ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

ウォーロックの話(その1)

時空魔術師、来臨

 

アスト「最近はのんびりスローワークを満喫しているなあ」

 

リバT『アストさんには、もう少し真面目に研鑽仕事を頑張ってもらいたいものですね。スピードAの名が泣きますよ』

 

アスト「しかし、当ブログの方向性を考えてみたところ、D&Dも翻訳展開が打ち切りで、パグマイアも本国で新作サプリの展開がなさそうな現状では、この先の展開の未来がなさそうな気がしてな」

 

リバT『未来はなくても、過去のサプリメントの研鑽はいっぱいできるのです。元々、ここは2018年からD&Dの懐古記事をメインにしていたのですから』

 

アスト「2017年末からD&D5版の翻訳展開が始まったから、昔の懐かしい気分に駆られたNOVAがクラシックD&Dの思い出話をしながら、その後のAD&D以降の歴史やら、5版につながる流れを書いているうちに、SNEが2019年に犬D&Dのパグマイアの展開を始めた後は、それに乗っかった流れがあるんだが……」

 

リバT『D&Dもパグマイアも、次の国内での展開が見えにくくなっている現状で、当ブログの記事の方向性も検討中ということですね。せっかくウルトロピカルを立ち上げてみても、次はどう展開していくかの波が感じとれない頃合い、と』

 

AVON!

白い閃光と共に出現す。

 

 

NOVA「ここは?」

 

アスト「何だ? 噂をすれば、突然、現れやがって」

 

NOVA「おお、アストか。すると、ここはウルトロピカルの天空宮殿だな。良かった。何だかよく分からない未来か、異世界に飛ばされるものか、と覚悟を決めていたんだが、知っているところに飛ばされたので安心している俺がいる」

 

アスト「飛ばされた、だと? 昔、お前がオレを未来に飛ばしたように、今度はお前が飛ばされたと言うのか? ワハハハハ、因果応報とはこのことだな。お前を飛ばしたのは、どこの誰だ?」

 

NOVA「過去の俺のコピーAIだ」

 

リバT『AIの反乱ですか?』

 

NOVA「そう、AIと娘によって追放されてしまったみたいなんだな、これが。まるで、娘の政子と息子の小四郎義時に追放される北条時政になったような気分だぜ」

 

ダイアンナ「ダディーを追放だと? 詳しい話を聞かせてくれ」

 

NOVA「一連の経緯は、この記事にある」

 

アスト「ほう、ソード・ワールドのリプレイ記事なのに、関係ない話を延々と続けて、あまつさえ昔のガンダムRPGまで取り出して、あからさまにプレイを妨害する動きを示したから、ゲームマスターに退去させられたわけか。要するに、お前が悪いんじゃないか」

 

ダイアンナ「おまけに、それ以前の記事を読んでいると『ソード・ワールドに専念したいアッキー様たちを置いて、ドクター・ストレンジやら、スパロボとか、違う話を展開しようとして、愛想を尽かされた』と見える。そりゃあ、ダディーが悪いだろう」

 

リバT『ええ、ブログ記事の内容やサイトの話題とは関係ない話をしつこくコメント欄や掲示板で展開して、注意しても改善されない人物を荒らしと裁定して、書き込み禁止処分を下したこともあるグランドマスターNOVAですから、自分の過ちはきちんと理解できているのでしょうね』

 

NOVA「ううっ、お前たちまで俺を悪いと言うのか(涙目)」

 

アスト「言っておくが、オレはお前の味方を名乗った覚えはないぜ。翔花ちゃんやアッキー様の味方だから、2人がお前を追放したのなら、オレもお前に味方する義理はないわけだ」

 

ダイアンナ「そうだな。花粉症ガールを敵に回したら、ダディーと言えども居場所を失うと思って間違いないだろう。しっかり反省して、仲直りできるまでは、ここでほとぼりを覚ますんだな」

 

NOVA「反省すると言っても、俺はただ映画に行っただけだし、映画の話をしたいだけなんだ」

 

アスト「何で、娘もいっしょに連れて行ってあげないんだよ? お前は自分だけが良ければ、それでいいのか?」

 

NOVA「妄想娘をどうやってリアルの映画館に連れて行くんだよ? 自宅のTV番組やYouTube配信は一緒に見ることができても、映画館まで連れて行くのは無理だ」

 

アスト「無理って決めつけるなよ。お前も時空魔術師だったら、何とかできるんじゃないか?」

 

NOVA「ええと、花粉症ガールのフィギュアでも用意して、それに娘を宿して映画館にいっしょに連れて行くとかか? 外に行くときは、俺に美少女フィギュアを持って行けと言うのか?」

 

アスト「フィギュアじゃなくても、ストラップとか、いろいろあるだろう。とにかく、翔花ちゃんやアッキー様をブログ時空からリアルの映画館に連れ出すようなアイテムを用意して、一緒に映画を見に行けるような方法を考えれば、2人は満足するだろうさ」

 

NOVA「アスト。お前は、実にいい奴だな。山本耕史さん演じるメフィラスぐらい良い奴だと思うぞ」

 

アスト「良い奴? オレが苦手な言葉です。悪質宇宙人と同じぐらい良い奴と言われて、喜べるか!?」

 

NOVA「いや、とにかく、お前は俺にとっての三浦義村だと言っておこう。主人公の親友枠だ」

 

アスト「お前は、北条義時じゃなくて、パパの北条時政枠だろうが」

 

リバT『鎌倉殿とシン・ウルトラマンを両方見ていないと分からない会話ですね』

 

ドクター・ストレンジの話(ネタバレ注意)

 

NOVA「とにかく、ここに飛ばされたのも何かの縁。『ドクター・ストレンジ』の映画話は、ここでするとしよう」

 

アスト「何でだよ? オレたちは関係ないだろうが」

 

NOVA「いや、今回の映画は、多元宇宙をテーマにしたマルチバースな話だから、あながち無関係とは言えない。しかも、ストレンジさんはD&Dで言うところのウォーロックに該当する職業だ。肩書きは『ソーサラー・スプリーム』だが、D&Dのソーサラーは継承した血の中に魔力を宿した職業(竜の血脈とか、荒ぶる魔法を身に宿したとか、神の子孫とか)であって、ストレンジさんの魔術は修行と契約によって身につけたものだから、D&Dのルールではウォーロックに相当すると考える。なお、スカーレット・ウィッチのワンダは別系統の魔術を使って、出自がミュータントだからソーサラーに分類されると思うな」

 

ダイアンナ「なるほど。つまり、ストレンジの映画感想を聞くことは、魔法の研鑽になるというわけだな」

 

NOVA「ああ、魔法の授業だ。晶華なら喜んで聞くと思ったんだが、見込み違いだったようだ。この秘伝の魔術は、ダイアンナに授けることにする」

 

アスト「だったら、オレは部外者だから聞かなくていいな」

 

NOVA「いや、ストレンジの魔術は東洋武術の系譜も受け継いでいるから、武闘家のお前にも役立つはずだ」

 

アスト「つまり、ストレンジもラブコ武流だと?」

 

NOVA「いや、ラブはあるかもしれないが、残念ながら失恋して、想い人のクリスティーンは別の男性と結婚した。将来的には、カオス次元の魔女クレアというヒロインと恋仲になるそうで、今回の映画の最後でもクレアが登場して、ストレンジさんを半分拉致同然に異世界の冒険に引きずり込むオチだった」

 

アスト「スパイダーマンの記憶が忘れ去られ、ストレンジは異世界へ行方不明。アベンジャーズは完全にバラバラじゃねえか」

 

NOVA「夏のソーがどうなるかだな。そもそも、司令官のニック・フューリーも行方不明らしいし、組織としては形を為していないだろう。MCUのフェイズ4は、チーム解散後のバラバラ混迷状態が続いて、しかもマルチバースでしっちゃかめっちゃかになっているので、追跡するのも大変な状態で、今後の次世代ヒーローチームの萌芽が見え始めている感じだな」

 

アスト「次世代ヒーローチーム?」

 

NOVA「ヤング・アベンジャーズという2世チームが、原作コミックで2005年以降に展開されていて、今回のヒロインの一人、アメリカ・チャベス(ミズ・アメリカ)がそこに所属している。チームには他に、アントマンの娘キャシー・ラング(アントガール)、2代目ホークアイのケイト・ビショップなんかも参入していて、MCUでも将来的にヤング・アベンジャーズに世代交代が行われる可能性がある」

 

アスト「なるほどな。アベンジャーズの再結成ではなくて、新世代のチームに流れるわけか」

 

NOVA「今年は、MCUでのアベンジャーズ結成10周年記念だが、死んだキャラの遺志を引き継いだスーパーチームになるのか、死んだキャラがまた復活するのかは気になるところだ。ところで、アベンジャーズの別組織と言えば、今回、ストレンジが訪れた異世界でXーMENの教授や、ファンタスティック・フォーのゴームズさんが出てきて、アベンジャーズの代わりにイルミナティという組織を立ち上げて、サノスを撃退したという設定が明かされた」

 

アスト「イルミナティ? それも原作にあるのか?」

 

NOVA「『ニューアベンジャーズ』というタイトルのコミックに登場しているんだが、これも2005年だな。その前年にアベンジャーズの組織崩壊を描いたコミックが展開されて、その後のアベンジャーズ系のチーム乱立に至る時期だったらしい」

 

アスト「つまり、2005年辺りのコミックネタを、MCUが拾って再構成しているのが今なんだな」

 

NOVA「ただし、シビルウォーは2006年以降だし、インフィニティ・ウォーは1992年だし、アメコミの時間軸とMCUの時間軸は順番がずいぶんと異なっている。元ネタはあっても、物語の経緯は異なる流れだから、次にどんな展開になるかは予想しにくいわけだ」

 

アスト「あくまで原作の物語の断片を引っ張ってきて、別の形に組み変えているわけか」

 

NOVA「そして、異世界のヒーローチーム:イルミナティが登場して、スカーレット・ウィッチに虐殺されてしまったんだな、これが。XーMENのリーダーも、ファンタスティック・フォーのリーダーもMCU世界で登場したと思ったら、魔女の餌食になったわけだ。異世界だからって衝撃的な展開だぜ。別世界の女キャプテン・アメリカも、別人キャプテン・マーベルも魔女には勝てなくて全滅した次第」

 

ダイアンナ「ちょっと待て。今回のスカーレット・ウィッチは敵役なのか?」

 

NOVA「この映画最大のサプライズだと思ったな」

NOVA「異世界から来た少女アメリカが魔物に狙われている。彼女を助けるためにストレンジさんが、異世界に詳しい魔女のワンダに助けを求めに行った。そして……共に異世界の敵と対決する物語だと思っていたんだな、実際に映画を見るまでは。

「しかし、アメリカを狙っていたのは、実はワンダだったというサプライズが前半に明かされて、事態は急展開を見せる。ワンダは自分の妄想願望から、サノスに殺された夫のヴィジョンと2人の子供たちと幸せな家族生活を送っている世界を魔力で構築した話が、昨年のネット配信ドラマ『ワンダヴィジョン』で描かれ、最終的に彼女は自分の作った虚構を否定して、夫と子供たちを諦めることを選択して現実を取り戻す。

「だけど、今度は多元宇宙の中に『自分の願望が実現した可能性の世界』を求めて、禁断の魔道書ダークホールドに手を出すんだな。ダークホールドの強大な力を身に付けたワンダは、次に多元宇宙を行き来する能力を秘めた少女アメリカの力を奪い取ろうとする。アメリカは自分の力をまだ制御できずにいるので、次元の放浪者になっていたのをストレンジに保護されたんだが、そこにワンダの魔の手が伸びてくる。ストレンジはワンダに挑むも勝てないので、結局、アメリカを連れてマルチバースを渡って逃避行を続けるのが中盤以降の流れだ」

 

ダイアンナ「至高の魔術師VS真紅の魔女の戦いか。それは共闘よりも、面白いな」

 

NOVA「まあ、面白かったのは認める。共闘すると思われた魔術師と魔女が、ガチ対決するのが縦糸で、その途中で異世界の自分と戦ったり、別の異世界の自分の死体をゾンビにして操ったり、禁断の魔術合戦が繰り広げられて実にダークな映像バトルだったな。ヒーローの爽快なバトルとは違った、闇の魔術同士の陰湿かつ豪快グチョグチョな闘争劇。闇の力を利用して闇を下す展開が炸裂して、いかにもサム・ライミのホラー感覚。『スパイダーマン』以降は大物ヒーロー映画の監督に化けた感じだったが、今回は往年の『死霊のはらわた』センスを発揮してくれたなあ、と」

アスト「と言うか、ストレンジまで闇の力を使うのか? 光の呪文書なんてのはないのか?」

 

NOVA「あったが、ストレンジが手に入れようとした際に、ワンダに破壊されてしまうんだな。だから、闇を止めるために闇を利用しなければいけなくなって、世界がいろいろ大変な状況になりかけたのを、覚醒したアメリカの☆の力でワンダに正気を取り戻させて、自ら闇を葬らせる決着の付け方だ」

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ダイアンナ「なるほど。大人の魔法使いや魔女が闇の力を使い、光は新世代の子どもたちに託されたって感じかな」

 

NOVA「そういう解釈も可能だと思うが、とにかく『異世界で2人の子供と平和に暮らしている母親ワンダ』の視点から見ると、結構ホラーなシチュエーションもあったりする。つまり、異世界から自分の並行同位体である魔女の思念が自分の体を乗っ取り、ヒーローたちを虐殺して回るんだからな。ヒーロー物とは思えない怪奇スプラッター描写もいっぱいで、アメコミヒーロー物映画を期待すると裏切られる作品になったわけだ」

ダイアンナ「MCUの未来はともかく、あたしたちはここからD&Dのウォーロックの研鑽をすればいいんだな」

 

NOVA「分かった。じゃあ、ここからD&D話に切り替えよう」

 

D&Dウォーロックの話(4版篇)

 

NOVA「D&Dでウォーロックがプレイヤーズハンドブックの基本クラスに採用されたのは、第4版からだ。伝統的な魔法使いであるウィザードが制御役に分類されているのに対し、ウォーロックは撃破役に分類されている」

 

アスト「制御役? 撃破役は高ダメージを与えるアタッカーだと分かるが、制御役ってのはどういう職種だ?」

 

NOVA「アストよ。お前はここに来て、結構な時間になると思うが、一体、何を研鑽していたんだ?」

 

アスト「パグマウとクラシックD&D、それに5版を少々だよ。4版の、それも魔法使い系のクラスなんて、オレには専門外だ」

 

NOVA「やれやれ。じゃあ、リバT、4版D&Dの4つの役割について解説をしてくれ」

 

リバT『はい、グランドマスター。4版では戦闘時の役割について、制御役、撃破役、指揮役、防衛役の4種類が定められています。制御役は複数の敵を攻撃するパワーが充実していて、さらに弱体化、かく乱、動きを封じるなどの仕事が得意な職業。具体的にはウィザードが該当します』

 

NOVA「要は、範囲魔法で多数のザコ敵をあしらう役割だな。次に撃破役だ」

 

リバT『こちらは1体の敵に大ダメージを与えるのが専門で、ウォーロックの他にレンジャーやローグが該当しますね』

 

アスト「ウィザードが集団戦で力を発揮し、ウォーロックは単体ボスに大ダメージを与えるのが仕事か」

 

NOVA「4版では、そんな感じだったみたいだな」

 

リバT『他には、指揮役がウォーロードとクレリックの役割で、味方を鼓舞し、癒し、強化するのが仕事。防衛役はパラディンとファイターの役割で、敵の攻撃を引きつけながら、味方を敵の攻撃から守るのが仕事ですね』

 

アスト「基本的には、戦士が壁になり、僧侶が味方を強化・回復し、魔法使いが範囲攻撃を担当し、盗賊が影に潜んで大ダメージを与えるという形だな」

 

NOVA「それに癒しもできる戦士のパラディン、盗賊めいたアクションもできる戦士のレンジャー、支援の得意な戦士系のウォーロード、そして盗賊らしい動きを呪文で行えるウォーロックが加わって、多少のヴァリエーションを持たせた、と。ただ、範囲攻撃のできるウィザードはPHBの段階では必須みたいだが、それもサプリメントで別の制御役キャラが追加されることで、豊富なパーティー構成ヴァリエーションができていった」

 

ダイアンナ「他の職業はともかく、ウィザードとウォーロックの違いがやはり気になるな。4版は、あたしも未チェックなので教えて欲しい」

 

NOVA「4版では、ウィザードが《儀式修得者》の特技を最初から持っていて、戦闘魔法以外の多彩な儀式呪文を使いこなす役割もある。単純に攻撃呪文をぶっ放す系のウォーロックに比べて、ウィザードの方が考えることの多い印象だな。いかにも知識の専門家なのがウィザードで、ただしHP的にも防具的にも最も打たれ弱いのは、典型的な魔法使いって感じだな」

 

ダイアンナ「ウォーロックは打たれ強い?」

 

NOVA「布の鎧しか身につけられないウィザードと、皮鎧までは身につけられるウォーロック。少なくとも、ウォーロックは盗賊(ローグ)並みの耐久力はあるわけだ。HP量は、ウォーロード、ウォーロッククレリック、レンジャー、ローグまではみんな同じで、つまり人並みにある。防具の性能ではウォーロード、クレリック、レンジャーの順で低くなって、ウォーロックとローグが対等なんだけど、ローグが背後からの奇襲攻撃で大ダメージを狙うのに対し、ウォーロックは積極的に前衛に踏み込んで、敵の真正面で強力な呪文をぶち込んで、やられる前にやれ的な果敢さが求められたりもする」

 

アスト「まさかの前衛魔法使い? クラシックD&Dでは、キルケイオスのセシル(ロードス・リプレイ2)以外に考えにくい運用だな」

 

NOVA「それを成立させたのは、CON18という最高の耐久力で戦士並みのHPを有していたからだな。D&Dの防具は相手の有効命中率を下げるだけで、ダメージを減らす効果はないから、一撃死しないHPさえ確保できれば、積極的に前に出るのもありってことだ。ウォーロックは、知力よりも耐久力が重要能力値に挙げられているし、自分に近い敵に呪いをかけてダメージを上昇させる特殊能力を持っているし、さらに自分がパーティーのメンバーで最も近い位置で敵に対峙している場合、呪文の命中ボーナス+1される『最接近射撃』という能力も持っている。つまり、ルール的にも『ウォーロックは前に出ろ』と推奨されているんだ」

 

アスト「ウィザードが前に出ると、無理無茶無謀のバカ扱いされるのに対して、ウォーロックは戦場に突撃して最前線で呪文をドカーンとぶっ放す系ってことか。まるで時代が変わったようだぜ」

 

NOVA「4版は2008年のゲームだから、時代はとっくに変わっていたんだがな。もちろん、2014年の5版になって、また時代は変わったから、ウォーロックもそこまで前のめりなキャラじゃなくなったんだが、それでもウィザードよりは打たれ強いのは踏襲されている。とにかく、旧来のウィザードに比べて、新たな魔法使い像を模索したウォーロックの魅力は語る価値があるってことだよ。価値観の変化という意味でもな」

 

アスト「つまり、ウォーロックだと『バスタード』のダークシュナイダーみたいな筋肉ムキムキ超絶美形魔法使いが普通に再現できるわけだな」

 

NOVA「ああ。ウォーロックの推奨能力値は、魅力、耐久力、知力の順だからな。知力、判断力、敏捷力が推奨されているウィザードとのキャラ性の違いも明確だ。バカでもウォーロックにはなれる、とは言わんが、ウォーロック呪文には魅力や耐久力に基づいて効果を発揮するものが非常に多い。まあ、知力に基づく技能もあるし、軽装鎧は知力が敏捷力の代わりにACボーナスに加算されたりもするから、完全に知力を蔑ろにすると防御力が下がったりもするんだが、それ以前にカリスマと打たれ強さで勝負する『ハッタリとタフさが売り』の平成以降の新世紀魔法使いがウォーロックとも言えるな」

 

ダイアンナ「他にウォーロックの特徴は?」

 

NOVA「本の虫であるインドア派魔法使いのウィザードに対して、ウォーロックは外部の存在との契約に基づいて魔力を得た職業というのが基本定義となる。そして4版の契約相手は地獄、フェイ、星の3種類。

「地獄のウォーロックはフィーンド、悪魔の類と契約したキャラで、最強の破壊力を備えている。しかも、自分が呪って倒した敵のHPを吸収する能力『暗黒の祝福』が付いて来て、豪快なプレイが堪能できそうだな」

 

アスト「敵を倒せば、回復するのか」

 

NOVA「回復ではなくて、一時的HPが得られるだけなんだけどな。その量も、自分のレベルと同じだけだから序盤は微々たるものだし」

 

ダイアンナ「複数を攻撃できるウィザードがその能力を持っていたら、ザコを大勢なぎ払って無双ができそうだが、単体攻撃メインのウォーロックなら、そこまでHPを稼げない、と」

 

NOVA「次にフェイとの契約は、妖精の神出鬼没さを発揮する。自分が呪って敵を倒すと『霧歩き』が発動して、即座に3マス分の瞬間移動ができるんだ。4版は戦闘マップに基づいたゲームなので、どういう位置どりを行うかも重要なんだが、敵を倒したら霧となって、また新たな敵に近づいたり、距離を離したり、移動が自在にできるのはテクニカルでいい。それに加えて、ウォーロックは『影歩き』という基本能力も持っていて、3マス以上離れた移動を行うと視認困難になって、相手の攻撃をマイナス2できる。つまり『霧歩き』と『影歩き』のコンボが成立するわけだ」

 

アスト「確かにテクニカルだな。すると、ウォーロックは積極的に移動をする方が得、ということか」

 

NOVA「まあ、普通は下手に動き回ると、相手の機会攻撃を誘発するので、そうそう自由には動き辛いのが3版以降のD&Dだが、フェイ契約のウォーロックは移動の自在さが魅力と言えるだろう。直接の破壊力よりも、幻惑効果を活用するのがフェイ契約なんだろうな」

 

ダイアンナ「星との契約は? ダディーが好きそうだが」

 

NOVA「いや、ウォーロックの契約する星は、『彼方の領域』に存在するクトゥルフ系の狂気の象徴だからな。自分が呪って敵を倒すと、『虚無の宿命』という能力が発動して判定ボーナスが+1される。つまり、敵を倒したら、その敵の生命エネルギーが束の間の未来を見せてくれて、次の判定を成功させやすくするって効果だな。狂気に通じる未来予知、禍々しき光、地獄みたいな闇ではないが混沌の光が渦を巻くようなイメージだな」

 

アスト「つまり、Zガンダム最終話のカミーユみたいなものか」

ダイアンナ「なるほど。これが狂気をもたらす光だと。つまり、パプテマス・シロッコウォーロック?」

 

NOVA「いや、ウォーロックなのは死者の念を力に換えるカミーユの方かもしれんが、とにかく4版の魅力の一つに、呪文や技のデータに付属する描写の文章があって、例えば星契約のウォーロックが普通に使える術の【ダイア・レイディアンス】の説明がこうなっている」

 

 敵の頭上から冷たくまばゆい星の光が矢のように降り注ぎ、光に包まれた敵は苦しみもだえる。その敵が君に近づくに従い、この光はより明るく、より恐ろしげなものになる。

 

アスト「それは、どんな効果の呪文なんだ?」

 

NOVA「相手に『1D6+術者の耐久力ボーナス』の光輝ダメージを与える。目標が次の自分のターンに術者に近づくような行動をとったら、さらに1回だけ『1D6+術者の耐久力ボーナス』の追加ダメージを与える……というものだ。星契約のウォーロックはこの呪文か、『1D10+魅力または耐久力ボーナス』のダメージを与える【エルドリッチ・ブラスト】を使うことになるな。そして、1日1回の大技【ドレッドスター】をボスに仕掛けるんだ」

 

 君が創り出した拳大の球体は不快な青白い光を放ちながら、敵の周りを旋回して焼き焦がす。激しく降り注ぐ光は短剣のごとく敵を穿ち、その体を地に縫い止める。

 『3D6+魅力ボーナス』の光輝ダメージ。目標は術者の次のターンの終了時まで動けない状態となる。

 

ダイアンナ「拳から放つ星型のパンチで、相手の動きを封じるとは、いかにも派手な技だな。何レベル呪文なんだ?」

 

NOVA「これが1レベル呪文なんだな」

 

アスト「1レベルでそれかよ」

 

NOVA「ウォーロックの術は、文章描写が割と凝っていて格好いいんだな。同じ術者のウィザードの1レベル呪文で最大ダメージの【アシッド・アロー】でこんな感じ」

 

 緑色に光る液体がゆらめく矢となって目標に飛来し、弾けて酸のしぶきを撒き散らす。

 『2D8+知力ボーナス』の酸ダメージと、継続的酸ダメージ5(セーブ成功で終了)。

 はじめの目標に隣接するクリーチャー全ては2次目標として巻き込まれ、『1D8+知力ボーナス』の酸ダメージと、同様の継続的酸ダメージ5を受ける。

 攻撃がミスすると、ダメージは半減し、継続的酸ダメージ2となり、2次目標は巻き込まれない。

 

ダイアンナ「酸の矢は継続ダメージが強力で、周りを巻き込むのが利点だが、最初のイメージ文は地味だな」

 

NOVA「ウィザードの呪文は、既存のD&Dでおなじみのものが多いので、表現はシンプルだな。ウォーロックの呪文は新職業だからか、結構、凝っているものが多い。まあ、定番の【エルドリッチ・ブラスト】はシンプルだが」

 

 君は敵めがけて、パチパチと音を立てる漆黒の怪しげなエネルギーの光線を放つ。

 

NOVA「とにかく、4版の魅力の一つに、多彩な呪文や技に付与される文章イメージがあると思う。これはそれ以前の版や5版にはあまりないもので、一つ一つの技がトレーディングカードゲームのようなカード1枚に相当するようなシステムゆえの表現だな。4版は理系チックなデータ志向の戦闘システム構築が特徴だったけど、イメージをかき立てる文章にも注目ポイントがあったのかも、と今にして思う次第だ」

(当記事 完)