ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

4色のパラディン(3版→4版)

@帰ってきたリバT

 

 

ダイアンナ「……なるほど、タカラトピアか。いつか行ってみたいものだね」

 

リバT『勇者や伝説巨神、タイムボカンなど、いろいろ語るネタがございましたが、何ぶん慌ただしかったので、じっくり見て回る余裕がなかったのが残念ですね』

 

アスト「だけど、伝説巨神のいる世界だと、いつ滅亡して因果地平に飛ばされるか分かったものじゃないので、オレは行きたいとは思わないな。それに、オレにとって最大のお宝はすでにゲットしたからな」

 

ダイアンナ「何? いつの間にゲットしたんだ?」

 

アスト「……いやいい。聞き流してくれ。(お前だなんて、口が裂けても言えやしねえからな)」

 

リバT『アストさん、顔が真っ赤ですよ。熱でもあるのですか?』

 

アスト「そ、そんなことよりも、リバTが帰って来たら、手伝ってもらおうと思っていたことがあるんだ」

 

リバT『何ですか?』

 

アスト「パラディンのまとめだよ。前にAD&Dの話はしたのは覚えているだろうが、その後、3版の話をどうまとめたらいいのか困ってな」

 

リバT『確かに3版はデータが膨大ですからね。簡単にまとめるなら「勇気のオーラ」「悪を討つ一撃」「天上界からの乗騎召喚」の3つがAD&D時代との違いになるでしょうか』

 

ダイアンナ「分かりやすくまとめたものだね。感心するよ」

 

リバT『膨大なデータをまとめるなら、その中から主だったもの3つを抽出するのが有効ですね。人が同時にパッと把握できるのは3つまでで、現在・過去・未来とか、天地人とか、3次元とか、トリロジー(3部作)とか、3つを1セットとして考えると、まとまりがいいみたいですね』

 

アスト「4つとか5つじゃダメなのか?」

 

リバT『ダメとは言いませんが、4つだと、中心の3つにおまけを付けた感じですね。四季ですと春夏秋が収穫の1セットで冬は休閑期になるとか、四天王ですと紅一点が一人加わりがちだとか。それにチームヒーローだとリーダーが真ん中にポジショニングするためには奇数が望ましくて、偶数だとまとまりが悪い感じに見えます』

 

ダイアンナ「う〜ん、タイムジャッカー電撃隊も、実は4人全員が揃った話が描かれていないからねえ。スピードA、ダイアナジャック、バットクイーン、クラブキングの4人だったが、確かにまとまりは悪かったな」

 

リバT『司令官とか、行動隊長がいなかったのが、一番の問題だったのかもしれません。戦隊ヒーローの定番が5人なのは、主役リーダー、技クール、怪力コミカルの3属性に、ヒロイン、未熟な若手を加えて物語のヴァリエーションを広げやすいからでしょう。3人チームだと、ヒロインか未熟キャラはチーム外のサポート役になりがちですし』

 

アスト「ゲッターチームが基本そうか」

 

ダイアンナ「ヒロインを3人に入れようと思えば、技クールと兼任になるな。まあ、リーダーになって女王さまキャラになることもあるが、紅一点のヒロインが怪力コミカル担当はあまりないか」

 

リバT『アバレンジャーは変則的なチームで、赤が怪力コミカル担当で癒し系、青は技クールながら力も分担、ヒロインは技クール要素も備えながら実は一番ストレートに熱血女子という、いろいろと変化球要素が多いですね』

 

アスト「3人に追加メンバーを入れて5人になるか、5人に追加メンバーを入れて6人以上になるかが定番だな。基本が4人チームなのはジャッカーぐらいか」

 

リバT『ジャッカーも変則的なチームでしたね。影のある主役ヒーローが赤で、ストレートな熱血漢が青、ヒロインは定番とも言えますが、緑は怪力キャラでもコミカルじゃない科学者というのが序盤のキャラ配置。コミカルなキレンジャー要素を廃して、ハードシリアスに展開しようと思ったけど、子どもたちはゴレンジャーっぽいのを求めたようなので、結局、路線変更。チーム外にコメディ担当を用意して、行動隊長にゴレンジャーの青を呼んできたけれど、やはり前作ヒーローは控えめにしないと、という教訓を生んだわけでした』

 

アスト「今だったら、赤が謎のヒーロー・ビッグ1とライバル的に対決するなり、ビッグ1が弱点を突かれてピンチなところを助けられるとか、いろいろと元のメンバーを立てる作劇を考えるんだろうがな……って、おっと前置きが長すぎた。このままだと、NOVAになっちまう」

 

@3版パラディンの特徴


アスト「で、パラディンの話に戻すぞ。リバTのまとめに乗ると、まずはオーラか。確かにオーラという言葉は、聖戦士っぽいな。神に祝福されて体の周りに霊光を放射すると、いかにも小宇宙を燃やすって感じだぜ」

ダイアンナ「まあ、別に神じゃなくても、武闘家の気みたいな描写でもありがちだけどな」

アスト「要するに、たちまち溢れる神秘の力が具象化した表現が、オーラだろう? リアルだと、神秘の力で発光している人間なんて見たことはないが、フィクションではしょっちゅう見る。祈ったり、鍛えたりすれば、体から光を放出できるって信じる人間だっているのかもな」

ダイアンナ「夜になって暗くて、何も見えないから、気合を入れて霊光を放って見えるようにするぞ……ってシーンは見たことないね」

リバT『そんなことができるなら、普通に明かりの呪文だって使えそうですしね。もっとも、世の中には心の目でオーラを見ることのできる人もいるかもしれないので、自分が見えないからと言って、絶対に存在しないとは言えないのですけどね』

アスト「見えなくても、熱は感知できるもんな。まあ、その気になれば、空気だって読めるし、雰囲気をつかむことだってできる。視覚以外の感性で分かることもいろいろあるんだ」

ダイアンナ「そういう感覚的なものは、分かる人にとっては『分からない人はどうして分からないんだ? ちょっと鈍感すぎないか?』ってものなんだけど、まあいい。フィクションの演出だと、『オーラが見えない一般視聴者にも見えるように、戦場にいる者の視点を分かりやすく表現してくれている』ってことだな」

アスト「目がハートとか、冷や汗タラリとか、怒りの💢マークとか、蒼白線とか、いろいろな表現技法があるけれど、例えばハートが愛の心を意味するって文化を知らなければ、意味不明な表現だもんな。オレたちは当たり前のように❤マークを使っているけど」

ダイアンナ「それを言ったら、目がとか、目がとか、そんな感情表現はないわけだし」

アスト「それこそジャッカーだ。まあ、目が金銭欲の$になる表現はあるわけだが」

リバT『とにかく、フィクションの世界では、オーラ的な表現は普通にありってことで、とりわけパラディンはいろいろな効力のオーラを身にまとうわけです。3版では勇気のオーラだけですけど、3.5版では善のオーラという表現が加わり、5版では防護のオーラとか、とにかく聖戦士は身の周りに光を放出するのが当たり前だとルール化されているようですね』

ダイアンナ「すると、必殺のオーラ斬りなんかも使えるんだな」

リバT『どちらかと言えば、パラディンのオーラは防御効果なんですけどね。攻撃力については、「悪を討つ一撃」なんですけど、これは通常の攻撃に魅力ボーナスとレベルの数字を加算してダメージを増やせます。3版では習得レベルが2レベルで1日1回だけしか使えませんが、3.5版では1レベルから使うことができ、さらにレベルアップによって最大1日5回まで使用回数が上昇します』

アスト「3版よりも3.5版の方が強いのか。そいつは気付かなかったぜ」

リバT『基本は同じようなルールですけど、細かいデータが結構違っていますね。例えば、レンジャーは3版でのHPがD10でしたが、3.5版ではD8です』

アスト「そっちは弱体化しているじゃねえか」

リバT『レンジャーファンの嘆きが強かったのか、5版では元のD10に戻りました。3.5版のレンジャー弱体化にどういう意図があったのか、よく分かりませんが、割と何でもこなせるキャラなので強すぎると見なされたのでしょうか。何せ、武器で戦えて、隠密活動もできて、野外用の呪文まで使えるスーパーキャラですからね、レンジャーは』

アスト「ただのファイターは涙目だよな。まあ、3版は特技の習得数が多いので、個性化がしやすいのがファイターの特徴だが、パラディンやレンジャーの特殊能力に比べて、ファイターの習得できる特技がどれほど強いのか、細かくデータを検証しないとファイターの強さは判断できない」

リバT『検証のためには、複数のルールを対比して、その差異をきちんと分析する必要がありますね。それで、今、3版と3.5版のレンジャーを比較して、レンジャーのHP弱体化の理由は何となく分かりました』

アスト「何でだ?」

リバT『その分、特殊能力がいっぱい増えているんですよ。特に「動物の相棒」を持てるようになったのは3.5版からですか。AD&D時代は動物に対して親和性を持つだけで、明確にペットを飼えるとまではルールで明言されておらず、DMの裁量の範疇でしたが、3.5版で初めてレンジャーが動物使いとして本格的にルール化された、と』

ダイアンナ「今は、レンジャーではなくて、パラディンの話だったはずだが?」

リバT『ああ、これは失礼しました。ええと、ちょうど動物の話なので、パラディンの乗騎の話に移りましょう。AD&D時代は主人と心が通じただけのただの馬だったパラディンの乗騎ですが、3版の時には「ただの動物ではなくて、魔法の生き物」とされて、パラディンが呼べばどこからともなく駆けつけるという記述。3.5版になると、さらに凄くなりまして「天上界が出自の、神聖な生き物」で、パラディンが呼べば魔法的な瞬間移動のように隣に出現するという記述が明文化。走ってくるのではなく、パッと出現するわけですね』

アスト「戦隊ロボが武器を準備する際に、当初は母艦から射出されて、それを受け取る形だったけど、やがて演出が省略されて、瞬間移動的に電送されたり、コクピットで武器の名を呼ぶだけでロボが武器を持っていたりして、その武器はどこから? と思ったりしていた。で、たまに武器を射出する母艦の描写があると、おお、リアルだと感じたり」

ダイアンナ「でも、21世紀になると、武装変形するパワーアニマルやメカが定番になって、言わば武器が移動形態になって飛んで来たり、走って来たりして、合体してから使うようになっているよな」

アスト「昔は、ロボの商品ボックスの中に武器もセットで入っていたんだが、今は、武器が別売り商品みたいになっているんだな」

ダイアンナ「武器が動物やメカの一部ということもあって、近年は武器が破損することは少なかったんだが(破損する前に合体が解除される)、先日、合体ロボの剣が折れたりして、『えっ、それって恐竜の尻尾じゃないの? 大丈夫なのか?』と心配したファンの声が多数聞こえたらしい」

アスト「武器が壊れるってのは、ピンチ演出の一つなんだが、元が生身だと結構焦ることもあるな」

リバT『まあ、トカゲの尻尾はまた生えてくるので、大丈夫でしょう』

アスト「また生えてくると言っても、爪が割れたりしたら痛いぞ」

リバT『話を戻しましょう。とにかく、パラディンの乗騎は走って来るのではなく、瞬間移動で出現するように変わりました。どうしてか分かりますか?』

アスト「その方が格好いいからだろう?」

リバT『それもありかも知れませんが、おそらく一番の理由は、フィギュア戦闘のためでしょうね。3.5版は詳細なフィギュア戦闘を目指したシステムなので、馬がどこから出現し、どういう経路を辿ってパラディンのところに駆けつけるか考える必要が出てきた。でも、パラディンが騎獣を召喚した際にダンジョンの中にいたらどうなるでしょう?』

ダイアンナ「ダンジョンの通路を走って来る馬か。ちょっと間抜けな絵面だな」

リバT『とある冒険で、一行は狭い通路を抜けて大広間に出て来ました。そこでボスとの最終決戦です。パラディンは馬を召喚します。しかし、馬は狭い通路を通ることができません……って状況があると、いつでもどこでも馬が出現してくれたらいいのに、というパラディン・プレイヤーの切実な意見が出たのでしょう、おそらくは』

アスト「なるほどな。実際にプレイした人間の意見を取り入れてのルール改訂というわけか。ルールの是非に口を挟むなら、そういう背景まで想像するのがゲーマーってものだな」

リバT『ともあれ、ルールを詳細に分析して、その変化を検証すると、このルールが変わった理由は? などと考えたくなるのがゲーマーという人種だと考えます。ルールを変えろと主張するからには、当然、その根拠の説明を求められることになるわけですね。「分析→感想→改善案」という流れでテストプレイを繰り返して商品化されたのがゲームのルール、そこに口を挟むということは、相応の分析をしているかどうかが問われるのはゲーマーたるものの常識でしょう』


@4版を越えて5版へ


アスト「4版は、それまでのD&Dと大きく違うんだな」

リバT『共通点はD20で判定するシステム面ですが、相違点を3つにまとめると「呪文も含めたパワーの選択によるキャラ表現」「マルチプレイ・オンラインゲームで多用されるキャラの役割」「詳細なバトルと、簡略化された他のルール」でしょうか』

ダイアンナ「よく分からないのだが」

リバT『3つめは簡単ですね。戦闘はいろいろなオプション行動がとれて楽しい反面、戦闘なしではゲームが成立しないぐらい他の行動が簡略化されています。例えば、技能の数ですが、3版ではざっと数えて45種類なのに、4版では半分以下の17種類。鍵開けや罠外し、すりといった手先を使う行動は〈盗賊〉技能一つでまかないます。他の版では冒険の最中に戦闘があるのに対し、4版では戦闘の最中の隙間時間的に他の冒険が挟まるという感じで、とにかくバトル遭遇なしではシナリオが成立しないという極端なシステムになっているのです(汎用バトルシーン集みたいなシナリオが出版されたりもしていた)』

アスト「キャラの役割は、制御役、撃破役、指揮役、防衛役の4つだったな」

ダイアンナ「戦士、魔法使い、僧侶、盗賊の4つではないのか?」

アスト「一応その4種が基本で、戦闘中の役割分担に置き換わっている。制御役は、複数のモンスターを動けなくしたり、ザコをまとめて始末する役割でウィザードが担当。撃破役は敵に大ダメージを与える役割でローグ(盗賊)が担当。指揮役は味方のHP回復や指揮支援を務める役割でクレリック(僧侶)が担当。防衛役は敵の攻撃を引きつけて味方を守る役割でファイターが担当。そして、パラディンは防衛役になる」

ダイアンナ「ローグが撃破役なのか。いわゆる攻撃力が高めのアタッカーだろう?」

アスト「もしくはダメージディーラーとも言うな。かつてのD&Dなら、盗賊は戦闘が得意ではないけど、偵察や鍵開け、罠外し、隠密行動を担当する技術者という扱いで、戦闘以外の見せ場があったんだ。だけど、戦闘メインのシステムになると、戦闘中の役割が求められるようになる」

ダイアンナ「盗賊だと一般的に、遠隔射撃か背後からの奇襲が仕事だと考えるが」

アスト「そのうち奇襲による大ダメージがローグの役割となるわけだ。その分、敵の攻撃を引きつけるタンクとしての役割がファイターやパラディンの仕事となる。ローグは移動後の攻撃とか大ダメージを与えるパワーがいっぱいで、一方のファイターやパラディンは敵の攻撃を自分が盾になって受け止める系のパワーがいっぱいというキャラ特性になる」

ダイアンナ「つまり、ローグは忍びのパワーで戦う戦士で、ファイターやパラディンは守りのパワーで戦う戦士ということか」

アスト「ウィザードは魔法のパワー、クレリックは癒し導くパワーということだな。そして、それまでのパーティーリーダーは戦士系というのが定番だったが、4版ではクレリック、あるいは新職業のウォーリーダー(軍師)がチームの中核というイメージになる」

ダイアンナ「リーダーが癒し系というのが4版の世界観ということか」

リバT『いわゆるセーラームーン的なチーム構成かもしれません。チームプレイで一番大切なのは攻撃力の強さではなく、戦場の中心で時に癒し、時に激励を与え、時に自分の代わりに仲間を動かし、みんなの力を高める存在。そして、4版は個々のキャラの強さではなく、チームとしての連携を重視したシステムで、複数プレイヤーが自分の役割をきちんと把握して計算高く協力することで、真価を発揮する玄人好みのゲームに発展したのです』

ダイアンナ「でも、D&Dファンの多くはパスファインダーに走った」

リバT『4版の敗因はいろいろ分析されていて、一番の理由は「D&Dのシステムも、フォーゴトンレルムの世界観も大きく変えすぎた」というのがあります』

ダイアンナ「世界観も変わったのか」

リバT『魔法の女神が殺されたことによって、それまでの魔法が使えなくなり、呪文の概念が大きく変わったのが第4版の公式設定。つまり、魔法の呪文もパワーの一種となり、特別扱いじゃなくなったのです。秘術呪文という名のパワーを使うだけで、ルール的にはファイターもウィザードもほぼ変わりない。もちろん、従来の魔法の呪文に似た「儀式呪文」というルールもあるのですが、従来の魔法使いのイメージに慣れ親しんだプレイヤーには、強い違和感を伴うようでした』

ダイアンナ「4版をマスターするためには、魔法の研鑽と同様にパワーの研鑽をしないといけないようだな。具体的にパラディンは、どんなパワーを使うと言うんだ?」

リバT『それは結構な無茶振りと言えますね。何しろ、レベル1からレベル30までで、ざっと70以上のパワーがありますから』

ダイアンナ「レベル30だと? AD&Dから今のD&Dの最大レベルは20と聞いていたが」

リバT『4版だけはレベル30まであります。クラシックD&Dのレベル36にほぼ匹敵しますね。レベル1から10までは英雄級と呼ばれ、ごく一般的な冒険者。レベル11から20までは伝説級と呼ばれ、いわゆるスーパーヒーロー。そしてレベル21以上は神話級と呼ばれ、いわゆる神パワーの使い手となります』

ダイアンナ「神パワーだと?」

リバT『4版パラディンの神パワーの一つは「公正なる裁きの手(イーヴン・ハンド・オブ・ジャスティス)」。5D10のダメージを与えた上、その敵が以降、自分が与えたのと同じダメージを自分も受けるようになる自業自得、因果応報的なバッドステータスを与えます』

アスト「フッ、神たる私に攻撃するとは愚かな。そのダメージをお前自身も喰らうといい!

ダイアンナ「バカな。奴に仕掛けた技が全て跳ね返って来るだと? これが神の力か!? ぐはあッ!

リバT『パラディンの神パワーって、黄金聖闘士のシャカを彷彿とさせる技が結構ありますね。相手を地獄の業火で焼き尽くすとか、相手を盲目状態にする一撃とか』

ダイアンナ「ええと、そんな畏れ多い神パワーではなく、もっと普通の技を教えてくれないか? ごく初期に使うようなパラディンらしい技を」

リバT『そうですね、何度も使えるレイ・オン・ハンズ(癒しの手)が特徴でしょうか。ただし、4版の回復効果って、対象の回復力を消費させますので、相手の最大回復量による限界はあるのですが。休息をとった時の自然回復を戦闘中に発動させる効果です。
『それと、パラディン得意の防御オーラは、4版ではセイクリッド・サークル(聖なる防護輪)といった感じに、サークル系のパワーなんかに名称変更されましたね。他にも、パワーの名前にやたらと「聖なる」「光輝なる」といった感じのキラキラ形容詞が付くのが特徴かも』

アスト「普通にパワーを使うだけで、『くらえ、聖なる一撃!』と宣言するわけだな。4版の戦闘は、全てのキャラがTCGのカードみたいにパワーの打ち合いになるので、他の版の戦闘よりも派手なプレイシーンになりやすいようだ」

リバT『普通に攻撃するだけで、無限回パワーを使う扱いですからね。他に一戦闘で一度だけ使える遭遇毎パワー、大休憩(睡眠)をとるごとに一度だけ使える一日毎パワー、戦闘以外の場面で使う汎用パワーなど、何でも大体パワーで解決して、たまに技能判定を加える程度』

ダイアンナ「パワーという言葉を使いまくりのゲームということか」


アスト「とにかく、4版はダイナミックで面白いゲームだと思うが(未プレイで、リプレイとルールを読んだだけの感想)、固有名詞とかゲーム用語とか何もかも、もはやD&Dじゃないと思えるぐらい進化しちゃったので(D&Dとマジック・ザ・ギャザリングを混ぜこぜした新ゲーム)、客離れを起こした黒歴史みたいなものになりかけているわけだ」

リバT『その結果、魔法の女神が復活したよ、と、フォーゴトン・レルムを従来の世界の雰囲気に戻し、初心者がもう一度、入りやすいようにシステムも比較的シンプルにして、その分、いろいろと選択肢を増やして、戦闘以外のロールプレイ要素を好むファンへのサポートを濃くしたのが5版ということになりますね』

アスト「5版のルールブックを初めて読んだときは、うわー懐かしい、と感じたオールドファンも多いらしいぜ」

リバT『そりゃあ、アイスウインドのブルーノー(有名なドワーフ王にして、ダークエルフのドリッズトの仲間)とか、ドラゴンランスのティカ・ウェイラン(有名な酒場の女給にして、怪力戦士キャラモンの恋人から妻になった)なんてキャラがルールブックの説明の例示に出てくると、かつてのAD&D時代の小説を読んだファン(80年代から90年代)は懐古熱を掻き立てられますよ。ちょうど同じ時期に、「レディ・プレイヤー1」を始めとする80年代懐古ブームがアメリカでは盛んだったみたいですし』

アスト「日本は、令和に変わる際に、80年代末から90年代懐古の波が来ていたのが、コロナでぶっ飛んで、今はそれを取り返そうと90年代世紀末ブームっぽい雰囲気なんだがな」

リバT『歴史は繰り返すと言います。問題は、何の歴史が繰り返しているかは、きちんとアンテナを張って観測していないと、タイムリーな流れに乗り切れないということがあるみたいですね。その昔、ラーリオス企画を進めていた際(2007年辺り)、原案者は「近い将来、鎧ものがまた流行すると思います」と発言していました。その際に、根拠を聞いたら、根拠レスのただの願望でしかなかったので、「まあ、そういう流行が来たらいいね」ぐらいの反応だったと思います。結果的に、星矢のリメイクアニメ(オメガ)が2012年に放送されて、5年遅れで願望が実現したことになるのですが、実は視野をもう少し広く見据えるべきだったと思うんですね』

ダイアンナ「どういうことだい?」

リバT『鎧ものの範疇を、星矢やシュラト、サムライトルーパーのようなファンタジーではなく、メカ、パワードスーツも込みで考えるなら、まずアメコミヒーローのアイアンマンが2008年に映画化されて、人間がメカスーツをまとうブームの端緒となった(日本だとメタルヒーローの系譜からも歓迎される)。そこから巨大ロボよりも等身大のバトルスーツ、しかも美少女がそれをまとって戦うラノベ作品なんかの流れも生まれるわけですね。すなわち、2009年にラノベで刊行された「IS〈インフィニット・ストラトス〉」』

アスト「パワードスーツをまとった美少女チームが10年代の流行になっていったんだな」

リバT『80年代から90年代は、ファンタジーや神話に由来する鎧をまとった美少年チームが一世風靡し、10年代は鎧はメカニックに、戦士は少女たちに進化したと考えれば、かつての流行要素の文脈を引き継ぎつつ、新たな流行を生み出すわけで、そこからミリタリー+美少女という流れでガルパンや艦これまでを延長線上にある系譜と考えることも可能。まあ、そこに怪獣要素を加えたら、花粉症ガールのドゴランアーマーになるわけですが』

ダイアンナ「なるほど。鎧ものブームは確かに違う形で実現していた。しかし、アンテナを張っていなかったり、視野が狭いと、それに気づかないという結果になり兼ねない、と」

アスト「だけど、一人の人間が全ての方向に、視野を広げることは難しいだろう?」

リバT『だからこそ、自分の知らない方面に視点を持っている知人友人との交流を大切にしながら、自分の詳しい方面での知見を相手に提供し、それぞれの関心分野を補い合う考えが必要になるんです。このジャンルはこの人が詳しいとか、あのジャンルはあの人が詳しいとか、それぞれの得意ジャンルを尊重して、かつ自分の詳しいジャンルがどれほどの物か、自意識過剰にならず、それでいて自尊心に恥じないだけの研鑽をこなしつつ、過ちは過ちとして認めながら、自分の立ち位置を構築する。それが社交というものではないでしょうかね』

ダイアンナ「そういう結論になるのか。互いの見識において尊敬し合える関係、WinWinとはそういうことになるかな」

アスト「まあ、WinWinってのは、相手の欲しいものを自分が提供できるサービス精神を披露し、その上で自分がどうして相手に親切にするのかを自己の利益の上から納得させ、お互いの折り合いを合意できる交渉技術だからな。相手の親切に一方的におんぶに抱っこの態度を示しておいて、何も提供できるものを持たず、若者特有の理想やビジョンすら示し得ない人間が、容易く口にしていい言葉じゃないな」

リバT『他人が使っている言葉を、自分もマネして使ってみようと思う。それは一つの学習とも言えますが、言葉だけマネしても、その言葉を使うべき局面を理解しておらず、ましてや言葉の背景にある哲学、精神性を習得していなければ、上っ面をなぞっているだけとなります。WinWinはビジネス用語の一つなので、例えば、こちらのブログでも読むなりして、意味内容を把握し咀嚼しなければ、言葉を非常に軽く、ただのファッション的に使っているだけですね』

アスト「WinWinを言っていいのは、相手の欲しいものを相手視点で理解して、それを自分が提示できる場合だけだな。持ちつ持たれつ、お互いさまと言える関係か、利害や関心が一致している関係、『助かったぜ』『気にするな。いつも助けてもらってるからな。たまにはフォローさせてくれよ』と言える関係ってところか。理想的な冒険者パーティーもそういうところがあるな」

ダイアンナ「相互依存、助け合いの若者関係か、自立した者同士の信頼できる大人の関係で、ビジネスパートナーおよびチーム、あるいは趣味仲間同士の緩やかな連帯感を成立させ得る間柄だ、と」

リバT『当然ですが、WinWinは相互の満足感を前提にしますので、一方が満足しても他方が不満を抱える関係にしかならない場合、付き合わない方が吉というわけです。不満や負担を与えている側が気軽にWinWinを口にしても、不満の原因を解消できる見込みがない限り、あるいは負担を帳消しにするほどの利益や満足感を提示し得ない限り、WinWinは成立し得ないし、その言葉を言っている時点で、状況が分かっていないことを示しています。
『本来なら、自分が相手にサービスを提供する立場で、相手が借りを作りたくないとか、申し訳ないと思って遠慮してくる場合に「大丈夫。結果的にこちらも満足しているから。君には今のままで十分助けてもらっているので、気にする必要はない」と意思表明するときに有効な言葉だと考えます』

ダイアンナ「一方的な依存心でWinWinは口にするのもおこがましいってことだな」


@4色のパラディンへの道


リバT『そろそろ、話をまとめに入りたいと思います。ですが、どうやら次の記事は「続・4色のパラディン」になりそうです』

ダイアンナ「つまり、今回の記事だけでは、最後まで行けなかったってことだね」

リバT『D&D5版の話なんですが、世界観は往年の懐古志向で、システムは複雑化した3版、4版を簡略化したというのが専らの評価。ただ、それだけではありません。4版から受け継いだものとして「クラス育成にヴァリエーション的な選択肢を用意した」ことが大きいです』

ダイアンナ「どういう意味だ?」

アスト「3版は、ソード・ワールドと同じように複数の職業クラスを自在に組み合わせて、育成のヴァリエーションを広げた。おそらく成長の自由度は、これまでのD&Dの中で一番広いと思う。だけど、パラディンパラディンであって、その職業クラス単独ではヴァリエーションなどないに等しい」

ダイアンナ「3版は、職の組み合わせのヴァリエーションだけど、一つ一つの職の中では従来どおりということか」

リバT『一方、4版は最初からパラディンに2種の選択肢、攻撃的な「応報のパラディン」と防御的な「守護のパラディン」というキャラ作成方針が与えられ、さらに英雄級から伝説級に昇格する際には、「神の剣アストラル・ウェポン」「正義の執行者ジャスティシアー」「秩序の勇者チャンピオン・オヴ・オーダー」「慈悲の騎士ホスピタラー」という4つの道(いわゆる上級クラス)を選ぶことになります。同じパラディンの中でも、習得できるパワーや特徴が少し違ってくるんですね』

ダイアンナ「どう違うんだ?」

リバT『それは次回に解説しましょう。ともあれ、4版では同じパラディンでも、どの道を選ぶかでマイナーチェンジが図れるわけですが、そういう育成ヴァリエーションは11レベルになってから。つまり、キャラ成長した先の遠い道のりではあったわけですね。5版はそれを継承、さらに扱いやすいように発展進化させ、初期レベルの3の時点で「献身たる白の騎士」「古き者たる緑の騎士」「復讐者たる闇の騎士」そして悪役NPC専用である「誓い破りし暗黒騎士」の4つの道を提示して、個々の職業クラスの育成ヴァリエーションの選択を早めてくれました』

ダイアンナ「白や緑はともかく、闇の騎士と暗黒騎士って同じようなものだと思うがね」

アスト「闇の騎士は別名、復讐者(アベンジャー)であり、悪を抹殺する過激な正義なんだな。バットマンの別名がダークナイトと呼ばれているような感じだ。悪を絶対殺すマンだけど、それでも確固厳然とした正義で、悪堕ちしたわけではない。正義のためなら鬼となるとか、ダークヒーローをパラディンで演じるための選択肢だ。一方、暗黒騎士は悪堕ちしたパラディンで、呪われし死と恐怖の力を身に宿して、亡者を操ったりするほどだ。これだけはプレイヤー用ではなくDMガイドに掲載されている」

ダイアンナ「ダークナイトは正義で、暗黒ホラー騎士は悪というわけか」

リバT『パラディンが守るべき誓いを果たせなかったときなんかに、正邪反転して邪神の下僕になるみたいですが、プレイヤーが望むなら「悪堕ち騎士が贖罪することで、再び光の道に返り咲くようなドラマ」を推奨しても構わないとDMガイドに書かれていて、5版の懐広さの現れかな、と思ったりも』

ダイアンナ「さすがは、海賊パラディンみたいな色物キャラが作成できるゲームだけはあるな」

アスト「パラディンの推奨背景は貴族なんだが、一応、犯罪者パラディンも作ることは可能」

ダイアンナ「それは、どんなパラディンなんだ?」

アスト「民家のタンスを漁ってアイテムをゲットしたり、人んちのツボやタルを割りまくって器物破損を繰り返している勇者とか?」

リバT『緑の騎士は、古の大地の善なる力に従いますので、人の世界の法や秩序をあまり気にしない人物もいるものかと』

ダイアンナ「蛮族の騎士道って奴か」

アスト「あるいは、ゴセイナイトかな。他にも盗賊騎士とか海賊騎士とか芸人騎士とか、変なのがいろいろ作れそうなのが5版ってことだな」

リバT『まさに或人でナイト~と言ったところですね』

(当記事 完)