ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「火吹山の魔法使いふたたび」攻略感想(1)

3度めの正直でクリア

 

NOVA「さて、ウォーロック話から派生して、当ブログ初のゲームブック感想記事だ」

 

アスト「TRPGじゃなくて、ゲームブックなんだな」

 

NOVA「ああ。コンピューターRPGの感想記事はいっぱい書いたことがあるが、ゲームブックの感想は今回が初ということになる。雑誌掲載のミニ・ソロアドベンチャーは近年も解いたりしていたし、ダイスを振らずに読むだけなら楽しんだりもしてきたんだが、400パラグラフの本をがっつりプレイしたのは、実に久しぶりだ」

 

ダイアンナ「昔の郷愁に駆られた記事かあ」

 

NOVA「なお、自サイトのホビー館のこちらのページに、俺のFFシリーズ愛のかけらが残っている」

NOVA「今から20年前に書いたFFシリーズのタイトルリストだけど、機会があれば、ゲームブックを解き直して感想記事を書くのも一興だと、当時は思っていた。でも、まあ、特撮追っかけやらコンピューターゲームの攻略感想などが中心になって、こちらは放置されていたんだな」

 

アスト「つまり、20年前にちょっとだけ手をつけた記事を、今さらながらブログ記事のネタにしようってことか。ずいぶんと遠回りしたものだな」

 

NOVA「ゲームブックのFFシリーズ自体が、91年に『天空要塞アーロック』で終了した後、昨年FFコレクションとして復活するまで、30年掛かったからな。もちろん、断片的に復刻したものもあったりするが、完全新作の邦訳となると、正にシリーズ50作めの記念作品『リターン・トゥ・ファイヤートップ・マウンテン』で、満を持して帰ってきた〜って感じなんだよ。

「なお、原本はFFシリーズ10周年の92年に出版された。つまり、本国で出版された本が初邦訳されるのに30年近く費やしたんだな。まさに青春の思い出の記念作が帰ってきた〜って気分で、ありがたく拝みながら、解かせてもらった。もう、思い出補正が尊すぎて、『やった〜、一気にクリアしてやるぜ〜、祭りだ祭りだ〜』って気分にはならずに、『もう手に入れただけで十分。すぐに慌てて解く気にはならない。じっくり時間をかけて、気分を熟成させて、時来れば、たっぷり有り難みを感じながら解く』って感じの思い入れだったんだ」

 

アスト「フットワークの遅さを言い訳するのは結構だ。早く、結論を言え。楽しかったのか、つまらなかったのか」

 

NOVA「一言で言って、難しかった。歴戦の勇者の気分でプレイしたが、2回も死んで、うおっ、こんなに難しかったのか? 俺が冒険者として現役引退して老いたのか? うお〜、もう一度、キャラを作り直して、やり直しだ〜。おのれ、ザゴール許すまじ〜と、久々に熱くなったな。ええと、いきなり『ふたたび』からプレイするのは勧めません。初心者はまず、シリーズ1作めの『火吹山』からプレイしましょう、と」

 

アスト「なるほど、つまり今のお前は2回死んで、3人めということか」

 

NOVA「大丈夫。桃井タロウだって、先週は2回死んだんだ。ゲームブックで死ぬのは良くあること。しかも、作者は死の罠で有名なリビングストンだし。キャラの命は使い捨て。『最初の任務ではおそらく失敗するだろう』とも書かれてある。本記事では、まず、俺のキャラがいかに死んだかを語るとしよう。死んで転生して、そして最後に使命を果たした物語を楽しむがいい。刺激と危険に満ちたファイティング・ファンタジー世界の冒険記録だ」

 

1度めの挑戦

 

NOVA「とりあえず、久しぶりのFFキャラを作るぞ、と気合を入れて振った1Dは2。この時点で、名もなき君(英名You)1号の運命は決まったと言っても過言ではない。技術点8しかないもんな。チート技で、6が出て最強の技術点を持つヒーローをプレイしてもいいが、技術点12、体力点24、運点12のフルスペックキャラで始めてもいいが、どうせ選択肢を間違えると死んじゃうんだから、最初は様子見気分、久々のゲームブック冒険で鈍った感覚を取り戻すようにしよう、と」

 

You1号:技術点8、体力点20、運点8

 

NOVA「能力値にかなりの不満を残しつつも、復活したザゴールの噂で持ちきりのアンヴィルの村で、情報収集する背景からスタートする」

 

アスト「アンヴィルの村か。初めて聞くな。いや、オレも火吹山はプレイ済みだが」

 

ダイアンナ「そうなのか? あたしはまだだから、そのうちプレイしたいものだ」

 

NOVA「なるほど。だったら、D&Dウォーロックの研鑽記事が終わった後から『ゲームブック初心者ダイアンナの火吹山攻略記事』を立ち上げるのも一興か。まあ、先の記事ネタはともかく、アンヴィルは名前こそ初めてだが、最初の火吹山でも『2日ほどの距離にある地元の村』という形で登場していた。その時は、村から魔法使いの住む山の地下ダンジョンの情報を聞いて、パラグラフ1番から早速、『二日間の歩きの旅はようやく終わった』という文でダンジョンに突入する。しかし、『ふたたび』では、その二日間の旅が丁寧に描かれるんだ」

 

アスト「いきなりダンジョンの1作めに対し、フィールド→ダンジョンの段取りがあるんだな」

 

NOVA「アンヴィルの村の酒場兼宿屋の主人ムースから、復活したザゴールの噂、奴を倒すのに助言してくれる善の魔法使いヤズトロモの話を聞いたりしてから、冒険の旅が始まるわけだが、結構、情報が細かいんだなあ」

 

アスト「そりゃあ、シリーズも10年も続けば、単純なゲーム性から進展するだろうさ」

 

NOVA「いや、システムはほぼ一緒だぞ。違うのは、初期の持ち物だな。1作めは回復のポーションを1本持っているんだが、ふたたびではポーションがなくて、代わりに『ランタン』を最初から持っている。途中で買い物できるんだが、ランタンは買わなくていいぞ。最初から持っているんだからな。俺は初プレイでは気付かずに買ってしまったが……」

 

アスト「ルールが昔と同じだと舐めてかかって、細かいところを読まなかったんだな」

 

NOVA「プレイして分かったんだが、このふたたびは冒険中に手に入るアイテムの数が非常に多くて、どのアイテムを手に入れたかで攻略の成否がはっきり決まる。アイテムを持っていなければ不利になるのではなく、即死したり、攻略に必要な情報が手に入らずにゲームオーバーしたり、ひどい場合は『ニンニクを持っていたために死んでしまう』というケースもある。

「旧作で火吹山には吸血鬼がいると覚えていたから、ニンニクは必要だなと思って買ったら死んでしまう理不尽。しかも、吸血鬼に遭遇するルート自体が罠で、結局、ニンニクで撃退しても、道の先で死んでしまうという理不尽。プレイ中にメモを取り、必要アイテムと罠アイテムをしっかり確認し、どのルートが正解で、どのルートが外れか、そしてどのアイテムがどこで入手できるかを把握しながら、2周め、3周めに希望を託す『死んで覚えろ』パターンだな」

 

アスト「なるほど。アイテム入手が重要で、正解はほぼ一本道ストーリーなのか」

 

NOVA「パラグラフ1番は、ヤズトロモに会うかどうかを考えながら村を出ると、後から宿の主人のムースが追っかけて来て、『ザゴールのスパイがこちらの動向を探っていたので始末するか、無視して旅を続けるか』を選ぶことになる。どちらを選んでも攻略はできるが、有利なのはスパイの始末の方だな」

 

アスト「そりゃあ、敵のスパイは倒しておかないとなあ」

 

NOVA「スパイを追っかけているうちに、茂みでキラリと光るものが落ちているので、拾い上げることを勧める。盾で、敵の飛び道具から身を守るのに役立つ。FF世界では『投げ短剣』がやたらと強力で、敵の投げる短剣を運だめしで回避したり、盾で防がないと首に刺さって即死するようなシチュエーションが結構ある。『短剣や矢が首や額に突き立って死ぬ』という描写はFFシリーズの十八番だな」

 

アスト「とにかく、盾をゲットして、それから敵のスパイ退治だな」

 

NOVA「スパイの闇狩人(トラッカー)の投げる短剣を盾で防いで、接近戦に持ち込んで上手く撃退すると、アイテムゲットだ。Z(ザゴール)印の金貨3枚と2本の短剣をゲットするのはいいが、相手の隠し持っている紙は呪われているので、拾わない方が吉だ。技術点が2点減ることになる」

 

アスト「技術点2点が減るのは、厳しすぎるだろう」

 

NOVA「『剣が通用しない相手だから一時的に2点減らして戦うこと』ぐらいならいいんだが、ラスボスのザゴールの能力が『技術点11、体力点18』だと考えると、確率的に技術点は11か12がないと勝てないことになる。1点でも技術点が減ると、ほぼ詰んだ状態になるんだな」

 

アスト「だったら、技術点8のYou1号じゃ勝てないじゃないか」

 

NOVA「全くだ。技術点は初期状態に回復することはあっても、増えることはないからな。作品によっては『魔法の剣を手に入れたから、技術点に1点加えること』というケースもあるが、本作ではそういう初期状態からの成長は一切ない。つまり、技術点の減少は攻略上、絶対に避けないといけないわけだ。他の作品なら多少、技術点が低くても選択肢によって敵を弱体化させて、ダイスを振らずにボスを倒せる作品もあるが、本作はガチのザゴールと戦わないといけない」

 

アスト「昔のザゴールは、そんなに強かったか?」

 

NOVA「昔はもっと弱かったのになあ、と思いながら『火吹山』をチェックしたら、こちらも『技術点11、体力点18』だった。ただ、マジックアイテムの力で弱体化させられたから、優位な状態で倒せたんだな。『ふたたび』の方では、実は強かったザゴールを思い知ることになる。最初から分かっていれば、技術点8で挑むようなことはしなかったろうな」

 

ダイアンナ「最初は弱くても、冒険中に経験点を貯めて成長すればいいのでは?」

 

NOVA「ソーサリーのような連作ゲームブックや、ドルアーガなどの国産ゲームブックは成長がシステム化されていたりするが、単発のFFシリーズは成長ルールはなし。AFF2みたいにTRPG化された作品は成長ルールもあるが、初期状態が技術点8というのは普通だな。つまり、TRPGでの技術点8は普通の冒険者で、ゲームブックの主人公Youは普通よりもずっと優秀な冒険者、それこそ勇者だということになる。まあ、Youはザゴールも、バルサス・ダイアも、ザラダン・マーも倒した強者だからなあ」

 

ダイアンナ「そんな名前を出されても、ゲームブック素人のあたしにはさっぱりだ」

 

NOVA「やれやれ。だったら、これを読め」

アスト「ラスボスの話にいきなり飛んだが、順を追って話せよ。オレはお前がのたうち回って死んだ物語が早く聞きたい」

 

NOVA「悪趣味な奴だな。とりあえず、相棒のムースと共に、ザゴールのスパイを撃退したYou1号は、呪われる未来をチラッと予知して、なかったことにして、旅を急ぐことにしたんだ。ムースはこっちの旅の無事を祈ってくれたんだが、その祈りは無駄だったようだ。何しろ、You1号は火吹山に到着する前に、非業の死を遂げてしまうんだからな」

 

アスト「ダンジョンに入る前に、死んじまうのかよ?」

 

NOVA「仕方ないじゃないか。弱いんだから。もしも、この作品を技術点8でクリアできた人間がいたら、俺はその人間のリアルラックを称えてやるよ。本作では、昔、安田社長の著書で書かれた特別ルール『ダイス目1、2で技術点10。3、4で技術点11。5、6で技術点12に設定する』方がストレス抜きで楽しめそうだ」

アスト「何と。その本は中古プレミア価格が1万5000円以上もするのか」

 

NOVA「まさにゲーム&トレジャーって感じだな」

アスト「持ってるのかよ」

 

NOVA「まあな。これさえあれば、『火吹山』『バルサス』『盗賊都市』『モンスター誕生』の攻略はばっちりだ。何しろ、巻末にフローチャートが付いてるからな」

NOVA「あと、今夏発売予定のFFコレクションの2集めにも対応してるぞ。『死の罠の地下迷宮』『地獄の館』『サイボーグを倒せ』のフローチャートもある。ただ、新邦訳には対応していないので、そっちは頑張って自分のノートに攻略メモを作らないといけないんだけどな」

 

アスト「お宝自慢や蘊蓄はいいから、今は『ふたたび』に専念しろよ」

 

ヤズトロモさん探し

 

NOVA「さて、FFシリーズで善側の有名人の1人めが魔法使いのヤズトロモさんだ。初出は3巻めの『運命の森』で、Youにマジックアイテムを売ってくれる御仁。このマジックアイテムの選択が攻略の成否に関わってくるわけだな。『運命の森』はヤズトロモさんの塔から始まり、森を探索して、ドワーフの村ストーンブリッジを目指す内容だが、この本の復刻が先送りにされているために、ヤズトロモさんがご機嫌斜めというのが今のFFゲームブックファンの間の密かなネタとされている」

 

アスト「善側はヤズトロモさんと、『盗賊都市』に住むニカデマスさんと、『雪の魔女の洞窟』に登場する癒し手の3人だったか」

 

NOVA「そうだな。癒し手さんがやや地味な感じだがさておき、『ふたたび』では真っ直ぐ東の火吹山に向かうか、それともヤズトロモさんに会いに南のダークウッドの森に向かうかで、大きく運命が変わる。具体的には、ヤズトロモさんに会うコースを選ばないと、攻略必須アイテムが入手できずにクリアできなくなる」

 

アスト「FFシリーズファンなら、普通は会いに行くだろう、ヤズトロモさんには」

 

NOVA「まあな。会いに行かなければ、オーガと遭遇したり、焚き火の中から出現した炎の精霊に襲われたりするイベントがあるが、割とあっさり火吹山に到達する。しかし、この時点でクリア不能になるんだな」

 

ダイアンナ「情報を得るためには、急がば回れも大切ってことだね」

 

NOVA「しかし、一筋縄では会えないんだな。俺、最初のプレイでは会えずに死んじゃったし」

 

アスト「どれだけ序盤で死ぬんだよ、お前は? ザコ丸出しじゃねえか」

 

NOVA「仕方ないだろう? ザゴールの手先の偽ヤズトロモさんなんて出て来るんだから」

 

アスト「偽者だと!? そいつはザラブ星人か? それとも黄色いマフラーか?」

 

NOVA「本物は目の色が青いんだ。だけど、偽者は緑色の目をしている。偽者は悪霊のようなドッペルゲンガーで、そいつと握手するだけで生命力を吸収されて死んじゃうんだよ。普通、『ヤズトロモと握手する』って選択肢が出たら、握手するだろう?」

 

アスト「そうやって握手したら死んだのか?」

 

NOVA「いや、事前に運良く手がかりを得たから、そいつが偽者だと分かっていた。まあ、間違えて握手して死んでも、『それは未来予知に過ぎない』と言って時間を巻き戻し、『握手しなかった』ことにして、先を続けるけどな」

 

アスト「ズルじゃねえか」

 

NOVA「ゲームブックなんだから、たった一手のミスなら簡単に元のパラグラフに戻れるんだよ。コンピューターゲームだって重要そうな選択肢の前にセーブぐらいするだろうが。いきなり即死するような理不尽に対しては、別の選択肢を選ぶぐらい大目に見た」

 

ダイアンナ「自分で大目に見たんだ」

 

NOVA「そりゃあ、ソロプレイなんだから、自分がプレイヤーであり、GMでもある。自分が納得いくようにプレイするぐらいいいだろう? 問題は選択肢ミス以外で死んだ場合だな」

 

アスト「どういうことだ?」

 

NOVA「そのドッペルゲンガー、技術点が9なんだよ。正体がバレると、戦闘になるんだが、その戦闘ルールが少し変わっている。普通は技術点に2Dを加え合って、勝った方が相手に2点のダメージを与えて、体力を削り合うのがFFのルールなんだが、ドッペルゲンガーは悪霊だから体力点0と来ている」

 

アスト「つまり、既に死んでいる亡者みたいなものか」

 

NOVA「ただし、急所の心臓があって、技術点勝負に勝った方が再度2Dを振って、ゾロ目を出せば相手を即死させられるルール。で、元々、技術点8の軟弱能力だったYou1号は最初から不利な状態で急所を貫かれ、生命力を吸い取られてしまい、シオシオノプー状態になって悪霊の仲間入り、という末路を迎えました。めでたしめでたし」

 

アスト「めでたくないだろうが」

 

NOVA「ああ、全くめでたくない。これがTRPGなら、悪霊ライフを満喫できるようなシナリオをGMに要求するのも一興だが、おそらく普通のGMなら却下して、キャラを作り直すよう要求すると考える」

 

ダイアンナ「ダディーはそんなに悪霊プレイをしたいのか?」

 

NOVA「まあ、リアルで悪霊になんてなりたいとは思わんが、ゲームだったら現実と違う仮想体験ができるのも面白いと思うぞ。AFF2なら、このサプリで悪魔プレイができるようになったからな」

アスト「しかし、ゲームブックで、バッドエンドで死んだ後までプレイできる作品って稀だろう?」

 

NOVA「FFシリーズに限らず、魔物化エンドの文章ってゾクゾクするよなあ。バイオハザードのゾンビに喰われたバッドエンドを見て、その後、ゾンビとしてフラフラ立ち上がる自キャラを想像するとドキドキするし、ゲームブックのバッドエンド文で『次に目覚めた時、君は吸血鬼となっていることに気づく』とか、『魂のない抜け殻となって、永遠に闇の尖兵として主人に奉仕し続けるのだ。君の冒険はここまでだ』とか、『君は悪魔に魅了されて、忠実な従僕に成り果てるのだった。後に君と遭遇して逃げ帰った冒険者はこう噂するだろう。悪魔の塔に出現するゴールデンナイトは、恐るべき強敵だ、と』とか、こんな魅惑的なバッドエンド文を読むたびに、自分のキャラの成れの果ての物語を想像したのは俺だけじゃあるまい」

 

アスト「お前の悪堕ち好き性癖は、FFシリーズが元凶かよ」

 

NOVA「いや、それだけとは言わんが、おそらく元を正せば、『ナックル星人に操られるMAT隊員』とか『2代めバルタン星人に憑依される毛利博士』とか『ビラ星人に操られるユシマ博士』とか『キングカッパーのプールで泳いで、ヘソのないカッパ人間にされた子どもたち』とか『ゴジラ映画の怪獣総進撃でキラアク星人に操られた地球人たち』とか、ウルトラシリーズ東宝系が起源なんだろうと思う」

 

アスト「とにかく、お前の久々のFFプレイ最初のキャラは、ヤズトロモさんの偽者ドッペルゲンガーな悪霊に殺される末路だったわけだな」

 

NOVA「握手した悪霊に生命力を奪われたパラグラフ8番の文章はこうなっている」

 

 下を向くと、きみの体も透き通りはじめている。手を引き離そうとしたが遅すぎた。きみにはこれから永遠に黄昏の世界で生きる運命が待っている。きみの冒険もこれまでだ。

 

NOVA「こういう文章は、同じバッドエンドでも、『酸を飲んで喉が溶けて死ぬエンド』や『手術用ナイフで手足を切断されるエンド』や『背中に三本の槍が突き刺さるエンド』や『ニンニクの臭いで背負い袋の中の首飾りの呪力が発動して、鋭い刃となって心臓に突き刺さるエンド』や『10本の赤い爪矢が突き刺さるエンド』や『底なし落とし穴エンド』や『無数の武器に襲い掛かられて切り刻まれるエンド』や『鉄の棘床に落ちるエンド』や『オークの矢が突き刺さって川に沈むエンド』や『ゴブリンの毒吹矢で昏睡するエンド』や『縛られて朦朧とした頭でナイフの音だけで死を覚悟するエンド』や『魔法で呪縛され手術室送りになるエンド』や『記憶喪失奴隷化エンド』や『矢が喉に突き刺さるエンド』や『毒煙で窒息死するエンド』や『ゴブリンの網に捕まって喉に刃が突きつけられて殺害されるエンド』や『ゴルゴンの視線で石になるエンド』や『呪いの椅子に取り込まれるエンド』や『耳の中に虫が侵入して、脳を咀嚼されるエンド』や『クロスボウの矢が首に突き刺さるエンド』や『怪力戦士に首根っこをつかまれて窒息するエンド』や『檻に捕まって手術室送りエンド』に比べると、はるかに夢のある終わり方じゃないか?」

 

アスト「って言うか、バッドエンドがそんなにあるのかよ」

 

NOVA「ああ、同じパターンの別パラグラフもあるので、全体で20〜30パラグラフがバッドエンドってところだな。冒険の6〜7%はバッドエンドでできていて、他にも、単純に戦闘で負けただけのゲームオーバーもあるだろうから、単純な数字だけで見ると死亡率1割といったところか。とにかく、バッドエンド中、悪堕ち魔物化エンドは5%で、今回はあまり悪堕ち要素は高くなさそうだ。それよりも目立つのが『ザゴール完全復活のために体のパーツを奪い取られる系のエンド』だな」

 

アスト「ザゴールは、冒険者の肉体パーツを奪い取るのが目的かよ」

 

NOVA「そのために村人を拉致したりしてたらしいが、とにかく自身の完全復活のためには強い生命力を持った人間の部位パーツが必要とのことで、終盤までプレイすると『お前の強い肉体は復活の材料として、ちょうどいい』って話になるんだな。どうせなら、お前の体に憑依して復活してやるって話なら、俺好みの展開だが、手だけとか足だけとかバラバラにされてビルドアップの部品にされるのは勘弁願いたいぜ」

 

ダイアンナ「とりあえず、その死亡描写だけで、FFシリーズがダーク寄りな世界観だというのは分かった」

 

NOVA「さすがに、その死亡イベント全てを経験したプレイヤーはいないと思うがな。俺もクリア後のお楽しみで、バッドエンド文を試しにチェックしただけだからな。で、やはり萌えるのは吸血鬼に魅了されて同族化エンドとか、生命力を吸い取られて悪霊化エンドとかなんだが、今回のヴァンパイアは登場するにも関わらず、同族化エンドがないのが残念。まあ、それは元の『火吹山』でも魅了されて血を吸われるエンドはあっても、吸血鬼化までは描かれていなくて、『盗賊都市』になって初めて亡者化復活が描かれたかな、と記憶」

 

アスト「どうも、話がだんだんダーク化していないか?」

 

NOVA「お前が、『俺のキャラがのたうち回って死んだ物語が早く聞きたい』なんて言ったから、死亡イベントを並べてみたんだが」

 

アスト「オレはお前が苦しむのを見たいのであって、死亡イベントを嬉々として解説している姿が見たいわけではない」

 

ダイアンナ「あたしは、ダディーが吸血鬼のことをワクワク語るのは好きだぞ。いっそのこと、吸血鬼になったらどうなんだ、とも思うし」

 

NOVA「妄想は妄想のままに語るのが楽しいわけで、現実に吸血鬼になったら、いろいろと不自由なことが想定されるからなあ。夢は夢のまま幻想を抱いている方が楽しいこともある。永遠に叶わない夢だからこそ、美しさを損なわずに希望を抱けるってこともありそうだな。ましてや、夢を語って共有できる相手と出会ったら幸せだが、それが奇異に思われて避けられてしまうようなケースもあるし、現実と妄想の区別はしっかり付けた上で、ファンタジーの世界で遊ぶのはOK。だけど、自分の夢を他人に押しつけて来て、避けられてしまったなら、『本気じゃない』『相手に迷惑をかけるつもりはない』ってポーズをとって、距離感を壊さないようにすることも大事。その辺の加減が分からない人間とは、ファンタジーや空想の話を安心して語れないってことだな」

 

アスト「ゲームだから、多少とも羽目を外して楽しめるってこともあるのか」

 

NOVA「そりゃあ、俺も『死亡イベントが空想妄想を掻き立てられてワクワクする』って言ってるけど、現実の人の死でそんなことは思ってない。その辺の線引きをしっかりした上で、変にリアルに持ち込まない相手となら、安心してダークな話もできるが、線引きが怪しくて狂気に陥っているような言動を示されると、それは怖いからなあ」

 

アスト「ホラー系のRPGは、狂気をロールプレイして楽しむこともあるし、ダーク系のファンタジーやアダルト系のファンタジーは隠微な表現だってあるし、それにゾクゾクした刺激を感じることもあったりする。だけど、遊びや冗談も度を越して、リアルに侵蝕すると道を踏み外した犯罪行為に見られることだってあるわけだな」

 

NOVA「ゲームで、ダーク方面について語る上での注意点ってことだな。とにかく、俺のキャラのYou1号君は旅の途中で悪霊堕ちして、終わったのでした、チャンチャンってことで。次は2人めのYou2号君の冒険話を語る予定」

(当記事 完)