★尋問シーンは省略します
ガイド役NOVA「前回、君たちは洞窟の前で、見張りのゴブネズミを撃退して、そのうちの1匹を捕虜にしたんだったな」
モッサ・トッサ(触手キング)「それでは、お楽しみのスーパー触手尋問タイムでごわす」
NOVA「あ〜、ゴブネズミ相手の触手プレイを微に入り細に入り描写しても、俺が楽しくないし、おそらく読者の需要もないだろうし、このブログの品位を保つためにも、過程は省略します」
モッサ「どうしてでごわすか? この日を楽しみに、これまで生きてきたのに」
NOVA「もっと別の楽しみを見つけることを、強く推奨するぞ」
バリー・ザッシュ(アスト)「珍しくNOVAに同意するぜ。相手が美少女ならともかく、ゴブネズミだからな。……ところで、実はゴブネズミが美少女だったってことはないだろうな?」
NOVA「美少女だったら、ゴブネズミでもいいのか、お前は?」
バリー「世の中には、ブルーフォレストのゴブリナや、ザンスのゴブリン娘だっているわけだし、雄は不細工だけど、雌ゴブリンが萌えキャラだという世界があってもいいのではないか」
NOVA「そういう世界が所望なら、自分で作れ。俺のパグマイアに美少女ゴブリンはいない」
バリー「自分で作れって言ってもな。オレのマスター担当のゴブスレRPGでは、美少女ゴブリンなんてものが存在する余地がないだろうが。あの世界のゴブリンには、雌がいない設定なんだから」
NOVA「とにかく、スタミナの残り1で死にかけのゴブネズミが絡みついた触手に怯えながら、必死に語る内容は以下のとおりだ」
・この洞窟の名前は『ギザ牙族の隠れ家』である。
・ギザ牙族の首領は、アナグマのキング・グロールという名前らしいが、ネヴァーウインター森のどこかにある城にいて、ここにはいない。
・ここにいるのは、キングに仕えるアナグマのクラーグで、ゴブネズミの集団を力で従えている。
・ゴブネズミのリーダーはイーミクという名前で、今はクラーグの下でこの洞窟の副長をやってるが、ゴブネズミとしては高圧的なアナグマにムカついている。
・先日、キング・グロールからクラーグに指令が来た。それは「伝説の鉱山の地図を持っているゴランドという犬を捕まえろ」という内容。指令どおり、ゴランドとその護衛の2匹を捕まえ、ゴランドはキングのいる城に送られた。
・護衛のシルダーは今なお洞窟に捕まっている。洞窟にいるゴブネズミの数は10匹と少々。ゴブネズミとしては、クラーグさえいなくなれば、野盗なんて荒っぽいことをしなくて済む。どうか命だけはお助けを。
★作戦会議
モッサ「とにかく、分かったのは『ゴランドがここにいない』ということでごわすな。キング・グロールとやらの城に送られた。その城がどこにあるのかは知らんのか」
NOVA「下っ端のゴブネズミだから分からない」
アイアン・ラビドッグ(鉄太郎)「つまり、それを知っている者から聞き出す必要があるわけだ」
フリーダ・コリー(リバT)「それに、まだ護衛のシルダーさんが残っています。助けないと」
ルビー・ブラッドハウンド(ダイアンナ)「そうなると、優先順位はこういうことになるね。『1.お宝を見つける』『2.捕まった護衛を助けて恩を着せる』『3.野盗が2度と暴れないように痛めつける』の順番が妥当だろう」
モッサ「どこが妥当なのだ? 『ゴランドの居場所を突き止める』が抜けておるだろうが」
ルビー「そういう情報も含めてのお宝さ。ゴランドは『伝説の鉱山とやらの地図』を持っている。その伝説の鉱山をギザ牙族も狙っている。だからゴランドを助ければ、伝説の鉱山を見つけることができる。すなわち、あたしたちが宝にありつけるってことじゃないか。あたしにとって、これ以上の優先順位はないわけさ」
フリーダ「動機はどうあれ、ゴランドさんを助けるという目的は同じなんですね」
ルビー「大体、鉱山の地図が手に入っても、あたしは鉱夫じゃないから、それだけで儲かるわけじゃない。しかし、ゴランドさんは鉱夫の知り合いもいっぱいいそうだから、彼が経営する鉱山が軌道に乗った際に、あたしたちが命の恩人として協力した事実があれば、美味い汁が吸えるってもんさ。情けは他犬のためならず。金の卵に投資すれば、倍になって返ってくる。こいつは張り甲斐のある山だと思うよ」
バリー「さすがは女帝。ただの犬助けではなく、宝のためというロールプレイに忠実なんだな。オレはもちろん、ゴランド助けがメルシーちゃんのため、と思えばこそ、やる気も出るってことだ」
アイアン「個人的な動機がないのは、実は私なんだが、開拓団の仕事として働くことに否やはない。では、優先順位を改めると『1.ゴランドの行方を突き止める』『2.捕まった者を助ける』『3.野盗を排除する』と言ったところだろうか」
バリー「ところで、捕まえたゴブネズミにはダンジョンの案内もさせようぜ。簡単な地図なんかも書かせてな」
NOVA「では、ゴブネズミは、こんな地図を書いてくれた」
★ゴブネズミのダンジョンマップ
ーーーーーーため池
↑ l
ーー(橋)ーーーーー
l ↑ l
ゴブネズミの部屋ー l l
l クラーグの部屋
lーペットの部屋
l
入り口
バリー「相変わらず、雑な図だな」
NOVA「ゴブネズミの書いた図なんだ。そういうものに精巧さを求める方が間違っている」
ルビー「つまりダディーの作図能力は、ゴブネズミ並みということだね」
NOVA「シクシク(涙目)」
アイアン「まあ、大体分かればいいだろう。ないよりマシだと思えば、貴重な情報源だ。このペットの部屋というのは何だね?」
NOVA「そこには3頭の狼が飼われています。ボスのクラーグのペットということで」
アイアン「私たちは犬だが、犬と狼は仲が良いということはないかね?」
NOVA「原作シナリオでは、当然プレイヤーキャラは犬じゃないので、狼はただ凶暴な敵ですが、パグマイアにアレンジしたら、犬と狼が親戚みたいなものと見なしてもいいかもしれませんね。とりあえず〈動物使い〉の判定に成功すれば、いいことがあるかも」
アイアン「私はね、カプセル怪獣みたいなペットが欲しいんだ」
NOVA「ペットに命令するのは、ハンターが習得できる《獣使い》の芸が必要ですね」
アイアン「そこを何とか」
NOVA「一応、選択ルールとして『自分の属する天命芸を2つ習得して、そのうちの1つを強化していれば、別の天命から一つだけ芸を習得できる』とあります。つまり、アイアンはレベル2で天命芸を習得して、レベル3で強化すれば、レベル4で《獣使い》を習得できることになります」
アイアン「先が長いなあ」
NOVA「まあ、ペットを連れ回すのは本家D&Dでも、レンジャーがレベル3になった際に、ビーストマスターの道を選択してできることですからね。専門家でもないバーバリアンキャラだったら、レベル4から5ぐらいになるのも妥当かと」
アイアン「何にせよ、このダンジョンでペット獲得計画は不可能ということだな」
NOVA「ボスを倒して、ペットを解放した上で、改めてしつけ直すってことなら、シナリオネタにする手もありますけどね」
アイアン「ああ、解放していいのなら、そうするか」
フリーダ「不当に拘束されているなら、解放して差し上げないと」
アイアン「解放していいかどうかは、狼の凶暴性がどれほどか確認しないとな」
ルビー「ところで、この(橋)の上下の↑は何かな?」
NOVA「そこは立体交差なんだ。ダンジョンの通路には浅い川が流れていて、橋の下を通って、ため池まで通じている。ゴブネズミの生活圏は、川の両サイドの少し高台になった部屋ということになっている。ゴブネズミの部屋から橋を渡って、東側へ行けば、ボスのクラーグの部屋に行き着けるということで」
ルビー「すると攻略順としては、まずペットの部屋に行き、それからゴブネズミの部屋→橋→クラーグの部屋という流れになるみたいね」
バリー「ペットの部屋をスルーするというのもありだがな」
アイアン「いや、動物を愛する者としては、ペットは見逃せん」
バリー「そう言うと思った。大丈夫。オレも〈動物使い〉の技能持ちだから、動物をなだめるのに協力してやるさ」
アイアン「おお、それは助かる」
モッサ「では、作戦も立てたので、いよいよ中に突入するか」
NOVA「2列縦隊で隊列をお願いします」
モッサ「先頭に捕虜のゴブネズミを立てて、罠がないことを確認する。吾輩とアイアンが前衛。中衛にルビーとフリーダで、最後列に弓兵のバリーでいいんじゃないか?」
NOVA「あ、弓で思い出した。バリーはさっき弓を射たから、矢弾判定をお願いします。敏捷セービングスローで10以上を出さなければ、矢筒の矢が切れるので」
バリー「弾切れって、1発しか射ってないんだぞ」
NOVA「1発でも射ったら、弾切れというルールだ」
バリー「敏捷STで10以上ってことは、修正+5もあるから5以上を出せばいいんだろう。余裕余裕。(コロコロ)……って、1かよ」
NOVA「どうやら、君の矢筒には穴が空いていたようだ。気が付かないうちに矢がこぼれ落ちていて、1本も残っていない」
バリー「何てこった。まあ、予備の矢筒を用意していたからいいんだけどな」
アイアン「必要なら、私もゴブネズミから矢筒を回収していたから、提供するぞ」
バリー「ああ、それは助かる。というか、今、捕虜にした奴も、矢を射ってたはず。さらに2つの矢筒を奪っておくぞ」
NOVA「……これだけ矢を射つゴブネズミが多いシナリオだったら、矢弾切れはあまり心配しなくてよさそうだな。パグマイアの矢弾ルールって、弓兵の多いシナリオだと無意味に感じたり」
★狼馴らし
NOVA「では、君たちは暗闇の洞窟に足を踏み入れた」
ルビー「明かりはあたしが持つよ」
アイアン「私も暗視ゴーグルをかける。これさえあれば、闇は怖くない」
NOVA「D&Dとの違いは、プレイヤーキャラに暗視の使える種族がいないことだな」
バリー「この世界の知性化した犬は、暗視能力を持たないのか」
NOVA「猫やネズミといった敵NPCは《暗視》を標準搭載していて、NPC犬は持っていたりいなかったり。ただプレイヤーキャラが暗視を得る手段が現状のルールでは、マスターワーク(魔法の物品)や魔法そのもの以外になさそうなんだよね」
アイアン「つまり、私の『光のメガネ』は思ったよりも貴重品ということか」
NOVA「そうなります。君たちは洞窟内だと、明かりを付けながら行動しているので、隠密に活動することは不可能ということになります。おまけに足元が川の浅瀬みたいなもので、ピチャピチャ音を鳴らしながら歩かざるを得ない」
ルビー「結論。犬は猫と比べて、夜中にこっそり動くのに不向きということだね」
モッサ「むしろ、堂々とアーマーガシャガシャ鳴らしながら動くのが犬の本分」
バリー「そりゃ、お前だけだ。他のメンツは、せいぜい中装鎧だから、音は響きにくいはず」
NOVA「大胆にだか、慎重にだか分からないけど、捕虜を前に立たせた君たちは、ペットの部屋に続く石段の前に来た。捕虜のゴブネズミはビクビクして『本当にここに入るんですか? 狼どもは凶暴ですよ』と震え声で訴える」
アイアン「大丈夫だ。獣の扱いは慣れている。愛情をもって接すれば、必ず分かってくれるはずだ」
NOVA「では、アイアンの愛情がここの狼どもに通じるかどうか、目標値が15の〈動物使い〉判定をして下さい。3匹の狼は鎖と鉄杭で固定されていますが、もしも判定に失敗すれば、無理やり鉄杭を地面から引き抜いて襲いかかって来るかもしれません」
アイアン「〈動物使い〉技能は+3だから、12以上か。(コロコロ)20キター」
NOVA「マジですか? だったら3頭の狼は、神にひれ伏す崇拝者の如く、アイアン・ラビドッグの威光の前にクーンと行儀よくお座りした」
フリーダ「さすがです、アイアン様」
アイアン「ああ。私もこれほど上手く行くとは思ってもいなかったよ」
NOVA「(俺だって思ってなかったです)ええと、この後、アイアンさんは、狼たちをどうしますか?」
アイアン「もちろん、鎖を外して逃がしてやるさ。森にお帰り」
バリー「……って、逃がすんですかい? このまま引き連れて、ゴブネズミと戦う戦力にしたりは?」
アイアン「そこまで便利には使えないだろうさ。元々、敵の飼い犬だったのなら、土壇場で敵に寝返ったりする可能性もあるわけで、戦力として当てにするには危険すぎる」
NOVA「……すると、狼たちも戸惑った目でアイアンを見つめると、名残惜しそうな態度で、その場を立ち去った」
アイアン「縁があれば、また会おう。ウィンダム、ミクラス、そしてアギラ」
NOVA(うわあ、そんな名前で呼ばれると、また再登場させたくなるじゃないですか)
フリーダ「これでアイアン様がピンチの時に指笛を吹いたりしたら、どこからともなく駆けつけて来るんですね」
アイアン「まあ、そう都合のいい展開になるかは、ガイドの判断に任せるとしよう(ニッコリ)」
こうして、アイアン・ラビドッグは3匹の狼をゴブネズミの洞窟から傷つけず、逃がすことに成功した。
果たして、3匹はアイアンのカプセル怪獣みたいなポジションに昇格するのだろうか?
しかし、まさか〈動物使い〉が、ここぞというところでクリティカルの成功を示すとは。ただの成功ならまだしも、クリティカルだからなあ。何やらドラマチックな展開を期待したくなりまする。
ピンチの時に、昔、助けた動物が颯爽と駆けつけて来る展開も美味しいよなあ、と感じつつ。
(当記事 完)