ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

ネコの武闘家の話2

@ワンダラーのデータ再吟味

 

 

アスト「さて、前回はD&Dモンクと比べた際の、マウのワンダラーの地味さを挙げつらったんだが……」

 

ダイアンナ「ゲームが目指すところが違うので、仕方ないじゃないか。パグマウを擁護するなら、再来年で50周年に達する長大な歴史を誇るD&Dに比べ、パグマイアの歴史は2016年に始まって、ようやく5年ほど。同じ土俵で比べるものでもないと思うがな」

 

アスト「ああ。そこで今回はワンダラーのデータの中身をチェックしてみようと思う。例えば、ワンダラーの最大の特徴である《武道》。これは素手攻撃のダメージを1点から1D6点に向上させる能力だ」

 

ダイアンナ「普通に素手で殴ったら、1点しか与えないのか」

 

アスト「それと+筋力ボーナスだな。素手は1点、ダガーはD4、ショートソードはD6、ロングソードはD8というところだが、ワンダラーは素手でD6を出せる」

 

ダイアンナ「ボクサーの拳は凶器だというが、武闘家のパンチも凄いんだな。ショートソード並みの鋭いパンチか」

 

アスト「なお、D&Dモンクの1レベル素手攻撃はD4で、これがD6に成長するのは5レベルになってからなので、低レベルのうちはパグマウの方が強さを感じられるんだ。術師の呪文使用回数もパグマウの方がD&Dよりも多いので、成長後の派手さ、そして奥深さはD&Dに軍配が上がるにせよ、初めからそれなりに強さを感じられるのがパグマウの長所と言っていい」

 

ダイアンナ「入り口の入りやすさはパグマウの方が上、と」

 

アスト「良くも悪くも、D&Dの方が考えることが多いんだよ。入門編としては、パグマウの方がいろいろと分かりやすいシステムだ。派手に成長していくシステムではないが、覚えることは少ないので初心者向き。それでも成長の自由度はそこそこ高い方だと褒めておこう」

 

ダイアンナ「前回、成長ヴァリエーションが少ない、と言っていなかったか?」

 

アスト「今のD&Dは比較的低レベルで以前の上級職みたいなクラスを選択できるんだ。それによって、1つの職業でも3パターンの道が選べる。ただ、パグマウの場合は、戦士を選んだら戦士の芸ないし秘奥を習得するしかない。途中で魔法戦士に転職という選択が難しいんだ。まあ、選択ルールで『一つだけ他の職種の技をつまみ食いすることができる』ので、ワンダラーがより忍者っぽいアクションができるようにフットパッド(快盗)の《精緻な一撃》(いわゆる隠密奇襲攻撃)を習得することも可能。逆にフットパッドが基本は盗賊だけど、ワンダラーの《武道》を習得して、攻撃力を向上させるとかもありだな」

 

ダイアンナ「転職じゃなくて、専門外の余芸を一つだけ習得可能ってことか」

 

アスト「後は、レベルアップの際、自分の職業のどの能力を伸ばすか、という点で自由度が高いのがパグマウの特徴。ワンダラーの場合、攻撃力を高めるか、防御力を高めるか、新しい技を習得するかなどが考えられる」

 

ダイアンナ「与えられた枠は狭いけど、その中においては自由に選べる、と」

 

@ワンダラーの育成例


アスト「ここでワンダラーの成長を仮に考えてみるとしよう。レベル1では《武道》の秘奥を覚えて、素手攻撃をD6にする。実は《武道》の長所は、攻撃が命中した際、もう一度追加攻撃ができることにある。一発目を外したら意味はないんだけど、当てたらもう一撃のワンツーパンチを繰り出せるんだな。運が良ければ2回攻撃ということだ」

ダイアンナ「最初から2回攻撃できるのは強いね」

アスト「ただし、防具が薄いので、レベル2は《護身術》を習得して、DC(防御力)を上げる必要がある。これ以降は攻撃力の向上に専念すると、レベル3でダメージをD10に、レベル4でダメージを2D8に高めることが可能。なお、D&Dモンクだと、素手ダメージがD10になるのはレベル17だから、マウのワンダラーは派手な技こそ覚えないものの、数値的なダメージ量はD&Dよりも早く向上できるわけだ。さらにレベル5で3回攻撃を可能にできる。もちろん、攻撃を外すと、そこで連続攻撃は止まるけど」

ダイアンナ「うまく行けば、2D8の3回攻撃か」

アスト「期待値的には27点に筋力または敏捷ボーナスが3回乗るので、30点越えになる計算だ。同じレベルのD&Dモンクだと、D6の4回攻撃が可能だが、期待値は12点が基本、ボーナス込みで20点に届くだろうか。とにかく、マウのワンダラーはD&Dモンクよりも早く与ダメージ能力が成長するわけだ。派手じゃないけど、堅実に破壊力を上げて来るのがネコの武闘家と言えるだろうな」

ダイアンナ「最大ダメージで考えると、もっと差が分かるな。D&DモンクはD6の4回だと24点。一方、ワンダラーは2D8の3回は48点。5レベル時点で倍の差がある、と」

アスト「まあ、D&Dモンクは『気』ポイントを消費することで、連打の能力を発動できるんだがな。連打1回で2発の素手攻撃が行えるし、レベル5だと5回まで連打が発動可能。つまり、連打発動によって5ラウンド間は6回攻撃もできるのがD&Dモンクと言える。この『気』ポイントの消費ルールはマウにはないし、戦闘時のオプション行動の選択はD&Dに軍配が上がると言ったところか」

ダイアンナ「ワンダラーのダメージをもっと増やせないのか?」

アスト「それには、やはりフットパッドの《精緻な一撃》が有効と思う。物陰に隠れて攻撃を有利にすることで、追加ダメージにD6を加えることもできるし、強化を重ねてD6→D8→2D6→2D10と追加ダメージを増やすこともできる。物陰に隠れるのに、1ラウンドかかるという準備時間の問題も『ボーナスアクションで瞬時に隠れる』という強化を習得して克服可能だし、そもそも《精緻な一撃》は仲間が同じ敵の5フィート以内にいる状況なら発動可能だから、2人掛かりで1人の敵を相手にできるなら、隠れる必要すらないわけだ」

ダイアンナ「ああ。仲間が敵の注意を引きつけている間に、自分が隙を突いて急所攻撃をグサリというアクションも可能ということか。さすがは忍者、汚い」

アスト「与ダメージをとことん追求したいなら、そういう育成方法もありってことだ。この育成をすると、レベル10になる頃には、2D8の3回攻撃に2D10の奇襲ダメージが加わって、最大ダメージ68点になる。期待値的にも38点ってところだな。もちろん攻撃が命中したらの話だが、《精緻な一撃》は攻撃を有利にする、つまり命中判定の振り直しが可能にできるから、外す可能性が大いに下がる。ダメージ追求型ワンダラーを目指すなら、これがベストと考えるぜ。もちろん、それ一本だと戦う以外、何もできない戦闘マシンになってしまうし、防御力の強化とか、違う技能や秘奥を習得して、バランスよく育成するのも可能だけどな。いろいろ育成したいなら、レベル10じゃ足らないなあ、と感じたりもする」

ダイアンナ「この辺は個人の育成方針と、パーティー内での役割分担なんかがいろいろあって、どれが最適解かは一概に言えないからな」

アスト「ワンダラーが卓越した与ダメージ能力を持った戦闘職であることは間違いないが、ダメージの向上ばかりに捕らわれると、物理攻撃の効かない相手には無力化してしまう。その際には《武道》の強化オプションで拳に属性を付与することも考えないといけないし、それがそのままキャラの特徴にもなる」

ダイアンナ「炎の拳とか、サンダーナックルとかか?」

アスト「他にも、光とか冷気とか酸とか死霊とか、属性付与パンチで楽しめる」

ダイアンナ「光のパンチや、氷の拳はまだヒーローっぽいが、酸や死霊ってのはいかにも悪役っぽいな」

アスト「奴の拳に触れられると、体が溶ける? とか、拳に死者の怨念を宿した暗黒武術の使い手とか、そういうフレーバー要素だな。プレイヤーキャラよりも、ガイドが敵キャラを設定するときのイメージソースとして面白い」

ダイアンナ「数値データ的な強さを求めるのもありだが、ロールプレイ的に味わいのあるキャラを演出する遊び方も推奨されているんだな」


@ワンダラーの世界観


アスト「キャラの育成については、まだまだ考慮の余地があるが、マウと忍者についての考察を続けるとしよう」

ダイアンナ「忍者なのか? 武闘家じゃなくて」

アスト「2022年はネコ忍者の年だからして、どうしてネコRPGであるマウに、ストレートな忍者職がいないのかを考えた結果だ」

ダイアンナ「ワンダラーにフットパッドの秘奥を組み合わせると、忍者っぽいキャラも作れるんだろう? それで十分じゃないか」

アスト「キャラの育成方針として、忍者もどきは作れるかもしれない。しかし、世界観としてはどうだろう? そう考えてマウ連合のルールをいろいろ読んで、オレはふと天啓を授けられた。実はマウ連合は、社会構造がそのまま忍者の流派に置き換えられるから、マウのキャラが全て潜在的に忍者なのではないか、という結論だ」

ダイアンナ「ネコは全て忍者であるという話か?」

アスト「うむ。犬の王国パグマイアが西洋騎士道やヒト信仰、そして開拓者精神に満ち溢れた欧米要素の強い世界観である一方、猫の君主国連合であるマウは一応の統一こそ為されているものの、各君主国の王家がそれぞれの秘密を抱えて諜報活動や陰謀に明け暮れた影の世界観とされている。陽のパグマイアに対し、陰のマウ。すなわち、マウ連合の世界観に忠実に従うなら、それぞれの王家が忍者ものにおける流派に相当すると見なすことも可能。元より忍者は身をやつす者。ならば、マウ連合はそのまま忍者の流派連合と解釈することもできるわけだ」

ダイアンナ「表面的には、中心国マウの『みんなで協力して、ネコ族の発展のために団結しよう』の提案に応じているフリをして、裏ではそれぞれの思惑を秘めて、自分の国の野心のために暗躍しているということか」

アスト「なお、この辺の世界観は、以下の過去記事を参照だ」

https://white.ap.teacup.com/wngjob/215.html

https://white.ap.teacup.com/wngjob/226.html

ダイアンナ「一昨年の記事だから、ずいぶんと久しぶりって感じだね」

アスト「簡単にまとめるなら、政治家の国マウと、知識と魔法の国アンゴラ、商業国家キムリック、海洋国家レックス、軍事国家コラット、保守的な山岳国家サイベリアン、それに国を持たないシャドウ・ブロックの7勢力でマウの主要な世界観は構成されている」

ダイアンナ「忍者になりたければ、シャドウ・ブロックが推奨かい?」

アスト「シャドウ・ブロックは仕える主君を決めていない、はぐれ忍者の集団だな。マウ連合の敵キャラを考える時でも、とりあえずシャドウ・ブロックの反連合勢力の一味としておけば、ややこしい政治陰謀劇を考えなくて済む」

ダイアンナ「ああ。他の主家が関わってくると、話作りが面倒だ、と」

アスト「プレイヤー猫は、それぞれの国家に所属しているのが普通で、自分の国の利害とパーティー仲間の協力の間で時にジレンマを感じつつのプレイが推奨だからな。幕末に例えるなら、徳川幕府に相当するのがマウで薩摩に相当するのがコラット、土佐に相当するのがレックス、大阪を中心とする上方に相当するのがキムリックで、サイベリアンアンゴラはよく分からんな」

ダイアンナ「尊王攘夷を主張している時期の長州がサイベリアンじゃないかね」

アスト「アンゴラは?」

ダイアンナ「京都の陰陽師勢力とか、蘭学者とか、あるいは水戸の儒学者とかの学術関係に相当すると思うんだが」

アスト「一応、マウの方針は開国主導、パグマイアとの協力体制だから、知識重視のアンゴラ、海洋交易がしたいレックスとキムリックはそれに賛成。ネコ族の誇りがどうこうと言って、イヌに対して険悪なのがコラットとサイベリアンという国家設定だから、その辺の軋轢をどうロールプレイに反映するかがややこしくも面白いわけで」

ダイアンナ「それを忍者に置き換えると?」

アスト「マウ君主国に所属するのは公儀の隠密だろう。アンゴラの方はストレートに魔法忍者だろうが、一方で古文書や古遺物なんかの独占も企んでいるっぽい。キムリックは金銭的利益で動きそうだから、産業スパイっぽい活動が考えられる。レックスは自由な開拓者精神が特徴で、最近出た海賊サプリでもスポットが当たってるんじゃないかな。海賊忍者と言ったところか」

ダイアンナ「海賊忍者って何だよ? 組み合わせればいいってものじゃないだろう?」

アスト「だったら、水忍ハリケンブルーとか? レックスって敏捷特化の国だから、忍者向きなのも事実なんだよな。自由人気質だから、流派の掟に忠誠を誓うキャラにはならないだろうけど」

ダイアンナ「それこそ現代風のポップな忍者の方向性かもな」

アスト「コラットは怪力忍者で、サイベリアンは頑健忍者。耐えて忍ぶのがサイベリアンって感じだな」

ダイアンナ「無理やり忍者に仕立て上げている気がしなくもないんだが、アストの言いたいことは、マウ連合の陰謀気質が世界観的に忍者風味だから、忍者という職業を準備しなくても、忍者っぽい物語を演出可能ってことだな」

アスト「組織人としてのジレンマを物語に反映するのは、パグマイアよりもマウの方が世界観が仕上がっているからな。パグマイアで忍者っぽい話は作りにくいが、マウ連合は組織の掟とかしがらみとか、意図しない裏切りとか、自分らしさを追求する抜け忍風味とか、そういう方向性のシステムだ」

ダイアンナ「すると、ワンダラーもそういう物語をプレイすると、忍者っぽくなるわけか」

アスト「いや、ワンダラーは君主国への忠誠よりも、己の『道』を重視するので、最初から孤高の抜け忍めいたところがある。ワンダラーが忠実なのは、国家よりも師匠、そして友なんだ。連合に反旗を翻すような悪人では決してないけれど、『道』だと見据えたら、頑なに己を曲げないのが武闘家の生き様。己を消して滅私奉公するのが美徳とされる伝統的忍者とはそこが相容れない」

ダイアンナ「滅私奉公する忍者ってのは、プレイヤーキャラ向きじゃなくて、NPCだと思うけどね」

アスト「ゲーム的には、自分が滅私奉公しやすい流派を選択するべきだからな。場合によると、自分で勝手にキャラに合わせた流派を打ち立てて、ガイドに設定を提案するという遊びもできるし、マウの世界観ではワンダラーの『道』『流派』は設定されていないので、拳一つで世を渡り、己を磨くという前提さえ崩さなければ、誰に、あるいは何に忠誠を誓おうが、あるいは孤高の道を歩もうが、ワンダラーらしいロールプレイはできると思う。逆に、マウの社会のしがらみに縛られ過ぎる方がワンダラーらしくないという矛盾があるわけだな」

ダイアンナ「国は国、俺は俺。俺の道を邪魔するならば、誰であろうと、叩きつぶすというのがワンダラーかい?」

アスト「そこまで脳筋じゃなくても、もっと器用に、『その命令には従えない。じゃあな』と颯爽と姿をくらますとか、『友のためなら仕方ない。だが、拳を貸すのは今回だけだ。そう何度も甘えて欲しくはない』とか、『気にするな。今はたまたま道が重なっただけだ』とか、自分なりの哲学で動いていることを示唆すると、ワンダラーらしくなりそうだ」

ダイアンナ「世界よりも、自分。だけど、世界に背を向けているわけではなく、自分の道がどこにあるかを探求し続けるのがワンダラーか。そのために必要なら、世捨て人になることもあるし、世間のしがらみに身を置くこともする。大事なのは、何を追求するかの一点でぶれない自分を確立することと、己が鍛えた拳への自信、修練を絶やさないってことかね」

アスト「そうとも。だから、オレなりにワンダラーの新たな流派を考えてみた」

ダイアンナ「何だと? 新たな流派だと? それは一体!?」


@アストの流派


アスト「こう見えても、オレは前に流派・東方不敗キング・オブ・ハートと同じ声を持つ紅蓮火さんの手解きを受けた男だからな。嘘だと思うなら、以下の過去記事を読むがいい」

https://white.ap.teacup.com/wngjob/224.html

ダイアンナ「ああ、そんなこともあったなあ」

アスト「そして、流派・東方不敗の究極奥義と、今年2022年の旬をいろいろ考えた結果、オレが立ち上げる流派の名前は……」

ダイアンナ「流派の名前は!?」

アスト「その名も王蛇の風・ラブコ武流だッ!」



ダイアンナ「蛇かよ。馬じゃないのかよ」

アスト「いや。馬も入っている。人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて地獄に落ちろ! というのも蓮火師匠の名言の一つだからな。だが、今の世の中、ラブコブとか、愛の拳士とかが旬だろう?」

ダイアンナ「確かに、愛の力は無敵に通ずからなあ」

アスト「師匠から石破ラブラブ天驚拳は伝授されていないが、ラブコ武流を磨けば、いつかキング・オブ・ハートの王さまにだって負けない男になれるかもしれない。オレもキングの端くれならば、やはり愛の王者を目指したいというのが正月の決意だ」

ダイアンナ「アスト……」

アスト「アニー……」


リバT『はい、そのネタはもう使いきっていますので、繰り返さないで下さい。ラブコ武流だか、ラブコメ流だか知りませんが、これ以上はネコの武闘家の話から逸脱しますので、読者の見ていないところでどうぞ。ワンダラーの研鑽タイムはこれにて完ってことで』

(当記事 完)