ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

続・4色のパラディン(4版伝説の道)

@職業らしさって、なに?

 

 

リバT『それでは、前回の後を継ぐパラディン上級職の話です』

 

アスト「オレのクラシックD&Dな感覚では、パラディン自体が上級職に思えるけどな」

 

リバT『AD&Dや3版以降では、パラディンも基本職になりますからね。簡略されたベーシックルールあるいはスターターセットでは、ファイター、ウィザード、クレリック、ローグの4職だけですが、5版のプレイヤーズハンドブックでは、ウォーロックソーサラードルイド、バード、バーバリアン、パラディン、モンク、レンジャーが加わって、全12職が基本職扱いです』

 

ダイアンナ「全てを説明するなら、当分、話のネタは尽きそうにないよねえ」

 

リバT『しかも、基本職だけでこれですからね。あと、AD&D1版にあったアサシン(暗殺者)や、4版のウォーリーダーが今は黒歴史です。まあ、アサシンはローグの上級職、ウォーリーダーはファイターや戦神のクレリックが特技の「激励する指揮官」を習得すれば似たような役割になれるかと考えます』

 

ダイアンナ「船乗りの背景を持つ者がその特技を習得すれば、船長と名乗ることもできるかもしれんな」

 

リバT『そうですねえ。自分のキャライメージに合わせて、どういう技能(スキル)や特技(フィート)を習得するか、あれこれ考えるのもキャラ育成の醍醐味と言えましょう』

 

アスト「スキルは2版、フィートは3版から採用されたルールだな」

 

リバT『ええ。それらのルールの付加によって、D&Dのキャラ育成の自由度は大いに高まりました。そしてTRPGゲーマーと呼称される人たちは、そのゲームにどのような職業クラスがあって、どんなスキルやフィートなどの技を習得できるか、データをいろいろチェックしてワクワクする人種になりますね。カードゲーマーでしたら、新しいバージョンが出たときにどんなカードが登場したか期待しますし、モデラーだったら新作プラモが出たときに気になるもの。言わば、単にゲームをする者をゲーマーとは言わないですし、その世界に夢中になっていれば、必然的に習得する知識や好奇心というものがあるわけですよ』

 

ダイアンナ「お宝と聞いて、反応しない快盗や海賊がいないようにか?」

 

アスト「いわゆる職業やアイデンティティー特有の精神性という奴だな。その道を追求していれば、当然出そうなリアクションが出せれば、『変身できなくても心は○○』と言えるわけだ」

 

リバT『小説家ライダーと聞いて、おおっと反応できるのが特撮好きの小説家。文章書きって、見た目よりも内面や設定に興味を示すものですし、見た目にしか反応できないのは、物書きというよりは絵描きや写真家の精神性と言えましょうか。言わば、何かにこだわって反応するということで「その人間やキャラクターのアイデンティティーを表明できる」わけですね』

 

ダイアンナ「『パラディンたる者、目の前の困っている人を見捨てていられようか』とか、『吟遊詩人たる者、面白そうな物語のネタなら喜んで調べたいものです。ただし、危険はなるべく避けたいところですが』とか、自分のアイデンティティーから生じる自己規定というものは、どんな職業にもありそうだな」

 

リバT『女王らしい振る舞い方、神らしい振る舞い方、小説家らしい振る舞い方など、それっぽい行動パターンというのがあって、肩書きも大切ですが、それよりも内面の精神性がそういう佇まいを醸し出しているかが、問題になりますね。これもロールプレイの範疇ですが、「らしい言動」が身に付いている人は周りがそう言う目で見てくれますし、公言している職業から外れた振る舞いは往々にしてがっかり感をもたらします』

 

アスト「逆に、『さすがは作家』『さすがはプログラマー』『さすがはアスリート』と感じさせる言動があれば、その範疇での尊敬や信頼感は得られるということだな」

 

ダイアンナ「自己規定と、それに相応しい言動か。女王たる者、どのように振る舞うべきか、考える必要があるな」

 

アスト「人魚のローラを見習えばいいんじゃないのか?」

 

@4版の伝説級パラディン(神の剣)


リバT『女王らしさはまた後日考えるとして、今回はパラディンです。4版のパラディンは4つの伝説の道が用意されています。1つめは、神の剣と称されるアストラル・ウェポンです』

アスト「つまり、このオレだな。アスト・ラル・ウェポンと呼んでくれ」

ダイアンナ「では、ミドルネームのラルさんと呼んでやろう」

アスト「ラルとは違うのだよ、ラルとは。まあ、神の剣か。いかにも攻撃的なセイバーって感じだな」

リバT『ええ、攻撃重視の上級職で、手持ちの武器が常にアストラル界の銀の光で輝くという効果付き』

ダイアンナ「輝くだけか?」

リバT『もちろん、専用パワーがいくつかありますが、印象的なのは「光の道を切り開く(カーヴィング・ア・パス・オブ・ライト)」ですね』

アスト「いちいち、そう言うのか。『DM、これより光の道を切り開きます』って」

ダイアンナ「光の道かあ。いかにも宗教っぽいねえ」

リバT『効果は、パラディンが相手に2倍ダメージを与えた後、仲間はパラディンの隣接敵への攻撃に戦術的優位を与えられます。戦術的優位とは命中判定+2できる効果ですね』

アスト「まずはパラディンが敵にダメージを与えて、その後、仲間たちが攻撃を当てやすくする技か。『諸君、戦端は開いた。光の道に従い、追撃をしたまえ』という感じだな」

ダイアンナ「能力的には、自分が切り込み隊長となって前衛に突撃し、後に続く者がより強力な攻撃を繰り出すサポートをする感じだね。仲間が命中ボーナス+2されるなら、より強力な攻撃を当てやすくなるわけだ」

リバT『さらにネーミングが魅力なのが、「アストラル大旋風(アストラル・ワールウィンド)」。自分の周囲1マスの敵全てに2倍ダメージを与え、防御値をマイナス2させる大技です。習得レベルが20なので、神話級の目前パワーということになりますね』

ダイアンナ「2倍ダメージというだけで、結構強いと思うんだが」

リバT『比較対象によりますね。同じレベル20でも、撃破役のローグ系上級職のシャドウ・アサシンなら「最後の一撃(ファイナル・ブロウ)」で5倍ダメージを出せますし。まあ、相手が重傷を負っている場合限定ですが』

アスト「死にかけている相手に5倍ダメージなんて必要ないだろう?」

リバT『重傷は死にかけとは限りませんよ。HPが半分を切ったら重傷扱いなので、HP100越えのボスクラスなら、まだまだ50点ぐらいダメージを与えないといけません。ですから、こんな感じの戦闘になります』


パラディン「よし、相手のHPを半分まで削った。とどめは任せたぞ」
アサシン「心得たでござる、ニンニン。奥義ファイナル・ブロウ!」
パラディン「やったか?」
アサシン「5倍ダメージだから、さすがのあやつも……」
ボス「ふう、死ぬかと思ったぜ。残りHP4点。何とか残ったな。では、こちらも大技を仕掛けるか」
アサシン「くっ、拙者としたことが仕留め損なうとは……」
ウォーリーダー「フッ、そうなることも想定内よ。だけど、この私がまだ手番を残しているんだから。コマンダーズ・ストライク! さあ、アサシン君、もう一度攻撃をしてちょうだい。私よりも君の方が確実に命中させられるはずよ」
アサシン「おお、軍師どの。では、その期待に応えて。奥義は切ったのでもう使えないが、残りHP4点なら、通常攻撃で十分でござる。くらえ、とどめのピアシング・ストライク!」
ボス「バカな。奥義をしのいだと思ったら、まさか、そのような小技を仕込んでいたとは……ぐふっ」
パラディン「ふう、勝ったな。ボスに手番を回していたら、一気に回復してくる可能性があったから、ギリギリの勝負だった。連携の勝利だ。正義は勝つ」
アサシン「拙者は正義など、どうでもいいでござるが、これも仕事ゆえ、役割はきちんと果たすでござるよ」
ウォーリーダー「大切なのは、目的が違っても、今は協力し合えるチームってことよ。一人の強さよりも、チームの絆。それがD&D4版の戦闘システムなんだから」


アスト「要するに、5倍ダメージでも倒しきれないケースが普通にあるということだな」

リバT『4版はHPの感覚が他の版とは違いますからね。D&Dの多くの版では、ファイターやパラディンの基本HPはD10で決めますが、4版だけは基礎HPが15点からスタート。ボス敵はHPボーナスがありますし、逆にHP1のモブ敵も設定されていて、敵側も役割分担してくるわけです』

ダイアンナ「HP1のザコなんて、瞬殺し放題じゃないか」

リバT『ザコと言っても、攻撃力まで低いわけじゃないんですよ。HP1の小者が10体いて、3体を倒したとしても、残り7体から攻撃を受ける。次に3体を倒しても、まだ4体から攻撃を受ける。結果的に、ザコだけで10回以上の攻撃が来るわけです。D&Dは防御点でダメージが減少するシステムじゃないので、敵の攻撃回数が多いと、それだけ痛打を受ける可能性も増える。ですから、ザコ敵の速やかな排除、あるいは足止めしたりして攻撃回数を減らすのが基本戦術となります。そこで重宝するのが、ウィザードの範囲攻撃というわけで』

ダイアンナ「ああ、ザコの数減らしが魔法使いの仕事で、前線の壁役がパラディンの仕事で、大ダメージパワーがあるのが盗賊系で、味方のバックアップがリーダーの仕事というのが4版だと」

リバT『相手を殴りつつ、サポート効果を発動するパワーも多いので、攻撃しながらアシストして次につなげるというチーム内コンボが面白いシステムだとは思うのですが、それだけ戦術眼を必要とする高度なゲームになりました。例えば、盗賊系は状況がうまくハマれば、大ダメージを発動できる職業ですが、本人は打たれ弱いので突出してしまえば、やる前にやられます。ですから状況が整う前は、ガード役に見せ場を譲って、時を見計らうことも必要ですし、自分の力量を見誤って無謀に出しゃばってしまうと、呆気なく散るリスキーな面もあるわけで』

ダイアンナ「大切なのは、敵を知り、己を知るということだな」

リバT『それだけではありません。何よりも、戦場を知り、時を知り、システムを知るということです。コメディが求められている場で、シリアスに振る舞っても「ゼンカイジャーにおけるステイシーみたいに、世界観の法則で負ける」ことさえあります。やはり、ダンス対決している場では、自分もフィーバーダンスを踊るぐらい空気を読まないと』

アスト「確かに、お笑い時空でギャグに対応できなければ、『お前は面白くないからな』という理由で切られることもあるか」

リバT『シリアスが求められる場ではシリアスに、コミカルが求められる場ではコミカルに、場の空気に合わせて、自分のスタイルを切り替えられる。これも一つの強みですし、自分の好きなものや得意なものと、場の求めるものが噛み合えば、自分をさらけ出すのも強みだけど、噛み合わないなら噛み合わせるための勉強をする。あるいは、自分の場を構築してコツコツ広げるか深めるか、それが円熟のレベルに達すれば、その努力や質量に感じ入る者もいるかもしれない。
『素早く他人に認められたければ、他人の求めるものを提供できる自分になることを目指す。求められていないことをどれだけコツコツ続けても、それで自己満足できなければ不毛ですし、自分のツボと他人のツボが違うのか同じなのかを見極めることも大切だ、と』

アスト「どんな能力でも、TPOに合わせた使い方をできなければ、宝の持ち腐れということか」

ダイアンナ「宝石といっても、原石のまま磨かなければ価値のない、ただの石ころでしかないし、カットの仕方を間違えれば価値が落ちる。宝石マニアは、ただきれいな石を見て愛でるだけでなく、石の魅力を引き立たせる職人の技やセンスも込みで、お宝認定するわけだ。宝石見て綺麗だとは誰でも言えるけど(もちろん、宝石よりも食べ物や書物が大事と言う者もいるが)、玄人は綺麗なものを生み出した職人の技を想像し、憧れる。
「そして見て愛でるだけでなく、自らも同じような美を生み出したいと考える者が、技とセンスを磨いて職人になる。だけど、職人は裏方なので、自分よりも作品を評価して欲しいのが本分で、自分を前面に出したいなら個展を開いて、自分の世界を構築すればいい。他所で評価されたければ、他所の流儀に合わせる。それができない独り善がりなら、自分の流儀の通じる世界に引きこもるなり、それから広げるなりすればいい。大切なのは自分が目指す方向性だろう。他者の称賛が欲しければ、他者の求めるものに敏感であれ、と言ったところかな」

リバT『うまくまとめてもらえましたね。それこそが女王の資質かも』

ダイアンナ「ただの宝石マニアの戯言がかい?」

アスト「宝石をその他の芸術作品や創作作品に置き換えるなら、諸芸に通じる考え方だろう。マニアってのは、自分の専門ジャンルで、他の芸事にも通じる哲学を披露できるものじゃないか。自分の好きという気持ちを突きつめれば、他人の好きという目、想い、技術や見識にも敬意を示せるようにもなるし、自分の世界で他人が安住できる場所を構築しようとするのは、君主の資質かもな……って、オレらしくない言い草だったな。聞き流してくれ」


@さらなる伝説級(正義の執行者)



リバT『1つめの上級職で思わぬ時間をかけました。仕切り直して、2つめです』

アスト「確か、正義の執行者ジャスティシアーだったな」

ダイアンナ「さっきのが攻撃重視ということは、こちらは守り重視になるのか?」

リバT『大体、正解です。基本的には、味方を守る系の技が多い印象ですね。「正義の輝き(ジャスト・レイディアンス)」というパワーは、相手に2D8の光ダメージを与えて、さらに相手の攻撃を自分に集中させるように仕向けます』

アスト「ああ、他の味方が攻撃されないように囮になるんだな」

リバT『自分が目立つ。当然、攻撃の的になる。だから、結果的に仲間を守れる……と言うのは、ヘイトコントロールの基本ですね。防御力に自信があるからこそ、できる手段です』

アスト「出る杭は打たれるって言うもんな。撃っていいのは撃たれる覚悟……というセリフはよく聞くが、あれはただの精神論ではなくて、『覚悟=撃ち返される可能性を想定して、手段を講じるなり、必要以上の恨みを買わないよう自制するなり、他人にツッコまれる前に自己ツッコミでヘイトを減らすなり、自分を守る知恵を巡らせること』を意味するとオレは考える。覚悟ってのは悟りだろう? 自分が撃ったら、その結果、どういうことになるか先行きを想定する知恵を回した上で、そこまで考えられない素人はやみくもに撃つな、という戒めじゃないか」

ダイアンナ「他人を批判するなら、その批判に対する反論が返ってくる可能性を考えろ、というのがネットミームらしいからな」

アスト「そして、ネットの世界では誰しも攻撃衝動を喚起されやすい。必然的に、その衝動は、大義名分をもって殴りやすい攻撃的な弱者』にぶつけられやすい」

ダイアンナ「弱者なのか? 強者じゃなく?」

アスト「強者にケンカを売って、自分の力量を試したい求道者なネットサムライもいないことはないが、尊王攘夷運動と同じで、若者が罹りやすいハシカみたいなものだな。そして、そういう人間が顔を隠して匿名板で辻斬り紛いの説法を行なったり、斬ったり斬られたりして人知れず言論バトルゲームを楽しんでいたものだ。
「まあ、最近はその影の戦いの一部がエンタメ的にまとめられて、緩くなったものだとも思うが、その時代を生きたサムライたちが自分の城を構築して領主になったり、年を重ねて現実世界に居場所を作って引退したり、当時を知らない若者たちが未熟なサムライとして斬り合ったりしているのが現状か。さすがにインターネット議論の世界も30年近くを経過すれば世代交代も起こるだろうが、何ぶん匿名の影の世界だからな。誰がいまだに現役で、誰がどうなったかなんてのは、断片的にしか分からないさ」

リバT『グランドマスターNOVAも、それなりに議論経験はあるけれど、少し続けるとやがて不毛さを感じて、今は引退したそうです』

アスト「ある意味、匿名板は盗賊ギルドみたいな闇社会の雰囲気があるからな。光に当たりたい人間は、避けるのが賢明だが、まあ光サイドが闇に関心を持つことだってある。ただ、玉石混交、真偽不明な闇情報しか見ていなくて、光サイドの良識を持っていないなら……というか、光と闇の区別すらついていない世間知らずなら、TPOに合わない振る舞いをしても不思議じゃない。そして、闇の世界の聞きかじった流儀を堂々と光の世界で披露したら、場を乱す犯罪人として本人の意図とは関係なく、迷惑なトラブルメーカー呼ばわりされても文句は言えない」

リバT『普通は、失敗して、痛い目にあったりして、学ぶんですけどね』

アスト「まあ、フィクションなら俗世の住人に身をやつした君主が、思わぬ力量を示して、闇の世界の住人にも一目置かれるケースもあるし、領主の友人が元冒険仲間の盗賊ギルドの長だったりするのは、よくある冒険者の出世譚だからな。光と闇は紙一重だったりもするが、その紙一重の領分を軽々しく犯さないのが大人の社交ってもんだ。裏の住人は堅気に手を出さないとか、表の住人は危険に身をさらさないように知恵と良識を崩さないとか、互いの住み分けができているなら、そうそうトラブルも発生しないってことだ」

ダイアンナ「まあ、後学のために両方の世界を覗き見るネット民も多いけどね。昔よりも境界線が曖昧になっているから」

アスト「カオスが進行したとも言うな。その分、小さな世界が乱立して、権威が見えにくくなったというか、権威と呼ばれる人間はツイッターのつぶやきで断片的な情報発信することが増えたから、昔よりもまとまりを欠く時代というか」

リバT『小国乱立、群雄割拠、ところによってルールは多彩ながら、それぞれの流儀は厳然としてある。つまり正義は一つじゃない……ってことですね』

アスト「だから、自分の身は自分で守る。何が場の流儀で、何をしたら追い出されるか、自分で学ばないと誰も助けてくれない。だから、撃たれる覚悟を決めて、自分を守り、他者はうかつに攻撃しないように努めるってことだな」

ダイアンナ「攻撃したいときはどうするんだい?」

アスト「意味もなく攻撃すると、ただの狂犬、犯罪者だから、何のために攻撃するのか大義名分をきちんと打ち立てる。感情論での批判は見識を疑われるので、TPOに合わせた振る舞い、空気を読む。人間どうし、違う背景の持ち主は、感じ方、考え方が違うのは当たり前だから、自分だけが正義や良識とは考えない方がいい。あくまで自分の狭い体験から来る一面的な正義や良識(仮説)として、検証目的で問題提起するスタンスで冷静に理論的に臨めば、そうそう荒れることはないが、とにかく場違いなことをしていては、どんな正義も正当化できない。自分の感じ方しか見えずに、周囲をむやみやたらと攻撃するなら、より強大な力につぶされる可能性は常に想定せよ」

ダイアンナ「でも、ジャスティシアーは正義の執行者なんだよね」

アスト「ルールブックにもきちんと書いてあるぞ。『君の正義と公正は、君の信仰特有の観点から見る限りのもの』だって。そして、正義の執行者が保護するのは、同じ信仰理念に従う仲間を守るためだ、と。まあ、趣味の場では、同じ趣味の人間が信仰仲間みたいなものだから、ここはウルトラ教、広い意味では特撮ヒーロー教、そこにTRPG教とかロボットメインのSF教とか、怪獣優生思想とか、時に闇の世界の流儀とか、そんな物も交えてエンタメ創作を評価する場所だ。そして曰く、『楽しさ、面白さを提供しない創作には価値がない』という教義だな。何が楽しいかという建設的意見の表明は尊重するが、楽しさに直結しない批判的言辞には大義はない」

ダイアンナ「楽しいとか面白いのが正義ってことだな」

アスト「今、この時はな。来年の今ごろは、違う正義が見えているかもしれん。ちなみに、去年の正義は、キラキラ輝くことだし、その前の正義はケボーンだ」

ダイアンナ「ケボーンだと!?」

アスト「言葉の意味はよく分からないが、とにかく凄く良いというニュアンスらしい。だけど、まあ、番組から察すると、『つまらない理屈よりも勢いでぶっつぶす』とか『思い込んだら一途に婚活』とか『食べたい時に食べるヒロイン』とか『オトちゃん萌え』とか『ケバブ屋で世間に順応するフットワークの軽い長老が、光の勇者でワンダバダ』がケボーンを体現するキーワードみたいだな」

ダイアンナ「その年によって、正義は変わるということか」

アスト「正義の姿にも、いろいろな形があるということさ。だけど、正義とは何かというテキストで、時代ごとのヒーローが流行の土台になることは、このブログ時空では変わりないだろう。そこに同意できないなら、この場で自己主張する資格はないってことさ。考える土台を共有できないってことだからな。どこの世界でも、場に合わせるのは客人のマナーってことで」


リバT『結論すると、ジャスティシアーの精神は、自分の信念や神の正義に基づいて、仲間を守るためのパワーに通じるわけですね。しかし、攻撃パワーがないわけではありません。神話級の目前だと「正義なき者への挑戦(チャレンジ・ジ・アンジャスト)」という攻撃技を習得します』

ダイアンナ「それまで守り重視で来た者が、突然、キレて爆発したりするのか?」

リバT『ええ、その通り。自分の周囲10マス以内の敵全てに光の爆裂魔法が発動し、3D8ダメージを与えます』

アスト「周囲10マスって、広すぎないか?」

リバT『広いですね。つまり、自分の周りの悪をまとめて滅殺する1日1回だけの必殺技です。「神の剣」が自分や仲間の武器攻撃を強化するものであるなら、「正義の執行者」は武器よりも光魔法の使い手で、範囲攻撃能力が高いと言えましょう』

アスト「『面倒くさいから、悪は全部吹っ飛んでね。ぼくは正義だし』とか言っちゃうキャラかもな」

ダイアンナ「正義、正義って口うるさいキャラになりそうだね」


@混沌退治の専門家(秩序の勇者)


リバT『1つめは神やアストラルの霊的パワー、2つめは正義のパワーを使うのに対し、3つめはキル・ケイオスな秩序パワーの担い手になります』

アスト「秩序の勇者チャンピオン・オブ・オーダー。悪霊退治の勇者……という意味では、翔花ちゃんに通じるものがあるな」

ダイアンナ「粉杉翔花は勇者なのか?」

リバT『ええ、マザー翔花は大地母神に祝福された時を翔ける勇者です。まあ、行き当たりばったりで、まだまだ精神性において未熟なところもありますが、秘めたる力を解放すれば、スペースGさえ滅殺するほど。もしもマザーの力が暴走すれば、このブログ時空の全てが崩壊すると言っても過言ではありません』

ダイアンナ「まさか、それほどとは。昔、九州の地でクラブキング、今のカニコングが追いつめたって話を聞いたが、あたしはコンパーニュの主と対峙していたからね。初代の花粉症ガールとは手合わせしたことがないんだよ」

アスト「アッキー様の姉上だからな。言わば、アッキー様が太陽なら、翔花ちゃんは風に舞う花の如し」

ダイアンナ「だったら太陽の方が上じゃないか」

アスト「表面上はそう見えるかもしれないが、太陽はエネルギーの源だけど、生命ではない。花一輪は小さいように見えても、命を紡ぎ、人の心を和ませる。そう、命と心の象徴なんだよ、翔花ちゃんは。命の力、想いの力は時として奇跡を起こす。太陽は大きくても、奇跡の源ではない。宇宙全体よりも広くて深いものは一人の人間の心、そして想いの力であり、生命の力。それらを具現化したミラクル精霊少女が初代花粉症ガールの粉杉翔花ちゃんなんだ……と、NOVAの設定メモに書いてある」

ダイアンナ「分かった。アッキー様は普通に物理的な範囲で強くなるけども、翔花神は物理的な常識を超えたチート存在ということだな。そりゃ、勝てないわけだ」

リバT『本気を出したマザー翔花は、時空を超越して、天元突破しますからね。そうなったら世界が滅びるから、今は力を屋久島に封じて、怪獣王さまに守ってもらっていますが』

ダイアンナ「何て恐ろしいチート設定なんだ(ガクガクブルブル)」

リバT『まあ、言葉だけなら、どんな大ボラ設定でも、最強設定でも言いたい放題ですからね。問題は、その設定をリアリティをもって描写、演出できるかどうかです。読者がその設定に納得して、感じ入れなければ、大げさな設定は白けるだけ。「可愛い美少女」と言葉で書いても、その可愛さを表現できなければ、絵に描いた餅以下の戯言に過ぎません。「世界を滅ぼすほどの力」と言っても、それをどうやって示すか、全ての創作家は自分の考えた設定やイメージを、どう鑑賞者に伝え、共感できるようにするかで苦心するもの』

ダイアンナ「苦心していなければ?」

リバT『よほど万人に通じる表現を紡ぎ出せる天才か、あるいは言葉が軽いってことですね。美味しい料理の味わいを言葉でどう表現するか、見ただけで発狂しそうなモンスターの名状し難さを言葉でどう表現するか、笑顔一つで皆を虜にする魅惑の美少女を言葉でどう表現するか、そういうのを苦心せずに書ける人はまずいないでしょう』

アスト「まろやかな味わいとか、頬っぺたが落ちそうとか、使い古された表現はあるけどな」

ダイアンナ「ギャグ風味に処理する手もあるな。『うわあ、何て恐ろしいんだあ。このままだと気が狂ってしまいそうだ(棒読み)。……だから見ないことにした。フッ、どんなに恐ろしい姿でも見なければ、怖さを感じない。恐ろしい姿、敗れたり』」

アスト「NOVAがよく使うのは、『詳細に描くと、読者の気分を悪くしそうなので、以下略。とにかく、凄く怖いってことで』とか、敢えて描写を省く裏技」

リバT『小説では邪道なんですけどね。ただ、クトゥルフ系だと、姿形を見せる前に、音とか臭いとか気配とか恐ろしさの伏線となる前情報をたっぷり出して、登場人物の不安を感じる心情を丁寧に描写して、恐怖につなげる演出がたっぷりです。どこまで丁寧に描写するかは作風次第ですが、美少女を表現するのに美少女だと言っちゃうのは、いかにも手抜きな表現ですね』

アスト「ああ、アニーを表現するなら、宝石のようにキラキラしてると比喩を使うのはどうだ?」

ダイアンナ「なっ……(赤面)。と、突然、そんなことを言われても、どう応じたらいいか……」

アスト「君の赤い瞳は、まるでルビーのよう。白い肌は翔花ちゃんのようにすべすべで……」

ダイアンナ「お前は、彼女の肌を触ったのかーーッ!」

アスト「グフッ。いい夢を見させてもらったぜ(ガクッ)」

リバT『……一体、どんな技をくらったのか、神たる私めにもちっとも見えませんでしたが、結婚している男の人が、愛するパートナーの美しさを例えるのに、別の女性の名を出したら大抵こうなりますね。例え方にも言葉のセンスが問われるので、いろいろと練習し甲斐のあることだと思いますが』

ダイアンナ「もういいよ。そんなことより、初代花粉症ガールは秩序の勇者なのかい?」

リバT『いいえ。勇者ではありますが、秩序は関係ありません。秩序の勇者は、デーモンとか元素精霊みたいなこの世ならざる存在に2D6の追加ダメージを与えるのが最大の強みか、と考えます。パワーではなく、常に発揮する特殊能力であるため、特定相手に対しては非常に有利に立ち回れるわけですね』

ダイアンナ「元素精霊に追加ダメージということは、植物の精霊少女である花粉症ガールもターゲットにならないか?」

リバT『一応、「混沌にして悪」という条件付きなので、マザーは大丈夫と思いますが、クイーン・ダイアンナは吸血鬼の眷属なので、秩序の勇者が天敵かもしれませんね』

ダイアンナ「う~ん、今はウルトラ族の光に浄化されて大丈夫だと思うんだけどね。アッキー様が太陽の加護を受けているのに対し、あたしは月光の加護を受けているって設定なんだけど、話したことはなかった?」

リバT『そう言えば、ローマ神話のダイアナ女神は、月の神であり、森の神でもありましたね』

ダイアンナ「あたしは神ってわけじゃないんだけど、一応、月と森の加護がいつの間にか、ダディーの言霊魔術で設定されたらしい」

リバT『なるほど。後付け設定にも聞こえますが、まあ、今は気にしないでおきましょう。それよりも、秩序の勇者は、特定属性のモンスターと戦う専門家なのですが、パワーそのものはあまり強い印象がありませんね。でも、ただ一つだけ神話級目前で得られる「秩序の裁き(ルール・オブ・オーダー)」は強力です。武器による4倍ダメージを与える上、敵が自分や味方にクリティカル・ヒット(出目20によるダメージ上昇効果)を与えたことがあれば、さらに2D10の光ダメージを追加します』

ダイアンナ「4倍ダメージも凄いと思うが、敵から受けたダメージが大きいほど、ダメージ上乗せで反撃できるわけだね」

リバT『結果、パラディン上級職の中では、単体に対して最大のダメージを与えることができるわけです』

ダイアンナ「さすがは勇者と言ったところか」


@最後に癒し手(慈悲の騎士)


リバT『アストさん、起きてきませんね』

ダイアンナ「気にするな。死んではいない」

リバT『いや、死んでたらビックリしますよ。必要なら、回復呪文をかけますが?』

ダイアンナ「必要ない。それより長くなったので、そろそろ話を終わらせるぞ。最後は何だ?」

リバT『慈悲の騎士ホスピタラーです』

ダイアンナ「ホスピタルは病院だから、いかにも癒しパワーに特化した感じだね」

リバT『正解です。つまり、パラディン上級職は、武芸、正義、秩序、癒しの4つの専門コースがあるわけです』

ダイアンナ「それまでの冒険物語に合わせて、ふさわしいロールプレイができる職を選ぶのもよし。パーティー仲間の能力との兼ね合いから役立ちそうな職を選ぶもよし。最初からなりたい職に向けて、それっぽいロールプレイの準備をしておくのもよし……ってところか」

リバT『どのような職を選ぶか、あるいはキャリアアップを図るかは、個人の人生観において大切です。職業において、板についた振る舞いや心意気ができるかは、周りの目からも重要。自分では教師をやっているつもりなのに、その役に応じた振る舞いができていなければ、生徒は先生を見る目で見てくれない、と』

ダイアンナ「友だち扱いされる若手教師というのは、そういうことか」

リバT『教師の理想像を考えると「説明が分かりやすく面白いこと」「生徒の性格や能力を適切に判断でき、どうすれば良くなるかを指導できること」「生徒に適切な試練を与え、目標や評価を与えること」そして何よりも「勉強は楽しく、有意義であると伝えること」 他には「社会のルールを教えたりすること」なんかもありますが、なかなか理想の全てが実現できるとは限りません』

ダイアンナ「目指すべき理想と現実の間に、どう折り合いを付けるかは大切だけど、理想を完全に捨ててしまうのではなく、状況に合わせて出し入れしながら、少しでも理想どおりの自分になれることを目指すわけだな。創作家にとっての理想は?」

リバT『それは簡単です。「人が読んで楽しめるものを作れること」ですね。もちろん、楽しさの基準は人それぞれなので、どういう人向きの作品なのかは意識していなければいけません。自分の考え方、感じ方が大多数の人間と比べてズレが大きいときは、大勢を楽しませる作品は作れませんので、自分のセンスと他の人のセンスの違いをどう埋めるかは大切。仮に違和感を覚えたなら、それは他者批判だけではなく、同じぐらいの厳しさをもって自己批判にも向けるべきです。創作家にとって他者とのズレは個性として武器にもなりますが、そこに自覚的でなければ、両刃の剣となってしまいます』

ダイアンナ「他人と違うオリジナルな自分と、他人やTPOに合わせられる社交人の自分の両面を磨かないといけないということか」

リバT『創作家は自覚的な変人ですが、自分の面白さはどこにあるか、自分の芸の売りどころはどこか、目指すべきは自己プロデュースであって、それができない未熟者は他人に合わせて、せめて受け入れられる型を習得するしかありませんから。目標とする型を研究して、そこに自分を当てはめてから、その上で醸し出されるオリジナリティこそ芸事の基本。千利休による守破離の考え方によれば、師の教えを守り、自流派そして他流派と合わせて比較しながら、見る目と基礎技能、そして自流派の心構えを習得する過程が求められます。師の教えにどこまで従うかは人それぞれでしょうし、今の時代、書物を師として独学することも十分可能』

ダイアンナ「書物が師でいいのか?」

リバT『例えば、仏教を習得するには、昔の人は仏典を読んで、仏の教えを学ぶことから始まりました。文字の読み方は師から学ぶこともありますし、師から解釈を学ぶこともあって、どの師から教えを受けるかはスタート地点にはなりますが、それが全てではない。一通りの教えを受けたら、さらなる教えを求めて、より仏の真意を解き明かした仏典を求めて旅に出る学僧も多かった。日本の場合は、それが比叡山延暦寺で、密教関連は高野山金剛峯寺など、多くの貴重な書物が伝授されている寺は名門で、向学心ある者が来訪していたわけです。つまり、書物を通じて、仏の教えを習得するのが基本となります』

ダイアンナ「書物が師というのは、そういうことか」

リバT『と言うか、昔の時代は、書物そのものが貴重品ですからね。書物から得た知識というのは、師から人伝の伝授した知識と変わらぬ価値を持ちます。ドラクエにおける「悟りの書」というのは、昔の時代において、別に特殊なマジックアイテムではなくて、自分の知らない世界の知見が得られるものは全て悟りの書になるわけです。それこそ、鎖国の時代における西洋文物が記された書というのは貴重品でしょう。自分の知らない世界や新しい知見に出会したときに、わくわくできるか、それとも違和感を感じて、いきなり批判するかで、その人の学習能力の差が如実に出ると言っても過言ではない』

ダイアンナ「学習能力とは、受容能力の差ということか」

リバT『人間的器量の差、と言ってもいいかもしれません。もちろん、器は広げることも深めることも可能ですし、ある程度の知見を得た後は考えを固めて、自分の培った確固とした考えに合わないものは雑行として、本行から切り捨てる必要もありますが、知見が不十分で判断能力が乏しいうちにそれをしてしまうと、小さな器から進化しないまま終わることにもなり兼ねません』

ダイアンナ「不見識な輩が他人の作品を批評すると、その批評そのものが不見識ということもあるわけか」

リバT『まあ、愚かな人間が先輩面、師匠面するケースもあって、本当に愚かなのか賢いのかは比較対照的なものもありますが、哲人ソクラテス流に言えば、「真に無知なのは、自分の無知さが見えていない者」となります。賢人は自分の無知さも心得ているから、知への貪欲さ、好奇心を忘れない。愚人は十分知り得ていないのに、自分はいろいろ知ったと思って、それ以上の精進を不要とする。自分と異なる知見に出会した時の判断基準は、その人間の考え方が新鮮か、それとも古臭くて得るものがないか、ということかと思われます』

ダイアンナ「古いものはダメということか?」

リバT『この場合の古いものとは、年代順ではなくて、個人の知見にとっての新しさ、古さです。例えば、若い人が初めて古典に接したときに、自分が今まで知らなかった作品だから新鮮さを感じることもあります。そこで、古いものだから自分には合わないと切り捨てて良しと思っちゃう人は新しい知見を得られません。昔から良いものだと受け伝えられてきた作品だから、古典が分かると言うのが自分を高めることだと考えて新しい知見に至ったり、読んだけど自分には分からなかった、自分には合わなかったので、誰か分かる人の話を聞く機会があれば再挑戦しようとか、分かるまで頑張って読もうとか、いろいろな接し方はあるでしょう』

ダイアンナ「確かに、人それぞれだね」

リバT『何かの価値が分かる、というのは、それこそ人の能力なんです。まあ、分からなくてもいいという選択判断もありでしょう。必須教養とは言えないマニアックな知識だって、世の中にはあります。問題は「自分には分からない=世の中ではどうでもいいもの」と貶めてしまうことです。自分基準で世の中を評価するのは構わないけど、それは分かっている範囲で行うべきで、分かっていないことまでダメ扱いするとか、読んでいない本の評価まで決めつけて感想を書くのは、知識人としても、マニアとしても、オタクとしてもあってはならないことだと言えます。知らないことは知らないで済ませればいいのに、そこで悔しさが先立つのか、余計な価値判断までしてしまうから、良識を疑われる人は多いですね』

ダイアンナ「まあ、知らないより知っている人の方が話題は広がるし、単に知っているよりも考察している人の方が話題は深まる。知らない者や考察が浅い者の批評は、知ってる者や深く考察している者にはつまらないことが多いってことだね」

リバT『もちろん、知識の量を補うのが、独特のセンスとも言えます。若者の武器は、新しい流行にフットワーク軽く飛びつく力(好奇心や貪欲な学習能力)ですから、最新の流行作を昔の作品と比較して新しい進化の流れを説明できると年長の人間からは見込みがある、と思われるでしょう』

ダイアンナ「今と昔をつなげる若者か。そりゃ、年寄りにとって都合がいい情報源だねえ」

リバT『年寄りの仕事は、若者の未熟さを批判することではなく、若者が将来、研究するための材料となる年寄りの知見を残すことだと考えるし、有用な知見を汲みとってくれる若者の判断力を信じるしかない……とグランドマスターは考えておいでです。もちろん、若者にとって、つまらないもの、狭くて浅い物の考え方は切り捨ててもらって構わないわけで、それを選択する権利は若者にあるわけですね』

ダイアンナ「でも、ダディーはまだ引退するわけじゃないだろう?」

リバT『当たり前ですよ。まだまだ、趣味ジャンルについても研究し足りないと考えている御仁ですから。ただ、ダディーは未熟さをバカにする人間ではなく、学ばない浅はかさ、狭量さをバカにする人間ですから、可能性ある若者には寛容です。同時に、まだまだ探究心を捨てていない中年や年寄りにもね』


アスト「なるほど、つまり翔花ちゃんのすべすべな白い肌は、可能性と探究心の象徴ってことだな」

リバT『あっ、起きた』

ダイアンナ「もう一度、眠りの世界へ叩き込もうか!」

アスト「ちょっ、ちょっと待て、アニー。オレのプロポーズの言葉を忘れたのか?」

ダイアンナ「プロポーズの言葉だと!?」

リバT『ええと、あれは確か昨年の20周年イベントの話ですから……ここでしょうか』

ダイアンナ「ああ、思い出した(赤面)」

リバT『「オレの翔花ちゃんはお前だ。オレの愛はお前に捧げる」でしたっけ』

アスト「後半はアニーの捏造だ。オレの言葉の真意は、オレの大切な翔花ちゃんへの想いは、全部アニーのものってことなんだ。そう、翔花ちゃんはオレの青春をかけた理想の乙女にして、まばゆき奇跡にして、愛の想いにして、生命の輝きそのものなんだ。すなわち、NOVAの頭がグリージョダークネスでいっぱいなのと同様、俺の頭は翔花ちゃんでいっぱい。それは譲り難い事実」

ダイアンナ「……お前、本当に死にたいか!?」

アスト「話は最後まで聞けって。そんな理想の翔花ちゃんが、アニー、お前だって言ってるんだ。そう、粉杉翔花ちゃんはどんなに素晴らしい女神さまのような女性でも、オレにとってはただの偶像。だけど、アニーはオレにとって現実の翔花ちゃん(の分身の分身)なんだ。これはオレの最高の愛情表現だと受け取って欲しい」

リバT『理屈の上では、それで相手への愛情を表現しているのかもしれませんが、人間への敬意や想いを別の誰かと同じぐらいだと言ってしまうのは、感情的に問題が大きいですね。それぞれの人間やキャラには独特の個性があるのだから、その個性を無視して、○○と同じぐらい凄い、素晴らしいという褒め言葉は、口にする人間が○○のことをどれだけ好きだとしても、聞く側に自尊心があるなら自分の個性や評価を他人と一緒にして欲しくないと思うのが人情というもの。アストさん、こんな時に女の子が求めるセリフはただ一つ、それが何か分かりますか?』

アスト「……分からなくはないんだが」

リバT『今、ここで言って下さい』

アスト「今、言うのか? 読者の前で? そんな恥ずかしいことが言えるかよ!」

リバT『あなたはグレンファイヤーさんから、流派・東方不敗の心を伝授されたはず。必殺の肩揉みシェイキング・フィンガーを忘れたのですか。真のキング・オブ・ハート、すなわちラブラブキングの称号を得るためには、ドモン・カッシュを見習って、全宇宙に向かって愛を叫ばなければいけないのです』

アスト「それって、もの凄くハードルが高くないか、おい!?」

リバT『今回の話のテーマは、「求められる場面に応じた振る舞い方、表現が大切で、相手に響く言葉じゃなければ、どんなに凝った言い回しをしても評価されない」ということです。愛が欲しければ、誤解を恐れずに、ありのままの自分を太陽にさらして下さい』

アスト「うおー、だったら、叫んでやるぜ! アニー、オレにはお前が一番だ! オレの愛はお前に捧げる! これからも誤解を招くようなジョークは飛ばすかもしれないけど、オレの真実のパートナーはお前だけだ! 表面的な言葉よりも、心を見てくれ! アイ・ラブ・ユー、ダイアンナ!(赤面)

ダイアンナ「アスト……そこまで、あたしのことを……(涙目)」

アスト「お詫びと言っては何だけど、オレの血を捧げる。それで、オレの心は伝わるはずだ」

ダイアンナ「分かった。だけど、愛の口づけは読者のいないところでな。その前に、あたしたちにはしないといけないことがある」

リバT『そうですね。病院の献血じゃないですけど、ホスピタラーの話をちっともしていないことに気付きました。要は、とにかく癒し系のパワーがいっぱいってことです。「癒しの泉(ヒーリング・フォント)」とか、「命与える一撃(ライフギヴィング・スマイト)」とか、パワーを使うたびに癒しの効果が溢れて、まさにヒーリンぐっどな上級職と言えます』

ダイアンナ「よし、アストの血は、あたしにとっては癒しの泉だ。今回の研鑽タイムはこれで終了。今から、夫婦の営みタイムだ。来い、アスト」

アスト「……まあ、仕方ないな。じゃあ、リバT、締めはよろしく頼むわ(カップル退場)」


リバT『そんなわけで、理想的な夫婦は時々、愛情を確認しないといけないって話でした。さすがにD&Dのルールブックにも、愛情をどうロールプレイするかのアドバイスは書かれていませんからね。魔法で魅惑するような呪文はあっても、日々の営みで愛は示し合わないといけません。まあ、いつも見せつけられるのはウザいですけどね。ともあれ、思いがけず、4版のパラディンだけでいろいろ語りましたが、次回は、5版の話「続々・4色のパラディン」で長かったパラディン考察も完結したいと思います。ゾクゾクしながら、お待ち下さい』

(当記事 完)