に引っ掛けて難なく登れるんだが、ロープがないと運だめしをしないといけない。運だめしに失敗すると、登攀の途中でバランスを崩して、落下ダメージ2点をくらい、宝石入手を諦めて先に進む。この時点でバッドエンド確定だ」

 

アスト「だけど、運点12なら、運だめしは確定成功するだろう?」

 

リサ「まあね。だけど、ここで安心するのはまだ早い。像の左目の宝石を取り外すか、右目の宝石を取り外すかの選択が出て、右目を選ぶと爆発して毒ガスを噴出する。ガスで気絶したあたしは像の頭部から落下して受け身も取れずに死亡バッドエンド……という未来を見た」

 

アスト「今のは幻視……というゲームブックならではのチート技だな」

 

リサ「本作3つめのバッドエンドを確認したあたしは、左目が正解だと分かって、安心して作業に取りかかった。全ての宝石はあたしの物……と思いながら、世の中には当たりの宝石と外れの宝石があるんだという教訓を得る」

 

アスト「で、左目の宝石を取ろうとすると、空飛ぶ番人の剥製鳥に襲われるわけだ」

 

リサ「新訳ではフライング・ガーディアンな。こいつらは技術点7〜8、体力点8の、普通の強さなんだが、何しろ足場が悪い。ロープなしだと技術点3のペナルティを受けるので、実質的に技術点10〜11になる。序盤最大の強敵だ。できれば登攀する前に、先に叩き壊しておくべきだったと考えるも、そういう選択肢はなかったからな」

 

リバT『ガーゴイル像を見つけたら、それが動き出す前に叩き壊せ作戦ですね』

 

アスト「まあ、ただの石像というケースもあるし、叩き壊そうとしたら爆発するなどのトラップが仕掛けられていて、必ずしも動く前に倒すのが正解だとは限らないんだけどな」

 

リサ「とにかく、このガーディアン戦ではダイス目も悪くて大苦戦して、結果的に12点もダメージをくらってしまった。その結果、エメラルドを入手できたんだが、本作最初のピンチイベントってことだな」

 

リバT『ロープありなら、ペナルティは2点で済んだのですけどね』

 

リサ「それで後学のために、ロープをどこで入手できるのか、プレイを一度中断して、未通過ルートのチェックをしておこうと思ったのさ。そちらの攻略は、次の記事に回す」

 

 

リバT『ともあれ、年も明けましたので、おめでとうございます』

 

アスト「正月早々の震災で大変な地域もあるだろうが、『大規模災害で臨時ニュース』とか『試しにゴーンと鳴らしてみると、激しい揺れが発生』って記述がいきなりタイムリーにして不謹慎ネタのように思えてきた年末年始記事だ」

 

リサ→ダイアンナ「素直におめでとうは言いにくくなった世相だけど、あたしは頑張ってデストラップ攻略記事を続けるつもり。本年もよろしく」

(当記事 完。記事完成は令和6年1月2日)

 

PS.ここまでのイベントマップ

 

         ?

       ↑

     エメラルド目の

       偶像(37)

         l ←

 ーー木の棒ー  l

 l      (110) ↑

 l

ホブゴブリン  ?

 l                        l

鉄の鐘ーーーー293ー66ー?

(137)       l

         6つの箱(270)

           l

         入り口(1)