ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

ウォーロックの話(その2)

私的ウォーロックの歴史

 

NOVA「前回はD&D4版のウォーロックの話をしたので、順当に行けば続く5版のウォーロックの話をするはずだった。しかし、この機に個人的なウォーロックの歴史を振り返りたいという気になったので、そちらからだ」

 

アスト「また、長い蘊蓄話になるんじゃないだろうな」

 

NOVA「まあ、ウォーロックという単語がファンタジー世界で用いられるようになったのは、この小説の影響が大きいと思う」

NOVA「主人公の名前が大魔法使いウォーロック(小説内では「戦争を止める者」の意味)で、魔法を使うには世界に遍在するエネルギー資源たるマナが必要で、マナが枯渇すると魔法の力も消えていくという現代ファンタジーゲームでもありがちな設定を構築した古典的ファンタジーの傑作と言えよう」

 

ダイアンナ「つまり、D&Dやソード・ワールドにも影響を与えている?」

 

NOVA「う〜ん、ソード・ワールドはマナ設定を採用しているし、MPもマナポイントの略なので、確実に影響を受けているな。妖精郷で『マナの枯渇で世界が崩壊しようとしている』って背景設定もそうだし。

「一方で、D&Dはそもそも初版がニーヴンの小説以前だし、魔法の力は魔法の女神が織り成す網のようなもので、さらに異世界の魔力とかが複雑に絡み合っている設定だから、直接の影響は薄いと思われる。ただ、土地からマナを抽出する『マジック・ザ・ギャザリング』の世界観は確実にニーヴンの影響を受けているし、現D&Dにフィードバックされている可能性も、一部のワールドではあるかもしれない。とりあえず、MP制を採用して、魔力をポイント換算できるようにしたゲームの多くは、ニーヴンが元ネタだと言っても過言ではないだろうな」

 

リバT『ところで、ニーヴンの小説は単行本にまとまったのが78年ですから、D&D以降ですが、ウォーロックの登場する短編集の最初の作品「終末は遠くない」はそれ以前に発表されていますから、多少の影響はあるかもしれませんね』

 

NOVA「D&Dでマナという用語が見つかれば、影響はあるんだろうが、魔力の暴走とか呪文荒廃地域という用語はフォーゴトン・レルムに見られる一方で、魔力が完全に枯渇した地域というのは寡聞にして知らない。どちらかと言えば、D&Dの魔力異変はエネルギー不足よりも、呪文の織が乱れて正常に発動しないから危険、というイメージがある」

 

アスト「小説のウォーロックシリーズは置いておいて、D&Dのウォーロックに話を戻そうぜ」

 

NOVA「俺がウォーロックという単語を初めて知ったのは、おそらく雑誌の名前からだろうな」

アスト「そっちに話を流すのか」

 

ゲームブックウォーロック

 

NOVA「さて、日本にD&Dが上陸したのと同時期(83年から84年)にゲームブック火吹山の魔法使い』が出現して、ブームになるわけだ」

 

アスト「これまた古典だな」

 

NOVA「古典だが、旬でもあるんだな。『火吹山』は84年末に日本で出版されたが、原版がイギリスで出版されたのは82年。すなわち今年で40周年だ。さらに続編の『火吹山の魔法使いふたたび』が去年の夏に翻訳発売され、今週、俺はようやくプレイして解き終えた」

ダイアンナ「どうして、そんなに『火吹山』ばかり貼り付けるんだ?」

 

NOVA「好きだからに決まっている。あと、俺が持ってるのはD&Dのシステムで火吹山がプレイできる『D20火吹山』シナリオと、AFF2に所収の火吹山シナリオがある。とにかく、うちには5冊の火吹山関連の書籍があるんだよ。さすがに、ボードゲームの火吹山は買わなかったが」

ダイアンナ「ダディーはそれほど火吹山が好きなのか」

 

NOVA「愛だな」

 

アスト「その割には、『火吹山の魔法使いふたたび』をプレイしたのが今週とは遅かったじゃないか」

 

NOVA「入手したのは去年の秋なんだよ。5冊セットのうち4冊は既に持っていたから、残り1冊の新刊『火吹山の魔法使いふたたび』のために8000円を払えるか、というと結構迷いつつ、注文はしなかったんだ。だけど、秋に訪れたゲームショップで運良く見かけてしまったので、魔法使いのザゴールと縁ができて買ったわけだ。で、買って満足して年を越して、FFコレクションの2セットめの注文の時期が過ぎて、でも運良くゲームショップで見かけたら買うだろうなあ、と思いながら、発売前に未クリアだった『ふたたび』をプレイしたくなった。そして、2回死んで、3回めでクリアした話を記事書きしたくなった次第だ」


ダイアンナ「今回はウォーロックというタイトルのブログ記事なのに、火吹山というゲームブックの話は寄り道脱線ではないのか?」

 

NOVA「いやいや。思いきりストレートにつながるんだな。何せ、火吹山の原題が『ウォーロック・オブ・ファイヤートップ・マウンテン』だから、つまり、俺が最初に戦ったウォーロック名義の魔法使いは火吹山のザゴールということになる」

 

アスト「いつの話だ?」

 

NOVA「86年だな。俺のTRPG歴は86年からで、その年に高校に入学した俺は、それまで付き合っていたツクダのシミュレーションゲーム仲間と別れ(私学だったので、公立に進学した友人とは疎遠になったのだ)、新しい趣味としてゲームブックに出会ったり、コンピューターゲームの雑誌立ち読みからロードスに出会ったりしながら、急速にTRPG時空に引きずり込まれていたんだ」

 

アスト「86年と言えば、ドラクエだな。そっちはどうなんだ?」

 

NOVA「我が家はファミコン否定派の家庭だった(と言うか、コンピューター関連に理解の少ない両親だった)ので、大学に入ってバイト代が自由に使えるまではコンピューターゲームのプレイ経験は足りなかったんだよ。だから、当時は代替行為としてのアナログゲームに走った形なんだ。それでドラクエについては実プレイ経験が足りないのに、雑誌情報だけで知識だけは仕入れていた高校時代。まあ、大学に入って、その欲求不満は大いに解消されたわけだが、さておき。

ゲームブックのサポート雑誌として、イギリスでWarlock誌が83年に創刊。それと契約する形で、日本でも翻訳雑誌としてウォーロック誌が86年末に創刊された……と思ったら、イギリスの本誌が休刊になってしまい、どうしようってことになる。そこでゲームブックのFFシリーズだけでなく、文庫版RPGのT&Tをプッシュする流れになり、さらにウォーハンマーやアドバンストFFなどを展開しようとしたタイミングで、出版元の社会思想社ゲームブックRPGから撤退する流れになって、92年に伝説のウォーロック誌は63号で終了するわけだ」

 

アスト「その後、T&Tは角川が継承し、ウォーハンマーホビージャパンが受け継ぐけれど、ゲームブックのFFシリーズは受け継がれなかった、と」

 

NOVA「いや、創土社とか復刻させようという動きはあったんだけど、大きな流れには至らなかったな。その後、2016年にT&Tの完全版と共に雑誌TtT(トンネル・ザ・トロール)マガジンが創刊。俺はその時点で食指が動かなかったんだが、続いて2018年にAFF2の出版に合わせる形で、ウォーロックマガジンに誌名変更したわけだ。ここに昔のウォーロック復活キタコレの懐古熱が呼び覚まされて、追っかけることとなった次第」

ダイアンナ「92年に消えた伝説が、18年に復活したわけか。それは凄いな」

 

NOVA「一方、T&TやAFFを展開するSNEは、2017年にGMマガジンを創刊していた。そちらはソード・ワールドを中心に和製ゲームをプッシュし、ウォーロックマガジンの方は翻訳ゲームをプッシュする流れで、やがてパグマイアにも手をつけるようになる」

アスト「GMマガジンの方は、ソード・ワールド2.5への版上げと、ロードス、ゴブリンスレイヤーなどにも拡張していく流れか」

 

NOVA「だけど、コロナ禍で雑誌を2つも発行する余裕がなくなったからか、2021年にこの2誌を統合したのが『GMウォーロック』誌ということだ」

NOVA「雑誌の統合によって、明らかにロードス、ゴブスレ、T&T、パグマイアの4つの記事分量が皺寄せを受けていて、うちのブログの記事ネタでプッシュしていた作品が不遇になると、ブログの方向性も考えないといけないなあ、と感じたりも」

 

アスト「ロードスは小説の2巻が出るまで、盛り上がりにくいだろう。ゴブスレはアニメの2期が放送されると、また空気が変わるんじゃないか」

 

NOVA「海外ゲームは、やはりコロナ禍の影響で展開の動きが鈍いように感じるなあ。T&Tは一通り旧作の復刻が終わったので、新作がポンポン出るような流れじゃないし、パグマイアも海賊サプリ以降の動きがまだないので、記事ネタにするほどの盛り上がりに欠ける感じ。まあ、追いかける自分の方も、新作追っかけのフットワークは重くて、旧作懐古に走りがちだから、時たま大きな流れを感じるぐらいでいいのかな」

 

アスト「ソード・ワールドは定期的に新作が出ているからいいとして、ここでD&Dと絡めてプッシュしているパグマイアはそろそろ息切れかと思わなくもない」

 

NOVA「まあ、D&Dの資産が大きいから、記事のネタ切れになることはないんだろうけど、今の旬と懐古記事を上手くリンクさせるのが難しいかな。去年は海賊とか武闘家がマイブームだったし、ダイ大とつなげるだけで個人的に盛り上がれたけど、悪魔ネタの方はダークすぎて、どういう記事にするか困ったし、次のライダーがどうなるか次第だな」

 

D&Dとウォーロック

 

NOVA「気を取り直して、クラシックD&Dとウォーロックの話だ」

 

アスト「クラシックD&Dにウォーロックなんていないだろうが」

 

NOVA「ああ、クラシックD&Dの魔法使いはマジックユーザー。AD&Dでは汎用魔術師のメイジと、イリュージョニストなどのスペシャリストを総合して、ウィザードと呼称されるようになる」

 

アスト「その後、3版でソーサラーがウィザードと違うタイプの魔法使いとして登場し、4版では新たな基本職としてウォーロックが登場。5版に至ってウィザード、ウォーロックソーサラーの3タイプが併立するようになった、と」

 

NOVA「一口に魔法使いと言っても、21世紀の時流に合わせて細分化されたってことだな。ただ、クラシックD&Dの時代には、それぞれのクラスレベルごとに称号というのがあって、そこではウォーロックはレベル6、ソーサラーはレベル7、ウィザードはレベル9の魔法使い用の称号でもあった。レベル8になるとネクロマンサーなんだが、アンデッドを作る呪文はレベル9にならないと習得できないなど、いろいろとツッコミの多い称号ルールは以降、廃止された形になる」

 

アスト「レベル3がコンジャラーなのに、コンジュアー(召喚)系の呪文を初めて使えるのもレベル9とか、称号の意味と実際の能力がリンクしていないんだったな」

 

リバT『訳語も変でしたね。レベル1戦士が古強者だとか』

 

NOVA「ヴェテランの訳語だったからな。この場合のヴェテランは、兵役経験者という意味なので、『元兵士』『兵士上がり』と解釈するのが無難だが、高校時代はそこまで深く考えなかったからなあ。レベル8シーフがそのままシーフなのも変だが、レベル7シーフの訳語が『仕事人』(Pilferer)というので、頭の中でパラパーとトランペットが鳴り響いていたのも遠い昔だ」

 

ダイアンナ「Pilfererというのは、本当はどういう意味だ? 聞き慣れない英単語だが」

 

NOVA「こそ泥、空き巣狙いという意味だな。どうも、レベルと称号が噛み合ってないし。レベル3の戦士が剣匠で、レベル6戦士が剣士とか、ツッコミどころが多い称号ルールだった。まあ、それでも称号から英単語の知識を仕入れたり、想像力をあれこれ広げたのも事実」

 

アスト「欠陥だらけでツッコミネタにしかならない称号ルールはさておいて……」

 

NOVA「昔は、これでもワクワクしたんだよ。戦士は9レベルになるとロードと呼ばれ、魔法使いはウィザードと呼ばれ、盗賊はマスターシーフで、僧侶はパトリアーク。何だか新しい用語を見たり、調べたりするたびに、未知の世界が広がる経験は、ルールブックを紐解くたびに冒険をしているような感覚。まあ、こういうワクワク感は若さゆえの特権って感じだな。最近は何を見ても、懐古の材料にしかならないのが年寄りの性って奴で、まあ、『うぉー、懐かしい。ワクワクしてきた〜』って感覚で生きている」

 

ダイアンナ「ワクワクはしているんだね」

 

NOVA「いつしか、ワクワクの質が変わったんだろうな。新しいものを見てワクワクじゃなくて、馴染みの中の新鮮サプライズ要素を見つけて、ツボにハマったらワクワク。そして、古い鉱脈の中にまだ掘り尽くされていない宝を示してもらえると、掘った人間を称えたくなるわけだし、自分でも掘りたくなる次第」

 

アスト「そんな鉱脈はどこにあるんだ?」

 

NOVA「うむ、D&D3版(正しくは3.5版)のサプリメントの中にあった」

 

ダイアンナ「どんなお宝なんだ?✨✨」

 

NOVA「うん、『秘術大全』という魔法使いサプリメントの中に、3版用のウォーロックを見つけたんだ」

 

アスト「ウォーロック登場は4版からじゃなかったのかよ!?」

 

NOVA「基本のプレイヤーズ・ハンドブックに採用されたのは4版からだけど、基本じゃないサプリメントの中にはウォーロックが登場していたんだなあ。まあ、忍者や海賊が『冒険者大全』の中に収録されているのと同様、ウォーロックだって探せばいると思ってたんだよ」

 

リバT『つまり、次の記事は?』

 

NOVA「3版ウォーロックから5版ウォーロックにつなげたいところだな。その前に、『火吹山ふたたび』の攻略感想に寄り道する予定だけど」

 

ダイアンナ「ダディーにとってのお宝は、昔のゲームのサプリメントなんだな」

 

NOVA「魔法使いなんだから、書物が宝物というのは当然だろう? ともあれ、3版ウォーロックは、4版以降の妖精と契約するコースがなくて、契約相手は悪魔一択で、暗黒のパワーを扱う妖術師だ。そして、読めば読むほど『仮面ライダーバイス』や『デビルマン』のイメージが見えて来る」

 

アスト「悪魔の力を身につけた正義のヒーローってことか」

 

NOVA「まあ、基本は暗黒と混沌の力を宿したダークヒーローなんだけどな。5版のウォーロックよりも、その辺はワルっぽいキャラクターで、過激でテクニカルな職業と言える。基本的に3版の追加職業はピーキーな感じで、5版になることでマイルドになっていく感じだな。3版ウォーロックがリバイスの大詰めのこの時期に資料が見つかったのはラッキーに思えたり」

 

(当記事 完)