ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「モンスター誕生」攻略EX

攻略後のおまけネタ話

 

リバT『さて、苦労ひとしおだった「モンスター誕生」攻略ですが、何とか終わらせましたよ』

 

ダイアンナ「おつかれさん。これでFFコレクション1の収録5作品もコンプリートだね」

 

アスト「まさか、ラストが未訳の『嵐のクリスタル』につながるとは思わなかったな」

 

ケイP『ケピッ。やはり、このタイミングでFFコレクションの一環として攻略するなら、今後につながる話としてネタ出しするのが、過去と現在、未来をつなげる物語として、一興だと思ったッピ』

 

リバT『主人公のキャプテンさんの背景設定も、当ブログのオリジナルで構築してもらいました。やはり、ザラダン・マーを倒した主人公のその後は、いろいろ空想妄想の余地があるエンディングでしたからね』

 

アスト「ジャクソン最後のゲームブックだった作品の末尾の文が、『無だ!』で締めくくられるからな。『謎は解けたけど、もやもやは残る未完結っぽい終幕』で、続きが気になるってプレイヤー願望を、うまく昇華できたんじゃないかなあ、と思う」

 

リバT『本作がジャクソン最後のゲームブック作品として、意欲的な金字塔とも言うべき大傑作なのは間違いないのですが、これが最後にしては、すっきり終わった感、読後の満足感は得られない、決して爽快とは言い難いエンディングではありました。そのどこか陰鬱な雰囲気の印象的な締めくくりが、当時から続きはもうないの、ジャクソンさん? と思わせる要因だったわけで』

 

アスト「そこから、小説『トロール牙峠戦争』につながって、もやもや感がすっきりするかと思われたら、30年近くも翻訳が待たされた挙句、ああいうオチだったからなあ」

 

ダイアンナ「どういうオチだ?」

 

アスト「小説の中で行われた戦争は、トリックスターの神ロガーンが取り仕切った天空の神々のゲームだったというオチだ。オークの創造者ハシャクがバルサス・ダイアを推し、悪意の神スラングがザラダン・マーを推し、そして正義と真実の女神リーブラが勇者チャッダ・ダークメインの後援者となって、アランシアの歴史的な戦いを一つのゲームシナリオとして競っていたという背景が、最後に明かされる。ゲームブックの物語を題材に、神々が別バージョンのIFストーリーをゲームという形で競い合っていた内容で、そこにはゲームブックの主人公であるYOU(ヨーレの森の若き魔法戦士や、モンスターに改造された船長)は登場せず、完全にパラレルな物語。言わば、作者が自分の作品をIF改編した、公式2次創作とも言える内容だな」

 

ダイアンナ「う〜ん、つまりはデザイア・グランプリみたいなものか?」

 

アスト「まあ、虚構世界の冒険譚を上位存在の神々が観察したり、遊びとして楽しむメタ構造の作品は、平成中盤から令和にかけてはありふれてしまったので、今となってはジャクソンのアイデアも陳腐化してしまった感だが、80年代末期だと『自分たちの住むこの世界はゲームです』とラストで主人公勇者が知るのは斬新なアイデアだったと思う」

 

リバT『ソーサリーでは主人公勇者を助けてくれる女神リーブラさんが、小説での主人公勇者に相当する戦士ダークメインを、最後の死にそうになった場面から瞬間転移で天宮の神々の元に召喚するラストは、「え? そんなオチあり? 思いきりデウス・エクス・マキナそのままのご都合主義じゃねえかよ!」とツッコミ入れつつ、「でも、ソーサリーでは女神リーブラにピンチを助けてもらったからなあ。それを小説で再現したら、こんな感じになるのか」と納得もできるわけで』

 

ケイP『ゲーム小説だから、ゲームで使われた要素を小説で拾って来ても、ファンは喜びこそすれ、そこにツッコミ入れるのは分かっていない、ということになるッピね』

 

リバT『むしろ、ゲームと異なる部分にもやもやを感じるものですね。コーヴンの村の描写とか』

 

ダイアンナ「何か問題が?」

 

リバT『改めて、ゲームブックをプレイして分かったのですが、コーヴンの村ってザラダン・マーの資金源であるイエローストーン金山が近くにある地元の集落なんですよね。ゲームブックでは、ザラダンの闇の勢力が活性化したので、反ザラダンの機運が高まっており、村人たちはモンスターさんにも敵対的な傾向があります。だけど、小説では「ザラダン卿の庇護下にある村で、ザラダンさんは地元で怖れられつつも慕われている普通の領主として君臨している」わけです』

 

ダイアンナ「へえ、引きこもりのマッドな研究者だと思っていたけどねえ」

 

リバT『ゲームブックでは、いつもガレーキープにいるような描写でしたが、小説ではコーヴン地下の研究所に滞在していて、ガレーキープはバルサス軍に対抗するための秘密兵器みたいな扱い。バルサス軍がコーヴンの村を蹂躙して、攻め滅ぼしたから、反攻作戦のためにガレーキープと亡者軍、異界の霊体戦力を召集し、バルサスの拠点である要塞に攻め入る流れですね』

 

ダイアンナ「ザラダン・マーの脅威にさらされたり、バルサス軍に攻め滅ぼされたり、コーヴンの村も大変だなあ」

 

リバT『戦争を描く以上は、ザラダン・マーも引きこもり研究者ではなく、領主という立ち位置に改変されたってことでしょうね。で、コーヴンの村人も、ザラダンの森の中の兵士訓練所に対して、「困ったときには、そこに避難しろ、と子供たちに訴える」んですが、ザラダンは「戦える男たちは受け入れて、武器をとらせろ。戦えない女子どもまで面倒を見てやる余裕はない」と相変わらずの冷酷ぶり』

 

アスト「さすがに、そこはブレない悪役ムーブか。『領民が困っているのだから、何とかするのが領主の務め』という振る舞い方はしない、と」

 

リバT『ザラダン曰く、「愚かなバルサス軍は、さすがにコーヴンの地下研究所の入り口を発見できなくて、幸いだった。こうなったら、手痛い反撃をしてやらねば、気が済まぬ」という感じのセリフで、あまり領民のことを考えている様子はありません』

 

ケイP『現在は、小説「トロール牙峠戦争」はゲームブックバルサスの要塞」の前日譚というのが公式見解になっているッピが、「モンスター誕生」に対してはどう扱われるッピかね?』

 

リバT『小説では、ヴァラスカ・ルーが死んでいるので、ゲームブックの前日譚にはなり得ないと思いますね。神々のIF改変ゲームでパラレルと扱うのが無難でしょう。無理に話の辻褄を合わせて、一つの時間軸につなげる必要を感じませんが』

 

アスト「で、ジャクソン自身がその辺のつながりをどう扱うかが、『サラモニスの秘密』の注目ポイントの一つだな。ゲームブック『モンスター誕生』を正史と見なすか、小説『トロール牙峠戦争』を正史と見なすか。いろいろな秘密が明らかになる年末が楽しみだ」

 

バッドエンドの振り返り

 

リバT『では、次に攻略中にも気になっていたバッドエンド・パラグラフの数を確認していきましょう』

 

●10:サイ男29番兵とともに、茂み罠に引っ掛かって、ガレーキープ部隊の食料にされる。

●14:闇エルフの弓矢が目を、そして脳を貫いた。

●30:黒い床罠に落下していく。

●35:ドリーの村で罠にハマり、解体業者の犠牲になる。

●36:森小鬼の集団に、毒槍で貫かれる。

●43:ザラダン・マーの忠実な兵士となる。

●47:天候の魔法使いの竜巻に砕け散る。

●60:ドブドロ川に落下する(その1)。

●68:カエル人の罠にハマり、底なし沼で窒息死する。

●71:ドブドロ川に落下する(その2)。

●74:ザラダン・マーの誘惑を受け入れて、ガレーキープの指揮役になる。

●78:イエローストーン金山の労働奴隷になる。

●80:黒い床罠に落下していく。

●83:カエル沼に沈み込む。

●94:イエローストーン金山の労働中に、ドブドロ川に落下する(その3)。

●99:闇エルフの仕掛けた十数本の槍罠に全身を貫かれる。

●105:復活した業火の主に不意を討たれて焼き殺される。

●108:泥スライムに消化される。

●109:吸血モンスターと化して、飢えに苛まれて衰弱する。

●135:シャドウ・ストーカーの剣に心臓を貫かれる。

●175:57の茂み罠に引っ掛かって、ガレーキープ部隊の食料にされる。

●179:十字路の罠に捕らわれ、袋小路の先の落盤で死ぬ。

●194:復活した業火の主に不意を討たれて焼き殺される。

●196:ドリーの村で、老魔女の奴隷になる。

●214:お化け蔦に捕まり、毒を飲んで望まぬ自害を遂げる。

●228:骸骨医師キンメル・ボーンに、手術で心臓を切除される。

●260:闇エルフ集団から逃げようとして、背後から射殺される。

●278:お化け蔦に捕まり、脱出不能のまま、森小鬼の餌食になる。

●286:ダラマスの死のウジ虫の餌食になる。

●287:カエル人の集団に囲まれて絶体絶命に追い込まれる。

●294:ドリーの村で、老魔女の奴隷になる。

●296:隠し扉の先の部屋に閉じ込められて脱出不能

●302:ガレーキープでホブゴブリンの大群に圧倒される。

●305:訓練所で、サグラフに下剋上を挑み、失敗する。

●317:盲目状態で毒スライムに飛び込んでしまう。

●321:ゾンビの群れに全身を引き裂かれる。

●336:茂み罠に引っ掛かって、ガレーキープ部隊の食料にされる。

●338:ドブドロ川に落下中、水面ではなく岩に激突死(その4)。

●339:かまど罠で焼き殺される。

●345:ドブドロ川の上流で、悪魔髪の毒で殺される。

●370:ガレーキープでホブゴブリンの大群に包囲される。

●413:ゾンビから逃げた先の地下室で、槍の罠に転落する。

●418:ドブドロ川に落下中、頭を打って失神。結局、溺死(その5)。

●434:木霊に囲まれて殺される。

●439:ペチャクチャ獣に誘い込まれて、殺される。

●445:黒い床罠に落下していく。

 

リバT『以上、バッドエンドのパラグラフ数は過去最高を誇る46。全部で460パラグラフなので、バッドエンド率は10%。そのうち、ダンジョンで印象的だったドブドロ川に転落するエンドは5回ですね』

 

ダイアンナ「すごいな。これまでのバッドエンド回数の最高峰は、『天空要塞アーロック』の400パラグラフ中34回、続いて『危難の港』の30回だったと記録されているが、それを越える40回以上とは、まさに本作がバッドエンド最高峰と言えようか」

 

アスト「本当に恐ろしいゲームと言えるが、このバッドエンド・リストの中には、脱出不能のデッドエンド・ブロックや、永遠に戦闘が続く無限ループは考慮されていない。つまり、実質的に攻略失敗状態に陥っているパラグラフ数を考えると、本作のバッドエンド可能性はさらに大きくなると言えるだろうな」

 

リバT『さすがに、そこまで計測することに意味はあると思えないのですが。結論として、本作が他のFF作品と比べても、バッドエンドになる可能性が最高クラスに高いということが分かれば十分かと考えます』

 

ケイP『ただ、戦闘で敵に勝てないから先に進めない……というストレスはないッピね。正解ルートを見つけるのが大変なだけで、一度、正しい道順が分かれば、テンポ良く進めて行けるのが本作の魅力だッピ』

 

リバT『正解ルートの必要戦闘をリスト化すると、こうなりますね』

 

●鉤爪獣(東ルートに進んだ場合):技9、体14

ホビット:技5、体6

●鎧の戦士:技8、体9

●屍肉喰らい3体:技6、体6〜7

冒険者のリーダー:技7、体8

●女戦士:技7、体7

●盗賊:技8、体6

●戦士:技8、体9

●革鎧の剣士:技7、体8

●ブラッド・オーク2体:技7〜8、体7

●狂獣:技7(一時的に9)、体8

●村人(ログ):技7、体8

●カエル人:技9、体9

●山賊2体:技8、体9と7

●ゴブリン2体:技6と5、体5

 

リバT『技術点に注目してもらえば分かるように、本ゲームでは倒すべき敵の技術点が最大で9で、能力値面でのボスキャラが最初の鉤爪獣を除けば、カエル人という緩さなんですね』

 

ケイP『でも、カエル沼は重要アイテムの入手場所だし、グロッグ先生の助力がないと抜けられないという大きなイベントのある地。それを考えるなら、能力的にボスキャラ扱いされるのも納得できるというものだッピ』

 

リバT『まあ、グロッグ先生の能力値が技6、体6で、ホビットやゴブリンに毛が生えた程度の弱さで、それなのに主人公を助けるためにカエル人のリーダーに奇襲攻撃を仕掛けるなど、その勇気はまことに敬意を表すべきもの。本人は口にこそ出していませんが、主人公に命を助けてもらった恩義を返すべく、果敢に強敵に立ち向かって散った姿は、英雄の介添役として天晴れの一言に尽きます。こういうキャラへの敬意は、どんな能力かよりも、どんな行動を起こしたか、どんな心意気を示したかで測られるべきものでしょうね』

 

ケイP『偵察ビット1号と同様に、さよなら、グロッグ先生。あんたのことは忘れない……と敬礼と哀悼の意を捧げるッピ』

 

アスト「いや、偵察ビット1号と同格に扱われたんじゃ、グロッグ先生も浮かばれないんじゃないかな」

 

ケイP『アストは、偵察ビット1号をバカにするッピか?』

 

アスト「いや、バカにするとか、それ以前に偵察ビット1号は本編には登場していない、ただの妄想ネタだろう? 本作のプレイヤーの多くがエモさを認めるグロッグさんと一緒にする方がどうかしてる。偵察ビットは、個人の妄想に留めて、他人に同意を求めるなよ」

 

攻略難易度の話

 

ダイアンナ「それはともかく、本作の難易度も決定するんだろう?」

 

リバT『ええ、当ブログの基準に照らして、このようになりました、ですの』

 

★モンスター誕生(難易度8)

 

・ラスボスが強い(X、ボスのザラダン・マーとはパラグラフ選択で倒すのみで、直接戦闘は行わない。攻略のための戦闘難易度も最大技術点が9で、平均程度の能力で十分に攻略できる)

・全体的に罠が多くて死にやすい(◎+、死にやすいどころか、バッドエンドの数の多さと、正解ルートを外れると攻略不能というゲーム性のために、死ぬのが当たり前という状態。これまで最高の◎を凌駕するということから、◎+の特別評価を与えた。点数にして3点扱いである)

・パズル構造が複雑(◎、ダンジョンの構造を中心に複雑なのは間違いないけど、+を付けるほどではないと考えたので、通常評価。暗号とパラグラフ・ジャンプの複雑さは、本項ではなく、次のシステムの項に反映させた)

・ゲームシステムが難しい(◯、FF基本ルールにモンスターの特殊能力、即死攻撃と強固な体皮によるダメージ減少を伴う程度だが、本編中に「本能で行動するので自由に選択肢が選べない」「言葉がうまく扱えない」など特殊な状況とその変化(ストーリー面での進化成長)が多く、それを反映した特殊処理が本作独特のゲームシステムを示している。パズル構造とも組み合わさったゲーム内システムと判断して、基本ルールに付与された中程度のシステム難易度と判断)

・フラグ管理がややこしい(◎、リビングストン作品なら入手アイテムの管理が中心になるが、ジャクソンの場合は入手情報によるパラグラフ・ジャンプなどの条件付けを判断材料とした。それらが結構多いので、本項も高難度と判断できる。なお、これに◎+を付けるべきなのは、現状ソーサリーの魔法ルールを想定している。あれは魔法の効果や、必要アイテムや、消費体力などの効率性と相まって、複雑な処理を要求される。さらに、魔法でない選択肢のVIKとか、巻をまたいだストーリー伏線とかetc. ソーサリーの情報管理難度を◎+と考えるなら、本作は◎が妥当である)

 

リバT『本作の攻略難易度を考えるなら、特別評価の◎+を付け加える必要を感じた次第。それで難易度は8となったわけですが、従来の評価基準を逸脱しないなら、難易度は7にするのが妥当かもしれません。しかし、他の作品と並べて比べるなら、本作の難易度はやはり8が適正かと考えます』

 

・8:火吹山の魔法使いふたたび、モンスター誕生

・7:地獄の館、天空要塞アーロック

・6:バルサスの要塞、危難の港、サイボーグを倒せ

・5:さまよえる宇宙船、アランシアの暗殺者

・3:火吹山の魔法使い、魂を盗むもの

・2:運命の森、盗賊都市

 

アスト「確かに、『地獄の館』と同じ難易度と言われると、こちらの方がより難しいという感じだよな」

 

リバT『そういうことで、本作の難易度は「火吹山ふたたび」と並んで、最高レベルという結果になりました。ただ、中身の評価は違って「火吹山ふたたび」はこうでしたね』

 

・ラスボスが強い(◎、データ的に強い上、弱体化手段がない)

・全体的に罠が多くて死にやすい(◎、致命的な罠が多い)

・パズル構造が複雑(◎、道を間違えると死ぬ)

・ゲームシステムが難しい(X、これは基本どおりで簡単)

・フラグ管理がややこしい(◎、攻略必須アイテムが多い)

 

ダイアンナ「はっきり違うのは、ラスボスの強さとゲームシステムの改変だね。リビングストン作品は、基本ルールをイジることはほとんどないものの、それを徹底して使ってくる。運だめしの多用と、敵の戦闘データが強力なのが多いみたいだね。平均並みの技術点(9や10)では厳しく、11、できれば12が必須と聞くが」

 

リバT『初期の「運命の森」や「盗賊都市」はそれほどでもないのですけどね。やはり、「死の罠の地下迷宮」以降の傾向じゃないでしょうか』

 

ダイアンナ「『死の罠』かあ。難易度はどれぐらいだと思う?」

 

アスト「『危難の港』と同じ6ぐらいじゃないか? 何となくの印象だが。『地獄の館』ほどトリッキーな仕掛けでもなく、『アーロック』ほど破綻したゲームシステムと理不尽な選択肢でヤル気を削ぐ作品でもないと思う」

 

リバT『そう言えば、海外のアーロックのファンを自称する人がいまして、その御仁によれば、「本作は個人的にセーブシステムを付与すれば普通に解いて楽しめる」そうです』

 

アスト「セーブシステム?」

 

リバT『ゲームブックでゲームオーバーになったら、どうしますか?』

 

アスト「フェアに行くなら、キャラを作り直して、最初から始めるよな。まあ、ちょっとした選択ミスなら見なかったことにして、スルーするが?」

 

リバT『アーロックは、シューティングゲームみたいな面クリア形式の物語構造を持っていますので、ある程度、話が進んだ時点のキャラ記録を残しておき、中盤以降は途中で死んでしまった場合、最初からではなく、残しておいた記録のある箇所からやり直すといいそうです。アイテム管理の多いゲームなら、細かく変動する所持品の記録を逐一残すのが大変ですが、アーロックの場合、食料と体力や運などの消耗分だけを記録すればいいとか』

 

ダイアンナ「戦闘で死んだら、戦闘前のセーブデータをリロードして戦い直すというのは、コンピューターゲームでもよくあるが、それだと勝つまで戦うということで、ゲームとしてはつまらないんじゃないか?」

 

アスト「まあ、FFでの究極のチート技は、『戦闘ではダイスを振らずに勝ったことにして進める』『運だめしは必ず成功したことにして進める』という、ゲームのランダム性を一切スルーして良いとこ取りの分岐を読むだけで解いた気分になる……ってのがあるらしいが」

 

リバT『リビングストンの作品は、それでも最後まで進めるようですね。「持っていないアイテムも持っていることにして、それに応じた選択肢を選ぶ」というズルも付け加えれば確実です。ジャクソンの作品は、アイテムや情報に番号が付いて来て、そういう数字操作をしなければ解けないのですが。とりわけ、「地獄の館」以降は戦闘よりも、パラグラフ分岐のややこしさから正解ルートを見つけ出す作品なので』

 

ケイP『ソロプレイの楽しみ方は人それぞれだけど、サイコロを振って一喜一憂とか、体力が減っているときに強敵に襲われた際のハラハラドキドキとか、そういうのも冒険の醍醐味だッピよ。ピンチに陥りたくないから、バトルでは常に勝つとか、運は常に良いとかで進めるのは、ゲームの楽しさを半減させているッピな』

 

アスト「ゲームのストーリーを味わうだけなら、負けていちいちやり直しってのは、タイムパフォーマンスが悪いって考える人間も今は普通にいるってことだろう?」

 

リバT『負けてゲームオーバーってのはイヤですが、最後の戦いで残り体力点ギリギリで何とか勝ってゲームクリアできたってのは、結構、達成感がありますよね。以前に復活ザゴールを残り体力2点で何とか倒せたグランドマスターは大いに喜んでいましたが』

 

リモートNOVA『まったくな。ああいうギリギリの勝利ってのは、誰かに報告したいって気分にもなるが、そのためにブログ記事を書いている節もあったり。「かろうじて勝てた」ってのは、「余裕勝ちだぜ」ってのよりも、頑張った自分を褒めてあげたいし、すごいって称賛してもらいたいのもそっちだな』

 

アスト「で、突然、湧いて出て来たのはあれか? 例の『火吹山ふたたび』EX記事で、バッドエンド語りをするための予告編か?」

 

リモートNOVA『ああ。次回の記事は「FFコレクション1、攻略コンプリート記念」で、「火吹山ふたたび」のバッドエンドおよびダンジョン外の散策記事を書こうかな、と。だが、その前に……』

 

ゲームブックの面白さの基準

 

NOVA『難易度は比較的、客観的な数字化がしやすいと思うが、面白さやつまらなさを客観的に数字化するのが難しいと思っている最中だ』

 

アスト「そりゃあ、面白さは個人の主観が大きいもんな」

 

NOVA『俺がアーロックをクソゲーと評する理由は、いろいろ書いて来た通りだが、同じ死にゲーでも、ジャクソンの「モンスター誕生」は楽しいと感じた。だから、難易度だけの問題じゃないと思うんだな。難易度と面白さを座標軸評価すると、以下の4つになる』

 

  1. 簡単で面白い:初心者にお勧め。火吹山とか、運命の森とか
  2. 難しくて面白い:中級者以上にお勧め。バルサスとか、危難の港とか
  3. 簡単だけどつまらない:初心者が試しにやってみてもいいかも。経験値は積める。作品タイトルは割愛。強いて言うなら、ゲームブックじゃないけど、アドバンストじゃない方のジャクソンのFFRPG。
  4. 難しくてつまらない:マニアックな代物。アーロック。

 

アスト「つまらない代表にアーロックを挙げるのは、露骨に主観的だな」

 

NOVA『まあ、つまらないのにレアすぎて、現在、14万8000円なんて凄い価格が付いているのが何だかなあって感じなんだが。半年前には5万代だったのに、もしかして俺が散々ネタにしたから、価値が上がったのか?』

アスト「そんなわけあるか」

 

NOVA『で、アーロックのつまらなさを客観的に証明するには、面白さの基準というものを示さないといけないので、試みようと思ったんだが、暫定的にこういう指標を打ち出してみるわけだ』

 

・主人公設定(プレイヤーが感情移入できるか否か)

NPCとの絡み(プレイヤーが好きになれるかどうか)

・ゲームシステムの楽しさ(戦闘、謎解きなど、その作品ならではの魅力)

・ストーリー展開の楽しさ(適度なサプライズと納得度具合)

・プレイ終了時の満足感(ラスボス倒してハッピーとか、やりきった感)

 

アスト「客観的と言いつつ、思いきり主観じゃないか?」

 

NOVA『試しに「モンスター誕生」でやってみた』

 

★モンスター誕生(暫定面白さ指数8)

 

・主人公設定(◎、モンスターという特別な背景を用意し、自分の正体を探究しながら、世界の裏面から人間社会を観測する批評精神も込みで、しかもゲームシステムやストーリー全てが主人公の特別さを表現するのに寄与している。独自性と深みのあるキャラ描写で、モンスター気分が味わえるオリジナリティ溢れる設定)

NPCとの絡み(◎、主人公を助けるために命を落としたグロッグさんを始め、モンスターに接触するNPCが良い奴、悪い奴含め、いろいろと味がある。会話が暗号パズルになっていて、それを読み解くなど、会話による情報収集が攻略において重要で、それだけ登場人物との絡む機会が多い)

・ゲーム性(◯、戦闘よりは会話での情報収集や謎解き中心。だから、あえて戦闘難易度を下げることで、プレイヤーの負担を大きくしないようにしている。逆に、従来のFFゲームブックのシステムが、後半になればなるほど、ただの飾りとなって重要視されていない形なので、そこは減点して◎にはならない。基本システムの活用という意味では、やはりリビングストンの方が徹底している感。ジャクソンは基本を逸脱した新規性が魅力)

・ストーリー性(◎、謎解きをメインとしながら、敵サイドを重視した長文背景情報と本編のリンク具合が秀逸。最初はつながりの見えない小説風ストーリーが、主人公モンスターの探索に応じて、パズルのピースがハマるように、視点の異なる物語が二重に重なって豊かな背景が読み解けていく様は圧巻。自分探しの主観物語と、広がる背景世界の奥深さが両面で味わえる構造は癖になるのに、続きが楽しめなかったのが本当に残念。この感覚は、小説じゃなかなか味わえなかったので、久々の新作ゲームブックが本当に楽しみです)

・プレイ終了時の満足感(◯、謎は解けた。事件の犯人は処罰した。推理小説だったら、これでOKです。でも、キャラクター物として、主人公の日常回帰でハッピーエンドという収まりの良さが宙ぶらりんで、ガレーキープという魅力的、かつアランシアの世界的視点からも重要度の高そうな超兵器のその後も含めて、いろいろと中途半端なもやもや感は否めない。後日譚的な小説でもあれば別だけど、発表された小説はゲームブックの背景を利用した別ストーリーで、本作の主人公を補完するものではないんですよね。ガレーキープの船長がその後どうなったかという噂話でも聞けたら、しみじみとした満足感、アハ体験が得られるので、そうなった暁には不満要素が消えて◎に到達するかも。やっぱり、これが最後かと思うと、きれいに終わって欲しかったんだけど、最後じゃなくなったから、後に続く作品の出来次第で評価も変わって来るかな)

 

 

NOVA『で、比較対象までに、アーロックだとこの通り』

 

★天空要塞アーロック(暫定面白さ指数3)

 

・主人公設定(X、個性的な人物像なのは認める。厨二病の作者が設定したかのような、俺つえー的な装飾過多、偉大なヒーローとしての背景情報は、うまくハマれば、時代の先を見据えたなろう系主人公として評価できなくもない。しかし、読者がプレイするゲームブック本編での描写が支離滅裂で、背景の偉大なヒーロー像は何なの? と言わんばかりの行き当たりばったりなドジキャラで、作者に嘲られて、プレイヤーとしての快を感じさせない。凄い設定なら、それに応じたストーリードラマとして、俺凄え的な擬似感覚をプレイヤーに味わわせてくれたら首尾一貫して満足だったものを。背景設定が本編にうまく活きていない悪例です)

NPCとの絡み(◯、ここはストーリーとして普通に評価できる面もある。ただし、最初のセイウチ王様とか、ドクター・ストレンジシングみたいな助力者を除けば、雇い主のドケチ王さまを含めて、プレイヤーの心をやたらと逆撫でしてくる連中が多くて、快よりも不快を感じることが多くて、イヤなゲームマスターの卓についたかのような味わいを覚えた。いや、敵役がムカつくのは分かるけど、自分の仕える王さまにムカついてどうするんだ? おかげで悪役のマッドサイエンティストに感情移入してしまって、銀河征服の協力者に本気でなりたいという野心を開花させられたよ。ある意味、貴重なストーリー体験とも言える)

・ゲーム性(X、本当にテストプレイやったのかよ、と思わせるぐらい、デッドリーすぎる乗り物バトルのルールを始め、何かと体力や運点を削り、リソース消耗だけを狙い、ちっとも回復させてくれない、ひたすらプレイヤーをイジメるだけのルール運用が最悪です。プレイしていて楽しくないというか、少なくとも俺つえーな主人公設定に反したゲーム性だな。それだけアーロックの冒険が過酷なのかという話だったら、ああ、デッドリーな世界観なのね、と思わなくもないけど、ストーリー文は緩いB級SFなんだよね。だったら、ゲームシステムも緩くして、大らかな波乱万丈ストーリーを楽しめるバランスにして欲しかった。緩くてコミカルなストーリーの雰囲気なのに、それに反してやたらとデッドリーなのは、ブリティッシュ・ジョークの類なのか?)

・ストーリー性(◯、文章の雰囲気や、しばしば脱力するNPCとの絡みを除けば、物語の大筋は波乱万丈の王道冒険ストーリー。惑星間を股にかけ、目的地の要塞惑星に到着後は、野外からダンジョンや都市内イベントなど、いろいろな要素をたっぷり詰め込んで、冒険物語としては盛り沢山である。アイデアに満ちた多彩な展開は、物語の素材としては面白い。退屈でつまらないストーリーではないのは保証できる。まあ、手の込んだ装飾過多な文体や、こだわりのある独自のゲームなど力を入れた部分が、物語の面白さに直結せずにせっかくの王道冒険SFを台無しにしているうえ、サプライズ展開が主人公の活躍とは関係ないNPCが勝手にストーリーを進めている点で、◎にはならない。肝心な箇所で、主人公の決断が物語を動かさないと、YOUが主人公とは言えないと思うんだ)

・プレイ終了時の満足感(◯、アーロック王になる。このラストを素直に受け入れられるかどうかで満足感は変わってくる。宇宙貴族の肩書きを持つ成り上がりの英雄的冒険家が、王命を受けて、反逆者の潜む辺境の要塞惑星に旅立ち、潜入討伐任務を成し遂げる。敵ボスが自滅して、その仕出かした騒乱の後始末をするという終盤のドンデン返しがちょっとしたサプライズだが、それはいいとして、問題はその後。任務を達成してから、何とか母星に帰還し、パトロンの王より借り受けた軍隊で辺境惑星を一気に制圧し、我が物として統治するまでの駆け足エピソードが主人公の業績として語られて、王になって、めでたしめでたし……って内容の後日譚がプレイヤー不在の押しつけストーリーとして示される。そんなに呆気なく、王になっていいの? 子供だましのファンタジーになってない? もっとSFらしく、リアルな展開で王になるまでの苦労譚とか、匂わせたりしないの?

 既存のFFだったら、王になるところまでは描かず、『使命を無事に果たした。あとは何とか母星へ帰る宇宙船を調達できれば、約束どおりアーロックの統治者となることも夢ではないだろう。この辺境惑星をうまく統治できるかは、これからのきみの手腕にかかっている。だが、ル・バスティンの野望をくい止めたきみならできるはずだ。未来のアーロック王になる運命がきみを待っている。完』というまとめ方になると思う。そして、それこそが、ゲームブックとして想像をかき立てるハッピーエンドではないか。

 でも、プレイヤーがタッチしないところで、任務達成→あとは短い文章で、おざなりに『きみはアーロック王になった、おめでとう』と言われても、そこにリアルを感じないのが大人ってものだ。せめて、道中で宇宙貴族らしさを発揮するエピソードがあって、統治者としての振る舞い方を学んでいる主人公像を示したり、アーロックの地元勢力との同盟とか、将来の王になる基盤をわずかでも描いていれば、その結末として王というゴールが見えてくる。そういうゲーム道中の丁寧な伏線を示さずに、ラストでサプライズ的に『王になった』と言われても、それで満足だろうか?

 もちろん、物語の最初にパトロンの王から『ル・バスティンを倒せば、アーロックの統治は任せる』という約束は取り付けてある。これが中世騎士道ファンタジーなら、王の権力の及ぶ範囲で開拓領を受領する物語は受け入れやすいけど、宇宙SFで惑星規模の統治を考える場合、地元勢力との折衝交渉は必然で、そういう統治機構の構築などの提示をすっ飛ばされると、とたんに話が嘘っぽくなる。そして王になる物語が、プレイヤー不在のままのエピソードとして強引に結論づけたのは、YOUの決断によって物語が動く主人公性を放棄し、プレイヤーの意図と関係なくNPCの判断でしばしば勝手に物語を進めてしまう、この作者の悪癖が見られるな、と。

 ゲームとして、そういう押しつけられた感が気にならないなら、児童向きおとぎ話みたいな夢あるハッピーエンドで満足◎だろうけど、自分はそこに素直に乗りきれず、オリジナル補完を要した次第)

 

アスト「結局、主観の評価は免れないな」

 

NOVA『この評価方法で、うまくまとめられるかは、他の作品でも試してみないと何とも言えないな。例えば、「火吹山」が面白いのは確実だが、主人公設定X、NPCとの絡みX、ゲーム性◯、ストーリー性◯、終了時の満足感◎の4点ぐらいだと思うんだ』

 

アスト「主人公性については、無色透明な主人公像は、プレイヤーとの一体感をともなうという意味で、◯を付けてもいいと思うけどな。Xを付けるべきなのは、背景設定とゲーム内描写がチグハグで感情移入を絶たれてしまう作品だと思う。設定の描写が『らしくない』と感じたら、ゲームとしてプレイしていて興醒めだからな」

 

NOVA『なるほど、それは一理あるな。小説やアニメなどのキャラ立ちした主人公と、ゲームブックのしばしば無個性な主人公(個性付けはプレイヤー次第)を同列に評価してもダメってことか。大事なのは、プレイヤーが感情移入しやすいように、作者が文章描写しているかってことだな』

 

アスト「無個性ゆえの自由なキャラ描写も、ゲームブックの醍醐味だからな。『盗賊都市』の主人公もそういう方向性だろうし。キャラ立ちがどうこうよりも、その冒険物語にきちんと噛み合った主人公描写かってことだろうな。『盗賊都市』に侵入するのに、規律正しい聖騎士みたいなキャラじゃ冒険を楽しめないだろう?」

 

NOVA『「きみは監獄都市ゴッカンの裁判長だ。気がつけば、ヤンキー都市ンコソパの国王の体に入れ替わってしまった。きみは自分のアイデンティティを維持するために、この事件を早急に解決しなければならない。しかし、ンコソパ住人のフリーダムさには耐えがたいものがある。住人を片っ端からつかまえてゴッカンの監獄に送り込むか、ンコソパ国王らしく住人の犯罪行為を見てみぬフリをするか?」って感じか』

 

アスト「キングオージャーをゲームブックにしてるんじゃないぞ。まあ、キャラの個性については、その作品をプレイする人間の感情移入をどう高めるか、特殊設定があるなら、本文の文章もそれに合わせてどううまく描写するかが、作者の腕の見せどころってことだな」

(当記事 完。次回、「火吹山ふたたび」攻略EXにつづく)