〈真鍮通り〉の追いはぎ
リモートNOVA『前回は、祭りの中心の広場でマリクの手掛かりを見出したり、この先の冒険で役立ちそうな薬を購入したりした』
アスト「あと、詐欺師のゲームに騙されたりもしたな」
NOVA『それはIFルートだから、今回のフォーティの現実じゃない』
ダイアンナ「初見で騙された冒険者もいろいろいそうだけどね」
NOVA『まあ、金貨にして数枚程度の被害だからな。それよりも、技術点を削られたり、食料を奪われることの方がキツいだろう。うっかり裏道に迷い込むと有り金全部巻き上げられたりするのが、都市冒険の恐ろしさだ。広野のモンスターとはまた違った危険が潜んでいたりする』
アスト「街と野外とダンジョンと、どれが一番危険かは簡単には言えないな」
ダイアンナ「そりゃあ、危険なのはダンジョンだろう? 『死の罠の地下迷宮』は『運命の森』よりも難儀だったぞ」
アスト「しかし、野外だと突然、空からドラゴンが襲いかかって来る可能性だってある。ダンジョンの場合は、敵のサイズが10メートル越えとかは滅多にない。巨人だって、ダンジョンの中で巨大化したわけじゃないからな」
NOVA『それに比べると、都市は一応、文明圏なので、脅威はたかが知れているがな。それでも、パラグラフ330番では、敵とのバトルの可能性がある』
アスト「ほう、バトルか。ちょうどいい。詐欺師に騙されてイライラしてたんだ。この憤りを誰かにぶつけてやらないと気が済まない」
NOVA『お前は、自分が被害を受けていないIFルートの妄想で、勝手に怒りを掻き立てられるのかよ』
アスト「世の中には、自分と関係ない出来事でも、想像力を刺激されて暴言を放つ輩がネットには多くいるんだ。空想と現実の違いが区別できない想像力豊かすぎる者が男女関わらずな」
NOVA『むしろ、空想の怒りを空想で処理できないとか、現実の怒りを反撃されない空想に持ち込むとか、ハレ(非日常)の作法とケ(日常)の振る舞い方の時や場をわきまえないケースが増えたという意見もあるが、とにかく祭りの場はハレの場、そして広場を抜けた〈真鍮通り〉は職人たちの工房が立ち並ぶケの舞台のようだ』
ダイアンナ「ここまでは観光客向けの場所で、ここから先は住人たちの生活空間ってことかい?」
NOVA『ああ。そこにうっかり迷い込んだ無防備な余所者をカモにしようと現れたのが、3体のトロール。リーダーのボーンヘッドと、手下のトーディー&ウィーズル。スナーク兄弟と名乗っている追いはぎ三兄弟で、この道を縄張りにしているらしい。金貨10枚の通行料で見逃してやろう、と言っているがどうする?』
アスト「本当に、それで見逃してもらえると思うか?」
NOVA『思わない。こういう連中は、相手が自分よりも弱いと見たら、とことん調子に乗るからな。誰にケンカを売ったか、目にものを見せてやれ、とデスティニーマップにも書いてある』
ダイアンナ「そんなことまで書いてるの?」
NOVA『まあ、巨人を4体相手にすることを考えたら、トロール3体ぐらい相手にするのは造作もないことよ、とフォーティは考える』
アスト「そりゃあ、技術点が11もあれば、そういう気にもなるだろうな。これが技術点9以下だと、トロール3体の相手はキツいぜ。オレはブラックサンドの衛兵2人と戦うことは避けたしな」
NOVA『まあ、俺も厄介だと考えたことはあるが、今回のトロールは比較的弱い。リーダーのボーンヘッドは技8、体6。次男のトーディーは技6、体5。三男のウィーズリーは技7、体4。しかも1体ずつ戦っていいとなれば、難なく倒せるというものだ。竜の剣士の名誉にかけて、不埒な追いはぎは始末してくれよう』
●ボーンヘッド戦:1回負けて2点ダメージを受けたものの、4ラウンドで勝利。
●トーディー戦:技術点は一番低いので、難なく3ラウンドで撃退。
●ウィーズリー戦:体力がゴブリンより弱い「本当にトロールか?」というザコだが、思いがけず素早い動きで2点ダメージを受けてしまい、撃退に3ラウンドを費やした。
NOVA『結果は4点ダメージを受けたが、3体のトロールを撃退したぞ。すると、周囲の民家の2階から「何事だ?」と老人が問いかけて来たので、正々堂々と「おお、騒がしくしたようだな。暴漢に襲われたために返り討ちにしてやったまでのこと。御手数ながら、衛兵への弁明にお付き合い願えるか?」と礼儀正しい剣客のように振る舞ってみせた』
ダイアンナ「フォーティに、そういう交渉術が使えたんだ」
NOVA『まあ、選択肢によって性格が変わるというか、いまいち安定しない感じだな。無作法だったり、語り口調が慇懃になったり。ただ、ごろつきと同じように思われては、巨人退治にも支障をきたす。そう考えると、正々堂々、偉そうに振る舞うのが吉だと判断した』
老人『おお、スナーク兄弟を倒してくれたか。こいつらは祭りの時期になると、無防備そうな旅人を狙って、乱暴狼藉を働くうえ、街の衛兵はビビって怖じ気づく始末。あんたが倒してくれて、せいせいしたわ。剣士どの、名を何と言う?』
フォーティ『ドラゴン剣士団のフォーティと申す。西方に恐るべき魔物が出現したので、倒す術を求めて街の賢人の知恵を借りようと参った次第』
老人『ほう、ドラゴン剣士団の名は寡聞にして知らぬが、さぞ武勇に秀でた方々なんだろうな。探索の旅の邪魔はしたくない。後の始末は、わしに任せて、その賢人どののところへ参られよ。衛兵への話はわしの方で済ませておく。街の問題は、街の住人が片付けるゆえ、そなたは恐るべき魔物とやらを退治してくだされ。ドラゴン剣士団のフォーティ殿の名は、覚えておきますぞ』
フォーティ『ええ、ここでの勲しとしては他にも、祭りの広場にてオーガーとの平手打ち対決で勝利した男と言えば、語り草にもできましょう。では、これにてさらば』
こうして、竜の剣士フォーティは、ちゃっかり己の武勇譚を伝説にするための一歩を踏み出したのだった。
ついでに、トロールの金の首飾りもゲットしてみたり(笑)。
〈煉瓦小路〉を進む
NOVA『〈真鍮通り〉の追いはぎイベントが終了すると、十字路に入って、道が3方向に分かれる。まっすぐ進むと〈銅通り〉で、右へ進むと〈煉瓦小路〉、左へ進むと〈プディング小路〉の3択だが、ここは〈煉瓦小路〉に進まないと攻略失敗に終わる』
ダイアンナ「どうして?」
NOVA『〈煉瓦小路〉では、開錠用具が入手できるんだ。前回、金の鍵(3)を売ってしまったために、開錠用具が必須アイテムになってしまった。金の鍵(3)を人ネズミの渡し守から入手してから、売らなければ他の道に進むのもありだが、今回の攻略では〈煉瓦小路〉の一択でしかクリアできないわけだ』
アスト「ところで、ハーメリンの街のマップはどうなってるんだ? そろそろ示して欲しいんだが」
NOVA『では、ここまでのタウンマップを表示してみるか』
●ハーメリンの地図(上が南、青が現在地)
?
l
銀通り
↑
lー→ーーーーー←ー l
l ↑ l
l 銅通り(98) l
↑ ↑ ↑
プディング小路ー←ーー→ー煉瓦小路
(285) ↑ (10)
真鍮通り(330、トロールの追いはぎ)
l
広場(164、祭りのイベントいろいろ)
↑
王冠通り(宿家に一泊などなど)
l
街の入り口(26)
↑
lーー墓場
l
赤水川
NOVA『とりあえず、街の入り口から〈王冠通り〉を抜けて、広場までが観光区画っぽいな。宿屋とかが充実していて、旅人が多く集まっている。そして、広場を抜けて〈真鍮通り〉→〈銅通り〉→〈銀通り〉までが街の中心を通る幹線になり、左右の小路に枝分かれしている構造だ。〈銀通り〉から先はまた次以降の記事で示すとしよう』
ダイアンナ「真鍮→銅→銀と奥に進むにつれて、金属のランクがアップしているみたいだね」
アスト「すると、その先は黄金通りとかになるのかな?」
NOVA『その予想が正解かどうかは、後の記事の楽しみにしておこう。いずれにせよ、ブラックサンドなんかと比べると、通りの名前が整然としていて、割と計画的に築かれた街って感じだな。〈真鍮通り〉は職人区画とか、文章での説明も比較的明確だし』
ダイアンナ「ところで、マリクの家があるという〈丘通り〉とか〈行き止まり路地〉はまだ奥にあるんだね」
NOVA『ああ。今回の記事ではまだマリクのところまでたどり着けない。それも次回の楽しみにしておいて、今回は〈煉瓦小路〉と、そこから入れるミニダンジョン、そしてIFルートの〈銅通り〉と〈プディング小路〉までチェックするつもりだ』
アスト「〈煉瓦小路〉にはダンジョンがあるのか」
NOVA『作者が最も力を注いでいるらしいルートということもあって、それが正解なんだと思う。ともあれ、〈煉瓦小路〉の入り口はパラグラフ10番。そこにあるのは、中古品や古い家具を売る店が多いらしい。そして、細々とした雑貨の入ったトレイを持った若者が話しかけてくる。掘り出し物を金貨2枚で、好みの5点セットで売ってくれるそうだ』
ダイアンナ「掘り出し物かい。どんな商品なのさ?」
NOVA『いい品揃えなのは間違いない。多くのガラクタに混じって、興味を引いたのは次の9種類だ』
- 砂時計
- 鉄の鍵
- 開錠用具
- 革手袋
- 真鍮のベル
- 大きな釣り針
- 小さな水差し
- 銅の指輪
- 小さな青銅の日時計
アスト「何と。開錠用具があるじゃないか」
NOVA『掘り出し物だろう? 金貨2枚で5つ。さらに欲しいものがあれば、1つにつき金貨3枚で売ってくれるそうだ』
ダイアンナ「全部買うなら、金貨14枚か。それは全部買ってもいいんじゃないかな?」
NOVA『初見なら、それもありだが、例によってデスティニーマップにお伺いを立てると、有用なのは2番と3番と教えてくれた。他は趣味の雑貨で、冒険中に使う機会がないらしい』
アスト「だったら、鉄の鍵と開錠用具を買って、残り3つは何でもいいってことか」
NOVA『フォーティとしては、革手袋、銅の指輪、真鍮のベルを買った次第。もしも、このタイミングで〈嵐の剣〉が入手できたら、落雷を剣に集めて必殺技を放てるのになあ、と思いながら』
ダイアンナ「雷を撃ち放てる剣というのは、あたしも興味があるが、それもIFルートだろう? ここでどうこう言っても仕方あるまい」
NOVA『想像する楽しさというものもあるわけだが、確かにゲームブックの攻略では何の役にも立たない。だが、自分で物語を考えたり、アレンジしたりするには、そういうワクワクを大事にする習慣も大事だってことだ。まさに想像力を解き放てってことだな。アークとか、ドリムノートとか』
アスト「お前が今、何にハマっているかよく分かるネタだが、FFゲームブックには関係ないだろう」
NOVA『いや、ゲームブックの攻略ノートとか、プレイに使ったキャラクターデータその他は、ゲーマーにとっての想像力ワクワクのドリムノートみたいなものだから。今、プレイしてるフォーティも、ヒーローなわけだし。夢さえあれば、人はみんな異次元の天使なんだよ』
ダイアンナ「中学時代にハマっていたコミックに40年を経て、ハマるとはねえ」
NOVA『いや、ウイングマンは84年のアニメで、ファイティング・ファンタジーの旬と同じ時期の作品なんだよ。どちらも40周年という意味では、つながるものなんだ』
アスト「しかし、ウイングマンにこれ以上脱線すると、ダンジョン探索している余裕がなくなるんじゃないか?」
NOVA『ううっ、仕方ない。ウイングマン話は置いておいて、今は〈煉瓦小路〉を先に進むぞ。パラグラフ43番に来ると、何だか怪しい倉庫があった。ヒーローたるもの、こういう倉庫には悪の怪人の気配を感じるので、調べてみることにする』
ダイアンナ「突然、ヒーローになってるし」
アスト「まあ、FFの主人公もヒーローだからな。意味合いは少し違うと思うが、攻略記事としては、調べてみることに否やはない」
NOVA『すると、3体の大ネズミが襲いかかって来た。どうやら、ここは打ち捨てられた穀物倉庫らしい。床に種が散らばっている。種と言えば、シード。出たな、シードマン』
ダイアンナ「何? シードマンって?」
アスト「ウイングマンに出てくる怪人の名前だ」
ダイアンナ「何だ。てっきりガンダムか何かだと思ったよ」
NOVA『とにかく、シードマン。いや、もしかするとネズミプラスかもしれない。とにかく、異次元ネズミか、宇宙ネズミの群れをクロムレイバーで叩き斬る』
アスト「FFの世界観を無理やりウイングマンに引き寄せるな。読者が混乱する」
3体の大ネズミは、ゴブリン並みのザコであり、無傷で倒された。
しかし、ネズミは病気を媒介するかもしれないので、運だめしを要求される。出目は7で成功。運点は9に下がったが、病気に感染することはなかった。もしも、運だめしに失敗していれば、熱冷まし剤が必要で、それもなければ体力点10のダメージを受けるところだったわけだ。危ない、危ない。
ともあれ、倉庫の中には、地下に通じる階段があったので、もしかすると、悪のアジトに通じているかもしれないと考えたフォーティは、正義の味方の直感に従い、探索を続けることにする。
ドラゴンのいるダンジョン
NOVA『さあ、ヒーローかぶれのフォーティは謎の穀物倉庫の地下貯蔵庫に侵入したわけだが、ここを探索する意味があったのかね?』
アスト「そんなのオレが知るか。大体、ヒーローかぶれなのはフォーティじゃなくて、プレイヤーのお前だろうが。それにフォーティの性格が、プレイヤーの気まぐれでブレブレじゃないか。花粉症設定はどこに行ったんだ」
NOVA『あっ、クシュン。とにかく、貯蔵庫に入ると、水浸しなんだな。これ以上の探索は、水の中に足を踏み入れないと無理みたいだが……ヒーローたるもの、例え火の中水の中、そこに悪がいる限り、勇気を出して踏み込まねばなるまい』
ダイアンナ「ちょっと待ちなよ。水の中に踏み込むことは、食料をダメにする危険はないか?」
NOVA『大丈夫。水の中といっても、腰までみたいだから、保存食には影響しない。だが、しかし、足にヒルが食いついているんだよな。短剣を持っていれば、素早く切り裂いて、引き剥がすことができて1点ダメージで済む。しかし、短剣がなければ、手間が掛かって1Dダメージを受けてしまうんだ。最初の武器屋さんから短剣をサービスでもらっておいて良かったぜ(残り体力点15)』
アスト「で、勢いで地下に足を踏み入れているわけだが、何が目的なんだ?」
NOVA『さあ。プレイヤー自身にもよく分からないんだ。そこにダンジョンがあれば、潜りたくなるのが冒険者の性質だとは思わんかね?』
アスト「いや、何か役立つアイテムが手に入るとか、そういう目的があるんじゃないのか?」
NOVA『う〜ん、どうだろうな。俺の攻略ノートには、そういうことは書いていないようだが』
アスト「だったら入るなよ!? 最適解が分かっているんじゃないのかよ?」
NOVA『いや、まあ、そうなんだけど、最適解を辿るだけだと、冒険物語としてつまらなくないか? って攻略記事を書きながら感じてね。むしろ、苦境や弱点を克服する姿こそヒーロー物語の王道ではないか、と俺の中のウイングマンが囁くわけだよ』
ダイアンナ「これで、攻略に失敗したら、バカみたいだね」
NOVA『大丈夫。このダンジョンでダメージを受けることはあっても、バッドエンドはない。問題なくクリアできることは計算済みだ』
アスト「まあ、お前がバカなミスをしたら、オレがあざ笑う。そういう役回りだったはずだ。心配してツッコミ入れるのは、オレのキャラじゃなかったはず。よし、NOVAよ、安心して失敗しろ。それでネタになるなら、作者として本望だろう」
NOVA『いや、だから一応、大失敗することはないはず、と踏んでるんだが、ひとまずヒルを処理した後は、石段を登った先の天井に落とし戸を見つけた。そして、鉄の鍵で開く錠前が付いているんだな。鉄の鍵はそのために買ったんだ』
ダイアンナ「へえ。確かに必要アイテムを先に購入している辺り、計算済みという言葉に嘘はないようだね」
NOVA『鍵がなくても、開錠用具で普通に開けられるんだけどな。とにかく、落とし戸を開けた先は倉庫の秘密部屋になっていて、天井付近で琥珀色の宝玉が光源として輝いている。部屋の奥には黒い大理石の玉座に、エメラルド色のガラス製ドラゴンが鎮座していて、首に金の鎖の付いた護符をかけてある。護符をとるか、おとなしく帰るかの選択肢が出るんだが、このまま何の収穫もなく帰ったのでは面白くないよね』
アスト「ああ、ドラゴンに挑んで、男らしく散るのがヒーローだ」
NOVA『いや、挑んでみるけどさ。散る気はない。さあ、ドラゴンよ、来るなら来い。我が【竜の剣】の餌食にしてやるぞ』
ダイアンナ「ああ、そういう武器を持っていたんだね。ドラゴン特効ってことか」
NOVA『いや、それが、このガラス製のドラゴン像は普通の生物のドラゴンじゃないから、特効があるのは【竜の剣】じゃなくて、【炎の剣】なんだわ。よって、護符の番竜たるドラゴン(技9、体8)には、素の状態で戦わないといけない。それでも技術点2差で優位だから、難なく倒せるはず』
こうして、ダンジョンの中でドラゴンと戦う元祖TRPG50周年記念っぽいバトルが展開される。
その結果、運よくノーダメージで撃退することに成功するのだった。
NOVA『よし、何とかドラゴンを撃退し、金の護符をゲットしたぞ』
アスト「どんな効果だ?」
NOVA『さて? 俺の攻略ノートには、何のための護符か書いていないみたいだ。役に立つのか、これ?』
アスト「知るかよ。とにかく、これで街中のダンジョンの探索は終了だな」
NOVA『帰りしなに、また水中で足が何やら固いものに当たるんだな。拾ってみると、金貨6枚入りの貯金箱だった。何だかラッキーなので、運点が1点回復した次第』
ダイアンナ「何だかんだ言って、上手くダンジョンをクリアできたわけだね」
NOVA『100%とは言えないけど、ヒーローだからな』
IFルート:〈銅通り〉と〈プディング小路〉
NOVA『ドラゴンのいる地下倉庫(ミニダンジョン)をクリアした後は、他の2ルートと合流して〈銀通り〉(パラグラフ213番)に向かうわけだが、一番手間取るのが〈煉瓦小路〉ってことだな』
アスト「他のルートにはダンジョンがないのか?」
NOVA『ない。まず、真っ直ぐ進んだ〈銅通り〉はパラグラフ98番からだ。ここは宝飾店が並んでいて、宝石を売買してくれる「隠された宝石」という店がある』
ダイアンナ「あたしとしては、是非とも入りたい店だね」
NOVA『ここでルビーを持っていれば売れるんだが、前回も語ったように偽物(ガラス玉)だと判明して、銅貨2枚にしかならない。おまけに、このゲームブックでは銅貨で買い物する機会がないので、実質的にルビーはゴミ屑と同じ扱いってことだ』
ダイアンナ「宝石を買ったりはできないのかい?」
NOVA『金貨10枚でエメラルドを購入できる。何の役に立つかは分からないけど』
ダイアンナ「宝石は持っているだけでも価値があるの! 実用性なんかは二の次で。そりゃあ、『死の罠の地下迷宮』みたいにゲームクリアのための必須アイテムになっていることもあるけど、宝石というものはその美を愛でるためにある。美しく飾ることの価値をダディは重んじないといけない」
NOVA『まあ、俺は宝石だろうと、ガラス玉だろうと、キラキラ輝いていれば、どっちも同じだと思っちゃう人間なので、その辺のこだわりはダイアンナにどうこう言う資格はないんだけどさ。しかし、今回の攻略記事では〈煉瓦通り〉が必須ルートなので、エメラルドをゲットすることは無理なんだ』
ダイアンナ「まあ、初見だとエメラルドが何かの役に立つかも、と思って買っちゃうんだろうね」
NOVA『そういうプレイヤーもいたんだろうな。さておき、〈銅通り〉は宝石を売買するだけで終わりで、すぐに〈銀通り〉に入ってしまう。呆気ないぐらいだ』
アスト「まっすぐ一直線だから、一番近道なんだろうな。残る〈プディング小路〉はどうなんだ?」
NOVA『そちらにはパラグラフ285番から入ることになる。名前のとおり、スイーツ店が充実していて、菓子職人のお婆さんに「できたてのブルーベリーパイを召し上がれ」と勧められる』
アスト「食べて大丈夫なんだろうか?」
NOVA『体力点1点を回復するが、代金として金貨5枚を要求される』
アスト「ぼったくりじゃないか!」
NOVA『素直に払ってもいいが、断る方が正解だな。老婆はクスクス笑いながら、「金貨5枚なんて法外なお金を請求しても、素直に払ってくれるうっかりさんがいるの。信じられないでしょ? 払わないと、何かの呪いでも掛けられると思っているのかしらね。愚者とお金はすぐに別れるとはよく言ったもの。だけど、あなたは愚者ではなかったみたいね」と笑い話にしてくれる。このウィットに富んだセリフは結構好きだ』
ダイアンナ「人を引っ掛けて、茶目っ気あふれる返答を示してくれるんだね」
NOVA『で、このパティシエ婆さんは、金貨1枚でクリームパン4個を売ってくれる。1個につき体力1点を回復できるので、もしも食料が枯渇していれば、ここで補充してもいいかもな』
アスト「だけど、開錠用具が必要なら、ここには寄れないんだろ?」
NOVA『まあな。ともあれ、スイーツイベントの次は、ユニコーン頭の形をした噴水があって、そこで水を飲んでいたレプラコーンの女性ギャビー・グリーンシューズが話しかけて来る』
ダイアンナ「FFのレプラコーンにあまりいい思い出がないんだけど?」
NOVA『「バルサスの要塞」や「死の罠の地下迷宮」の経験者はよくそう言うよな。イタズラ妖精で有名なレプラコーンだが、ギャビーはいいレプラコーンだ。金貨1枚で幸運をもたらしてくれるそうだ』
アスト「本当か?」
NOVA『本当だ。運点2点を加える【銀の指輪】をくれるからな。あと、ユニコーンの噴水から出る水を飲むと、体力2点が回復する』
ダイアンナ「いろいろリフレッシュできるルートなんだね」
NOVA『これで〈プディング小路〉のイベントも終了し、〈銀通り〉のパラグラフ213番に合流する。必須アイテムの問題がなければ、この〈プディング小路〉が一番お得なルートと思えるかもしれないが、作者の想定する最適解は、やはり〈煉瓦小路〉なんだろうなあ』
こうして、ヒーロー願望に突き動かされたフォーティは、勢いで地下の擬似ドラゴンを撃退し、竜の剣士の名に恥じない勲しを立てた(つもり)。
そして〈銀通り〉に進んだ彼は、次回で果たして目的のマリク・オム=ヤシュと会うことができるのだろうか?
マリクと出会うまでが前半で、次回から後半に入る予定。
★ヒーローかぶれな竜の剣士フォーティ
・技術点11
・体力点15/20
・運点10/11
・金貨64枚
・食料10食
・持ち物:【竜の剣】、幸運ポーション、秘密の地図(火吹山の隠された部屋)、短剣、【混沌の王冠】のフレーム、ドラゴンのメダル付きペンダント、【幸運のお守り】、骨入り革袋、【力の指輪】(技術+1)、コウモリ軟膏、蜘蛛油、熱冷まし剤、ゴブリンの耳垢、青い蘭、金の首飾り、鉄の鍵、開錠用具、革手袋、銅の指輪、真鍮のベル、金の護符
・情報:ハーメリンで、マリク・オム=ヤシュを訪ねよ
マリクの亡き妻ヴェルマ、享年43歳
マリクの家の場所(パラグラフ185番に詳細)
キーワードは〈丘通り〉、〈行き止まり路地〉、時計屋、梯子
・祭りイベント:パイの早食いコンテストに勝利
平手打ちコンテストに勝利
(当記事 完)