ウルトロピカルな⭐️GT(ゲーム&トレジャー)島宇宙

南の島と上空の宇宙宮殿を舞台にTRPGや特撮ヒーローなどのおしゃべりブログ。今はFFゲームブックの攻略や懐古および新作情報や私的研鑽メイン。思い出したようにD&Dに触れたりも。

「魂を盗むもの」攻略感想(1)

FF34巻クリア

 

リモートNOVA『「危難の港」に続く新刊をクリアしたぞ。今回はそちらに行ってる余裕がないので、リモート感想だ』

 

アスト「まあ、しょっちゅう遊びに来られても迷惑だからな。こっちにはこっちの生活があるし、舅(しゅうと)殿には自分の仕事に専念してもらわないとな」

 

リモートNOVA『舅(しゅうと)殿とは……何だか自分が年をとった気がするぜ。まあ、娘の夫からはそう言われる立場なのか。NOVAと呼び捨てされるよりは、敬意を示されている……と思っていいのか?』

 

アスト「とりあえず、FFゲームブックをこれだけ持っているという時点で、ゲーマー的には敬意だろう? しばらく話のネタには困らんわけで」

 

リモートNOVA『俺にとっての、お宝だからな。価値を評価してもらえるのは嬉しいものだ』

ダイアンナ「ほう。それが幻の34巻と言われた作品か」

 

NOVA『表紙に映っているのは、闇の魔法使いモルドラネスだな。恐怖と悪夢をもたらす幻術使いだが、その能力は「技術点10、体力点17」でザゴールよりは1点ずつ下。ラスボスの格としてはそれほど強敵とは思わなかったが(こちらの能力が技術点11とか12の場合)、奴の恐るべき点は直接の戦闘力よりも、幻や虚偽で敵を欺きながら、じわじわと恐怖を蔓延させることで自らの力と為すところ。奴の能力は悪夢を広範囲に見せて、その恐怖に囚われた魂を奪いとって強大になる点で、それに打ち勝つには類稀なる意志の強さを持つ戦士に限られるらしい』

 

ダイアンナ「魔法使いではダメなのか?」

 

NOVA『魔法に対する備えは万全で、奴の魔法を打ち破る術を研究していた善の魔法使いアルサンダーは奴の手で拉致されて、〈絶望の島〉にある〈鉄の地下廟〉に監禁されてしまったらしい。豪胆な戦士である主人公は、魔術師ヴァネスティンに雇われてアルサンダー救出任務を遂行する。そして大胆不敵な気質なので、「アルサンダーを救出するだけじゃ、つまらん。ついでに、そのモルドラネスを倒して武勲を高めてやるわ」と決意するような勇者だ』

 

アスト「恐れ知らずな戦士か。残飯漁りとは違うんだな」

 

NOVA『残飯漁りの主人公なんて、そうそういないよ。まあ、今回の主人公はFFでよくある無個性戦士だな。なお、能力値も優秀で以下の通りになった』

 

・技術点11、体力点19、運点10

 

アスト「名前は?」

 

NOVA『特につけていない。まあ、鋼の精神を持つ者ってことでスティールとでも呼ぼうか』

 

ダイアンナ「本作の原題が、スティーラー・オブ・ソウルズだったね」

 

NOVA『そのスティールは、つづり違いのSteal(盗む)の意味で、モルドラネスのことだ。こちらはSteel。とにかく戦士スティールが「魂を盗むもの」を倒す英雄譚ってことだ』

 

作者について

 

NOVA『で、攻略話の前に、作者についての紹介話を。これまでFFコレクションは創始者イアン・リビングストンスティーブ・ジャクソンの2人の作品を中心に展開されていたが、ここで初めて新顔のキース・マーティンの作品が紹介される。まあ、新顔と言っても、作品の原本は88年(つまり昭和)に出版されたもので、日本では33巻で止まっていたから、この34巻が「止まっていた巻数の続きが30年ぶりに」という点と「その後のFFを支えてきた作家の一人、キース・マーティンのデビュー作」という点で、スポットが当てられているんだ』

 

ダイアンナ「その後のFFを支えてきた……って?」

 

NOVA『FFゲームブックにおけるキース・マーティン著作をリストアップすると、こうなる』

 

・34『魂を盗むもの』(1988)

・38『吸血鬼の城』(1989)

・41『混沌の支配者』(1990)

・46『破壊の塔』(1991)

・51『アンデッドの島』(1992)

・52『ナイトドラゴン』(1993)

・58『吸血鬼の復讐』(1995)

 

NOVA『FFシリーズで最多作なのは、もちろんリビングストンの19作(新刊の「巨人の影」含む)で、2位がジャクソンの11作(ソーサリー4部作と新刊の「サラモニスの秘密」含む)なんだけど、7作を書いたキース・マーティンは堂々の3位だ。

『なお、リビングストン作としてクレジットされているが、実際はキース・マーティン作と言われている54巻「ザゴールの伝説」も含めると8作だな。彼はまたリビングストンと共著で、ザゴール小説の4部作を書いているので、90年代当時のリビングストンの弟子筋に当たるとも言われている』

 

ダイアンナ「4位は?」

 

NOVA『未訳のジョナサン・グリーンが同数の7作だな。その下だと3作とか4作になるか。昔、安田社長が期待の新人と持ち上げていたロビン・ウォーターフィールドは、既訳の「電脳破壊作戦」「仮面の破壊者」「恐怖の幻影」の後は55巻「死の荒野」のみで、以降はゲームブックよりもギリシャ・ローマ時代の古典研究者としてのキャリアを積んでいるらしい』

 

アスト「まあ、ゲームだけでずっと飯が食える人ばかりでもないだろうしな」

 

NOVA『いずれにしても、ウォーターフィールドさんのゲームブックが面白かったのは事実で、安田社長の論評に否というつもりはない。ただ、社長の90年代初頭の予想が期待どおりにならなかっただけで、その後、FFシリーズの日本語翻訳展開も海外での展開も90年代半ばまでに鎮静化してしまい、30年近い時を経てようやく、その火が再燃するに至った現状をファンとして歓迎したいのが俺の立ち位置だ。そして、今度のキース・マーティンさんの作品はどうかなあ、と思いながらプレイしたんだが、残念ながら俺の好みではなかった』

 

ダイアンナ「ダディーの好みとは?」

 

NOVA『「危難の港」のように、最初は小さな冒険から始まって、それが広がる感覚にワクワクする。「魂を盗むもの」は逆で、最初に風呂敷を広げて、壮大に見せかけたら、実質的には小さな島を少し歩いた後は、ひたすらダンジョンを探索して、最後に敵の潜む異空間で試練を突破して決戦に挑む。序盤は旧世界からアランシアに向かう壮大な活劇か、と思わせて、どんどん狭く閉じた物語になって行き、プレイ前のワクワク感は萎んだわけだ。

『個人的には、魔術師アルサンダーを救出後は、彼の協力でアランシアのどこかを旅して決戦の地に赴く話になるとプレイ半ばまでは思っていたんだが、〈鉄の地下廟〉のダンジョン探索が長すぎて、終盤に転移して訪れる幻影世界も宇宙刑事魔空空間的で地図が描ける環境でもなく、ゲームにするとランダム感覚が大きすぎて、悪い意味で現実性を欠く話になったかな。まあ、ゲームバランスは悪くないと思うし、理不尽は感じなかったので佳作とは思うが、今回は期待度が高すぎた。最初からダンジョン探索が中心で、背景世界はフレーバーに過ぎんと割り切ってプレイすれば、後に活躍するゲームブック作者のデビュー作として、イラストも合わせて適度な雰囲気を醸し出していて、期待したい……と言えたんだが、残念ながら作者も4年前に亡くなったからなあ』

NOVA『俺個人は、キース・マーティンさんの作風を知るほど著作を嗜んでいないので、改めて他所のブログ記事を読みながら、「へえ〜、そうなんだ」と感じてる最中。TRPGシナリオライター、カール・サージェントの別名義でも活躍されていて、D&Dのキングズ・フェスティバルは俺もDMとして遊んだことがある。ゴブリンの襲撃から農場を守るシナリオで、後にゴブリンスレイヤーの小説およびアニメで似たようなシチュエーションがあったのが印象深い。

『その他に、翻訳された作品ではウォーハンマーRPGの「内なる敵キャンペーン」のシナリオがあるそうだが、手持ちの本2冊にはカール・サージェントの名前がない。どういうことだろうと確認すると、このキャンペーン・シナリオは全部で6冊あって、サージェントが執筆したのは4冊めと6冊め。つまり、これも翻訳途中で展開が中断したために、彼の作品は未翻訳で終わったようだ』

 

アスト「つまり、邦訳という観点では、不遇なゲーム作家だったということだな」

 

NOVA『これも未邦訳の作品だが、クラシックD&Dのガゼッタシリーズで、ミスタラ世界にシャドウエルフを登場させたのも彼で、本職はイギリスTSR社に務めてD&Dのグレイホーク世界の発展に功績を残し、そしてジャクソンとリビングストンが立ち上げたゲームズ・ワークショップ社を応援する目的で、キース・マーティン名義でゲームブックを書いたり、ウォーハンマーサプリメントやシナリオに協力したり、その後、シャドウランアースドーンといったRPGで精力的に活動していたそうだ。日本では、ほとんど知られていなかったけれど』

 

ダイアンナ「逝去後4年経って、彼のゲームブックが初邦訳されたんだね。『吸血鬼の城』とか『吸血鬼の復讐』とか続巻のタイトルが気になるじゃないか」

 

NOVA『その通りだ。ゲームブックのデビュー作がたまたま俺好みじゃなかったというだけで、あっさり見限るのは評論者として3流だと思うしな。大体、最初はインパクトが大切だから、バーッと大風呂敷を広げて壮大そうに見せかけて、中身はそれほどでも……というのは、新人作家あるあるだからな。1988年の作ということは当時36歳。20代の時はケンブリッジ大学で超常現象研究家として活動し、超能力研究が本職だったらしいけど、26歳の時に友人からD&Dに誘われて、ゲームライターの世界に踏み込んだようだ』

 

アスト「と言うか、現実に超能力研究所ってあるんだな。それもケンブリッジみたいな有名大学に」

 

NOVA『ゲームライターをやる前に、超能力を引き出す実験とかいろいろやっていたらしいし、もしかするとマッドサイエンティストの方向性に突き進んでいた可能性もある。事実は小説よりも奇なり、というか、元よりオカルト寄りの気質があった御仁らしい』

 

アスト「いろいろ話をまとめると、こんな感じかな」

 

・オカルトホラーに造詣が深い。

・ダンジョン物に定評がある。

・話を広げる方よりも、深く収束させるタイプの書き手である。

 

NOVA『まあ、最後の意見は本作だけの特徴かもしれないが、リビングストンが拡張展開型の作品が多く、ジャクソンが新規性とパズル感覚を重視した作品なのに比べて、キース・マーティンは先に広げてから、じわじわと深く、無難にシステマチックにまとめるタイプかな、と。ゲームとしてはバランスがとれて納得はできるんだけど、途中で話が広がる形のサプライズがなくて、おお、そう来たか〜という感心はなくて、手堅くも面白味はあまりないタイプ?』

 

アスト「話を広げるリビングストンの締めを担当するなら、いい組み合わせになるのかもな」

 

NOVA『もちろん、俺はキース・マーティンのゲームブックは今回が初めてだし、他の作品をプレイすることで評価を修正することはあるけどな。デビュー作と他の人の評価を見ただけで、全てを分かったようなつもりにはならないってことさ』

 

旧世界からアランシアへの船出

 

NOVA『ともあれ、本作のストーリー背景は、旧世界のレンドルランド、首都のポルアから始まる』

 

ダイアンナ「旧世界? アランシアとは別大陸なんだよね」

 

NOVA『スティーブ・ジャクソンのソーサリーが初出だな。ソーサリーの主人公は、祖国アナランドのために「奪われた諸王の冠」をマンパンの大魔王から取り戻す壮大な冒険行を展開するんだが、レンドルランドはアナランドの西に広がる草原国で、良馬の産地らしい』

 

アスト「いい国ってことだな」

 

NOVA『どうだろう? 一応、旧世界の地図を示しておこう』

NOVA『ソーサリーは、南東部のアナランドを出発して、冒険の舞台は北の混沌の地カーカバード。シャムタンティ丘陵から城砦都市カーレを経て、バク平原からザメン高地、そして悪の本拠地マンパン砦に至る物語。一方で、レンドルランドはカーカバードほどではないけど、未開拓な地域が多く、文明が発達しているのは西の港町であり、首都のポルアぐらい。

『旧世界で最も発展している国は「諸王の冠」を発見したチャランナ王の治めるフェンフリィで、レンドルランドはフェンフリィに嫉妬している残念な国として、ワールドガイドの「タイタン」で紹介されている。この旧世界にスポットを当てたのは、産みの親のジャクソンを除けば、キース・マーティンが初ということになるのかな。タイタンには、アランシア、旧世界の他に暗黒大陸クールという第3の世界があって、それまでゲームブックの新人はクールで独自の舞台を構築するケースが多かったのに、ここでジャクソン以外は手つかずの旧世界を持ち出して来るのが、キース・マーティンの大胆さと言っていいのかな。これ以降、旧世界を舞台にしたゲームブックも作られるようになって、伝統的な冒険ならアランシア、文明国家を舞台にするなら旧世界、アランシアの伝統に囚われずに好き勝手したいならクールという感じに展開される』

 

アスト「一つの世界の中の3つの舞台だと、フォーセリアのロードス、アレクラストクリスタニアも、タイタンの影響を受けたのかな?」

 

NOVA『そちらは、角川お家騒動の影響で生まれたのが事実だけど、もしかするとタイタンの世界観も多少は参考になったのかもな。あと、今のソード・ワールドラクシア世界も、テラスティア、レーゼルドーン、アルフレイムの3大陸だ。そして大陸間を股にかける壮大な物語は、それだけでワクワクできる。

『旧世界の邪悪な魔術師モルドラネスが、アランシアに渡って、世界を脅かす恐ろしき計画を企てている。モルドラネスの計画や魔術の秘密を調べていた善の魔術師アルサンダーは、囚われの身になり、アランシアの東の〈嵐の海〉にある〈絶望の島〉に幽閉された。モルドラネスを倒すには、アルサンダーの救出が必要だ。アランシアには、モルドラネス追跡と打倒のための戦士や魔術師の一団を派遣したが、それとは別にアルサンダー救出のために単独潜入任務を果たせる戦士が必要だ。君にその任務を依頼したい……とポルアの魔術師ヴァネスティンさんが依頼して来るんだな』

 

アスト「それを聞いた主人公は、喜んで引き受けるんだな」

 

NOVA『いや、「俺はモルドラネスを直接ぶちのめして、武勲を上げたいのに、たかが魔術師を救助するだけの裏方任務かよ」と不満を表明するんだ』

 

ダイアンナ「なるほど、大胆不敵な性格なんだな」

 

NOVA『ヴァネスティンさんは最初、「モルドラネスの恐ろしい名を聞いた主人公が怖れを為して断る」と思っていたんだな。だから、「いやいや、戦う必要はないから。ただの人質救出だけだから」と説得するつもりだったのが、主人公が思った以上に豪胆だったことを理解して、交渉の仕方を切り替えるんだ。「いやいや、それでこそ我々が見込んだ戦士だ。アルサンダーを救出すれば、モルドラネスに打ち勝つ知識と力も手に入ることだろう。この任務を引き受けるのに、君以上の適任者は思い当たらない。モルドラネスを追わせた冒険者たちは、ただの陽動に過ぎん。本命は君なのだ」と』

 

ダイアンナ「そのオープニングは面白いね。主人公と魔術師ヴァネスティンの駆け引きが」

 

NOVA『ああ。普通なら臆してしまうほどの悪名高い強敵に、怯むことなく立ち向かう道を選ぶ自信家の主人公。OPのつかみはOKと言ったところだ。そして、〈絶望の島〉に向かう船旅が始まってのパラグラフ1番だ。ガレイス船長の船〈ペトレル号〉で航行中に、空から翼長数メートルの黒い巨鳥ジャイアント・ストームバードが襲来してくる。ここで戦うか逃げるかの選択肢が出るんだが』

 

アスト「あれだけOPで大口をたたいておきながら、逃げるって選択肢はないだろう?」

 

NOVA『ああ、その通りだ。鋼の心を持った戦士スティールに逃げの文字はない。技術点8、体力点12の鳥など、〈悪魔の短剣〉のいけにえにしてくれるわ』

 

ダイアンナ「それはキャラが違うだろう? いつからスティールがリーサン・パンザになったんだ?」

 

NOVA『おっと、いけない。リーサン・パンザはアランシア出身で、スティールはレンドルランドの蛮人戦士だ。〈悪魔の短剣〉なんて持ってない。代わりに〈嵐をもたらす剣〉を入手する予定だ』

 

アスト「それって、黒の魔剣って奴か?」

 

NOVA『本作のタイトルは、エルリックの短編「魂の盗人」のオマージュでもあり、ダンジョンの途中で意思を持った魔剣(倒した敵の生命を吸収して、体力を1回復させる機能付き)を入手できるんだ。ファンタジー小説好きはニヤリとできるシーンである。

『それにしても、エルリック・サーガの映画化が10年かもう少し前に企画されていたのに、諸事情でダメになったのは残念だなあ。おかげで今、エルリックで検索すると、「鋼の錬金術師」ばかりで、メルニボネのエルリックというファンタジー小説の常識キャラが、現在の若者にどれだけ知られているかというと、いささか自信が持てずにいる』

NOVA『……と、蘊蓄寄り道はこれぐらいにしておいて、ストームバードを普通の剣で見事に撃退したスティールは、ガレイス船長と部下の船員から、さすがは勇者と称賛される。傷ついていても、ただで食料をくれて自動回復してくれるうえ、〈虫除けの軟膏〉を渡してくれる。もしも怖気づいて逃げようとしたら、結局船の上で逃げられないうえ、船員からの信頼を失い、食料も軟膏ももらえない。自分のダメージは、自分の食料で賄わないといけないので、ただ飯のためにも戦いからは逃げちゃダメだ』

 

アスト「臆病の代償は高くつくってことだな」

 

NOVA『大胆不敵な戦士の設定に傷がつくからな。とにかく、ストームバード戦のあと、船は無事に〈絶望の島〉に到着した。奇跡的に船が沈没しなかったんだな。さすがはキース・マーティン。いろいろと新鮮だ』

 

アスト「いや、船が沈まなかっただけで、大げさだろう?」

 

NOVA『だって、FFシリーズの船は沈むか難破するのが定番だからな。現在最新のGMウォーロックの6号に掲載されたパラグラフ数70ぐらいのミニソロアドベンチャー(作こあらだまり)でも、船が沈んで〈絶望の島〉に流れ着いた主人公が島を脱出するまでの物語だ。最後はガレイス船長に拾われ、「島に巣食う邪悪に立ち向かう大胆不敵な本作主人公の話」を聞いて、感服する物語だな。ゲームブックとリンクしたオリジナル成分が楽しい』

ダイアンナ「とにかく、無事に島に到着した、と」

 

NOVA『上陸には小さなボートを使う。この島には港がないため、〈ペトレル号〉は沖で待機しているとのこと。そしてボートで島に向かう途中で、今度はドクロ蟹に襲われた。技術点6のザコ蟹なので、あっさり撃退すると、「よくも、俺のエドウィナを殺したな」と海の巨人(シー・ジャイアント)の怒りを買ってしまった。技術点10、体力点17というラスボス並みの強さを持つジャイアントを何とか撃退して、巨人の巣窟を調べたりしながら、食料を見つけて体力回復したりする。本来は友好的な巨人をやむなく倒してしまったことを残念に思い、次からは迂闊にカニを殺さないようにしよう、と心に誓うスティール。しかし、カニの呪いはその後も彼を苛むのだった』

 

アスト「カニの呪いって、そんなのがあるのか?」

 

NOVA『ゲーム上では、そういう記述はないんだけどな。どうもカニを殺してしまった後で、戦闘でのダイス目が異常に悪くなってしまったんだな。とりあえず、島に上陸した後は西へ西へと進んでみた。すると見つけた建物で、闇の司祭(技術点9、体力点13)の奇襲攻撃を受けた。おかげで6点ダメージを受けてしまい、その後、こっちが2差で優勢なはずなのに、ダイス目のせいで、どんどん相手の攻撃が当たってしまい、とうとう死んでしまったんだ』

 

アスト「技術点11なのに、技術点9の敵に勝てなかったのか」

 

NOVA『そう、スティールの冒険はいきなり終わった。弱いキャラが強敵に負けたのなら分かる。しかし、自分より弱い敵に負けてしまうなんて、カニと巨人に呪われてしまったようにしか思えん。こうしてスティールは口ほどにもない無様な死を迎え、2人めのストールでプレイし直すことになったんだ。次からは可哀想なカニを殺さないように、と心に誓いながらな』

(当記事 完)