2度めの挑戦
NOVA「さて、トライ&エラー(試行錯誤)を繰り返すゲームブック攻略記事の2回めだ。新たなキャラはこれだ」
You2号:技術点10、体力点20、運点10
NOVA「先任者の1号が悪霊に殺されて、自らも悪霊と化してしまったので、その志を受け継いだ2人めの登場だ。桃井タロウが死んで、桃谷ジロウが出て来るようなものだな」
アスト「なるほど。2号は1号に比べて、技術点と運点が2点ずつ高い、と」
NOVA「今回の目標は、偽ヤズトロモさんを撃破して、本物から助言をもらって、火吹山に突入しようってことだ」
アスト「ザゴールを倒そうじゃないのかよ?」
NOVA「だったら、この技術点でも心許ないじゃないか。プレイヤー自身のリアルラックが高ければ、あっさりクリアできるかもしれないが、まあ、リビングストンのゲームブックだから無理だろうってことは承知済みだ」
ダイアンナ「リビングストンって、そんなに手強いのか?」
NOVA「やはり、死の罠のインパクトが強いんだろうがな。とにかく、スパイを倒して、さあ、これからヤズトロモさんに会いに行くために寄り道するぞって場面から、語り直すぞ」
本物のヤズトロモさんに会うために
NOVA「キノコ売りの詩人ダンから癒しのキノコを手に入れたり、山賊に縛られて蟻にたかられている男を助けて〈不可視の指輪〉を手に入れたり、道中にアイテム入手イベントを重ねながら、日が暮れ始める。ここで夜営場を探すか、夜を徹してストーンブリッジまで歩き続けるかで運命が変わる。前者が正解で、後者は攻略に必要なアイテムが入手できずに詰む」
アスト「そんなのばかりだな」
NOVA「後者は吸血コウモリに襲われるけど、あっさり撃退して、大きなトラブルもなくストーンブリッジに着く。だけど、トラブル覚悟で必要アイテムを入手するイベントが必須なんだな。夜営のできる廃屋の中で、壺を調べると『鉄の鍵(142)』が手に入り、箱を調べると『小さな積み木』と『木の球』が手に入る。その後、運試しに失敗すると、夜営中にゴブリンに襲われて、しかもゴブリンの持ってる銀ネズミのお守りを身に付けると、覚醒したネズミに喉を食いちぎられそうになってダメージを喰らうという罠が」
アスト「普通、ゴブリンの身に付けたものを身に付けたいと思うか?」
NOVA「俺だったら、身に付けたくはないが、選択肢にあれば試しに選びたくはならないか?」
アスト「リアルに考えるなら、やりたくはないことでも、ゲームなら試しにってことか」
NOVA「大抵は、それで失敗して教訓を得るんだけどな。『やっぱりゴブリンの持ち物を装備するなんて愚かだな』とか。そもそも、店で買う以外で、耳飾りとか、首飾りとか、ヘッドバンドとかを身につけるのは、FFシリーズでは甚だしく危険を伴う。モンスターの装飾品で、主人公が装備して役立つケースは稀だ。まあ、ここは指セーブしておいて、愚かな選択肢を試しに選んで『やっぱりな』と未来予知みたいなことをするのが、ゲームブック攻略の作法って奴だな」
アスト「TRPGだと使えない技だな」
NOVA「TRPGなら、それが余程に致命的な罠じゃない限り、ちょっとしたドジを踏むイベントネタは場を盛り上げるきっかけなんだな。首飾りのネズミに噛まれてダメージを喰らったぜ(シクシク)って不幸アピールで、周囲の笑いを取れたら儲けものだ。他人のドジは、それが自分に害を与えなくて、ドン引きするほど悲惨すぎない限りは、笑いのスパイスだからな。その加減を間違えて、不幸な自分を同情引くほどにメソメソする奴は鬱陶しいわけだが、『昔、こんなヒドイ目にあったよ、ワハハハハ、笑え笑え〜』ってのはウケる」
アスト「ドンモモじゃないか」
NOVA「うっかり罠にハマって、キャラが死んじまったよ、ワハハハハ、笑え笑え〜ってネタだからな。さすがに、それで再起不能で何十時間とか何百時間をかけて育てたキャラがロストしてしまうと笑えんが」
ダイアンナ「FFの場合は、どれぐらい時間が掛かるんだ?」
NOVA「You1号は30分ぐらいで死んだ。You2号では1時間ぐらい堪能したかな。そして、FFの場合、失敗経験や、どこで何を入手したかをメモ書きしておけば、次のプレイで教訓は活かせるから、キャラの成長ではなく、プレイヤーの得た情報という面で無駄は生じないってことになる。キャラは感情移入を避け、ほぼ使い捨てのアバターと思えば、『悲惨な経験をしたキャラ』も面白ネタの題材として有効利用できるって寸法だ。まあ、キャラを大事に育て、感情移入し過ぎるプレイヤーにとっては、死にゲー=クソゲーなんだがな」
アスト「とにかく、ネズミの首飾りには引っ掛かってもスルーしたってことだな」
NOVA「違う違う。運試しに成功したから、そもそもゴブリンに見つからずに、戦闘が発生しなかったんだ。だから、ネズミネタは『もしも運試しに失敗したら?』というパラグラフを覗いてみて、そこでの可能性を語っているに過ぎない。なお、ここでの一番有利な選択肢は、『夜営で見つけた廃屋でアイテムを入手した後は、やっぱり廃屋を出て、眠り草の草原に迷い込み、フラフラと寝込んでしまい、スッキリ目覚めて体力点を回復』することだ」
アスト「廃屋では寝られないのかよ?」
NOVA「運試しに成功しても、ゴブリンを警戒して、結局寝られず、体力回復できない結果になるだけだからな。まあ、眠り草の方で運が悪ければ、ホブゴブリンとの戦いになって、戦利品の兜をうっかり身につけると、やっぱり酷いめにあうんだが、大筋としては似たり寄ったり大差ないイベントだ」
アスト「マニアじゃなければ、いちいち両方チェックしようとはしないよな」
NOVA「俺もチェックしてるのは、『クリア後の楽しみで、未経験イベントを確認』しているだけだからな。眠り草やホブゴブリンの兜の件は、後から知った。初見で、寝泊まりできる廃屋からわざわざ出て、外に再びさ迷い歩く選択肢は選ばないだろう。廃屋に長居すると爆発即死するような罠が仕掛けられてもいない限り」
ダイアンナ「とにかく、廃屋で鉄の鍵とか積み木とかを入手するのが大事ってことだな。はい、次に進もう」
NOVA「ドワーフの村ストーンブリッジに到着して、『ヤズトロモさんが今、はるか西のカアドの街にいること』を聞かされる。カアド行きの帆船が用意されて、川の旅が始まるんだが、その際にオークの襲撃を切り抜けたり、運が良ければ偽ヤズトロモの情報を入手したり、運が悪ければ船が途中で沈没するような目にあったりしながら、まあ、運は良いので、いろいろな野外冒険のイベントをスキップして、カアドに到着したわけだ」
アスト「そして、偽ヤズトロモに殺された、と」
NOVA「それは、先代の話だ。とにかく、スキップしたイベントを後から確認すると、それなりに波乱万丈の旅を経験できるんだが、運が良いと逆に知らない物語ということになる。つまり、全ての物語を知りたいなら、『不幸なイベントも味があっていい』ぐらいの気持ちでプレイしないといけないんだよ。もちろん、『わざわざ、つまらないイベントで、しかも不幸でしかない、メリットを感じないような経験』なら全面的にスルーすればいいわけだが」
アスト「メリットはないが、面白い体験ができるから後学のために覗いてみようとか、そんな話だな」
NOVA「ゲームは、メリットだけで行うものじゃないからな。楽しい経験ができれば、それが一番だし、メリットと楽しさ、達成感などのバランスで、プレイは続けられる。まあ、川の旅は大禍なく、あっさり終わるケースもあれば、ドワーフ船員が次々と散っていった末に船が沈没して、結局、陸路をトボトボと歩いて行かないと辿り着けない波乱万丈の旅路だってあるわけだ。最悪、オークの襲撃を切り抜けられずにバッドエンドに至る可能性だってある」
ダイアンナ「前回、言っていたな。『オークの矢が突き刺さって川に沈むエンド』って」
NOVA「カアド行きの物語で、こんなにいろいろな展開があるって知らなかったな。まあ、スキップしても攻略には支障のない流れだけど。とにかく、カアドに着いて、偽ヤズトロモを今度は撃退して、そして、ついに本物の青い瞳のヤズトロモさんとご対面するわけだ」
そして火吹山へ
NOVA「ヤズトロモさんは、復活したザゴール退治に必要な情報を教えてくれる。それは『地水火風の4つのエレメンタルの力を秘めた黄金の〈竜の牙〉をダンジョンで探し、魔力を起動させる合言葉を見出すこと』『カアドにある店で冒険の役に立つアイテムを購入すること』『ズート・ジンマーという男の飼っている大鷲で、火吹山まで飛んで行けること』の3つだ」
アスト「その話を知らずに、迷宮に入ってもザゴールは倒せないんだな」
NOVA「そう。そして、店でのアイテム購入が重要なんだが、店の前にいる子どもに『積み木』を渡さないと、店に入れてもらえない」
アスト「積み木を入手しないと、詰みってことか」
ダイアンナ「はい、アストじゃないと〜」
アスト「アストなんだが、それはとにかく。子どもに積み木を渡して、店で買い物をする。しかし、この買い物の選択が運命の分かれ道ってことか」
NOVA「全部で12個ある中から、5つを選ぶことになるんだが、俺が最初に選んだのは『ランタン、ロープ、ハンマーと鉄釘、ニンニク、銀の短剣』だった。この時点で、You2号の死は確定したんだ」
アスト「正解は何だよ?」
NOVA「ランタンは初期装備にあるから必要ない。ニンニクは吸血鬼との遭遇そのものが袋小路ルートに入るので必要ないし、冒険中でも手に入るし、ここで買うまでもない。銀の短剣も吸血鬼退治には必要になるが、無意味。初期購入で正解なのは『ロープと、ハンマー・鉄釘』だと思う。あとは必需品なのが『ゴルゴン退治用の鏡』『書物や羊皮紙から情報を得るための拡大鏡』『探索中に手を怪我しないための革手袋』だな。これらがないと詰む。まあ、ハンマーと鉄釘はなくても何とかなるかな」
アスト「買い物を無事にして、その次は?」
NOVA「ハーフエルフのズート・ジンマーに会う。親切な男で、ハーブティーをくれたりするんだが、後で可哀想な目にあうんだ。この『ふたたび』の冒険で、一番お気の毒に、と思って憐れみを覚えた人物だなあ。彼の部屋の扉の『36番』は太文字になっているが、覚えておかないといけない。テストには出ないが、この数字を使わないと詰む重要情報と言っていい」
ダイアンナ「『ズート・ジンマー36番』ってメモすればいいんだな」
NOVA「ズート・ジンマーの召喚する大鷲に乗って、火吹山へ向かう大空の旅が始まるんだが、ずっと乗りっぱなしだと空でハーピーに襲われて、酷い目にあうので(下手すると墜落死)、途中で着陸するのが正解だ。そして、とうとう懐かしのダンジョンに突入することになるんだ」
アスト「長かったな」
ダンジョン探索
NOVA「ダンジョンに入ると、右か左かの選択肢がある。右は行き止まりだが、ここでは『真鍮の卵』が手に入る。だけど、何に使うかよく分からない。まあ、持っていても損はないので、入手してから左へ進むと、今度は左かまっすぐの選択肢。まっすぐ進んだ先の扉では5体のスケルトンがいて、戦いたければどうぞ。何も手に入らないけどな」
アスト「昔は、ただダイスを振って、戦っているだけで楽しかったな。そのうち、戦いだけじゃ飽きるようになるけど」
NOVA「FFだと、アイテムの手に入らない戦いは無駄に思えるからな。左に進むと、3つの扉があって、順に調べることになる」
・1つめの扉:汚泥の中に金貨1枚、〈ブリキの笛〉、〈オニキスの卵〉。隠し穴に〈竜の牙〉(315)。ただし、入手するには〈革手袋〉が必要。
・2つめの扉:襲いかかる武器群。入らぬが吉。
・3つめの扉:拷問部屋。ゴブリンの罠を避けると、白骨死体から幻覚封じの黄金指輪(30)を入手。ゴブリンを追いかける途中で、ダークブレード・スカルバイターの剣を入手。
NOVA「クリアに必要なのは、1つめの扉と3つめの扉で、3つめの扉から罠にはめたゴブリンを追いかけたり、縦穴を『ロープ』で降りたりしているうちに、ゴルゴンの部屋に入るんだな。ここで『鏡』を持っていなかったために石化させられて死んだんだ」
アスト「2回めの死か」
NOVA「ここで俺はどうしようかと悩んだ。俺が正々堂々を重んじる聖騎士のような性格なら、もう一度、キャラを作り直して再スタートしただろう。しかし、俺は時空魔術師だ。そう、魔術師が聖騎士のように正々堂々を気取っていては、命がいくつあっても足りない。魔術師には魔術師の流儀がある。そこで、俺はある技を発動することにした」
アスト「リセットか?」
NOVA「惜しい。持ってなかったアイテムを実は持っていたことにする『こんなこともあろうかと』という奴だ。鏡を持っていなかったから石化したYou2号は、突然、天啓を受けとった。『お前の持つ盾は、磨かれた丸い盾だとパラグラフ82番に書かれてある。つまり、鏡の代用品として使用可能。TRPGなら、GMに強く主張すれば認められるレベルの主張だ。少なくとも、俺がGMならプレイヤーのそのアイデアを認めてやってもいい。そして、ソロ・アドベンチャーではプレイヤーがGMの役割もこなすもの。さあ、立ち上がって、盾を鏡のようにして、ゴルゴンを倒すのです。頼みましたよ、勇者よ』というドラマがここに生じて、半ば石化しかけたYou2号がウォーーーッと叫んで、奇跡の力で全身を覆う石が砕けて、全身を黄金の光に染めたハイパーYou2号が誕生したんだ」
アスト「どういう話だよ、それ? ゲームブックには、そういう記述はないだろう? イアン・リビングストンが書いていない話を勝手に捏造するな」
NOVA「いや、FFゲームブックにはこう書いてある。『YOU are the HERO!』と。ヒーローポイントを使えば、持ってないアイテムを何かで代用して使うことぐらい許されるはずだ。そんなわけで、俺は奇跡の力が発動したことにして、ゴルゴンを倒したんだよ」
アスト「臆面もなく、チート技を平気で使いやがって」
NOVA「それにしても、ゴルゴンとまともにやると勝てないんだって。技術点10、体力点8というデータなんだが、鏡がなければ、相手から目をそらして戦わないといけないから技術点を2減らなさないといけない。すなわち、こちらの技術点は8なので、技術点2差で体力点8を削るには、こちらは22点の体力が必要という期待値計算を、その昔、清松みゆきさんが書いている。よって、このゴルゴンを倒すには、鏡が不可欠ということが分かった。次からは鏡を持って来ようと固く心に誓いながら、今は急場しのぎで盾を鏡の代わりに使うのが、知恵と工夫って奴だな」
ダイアンナ「知恵と工夫と言えば、何をやっても許されるのか?」
NOVA「その知恵と工夫に妥当性が認められれば、な。英雄ペルセウスがゴルゴン三姉妹の末娘メデューサと戦った際、鏡のように磨かれた盾を活用したのはギリシャ神話にある有名なエピソードなので、十分妥当性は見られると判断できる」
アスト「とにかく、チート技でズルをしたNOVAがゴルゴンに無理やり勝ったということだな」
NOVA「なお、この『ふたたび』のゲームブックをクリアするのに、10回以上もやり直して、ようやくクリアした人がいることが分かった。俺はその御仁に敬意を表するぜ。さすがに一冊のゲームブックに10回以上もやり直す根気は、今の俺にはない。俺の3回でクリアというのは、多少ともチート技を繰り返しての結果だからな」
ダイアンナ「それでも、クリアはしたんだろう?」
NOVA「とりあえず、ゴルゴン戦の後で、俺はこう思った。『このゲームの必須アイテムは、今のところ革の手袋と鏡だな。あと、何が必要か先に確認しておこう』っと」
アスト「ゴルゴン戦の後は何だ?」
NOVA「ゴルゴンの部屋の奥にある壺は、どちらも罠なのでスルーするのが正解だ。続いて、オークとドワーフの部屋では、箱の中に入っている〈銀の鐘〉を入手すべき。そして、続く独房でズート・ジンマーが捕まっている」
アスト「何でだよ?」
NOVA「帰りしなにファイア・ドラゴンに襲われて、大鷲が死亡。本人は地上でオークのパトロール隊に捕まって、ここで拷問されて失明したらしい。彼を助けるためにはキーナンバー36番が必要で、その後、〈竜の牙〉(186)を見つけてくれるのだけど、足元の落とし穴にハマって、ウワーーーーッと闇の底に消えたわけだ。さらば、ズート・ジンマー、君のことは忘れない。また、美味しいハーブティーが飲みたかったなあ」
アスト「チート技で、ズート・ジンマーを助けられなかったのかよ?」
NOVA「そういう選択肢はない。おまけに『闇の底に消えた』だけなら、後から『空中浮遊の呪文を使って、助かったんだ。もう少しで死ぬところだったぜ』と再登場する脳内補完もできたかもしれんが、『落とし穴の底へ落ちていくズートの絶叫は、逆棘だらけの底で絶命するまで続いて消えた』としっかり明記されている。ズートを助ける方法は残念ながらないんだ(涙目)」
アスト「主人公のYouと違って、NPCにはやり直しがないものな」
NOVA「まあ、彼がいないと、〈竜の牙〉(186)はゲットできないからな。攻略のためには必要な犠牲だったわけだ」
竜の牙クエスト
NOVA「さて、ズートの尊い犠牲で、2本めの竜の牙をゲットできたわけだが、実はYou2号の冒険では、1本めを入手していないんだな。1つめの扉の隠し穴で手に入る竜の牙(315)は、革手袋がないとダメなのに、買ってなかったんだから」
アスト「すると、どっちにしてもYou2号ではクリア不可能になっていたんだな」
NOVA「そう。言わば、You2号の残りの人生は、真の攻略のための手がかりを探り、突き止めるための捨て石に過ぎん。トライ&エラーの材料ということだ」
ダイアンナ「死んでも代わりがいると言うことか。ダディー、あんたは冷たい男だったんだな」
NOVA「まあ、大事なのはYouを通じて、どんな冒険を経験し、味わうかだからな。自キャラの死よりも、ズート・ジンマーの唐突な死の方が悲しかったよ。『え? せっかく助けたのに、こんなにあっさり死んでしまうの? 早すぎない? リビングストンは鬼かよ(いいえ、イギリスの今年の騎士爵位受勲者です)』って感じた次第」
アスト「ゲーム作家がマジで騎士だと?」
NOVA「ああ、長年のゲーム作りの功績が讃えられて、文化人の一人として騎士に認められる国、イングランドって凄いなあ。日本で言うなら、ゲーム作家が大名か旗本か御家人に選ばれたようなもの?」
アスト「今の時代に、そういう称号はないだろう」
NOVA「日本のゲーム関連だと、昨年亡くなったすぎやまこういちさんが、従四位の位を贈られたようなものかな。まあ、ゲームの功績だけを認められたんじゃないだろうけど」
ダイアンナ「ゲームデザイナーやアニメーターなどが国から受勲される時代になれば、それらが日本を代表する芸術作品だと公に認められた形になるんだろうけどねえ」
NOVA「今はまだ、そこまでには至っていないってことかなあ。イギリスの方が先に、ゲームを重要な文化と認めた形になるわけだ」
アスト「そう考えると、『火吹山ふたたび』が凄い作品に思えてくるな」
NOVA「すごい作品なんだよ。まあ、作品としては鬼のような所業を書き記しているけど。さて、ズート・ジンマーの死を見届けたパラグラフ36番で、落とし格子を忘れずにチェックすると、青銅の竜の牙(280)が見つかるんだが、こいつは黄金じゃないので、ただのダミーなゴミでしかない」
アスト「青銅がコスモを燃やして、黄金に進化したりは?」
NOVA「そんな展開はないな。次にベンチに座って休んだりした後、また剣を持った白骨が転がったりしているので、予備の剣をゲットしたりして先に進むと洞窟トロールがいる。技術点9なら頑張れば倒せるだろう、とサクッと撃退」
アスト「You1号の技術点8なら、決死の死闘になるところだがな」
NOVA「やっぱり、この辺まで来ると、技術点8で挑むのは無謀すぎると分かって然るべきだと思うが、久々のFFプレイだから強さの感覚が抜け落ちていたんだな。技術点10でようやく、まともに進められると思う。そして、トロールを倒すと、ニンニクがゲットできるので買う必要が全くないことに気付かされる。またハサミムシの耳飾りはただの罠なので身につけないように。運が悪いと即死する」
アスト「運が良くても、運試しをすれば削られるシステムだからな、FFって。とにかく、モンスターの装飾品は危険だな。覚えた」
NOVA「その次の遭遇はトログロダイトだ」
ダイアンナ「トログロダイトって?」
NOVA「D&D由来のトカゲ人の一種だな。ゴブリンやオーク、コボルド、トロールは今どきゲーマーじゃなくても知ってるモンスターだろうが、トログロダイトは明らかにゲーマーじゃないと分からないタイプの種族だろう。トログロダイトの装備している『投擲用ダガー』は必須品になるから絶対にスルーせずに、きちんと『ブーツに差し込む』ように。あとは『矢の石板』もちょっとした合言葉だな」
アスト「必須アイテム、多いな」
NOVA「次のイベントは、地下川があって、人ネズミの渡し守がいるんだが、こいつの請求する金貨を払うと、罠にはめられて下手すると殺されるので、『お前ごときに払う金はない。死ね』と始末するのが正解だ。心を善児にして、サクッと始末しないと生き残れない」
アスト「心を善児に……って、分かる人にしか分からないドラマネタじゃないか」
NOVA「善児と書いて、オニと呼んでもいいぞ。さて、次はダイヤモンド水晶が罠なので欲張らずにスルーして、『穴』と『謎』の2つの試練が待っている。『穴』は技術点12の混沌スライムと、剣が通じない金属モンスターの二連戦が待っているので、全く勧めない。連立方程式で解ける『謎』の試練がお勧めだ」
アスト「連立方程式を知らない小学生なら、どうするんだよ?」
NOVA「50へ進め。すると、次のクイズが待っている。そちらの答えは90だ。頭を使ったご褒美に、本棚で本が読めるんだが、その際に字が小さいので『拡大鏡』が必要になる。拡大鏡で情報を得ると、『186番の竜の牙は風のエレメンタルを召喚し、水のエレメンタルを破壊する』という内容で、これがザゴール戦での必須情報となるわけだ」
アスト「つまり、拡大鏡を買わないと、その情報が手に入らないので、クリア不能になるわけだな」
NOVA「まあ、情報だけノートに記録して、3人めに託すわけだが。『穴』の試練を選ぶと、戦いで死にそうなぐらい苦労する割に必須情報が手に入らないので、明確に外れというわけだ。スライムと戦って、自分もスライムに同化されるモンスター人生を妄想したい人はご自由にってところだな」
アスト「そんな奇特な人間がそうそういるとは思えんが」
NOVA「花粉症ガールの粉杉翔花は、不定形のスライム風味という初期設定があってだな」
アスト「翔花ちゃんだったら、溶かされたっていい」
NOVA「……という女性溶解萌えというジャンルがあって、女性凍結萌えと一部界隈でしのぎを削っているらしい。具体的には『美女と液体人間』とか」
アスト「女の子を溶かすのと、女の子が溶かすのとではジャンルが違うと思うがな」
NOVA「まあ、俺は人外少女萌えを公言しているが、人としての原形を留めないぐらいに変貌してしまうとキツいし、人に擬態できるならいいが、常時、怪人態なのは勘弁。人が化け物になる過程は好きだが、もはや人間性のかけらすら残っていないのは萌えん。マタンゴ怪人になりつつある水野久美はOKだが、マタンゴそのものに萌えるわけじゃない」
ダイアンナ「どうして、そこでマタンゴに話が切り替わるんだ?」
NOVA「おっと、液体人間の話だった」
アスト「違うだろう。『穴』の試練で出てくる強敵カオス・スライム・ビーストの話だ」
NOVA「うむ、イラストがあるが、ただの化け物でちっとも萌えんな。そもそも、スライムと言っても、酸性のよだれを垂らす巨大なヒキガエルの変異モンスターって感じで、別に同化能力も持っていなさそうで、ただ本能のままに獲物をむさぼり食うだけの化け物だ。こんな怪物に萌えられる奴の気がしれん。スライムという言葉に、機械的に反応してしまっただけの俺がいる」
アスト「スライムの話は置いておいて、竜の牙の話を続けろよ」
NOVA「ああ。とある部屋に胸甲が置いてあるので、これは身に付けていい。珍しく当たりアイテムで、これがないと後で死ぬ確率が16%ほど上がる。盾と胸甲があれば死亡率を3分の1まで下げられる」
アスト「それでも、3分の1で死ぬのか。ひどい運ゲーだな」
NOVA「ああ。正解ルートは探り当てた今でも、単純にダイス目の事故で、次のプレイでは死んでしまう可能性がそれなりにある。よく、3回めで運よくクリアできたものだと思うぜ。今回の記事はここまでにしておこう」
アスト「どうしてだ? You2号で進めるだけ進むんだろう?」
NOVA「ああ。チート技を駆使して、ストーリーは最後までチェックしたさ。そして、ラスボスのオルドラン・ザゴールと対決し、最後に負けた。技術点11には勝てねえよ、と痛感して」
アスト「最後の戦いは、結局、能力勝負かよ」
NOVA「こいつを倒すには、やっぱり技術点12が必要だな、と感じて、ここまでの情報を踏まえて、3人めのキャラを出撃させたんだ。次の記事は、3度めの挑戦を語って終わるとしよう」
(当記事 完)