ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「火吹山の魔法使いふたたび」攻略EX

FFコレクション1、完結記念記事

 

リモートNOVA『リバT&ケイPの協力で、「モンスター誕生」を終えたことで、ついに当ブログでFFコレクション1を完全クリアしたわけだ。めでたい』

 

アスト「発売から2年も掛かったのか。遅くないか?」

 

NOVA『別にスピードを競って、早解きを目指すものでもないだろう? 要はどれだけ楽しめたかってことだし、じっくり堪能できたかってことだろう? まあ、サクサク楽しむより、ゆっくり研究しながら、昔の思い出話と、今のワクワク感と、今後の期待も合わせて、至福のプレイ感覚を満喫できているのなら、これ幸いだってことだな』

 

ダイアンナ「念のため、過去記事を振り返ってみるか」

アスト「『盗賊都市』までは、割とサクサク進めていたが、『モンスター誕生』は手をつけるのに、ずいぶんと時間が掛かったな」

 

NOVA『まあ、コレクション1は文字どおり懐かしい思い出メインで買ったが、昨年コレクション2が出るに当たって、「2集めが出るのに、1集めが手付かずのままでは何だか申し訳が立たん」って気になって、とりあえず未クリアな1本を攻略するかって義務感から始めたんだよ。そのときはワクワクではなくて、往年のファンとしての、まあ、歴戦の冒険者としての責務って気分の方が大きかったな』

 

ダイアンナ「いやいや、始めたと?」

 

NOVA『いやではないんだが、一度手をつけると、果てしない底なし沼にズブズブハマるような予感がしたんだな。バッドエンドの深淵を覗き込むような?』

 

アスト「例えがおかしいだろう? せめて、果てしない大海原に漕ぎ出すような覚悟、とでも言えば、プラス思考だろうに」

 

NOVA『では、それで。とにかく、一念発起して、「火吹山の魔法使いふたたび」に挑んだ。そして死んだ(爆)。バカな! この俺がこんなところで死ぬだと? 認めん。もう一度、やり直しを要求する。なあに、たかが火吹山、ザゴールなど若いときは簡単に倒したものよ。ソーサリーのマンティコアに比べれば、ザゴールなどザコも同然、何度蘇って来ようと、倒してみせるわ〜って冒険スピリッツに火が付いてしまったんだよ』

 

アスト「負けたから、本気を出すってことか?」

 

NOVA『というか、「火吹山の魔法使いふたたび」ってずいぶん難しくない? え、ナメて掛かったのは失敗だった? こうなったら、ただの懐古じゃなくて、今の脅威として本気で挑まなければいけないってことか? 面白い、昔とった杵柄ってものを見せてくれるわ。引退していたアランシアの冒険者魂が、現役復帰しちゃるッ! って気分で、まずは1作解いた。ふう、死ぬかと思ったぜ、ゼーゼーと荒い息を喘がせながらな』

 

ダイアンナ「で、続く元祖『火吹山の魔法使い』はあたしが解いた」

 

NOVA『俺が解いたってことだと、記事が思い出話にしかならないんだよな。今現在の冒険譚として攻略記事にするには、やはり初プレイのロールプレイができる娘が必要だ。FF初プレイの娘が、周囲の経験あるサポーターにアドバイスを受けながら、ゲームを楽しむって構造は、まあ学習マンガなどの定番ってことで、記事も書きやすいわけで』

ダイアンナ「それで、あたしが『火吹山』に続いて、『バルサスの要塞』を解いたんだが、『盗賊都市』はどうしてアストに?」

 

NOVA『ダイアンナは魔法快盗ってキャラ付けだからな。敵が魔法使いだったら、キャラ性に通じるものがあるが、ザンバー・ボーンの相手をさせるのは荷が重いとも思ったし、そもそも、お前のキャラ付けって吸血鬼でもあるだろう? ザンバー・ボーンみたいなアンデッド王とは相性がよろしくないというか、娘一人をブラックサンドのような物騒なところに旅立たせるのもどうもなあ、って意識も先立った』

 

アスト「『盗賊都市』よりも『バルサスの要塞』の方がよほど物騒だと思うがな」

 

NOVA『物騒ってのは、危険の大きさって意味だけじゃなくて、悪徳プレイが魅力のブラックサンドのプレイヤーにふさわしいのは、それなりに悪党キャラが板についてる方が楽しく記事書きできるってことだろう』

 

アスト「つまり、アニーよりもオレの方が悪党だって言いたいのか?」

 

NOVA『悪堕ち暴走が怖いのは、ダイアンナの方だな。TRPGにおいて、悪役プレイってのはバランス感覚が難しくて、それができるのは適度なピカレスク感覚と適度な自制心を備えた大人プレイヤーなんだ。心にブレーキを持った経験豊富なプレイヤーじゃないと、悪役演技はままならない。初心者が悪役プレイにハマると戻って来れなくなる危険があるからな』

 

アスト「つまり、オレには自制心があると?」

 

NOVA『お前が悪ノリ暴走しても、ダイアンナがツッコミを入れて止められるだろう?』

 

アスト「まあ、アニーなら止めてくれるだろうな。オレもアニーに逆らうつもりはないし」

 

NOVA『つまり、外付け自制回路があれば、多少ハメを外しても、何とか収拾がつくんだが、ダイアンナが悪堕ち暴走したら、お前はどうする?』

 

アスト「……止めてもムダだと割り切って、付き合うだろうな」

 

NOVA『つまり、悪堕ちリスクの高いのはダイアンナであって、アストが悪徳プレイに走っても、適度なツッコミで収まる環境なわけだ、ここは』

 

アスト「分かったような、分からないような理屈だが、要はオレが悪ノリ暴走しても、ブレーキがかかるから、ブラックサンドみたいな無軌道にしてフリーダムな環境でも対応できるってことだな」

 

NOVA『適材適所と思ってもらえればいい。それに、いつも同じキャラがプレイしているのも、マンネリ感があって、記事がつまらなくなりそうだからな。書き手としては、変化があった方がいい』

 

盗賊都市から危難の港を経た先へ

 

NOVA『それで、「盗賊都市」の次に、発売されたばかりのFFコレクション2所収「危難の港」に進んだわけだが、理由は分かるな?』

 

アスト「『盗賊都市』の続編になってるからだな。一度倒されたザンバー・ボーンがふたたび復活して、ラスボスとして倒す話だから、話がうまくつながる」

 

NOVA『そうだ。「火吹山の魔法使いふたたび」も同じような感じだが、ザゴールの場合、わずか10年で復活したのに対し、ザンバー・ボーンは30年ぶりの復活だからな。懐古色の強いコレクション1に比べても、コレクション2は現在進行形の新作キター感が強い。そこからコレクション3の「アランシアの暗殺者」につながり、さらに最新作の「巨人の影」という一つのゴールに達したわけだ』

 

ダイアンナ「『巨人の影』はまた火吹山の関わる物語なんだね」

 

NOVA『そう。「危難の港」はチャリスから東の月岩山地、ダークウッドの森とヤズトロモの塔、そしてポート・ブラックサンドに至るアランシア西部の中央地域を横断する旅。「アランシアの暗殺者」はもっと北西部の話で、海上の蛇島からブラックサンド、カアドを経てファングに至る旅。そして「巨人の影」は火吹山ふもとの村アンヴィルから始まるという点で、「火吹山ふたたび」とリンクしている面もある』

 

アスト「『火吹山ふたたび』はダンジョンがメインの作品だが、ダンジョンに入る前に、アンヴィル→ストーンブリッジ→カアドに向かうわけだな」

 

NOVA『目的のヤズトロモさんが、疫病に襲われたカアドの人たちを癒すために出張したから、後を追っての流れだが、「巨人の影」ではそのアンヴィルとストーンブリッジ、カアド間の交易模様(異教平原を通る交易路が確立)が背景で記され、うまく話がつながった感を覚えるわけだ。昨年、「火吹山ふたたび」をプレイしていたときは、そういう街どうしのつながりはあまり意識していなかったというか、アンヴィルもカアドも初めて意識する名前だったから、そこを掘り下げて味わう感覚はなかったんだな』

 

ダイアンナ「でも、『アランシアの暗殺者』でカアドが舞台になったんだね」

 

NOVA『3人の暗殺者と戦う舞台になったわけだが、そこからアンヴィルや火吹山へ向かう旅人と一時的に同行することになって、ああ、次に火吹山が舞台になる伏線かなと感じたりも。もちろん、「アランシアの暗殺者」では旅人と途中で別れ、こっちは北のファングに行くことになったんだが』

 

ダイアンナ「火吹山ではなくて、『死の罠の地下迷宮』に続く、と」

 

NOVA『リビングストンの近年のFF作品は、街から街を股にかける諸国漫遊冒険の要素が強くて、ある街に到着すると、関連するシリーズの背景とつながって記憶が喚起される仕様になっている。お馴染みの舞台を掘り下げつつ、新たな事件とともにこれまで知られざる舞台(今回は東の街ハーメリン)が登場して、新規開拓の要素もあって飽きさせない。公式地図が更新されるのも冒険物語が今なお続いている感があって、ただの懐古だけじゃないから、旧作と新作のリンクが楽しめる』

 

ダイアンナ「『巨人の影』は、『火吹山』から始まったシリーズが40周年でまた火吹山に戻り、そこから未開拓の東に通じる物語ってことだね」

 

NOVA『なお、東方の地ケイ・ポンは魔術師ザゴールの出身地とのことで、ファング3部作の3作め、未訳作品36巻の「死の軍団」の冒険の舞台にもなっている。2作めの「迷宮探検競技」のエピローグで、死の罠の地下迷宮を制覇した元奴隷の主人公が栄光をつかみ取り、手に入れた賞金を使って軍隊を編成して、東方に遠征する野心を示すんだが、じっさいに東方遠征に向かった先で、それを阻む混沌の軍勢と激突する物語だ』

 

アスト「大規模戦闘になるのかよ?」

 

NOVA『らしいな。今後のFFコレクションで「迷宮探検競技」が復刻したら、同時に続編の「死の軍団」もセットでお願いしたいというのが、俺の願望だが、それはさておき、「迷宮探検競技」では、ホビットが出ているという話だったな』

 

ケイP『餌だッピ』

 

NOVA「餌じゃねえよ。唐突に出てきて、戯言を口にしてるんじゃないぞ。もう、モンスターの話は終わった。しばらく寝てろ」

 

リバT『はい、お兄さま。しばらく休んで、モンスター脳を落ち着かせないと、また理性や言葉を失ってしまいますよ』

 

NOVA『少なくとも、ホビットを見たら餌と思う癖を直さないとな。で、ホビットだか、ハーフリングだかは、FF21巻のパラグラフ37番にイラスト付きで先行登場していたんだが、そこでは「小さなヒューマノイド」名義で、大グモに襲われている。助けてやると、ビリーボッブと自己紹介して、お礼にいくつかの情報とともに「黄金の指輪」をくれる』

 

アスト「指輪をくれるだと?」

 

NOVA『思いきり、「ホビットの冒険」「指話物語」のオマージュとかパロディっぽくもあるが、その際はホビット名義は使われていない。が、まあ、「モンスター誕生」のホビットと同じ種族であることは、「超・モンスター事典」のハーフリングの項目で明らかにされたわけだな。何にせよ、アランシアのホビット、あるいはハーフリングは、他の大型生物の餌にされがちで、隠れ潜むレア種族なのはまちがいないようだ』

 

ダイアンナ「で、次は『死の罠の地下迷宮』の攻略記事に移る?」

 

NOVA『いや、作者としては、「モンスター誕生」のダンジョンの攻略記事を書くのに疲れて、しばらくはダンジョンに潜りたくないって気分なんだな。よって、次の攻略記事はアストに任せようと思う』

 

アスト「何? すると、舞台がポート・ブラックサンドのあの作品か?」

NOVA『「アランシアの暗殺者」では、ブラックサンドにちょっと寄っただけで、すぐに出て行ったからな。やはり、ブラックサンド成分をたっぷり補充しておきたいと思ってな』

 

アスト「次はオレが主役か。任せておけ」

 

ダイアンナ「ところで、表紙イラストに燦然と光り輝いている宝石は何だ?」

 

NOVA『そいつは「バジリスクの瞳」といって、この宝石を見つけ出すことが目的になるんだな。主人公は、ブラックサンドの見習い盗賊の若者で、正式なギルドのメンバーになるための入会テストで、お宝を探してゲットする能力を試されることになった。「盗賊都市」は都市の外から街に入る展開だが、今作では都市に詳しい住人として街に秘められた暗部を調べて回る話となる。もちろん、盗賊都市と言っても、堂々と盗賊の正体をさらしていいわけじゃない。盗賊を警戒する商人や官警の目もあるわけで、ギルドに所属する前の下っ端は何の後ろ盾も持たないに等しい』

 

アスト「つまり、己の腕と度胸だけで、自分の価値を認めさせようとするアウトローの話なんだな」

 

NOVA『アウトロー視点で、裏社会を覗き込むストーリーは、「モンスター誕生」にも通じるピカレスク・ロマンだと思う』

 

火吹山ふたたびのバッドエンド話

 

NOVA『さて、先に次回予告をしてから、今回の本題に移る。以下が「火吹山ふたたび」のバッドエンド集だ』

 

●8:ヤズトロモに化けたドッペルゲンガーと握手して、生命力を吸収されて、永遠に黄昏の世界で生きる存在と化した。

●16:酸が顔に降りかかり、頬を伝って口に入り、喉まで滴り落ちる。どんなに吐き出そうとしても手遅れだ。

●46:裂け目を飛び越えることができずに、落下して失神。気がつけば、デス・ロードの外科手術を受けて、ザゴール復活のために手足を奪われることとなった。

●74:三本の長槍に背中を貫かれて死亡。

●78:ニンニクの臭いが、首飾りの呪いを発動させる。背負い袋の中の首飾りが刃に変形し、背中から心臓に突き刺さる。

●103:ピットマスターの十本の指先から、赤い矢が飛び出して体中に突き刺さる。

●111:リザードマンの長槍が背中に突き刺さり、重傷を負って捕まる。その後、肉体をザゴール復活のパーツとして奪われることとなる。

●127:審問官に処刑を宣告されて、足元の床が開く。深淵に落下して、悲鳴とともに冒険終了。

●141:審問官を攻撃しようとしたとき、足元の床が開く。深淵に飲み込まれて冒険終了。

●147:無数の武器に襲われ、防戦空しく全身を刃に貫かれる。

●172:トンネルを曲がったところで、落とし穴が開く。数十メートル下の鉄トゲに落下して死亡。

●201:漕ぎ手を失って立ち往生した船から川に飛び込んでところ、オークの矢が3本命中する。川に流れる血が、赤水川の名前の由来として捧げられることとなった。

●207:ゴブリンの毒吹き矢で昏倒し、恐ろしい拷問を受けながら、じわじわと死ぬ運命が待っている。

●208:気がつくと大理石の石板に縛りつけられ、頭がぼんやりする中で、ナイフを研ぐ音が聞こえてくる。冒険もこれまでだ。

●224:マインドベンダーにニンニクは効かずに、嘲笑される。動きを封じられて、ザゴールの外科医たちの手術室に送り込まれる。冒険もこれまでだ。

●228:魔女の呪文で動きを封じられ、記憶消去のヘッドバンドを装着される。記憶のない奴隷となり、冒険は終わった。

●232:マインドベンダーに知力をバカにされ、動きを封じられて、ザゴールの外科医たちの手術室に送り込まれる。冒険は終わった。

●236:矢が正確に急所の喉元に刺さって死亡。

●246:有毒な煙を吸って死亡。

●252:ゴブリンの網に絡みつかれて、動きを封じられる。邪悪な笑みを浮かべて、痛ぶろうとするゴブリンの姿を見て、冒険が終わったことを悟る。

●265:ゴルゴンの凝視を受けて、石化する。

●269:活力奪いの椅子に腰かけてしまい、衰弱死する。

●285:磨かれた鋼の球が、前腕を切り裂き、傷口に潜りこむ。不思議にも血は出ないが、意識は失って、デス・ロードの手術台に送り込まれる。

●299:ハサミムシの耳飾りが耳から脳に侵入して、食い破られる。ザゴールお気に入りの魔力ある暗殺者ブレインバイターの犠牲になった。

●310:少なくとも1本のクロスボウの矢が、首に深く突き刺さり、川に落ちる前に絶命する。

●311:戦士の怪力で首を持ち上げられ、抵抗できずに窒息死する。

●319:オーガーの投げた長槍が背中に突き刺さって、その後、とどめを刺される。

●324:上から落下してきた檻に閉じ込められ、その後、ザゴールの外科医たちの手術室に送り込まれる。冒険は終わった。

●327:ゴブリンの毒吹き矢で即死する。

●338:闇の妖術の秘められたヘッドバンドを身につけて、記憶が失われる。冒険は終わった。

●378:毒の効果で意識を失う。冒険は終わった。

●387:行き止まりのトンネルを調べるうちに、鉄の取っ手を見つける。しかし、取っ手を片側にひねった途端、毒矢が発射され、喉に突き刺さって死亡。

 

NOVA『以前に、ざっと数えたときは20〜30ぐらいとおおよそで書いていたが、じっさいには32項目だった。つまり、「危難の港」よりも多いという結果だ。そんなわけで、今のところ、バッドエンド数の多い作品は「モンスター誕生」「天空要塞アーロック」「火吹山の魔法使いふたたび」がトップ3ということになる』

 

ダイアンナ「バッドエンドの数は、そのままゲームの難易度の基準と考えても良さそうだね」

 

NOVA『今回、数え直したことで、自分が想定していた以上に、本作がデッドリーということが確認できた。本作をプレイしたのは、ゲームブックをきちんとプレイしたのが久々で、攻略記事を書くのも初めてだったから、難易度についても感覚がまだ不確かに思えていたからな。改めて、読み返したところ、本作はFF10周年、50作記念ということもあり、当時のリビングストンが非常に力を入れて書いていたことが分かる。それまでの集大成というか、ジャクソンが多用するパラグラフ・ジャンプの仕掛けを積極的に取り入れていたり、とにかく難解な作品を作って、読者への挑戦課題として叩きつけたような感覚だな』

 

アスト「近年の『危難の港』や『アランシアの暗殺者』は、この作品ほど難しくないもんな」

 

NOVA『たぶん、パフィンブックス版の最終盤である90年代は、ゲームブック経験者の数も多く、難しい作品が受け入れられたんだろうけど、仕切り直しのゼロ年代や、再復活の近年は新規のファンにも合わせて、難易度が抑え気味になっているんじゃないかなあ。少なくとも、技術点や運点が12ないとクリア不能に近いというような作品ではなくなってると思う』

 

ダイアンナ「リビングストンさんも丸くなった、と言われるけど、あたしはまだキツい時期の作品を経験していないんだよね。今のところ難しいのは、ジャクソンさんの作品だと思っている」

 

NOVA『ジャクソン作品は、戦闘がキツいという印象があまりなくて、一番大変な敵がソーサリー1巻のラスボス・マンティコア(技12、体18)という記憶。こいつは戦士だと、最強能力でガチ対決をするしかない、という代物で、魔法使いだと呪文で動きを封じるというテクニカルさに感心させられたわけだが、ジャクソンの作品はパラグラフ選択のテクニカルさが毎回、おおって感心させられる。一方、リビングストン作品は、そこまでおおって感じることは少ないんだけど、やはり多作なのが功を奏して、おなじみの安心感があったなあ』

 

アスト「ジャクソンに比べると、大らかで緩い印象もあったんだけど、『死の罠』でバトルのキツいリビングストンのイメージが付いたよな」

 

NOVA『「トカゲ王」や「雪の魔女」はそれほどでもないという記憶だが、87年に来日した際のリビングストン曰く、「難しい作品の方が喜ばれるようだ」という言葉が印象的。まあ、難しいだけじゃダメで、難しくて、かつ面白いのが解きごたえがあっていいってことだな。難しいだけで、つまらないのはダメと、アーロックが証明してくれたので、面白い作品とつまらない作品の差はどこにあるか、というのが現在の俺の課題だ』

 

他の作家の話

 

アスト「ジャクソンとリビングストンの作品は面白い、ということだが、他の作家はどうかな?」

 

NOVA『今のところ、ここでは「魂を盗むもの」のキース・マーティンと、「天空要塞アーロック」のマーティン・アレンの2人だけしかプレイしていないが、前者はそこそこ佳作で、後者がダメ扱いなのは、やはりキース・マーティンの作品は割と解きやすいと思ったのと、主人公が無色透明な冒険者なのに、ただ一点だけ敵のモルドラネスを倒すべき特長が描写されている点が、俺的に良かったと思っている』

 

ダイアンナ「何だ、それは?」

 

NOVA『モルドラネスは恐怖を武器にする幻術師で、対する主人公は類稀れなる勇気や大胆不敵さの持ち主として、背景から描写されているんだな。そして幻影のドラゴンにも恐れずに立ち向かうことで、バッドエンドの罠を突破するというシーンもあって、主人公の格好良さ、このキャラだからこそモルドラネスを倒せるんだって気持ちに浸れて、最初の設定が首尾一貫しているから感情移入が阻害されることもない。もちろん、モルドラネスというキャラはこちらをバカにすることもあるが、地の文で作者が主人公を嘲ることはしない。

『また、ダンジョン・シナリオとオカルト方面に定評のあるゲームデザイナーという話も(プレイ後に)知ったので、最初に島の地図を見て、冒険の舞台かな、とワクワクしていたら、地図は本編では使われていないというチグハグさとか、あれ? という面もあったにせよ、これはジャクソンとリビングストンの要素を合わせ持つ才人だな、と今では思っている』

 

アスト「どこが?」

 

NOVA『ジャクソン要素は、ソーサリー以降、初めて旧世界を背景にしたゲームブックで、そこに一つの活路を開いた作品という点。そして、旧世界からアランシアに向かう途中の孤島が舞台なので、うまく創始者の作った背景を利用しつつ、自分独自の小ワールドに引き込むことに成功している。そして、立体交差を利用したダンジョンは、「モンスター誕生」のそれを受け継ぎつつ、より仕掛けが豪快で、かつ攻略自由度の高いものになっている。一方のルートで、酸性ガスに追い立てられながら、何とか進み続け、もう一方のルートと地図がうまく合流し、ああ、そういうつながりになっていたのか、と腑に落ちるのは一つのアハ体験と言えるな。ダンジョン攻略って、マッピングの楽しさが物を言うし、別々のルートが上手く合流するのはフローチャートを書いていても、スッキリ感があっていいんだよ』

 

アスト「リビングストン要素は?」

 

NOVA『実は、この作品、大筋のプロットが「盗賊都市」なんだよな。まあ、序盤の島探検は「トカゲ王」に通じるものもあるが、ダンジョンに侵入してからは、「盗賊都市」っぽい』

 

アスト「シティアドベンチャーじゃないだろう?」

 

NOVA『いや、舞台は違うけど、敵に捕まった魔術師アルサンダーの救出任務は、「盗賊都市」のニカデマスさんを想起させる』

 

アスト「それは『危難の港』のニカデマスさんだろう?」

 

NOVA『そうとも言うが、どっちにしてもリビングストンだ。そして、魔術師アルサンダーはラスボス討伐を主人公戦士に丸投げする。一応の助力だけはしてくれるわけだが、この「助言者の魔法使いを見つけ出して、ラスボス退治のサポートをしてもらう」プロットが完全に「盗賊都市」のオマージュだ。それに、モルドラネスの死の恐怖を利用した幻術使い要素は、悪魔の3人よりも、むしろザンバー・ボーンっぽいキャラ像だからな』

 

ダイアンナ「なるほど。初のゲームブック作品で、旧作オマージュを匂わせながらも、自分らしい作品を構築したのがキース・マーティンってことか」

 

NOVA『表紙アートも、今年の5月に亡くなったラス・ニコルソンの美麗な絵で、いかにも幻想的って感じの美しさだ』

アスト「『魂を盗むもの』がリビングストン・オマージュとお前が考えていることは分かった」

 

NOVA『というか、キース・マーティンはザゴールの再復活作品であるFF54巻「Legend of Zagor(ザゴールの伝説)」の作者だし、ザゴール小説の作者でもあるから(いずれもリビングストン名義)、リビングストンの影響を受けていないはずがないんだよ。ザゴールを語るうえで、リビングストンやジャクソンに続いて、外すことのできない御仁だ。まあ、ザゴールはキース・マーティンの作品でアマリリアに異世界転生した流れだから、もはや火吹山とは絡んでいないんだが』

 

ダイアンナ「ザゴールというキャラだけを踏襲して、舞台はオリジナルのものを構築したんだね」

 

NOVA『これは、ザラダン・マーが異世界(地獄とか奈落とか魔界とか)に縁あるキャラとしてデビューし(86年)、バルサスも小説でザラダンに対抗する形で異世界に手を伸ばしたら、女神リーブラの干渉で帰り道を閉じられて、しばらく次元の狭間から脱出できなくなって(89年)、元祖のザゴールだけがどうも扱いが地味だったから、リビングストンが92年に「火吹山ふたたび」でザゴールはもっと凄くて悪い奴だ、と示してFFシリーズの話を終わらせるつもりだったんだが』

 

アスト「FFは50巻で終わる予定だったんだな」

 

NOVA『でも、この50巻の売れ行きが非常に良かったので、もう少しだけシリーズが続くことになったんだ。そこで、このザゴール人気を土台に、キース・マーティンがリビングストンの名を借りて「ザゴールの伝説」および小説群を93年から94年にかけて展開していたんだな。日本では91年にFFの邦訳が終了していたから、その辺の流れがほとんど情報として入って来なかったんだが』

 

アスト「今と違って、インターネットがまだ一般的ではなく、海外情報の入り口が限られていた時代だからな」

 

NOVA『このザゴール・キャンペーンが小説の4巻で完結した翌年、1995年にFFシリーズは59巻でいったん終了することになった。その後、20周年記念の2002年に出版社を変えて(ウィザード・ブックス)、「火吹山の魔法使い」の復刻からのシリーズ再始動。2012年までの10年間のうちに、新作6巻と復刻旧作26巻を商品展開した。この26巻のうち、まだFFコレクションに収録されていない、または予定が発表されていない作品は以下のとおり』

 

●26巻『甦る妖術使い』

●21巻『迷宮探検競技』

●36巻『死の軍団』(未訳)

●14巻『恐怖の神殿』

●54巻『ザゴールの伝説』(未訳)

●4巻『さまよえる宇宙船』

●13巻『フリーウェイの戦士』

●11巻『死神の首飾り』

●20巻『サムライの剣』

●59巻『ミイラの呪い』(未訳)

●53巻『スペルブレイカー』(未訳)

 

NOVA『現在、FFシリーズを出版しているスカラスティック社は2017年以来、6つの新作と15の旧作を出している。このうち旧作は年末のコレクション4(ジャクソンBOX)で打ち止め。残すは新作2本、チャーリー・ヒグソンの「死の門」(67巻)とリアンナ・プラチェットの「嵐のクリスタル」(69巻)だけしかないのが現状だ。もしも、スカラスティック社との契約を重視するなら(普通はそうすると思われる)、その2作の翻訳を優先して、残り3本を旧作からまかなうのがFFコレクション5の方向性と考える。その場合、スカラスティック社の次の出版予定が明確になれば、判断材料になるんだけど、「リビングストンの旧作のどれか」という曖昧な噂しか入って来ない。ならば、ウイザード・ブックス版で一度リメイクされた傑作選が有力候補になると考える次第』

 

ダイアンナ「それでダディの予想は?」

 

NOVA『新人作家の2本に加えて、「迷宮探検競技」「死の軍団」「ザゴールの伝説」と来れば、話題性が十分だと思うな。ジャクソンは「さまよえる宇宙船」しか残っていないのが厳しいが、強引にアメリカのジャクソンと話をつけて「サソリ沼の迷路」を割り込ませるのがサプライズになるかもしれない。少し気が早いが、以上が来年のFFコレクション5への期待できる俺予想ってことで』

 

次回予告

 

アスト「じゃあ、次はオレの『真夜中の盗賊』だな」

 

NOVA『ちょっと待て。俺が「火吹山ふたたび」で語りたい話はまだ終わっていない。「アンヴィルからカアドまでの旅を振り返る」記事はこれからだ』

 

アスト「だったら、違う作家の話に寄り道脱線してないと、一番書きたい話に集中しろよ」

 

NOVA『いや、この記事を書いている途中に、大切なことに気づいてな』

 

ダイアンナ「大切なこと?」

 

NOVA『ちょうど、この記事で当ブログの「ゲームブック&FF」カテゴリーの記事数が100回になったんだ。つまり、今回はFFゲームブック全体の総括の意味合いも持たせたいと思っての話の流れだな。これも、お前たちプレイヤーキャラとして攻略感想を語ったり聞き手になってくれた面々、それといいねを付けてくれたり、コメントを書き込んでくれた読者の方々の応援があってこそだと思う。1年と3ヶ月前はここまでFF記事書きにハマるとは思わなかったからな。この機会に、改めて感謝の意を示しておこう』

 

アスト「そうか。読者代表として、その感謝は喜んで受け止めよう」

 

NOVA『何で、お前が読者代表なんだよ?』

 

アスト「え? オレは元・読者Aという設定からスタートしたんだから、読者代表を名乗っても問題ないだろう?」

 

NOVA『じっさいに読者の方々が、お前に感情移入して記事を読んでいるという声でも聞こえてきたら、認めてやってもいいがな。今はまだ自称・読者代表に過ぎん。読者に感情移入してもらえる優秀な主人公YOUになりたければ、もっと精進するんだな』

 

アスト「くっ、こうなったら次の『真夜中の盗賊』攻略では、『さすがはアストさん、我々の代表なだけはある。華麗な盗賊プレイに痺れる憧れる』と言ってもらえるよう頑張るぜ」

 

NOVA『そんな奇特なコメントを入れてくれる読者は稀だろうけどな。作者の俺ですら、言われた記憶がないし。「さすがは◯◯。そこに痺れる憧れる」なんて言葉で称えられた人間が、現実にどれだけいるのかね。あくまでフィクションのネタだと思うんだが』

 

ダイアンナ「さすがはダディ。何という的確な状況分析力と判断力だ。そこに痺れる憧れる(棒読み)。……これでどうだ?」

 

NOVA『自分で書いていて、恥ずかしいし、虚しくなって来たから、今回はここまで。まあ、100記事おめでたいと言い残しておいて』

(当記事 完)