ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

パグマイアの海賊

@パグマイアの新サプリメント

 

 

アスト「NOVAの奴が、この雑誌を送ってくれたので読んでいるんだが」

 

 

ダイアンナ「面白い話はあるのか?」

 

アスト「当然いろいろあるが、分かりやすく大雑把にテーマをまとめると『ミステリー』『悪党』『広がる世界』の3点と言えるかな」

 

ダイアンナ「ミステリーは、そういう系のゲームを今のSNEがプッシュしているということだな」

 

アスト「サイコロ振ってバトルとか、キャラの育成とかではなく、ストーリーゲームとしての役割演技と謎解きに焦点を当てた作品だな。ただ、それらは交渉とかトーク中心のゲームで、大人の社交技術を伴う必要があって、プレイヤーにある程度の素養が求められそうだ。謎解きメインだからゲーム内容の紹介も難しくて、記事書きのネタとしても使いにくそうだしな」

 

ダイアンナ「ネタバレ厳禁ってことだな。悪党とは何の話だ?」

 

アスト「ソード・ワールドの次のサプリメントが『アウトロー・プロファイルブック』ということで、普通の冒険者以外の放浪者、無法者なんかを設定するキャラビルドブックの追加版らしい。おまけに新種族なんかもあって、オレたち向きのサプリメントだな」

 

ダイアンナ「ソード・ワールドの基本は、冒険者ギルドに所属した半分公的職業と見なされた冒険者だからな。社会の枠組みから外れた裏稼業の連中が公式にサポートされるのは、世界観が深まりそうで面白そうだ」

 

アスト「さらに、今の2.5はアルフレイム大陸という舞台設定だが、2.0時代のテラスティア大陸との関連付けがようやくルール面からサポートされた記事が注目度大きい。つまり、2つの大陸が海上貿易を通じて交流する話が今後、活性化する形が示された、と」

 

ダイアンナ「どちらも、ダディーが望むような展開が為されていくみたいだな」

 

アスト「光の勇者ではなくピカレスクロマン(悪漢が主人公のハードな物語)をサポートするとか、2つの世界の交流譚とかだな。前者は物語を深め、後者は物語を広げる。そして、ソード・ワールドは別ブログに任せるとして、ここではパグマイアの新サプリメントの概要に注目したい」

 

ダイアンナ「海賊か」

 

アスト「ヨホホイだな。実際に、ベーテ氏の紹介記事も『ヨーホー!』と海賊の歌から始まっていて、記事書きしたタイミングではツーカイザーがお目見えしていないはずなのに、どれだけタイミングよく噛み合ったんだよ、と感心せざるを得ない」

 

ダイアンナ「悪党と広がる世界。どちらも海賊に通じるという話だな」

 

アスト「商品が発売されるのは秋だろうが、犬の世界のパグマイア、猫の世界のマウ、そして新たに鳥とトカゲをフォローしながら、世界観も広げた海賊のサプリメント紹介ということで」

 

ダイアンナ「世界海賊は、次元快盗だったあたしたちにとっても、気になるところだからな」

 

@鳥とトカゲ


アスト「で、犬ネコに続く新種族として、鳥とトカゲが加わるわけだが、それぞれ3つの亜種に分かれる」

ダイアンナ「犬ネコは、それぞれ雑種も合わせて7種だったが、鳥やトカゲは簡略化されているみたいだな」

アスト「鳥はストーリーテラー語り部的な放浪者、吟遊詩人としてパグマイア世界では認知されている。オウム、カラス、スズメの3種に分かれているわけだが」

ダイアンナ「ワシとか、タカとか、コンドルとか、白鳥とか、フクロウとか、ツバメとか、ダチョウはないのか?」

アスト「う~ん、パグマイア世界の鳥族の巣族(ネスト=種族の意)の名称は、オレたちの考えるオウム、カラス、スズメとは少しイメージが違うらしいんだな。オウムは鳥だが、飛べなくて筋力が発達している」

ダイアンナ「それはダチョウじゃないか?」

アスト「あるいはニワトリとかアヒルかな。鳥族の中では、下層階級に位置付けられていて、肉体労働に従事していて、お喋りだ。筋力と魅力が発達している」

ダイアンナ「飛べない鳥は、ただの鳥だってことか」

アスト「いや、豚じゃないんだから。ただの鳥は飛べるだろう。まあ、オウム族のペンギン氏族と名乗ったりしてもいいんじゃないかな?」

ダイアンナ「とにかく、パグマイアの種族分類としてのオウムは飛べないわけだ。カラスやスズメは?」

アスト「カラスは滑空のみが可能な、光り物コレクター。耐久力と知力に優れている。スズメは飛行能力を持ち、上流階級に位置している。敏捷力と判断力に秀でていて、機敏な知恵者だな。なお、鳥といっても鳥人間なので、普通に手作業はこなせる。オウムは羽毛の生えた腕、カラスは腕と翼が一体化、スズメは腕とは別に翼を持っている形だ」

ダイアンナ「いわゆる背中に羽の生えた天使がスズメで、空の大怪獣ラドンみたいなのがカラスで、オウムは……何だろうな?」

アスト「鳥モチーフで、飛行能力がないのは……変身忍者嵐かな」



ダイアンナ「それで、トカゲは爬虫類種族だと思うが、どんな連中だ?」

アスト「交易商人として一般に知られているが、その内面は母系社会で独自の文化を持っている。西洋中世における砂漠のジプシーという印象の、ヤモリとヘビとカメだな」

ダイアンナ「全然トカゲじゃないだろうが。かろうじて、ヤモリがトカゲっぽいってだけで」

アスト「ヤモリは敏捷と魅力が得意で、ヘビは筋力と知力、カメは耐久力と判断力に優れている。特技としては、筋力系のオウム、耐久力系のカラス、敏捷力系のスズメ、魅力系のヤモリ、筋力系のヘビ、耐久力系のカメといったところか」

ダイアンナ「知力系や判断力系がないんだね」

アスト「まあ、その辺の細かいところは、実際にサプリメントが出てから確認するということだが、それよりも気になるのは天命(職業クラス)だな。新たに6種類が加わって、その中には、犬とか猫も使えるのが各2種類あって、そして鳥専用とトカゲ専用が1種ずつとなっている。今回は、その天命を紹介して、話をまとめることにする」


●聖戦士(クルセイダー)


アスト「海賊と名のつくサプリなのに、海賊が職業に入ってなくて、いきなり聖戦士だから笑える」

ダイアンナ「あたしたちは、ずっと聖戦士話をしていたのにな」

アスト「犬の戦士ガーディアンと、猫の戦士チャンピオンも、どこか聖戦士に通じる要素があったが、あくまで仲間の士気を鼓舞してスタミナ回復を図れる能力持ちというだけで、信仰戦士ではなかった。しかし、犬の強い信仰心はストレートに聖戦士(クルセイダー)という天命を生み出したんだな」

ダイアンナ「猫は聖戦士になれないのか?」

アスト「なれないみたいだな。一方で、鳥は空を愛する信仰者として空師(トルーパー)、トカゲは太陽を愛する信仰者として修道兵(ダルヴィーシュ)と呼称されているが、聖戦士として同様の能力を持てるらしい」

ダイアンナ「同じ能力でも、種族によって呼称が変わるわけか」

アスト「信仰観が異なるだけで、物の価値観が大きく変わってくるのは、ファンタジーRPGの基本だからな。そして文化背景の違う者たちが、いかにぶつかり、和解するなり決裂するなりするかが、多くの物語の土台にもなっている。まあ、文化背景が異なっても、共通の趣味や目的意識で通じ合うこともあれば、どうしようもなく相容れない部分もあって(これは家族であっても世代差などで不寛容になれば、関係性がギスギスしたりすることも)、安易に他人のアイデンティティーに踏み込む危険を意味している」

ダイアンナ「生きる世界や視点、立脚点が違えば、価値観が変わってくるということか」

アスト「自分と違う異種族を演じるとか、信仰キャラを考えるってそういうことだな。単純な善悪で割り切れるものでもない。それだからこそ、異文化の研究は楽しいし、他と比べて自分のアイデンティティーを見つめ直すことも自分を深めることだ……と、何だかNOVAメモに書いてあった。いや、GMウォーロック誌に挟まっていたんだが、何だろうな、これ」

ダイアンナ「あたしたちに対するメッセージか、読者に対するメッセージかは知らないけど、まあ、話半分に聞いておけばいいだろう」

アスト「じゃあ、次だ」


●犬銃士(ガンドッグ


ダイアンナ「ああ、それは犬の銃使いだな。説明されなくても分かる……って銃?」

アスト「ああ、銃だ。パグマイア世界に、新たに銃のルールが導入されるようだな。海賊はフリントロック式の銃を使うというイメージがあるが、犬銃士は銃を撃ちながら近接戦闘も得意とする正に豪快な奴らだな。鳥は銃師(ガナー)、トカゲは射撃手(シューター)と呼称される」

ダイアンナ「猫は銃を使えないのか?」

アスト「それは次の職業だ」


●鉄砲玉(トルピード)


アスト「犬が正々堂々と正面から撃ち合うのに対して、猫の銃使いは遠距離から狙撃したり、物陰に隠れて撃つのを得意とする。それが鉄砲玉だ」

ダイアンナ「鉄砲玉って、無鉄砲に突っ込むイメージがあるけどな」

アスト「ヤクザの暗殺実行兵のイメージだが、ここでは銃を使った暗殺者って意味合いだな。鳥はより派手好みの決闘者(デュエリスト)、トカゲは銃使い(ガンスリンガー)と呼称される」

ダイアンナ「犬はガンカタで派手に戦う銃器使いで、猫はゴルゴ13みたいな銃器使いか。ある意味、銃器戦闘も新サプリの特長と言えそうだ」

アスト「D&Dにも銃はないことはないんだが、古風なファンタジーでは銃は邪道のイメージが色濃いな」

ダイアンナ「飛び道具といえば、まず弓が来るもんな。だけど、海賊はそもそも王道じゃなくて、邪道を行くものだし、西部劇もファンタジーの一種と思えば、格好いいガンアクションのルールに期待したい」


●海魔道士(ミスティック)


ダイアンナ「今度は魔法使い系か」

アスト「ミスティックという言葉には『神秘的な』という意味があって、ゲームシステムによって意味合いが変わってくるな。クラシックD&Dでは東洋の神秘といった感じで武闘家風のキャラだし、ソード・ワールドでは占い師、そしてパグマイアでは海や風に基づく自然を操る魔法使いって感じだ」

ダイアンナ「ドルイドみたいなものか?」

アスト「パッと見、そう読み取れるな。もっとも、ドルイドという言葉も意味合いが多く、動物使いの方向性か、自然の地形や元素を重視するかでイメージが変わってくる。パグマイアのミスティックは、海風中心のドルイドってところかな。これは、魔法への感受性が強い猫の道で、犬にはなれない」

ダイアンナ「猫は水嫌いと思っていたが?」

アスト「一般的にはな。だから、海魔道士の道を選んだ猫は変わり者ということなのさ。また、鳥では巫覡(スースセイヤー)、トカゲでは潮魔導師(メイガス)と呼称されている」

ダイアンナ「日本語の訳語を考えるのも大変だな」

アスト「とあるゲームで、ウィザード、イリュージョニスト、ネザーマンサー、エレメンタリストの4種の魔法体系があって、最初はそれぞれ魔術師、幻術師、異界術師、元素術師と訳していたんだが、これらは全部、魔術という点で共通していたので、用語も統一しようという意見から、ウィザードを理論魔術師と定め、他を幻影魔術師、異界魔術師、元素魔術師と置くことで、しっくり収まるとか、いろいろ苦労した覚えがある……というメモが挟まっていた。何じゃ、こりゃ?」

ダイアンナ「どうやら、ダディーが自分の昔の翻訳苦労話をアピールしたくなったみたいだな」

アスト「何々? 『ウォリアーは屈強なファイターである』というような文を日本語に訳す場合は、ウォリアーを戦士と単純に訳せないから困ったりもした。訳語の候補として『闘士(ウォリアー)は屈強な戦士である』という風に最初は考えていたのが、闘士と戦士が似たようなものであるから、もっとウォリアーをただの戦士ではない魔法的な技(タレント)を使う特殊な武芸者として考えられる訳語はないか、と、あれこれ知恵を巡らせた結果、ふと『武人』という言葉が思いついた。『武人(ウォリアー)は屈強な戦士である』という形で、一番収まりがよくなったと思う……とか、いろいろ書いてあるな」

ダイアンナ「つまり、パグマイアの天命の訳語で困っていそうなのを感じて、ダディーが昔の翻訳裏話ネタを思い出したってことだな」

アスト「ゲームの訳語って統一性が大事みたいだからな。一人じゃ訳しきれない膨大な文章の場合、『この単語はこう訳せ』というリストを監訳者が翻訳手伝い人に配布したり、チームメンバーで良い訳語がないか時に話し合ったり、訳語によって生まれる世界観の雰囲気とか、清松さんのT&T翻訳の苦労話とかも伺ったり……何だかメモにいろいろ書いてあるな」

ダイアンナ「だけど、寄り道脱線時空に巻き込まれそうなので、そういうメモはスルーするのが良さそうだな。よほどのマニアしか喜びそうにないネタだ」

アスト「ここを読むのは、ある程度マニアだと思うが、まあいい。とにかく、ミスティックを海魔道士、メイガスを潮魔導師と訳したベーテ氏にお疲れさん、グッジョブと声を掛けたいな」


●韻律師(ライマー)


アスト「これは鳥専用の天命で、いわゆる吟遊詩人っぽい職業だな」

ダイアンナ「猫の僧侶職ミニスターが、吟遊詩人みたいな要素も持っていたと思うが、鳥のライマーはもっとストレートにバードっぽいな」

アスト「ただ、鳥(bird)だけに吟遊詩人(bard)という言葉を使いにくかったのかもな。カタカナで書くと、どっちもバードだし、英語の発音も大きく違わないので、ライマーという職業名にした、と」


●錬塩術師(アルカリスト


アスト「これはトカゲ専用の錬金術師(アルケミスト)だな。塩を触媒にいろいろなアイテムを作り出すらしい」

ダイアンナ「アルカリは化学用語の塩基だな。アルカリを元に錬成する職業だから、アルカリスト。それを錬塩術師と造語で訳すのがなかなか面白い」

アスト「実は、パグマイアの海って、金属を溶かす酸の海なんだよな。そこを航海できる船を作る技術というのは、秘密にされているんだが、酸を中和するのがアルカリだと考えるなら、このトカゲの練塩術師の技術とかも関わってきているんじゃないかな、と推測したりする」

ダイアンナ「なるほどな。その真偽は、海賊サプリなどで解説されているかもしれないな」

アスト「パグマイアは元々、一王国という狭い世界観からスタートした作品で、世界がこれから少しずつ広がって行くよって期待感を持たせて、継続している。マウで猫の6君主国という形で多様性を膨らませ、犬と猫の関係性から生まれるドラマを感じさせてくれた。その後、犬と猫の王国をつなぐ交易港にスポットが当たって、今回は海サプリだ。キャラクター中心の物語と違って、もっと大きな視野で世界観が少しずつ広がっていく物語が、ワールドガイドの発展とともに味わえるな、と思う」

ダイアンナ「ゲームとして直接プレイする機会は少なくても、観測できる世界が少しずつ広がるってのは、完成された世界を俯瞰的に眺めるのとは違ったリアルタイムの喜びがあるってことか」

アスト「まあ、タイミングよく、世界海賊ってものが暴れている時期に、ゲームでも海賊サプリというものが宣伝されて(いや、存在は前から触れられていたんだが、翻訳出版予定が見えていなかったからな)、翻訳者の人には、頑張って応援したいわけだよ」

ダイアンナ「ということで、当ブログは今後もパグマイアを応援し続けたいと思う」

アスト「まあ、話のネタとしては、D&Dの旧作話も交えてだけどな」

(当記事 完)