ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「モンスター誕生」攻略感想(9)

地上マップ(西部編)

 

リバT『ドリー三姉妹からスカル藻探索のミッションを受ける前は、墓場か東の〈よじれ樫の森〉しか探索ができないのですが、ミッションを受けた後は、北西南まで探索範囲が広がるのが、攻略のポイントですね』(Xマークはバッドエンド。緑字は記事内で未攻略な場所)

 

カエル沼←ーー→ドリーの村X

      ↑  ↑        ↑

   130標識  ↑        ↑

     ↑   ↑  ↑  ↑

逆風平原前←96←鴉←墓地近くの建物→畑と村人→よじれ樫の森X

     (107)  ↓(スタート)

      ↑    ↓           

     グロッグコーヴン

 

リバT『攻略手順としては、墓地左の建物から南のコーヴンに行き、西でグロッグを助け、逆風平原前で予言者ロシーナの占いを聞いてから、北上してカエル沼でスカル藻を見つける流れです。カエル沼(ブ・フォン・フェン)は実のところ、絶対死ぬデッドエンド区画の一つなんですが、グロッグが同行している場合だけ、パラグラフ・ジャンプによって脱出できるという仕掛け付き』

 

ダイアンナ「普通に示されたパラグラフどおりに進むと、必ず死んでしまうんだけど、特定の条件を満たして、パラグラフ・ジャンプの操作を行なったときだけ、秘密の抜け道パラグラフを見つけることができて、隠された物語が開示される、と」

 

アスト「言わば、パラグラフ・ジャンプというフラグを立てないかぎり、どうやってもデッドエンドを免れないのが本作の特徴だな。いかにして、隠されたパラグラフを見つけるかが攻略の鍵、と」

 

リバT『「地獄の館」や「サイボーグを倒せ」でピンポイントで見られたパラグラフ・ジャンプの仕掛けが、本作では幾重にも張り巡らされ、隠し扉や、攻略ヒントや、隠された真実を暴くなど、謎が次々と解放されていく醍醐味を味わえます。今記事はクライマックス前の謎解き編、能動的に仕掛けを見抜いた者だけが味わえるアハ体験を擬似的に実感してもらえる記事を目指そうと思います』

 

ケイP『ここまで数多くの謎が仕込まれたゲームブックは稀だッピね』

 

リバT『主人公の正体すら不明ですからね。まあ、最終パラグラフの460番を読めば、あっさり分かるのですが』

 

ケイP『ガレーキープの船長だッピか』

 

リバT『問題は、そのガレーキープがどこから来たか、です。東方から来た、という話ですが、東方のどこかは具体的には分かっていないし、そもそも「ガレーキープの船長」という、おそらく名誉ある大役を仰せつかって西方に飛来した主人公が故郷でどういう立場にある人物だったのか、また人間としての能力がいかほどなのか、全てが謎に包まれています』

 

アスト「確かにそうだな。モンスターのときには使えなかったが、実は凄腕の魔法戦士で、エルフの魔術の煙の力を使いこなせば、ザラダン・マー以上の威厳をもって、船員を平伏させることができるのかもしれない」

 

リバT『「特殊能力:ガレーキープの船長。この能力を発動すれば、ガレーキープに所属する船員全てを支配できる。船に所属する者全てが船長に従属し、命令には逆らえず、また敵対行動をとることもできない。ただし、船の乗組員という自意識を持たない者には無効である」ということであれば、現在、船員となっているマーの配下の兵士たちも主人公には逆らえません』

 

ダイアンナ「モンスターから人間に戻って、持ち前の怪力や固い表皮は失ったけど、それを遥かに凌駕する凄い特殊能力を備えていたのかもしれないのか」

 

リバT『あくまで妄想ですが、仮にもガレーキープの船長を任されるほどの人物。ただの名目上の肩書きだけではなく、将としての才覚や、類稀なる戦士としての力量、英雄としての神秘の力などが解放されたと思えば、最後のシーンの後も絶望ではなく、希望を感じることも可能でしょう』

 

アスト「ザラダン・マーによって妨害されたが、そもそもガレーキープが何の目的でこの地に飛来したのか、主人公の本来の使命は何なのかすら分かっていないからな。実は、アランシア西部に侵略戦争を仕掛ける前の先遣部隊、威力偵察の一環かもしれないし」

 

ダイアンナ「だったら、ザラダン・マーが結果的に、アランシア東方からの侵略を妨害していたってことになるのか?」

 

アスト「知らん。あくまでテキトーを言っているだけだ。それこそ、本作の主人公はザラダン・マー襲撃時の記憶を最後に取り戻しただけで、それ以前の背景情報が語られていないから、人間時代のキャラ像が相変わらず不明なんだ。分かっているのは、むざむざ死を受け入れるよりは、恐るべきマランハの実験台にされても『ザラダン・マーへの復讐を誓う』という誇り高さ、意志の強さを備えた勇敢な人物というくらいだ」

 

リバT『あと、モンスター時代の記憶が残っていれば、いろいろとトラウマをわずらいそうですね。船長時代の部下を(そうと知らずに)虐殺し、むさぼり食ったことがザラダン・マーによって明かされ、衝撃を受けたりもしたわけですから、それで平気であれば、最初から人間性が壊れているとも言えますし』

 

アスト「実は、人間の時の方がモンスター以上に恐ろしい凶悪な人物像だったのかもしれないな。ガレーキープは東方の故郷を追い出された海賊船か何かかもしれないし、ザラダン・マーから船を取り戻した後は、ザラダン・マー以上の脅威として、この地に君臨する可能性もゼロじゃない」

 

ケイP『それだと、最後に人間に戻れた時こそが、真の「モンスター誕生」なのかも知れないッピね』

 

ダイアンナ「いろいろ好き放題、語っているが、『サラモニスの秘密』が本作の続編であれば、その後のガレーキープの顛末も語られるかもしれないし、本作の未解決の謎は謎のまま放置されるかもしれない」

 

リバT『分かっているのは、英文サイトの登場人物の一覧にタイタン世界の神々の名や、バルサス・ダイア、ザラダン・マーの名が挙がっていて、実は本作ではなく、パラレル設定の小説「トロール牙峠戦争」を受け継ぐ話かもしれないし、タイトルが「秘密(しかもSecretsと複数形)」と言われている以上は、また様々な興味深い謎解きができることを期待しております』

 

アスト「今だからこそ、少ない根拠でいろいろと妄想与太話ができるってことだからな。確定情報が出た後だと、単なるホラ話かもしれないわけで」

 

ケイP『限られた情報から、想像を広げるのも乙なものだッピよ。もちろん、後から事実が分かれば、自分の間違った予想にツッコミを入れたり、修正したりするのも込みってことで』

 

リバT『仮説と検証があってこその科学的な態度ですからね。自然科学だけでなく、文系的な物語研究でもそれは変わりません。まあ、データに基づく厳密な計算に比べて、検証方法が文書史料に基づくフワッとしたものってだけで』

 

アスト「後から新しいテキスト(作品)が発表・発見されたら、これまでの常識が覆ることだって有り得る話だと」

 

リバT『実は、火吹山の魔法使いのザゴールが、バルサスやザラダンと結託して師匠を殺したという公式設定も、ジャクソンの小説内では「ザゴールは師匠殺しには加担していない。むしろ師匠を殺した他の2人に憤慨して、袂を分かった」という設定になってますし、リビングストンの描くザゴール像と、ジャクソンの描くザゴール像には違いがあるようです』

 

ダイアンナ「ザゴールについては、また別作品の記事で考えるとして、そろそろ本作の攻略に戻らないか? 前置き与太が長すぎる」

 

リバT『了解しました。では、改めてコーヴンの村に参りましょう』

 

コーヴン

 

 石柱(=墓場)の間をぬけて南に少し歩くと、そこはコーヴンの村だった。コーヴンは農村であり、村人たちは邪悪な力ーー日々強大になっていくザラダン・マーとその冷酷な部下たち、あるいはドリーに住む魔女ーーの恐怖におびえながら細々と生活していた。(パラグラフ95番より)

 

リバT『ということで、モンスターさんは南のコーヴンの村にやって来ました。村人たちは恐ろしいモンスターの姿に怯えて、それぞれの家に隠れていますね』

 

ケイP『石は飛んで来ないッピか?』

 

リバT『今はまだ様子見段階です。覚悟を決めた村人が動き出すまでに、用事を済ませた方がいいでしょう。看板を見ると、食料品店と薬屋の文字が目につきました』

 

ケイP『買い物ができるッピか?』

 

リバT『お金を持っていますか?』

 

ケイP『狂獣の部屋で、人肉を食べると金貨2枚がゲットできたッピよ』

 

リバT『だったら、店で買い物をすることも可能ですが、推奨できません』

 

ケイP『どうして?』

 

リバT『ここで買い物に時間を費やしてしまった場合、後から西に向かってみると、グロッグがすでに殺害されてしまっているからですね。グロッグを同行させるためには、コーヴンで何もせずに急いで西へ行き、彼を人間たちから救ってやらないといけません』

 

ケイP『だったら急ぐッピ』

 

リバT『それはそれとして、一応、コーヴン村での買い物イベントの紹介ぐらいはしておきましょう。食料品店では、モンスターが店に入って来たことで怯える店主に対して、無言で金貨を差し出すと、店主はビックリしながらも、額に応じた食べ物を売ってくれます。金貨1枚で体力4点回復でき、金貨2枚でさらに携帯食に最適な「ホウジョウ木の実(アバンダンス・ナッツ)」を付けてくれます。これはいつでも体力4点回復できる保存食ですね』

 

ケイP『親切な店主さんだッピね。お礼に歯をむき出しにして、にっこり微笑むッピよ』

 

リバT『怖いからやめて下さい。そもそも、モンスターさんは店に入らずに、村を素通りしているのが正史ですから。今のはあくまでIFルートの紹介です』

 

ダイアンナ「お金がないときはどうするんだい?」

 

リバT『盗むという選択肢があります。店主は怯えて文句が言えませんので、食べ放題です。ただし、運だめしが必要です。成功すれば美味しい食べ物を満喫できて、体力4点が回復できますが、失敗するとうっかりネコイラズを食べてしまい、体力3点を失うリスク付き。盗みにはリスクが付きものという教訓ですね』

 

アスト「どっちにしても、店に入った時点で、バッドエンド確定じゃないか」

 

リバT『本当に、行動の自由度はあっても、正解の攻略自由度は少ないんですね。正解ルートを進むだけだと、楽しいイベントをスルーせざるを得ないのが本作の残念と言えば残念なところ。だからこそ、攻略を度外視した自由な散策をIFルート的に楽しんでいるわけですが』

 

ダイアンナ「一応、薬屋ものぞいて見るか」

 

リバT『黒ローブの老人が薬草調合をしている最中ですね。目が見えていないのか、モンスターの姿に怯えることはありません。暴力的な行動をしない限りは』

 

ダイアンナ「できるのかい? 暴力?」

 

リバT『できますよ。老人を殺害して、肉を食べて、体力4点回復することが』

 

アスト「他に類を見ないほど、酷いゲームだ(ほめ言葉)」

 

リバT『まあ、普通はそんなことをしませんけど、モンスターさんは普通じゃありませんからね。人間では禁忌の人肉嗜好も、モンスターだったら許される。気分は、仮面ライダーアマゾンズです』

 

アスト「昭和じゃなくて、平成の複数形の方だな。将来、黒歴史化しても不思議ではない衝撃の問題作」

 

リバT『それはさておき、暴力に走らず、理性的に振る舞うなら、老人は調合を終えてから、改めてモンスターさんに向き合います。「なんと、化け物じゃないか!」と今ごろ気づいたのか、とツッコミ入るぐらい、自分の作業に集中していたようですね。この老人ユーフィディアスは薬の材料を買い求めに、ドリーの村に行くことが多く、ミュータント的な怪物の姿は見慣れているとのこと。そして身震いしながらも、癒し油で体力を完全回復してくれたり、呪いを解いてくれたりします。ダンジョン内で受けた呪いは、ここで回復することができるんですね』

 

アスト「でも、ここに来ると攻略失敗なんだから、実質的に呪いの解除に意味はないと思うな」

 

リバT『それは結果論であって、初見じゃ気付かないのですから、ここで呪いを解いてもらって喜ぶプレイヤーさんだっていたはずです。それはそうと、この老人は「スカル藻の種」を持っていたのが、切らしていたので、「ドリーの村に買いに行かないと」と独り言を言ったりします』

 

ダイアンナ「そう言えば、こっちはスカル藻探しのミッションの途中だったね。この言葉を信じると、スカル藻を求めて、ドリーの村に行ってバッドエンドになる可能性もあるのか」

 

リバT『実は、このゲーム、悪意ではなく、決して嘘でもないのに、素直に信じるとプレイヤーをゲーム攻略の観点で引っ掛ける類の情報を出してくるNPCが何人もいるのですね。今さらながら、以下の情報にご注意』

 

●ダンジョン内のサイ男:ダラマスを怒らせるなと言ってきたり(倒さないとダンジョンを脱け出せない)、訓練所に行けと言ってきたり(バッドエンド区画の一つ)、本人の立場では親切に言ってくれているのだけど、その言葉に従うと攻略できない。

●魔術師ハニカス:既述だが、ペチャクチャ獣をスルーしてまっすぐ北へ進むと、〈エルフの粉〉を取り落とす。まあ、〈エルフの粉〉の力を入手できたのも、間接的にはこの人のおかげというのはザラダン・マーとの会話で判明するんだけど。

 ザラダン・マーにやれと言われた仕事(〈エルフの粉〉の処分)を、うっかり放ったらかしにしてしまうのは、優秀な事務係とはとても言えないですね。自分の興味にかまけて、うっかり大事なことを忘れて……というのは、物語では面白いキャラ性ですが、上司としては要職に付けられない人間ってことですな。まあ、ザラダン・マーも厳しいブラック企業の経営者みたいなところがありますので、この辺の企業内人間関係が大人になってから想像できて、面白かったり。

●薬屋ユーフィディアス:そもそも出会った時点で、攻略失敗というキャラの一人ですが、「スカル藻がドリーの村で手に入る」という情報で、引っ掛けられた人はどれぐらいいるのか? まあ、ドリーの三魔女がスカル藻を欲しがっているという時点で、今ではドリーの村でもスカル藻の在庫を切らしていると推測はできるのだけど。

 せめてここでモンスターさんが「スカル藻について質問できたら、専門家の彼から情報をもらえたかもしれない」のに、モンスターさん、言葉の読解と聞き取りはできるのに、発話ができないんですね。コミュニケーション手段は、うなずいたり、身振り手振りのジェスチャーだったり、無言とか、うめき声を上げたりする程度。

 ブログ記事の筆者は、攻略記事の途中まで勘違いしていて、モンスターさんは喋れるようになっていたと思い込み、ケイPにも(3)から喋らせていた。もしも、モンスターさんが喋れないから、ケイPもケピッとかケピピンとしか喋れないという状態を厳密に続けていたら、記事書きがどれだけ困難だったろうか(苦笑)。

 なお、ジャクソンさんの喋れないモンスターさんのリアクションも、書くときは結構、苦労していたと思うけど、実は『ドラゴンクエスト』の主人公と同じなんですね。限定されたコミュニケーション能力ゆえの縛りプレイというか、NPCが積極的に話しかけて来て、寡黙な主人公を誘導してくれるとかは、次のグロッグの登場で頂点に達します。

 

ハーフオークのグロッグ

 

リバT『さて、コーヴン村で食料品店や薬屋でのイベントを経由してから、西へ行くとハーフオークの死体が無惨に転がっております。死体を調べると、近くに金貨3枚が転がっているので、拾うこともできますし、彼の死体を食べて体力を4点回復することもできます』

 

アスト「仲間になるかもしれない相手の死体を食べるのか。なかなかえげつないな」

 

リバT『まさか、そのせいで攻略不能状態に陥っているって、初見では気付きにくいでしょうね。「モンスターの身では、人のお店で買い物なんてできるはずがない」という良識で、さっさと村を出て行った高校時代のグランドマスターNOVAは、割とあっさりグロッグを仲間にすることに成功したそうですが』

 

アスト「村外れで色黒のハーフオークが屈強な人間に虐められている。それを義侠心で助けに入るんだな」

 

リバT『人間に味方して、グロッグを蹴り飛ばして始末するって選択肢もあるんですね』

 

ダイアンナ「自分で攻略フラグを踏みにじるのか。本当に行動の自由度は高いんだな」

 

ケイP『弱い者いじめは格好悪いッピ。ハーフオークを助けて、お礼に竜宮城へ連れて行ってもらうッピよ』

 

アスト「浦島太郎かよ。下心ありの人助けは偽善者じゃないのか?」

 

ケイP『偽善でも、助けないよりはマシだッピよ。他人の善行を偽善と批判するのは、助けない自分を正当化する嫉妬心の現れで醜い心根だッピ』

 

リバT『まあ、これも偽善という言葉が独り歩きして、軽々しく使われているみたいですね。真の偽善とは、下心ありの善行ではなくて、「相手を陥れるために善行を装う確信犯」を称するのであって、悪意を見せかけの善行で覆い隠す詐欺的な代物。ささやかな下心付きの善行まで、偽善呼ばわりされる風潮は、善意を無償のボランティアみたいに美化しすぎだと考えますね』

 

ダイアンナ「何でもかんでも偽善と批判するのは、思春期にありがちみたいだね。人の親切心や善意、真心を信じられなくなった反抗期の人間が、よく使う言葉に分類される。少なくとも、真っ当な大人は他人のことを偽善者などと薄っぺらい言葉で批判したりはしないものだ。人の心は善悪という単純な二元論で片付けられるものじゃないからな」

 

ケイP『ゲームブック的には、ここでグロッグを助けないと攻略失敗するから助けるってのは、立派な動機になるッピ』

 

アスト「まあ、助けると得だから助ける。道理だな」

 

リバT『でも、初見だと得か損か分かりません。ですから、文章での記述やイラストから、そしてこれまでの物語の成り行きから、プレイヤーの情緒的に助けたいと思わせるかがゲームブック作家のセンスと考えます。「何でこんな奴を助けないといけないんだよ」とプレイヤーや読者に思わせる登場人物を、それでも助ける主人公には感情移入できるでしょうか?』

 

アスト「単に『優しいから』という性格だけでは、納得できないよな」

 

リバT『グロッグを助ける情緒的な理由は、「人間に迫害されている人とオークの合いの子だから」という事情で、主人公モンスターさんと境遇的にもかぶるからですね。主人公も、モンスターでありながら、プレイヤーは当然、人間なのでしょうから、人間とモンスターの両面をこれまでのプレイで意識していたはずです』

 

ケイP『えっ? オラは人間だッピか?』

 

リバT『アシモンは、人間と契約することで、人間性を学んで来た、と理解しておりますが?』

 

ケイP『ああ、人とコミュニケーションを交わせるという意味では間違えていないッピね』

 

アスト「オレは元・人間の読者Aだが、未来に飛ばされて、サイボーグのスピードAになったからな」

 

リバT『アストさんは馬でしょ』

 

ダイアンナ「馬だよな」

 

ケイP『馬だッピ』

 

アスト「馬じゃねえよ。馬に変身したことがあるってだけで、本質は人間だ。まあ、馬には親近感があるのも事実だが」

 

リバT『大切なのは、人間に迫害されている半人間を助けることで、モンスターさんの立ち位置が鮮明に反映されるということです。実はジャクソンさんのゲームブックで、冒険の同行者はミニマイトのジャンに引き続き、このグロッグで2人めです』

 

アスト「いや、『さまよえる宇宙船』では主人公船長の他に、乗組員複数のパーティー制だったが?」

 

リバT『SFは除外します。あくまでファンタジー世界のタイタン内で、同行者第2号ということで、このグロッグは大活躍をします』

 

アスト「まあ、ミニマイトのジャンは、魔法使いにとっては迷惑な奴だったな。年末のソーサリー復刻では、またミニマイトのジャンの話題が増えそうだが」

 

ダイアンナ「何でもいいが、グロッグを助けるんだろう? 難しいことを考えずに、助けたいならさっさと助けろよ。細かい理屈よりも、助けたいと思った。そういうシンプルな原動力が大事じゃないか?」

 

リバT『ハーフオークの能力は、技6、体6。人間の能力は、技7、体8です』

 

ケイP『どっちも技12、体19のオラの敵じゃないッピね。両方、相手にしてやるッピ』

 

リバT『さすがに、そういう選択肢はありませんが、マッチョな人間は「この化け物め!」と叫んで、殴りかかって来ました。一方のハーフオークは「あんた、助けてくれるのか?」と感謝の視線を向けます』

 

ケイP『感謝の気持ちは、喜ばしいッピね。しばらく味わったことのない感情ッピよ。とにかく、ダイスを振って、ケピピン、ケピピン、ケピピピンと人間を血祭りに上げるッピ』

 

リバT『うわあッと悲鳴が上がり、「ログが殺された!」という叫び。続いて、「復讐だッ!」と怒号が上がります』

 

ケイP『フッ、雑魚どもよ。この邪悪の王、いや、邪悪なモンスターが蹴散らしてくれるわ、と高らかに宣誓するッピ』

 

リバT『モンスターさんは人語を発話できませんので、今のセリフはただの威嚇の吠え声として扱います。人間たちの耳には、「フッ、ザゴゴゴゴ。ゴゴジャアグオオオ、ギラ、ジャアグガ、ボンズダーガ、ゲギラギゲグレルバ」といった感じに聞こえたものとします』

 

アスト「グロンギ語? ……ってわけでもないか。テキトーだな」

 

リバT『テキトーです。一応、母音だけ残して、子音はガ行を中心に置き換えただけですね。プレイヤーのお兄さまは普通に喋って構わないですが、モンスターさんはうまく喋れないという演出で行きます。今さらですが』

 

ケイP『で、まだバトルは続くッピか?』

 

リバT『鈍重で判断が遅いモンスターさんを、助けられたハーフオークが「おい、デカいの。逃げるんだ! ぐずぐずしてると殺されるぞ。おれの言葉が分かるんだったら、しっかりついてこい!」と逃げ道を先導してくれます』

 

ケイP『ケピッ? 一瞬、相手の顔を見下ろして、了解のうなずきを示し、指で一方を示すッピ』

 

リバT『「違う、そっちじゃない。こっちの方が近道だ」と走り出すハーフオーク。その後をドシドシ追いかけるモンスターさん。村人たちも2体の人外コンビの後を追いますが、コーヴンの境界を抜けると、それ以上は追跡を断念しました。野次を飛ばす村人の声をスルーしながら、2体はコーヴン村から離れて行きました』

 

 

ハーフオーク『他人のケンカに首を突っ込むなんて、あんたはバカだな。おれだったら、絶対にあんなことをしないね。そりゃあ、人間どもはおれを殺していたろうが、あんたには関係ない話さ。それに、元はと言えば、おれが犬を盗んだのが原因だしな。腹が減ってたから仕方ない。空腹で死ぬぐらいなら、命をかけてでも盗んだ方がマシだ。何もしないで死ぬってのは一番のバカだ。違うか?』

 

ケイP『何とも言えないッピね』

 

ハーフオーク『どうした、口がきけないのか? それとも、無口ってわけか? おれはグログナグ・クロートゥースってんだ。グロッグって呼んでくれ。あんたはどこへ行くつもりだ? 何か食い物を持ってるか? しばらくいっしょに着いて行ってもかまわないかい?』

 

リバT『そんな感じで、ハーフオークのグロッグは、モンスターさんにしきりに話しかけて、同行者になりました。以降、彼がいっしょにいる間は「7で終わる番号に進んだときに、そこから52を引いて、グロッグの行動を確かめる」ことができます』

 

ダイアンナ「なるほど。それで隠しパラグラフになっているわけか。グロッグがいろいろと攻略ヒントを教えてくれる、と」

 

リバT『さっそくですが、次のパラグラフは107番ですね』

 

アスト「つまり55番に進むことができる、と」

 

リバT『55番パラグラフでは、グロッグが廃墟に埋めていた木箱入り袋を取り出して来ます。実は、後ほど判明するのですが、この中に入っているものこそ、エルフの魔術の煙、アライアリアン神の精を宿したフラスコなんですね。どういう背景事情かは知りませんが、グロッグはザラダンの元からこのフラスコを入手していたのです。本作の解明されざる謎の一つですね』

 

ダイアンナ「魔術の煙って、どういう効果なんだい?」

 

リバT『それも、本作で明かされない謎の一つです。スティトル・ウォード関係も、30年以上の間、ずっと謎なので、今度の新作で明かされないかなあ、と期待してみるわけですが。とある情報では、「サラモニスの秘密」は本作の後日譚ではなく、「バルサスの要塞」と「モンスター誕生」の前日譚らしい記述があるという話もありまして、それはそれで、バルサスやザラダンが健在だった時代の可能性もあるか、と』

 

アスト「『バルサスの要塞』や『モンスター誕生』のエピソード0か。それはそれで楽しみだな」

 

予言者ロシーナ

 

リバT『いろいろな情報が錯綜していて確実なことが断言しにくい新作話を交じえつつ、グロッグさんがいれば正しい道筋を教えてくれますよ。とりあえず、グロッグさんは西へ行って、予言者ロシーナに会いに行こうと主張します。パラグラフ番号もご丁寧に177番ですね。さらに、北や東に向かうこともできますが、そちらに行くと、グロッグと別れることになる、と書かれているので、半強制的に西へ誘導されちゃうわけです』

 

ケイP『グロッグがいると、道筋が正解ルートの一本道に固定されてしまうッピな』

 

リバT『177番は逆風平原の手前なんですが、そっちに行くと不毛の荒野が続いているので、本作では進めません。あるのは、一軒の小屋と斜面の洞窟です』

 

アスト「どっちが正解か、グロッグの意見を聞こうぜ」

 

ケイP『125番だッピな』

 

リバT『素晴らしい案内人のグロッグさんは小屋を示すついでに、占い料として金貨2枚をくれます』

 

ケイP『よし、小屋に入るッピ』

 

リバT『その前にアストさんは、洞窟に入ることを推奨します』

 

アスト「どうしてだよ?」

 

リバT『中に雄馬がいて、戦って倒すと、馬肉を食べて体力5点回復できます』

 

アスト「推奨するなよ。馬好きのオレに馬を殺して食えってか!?」

 

リバT『しかも、この洞窟に入ると、予言者の小屋には行けません』

 

アスト「よけいに推奨するなよ。ゲームオーバーさせたいのか?」

 

リバT『おや、アストさんはプレイヤーではなく、横で話を聞いているだけの、文字どおり野次馬だと思ってましたが?」

 

アスト「野次馬で悪かったな。とにかく、寄り道しないで、さっさと話を進めろ!」

 

 

リバT『予言者ロシーナの名前は、背景情報の「ドリーの三姉妹」の項目で、コーヴン近くに住む予言者として紹介されていました。金貨2枚で占ってくれますが、攻撃するという選択肢もあります。能力値は技術8、体力7で腕の立つ戦士並み。占い師の老婆にしては、強いと思われますし、しかも倒しても幻影だったと分かるわけで』

 

ダイアンナ「わざわざ、その選択肢を選ぶのは、バカげていると思うけどね」

 

アスト「世の中には、完全攻略のために全ての選択肢を試したいゲーマーって人種がいるのさ」

 

リバT『コンピューターゲームデバッグ作業や、テストプレイなんかでは、極力あらゆる状況をしらみ潰しに確認することを求められますからね。バカげていると思いつつ、それを試すのがクリエイターに求められる資質の一つとも。もちろん、作業の効率化も考えないといけませんから、バランス感覚も必要でしょうが』

 

アスト「占い師とはいえ、ドリーの魔女は侮れないってことで。でも、今回は客として来たから、代価は払う。占ってくれ」

 

リバT『このロシーナさんは、ドリー三姉妹のロミーナさんと名前が似ていて、ややこしいですが、英語のつづりはRoshinaとRomeenaなんですね。占い師の方はロシナと伸ばさない方がいいと思うのですが、それはさておき。彼女はタロット占いで、〈大いなる謎〉〈闇にさす一条の光〉〈母の死〉〈魔術〉〈誓い〉〈達成しなければならぬ任務〉といったカードを引き当て、モンスターさんの運命に非常に興味を持ってくれます』

 

ケイP『〈母の死〉ってカードが気になるッピね。どんな意味だッピか?』

 

リバT『誕生と死の両方を意味するようですね。正位置で誕生、逆位置で死という意味かと思いますが、モンスターさんの誕生に魔術が関わっていることを、ロシーナさんは読みとります。次いで、水晶球占いに切り替えると、ドリー三姉妹が関わっていることに気づいて、スカル藻探しのミッションに十分な情報が与えられていないことを指摘すると、自分が手助けすることを三姉妹に認めさせます』

 

ケイP『いい魔女だッピ。まるでドラゴンボールドラクエの占いおばばみたいな感じだッピ』

 

アスト「同じ占い師キャラなら、ドラクエ4のミネアや、ダイ大のメルルの方が良いだろうがな」

 

リバT『とにかく、エモ老婆のロシーナさんは、以下の情報をくれました』

 

●青い茎のスカル藻は、北のカエル沼にしか生えない。

●一人でカエル沼に行って帰って来るのは大変だ。

●万全の準備のために、魔法のロープを託そう。幸運がありますように!

 

リバT『そして、運点が2点回復します』

 

アスト「本当に、エモいな、この婆さん。もしかして、本作で一番萌えに近い女性キャラじゃないか?」

 

リバT『下手にイラストがない分、ますますいい感じですね。では、今記事はここまでです』

 

ダイアンナ「ガレーキープまで行く予定じゃなかったっけ?」

 

リバT『せっかく仲間になったグロッグさんが、加入したその記事で死ぬのは忍びない、と考え直しまして。次回が「さよならグロッグ」「三姉妹ふたたび」「嘘つきエルフの秘密」の3本をお送りして、それから最終回の「ザラダン・マーに報いる慈悲」につなげようか、と』

(当記事 完)